公明党 語れる実績 <上>

2015-12-24 ニュース

公明新聞:2015年12月24日(木)付

年末年始は知人・友人と旧交を温めるなど、何かと出会いの場面が多くなります。こうした時に対話の材料となる、公明党のホットな実績を上下2回に分けて紹介します。

高額療養費 中低所得者の限度額引下げ

病気やけがで高額な医療費が掛かっても、医療機関の窓口で支払う1カ月の自己負担額を所得や年齢に応じた限度額に抑える「高額療養費制度」。今年1月の見直しで70歳未満の所得区分が細分化され、中低所得者の負担を減らす新たな区分が設けられました。

見直しでは、住民税非課税者と上位所得者(年収約770万円以上)の間にあった一般所得者の区分を分割。年収約370万円までの限度額を従来の約8万円から5万7600円に引き下げました【図参照】。負担軽減の対象者は約4060万人に及びます。

高額療養費 一般所得者分割のイメージ

これまで「一般」の区分は年収の幅が広く、より所得の低い患者の負担割合が大きくなるという課題がありました。このため公明党は、2010年の衆院予算委員会で「一般」の分割を提案するなど、中低所得者の負担軽減に一貫して取り組んできました。

ブラックバイト 対策加速へ実態調査を提案

学生アルバイトに対して過重な労働を強いたり、違法な労働管理を行うなど、学業に支障を来す「ブラックバイト」が社会問題になっています。

厚生労働省はこのほど、公明党学生局が早期実施を訴えていた「ブラックバイト」に関する初の実態調査の結果を発表しました。調査に協力した大学生ら1000人のうち、約6割がアルバイトで何らかのトラブルを経験していると回答。「採用時に合意した以上のシフトを入れられた」(14.8%)、「準備や片付けの時間に賃金が支払われない」(13.6%)などの実態が明確になりました。

党学生局は、7月の安倍晋三首相への提言でも、「ブラックバイト」の根絶に向けて相談窓口の拡充や、キャンペーン活動の実施、労働法令に違反した事業者への指導を総合的に行うべきと強く要望しています。

マタニティーハラスメント 初調査踏まえ防止義務化へ

妊娠や出産を理由に女性が職場で不利益を被る「マタニティーハラスメント(マタハラ)」の防止策を企業に義務付ける制度改正が現在、検討されています。派遣労働者については、派遣先にも防止策を義務付ける方針です。

これまでマタハラは実態が把握されていなかったため、公明党が政府に対し、被害に遭いやすいとされる派遣労働を含めた実態調査を提案。

この結果、今年秋に初の調査が行われ、マタハラ経験者が派遣労働で48.7%、正社員で21.8%いたことが分かりました。

こうした状況を踏まえ、厚生労働省は男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の改正案を来年の通常国会に提出する予定です。

改正案では、産休や育休を取得する労働者に退職・降格などの不利益な扱いをしないように、企業に対策を立てさせます。相談窓口の設置なども求めます。

軽減税率の議論を振り返り(その3)

2015-12-24 メルマガ

矢倉かつおです。

引き続き軽減税率についてお送りします。

よくあるご意見のうち二つ目は、「軽減税率は、財政再建に反する」という一方的なご批判です。軽減税率導入により、1兆円規模の減税となるわけですが、1兆円分の税収減は、国の財政を危うくするというご意見です。

これはおかしな議論です。まるで、軽減税率は、せっかく確保した消費税収を減らすものでけしからん、という風に聞こえます。

しかし、「軽減税率なくして消費増税なし」です。「現在の生活への不安」を軽減する軽減税率があってこそ、税率1%毎平均で約2兆円もの消費税収増(当初の5%から考えると約10兆円もの税収増)が望めます。軽減税率=税収減と単純に捉えるだけの見解は、税をあげることに対する国民理解を得るうえで、軽減税率が果たす役割を見過ごしたものです。

しかも、軽減税率は消費増税による消費の冷え込みをおさえ、景気対策にもなる政策です。軽減税率がない場合に比べ軽減税率により1兆円の負担軽減になった場合の効果につき、個人消費を0.18%押し上げ、実質GDPも0.09%押し上げるという試算もあります。景気の押し上げは、税収増にもつながるものです。

最後、三つ目は、「与党は、軽減税率の財源捻出のため社会保障費の削減をするつもりであり、福祉切り捨て、本末転倒だ」との意見です。

これは、事実に反する議論です。そのようなことはありません。

この「与党による『軽減税率財源捻出のための社会保障費の削減』」の例として、医療、介護、保育などの自己負担総額に上限を設ける「総合合算制度」の取りやめ、がよく報道されるようです。

しかし、「総合合算制度」の見送りであり、廃止するといった議論は、現時点で私の認識する限り、ありません。

「総合合算制度」には個人の所得等の把握が不可欠ですが、そのために必要なマイナンバー制度の普及が未完成であり、したがって「総合合算制度」はその実施を見送るという意見はあります。その見送りで浮いた財源(4000億円)をどう使うか、という議論はあると理解しています。ひょっとしたら、その議論が『軽減税率財源捻出のための社会保障費の削減』と誤解されているのかもしれません。

ちなみに、「軽減税率の財源捻出には社会保障費の削減しかない」といった意見を当然の前提であるかのように主張される向きもありますが、何ら合理性のない意見です。

この議論は、主に霞ヶ関から、軽減税率の対象品目の絞りこみをかけるという目的をもって意図的に生まれたものです。「削減できる社会保障費は限られている」から「軽減税率の対象は限定的だ」といったことを言うための巧妙な議論でした。

ある人は、この意見を評し、「まるで、高齢者はシルバーシートにしか座ってはいけないと主張し、シルバーシートのなかでのいす取り合戦を強いているかのような違和感がある。」と仰っていました。

軽減税率の財源は、社会保障の削減ではなく、国の政策全体を検討し削減すべき歳出はないか幅広く英知を結集し検討すべきものです。軽減税率導入の時期は、再来年の4月(消費税10%と同時に)です。与党の責任をもって、しっかり財源は議論していきたいと思います。

以上、軽減税率に関する誤解三点ほどにつき意見を述べました。

軽減税率をめぐっては、いろいろな思惑で様々な議論がなされています。なかには、わざと誤解を招くよう誘導しているものも見られるのが現状です。

しかし、軽減税率は、消費税を含めた社会保障の基盤制度に対し、将来にわたって国民理解を得るために不可欠な制度であることは間違いありません。冒頭、申し上げたように、「将来への不安」と「現在の不安」にバランスよく配慮するための制度の枠である軽減税率を、公明党は、責任と覚悟をもって推し進めさせていただきます。

どうか引き続きのご意見を是非宜しくお願い申し上げます。

*年内最後のメルマガとなります。

本年、様々お世話になり、本当にありがとうございました!!

明年、大飛躍の年にいたします。

軽減税率の議論を振り返り(その2)

2015-12-24 メルマガ

矢倉かつおです。

前回に引き続き軽減税率についてです。

軽減税率導入について三つほど、誤解が生じていると申し上げました。今回は、その一つ目、「軽減税率は、低所得者対策として不十分だ」というものです。

このご意見はさらに二つほどに分かれると思います。

一つは、「痛税感の緩和ということであれば、低所得者だけに限定をし、お金を配るほうがよっぽど効率的だ」といったご意見です。例えば、給付付き税額控除といわれる制度です。

特に、経済学者の方に多いようです。確かに一見、論理的にも聞こえます。

しかし、お金を配る、といっても、社会保障と税の共通番号制度(いわゆる「マイナンバー制度」)が定着していない現実では、配るべき低所得者の方はどなたなのか(正確には、給与など「所得」だけでなく貯金など「資産」も含めて)、政府が把握することは困難です。

そのため、「自分には受給資格がある」と考える方自らに、お手間をとらせ申請していただく必要があります。しかし、ここで問題となるのが、いわゆる申請漏れです。例えば、消費税8%時に政府は低所得者対策として「簡素な給付金」という制度を導入しましたが、徹底した周知活動にも関わらず、多くの自治体では、対象者の約3割から4割が申請をされず、せっかくの給付金が届かずじまいでした。

つまり、この方式では、本当に支援が必要な方全てに効果が行き渡らないのです。一見、論理的に聞こえる政策でも、人間の行動など不確実な要素も加味し考えると、必ずしも効果的でないことがあります。

そもそも、後日、差額を返してもらったとしても、一度、税をとられてしまった以上、「税をとられた」という痛税感は残ってしまいます。その意味で、問題の解決になりません。

税をとられることに対する人の痛みをどう軽減するか、その観点から考えたとき、「対象品目の買い物のたびに例外なく」「即時に」「申請等の手間もなく」効果のおよぶ軽減税率は、優れた政策であると言えます。

「低所得者対策として不十分だ」との主張として、よく聞かれるもう一つの声は、「軽減税率は、高所得者優遇だ」というものです。

これは、所得があがればあがるほど、消費額も大きくなり、結果、軽減額も大きくなることを根拠としています。

例えば、年収が1500万円以上の世帯では軽減税率による負担軽減額は年で1万9千円を上まわるのに対し、年収200万円未満ではその額が年1万円を下回る(9100円ほど)と試算されています。「高所得者のほうが、1万円近くも得しているじゃないか」というのです。

しかし、軽減額が大きいということは、払っている税額も多いということです。軽減額の多さだけを切り取って「優遇かどうか」と議論をすることに、どれだけ意味があるのかと感じます。

そもそも、痛税感の緩和という点から考えたとき、重視すべきは、「それぞれの日々の生活で感じられる負担感がどれだけ軽減されるか」という点であるべきです。

この点から参考になるのは、給料から税金などを引いた額(「可処分所得」といいます)のうち軽減額が占める割合はどの程度か、というデータです。年収300万円世帯の可処分所得に占める軽減額の割合は、年収1000万円世帯のそれに比べ約1.5倍です。つまり、低所得者になればなるほど、家計に占める軽減額の割合は高くなり、軽減税率により家計が助かる割合は増えるということです。

「高所得者優遇だ」とのご意見の背景には、格差是正のために、高所得者の負担感が少ない分を低所得者に、という考えがあるのかもしれません。大事な視点です。

しかし、格差対策は軽減税率だけでなし得るものでは到底なく、税制に限らず国の全ての政策を動員してなすべきことです。軽減税率はどこまでも、所得の低い方を中心とした全ての方の痛税感を軽減する、その目的に特化して制度設計すべきと考えます。

軽減税率の議論を振り返り(その1)

2015-12-24 メルマガ

矢倉かつおです。

あっという間に年の瀬。年内最後のメルマガになると思います。

本年も大変にお世話になりました。本当にありがとうございました!!

インド・ベトナム訪問など、ご報告したいことは多々ありますが、年明けにゆずり、今日は軽減税率についてお伝えします。

12月12日、軽減税率に関する主な議論(対象品目を含む)が大筋合意し、16日の与党税制大綱に明記されました。公明党が訴えてより約4年、与党内議席では9分の1の勢力に過ぎない公明党が、「真剣勝負の対話」の末、異なる意見を統合し合意に導いた成果です。

軽減税率の説明に入る前に、そもそも、何故、消費税をあげる必要があるのか、です。これについては以前(2014年3月31日付け)のメルマガでも、触れさせていただいています。

http://www.yakura-katsuo.jp/archives/849.html

一言で言えば、「将来への不安」に対する備えの負担を、未来に先送りしないためです。

75歳以上の人口が約3500万人(日本の人口の約3割)となる2025年を前に、医療・介護費の増加や年金財政への圧迫など「将来への不安」が社会に広がっています。

この不安に備えるため、国債といった国の借金(=将来世代への付け回し)に依存することなく、今いる世代が共同で拠出する税により賄うべきだ、との思想がその背景にあります。そのため、やむを得ず、増税のご負担をいただくことになります。

ただ、「将来への不安」に備えるといっても、家計圧迫という「現在の不安」につながってはいけない、特に、消費税は消費のたびに納めるものである以上、毎日、毎日、買い物のたびに「税をとられた」という痛み(「痛税感」と言います。)が消費者の方々に残ります。それを軽減する政策が必要です。

それが軽減税率です。生活者視点からの政策であり、また、これにより、増税へのご理解をいただくことにもつながります。さらには、増税による景気の冷え込みを防ぎ、経済対策としても有効です。

加工食品も対象品目に含めるべき!と公明党が強く主張した理由は、それが、一般の生活実感を最も反映したもので、痛税感緩和のためにも必須だったからです。

特に、高齢者お一人またはご夫婦のみ世帯(およそ2000万人と言われています)や若者の単身世帯などの食卓では、調理の手間などが省けるスーパーやコンビニの「お総菜」などが重宝されます。働くお母様にとっても加工食品は大きな味方です。

それを軽減対象に加えない、という選択は、一人一人の実感を大事にする私たちにとって、全くありえないことでした。

ところで軽減税率導入に関連し、三つほど、誤解が生じているようです。

一つ目は、「軽減税率は、低所得者対策として不十分だ」というものです。

二つ目は、「軽減税率は、財政再建に反する」というご批判です。

三つ目は、「与党は、軽減税率の財源捻出のため社会保障費の削減をするつもりであり、福祉切り捨て、本末転倒だ」との意見です。

次回以降、この三点に関する私の意見を簡単にまとめたいと思います。

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