韓国による日本の水産物等に対する輸入規制に関し、徹底議論しました。

2019-04-26 ブログ

韓国による日本の水産物等に対する輸入規制に関し、徹底議論しました。

韓国の輸入規制について、先日、WTO(世界貿易機関)の上級委員会(最終審)は、違法(協定非整合)としたパネル判断(一審)を却下しました。
しかし、これはパネルの判断手法に法的な問題があったことを原因とするものであり、日本の水産物の安全性を含むパネル判断の内容を否定したものではありません。
結局、韓国の規制が適法か違法かの判断を明確にすることもせず、宙ぶらりんの状態となり、個人的には不満の多い判断です。

昨日、外務省と農水省を呼んで、この判断につき党内で議論しました。

私からは政府に対し、上級委員会の判断の不自然なところなどを検証し、公式の場で、より強く訴えるべきことを厳しく求めました。

日本の水産物の安全性は上級委の判断を受けても何ら揺るがない(正確にいえば、上級委員会は、この点について何らの判断もくだしてないです)です。
ただ、却下という上級委員会の判断そのものをしっかり検証し糺すべきところは糾さないと、説得力という意味で弱く、今後の交渉にも影響します。
外務省の奮起を強く促しました。

上級委員会の77ページに及ぶ英文報告書を私も読んでみました。

いくつか感じたことがあります。二、三、列記します。

<韓国は、本来尽くすべき立証を尽くしていない。>

輸入制限を設けることで何を守るか(健康基準)その設定は韓国の自由であり、韓国はそれを、「①年間1ミリシーベルトの被ばく量」、「②通常環境での放射能の水準」、「③達成可能な最低限の放射能の水準」と設定しています。
しかし同時に韓国は、その内容を明確にする義務を負いますが、これを尽くしていません。
特に「通常環境での放射能の水準」、「達成可能な最低限の放射能の水準」とは何か主張していない。これは、本来、立証すべき事項を立証していない韓国の不作為です。

<上級委員会は、韓国の不十分な立証は不問にする一方、パネルに過重な責任を負わせその判断を却下した>

パネル(一審)は韓国の不十分な立証を前提に、最終的には、②と③を踏まえた内容が①であるとし、そのうえで、日本の水産物はこの①の基準を大幅に下回ると判断したものです。
しかし、上級委は、パネルが①から③を個別に分析しなかったとして、パネル判断を却下しました。
ただ、そもそも、パネルがこのような判断に至った原因の一つは、韓国が本来立証すべきことをしきっていなかった点からだと思います。
上級委員会は、韓国の立証不十分を十分に評価していないと感じました。

<韓国の措置が協定に整合的であるとは一切認められていない>

上級委員会は、パネルの判断手法が間違えていた、としてパネルの判断を却下しましたが、パネルの判断内容については一切触れていません。
そのパネルは、事実として、日本の水産物の放射能水準は韓国の設定する(とパネルが考えた)許容水準を大幅に下回るものであるとし、韓国の措置を貿易制限的であると認定しました。
上級委員会が、日本の水産物の安全性を否定したかのよう報道は誤りです。

一部新聞が、そもそもパネル(一審)は、日本の水産物が安全であるとは認定していないと報道したようです。

しかし、既述のとおり、パネルは、輸入規制の違法(協定非整合)を認定する前提として、日本の水産物の放射能水準は韓国の設定する(とパネルが考えた)許容水準を大幅に下回るものであると事実認定しています。

この訴訟は、韓国の規制が安全性を隠れ蓑にして必要以上に貿易制限的でないかを議論したものであり、日本の水産物の安全性を、直接、議論したものではないため、言葉として「安全である」と明記した文字はないかもしれませんが、実質、同じ趣旨を認定しています。

にもかかわらず、安全だと認定されていない、などと書く姿勢、政府の判断を否定したい意図があるのかもしれませんが正確でなく、メディアとして感心できません。自ら検証して書いたのか、たたま聞いた話を鵜呑みにして書くだけだったのではないか。何より、被災地の人たちの思いに寄り添っているか、本当に、復興のことを考えているのか甚だ疑問です。

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