夢ある農業のため何が必要か(その1)

2017-09-19

矢倉かつおです。

8月上旬に農林水産大臣政務官を退任し、政府から党にもどりました。

党では、経済産業部会の「部会長代理(次席責任者)」として、中小企業対策含め経済政策全体の検討を行います。そして、参議院五役の一つである「筆頭国会対策副委員長」として、国会運営における与党内、対野党調整(駆け引き含め)の前面に立ちます。

とりわけ、28日にも召集される臨時国会は、冒頭から解散含みの荒れる展開になることが予想されます。議院運営の責任者の一人として、頑張ります。

以上の詳細は後日に譲るとし、今日から数回に分け、深刻な後継者不足に悩む農業を夢のあるものとし、日本の食を守るため何が必要か、1年間におよぶ政務官時代を振り返りつつ感じたことを三つだけ書きたいと思います。

まず一つ目は、農作物が本来持っている価値を「価格」に反映させる仕組みづくりです。

様々な産地をまわり、様々な農作物と触れるなかで感じたことは、当たり前かもしれませんが、同じ米でも葡萄でもリンゴでもトマトでも、場所が変わり、土や水、栽培方法などが変われば、違うという点です。

農作物は、どれもこれもオンリーワンだ! 私にとってはすごい発見でした。農作物ほど「売り方」いかんで他との差別化が可能なものはないのではないか、それぞれの特質をどう「価格」差に反映するか、それが勝負だ。そう感じました。

ただ、自然環境との過酷な格闘を経て、心を込め質のよいものをつくった農家に対し、さらに、高く売れるよう「売り方」含め全部やれ、というのは酷だともいえます。

私が農林水産省で訴えたことは、農作物を適正価格にするため、農作物の価格形成を支える関係者を探し、その知恵や力を結集させる「つなぎ役」こそが、行政であり農林水産省である、ということでした。

「価格」は農作物の作り手の努力だけで決まるのではなく、その良さを把握し消費者に伝える小売業者や市場関係者(仲卸業者、卸売業者)の目利き力が必要です。

世界から絶賛される「食の大国、日本」を支える外食産業との連携も、素材の良さに対し高い価格設定をする基礎になります。

農産品への消費イメージを膨らませる物語、ストーリー(例:「和食には、日本産ぶどうによる国産ワイン」など)をつくる動きも大事です。

良いものを、その品質を保持したまま実需者に運ぶ物流業界の力があってはじめて、価格が維持・反映されます。

実需のニーズにあった新しい品種を開発する研究機関も、欠かせない存在です。

「価格」よりは「費用(コスト)」の関連ですが、質のよい農機を手頃な値段で提供するため、日々努力をするメーカーもいます。

最近は、情報技術産業も、農業の省力化や生産性向上のため動き出しました。

第一次産業といわれる日本の農林水産業者の背後には、サービス業を含めた食産業全体の力があります。その市場規模は100兆円にのぼるという説もあり、建設業をもしのぎます。

その力をいかに取り込み、農作物の質に見合った「価格」につなげるか。ここが大事です。

農林水産省は、生産者の所得向上のため、生産者以外の方々とも積極的に意見交換し、連携をさらに強め、生産者の所得向上のため、より発想豊かに現場主義を貫いていただければと思います。

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