2019-05-30
2019年5月30日付け公明新聞
県内初 待望の夜間中学が開校
矢倉氏と公明の県、市議が視察
埼玉・川口市
担当者から説明を受ける矢倉氏(前列右端)ら
埼玉県川口市はこのほど、県内初の夜間中学である市立芝西中学校陽春分校(杉田明校長)を旧市立高校の跡地に開校した。国内外を問わず、さまざまな事情でそれまで中学校に通うことのできなかった人が、昼間の中学校と同様の教科を学べる待望の場として注目されている。国と県、市で連携し、開校を後押ししてきた公明党埼玉県本部の矢倉かつお副代表(参院議員、参院選予定候補=埼玉選挙区、自民党推薦)と地元の県議、市議が21日、同校を訪れ、担当者と意見を交わした。
通称「夜間中学」は、夜の時間帯に授業が行われる公立中学校の夜間学級で、文部科学省は、各都道府県に1校の設置を促す方針だ。川口市は人口約60万人。3万人を越える外国人が在住していることに加え、2010年の国勢調査で市内の未就学者が229人いた状況を踏まえ、奥ノ木信夫市長が17年に公立夜間中学の設置を表明し、今春、県内初の夜間中学として市立芝西中学校陽春分校の開校にこぎ着けた。
外国籍含め生徒78人が在籍
同校のコンセプトは、「市民・県民の学ぶ意欲に応え、誰もが通える夜間中学」。入学できるのは県内在住の16歳以上の人で、(1)小学校や中学校を卒業していない人(2)中学校を卒業した人で、学び直しを希望する人(3)原則、在留資格のある外国籍の人――。開校当初の生徒数は、市内外から通う日本人が30人で、外国人が中国、ベトナム、韓国など12カ国・地域から来日している48人。生徒の年齢は学齢期すぎから80代までと幅広い。
授業は、月曜日から金曜日の午後5時半から開始。1校時当たり40分間で1日4校時まで実施される。昼間の中学校と同様に国語、数学、理科、社会、英語、音楽、美術、保健体育、技術・家庭などを学習する。休み時間や食事、清掃などの時間も入れて午後8時55分には下校となる。また、校外学習や体育祭などの行事も予定されている。
夜間中学での音楽の授業風景
矢倉県副代表ら一行は、杉田校長から夜間中学の現状について説明を受けた後、1校時の音楽の授業を視察。タブレットを駆使して曲を説明するなど、教員は生徒の理解が深められるように工夫を凝らし、どの生徒も教科書を手に熱心に学んでいた。
杉田校長は「授業が楽しみで来ましたと、意欲的に学ぶ生徒が多い」と語り、その一方で、生徒数に応じた教職員の確保など、直面する課題も指摘した。
これに対し、矢倉県副代表は「学びたい人を応援できるよう国にも働き掛けていく」と語っていた。