加藤官房長官(中央)に提言する矢倉委員長(左隣)と竹内政調会長(右から2人目)ら=25日 首相官邸
公明党の竹内譲政務調査会長と青年委員会の矢倉克夫委員長(参院議員)らは25日、首相官邸で加藤勝信官房長官と会い、新型コロナの感染拡大で厳しさを増している雇用環境の改善や、医療・介護従事者の心のケアなどを求める青年の声を紹介するとともに、青年政治意識調査に基づく政策提言を手渡した。三浦信祐青年局長、安江伸夫学生局長(いずれも参院議員)が同席した。
今回の提言は、党青年委が9月以降に若者から集めた声に基づくもの。
席上、三浦青年局長は、11月下旬から約2週間、医療や介護・福祉、保育、ITなどの仕事に携わる全国各地の若者計約130人と集中的に懇談した「業種別ユーストークミーティング」を報告。コロナ禍でも、医療など生活に欠かせない職業に従事する「エッセンシャルワーカー」の負担が増してマンパワーがギリギリだとの現場の声を伝え、当事者に寄り添った支援として「人手不足の解消や心のケアが必要だ」と訴えた。
加藤官房長官は「医療従事者の心のケアとともに、さまざまな分野に対するケア、相談体制の充実にしっかり取り組んでいく」と述べた。
また、失業・雇い止め、新卒採用見送りに見舞われた人や、雇用の先行きに不安を覚えている人が多いことから、「第二の就職氷河期」を生まないよう、雇用維持・就職支援を一刻も早く実行するよう求めた。
一方、矢倉委員長は、9月から10月にかけて約4000人の青年から回答を得た政治意識調査の結果を報告。特に“子育て支援制度があっても利用できない環境がある”との声が多いと指摘し、利用者目線に立ったきめ細かな対応が重要だと述べた。具体的には、育児休業を取得しやすい環境を整備するため、「男性の産休」の創設とともに、企業における時間単位の年次有給休暇制度の早期導入などを促すよう求めた。
また、意識調査結果から、中間所得層が負担に見合った行政支援を実感できずにいることが改めて浮き彫りになったと指摘。こうした結果を踏まえ、大学など高等教育無償化の拡充をはじめ、奨学金返還支援の充実や若者世代への家賃補助など、中間所得層の固定費削減に向けた取り組みを積極的に進めていくよう提案した。加藤官房長官は「非常に重要である。しっかりやっていきたい」と応じた。
安江学生局長は、若者の主体的な政治参加を推進するため主権者教育のさらなる充実などを訴えた。
提言ではこのほか、安全・安心な通信環境の整備促進や総合的なうつ対策の充実、自殺防止対策やSNS(会員制交流サイト)などインターネット上での誹謗中傷対策の強化などを求めている。
公明党の古屋範子女性委員長(副代表)と矢倉克夫青年委員長(参院議員)は3日、衆院第2議員会館で、ジェンダー(社会的性差)平等に向けた政策に関して国会議員と30歳未満の若者が意見交換するイベントに参加した。
古屋女性委員長は、公明党が選択的夫婦別姓を提言したことなどを力説。矢倉青年委員長は、若者の声を幅広く生かす重要性を訴えた。
同イベントは、国際協力に携わる公益財団法人ジョイセフなどが協力して開催された。
理美容業界で働く若者との懇談では、コロナ禍で今年上半期の売り上げが減る中、政府の支援策を活用したおかげで、経営の苦境を乗り越えたという声が相次いだ。一方、持続化給付金や雇用調整助成金などについて「手続きが煩雑だ」とし、申請のさらなる簡素化を求める声が寄せられた。
また、今年6月末に終了したキャッシュレス決済のポイント還元制度に関し「政府の手数料の一部補助がなくなり、キャッシュレス決済利用者が増えた分だけ事業者の負担が増えた」などの意見も出た。
経営者との懇談でも、政府のコロナ支援策について高く評価する一方、申請手続きの簡素化を求める声が。国の支援策とは別に、自治体独自で取り組んでいる地域もあるため「支援策が地域によって違いがあり、分かりづらい」として、利用者目線に立った支援策の周知も提起された。