217回 予算委員会

2025-03-19 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
まず、総理に一言だけ。
先ほど来より話もあります商品券の課題であります。既に同僚の塩田議員が説明も繰り返し、質問もしたところでありますので繰り返しはいたしませんが、国民意識との乖離があることを真摯に反省もいただいて、引き続き説明責任果たしていただきたいことをまず強く申し上げたいと思います。
その上で、今日は、私の地元埼玉で、八潮市で道路陥没事故が起きてはや二か月弱となります。私も二回事故現場に入りまして、五日、二月五日、十五日と、また、八潮を地盤とする石井啓一常任顧問とともに、もう二度、国土交通大臣にも申入れをいたしました。その際、本格復旧に向けた国の徹底した支援と点検を訴えまして、さらに、同席した八潮市議団より雨季までの仮復旧も申し入れたところであります。
まず、国交大臣に、この申入れを受け、大臣としてどのように対応されたのかを答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(中野洋昌君)

矢倉委員にお答えを申し上げます。
八潮市の道路陥没事故に関しましては、委員や地元八潮市の市議団、市議会議員団の皆様にも御来訪をいただきまして、埼玉県の復旧工事への技術的、財政的支援などにつきまして様々御提言、御要望をいただいたところでございます。
これを受けまして、一昨日、予備費を活用した復旧工事への支援や下水道管路の全国特別重点調査の速やかな実施については総理から御指示があったところであります。昨日、予備費の使用が閣議決定をされました。
復旧工事への支援につきましては、事故に巻き込まれた方の一刻も早い救助や、そして下水道の早期復旧に向けまして、埼玉県の仮排水管の整備、そして破損した下水道本管の復旧工事、委員も御指摘の八潮市公共下水道雨水幹線の復旧工事等を支援をしてまいります。
下水道管路の全国特別重点調査、これは、今回の道路陥没事故と同様の事故を未然に防ぎ、国民の安全、安心が得られるようにと、全国で大口径かつ古い下水道管を対象とした調査を行うものでありまして、昨日、全国の地方公共団体に対しまして速やかな調査の実施を要請したところでございます。
引き続き、一刻も早く事故に巻き込まれた方が救助をされ、そして復旧工事が進むとともに、全国で同様の事故が発生しないよう、必要な対策をしっかり検討、実施をしてまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

中野大臣には現地にも入っていただきました。力強いリーダーシップの下、また埼玉県とともに連携しながら復旧是非進めていただきたいと思います。
長期化が懸念される中であります。総理にお伺いしたいと思うんですが、心配なのは、この事故現場付近の事業者の方、また生産者の、営業者の方の御影響であります。
公明党の質問を契機にいたしまして、雇用調整助成金の適用も成りました。また、災害救助法の適用も、私も、大野知事やまた政府とも何度もいろいろやり取りも、仲介もしながらした結果、決まったわけでありますけど、融資など、それで優遇されることになったところであります。ただ、もっとも、返済の負担は残りますし、また、事故の影響により、仮に復旧した後でも影響が長期化するのではないか、客足が遠のくのではないかというような打撃も大きいところです。
総理に、今回のような、自然災害にも匹敵するような災害級の大規模事故、これに影響を受けている周辺事業者の方をいかに守るのか、今後も引き続きしっかり支援して、やる、支援すると力強く言及していただきたいと思いますが、総理、よろしくお願い申し上げます。

○内閣総理大臣(石破茂君)

これ、御党からも強い御指摘を受けております。石井前代表の御地元でもございます。そのことはよくよく私ども認識をいたしておるところでございまして、今現場から聞こえてきますのは、もうとにかくその道路がうまく使えないと、交通規制が厳しいと、売上げが減少したということ、そしてまた、下水管でございますので、いろんな異臭というものも伴っております。そういうものでお客様が来なくなっちゃったと。甚だしきに至っては、八潮に何か行くの怖くなっちゃったねみたいなお話さえ聞くところでございます。
相談窓口というものを商工会、商工会議所、あるいは日本政策金融公庫、商工中金等々に設けておりますので、いろんなお困り事があると思います。間違いなくある。先ほど雇調金のお話もございましたが、融資といっても、じゃ、返さなきゃいかぬのだろうという話になるわけでございまして、どうしたらば事業者の方の御負担が少なくて、そして期間、お困りの期間が短くて済むかということを私どもとして可能な限り丁寧に対応してまいりたいと思っております。制度はいろんなものを用意いたしますが、そんなもの知らなかったという方があってはいけませんので、こういう制度もありますということ、そして、仮に新しい制度が必要であるとすれば、そういうものもつくっていかねばなりません。
御自身に何の責任もないことで事業者の方々が苦しんでおられるということを私どもは真摯に、謙虚に聞いて、適切に対応するべく努めてまいりますので、どうぞ今後とも御指摘くださいますようお願い申し上げます。

○矢倉克夫君

被災者の方は、基本、災害というものに対する被災の制度というのはある。今回は事故でありますけど、災害級。こういった方々に対しての温かなまなざしというか、支えるという思いとともに、是非、県も市もこれからいろいろ動きます。そういうことに対して、国としてしっかり支えていくということを改めて総理に強く申し上げておきたいというふうに思います。
その上で、また関連ですけど、総理にもう一つだけ。
今回の事故で、下水道がこれ壊れた場合の影響の甚大さというのが明らかになりました。資料一を御覧いただきたいと思うんですが、今、下水道も、耐用年数がこれ五十年を超える管路は今七%ということでありますが、十年後は一九%、二十年後は四〇%と、急速にこれ増加するわけであります。この下水の老朽化リスクや今後の更新、点検その他に係るコスト、何よりも人口減少ということを考えたときに、管を張り巡らしていく下水とはまた別に、やはり各家庭で独立して存在している合併浄化槽、こちらも適している市はどんどん増えるはずであると思います。
現在、下水道や合併浄化槽など汚水処理施設整備計画は、都道府県が市町村の意見を吸い上げてこれは行っているという理解でありますけど、是非国としてよりリーダーシップを発揮していただいて、両者のすみ分け、特に地域によっては下水道から合併浄化槽へというこの流れを国主導で進めるべきだと思いますが、総理の御見解を求めたいと思います。

○内閣総理大臣(石破茂君)

今までこの事業主体は地方公共団体でございますので、経済性などを勘案をして、地域の実情に応じて下水道でいくか浄化槽でいくか等々の選択は地域が行っていただく、国はこれを尊重するということでやってきたのは御案内のとおりでございますが、さて、これで本当にこれから先もいいんだろうかということでございます。人口は減る、施設は老朽化する。今後は、維持管理、災害等の迅速な復旧を考えたときに、分散型を組み合わせて最適なシステムというものに見直すということが必要だということだと承知をいたしております。
能登半島地震からの復旧に当たりましても、石川県の創造的復興プランというのは、ありたい社会を基に持続可能なインフラを考えるということでございまして、従前の線でつながるインフラから点で賄うインフラ、何か聞いただけでは何のことだかよく分かりませんが、線でインフラをつなげるんじゃなくて点で賄うという考え方があるんじゃないかと。そうしますと、浄化槽への転換も含めまして連携を強めてまいりたいと考えております。
こういう考え方に基づきまして、今御審議いただいております令和七年度予算案におきましては、浄化槽の設置への補助、これに加えまして、これが新しいのでございますが、下水道管の撤去などへの支援というものも可能としたところでございます。そういうような予算も含んでおりまして今御審議を賜っておるわけでございますが、下水道から浄化槽への転換も含めまして、地方公共団体が持続可能な、そして最適な種類が選択できますように、国として支援のメニューというものを整えてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

是非、老朽化したものの取替えのタイミングなども含めて、今おっしゃった方針も全国的にまた、国のリーダーシップでまた展開をしていただきたいというふうに思います。
次に、ちょっと話題を変えまして、今やはり現役世代、若い世代の声をというところが非常に重要だと思います。
私は毎週、ユーストークという形で、十人ぐらいの今若い方とよく懇談をしているんですね。よく聞くのは、今まで夢を持って上京してきた、ただ、手元に残るものがやっぱり少ない、もう本当に心が折れそうになると、政治は何をしてくれるんですかという声が多くありました。負担を感じている一つは賃料、これは前回の予算委員会でも質問をさせていただいたんですけど、もう一つは社会保険料になります。
総理に伺いたいと思うんですけど、パネルを御覧いただきたいと思うんですが、資料でいうと二枚目になります。(資料提示)
こちら二年ほど前に私が主催して行った党内勉強会での資料の一部になるんですけど、社会保険負担率、社会保険料負担率、社会保険料拠出額を当初所得で割った数を二〇〇二年との比較でこれ見たものです。御案内の、これ青が二〇〇二年、赤が二〇一一年ですけど、ほとんどの所得層で三%から五%ぐらい負担率これ増えている。今後、介護とか健康保険料でも負担はやっぱり増えていくと思います。
保険というのは、この受益と負担のある意味関係性が、対応関係が明確になっているということが特色ですけど、負担感が余りにこれ増すと保険制度への信頼というのがこれ揺らいでしまうと。手取りを増やすとともに、この保険の理念を守るためにも、現役世代の社会保険料、これはやはり下げていくべきだと。
財源などは、例えば、私、消費税一〇%のうち、年金特例公債など国債の償還を含めたいわゆる社会保障の安定化に充てている一部を、社会保障の充実としてこの社会保険料の軽減に充てるべきだと考えているところでありますが、まず総理には、この若い世代、勤労世代に向けて、この高過ぎる社会保険料、これ下げるべきであるというふうに思いますが、総理の御所見を伺いたいと思います。

○内閣総理大臣(石破茂君)

これは当たり前の話でございますが、年金は積立方式を取っておりませんで、賦課方式を取っております以上、払う人がいっぱいいてもらう人が少なければ成り立ちますが、もらう人いっぱいいて払う人少ないということになると、これは子供が考えても成り立たないということになるわけで、これから先、高齢化社会、長寿社会というのは、それはすばらしいことだ。
しかしながら、少子化というのは本当に憂慮すべきことであるが、今急に出生率が上がったとしても、そういう方々が次の世代を産み育てる、これは早くても二十年後ということでございますから、人口構成はそんなに簡単に変わらぬということでございます。
そうすると、委員御指摘のように、現役世代の方の御負担をどうやって減らしていくかということを考えたときに、減らさねばならない、それはそうだと。じゃ、もらう方々の受給額を減らすかということになれば、今だって大変なのにどうしてくれるんだというお話になります。じゃ、もらう人の数を減らすなぞという言い方は気を付けて使わなければなりませんが、支給開始年齢を遅らせるのかということは本当にいいことなのかどうなのか。それでは、公費を入れるかというときに、それは保険の性質になじむのかというお話になってまいります。
現役世代の負担を減らさねばならない。それを実現するためにDXとかいろんな手法がございます。そういう手法を駆使しながら、もらう方々の受益も決して減らすことなく現役世代の負担を減らすということを、あらゆる政策を総動員してやっていかねばならないということだと思っております。これが利益相反にならないようにどのように設計していくかということで、私ども政府の中でも多くの議論がございますが、一番国民に身近なところにおられます委員の御意見も聞きながら、より良き制度というものを提案をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。

○矢倉克夫君

下げるべきだという、負担感が強いということは御認識をいただいたと思います。かつて年金の一部財源を保険料から税に変えたということもあります。そういうことも参考にしながら、いかに、まさに分かち合いをつくっていくかということは、また改めて議論をしていきたいと思います。
同じユーストークでまた同じ議論がありましたが、もう一つ多かったのが選択的夫婦別姓なんです。もっと知りたいという声が、特に若い女性から多かったです。これ、選択的夫婦別姓、今は婚姻したら夫婦どちらかが必ず、まあ同じ名字だったという偶然あり得るかもしれませんけど、基本は、必ずどちらかが氏、現在でいえば名字と一体化しておりますが、これを変えていくのが今夫婦同氏で、選択的夫婦別姓は、これまでと同じように氏はどちらかが変えてもいい、一方で、夫婦どちらとも氏、これを変えなくてもいい、つまり、二人とも生まれたときのままの氏名で位置付けることができる、そういう選択をできるという制度になります。
これまで夫婦のどちらかが結婚のときには、例えば銀行だったりクレジットカードだったりの名義を変えなきゃいけなかったりとか、あとは、そもそも生まれながらの氏名が変わることでアイデンティティーの喪失を感じる方もいらっしゃる。こういうことがない、これからの結婚する世代にとっても選択肢を広げるという制度になると思います。
これに対する御批判が、子供虐待であるということにあります。親と子が強制的に別氏になるからと。実は日本には親と子の氏が違う方も多いです。離婚された御家庭なども典型ですけど、国際結婚などでそれぞれ違うのも四十万人ぐらいいらっしゃるというふうに聞いています。あと、夫婦双方これ氏を変えたくないということで、婚姻届を提出されずにあえて事実婚を選択されている方も多い。確認はしていませんけど、数十万人いらっしゃるということもありました。
実は先日、この事実婚夫婦のお子さん、二十代からもう三十代ぐらい、いろいろもう社会で本当に活躍されています、まあ弁護士であったり公務員であったり。五名の方とオンラインで意見交換をしたんですけど、例えば親子のきずなというのは親子間の対話であったり愛情で決まるんだと、氏が違うだけで何か虐待というふうに言われているのは、こういうふうに周りが言われるのは屈辱感を感じるというようなことも言っている子もおりました。子なんて、もう二十代以上ですけど。
その上で、特に私の心に刺さったのは、むしろかわいそうなのは本当に愛する両親。愛する両親が何で法律上の婚姻として認められないのかということが悲しいというふうに声がありました。いろいろ聞いていると、本当に子供虐待という言葉とは真逆の強い親子のきずなを私は見させて、改めていたわけでありますが、改めて、一方、当事者の気持ちが置き去りになったまま議論していくということは非常によくないし、もっとそういう声がしっかり拾い上げられるような議論をしなければいけないと思います。
総理には、まずこの両親の婚姻関係を法律婚と認めてほしいという声も含めた事実婚の親の子を持つお子さんの声、どういうふうにお考えになっているかということと、機会があれば是非直接聞く機会なども考えていただきたいと思いますが、総理の答弁を求めたいと思います。

○内閣総理大臣(石破茂君)

選択的夫婦別氏、私ども別氏制度と申しておりますが、氏を含む氏名は個人のアイデンティティーに関わるものだと、夫婦同氏制度が婚姻の障害となっている可能性があると、夫婦、親子の氏が違っても夫婦を中心とする家族の一体感、きずなには影響がないと、もう様々な御意見があります。今、矢倉委員御指摘のように、愛する両親が法律上の婚姻と認められていないことは悲しいなというお声もございます。
私自身、総理大臣になる前でございますが、実際に事実婚の方のお話も承りました。お子さんはまだちっちゃかったので、お子さんの御意見は承れませんでしたが、結局、事実婚しかできないんだということをどう考えるか、その法的な地位をどう考えるかというお話は更に緻密にしていきたいと思っております、私の理解が足りないのかもしれませんが。ここにおいて、事実婚であるということで親子のきずな、あるいはこの将来的な生活の安定、法的な地位の確保というものがどのように図られるのかということも併せて考えていかねばならないことだと思っております。
いずれにいたしましても、現行制度の維持、旧姓の通称使用の法制化を希望されておる方々もおられるわけで、こういう方々が家族の一体感、子供への影響などの観点から御家族の間で氏が異なり得る制度に懸念を持たれているということもまた事実として受け止めねばなりません。もうこれで全ての人が満足するという解はないんだろうと思っております。
そうしますと、どうすればそういう方々、不便を感じる方々が少なくて済むかということも考えていかねばならぬことでございますが、軽々に結論を申し上げることはいたしませんが、ベストの解、全ての方が納得される解がない以上、どうすればそういう不便を感ずる方が最小限で済み、デメリットというものが解消できるかということについて更なる御見解を賜りたいと思っております。

○矢倉克夫君

いろんな御意見がある、いろんな環境の方がいる、けど、そういう方々、全ての人が最大限満足できるような両立し得る道を探るというのが私は政治だと思います。これは、こちらの結論だったら必ずこうなるというような議論だけで、事実とはまた違うような議論になってしまうことは良くないなと。
ちょっとその観点でもう一個だけ申し上げたいのが、戸籍制度が壊れる、あと子供の氏が決まらない事態になるという声もあるんですね。これ、私、日本の戸籍制度というのはすばらしいものだと思っています、本当に。身分関係が一覧性できている、ある意味機能としてもすばらしいもの。そして、戸籍という中で、親子、この関係性が、一体がもう全部含まれている、ある意味家族がそこに入っている、これは絶対に守らなければいけないものだというふうに思います。
ただ一方で、じゃ、別姓イコールすぐ戸籍が壊れてしまうのかという、これもまたちょっと議論が単純化過ぎてしまっているんじゃないかというところはあって、いかにこの二つを、戸籍も守り家族の一体感も守りつつ、この当事者の人の意見も聞くか、この両立をいかに図るかというこの悩みが私は政治だと思っているところなんです。
またパネルを御覧いただきたいと思うんですが、もうこれは平成八年の法制審の案と現行法の比較になります。この法制審の案と戸籍が両立し得るというのは、もう法務委員会でも議論もしているので詳細は申し上げないんですけど、子の氏は夫婦の婚姻時に、これは夫婦の一方が、夫婦の一方のどちらかの氏を子の氏にするか、これ決めないといけない。その上で、子の氏と同一の氏を持つ親の氏が、親がこの戸籍の筆頭者となるという形になります。
その上で、資料四もこれ見ていただくと、法制審の案での戸籍の姿と現行案の案ですけど、これ、戸籍の筆頭者も決まって、それをインデックス代わりにして、家族単位の戸籍というのもしっかりとこれは維持されている、非常に知恵を持った案だというふうに思います。
総理に、今日、今お伺いしたいのは、総理もこの二者択一ではないというふうにおっしゃっています。戸籍の問題も同じだと思います。その上で、少数かもしれない声も守りつつ、多くが懸念する戸籍制度、こういうものも両方ともしっかり守っていく、この両立の道を探るのが政治の道であると思います。この点についての総理の御決意というかお考えを改めて伺うとともに、これを協議する与党協議の場というものも是非引き続きリーダーシップを持って進めていただきたいと思いますが、総理の御答弁をいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(石破茂君)

この件については我が党内で真摯な議論が続けられておるところでございますが、与党で協議をする場というものは、党として判断をいたしますが、私自身、非常に有益なものだというふうに考えておるところでございます。
戸籍制度については、一方において厳しい御意見もまた存在をしておるわけでございますが、委員おっしゃいますように、この戸籍制度のすばらしさというものを残していきながら、子供たちの、むしろ子供たちの方に重点を置いて考えなければいけないのかもしれませんが、子供たちの人権というものをどのようにして尊重していくか、守っていくかということ、そして、法的な安定性というものをいかに確保するか。
今のところ、その九割以上、九十数%でしたか、女性の方が姓を変えられるという現状に鑑みて、では、どうして女性の方々の、もちろん男性も同じことで、理屈は一緒でございますが、法的地位の安定性を保っていくか、維持していくかということも併せて解を出していきたい。その意味でも、与党協議というのは非常に有益なものだと考えておるところでございます。

○矢倉克夫君

是非引き続き、やはり一歩一歩合意形成を図っていく、その要にも我々公明党もしっかり入っていきたいと思います。選択肢が広がる社会という未来図を是非共有しながら議論を加速していきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
またちょっと視点を変えまして、今度はちょっと農業の関係になるんですが、同じように、いろいろ農業者の人とも私も話も伺っております。私の地元埼玉県は農業県でもございます。また、首都圏の食料庫でもある。先日も、埼玉の十人ほどの青年農家の方ともお話もしました。お米から野菜、花卉など本当に多種多様ですけど、皆さん高品質な生産物を一年間安定して都市部に供給されていらっしゃいます。
一方で、これ都市近郊農業になりますけど、やはり商業地や宅地と、都市農業ではなく都市近郊農業ですけど、商業地や宅地と共存している部分だけ広範囲での展開というのが限界がやっぱりあってしまうんですね。ただ、こういう都市近郊農業、そこで頑張っている個人の経営の生産主体、こういう方をいかに支援をしていくかというのが食料安全保障上も、都市の食料を守る上でもやはり重要だと思うんですが、例えば産地アップ事業などは面積要件などが、これ資料五にもありますように、あり、やはりこういう都市近郊農業というものに対してどこまで政府が視点を持っているのかというところは声もあったところであります。
総理に、まず、こういう都市近郊に近い中規模優良個人経営者への支援、それを問うとともに、産地アップのこの面積要件緩和については農林水産大臣に端的にお答えいただくことができればと思います。

○内閣総理大臣(石破茂君)

後段の御質問は農林水産大臣が答弁をさせていただきます。
私、さあ何年ぐらい前だったかしら、三十年以上前ですが、農地の宅地並み課税という議論がございました。そのときに随分議論をしたことでございますが、都市近郊農業の意味というのは、今委員が御指摘のように、新鮮な農産物を都市に届けるということが一つ。そしてまた、きちんと緑というものを確保するということが二つ目。三つ目は、いざというときに、農地というのは結構広大なスペースでございますから、避難の場所としても非常に有益だというような、都市農業というものでなければ持ち得ない、そういう特色があるということはよく承知をいたしておるところでございます。
そういうような都市農業の果たしている役割というものを正当に評価をしながら、土地の利用の在り方も含めまして、私どもとして都市農業というものを支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
御地元でいろんな野菜を中心とした農産物がございます。冒頭委員が御指摘になりました八潮にしてみると、これコマツナの産地でございますから、コマツナカレーでありますとかコマツナ煎餅だったかもしれません、いろんなものがございますので、そういうような本当に都市ならではの農産品、新鮮な農産品というもの、価値というもの、私はこれから先も変わらないと思っておるところでございます。

○国務大臣(江藤拓君)

お答えさせていただきます。
先ほど個人経営の方が支えていらっしゃるという御指摘をいただきましたが、やはり様々な農機具等の高騰を考えると、複数でやっぱり経営していくことの有効性というのはやっぱりあるんだろうと思います。
ですから、産地生産基盤パワーアップ事業につきましては、協働で所有、使用すること、これは経営上のメリットありますから、それを考えていただいて、一定のまとまりのある産地ごとに計画策定をしていただいて、下限面積を設けているところでございます。面積はありますが、都市近郊農業につきましては、通常ではこれ十ヘクタール以上という要件を設けておりますけれども、都市農業においては二ヘクタールというふうに五分の一に面積要件を緩和してございますので、是非御利用いただきたいと思います。

○矢倉克夫君

今の、まさに大臣がおっしゃっていただいた軽減、私も現地の人に説明を事前にしたら結構知らない方も多かったので、是非それは周知徹底していただきたいと。あわせて、都市近郊農業、八潮はまた枝豆も有名であります。これもまた是非、総理、いつか御賞味いただければと思います。
もう一点、最後、恐縮です、総理に、この米です。
端的に、今、政府米、備蓄米の放出が決まりましたけど、流通の目詰まりをなくすということが目的で、結果として今期待もしているわけでありますけど、これについて、仮に、やっぱり急激な価格上昇があると個人消費を冷やして経済全体にも影響が大きい。これ、農水省だけではなく政府全体として、これ引き続き、この備蓄米を放出した影響も、結果も見つつ、全体として価格の安定をしていくということを最後、総理に答弁をいただきたいというふうに思います。

○内閣総理大臣(石破茂君)

江藤大臣の判断によりまして備蓄米の放出というものが始まったわけで、実際に本当に下がるのかということはこれから先よく注視をしてまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、米は価格弾力性が低いので、高くなっても消費者の方が買っていただけるというところがございますが、そういうものに甘んじては決していかぬのであって、いかにしておいしくて手に入りやすい米というものを維持していくかというのは農政の最大の課題であると承知をいたしております。そういたしますと、これから先、もちろん備蓄米というものの使い方はいろいろ議論のあるところでございますが、これから先やはり、ぎりぎりでいくのではなくて、米の生産というものを増やしていく、あるいは輸出というものを視野に入れて食料の安全保障を考えていく、米政策全体についてもう一度議論が必要だという認識を私は強く持っておるところでございます。
いずれにいたしましても、消費者の方々が安定した価格で、むしろ安い価格で買っていただける、そして米農家の方、特に一生懸命作っておられる中核的農家の方々の再生産というものを可能にするということを併せて実現をしてまいります。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
最後、中野大臣、トラック運送業の価格転嫁、是非進めていただきたい。また、三原大臣、申し訳ありませんでした、地域区分、保育の環境、地域区分の格差、是正していただいているリーダーシップに感謝をして、引き続きお願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございます。

217回 法務委員会

2025-03-13 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
大臣始め各位お疲れさまです。ありがとうございます。また委員各位の皆様もありがとうございます。
今日は所信に対する質疑でございますので、大臣所信にのっとって質疑をしていきたいと思います。
まず、大臣、所信伺って、出入国及び外国人の方々の在留ということについて、公正な管理、こちらを安定感を持ってというふうに冒頭でおっしゃっておりました。じゃ、この安定感というもののためには、どういう体制で、どういうまた今後の運用の改善等も含めて必要なのかという点で幾つか伺いたいんですが、まず、事実関係として、この外国人の入国者数及び在留外国人数、これを十五年前である二〇一〇年、平成二十二年と比較した場合の増加率、どれぐらいになっているのか、伺いたいと思います。

○政府参考人(杉山徳明君)

最新の公表数値で申し上げますと、外国人の入国者数については、平成二十二年は九百四十四万三千六百九十六人であるのに対し、令和六年は速報値で三千六百七十七万九千九百七十六人となっておりまして、増加率は二八九・五%、約三・九倍となっております。
また、在留外国人数につきましては、平成二十二年末時点で二百八万七千二百六十一人であるのに対し、令和六年六月末現在で三百五十八万八千九百五十六人でありまして、増加率は七一・九%、約一・七倍となっております。

○矢倉克夫君

それだけ増えていると。それに合わせてですが、じゃ、例えば入管の職員の方が今どれくらい増えているのか、これについては、私も改めて事前に聞いておりましたけれども、二〇一〇年のときに比べると、今、令和六年では大体一・七倍ぐらいしか増えていない。入国警備官はほとんど増えていない。入国審査官の方も倍ぐらいしか増えていないという形になる。今の、いろいろ業務が相当、特に入国の管理等も含めて相当増えている中で、やはりかなり増えている業務が、という状況に関する改善というのはやはり必要だというふうに思います。
前回の質疑のときにも、財務大臣政務官も来ていただいて、この法務行政というのは国の根幹を担う大事な重要な部分であるという認識の下でのしっかりした対策も取るということも答弁もいただいたわけでありますので、まず、要望として改めて、大臣、この入管に関する職員の増加ということは、今後も引き続き強く働きかけをしていきたいというふうに思います。よろしくお願いを申し上げます。
その上で、今難民の入国審査官が二倍ぐらいになっているというふうに伺ったところですけど、じゃ、一方で、難民申請数が、今言った二〇一〇年と比較した場合、今どれくらいになっているのかを伺いたいと思います。

○政府参考人(杉山徳明君)

最新の公表数値であります令和五年の難民認定審査数は一万三千八百二十三人であり、平成二十二年の千二百二人から約十一倍に増加しているところでございます。

○矢倉克夫君

もう十一倍ということで、職員数、全体の職員数は一・七倍しか増えていない、入管の管理官も二倍しか増えていないのに職員数はそれだけ増えていると、あっ、申請数はそれだけ増えているということになります。
今、十五年前の、平成十年のときとの比較をあえてしたわけでありますが、なぜこの平成十年かと申し上げると、このとき、失礼、平成二十二年というふうに申し上げると、このときに難民認定申請から六か月経過後に一律に就労を認める運用がこれ開始をされて、激増したわけですよね、難民申請が。その後、平成二十九年、三十年という形で運用を改めて、若干減りはしているわけでありますが、当時、二〇一〇年のときには申請が千人台であったのが、今は、今もおっしゃっていただいたように一万、多いときには二万近くになっていたということになります。
これについて、やはり安定的な難民の受入れのためにはどうすればいいか。当然、審査期間が、今も、前回の質疑のときにも出たように、二〇一五年のときには審査期間が大体七・三月だったものが、一次審査の場合、昨年は二十六・六月だというふうに聞いております。この状態を放置したままですと、どんどんどんどん審査期間も延びてしまう。やはり、より難民として保護されるべき人を保護すべきための難民申請の対処というのができなくなる。
どうすればいいかといえば、やはりまずは人数を増やす、また、申請数そのものを何とか絞るということもあるかもしれませんが、やはり申請に対しての審査を効率化、合理化もしていくというようなことも重要であると思います。
そのためにどういうやり方もあるかというところでありますけど、今日は資料もお配りもしております。今、一枚目、二枚目の方で、事前にこの審査の、強弱というわけではありませんけど、しっかりした情報を仕入れた上で、やはり区分けをしていくということは大事だと思うんですよね。その区分けの在り方として、AからDまで分けている。Aが難民である可能性が高いと思われる案件云々、Bは難民条約上の迫害に明らかに該当しない事情を主張している案件、Cは再申請、Dそれ以外ということです。
一つ気になったのが一枚目の、一枚目、これは令和五年ですけど、令和五年の方だと、B案件というのが総数に占める割合は〇・八だったんですが、二枚目の方は、これ平成三十年になります、資料としては三十一年ですけど、そのときはB案件というのは一七・四%。当時あれだけ該当しないというふうに思われていたものがこれだけ急に減るということは、これは私の意見ですけど、例えばいろんな関係の機関なども入っていって、この難民申請が通りやすいというか、本来の申請の意図とは違う形で、申請の仕方も変えていき、B案件を下げるような案件というのもやはり増えてきたのではないかというふうに推測もするところであります。
一つの区分けの仕方として、より合理的に本来難民として受け入れられる人をしっかりしたその審査に集中するためには、この区分けの在り方というのも更に精度を上げていく必要はあるかというふうに思います。
こういう観点から、どのように入管庁としても対応をしていくのか、答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(杉山徳明君)

委員御指摘いただきましたとおり、我が国の難民認定制度におきましては、難民である可能性が高い申請者等の迅速な保護及び濫用、誤用的な申請の抑制を目的といたしまして、申請の段階で案件の振り分けを行い、振り分け結果に応じて迅速処理の対象とする等の措置をとっているところでございます。
もっとも、振り分けは個々の申請書の記載内容等を踏まえて行った結果でございまして、濫用、誤用的な申請を含め、案件の適切な振り分けを行うことが重要であると考えております。そのためには、申請書の記載内容に加えまして、申請者の国籍に応じた出身国情報を踏まえて判断する必要があり、出身国情報の充実に努めながら適切に振り分けを行っており、またこれを行ってまいりたいと考えているところでございます。

○矢倉克夫君

この難民申請を受け入れるに当たっては、当然、受け入れるべき者はしっかり受け入れつつ、他方で、例えばその国の出身国、そこで対応することが可能な申請者の方に対しては、やはりこの出身国がしっかり対応するというのも一つの原則であるというふうに思います。
要は、その出身国が本当に対応できるような状況にあるのか。紛争が起きているところとかであれば当然難民として受け入れる可能性は高くなる。そういうところはしっかりと選別するとともに、そうでない国、その国の統治機構がしっかりとある意味機能している、本来、いろいろ課題もある中ではあるけど、その課題はその国でしっかりと対応することができる国であれば、そこはまた区分けのところで配慮する必要はあるというふうに思います。
その上で、じゃ、大事なのは、申請をしている人のその出身国がそういう状況にあるのか、その申請をしている人の属性が、出身国としては問題ないけど、申請をしている人の属性がその出身国の内部事情の中で何か特段の事情があるのか、そういうことも含めた出身国情報がより精度が上がっていけばいくほど、今申し上げたA、B、C、Dのこの区分けというのはよりやりやすくなる。この精度を上げていくことが、やはり最終的な、最終的なこの審査期間の延長というか、長くなっていくという事情をなくしていって、本当に難民として受け入れる人をしっかりと受け入れるための在り方として必要だと思います。
改めて、この出身国情報、COIというふうに言われているというように理解しておりますけど、これの精度を上げていくにはどういうふうにすればいいのかということを入管庁からまた伺いたいと思います。

○政府参考人(杉山徳明君)

御指摘いただきましたとおり、適切に振り分けを行うためには出身国情報の充実が重要であると考えております。
入管庁におきましては、これまでも、外務省、UNHCR等の関係機関と適切に連携しながら、最新の情報を積極的に収集しております。さらに、難民を多数受け入れている諸外国の当局と出身国情報に関する情報交換等を積極的に行うなどの取組を通じて、出身国情報の一層の充実を図ることとしております。
その他、この点に関する人員体制の整備も重要であると考えており、令和六年度予算において、出身国情報の収集等を担当する課長補佐級ポスト二つが増設されたほか、当該業務に専従する職員七人が増員されているところでございます。
今後も、必要な体制整備に努めつつ、出身国情報の充実を図ってまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

今、人員の話もあったけど、やっぱりもっとこれ増やさなきゃいけないと思います。
あと、例えば外務省からもこの関係との情報を、より連携もいただきながらしっかり受ける、また、諸外国との様々な情報機関も含めたいろんな連携なども必要、こういう部分を、予算をしっかり増やしていくことで対応を強化していきたいというふうに思いますので、この点も大臣、よろしくお願いします。これは意見であります。
その上で、もう一つ、前回の、この外国人との共生という点でやはり大臣にお伺いしたいと思うんですが、申し上げた点は、やはり今、日本各地でいろんなあつれきというか、対立みたいのが起きて残念な状況になっております。差別感情が助長しないような国にするという意味合いで私申し上げたのは、やはり日本人と外国人が相互に信頼するためにはルールを守り合うということは非常に重要だと思っています。
今回、大臣も所信の方ではルールを守るということをおっしゃっていた。まあそれについて念頭に置かれているのは今言った入管法のような法規的なルールだと思いますが、一方で、今、一つまた課題になっているのは、私も今埼玉県ですけど、例えばいろんな地域の中でこの外国人の方がコミュニティーになってしまっている。そこで、騒音の問題であるとか、またトラックが非常に速いスピードで動いていく、危険だ、危ないと、たまにこうぶつかったりとかすることもある、壁とかに。そういうことに対してのコミュニケーションがなかなか取れない。
こういうような、その法規とはまた別、まあ法規にも関わるところもあるかもしれませんけど、地域で共生し合うために、お互い守り合うようなものは守り合うということの理解増進というものがないと、結局、双方が差別意識を持って対立し合うという形になり、本当の共生というのはやっぱり生まれないと思うんですよね。
これは、法務大臣、まさに共生社会の所管をされるという法務省の大臣としての決意、また政府の一員としての決意でありますが、これは入管庁も今頑張っています。いろんな共生するためにはこういう情報をという情報提供のところはあるんですけど、それ以上に、いろんな全省的な支援の枠組みも含めてでありますけど、お互いがルールを守り合うために外国人にもどうやって働きかけるかということも、もっとほかの省庁も巻き込んでやり取らなきゃいけないと思います。
こういう部分について、大臣としてどういうふうに進められるのかということを決意も含めて伺い申したいと思います。

○国務大臣(鈴木馨祐君)

今先生おっしゃいましたような外国人との共生をどう図っていくのか、実は、やっぱり、今、G7、日本以外の国では、かなりこの外国人の問題というのがまさに政治のトップイシューになっている状況があります。
私は、やはり日本は自由で開かれた社会であるべきだと、そう思っていますけれども、そういうことであるためにも、やはり厳しいところは厳しいことをしっかりやっていかないといけない。特に、受入れ側の日本のコミュニティー、社会というところとの摩擦というのはこれ極めて大きな問題になりかねませんから、そこはしっかりと対応していく必要があると思っています。
その意味では、ルールを守らない者については、国から出ていっていただく、そのルールというのは、当然これは法的なことであります。ただ、同時に、今おっしゃいましたように、共生していくためのルール、これはいろいろあると思います。それは、先ほどお触れになられましたけれども、例えばマナーであったりとかそういったことも含めてそうだと思いますし、例えば、私もよく耳にするのがごみ出しの問題とか、そういったところも含めて、やはりいろんな摩擦の原因になっています。
そういったことをどうしっかり分かってもらうのか、それはやはり共生していくためにも、回り回ってその方々がその地域の中で生きていくためにもこれ極めて大事な話ですから、そこをどうしっかりほかの関係省庁とも連携してやっていくのか、私どもとしても、こうしたガイドブックであったり、あるいはオリエンテーション動画といった形で今アプローチはしていますけれども、やはりまだまだ足りない。恐らくこれからもっとそういった問題は出てくると思います。
なので、そういったことをしっかり未然に防いでいくためにも、そこは、当然、これは市区町村ということもあると思いますし、ほかの様々な行政機関もあると思います。きちんとここは連携を図っていけるように、私としても努力をしていきたいと思っています。

○矢倉克夫君

今大臣おっしゃっていただいたような思い、全く共感するところでありますし、それを市区町村も巻き込んだ方針として、より徹底いただくような施策の在り方というのも是非、政府一体となって考えていただきたいというふうに思います。場合によっては、市区町村を支えながらということで。
では、ちょっと次の議題に行かせていただきたいと思います。
次に、大臣、所信の中でおっしゃった、先ほども議論になっていた別姓の関係です、夫婦別姓の関係。夫婦の氏について情報提供が重要というふうにありました。
これ、法制審が案を出して三十年近いんですね。この中の議論、長くいろいろ議論をしていたけど、いまだに混乱したような議論の論点になっている、これは法務省ももっと情報提供をしていただくべきだったというところあります。是非、これはしっかりやっていただきたいということも含めて、ちょっと整理の思いも込めて行きたいと思うんです。
情報提供の例えば例として、よく選択的夫婦別姓になると戸籍が壊れるということが議論としてあります。じゃ、そこで想定されている選択的夫婦別姓がなることでどういう戸籍になるのかというイメージが人ごとにばらばらであったりとかしています。そもそも戸籍制度というのはどういうものなのかということが国民の中で御理解をいただく努力はもっと必要だと思います。
その観点から、まずこの戸籍制度というのは何なのか、その特色などを含め、また、よくそのときに議論出るのは個人ごとの戸籍だというふうに言われています、韓国などが念頭に置かれていると思うんですが。その辺りの簡単な概略などをまずお伺いしたいと思います。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
現行の戸籍は、一組の夫婦及びこれと氏を同じくする子が編製単位とされておりまして、日本国民の出生、婚姻、死亡等の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿であり、真正な身分変動を登録し、公証する機能を有しております。また、入籍や除籍があるごとに戸籍を相互に関連付けるということによって、当該戸籍に記載されている各人の過去の身分関係の来歴を明らかにすることができるという特色がありまして、このような特色は本籍あるいは筆頭者によって戸籍を特定することによって発揮することができるようになっております。
委員御指摘の韓国でございますが、韓国におきましては、日本の戸籍制度に類似するような戸籍制度が実施をされていたのですが、二〇〇八年、平成二十年ですが、これを改めまして、個人別に身分登録情報を編製するという家族関係登録制度というものに移行しているものと承知をしております。この登録簿は、出生簿や婚姻簿、死亡簿が統合されたものでありまして、出生や婚姻、死亡等の身分関係の変動に加えて、家族関係の情報も登録、管理されているものと承知をしております。

○矢倉克夫君

私、この日本の戸籍制度というのは、非常に身分関係の一覧性も機能としてよくできている。この一つの戸籍の中で身分が、これ一体、一つの、身分とか全部、家族が全体が入っているわけなんですね。親と子という代で、それが一つの形の中に入っている非常に優れた制度であるというふうに思っております。ですので、これはしっかり守らなければいけない。
一方で、何か別姓の議論をすると、これが必ず壊れるみたいな議論になっているんですが、政治としては、そういう守るべき戸籍制度もしっかり守りながら、じゃ、別姓を選択される人のこの選択をどうやって尊重するか、これをどうやって両立するかということを悩む必要があると思うんです。今、そういう悩みを持ってみんなで議論できているか、いや、もっと議論をしなければいけないなと思います。
その上で、一つ、その悩みの解として、私、よくできているなと思っているのが実は法制審の案でして、法制審の案ですと、もう、資料四の方だと、当時の、今も法制審の方も、法制審、平成八年のときの案で、なると、戸籍がこうなりますみたいなことを書いております。
ちょっとこれなども参考にしながら、改めて法制審の案というのを参考にすると、じゃ、家族ごとの戸籍制度とこの別姓というのは両立し得るのかということをまずちょっと答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
平成八年の法制審議会の答申に基づく選択的夫婦別氏制度を導入した場合の戸籍の編製基準につきましては、一つの夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとにこれを編製するものとされております。また、婚姻の際に子供が称する氏として定めた氏を称する者を筆頭者にすることとされております。
したがいまして、平成八年答申を前提といたしますと、一組の夫婦及びその子が編製単位となるという点及び筆頭者の記載が維持される点において基本的な編製の在り方に変更はありませんで、戸籍の親族的身分関係を登録、公証し、その来歴を明らかにすることができるという機能が変わるものでないと考えております。

○矢倉克夫君

今おっしゃっていただいたように、戸籍、今、日本の戸籍というのは、筆頭者が決まって、この筆頭者がインデックス代わりになって、それが家族単位ごとで統合されるというのが家族ごとの戸籍の特色であると思います。
今御説明あったとおり、法制審の案、別姓を選択でき得る制度にしても、筆頭者というのは決まり、それの下で戸籍はしっかりと維持されるという、こういう制度設計に基づいていかに両立するかというのは非常に重要だと思います。
もう一つ、よく別姓で言われることは、子供の氏が決まらないことがあるんじゃないかというようなことは言われます。これは、改めてですけど、もう御案内のとおりの話かもしれませんが、資料三の方で法制審の案も記載もしております。婚姻時に夫婦どちらかの姓を子供の氏とするというふうに統一化するという話であります。
これをやることで子供の氏が決まらないという事態はないのではないかと思うんですけど、これも答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
平成八年の法制審議会の答申では、別氏夫婦の間に生まれた子は、夫婦が婚姻の際に子が称する氏として定めた父又は母の氏を称することとされております。
したがいまして、平成八年答申を前提といたしますと、別氏を選択した夫婦が子をもうけた場合に子の氏が直ちには決まらないといった事態が生じることはないと認識をしております。

○矢倉克夫君

この部分でも決まらないままということも、また、場合によったら決まらなければ裁判所ということもあったけど、裁判所が判断できるかというような問題もありました。こういう問題も解決できると。もうこれら一つ一つをしっかり解決していき、いかに選択肢を広げていくかということだと思います。
その上で、今、この別姓の議論で対立の一つに、対立軸ではないと私は思っているんですけど、通称の利用というところもあります。これは例えば、二者択一じゃないと思うんですよね、仮に別姓を選択して、同姓のままでいる方もいたら、通称も利用していくという選択肢も当然あり得る話だと思います。じゃ、通称利用を拡大したら別姓は一切駄目なのかというところは、またいろいろ論点整理をしなきゃいけないと思っています。
その上で、じゃ、日本におけるこの通称というのは、現行法制度における通称というのは、個人を特定する法律上担保のあるものとして認められているのかを答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
現行の民事基本法制におきまして、現在通称として使用されている旧姓は、民法の氏、民法上の氏とは異なるものであると考えております。

○矢倉克夫君

ごめんなさい。民法上の氏とは異なるということですかね。
戸籍上の氏とはどうですか。

○政府参考人(竹内努君)

現在使用されている通称は、社会的に通用している呼称ということでございますので、民法上の氏、まあ氏ではないということになります。

○矢倉克夫君

氏ではないとなると、例えば、法的な、一番個人を特定する法的な担保があるものということでは、戸籍の名称というのが民法上の氏、また戸籍上の氏ということで一致する場合もあると思うんですけど、そこが戸籍上の氏ということでいいという理解でよろしいですか。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
現在使用されている通称につきましては、法律上の根拠として特にあるものではございませんので、その意味で氏とは異なるという御説明になるかと思います。

○矢倉克夫君

分かりました。その法律上の氏ではない、法律上の根拠があるということではない、氏ではないということの理解でよろしいわけですよね。
それをどういう根拠を持たせていくかという議論はまたあり得る話だと思うんですけど、じゃ、その法律上の根拠、今、例えば、じゃ、公的に一番証明するに当たっての呼称というのは戸籍名という形になるという理解でよろしいわけですか。法的に一番担保されているもの。

○政府参考人(竹内努君)

個人の氏名を登録、公証するものとして日本にございますのは戸籍ということになるかと思います。

○矢倉克夫君

ですから、その戸籍、例えばパスポートは今ICチップには戸籍しか入れられなかったりする、また税とか、いろいろ支援金、支給金を受ける、またいろんな手続もまだ戸籍名のみしかできないという話にやっぱりなっていくと思います。
これについて、じゃ、どういうふうにこの呼称をしっかりと位置付けるかということは、この戸籍との関係性というのも整理しなければいけないところも論点としては出てくると思うんですけど、これはその理解でよろしいわけですか。これは民事局長にまた聞きたいと思います。

○政府参考人(竹内努君)

お答えいたします。
現在使われている通称を日本の法制の中でどう位置付けるかと、あるいは戸籍との関係をどう整理するかというところは問題点になろうかとは思います。

○矢倉克夫君

戸籍との関係をどう維持、まあ関係する、例えば、今、通称でも併記される場合もあります、今、戸籍上の正式な名称に併記をされている場合もある。また、場合によっては戸籍上の名称とはまた別の形で法的担保をという形になる。併記という形になると、やっぱり正式なものは戸籍名であったりしますから、その通称、併記されている、ある意味戸籍名に付けられている通称がどういう意味合いを持ってくるのか、ある意味副次的な意味合いで、全ての生活に戸籍と代替できるような機能を果たし得るのかというところは一つ問題になってくると思います。
じゃ、戸籍とまた別のもう一個の法的な名称として通称というのを使えるようになると、じゃ、戸籍との関係どうなるのか、世間一般で言われているダブルネームになってしまうのではないか、諸外国から見て、どちらが正しいものなのかということも分からなくなる、国内だけでも分からなくなる。
じゃ、こういう課題に対してどういうふうに対応していくのかということがはっきり見えていき、最終的に別姓というものをなくなっても大丈夫だという理解であれば別姓の選択肢は必要ないかもしれませんが、まだそこら辺、私よく見えないところは正直あります。それであれば、本来の旧姓を同じように手続変更なく戸籍姓にするということでいろんな課題に対処していくという必要もあるんじゃないかな。ここはいろんな議論があるというのは大臣おっしゃるとおりですけど、それはまた情報提供をいただきながら、しっかり論点整理をして議論をしていきたい。
ただ、何度も申し上げますけど、もう法制審の案が出て三十年近いんですね。やっぱりその間、今いろんな方がおっしゃっていて、議論が、じゃ、その間なかったか、議論はずっとしていたわけなんです。だけど、今言ったようないろんな複雑な部分の理解をもっと広めていただいて、世論喚起をもっとしていく必要がある。
あと、併せてもう一個言うと、やはりこれは多くの方にとっては、今もう関心としては低いというふうに言われる方もいるかもしれませんけど、これからの社会の在り方という面も含めて、婚姻の在り方もいろんな選択肢を広げていく、当然同姓のままで行く婚姻の在り方もそうですし、また、そうじゃない違う形の家族の在り方というのもつくっていく、選択肢をやっぱり広げていくということも、選択肢を広げていく問題だということで国民にもっと喚起をしていかなきゃいけないと思います。
じゃ、最後、ちょっと時間最後になってしまいましたけど、そういう選択肢を広げていく社会をいかにつくるかという議論であるということも世論に喚起しつつ、そのための国民議論を熟度を高めていく上では、私は、もっと今言ったような制度のところとかもちゃんと法務省も力を入れて、我々も力入れますけど、戸籍とは何なのかとか、通称とはどういうものなのか、諸外国のミドルネームと比べてどういう違いがあるのかとか、そういうことも含めて、より積極的に情報提供はしていかなきゃいけないと思います。
大臣、今回、情報提供とおっしゃったので、より国民の皆様に関心を持っていただく、その趣旨を込めて、ちゃんとした発信をもっとしていただきたいと思うんですけど、最後、大臣に答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(鈴木馨祐君)

極めて大事な議論の中で、例えば選択的夫婦別氏といったときに、恐らくそれが法制審案というのは一つ大きな案ではありますけれども、ほかにも幾つかあるのも事実で、そういったそのそれぞれの、これは通称の法制化ということもそうですよね。なので、やっぱりそういったところでいろんなそれぞれのまず課題の整理はしていかなくてはいけないんだろうと思います。
その上で、先ほど、この戸籍への影響というところで、法制審案の答申に基づいたこのサンプルというものがありましたけれども、こういったものもそうですし、あるいは、例えば、やはりパスポートの問題というのはかなりこれはクリティカルな問題として残るんだろうと思います。そこを解決できるような単記のリーガルネームというのは果たしてあり得るのか、起こし得るのか、しかも、ICAOであったり、あるいはテロを警戒しているような国がそれを受け入れるのか、そういったことも含めて、これふわっとした議論ではなくて、かちっとしたその制度論の議論もしていかなくては私はいけない時期だと思っています。
その観点から、国会での御議論をいただく、あるいは国民の間での御議論をいただくためにも、そうした情報提供を分かりやすく、しっかりと伝えていく。これ、理念ではなくて、やはりその具体の話としてどうしたら伝わりやすいようになるのか、そこのところは私どもとしてもしっかり検討をしていきたいと思いますし、そういった意味での情報提供をしっかりと進めていきたいと思います。

○委員長(若松謙維君)

時間過ぎております。

○矢倉克夫君

今、単記のリーガルネームはあり得るのかというお話、要はこの通称の拡大で今ある不都合を回避し得るのかというところ、これは、うちの党も今、私も今PTの座長をやらせていただいております、党でも議論もして、議論を深めているところです。これまで何回も議論もしておりました。
そういうことも踏まえた上で、じゃ、別姓の選択等、また、今まで守るべき戸籍とか、そういうのをちゃんと両立できる案としても、法制審の案というのは非常に参考になるというふうに思います。党としてもそれを参考にしつつ、今大臣にいろいろと発信をしてくれと申しましたけど、当然、我々の党としても議論を深めて、国民に対してしっかり訴えていき、結論としては選択肢がしっかり広がるような社会、これ全ての党派を超えた合意が形成できるような合意形成を図るためにも頑張りたいというふうに思います。
その点だけ申し上げて、質疑を終わります。ありがとうございます。

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