2021-06-01
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。総理、よろしくお願いします。
本法案の目的は、国民皆保険、社会保障、持続可能性の維持でありますが、そのために本法案が守ろうとしているのは、人と人がお互いつながり支え合う連帯の意識であると理解しています。言わば互助であり、総理の言うきずなにもつながるかもしれません。
お尋ねしたいのが、この人と人がお互いつながり支え合うために必要なソーシャルワーカーの役割、重要性であります。
この委員会でも私が取り上げた引きこもりや妊産婦の産後うつの問題に加えて、例えばネグレクトなど生きづらさを感じている人の課題というのは、専門家による相談窓口があって解決はできない。なぜならば、本当に困っている人というのは相談になど行けないからであります。しかも、そういった人の問題の背景は多様で、貧しさだったり家庭内外の人間関係だったり身体的な問題だったりするわけであります。
そこで、一人一人に率先して積極的にアプローチをして、その人が抱える問題を解きほぐして、課題を特定して、その解決に必要な組織や制度につないでいくために奔走する人、この福祉とか地域、接着剤としてつなげていくような役割を持って、生きづらさを抱えた人の環境ごと変えていけるような仕事が必要であり、それこそがソーシャルワーカーであるというふうに考えております。
この役割をきずなある社会のために重要と考えますが、総理の御認識をお伺いいたします。
○内閣総理大臣(菅義偉君)
御指摘いただいていますように、生きづらさを抱える方々の不安や課題に寄り添い、地域の中の様々な社会資源も活用しながら解決に向けて支援をつなげていくこと、これが地域社会におけるきずなの再構築という観点からも重要な課題であるというふうに思います。従来から、こうした役割は社会福祉士などのソーシャルワーカーの方々が担われてきている、こういうことも承知をしています。
昨今の八〇五〇問題や介護と育児のダブルケアなど世帯の抱える課題が複雑化、複合化する中で、こうした役割というのはますます重要になってきているというふうに認識しています。ソーシャルワーカーの方々が活動しやすい環境整備を進めることが重要であると考えております。
政府として、昨年の法改正によって、市町村が中心となって、地域住民の多様な課題に対処するための包括的な相談支援体制の構築だとか地域住民が交流する場、場づくり、こうしたことを進めております。
こうした取組の中で、ソーシャルワーカーの方やそうした皆さんの経験、知見、積極的に生かしていただいて、我が国の古くからの伝統である地域の連帯だとかきずな、そうしたものを再構築していくことができればというふうに思います。
○矢倉克夫君
今、総理から地域という話がありました。この重要な役割を担うソーシャルワーカーも、やっぱり知らない土地や知らない家庭に踏み込むことはできないわけですね。ソーシャルワーカー単独では、例えば不登校の問題考えるにしても、背景に何があるか、貧困かネグレクトかよく分からない。やはりその地域の人たちとの連携が不可欠であります。
私が今イメージしているのは、その地域の担い手としては世話好きな隣近所の普通の方、そういう担い手がいる社会、地域で共に生きる仲間として男女問わずお互いが支え合う、言わば互助機能のあるコミュニティー、地域社会と言えます。例えば、地域包括ケアシステムを考えるだけでも、システムだけではなくて、こういう地域の姿がなければ、イメージする本来の役割というのは果たせないと思います。
総理に最後お伺いしたいのが、そういった互助機能のあるコミュニティーを再生、再構築するために政府は何をすべきとお考えか。私は、最低限すべきなのは、一人一人が平日の夜は家庭と過ごし、週末は趣味や地域での活動に充てることができる、余裕ある生活を送ることができるような広い意味での社会保障整備が政府がやるべきことであるというふうに思っております。
最後に、この弱体化している互助機能の構築のため、言わばきずなの再構築のための政府の役割について総理にお伺いをいたします。
○内閣総理大臣(菅義偉君)
単身世帯の増加だとか、あるいは地域のつながりの希薄化など、家庭や地域の生活領域における支え合い、互助の力というものが弱まってきているというふうに思います。
私自身、きずなのある社会の実現を目指しており、多様なつながりの中でお互いに支え合いながら生きていく、こうしたことができる社会を構築していくことが極めて重要だと認識をいたしております。そのためには、今御指摘いただきましたように、個性や多様性が尊重されるとともに、国民一人一人が安心をして過ごせるような社会保障制度をつくっていく、このことが大事だというふうに思います。
あわせて、政府としては、自治体における包括的な支援体制の構築を促進をし、地域の相談を包括的に受け止める場所だとか、あるいは多様な地域住民が交流する場所の確保、こうしたことを進めているところであります。こうした取組によって地域における互助機能の再構築を進めて、きずなのある社会の実現、こうしたものをしっかりと図っていきたい、このように思います。
○矢倉克夫君
一人一人の自立、自助をこれ可能にするには、自己責任の強調ではやはり難しいと。支え合う基盤があって初めて自助というのは可能である。その基盤づくりについてやはり政治は大きな役割を持っている。この点を強調して、質問に代えたいと思います。
ありがとうございます。