党青年委 政策立案に向け勉強会

2020-07-09 ニュース

識者の講演要旨

公明党青年委員会(委員長=矢倉克夫参院議員)はこのほど、政策立案に向けて党新産業委員会(委員長=同)や党2040年委員会(委員長=石田祝稔政務調査会長)と合同会議を開き、識者の講演を聞きました。その要旨を紹介します。

コロナ時代の働き方
慶応義塾大学大学院商学研究科教授 鶴光太郎氏

生産性高めるテレワーク
テクノロジー活用し改革推進

今回のコロナ禍で、IT(情報技術)など新たなテクノロジーの活用の遅れが明らかになっている。オンラインによる授業や診療などは、本当はもっと前から導入しておくべきだった。

今こそ、ITが人々の暮らしを良い方向に導く変革であるデジタルトランスフォーメーションを進める好機とするべきだ。

私はテレワークについて、従業員が働く場所を選べることにより、創造性や生産性を高める手段として位置付けるべきだと考えている。調査では、子育てや介護の負担軽減よりも生産性や効率性の向上を利点として挙げる人が多い。オフィスの外での仕事が多い営業などは、オフィスに戻るという部分をなくすことで業務の効率化や労働時間の短縮ができる。

テレワークはかつて、情報共有や上司による評価が難しいという見方があったが、オンライン会議システムなど、新たなテクノロジーがほぼ解決している。表情や雰囲気など、言語化できない情報はこれまで、対面でないと得られないとされてきた。しかし、最近は画質も良く、表情もよく分かる。情報の共有や伝達を人力で行う対面主義や、皆同じ場所で時間を共有し、共通の目標をめざす大部屋主義の利点が、これまであまりにも強調されすぎたのではないだろうか。

多様で柔軟な働き方をめざす働き方改革は、新たなテクノロジーの活用と同時に進めることが重要であり、テレワークはその「一丁目一番地」だ。先進的な取り組みをしている企業ほどテレワークに積極的で、全従業員が利用できるなど工夫している。企業の先進性はテレワークへの対応を見れば分かる。いわば「リトマス試験紙」だ。

テレワークにより、地方に移住しながら大都市圏の企業で働くことも可能だ。反対に、大都市圏の従業員が副業・兼業で地方の企業に勤めることもできる。地方創生につながるとともに、生活に対する価値観そのものを大きく変える可能性を持っている。

これからの社会保障
慶応義塾大学経済学部教授 井手英策氏

「弱者の再定義」が必要
教育、医療など税で無償化を

平成以降、共働き世帯が約6割増えた。しかし、勤労者世帯の収入はピークだった1997年の水準に届いていない。世帯収入300万円未満の世帯が全体の31%、400万円未満の世帯が全体の45%を占める。

年収が400万円であれば、手取り収入は340万円ぐらいだ。それで子どもを大学に行かせ、家を買い、老後は安心だとは、言えないだろう。ならば「暮らしはしんどい」と認めてもいいと思う。しかし現実には、内閣府の調査で自分の暮らしぶりが「下」だと答える人は4%しかおらず、93%は「中」と回答する。

結婚、子ども、持ち家を諦め、ようやく人並みの暮らしができ、「中流」にいると信じたい人たちが多くいる。そこで今、必要なのは「弱者の再定義」だ。もはや「弱者」は働けない人や一部の低所得層を指すのではない。中間層を含めた多くの人たちが困っているという前提に立つべきだ。

そこで提案しているのが、教育、医療、介護、障がい者福祉を全ての人に無償で提供するベーシック・サービスだ。消費税を6%引き上げれば、サービスの無償化が可能だ。「大増税だ」と言う人がいるかもしれないが、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均ぐらいにしかならない。

消費税の逆進性を指摘する声があるが、取ったお金をどう使うかを議論すべきだ。消費税は高所得者の方がたくさん払っている。このお金を等しくサービスで配れば、格差は必ず小さくなる。公明党は消費税率を引き上げるとともに、幼児教育・保育の無償化、大学授業料の負担軽減を実現させた。格差を縮小させるパッケージであり、見事だ。

一部の人だけを助ければ、みんなが幸せになる時代はもう終わった。公明党が提案した軽減税率や10万円一律給付を国民が支持したのは、中間層を含めたみんなが受益者になるからだ。今後は、この方向性をさらに進め、税の負担を皆で分かち合い、分け隔てなく「サービス」を提供することで、「弱者を救済する」社会から「弱者を生まない」社会に転換してほしい。

メールマガジン
メールマガジン
矢倉かつおNEWS
矢倉かつおNEWS
国会議事録
私の国会質問
矢倉かつおCHANNEL
矢倉かつおCHANNEL