211回 国土交通委員会

2023-05-30 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
早速、今日の議題であります道路整備特別措置法等改正案、質問入らせていただきたいと思います。
こちらの改正案、平成26年の法改正における審議では、これ以上更新事業は出ないというふうに説明されていたというふうに私は理解をしているところでありますが、今回新たに更新事業が発生したわけであります。まず、この理由について国土交通省にお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
平成17年の民営化当時は、更新の必要性は認識していなかったものの、更新が必要な具体的な箇所が明らかではなかったため、更新は計画に見込んでおりませんでした。
その後、平成24年の笹子トンネルの天井板崩落事故を契機として、メンテナンスの重要性が再認識されるとともに、高速道の供用から約50年が経過し、更新が必要な具体の箇所が顕在化してきたことを踏まえまして、平成26年の法改正で料金徴収期間を15年延長いたしまして、更新に着手したところでございます。
平成26年の7月には、改正道路法施行規則が施行されまして、必要な技術を要する者が近接目視により5年に一回の頻度で点検を行うことを基本とする法定点検を開始いたしました。この法定点検においては、構造物内の直接目視が困難な部分については、ファイバースコープあるいは非破壊検査などを活用し、また、人による点検が困難な箇所につきましては、ドローンや点検ロボットなど順次新しい技術を活用してきたところでございます。
このように、新技術も活用し、より詳細な点検を行ったことによりまして、新たに更新が必要な箇所が判明したものでございます。

○矢倉克夫君

新たな技術により、当時分からなかったものが分かるようになったというような答弁だったと理解もしております。
それで、平成26年の法改正のときは必要な需要、更新、進化に対応する部分のみ料金徴収期間を延長する法案にしていたわけでありますが、今回そういうふうにしなかった理由はなぜなのか、また、事業を追加して、料金徴収期間を延長するために追加した事業の適切さをチェックすべきと考えますが、これに対してはどのように対応するのか、答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

最初に、先ほど冒頭に、民営化当時は更新の必要性、認識していなかったと言いましたが、認識をしていたとの言い間違えでございます。失礼いたしました。
それでは、問いの方の答えをさせていただきます。
平成26年の法改正においては、その当時明らかとなった更新需要に対応するため、料金徴収期限を15年延長し、更新に着手しましたが、その後開始した法定点検によりまして、新技術なども活用しつつ、より詳細な点検を行ったことにより、新たに更新が必要な箇所が判明したところでございます。このような状況を踏まえますと、新たに更新が必要になった箇所と同じ構造、基準の箇所については今後更新が必要となる蓋然性が高いと考えております。
このため、今般の改正法案につきましては、蓋然性の高い箇所の更新財源も確保できるよう、料金の徴収期限を現行の2065年から50年延長いたしまして、2115年に設定したものでございます。
その上で、今後の法定点検によって明らかとなる更新需要などに応じ、逐次料金徴収期間を延長する制度とし、確実に更新需要などに対応できる仕組みとしたところでございます。
また、これまで更新需要、事業や進化事業の一つである四車線化、この事業を追加する際には、損傷の状況、また渋滞の状況などの客観的な事実、また指標を基に有識者委員会において事業内容について御審議いただくとともに、事業許可の情報などをホームページに公表しているところでございます。
今後とも、更新事業、また進化事業を追加する際には、これまでと同様に客観性、透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

将来に向けた更新財源確保も図るように国民利益を考えてという理解であったと思いますが、事業のチェックはしっかり引き続きやっていただきたいと思います。
その上で、料金徴収期限を2115年とこれ設定した理由、根拠は何であるのか、現在整備している道路についても更新の対象となるのか、併せて答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
道路は、国民共有の財産で極めて公共性が高く、無料公開が原則であることを踏まえ、有料道路制度は債務完済後には無料公開する仕組みとなっております。
平成17年の道路関係公団の民営化時におきましては、債務の確実な返済、また道路建設への歯止めの観点から、料金の徴収期限を法定化いたしました。また、平成26年の法改正における附帯決議におきまして、有料化、永久有料化すべきという御意見と、無料化すべきという御意見の両方の御意見がございました。
このような状況を踏まえまして、今般の改正法案におきましては、現行法を踏襲し、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所の更新財源も考慮しつつ、従来と同様に料金の徴収期限を設定したものでございます。
また、現在の橋梁設計基準では、橋梁が性能を発揮することを期待する期間、これを100年としているなど、現在整備されている道路につきましては長期の健全性が確保されると考えております。

○矢倉克夫君

ちょっと更問いであれなんですけど、今の答弁を、私の理解として、現在の基準で造られたものは現時点では料金徴収による更新を想定されないが、古い基準、構造に基づくもののうち、更新を、コストを算定した上で最大限考慮した場合の徴収期限が2115年というふうに理解をしたんですけど、それでよろしいでしょうか。

○政府参考人(丹羽克彦君)

そのとおり、概念としてはそのとおりになっております。

○矢倉克夫君

じゃ、債務を完済し、設定した期限内にこの料金徴収を終えた後、高速道路は無料になるということを前提に今されているというふうに答弁も理解もしたんですけど、その後の維持管理などに要する費用、これいずれにしろ掛かるわけであります。これらは費用はどなたが負担をするのか、これについての答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
債務の完済後においては、高速道路の本来道路管理者である国又は地方公共団体が税によって維持管理などを行うこととしております。なお、維持管理、また修繕は永続的に必要なため、道路交通を取り巻く環境の変化などを見据えながら、有識者などの意見を丁寧にお伺いしつつ、将来の有料道路制度について引き続き議論してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

今の答弁をお伺いして、料金徴収がないという意味では無料と言えますけど、やはり税という形で国民よりお金を集める必要性はあるということだというふうに理解もしております。
であれば、だとすると、やはり次の問いになりますが、将来にわたって確実に維持管理、修繕を行うためにも、受益者負担の観点も踏まえて、高速道路は債務を完済した後も無料にすることはなく料金徴収を継続すべきとの考えもあるわけでありますが、これに対しての国土交通省の見解を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
将来にわたって高速道路の機能を維持管理することは必要不可欠でございまして、確実に維持管理、修繕を行うための財源の確保、これは重要であるというふうに認識をいたしております。
一方、現時点の知見におきましては、構造物の正確な劣化予測に基づきまして将来にわたる更新需要を正確に見通すことは困難であることから、現時点で永続的に利用者負担を求めることは利用者の理解がなかなか得にくいのではないかというふうに考えております。
なお、維持管理や修繕は永続的に必要なため、道路交通を取り巻く環境の変化なども見据えながら、有識者などの意見も丁寧にお伺いしつつ、将来の有料道路制度について引き続き議論してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

道路がある以上、維持のお金は掛かるわけでありますけど、ただ、もう一回ちょっと更問い、確認ですけど、永続的に料金徴収を求めることを国民に求めるほどの知見というのはまだ現状としてはないので、今後のまた議論に、しっかり議論をしていきたいということで、その点でよろしいでしょうか。改めて、確認だけで。

○政府参考人(丹羽克彦君)

委員御指摘のとおりでございます。

○矢倉克夫君

大臣にお伺いもしたいと思います。
法案の趣旨を今改めて確認しつつ、したところでありますが、やはり、制度も複雑なところもあり、国民の理解というところ、今後更に一層しっかり説明をしていく必要があるかというふうに思っております。
令和3年の8月4日の社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会の中間答申では、料金徴収の期限は、償還期間に合わせて設定されており、償還期間の見直しにより度々先送りをされてきたため、将来、高速道路は無料になるという説明に対する不信感が高まっているという指摘があるところであります。
本法律案では、更新事業等の追加によりまして料金徴収期間が延長することから、これまで以上に利用者にとって料金徴収期間がいつまで続くのか分かりにくくなっているというふうに理解もしております。
改めて、この料金徴収期間を延長し無料開放をされる時期が先送りになることや、本法律案による新たな料金徴収期間の仕組みについて、利用者の理解をどのように得ていくのか、その方法も含めて大臣に答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)

今回の改正法案におきましては、国民の財産である高速道路の機能を将来にわたって維持するため、道路構造物の抜本的な性能回復を図る更新事業を推進することなどが目的でございます。
そして、これだけは確実に掛かるというもの、分かったもの、そして、将来、これと同じ構造だから多分掛かるだろう、これは確実なものについては、確実にこれを更新していきましょうということで、工事についてはちゃんと50年ごとに完済していくんですが、将来のものも含めて、現在分かっているものについては2115年までにそれを完了させると。その後については、今の原則を、これを原則的な立場で今回法案を提出させていただいたということでございます。
これ、非常に、ある意味で分かりにくい、おっしゃるとおり分かりにくい原則でございます。こういうことで、国民の皆様に対しては、今般の改正法案の目的や仕組み、それから料金徴収期限を2115年に設定した理由などについて、引き続き分かりやすく丁寧に説明し、御理解を得られるよう取り組んでまいります。具体的には、有料道路制度などについて、これまでも有識者委員会で議論を行っており、議論の内容についてはホームページを通して公表しております。
また、高速道路会社においては、これまでも更新事業に関するホームページの充実や現場見学会の開催、更新工事に伴う通行止めの周知の際に事業の必要性も併せて説明するなどの取組を行っております。
そして、その上で、本当にこの有料道路制度の将来については真剣に議論をし、5年後の、先ほども答弁申し上げましたけれども、議論ということについても、有料道路制度の在り方について引き続き議論していきたいと思っております。

○矢倉克夫君

大臣の言うこの高速道路、天下の公道、これは無料だというのが原則、それを維持しつつの、分かりにくくなってしまっているところもあるかもしれませんけど、是非分かりやすく答弁をいただくとともに、これからも説明いただくとともに、国民のためのこの負担の在り方については、そちらも経緯は分かりやすく、是非引き続きの議論をお願いしたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
その上で、法案は高速道路が対象でありますけど、やはりより深刻なのは地方の一般道もそうであるかというふうに思います、老朽化という点におきまして。
笹子トンネル事故の教訓から得て、点検という在り方もそのものも更に精度を上げられることで、今回の更新事業の追加などということもあったというふうに理解もしておりますが、例えば、同じような、これは仮にですけど、新技術を利用した法定点検、これを地方道などで行うと、より更新の部分、相当増えてくると思います。そのメンテナンスに掛かる費用というのは多大な額になると推測をされるところであります。
そういう中にあって、高速道路のような料金徴収、そういうのが見込めないこの地方道、これのメンテナンス、老朽化、更新というものをどのように維持をしていくのか、国としてどのように支援をしていくのか、こちらについても国交省から答弁を求めたいというふうに思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
各道路管理者は、平成26年度以降、管理する橋梁やトンネルなどにつきまして点検要領に基づき五年に一回の頻度で点検を行うこととしております。地方公共団体においては、点検から五年以上経過しても修繕に着手できない橋梁が約三割あるなど、早期に修繕が必要な施設が多く残っているところでございます。
このため、国土交通省におきましては、橋梁などの修繕や更新などに対しまして、令和二年度より道路メンテナンス事業補助制度などにより財政的な支援を行ってきております。当初予算に加えまして、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、これの予算も最大限活用し、集中的に支援をしているところでございます。
国土交通省といたしましては、地方公共団体における老朽化対策が着実に進められるよう引き続き支援してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

五か年加速化対策、こちらの以降についても私も様々な場面でも質問などもしておりました。引き続きのこの地方道のメンテナンスの国の支援というのも是非行っていただきたいというふうに改めて要望をさせていただきたいと思います。
その上で、さらにではありますけど、今、高速道路、これに比べてもやはり全道路というのは距離も非常に長い、それら全てをメンテナンスというよりは、やはり持続可能、道路そのものの持続可能性というのを考えると、やっぱり残す道路の機能強化というのを図ることを前提にして、地域の実情に応じては道路の集約ということもこれは重要になってくるかというふうに思っております。
そういった道路の持続可能性、生活の足を支えるということの意味を含めて、そういった道路の集約ということに対しての地方自治体の判断、実行に対して国としてどのように支援をしていくのか、こちらも答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今後、道路インフラの老朽化が進展する中で、道路ネットワークの持続可能性を考えますと、既存の道路を適切に維持管理、更新していくとともに、集約、撤去も行いながら道路ストックの最適化を図っていくことが必要であるというふうに認識をいたしております。
施設の集約、撤去に当たっては、各地域の置かれた状況は様々であることから、各道路管理者が地域の実情、また利用状況などを踏まえながら進めていくものと考えております。
このため、国土交通省といたしましては、実際の取組事例を基に、道路橋の集約、撤去を進める上での主な検討項目、また留意事項について令和4年3月に事例集として取りまとめ、地方自治体に提供しているところでございます。
また、現在、全国130か所の集約、撤去事業、これを道路メンテナンス事業補助で支援しておりまして、さらに長寿命化修繕計画で集約、撤去に関する具体的な計画を定めている道路管理者につきましてはこの補助の優先支援対象としているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き地方公共団体の行う施設の集約、撤去、また維持管理、更新事業を支援しつつ、道路インフラが将来の世代にわたりネットワークとして効率的、効果的に機能を発揮できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

是非、地方のネットワークを効率的に次世代にしっかり引き継ぐための支援もお願いしたいと思います。
その上で、他方で地方、道路がやはり足りていない、必要な道路が整備できていないという面も実はあります。道路事業化の評価に当たって重要な指標というのが費用便益分析、BバイCでありますけど、このBバイCが事実上の足切り要件となって、とりわけ地方に必要な道路が進まないのではないかという問題意識から質問をまずしたいと思います。
資料がございます。こちらの費用便益分析に対する資料が一ですけど、道路が一本できたことで短縮された時間を貨幣価値化して測定するという指標の理解だと思います。貨幣価値化というと、例えば道路ができたことにより短縮された時間で働けば賃金がこれだけ上がるとか、そういった具合に計算するという説明も私受けたわけでありますけど、この評価方式では、私の問題意識としては、道路利用者が多い都市部であればあるほど貨幣価値の総和として便益が増えるということで有利になるし、例えば一人の命を守るといった貨幣価値に測定できない価値が拾い切れないのではないかというふうに考えております。むしろ、一本の新しい道路を造るということに生まれる効用は道路の少ない地方こそ大きいとも言える。百本道路があるところで一本造るよりも、一本道路があるところでもう一本造った方が効用が大きくなり得るということは当然あり得るわけであります。こういった地方の一本の道路がもたらす効用というのはある意味、都市部の一本の道路がもたらす効用よりも大きいかもしれません。
その議論の意味合いの例として一つちょっと挙げたいのが、地元埼玉県の主要の地方県道の熊谷小川秩父線における定峰峠トンネル、資料二になりますけど。
秩父、観光でも有名になりますけど、国道140号と299号、これが主要なんですけど、今非常に渋滞しています。この渋滞緩和という意味でも、この主要の地方道、熊谷小川秩父線、こちらで言えば青の線になるわけですけど、これが一つ注目を浴びるわけなんですけど、難所としてこの定峰峠というのがあります。この定峰峠、この真ん中にあるくねくねしたオレンジのところですけど、道幅も狭くて急カーブも続いて、車両の擦れ違いや夜間や冬期等の安全な通行に支障を来して、通過にも多くの時間を要している。そのためにも定峰峠をトンネル化することが必要であって、これは具体的なルート案も提示もされているところであります。
ただ、ここで強調したいのは、これが実現すれば、安全通行と時間短縮ということに加えて、例えばこの秩父地域から埼玉医科大学病院とか小川赤十字病院などへの救急搬送に掛かる時間も大幅に短縮できる、小川赤十字病院など30分近く短縮されるわけなんですけど、言わば住民の命と安全を守る命の道としての重要な役割、これを担うということであります。また、トンネルがなければ患者さんはこのくねくねしたところを救急搬送されなきゃいけない。もうこれだけでも体の負担というのはやっぱり大きいわけなんですよね。そういうのをなくしていく上でもトンネルというのは必要だと。
ただ、冒頭の問題意識に戻りますけど、やっぱりこういった一人の人、命を救うとか患者に負担を掛けないといった便益は、費用便益分析のこの三便益では測り切れないし、場合によっては足切りに遭ってしまうということであります。これは県道ですので国交省がどうこう言う立場でないことは分かっておりますが、道路評価の評価方式の在り方として、こういった足切り方式ではなく、この定峰峠トンネルのような道路について、社会全体への影響にある住民生活とか地域経済への利益、災害対応等、総合的なメリットを評価すべきであるというふうに考えますが、国土交通省の見解を求めたいというふうに思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
道路事業の事業化に当たりましては、費用便益分析、いわゆるBバイCの分析に加えまして、医療施設へのアクセス向上、また防災面の機能向上、また走行快適性の向上などの様々な事業の効果、事業の実施環境など、様々な観点から総合的に評価を実施しているところでございます。このうちBバイC分析につきましては、現時点における知見によりまして十分な精度で計測が可能かつ貨幣換算が可能な効果として、走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少の三つの便益を計上しているところでございます。
他方、委員御指摘の医療施設へのアクセス向上に伴うこの命の道としての効果でございますが、便益の計測精度、また二重計上などの課題もあることから、現行のBバイC分析には含まれていないところでございます。
このため、国土交通省といたしましては、道路の多様な効果を適切に評価できるよう、有識者の意見も伺いながら、事業評価の在り方について検討しているところでございます。

○矢倉克夫君

今の答弁、定峰峠トンネルの命の道としてのこの意義を理解された上で、そこで捉え切れないBバイCの検討、事業評価の在り方について検討するというような御意見でありました。
是非、地域の道路がしっかりと必要なものが造れる評価の在り方というのを考えていただきたいというふうに思います。どうしても、一を超えるか超えないかなんというところで多くの必要な道路が、私の実感としてはまだ事業化し切れないというような形になって地元が落胆をすることもあるわけでありますので、是非お願いしたい。
あわせて、都市部の方で、これは意見ですけど、事業費の方が高くなるということでありましたけど、例えばこのトンネルなども地方であっても当然事業費は高くなるわけでありますから、そういう意味でも、BバイCに捉え切れないものというものも是非引き続き検討をいただきたいということ、これはまず要望だけをさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
また、ちょっとまた別の観点からの道路に関係する話を、ちょっと今度は大臣にお伺いもしたいと思います。
今回の法案は、パーキングエリアとかサービスエリアの高度化という話がありますが、先日の参考人質疑で、同じように、サービスエリア、パーキングエリアに求められている長期運転の中継地点、中継施設として考えられる高速道路直結の民間施設の議論なども私の方で根本教授にもさせていただきました。
教授からもその必要性について賛同をいただいたところでありますが、また、その観点も踏まえて取り上げたいのが、またちょっと地元の件で恐縮ですけど、資料三枚目に行っていただきたいんですけど、現在、埼玉県の久喜市で進められている首都圏中央連絡自動車道、いわゆる圏央道の久喜東スマートインターチェンジの計画、これは今、久喜市といろいろとまた協議もされているというふうにも理解もしております。こちらにある三枚目のところの久喜白岡ジャンクションと幸手インターチェンジの間、こちらは四車線化が進んで、おととい私もその完成式典に行ってきたところでありますが、その中間点にあるところになります。
次の四枚目に行っていただくと、今計画地の辺りの資料があるわけなんですけど、特色は計画中の大型物流施設がこれ近いこと、隣町の宮代町などでは20ヘクタールの物流施設がありまして、また、久喜東スマートインターチェンジの北側にある久喜市吉羽諏訪土地区画整理事業では26ヘクタールの大型の物流団地が予定されているというふうに私も理解もしております。
この久喜東スマートインターチェンジが実現すれば、産業の活性化とまた東北自動車道への乗換えの渋滞緩和、交通結節機能の充実といった地元の利便性向上はもとより、高速道路直結の大型物流施設ができることになりまして、現在大きな課題となっている長距離輸送トラックの中継施設としての役割も期待もされます。特に、この付近、四車線化が実現したことで一日当たり今約3200台交通量増と、物流の動脈としての意義も増しているところであります。
改めて、この久喜東スマートインターチェンジに対する国交大臣の評価を求めたいというふうに思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)

高速道路の有効活用や地域活性化を図るため、従来のインターチェンジよりも低コストで整備できるETC専用のスマートインターチェンジについて整備を全国で進めているところでございます。これまでに整備されたスマートインターチェンジでは、周辺への工場や商業施設の誘致、これに伴う雇用創出、それから周辺の交通渋滞の緩和、高次医療機関までのアクセス時間の短縮などの効果が見られており、御指摘の久喜東スマートインターチェンジについても久喜市において必要性の検討がなされているものと認識しております。
一方、久喜市内の圏央道は、橋梁による高架構造であり、この箇所にインターチェンジを設置する場合、橋梁の拡幅が必要になることや一般道への接続道が長距離となることなどから事業費が高額となることが想定されており、久喜市においてコスト縮減策などの検討を行っていると聞いております。
国土交通省としても、高速道路会社と連携し、久喜市に対して必要な協力を行ってまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君

大臣、意義を御理解いただいた上で、必要な協力というふうにおっしゃっていただきました。ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。
今大臣のお話にもあったように、計画の課題はこれ事業費でありまして、久喜東スマートインターチェンジ、高架構造部分に設置ということになっています。この高架という絡みでちょっとまた質問をしたいんですけど、高架構造部分にスマートインターチェンジを設置するというのは、用地買収などに係る費用は抑えられるわけでありますけど、盛土構造部分、道路への設置に比べると工事自体の事業費がやっぱり上がってしまう。ただ、例えば、実は圏央道は、埼玉県内約58.4キロメートルのうち、高架構造部分というのは31.6キロで54%であります。
今後も高架構造部分にスマートインターチェンジを求める自治体の声は高まるはずですが、その際、今のスマートインターチェンジ事業における地元自治体とNEXCOなどとの負担割合を前提にすると、なかなか協議が難航してしまうかもしれないと理解もしております。
そもそも、スマートインターチェンジのこの間隔を平均10キロから欧米当たりの5キロにするというのも国の方針のはずでありますが、今後のニーズに応えるためにも、高架部分対応のための現行のスマートインターチェンジのスキームとはまた違うスキームというのもこれ検討する必要があると思うんですが、これに対しての国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、高速道路において橋梁などの高架構造の箇所にインターチェンジを追加で設置する場合、橋梁の拡幅など大規模な工事が必要となり、事業費も高額となることが想定されることから、スマートインターチェンジ制度による整備はなかなか難しくなるというふうに考えております。
他方、高速自動車国道にインターチェンジを整備する場合には、接続する道路の管理者である自治体がインターチェンジ本体の事業費を負担する制度を活用することもできますが、一般的にスマートインターチェンジに比較して自治体の負担が大きくなるところでございます。
国土交通省といたしましては、高速道路の橋梁部などに事業費が高額となると見込まれる箇所にインターチェンジを設置する場合において、地方自治体の意見を聞きながら、負担の在り方などどのような整備手法が適切なのか検討してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

今、いわゆる地域活性化インターチェンジの話かもしれません、ちょっとお話もあったところでありますけど、やっぱりそれだけですと、他方で自治体の負担も大き過ぎる、そこの部分でどのような適切な負担割合ができるかという新しい制度というのを、これ、是非今後のニーズも含めて引き続き検討をいただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ちょっと最後の質問になると思いますが、今、ドライバーの長距離輸送というところの観点から話もしたところですけど、もう御案内の問題になっている2024年問題解決というためにも、やっぱり不可欠なのは、この長距離輸送の問題に加えてやっぱり不可欠なのは、荷主のより主体的な関わりであるというふうに思います。かねてから協力は要請してきているわけでありますけど、今後はこの荷主の皆様を物流を利用する当事者として、より持続可能な物流の実現に関わる方向性を示すべきであると思っております。
厚労省は、改善基準告示の改正に合わせて、長時間の荷待ちを恒常化させる荷主に対しては、労働基準監督署が改善を要請する仕組みを新たに導入をしたと理解もしております。また、持続可能な物流の実現に向けた検討会は、本年1月の中間取りまとめを発表しまして、その中で、物流負荷軽減の取組を検討するために、荷主企業が物流改善に取り組むことに資する措置を検討すべきというふうに盛り込みました。
上記の方向を、これ、上記というか今申し上げた方向性を踏まえまして、国交省におかれては、荷主企業を所管する経済産業省や農林水産省などとともに、ドライバーの長時間労働問題に対して、荷主企業が協力という範囲を超えた、より積極的に責任を持つような要請をしていただいて、具体的な動きにつなげていただきたいというふうに思いますが、国交省の見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(鶴田浩久君)

お答え申し上げます。
トラックドライバーの労働環境を改善するには、出荷や入荷の条件決定に大きく関わる荷主企業が物流の直面する諸課題を認識して、御指摘のとおり物流事業者とともに主体的に取り組むことが重要と考えております。
このため、昨年9月から、荷主を所管する経済産業省や農林水産省と共同で検討会を開催しておりまして、そこで不適切な商慣行の是正に向けた規制的措置等の導入に向けて議論を深めているところでございます。さらに、今年3月末の関係閣僚会議で総理から指示を受けまして、6月上旬を目途にただいま申し上げた点を含めて政策パッケージを取りまとめるべく調整を進めております。
国土交通省として、関係省庁とよく連携して積極的に取り組んでまいります。

○矢倉克夫君

規制的措置というふうにおっしゃった。是非具体化をお願いしたいと思います。
道路の議論が今日主だったわけですけど、道路もそうですし、あとドライバーの皆様が働きやすい環境をつくるということは、当然、物が運ばれやすい環境をつくることで国民に対する大きな利益になっていくわけでありますので、物流をしっかり持続可能にしていくことそのものが日本経済と日本社会を安定していく、防災のためのレジリエンス機能も強くしていくという深い意味合いもあるということもより理解をして、是非実効的な措置をお願いしたいことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。

211回 本会議

2023-05-24 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案につきまして、総理並びに財務大臣、防衛大臣、経済産業大臣に質問をいたします。
ロシアによるウクライナ侵略は、世界各国が築き上げてきた国際秩序を危機に陥れるものです。また、我が国周辺の安全保障も、北朝鮮の度重なるミサイル発射や中国による尖閣諸島周辺海域における繰り返しの徘徊や領海侵入など、厳しさ、複雑さを増しております。かかる懸念、脅威から国民の生命と平和な暮らしを守るため、戦略的に第一に重要な要素は外交力であり、その趣旨は国家安全保障戦略にも記載のとおりであります。
まず、総理に、さきに成功裏に終了をしました広島G7サミットの結果、我が国及び国際平和を守るため必要な日本の外交力がいかに強化されたとお考えか、お伺いをいたします。
また、今回のサミットの結果を踏まえ、総理が掲げる核なき世界の理想実現に向け、いかに現実的で実践的な責任あるアプローチを図るか、いかに日本としてリーダーシップを発揮し、核なき世界を実現されるか、併せてお伺いをいたします。
その外交力と表裏の関係を持ち、それを補完する役割を有するのが防衛力であり、その強化、防衛予算の増額は、現下の情勢を踏まえると不可欠であります。
本法律案では、税外収入を防衛力の強化、整備に充てるため、新たに防衛力強化資金を創設いたします。必要な財源を年度予算ごとに確保するのではなく、あえて特別の資金を創設して将来の防衛費の財源をプールすることとした理由を財務大臣にお伺いをいたします。
また、本法律案に講じられる税外収入確保のための特別措置は、令和五年度に実施する措置に限られます。令和六年度以降、同資金への繰入れ財源を具体的にどう確保していくのか、こちらも併せて財務大臣にお伺いをいたします。
次に、財源確保策のうち決算剰余金の繰入れについてお伺いをいたします。
財源確保策が防衛財源として想定をする決算剰余金は年〇・七兆円程度、五年間計三・五兆円ですが、この三・五兆円を確保するため、政府はどのような方策が必要とお考えでしょうか。毎年の決算剰余金が幾らになるかは予測できるものではありません。防衛予算確保のための安易な国債増発による決算剰余金のかさ上げなど決してあってはならないことは当然でありますが、その点も含めて、財務大臣にお伺いをいたします。
続いて、歳出改革についてお伺いをいたします。
衆議院での本法律案に対する我が党の代表質問の際の総理答弁から、社会保障費は歳出改革の対象とならないということは確認済みでありますが、少子化対策、子育て支援予算の削減はないことを改めて総理に確認をさせていただきます。また、本法律案で政府が示した将来的な防衛予算の財源確保に向けた決意は、少子化対策、子育て支援予算においても同様に求められるものであります。少子化対策、子育て支援予算に関する財源について、あらゆる手段を尽くして確保するとの総理の決意を求めます。
さらに、令和五年度予算で防衛費の財源として建設国債が充てられることに関連をし、今後の公共事業についてお伺いをいたします。
今回、自衛隊・防衛省の施設整備や船舶建造に係る経費を財政法第四条における公共事業費として整理し、建設国債の発行対象と整理したと理解をしておりますが、この整理によって従来からの公共事業費予算が減額されることはないということでよろしいでしょうか。また、道路網整備などインフラ整備は、いざというときの自衛隊の輸送路などにもなることで安全保障面でも重要でありますが、今その老朽化対策が急務となっております。国民生活、経済、防災はもとより、防衛の観点からも必要な公共事業、特に道路の老朽化対策費について従来以上に確保すべきと考えますが、総理の御答弁を求めます。
次に、防衛予算増による国内防衛産業育成が経済や財政に与える影響についてお伺いをいたします。
防衛大臣は、四月十九日の衆議院財務金融委員会安全保障委員会連合審査会において、防衛関係費における国内向け支出額の防衛関係費全体に占める割合は約八割と答弁をされておりますが、これら国内向け支出が国内中小企業の基盤強化に与える効果についてどのように分析をされているのか、防衛大臣にお伺いをいたします。
この国内防衛産業育成の意義について、例えば、三月二十日の参議院予算委員会における私の日英伊の次世代戦闘機共同開発に関連した質問に対し、防衛大臣からは、次世代エンジニアの育成やサプライチェーンの強化を図る点であるとの答弁がありました。特に、この共同開発の経験を生かした次世代エンジニアの育成は、民生分野を含めた航空機の全機開発、機体、エンジンを含めた全機設計能力の向上や、あるいは今回の三菱スペースジェットの事業撤退で明らかになった、日本の弱点とも言える各国の認証取得に向けたノウハウ不足を解消する上でも重要と理解をしております。私は、日英伊の次世代戦闘機共同開発を含めた国内防衛産業育成を通じ、従来、ボーイングなどからの部品発注の受注の立場が主なものだったと言える日本の民間航空機産業を一段の高みに押し上げるとともに、それを通じ、部品数三百万点とも言われる民間航空機産業を自動車に並ぶ新たな裾野産業と育成することが日本の中小企業の存続のためにも重要と考えます。経済産業大臣の御所見をお伺いいたします。
また、防衛設備などの更なる国産化は、国内中小企業をそのサプライチェーンに取り込むことにより、国内雇用の確保とともに税収増加にも資するものです。これについて、財務大臣の御所見をお伺いいたします。
防衛費増額と国民理解についてお伺いをいたします。
まず、国民理解を得るために重要なことは、今回積み上げた防衛費が適正か否かを事後的に精査する仕組みがあることであります。この点、総理は、三月六日の参議院予算委員会における我が党議員の質問に対する答弁で、関係省庁において第三者による専門家会議を設置する可能性について言及されましたが、是非実行をしていただきたい。その際、外交、防衛のみならず、経済や科学技術など様々な分野の専門家を構成員とすべきと考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
最後に、税制改正大綱でも言及された増税の実施時期については、国民との徹底した議論が必要であります。防衛力強化の財源を安易に増税に求めることは避けるべきであります。仮に実施せざるを得ない時期に来た場合、総理におかれては、自ら国民一人一人と対話する思いで国民の中に入り切り、真摯に説明し、徹底的に議論されることを強く求めます。
真に防衛力の強化を図るために必要なことは、防衛という国民全体の共通の利益に対する国民の主体的な理解と納得であり、その形成のためにも、防衛予算の財源を決するプロセスは丁寧さに丁寧さを重ねる必要があります。防衛は国民全ての共通の利益の最たるものの一つであり、その共通の利益のためにお金を拠出し合おうと国民に御理解いただくこと自体は、真の防衛力の強化にも資するとも言え、その合意形成は政治の責任です。
他方、仮に、国民が唐突感を抱くような形で拙速に増税時期決定のプロセスを経てしまうこととなれば、それは防衛力そのものが毀損、破壊されるほどの意味を持ちます。防衛力強化の観点、これも含め、国民一人一人の対話と時間を掛けた説得のプロセスを一層強く、重視をしていただきたい。防衛予算確保に向け、国民との徹底した議論の必要性について、総理の所見と決意をお伺いいたします。
以上、本法律案によって確保した財源を活用して必要な防衛力の強化が果たされるとともに、国民の皆様が安心して生活を送ることができる社会の実現のため、我が国の外交力の更なる強化が図られることを念願して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)

○内閣総理大臣(岸田文雄君)

矢倉克夫議員の御質問にお答えいたします。
G7広島サミットの結果を受けての日本の外交力及び核兵器のない世界に向けてのアプローチについてお尋ねがありました。
国際社会が歴史的な転換期にある中で開催された今般のG7広島サミットでは、日本が議長国として中心に立ち、G7の揺るぎない結束を改めて確認することができました。
G7首脳は、分断と対立ではなく、協調と連携の国際社会の実現に向けて、第一に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くこと、第二に、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々を始めG7を超えた国際的なパートナーへの関与を強化すること、こうした二つの視点を柱とし、積極的かつ具体的な貢献を打ち出していくことを確認いたしました。
広島サミットでのこうした成果は、世界における日本のリーダーシップの強化、今回の招待国を始めとする国際社会のパートナーとの関係の深化にも結実したと評価しており、我が国の外交力の強化につながったと考えています。
これらを踏まえ、また、核軍縮に関する初めてのG7首脳文書となるG7首脳広島ビジョンの発出により、今次サミットは、核兵器のない世界に向けた国際社会の機運をいま一度高める機会になったと考えています。これを強固なステップ台とし、ヒロシマ・アクション・プランの内容を一つ一つ実行していくことを通じて、現実的で実践的な取組、継続、強化していきたいと考えております。
防衛力強化のための財源と少子化対策の財源についてお尋ねがありました。
防衛力強化のための財源としての歳出改革については、社会保障関係費以外の経費を対象としていることはこれまで申し上げているとおりであり、子育て支援に関する予算を削減することとはしておりません。
また、少子化対策に関して、加速化プランの財源確保については、まずは全世代型社会保障を構築する観点から歳出改革の取組を徹底するほか、既定予算の最大限の活用を行ってまいります。そして、こうした歳出改革の徹底により、国民の実質的な負担を最大限抑制していきたいと考えております。今後、六月の骨太方針に向けて、こども未来戦略会議において議論を進め、将来的な子供予算倍増に向けた大枠、これをお示しいたします。
公共事業費の確保についてお尋ねがありました。
今般、防衛省・自衛隊の施設整備や艦船建造費を建設国債の発行対象経費として整理をしましたが、これにより従来の公共事業費を減額することはありません。
その上で、自然災害等から国民の命と暮らしを守るため、あるいは我が国の経済成長や地域社会を支えるために必要なインフラについては、着実に整備していく必要があります。また、インフラの老朽化が進行しており、老朽化対策は喫緊の課題です。このため、今後とも、中長期的な見通しの下、安定的、持続的な公共投資を推進してまいります。
防衛力の抜本強化に係る専門家会議についてお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、三文書の策定後も、国民の理解を得ながらその内容を適切に実施していく必要があり、関係省庁において第三者による専門家会議を設置し、様々な分野の有識者の下で議論を行うこともその方策の一つです。引き続き、政府としては、国民の理解と協力を得られるよう努めていくとともに、そのための方策についても検討していきます。
防衛力強化に係る税制措置についてお尋ねがありました。
防衛力の抜本的強化については、その具体的内容、予算、財源を一体的に国民にお示しするとの方針を昨年の通常国会から一貫して申し上げており、その方針に沿って、国家安全保障会議四大臣会合、有識者会議、与党ワーキングチーム、与党税制調査会など、活発な議論を積み重ねてまいりました。その集大成として、政権与党としての方針を三文書や税制改正大綱の閣議決定の形でお示しをしました。
実施時期については、令和九年度までの過程において、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、閣議決定した枠組みの下で税制措置の実施時期等を柔軟に判断してまいります。
こうした防衛費増額の財源確保に向けた内閣の方針について、国民の皆様に御理解いただけるよう、国会での議論も含め、引き続き丁寧な説明を行ってまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

○国務大臣(鈴木俊一君)

矢倉克夫議員から、まず防衛力強化資金を創設する理由等についてお尋ねがありました。
防衛力強化のための財源確保に当たっては、税外収入の確保などに最大限取り組むこととしておりますが、税外収入等につきましては、年度によって変動が生じ得るものであり、必ずしも当該年度に必要となる防衛力強化のための歳出額と見合うものになりません。
このような税外収入等を防衛力の整備に安定的、計画的に充てられるようにするためには、このタイミングのずれについて年度を超えた調整を行う必要があるため、特別の資金である防衛力強化資金を新たに創設することとしたところです。
令和六年度以降については、令和五年度予算において、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことも踏まえ、年平均〇・九兆円程度の税外収入を確保できるように、引き続きその確保に努めていきたいと考えております。
次に、決算剰余金についてお尋ねがありました。
今般の防衛力強化のための財源確保に当たっては、国民の皆様の御負担をできるだけ抑えるべく決算剰余金を活用することとしており、過去の実績を踏まえた合理的な根拠に基づく金額を財源として見込んだところです。
その上で、決算剰余金は、予算を執行していく中で結果として生じた歳出の不用や、税収や特例公債等の歳入の増減により金額が確定するものですが、特に、特例公債については、特例公債法の規定に基づきその発行を最大限抑制するよう努めてきたところであり、今後ともこうした方針に基づいて対応してまいります。
最後に、防衛施設などの国産化による経済効果についてお尋ねがありました。
防衛産業は、中小企業を含め多数の下請企業から成るサプライチェーンを構成していると承知しており、防衛装備品等の国内調達により国内生産の拡大等につながるものであれば、国内雇用の確保や税収増にも貢献し得るものと考えています。
新たな防衛力整備計画においては、我が国の防衛生産・技術基盤を言わば防衛力そのものと位置付けた上で、その維持強化を進めることとしており、政府としてこの計画に基づきしっかりと取り組んでいくことが重要であると考えております。(拍手)

○国務大臣(浜田靖一君)

矢倉克夫議員にお答えいたします。
防衛予算増による国内防衛産業育成が経済や財政に与える影響についてお尋ねがありました。
昨年末決定した防衛力整備計画の防衛力整備の水準は、四十三兆円のうち約八割程度が国内向け支出です。防衛産業は、プライム企業のみならず、多数の中小企業の下請企業から成るサプライチェーンを構成をしております。関連する産業も含めて波及効果や雇用創出の効果があると予想されます。
また、例えば、F2戦闘機の開発において向上したレーダー技術が高速道路のETCなどに応用される事例のような他分野への波及効果も期待できると考えているところであります。(拍手)

○国務大臣(西村康稔君)

矢倉議員からの御質問にお答えいたします。
次期戦闘機開発の航空機産業育成の観点からの重要性についてお尋ねがありました。
まず第一に、御指摘のように、航空機産業は高い技術力と広い裾野を有する重要な産業であり、我が国としては、これまでも、哨戒機P1、輸送機C2などの防衛用途の航空機開発や、民間機では三菱スペースジェットの開発などを通じて、完成機開発の経験を蓄積するとともに、経済安全保障の観点からの技術開発やサプライチェーン強化など、その基盤強化に向けた取組も進めることとしております。
その上で、現下の航空機産業は、グリーン化、いわゆるGXや、デジタル化、いわゆるDXなど、大きな変革期を迎える中、我が国の技術力を生かす可能性が広がってきております。また、経済安全保障の観点でも重要性が高まっている中、将来に向けて航空機産業を育成強化していくことは極めて重要であると認識しております。
こうした中で、次期戦闘機開発は、民生、防衛の双方を担う航空機産業の基盤の強化につながる極めて重要なプロジェクトであると考えております。
経済産業省としては、これまで蓄積した航空機開発の経験を次期戦闘機開発にも十分に生かしていくとともに、これが国内航空機産業の更なる発展にもしっかりとつながっていくよう、防衛省など関係省庁とも連携し、取組を進めてまいります。

211回 国土交通委員会

2023-05-23 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
三人の参考人の先生方、大変貴重な御意見、誠にありがとうございます。
早速ちょっとお伺いしたいと思うんですけど、まず近藤参考人にお伺いしたいと思うんですが、永久有料化、そしてサブスク、非常に興味深いお考えかと思います。それを現実化というところの課題を整理するという意味でちょっとお伺いしたいと思うんですけど。
12ページ目、先生の資料で、こちらで、有料化すれば料金半額ということ、これは半分の償還金が払わなくても済むという。私の理解ですと、この償還金というのは要は機構が民間の金融機関から借り入れたものに対する償還だと思っておりまして、利息は返すということですから、これは元本を民間の金融機関から借りたものを返さないということの理解だと思うんですけど、そこ辺りについての、正しいかどうかと併せて、どうやって金融機関から理解を得るかという話。
あと、もう一つ。定額制ですと当然、400円として、一部の人は値下げになるけど値上げになる方も走行距離によってはいるかもしれませんが、そういう方々に対しての理解を得るというところで御示唆がいただければと思いますので、よろしくお願いします。

○参考人(近藤宙時君)

一点目の御質問でございますが、先生御理解のとおり、これはちょっと乱暴ではありますけれども、銀行さんの方に一切元本は返さないと、永久に返さないという前提で利息だけはお支払いするという考えで徹底すれば半額になるのではないかという考え方でございます。ただ、90年後に返してほしがっているのかというのもちょっと分かりませんので、銀行に、返さないけど利息はきっちり払うよと。むしろ、今、年利4%で計算されておりますので実効金利の三倍ぐらいかと思いますが、普通の利息の二倍払うから永久有料でいかがかと一度銀行の方に聞いていただいた方が良いのかなというふうに思います。
二点目でございますね、安くなる人が多くなるけど高くなるんではないかという話でございますけれども、400円といいますと、まず150円のゲート通行料といいますか、定額料金がございますので、走行距離に対しては250円でございます。走行距離250円を普通車の24.6円で割りますと10キロちょいです。先ほど申しましたように、高速道路のインターからインターまでというのが、首都高以外、首都高は高速道路ではございませんので一般高速道路でいいますと、10十キロに一か所といいますと、一区間しか乗らない金額がちょうど400円でございます。これより安い料金を払っているという方がいらっしゃるのかどうか分かりませんけれども、おおむねの方には御理解いただけるのかと。若干上がるとしても、それは妥協していただける部分かなと思いますし。
また、そういった僅か十キロ払う人のための道路なのかと、元々そういうつもりで造った道路なのかと。言ってみれば、新幹線、東京から新横浜までしか利用しない人をどうするかという問題と同じだと思います。むしろ、名古屋や大阪へ行く人の方を優先するということを考えるのが必要かなと思います。

○矢倉克夫君

観光需要という点では意味もあるかと思います。ちょっと課題整理というところであえてお伺いもさせていただきました。
根本参考人にちょっとお伺いしたいと思うんですが。
先生の資料の立て、三のところですが、これ、私の理解がまだ足りていないところがあってちょっと概念の整理なんですけど、更新債務と更新工事というふうにおっしゃっている、これは違うものという前提ですけど、改めて教えていただきたいのと、この先生の御試算でも2115年度まででこれは払い終えるという前提で理解もしております。
となると、この2115年以降のここで言う更新工事というのは料金を引き当てにしたものはないという前提だというふうに理解もしたんですが、それで正しいのかと、もしそういうふうに御試算されたのであれば、その根拠等がもしあれば教えていただければと思います。

○参考人(根本敏則君)

私のシミュレーションでは、2115五年と、これもう相当先ですから、そこまで料金を取りますという意味を永久有料という言葉で実は呼んだんです。その先どうなるかはここではちょっと、この論文では問いませんと。2115五年まで更新工事をする、そのための投資が必要で、それを料金収入で返していきますということを申し上げたんです。
今、国会で問題となっているのは、どちらかというと、2115年のところで無料化するのかその先有料化するかということが議論になっているようですけれども、私の永久有料の定義は、2115年まで料金を取り続けるぞというのが私のこの論文の中での永久有料という言葉の意味だったんですね。それで少し御理解いただけたでしょうか。
あと、ついでにちょっと申し上げると、私は、その2115年でも多分更新工事があるからその先も料金は取るだろうと思います。それはシミュレーションとは関係ないことですけれども。
ただ、申し上げたいのは、政府の計画で一番長い計画というのは何でしょうか。国土形成計画でしょうか。それは計画期間十年ですね。地方自治体の基本構想も20年程度ですよね。ですから、100年後にどうするかということを議論するということの意味はどれくらいあるのかということは少し気になります。要するに、それによって民間企業が投資の仕方を変えるのかと。2100年に無料化しますというか、それでも多分有料になるでしょうというのは、世の中の民間企業の人には余り関係ないことかもしれないなとは思っているんですね。個人的には永久有料だとは思っていますけど。
以上です。

○矢倉克夫君

永久有料のお言葉の意味もお伺いしたいと思いましたが、今教えていただいたので。
ちょっと改めてなんですけど、その更新債務と更新工事というものの簡単な違いをちょっと教えていただきたいのと、そうすると、先生の想定だと、今先生が想定されている更新債務、更新工事、現状想定されているものは2115年までのものでよいという理解でよろしいんでしょうか。(発言する者あり)

○委員長(蓮舫君)

根本参考人。

○参考人(根本敏則君)

あっ、ごめんなさい。
我々は本当に単純に、これまでの経緯を考えまして、年間800億円という更新工事が2115年まで必要だろうというふうに割り切って計算したわけですけれども、この更新工事に伴って債務が発生しますよね。それがここで言うところの更新の債務という、上の方に書いている図ですけれども、そういうふうな言葉の使い方をしております。

○矢倉克夫君

分かりました。ありがとうございます。
もう一つちょっと根本参考人に、今のちょっと高速道路に関係するところではあるんですけど、今回の法案、サービスエリア等の機能強化というところもあるわけですけど、ちょっとそれに関係するというか、先生が去年の十二月に「道路」という雑誌でインタビューを書かれているのを拝見して思ったんですけど、今、貨物トラックのドライバーとかの長距離運送が非常に問題になっていて、それ、解決として、中継輸送、そのためには中継拠点が必要であるという文脈の中で、サービスエリアとパーキングエリアはこの機能を果たすべきだと。これ全くそのとおりだなと私は思いまして、それに加えて、例えば民間の高速道路直結型の物流施設、これ埼玉などでもあったりするんですが、こういったものが同じような中継地点の拠点としても役割を果たしていく。
先生のインタビューの中では、民間の立場としてそこまでインターチェンジとかに近くに造る必要はないということでお書きになっていますけど、もし仮にそういう制度があれば、設備があればそういうものは必要だというふうに、中継拠点としては重要だと私は思っているんですけど、先生の御所見をお伺いできればと思います。

○参考人(根本敏則君)

中継エリア、乗り継ぎエリア、いろんな言い方あっていいと思うんですけれども、要するに高速道路に直結するような形で乗り継ぎ輸送とか、ダブル連結を後ろと前で共同輸送するとか、あるいは自動運転のトラックをそこまでマニュアルで持っていって自動で走らせるとか、そういうトラックに関係するようなターミナルというのはもう絶対必要だと思うんですね。十年後に自動運転トラックが新東名上り千台、下り千台走るようになったときには、相当大きなターミナルが必要になると思うんです。そのターミナルは、多分僕は公共ターミナルとしての色彩が強くなると思っているんです。いろんな事業者が使う必要があります。
ですから、今御質問にあったのは、民間が直結型でそこの施設を造るというふうにおっしゃったんですけれども、民間企業は在庫だとか仕分けだとかそういうふうなことをやるのは直結していなくていいんですね。直結しなきゃいけないのは、あくまでもそういう高速道路にすぐ乗り入れるための自動運転トラックのためとか、あるいは上りと下りで運転手が替わるためなんで、その直結のためには民間である必要はないし、むしろ民間はそこまで僕は投資できないんじゃないかというのが僕の考えなんですね。そういう意味で、国とかNEXCOの役割は大きくなってくるんじゃないかと思っています。
以上です。

○矢倉克夫君

済みません、改めて、その上で、当然、まず公共がやるべき話ですけど、そういう部分で民間が協力するという民間があれば、それは当然いいということで。(発言する者あり)
じゃ、改めて、もうちょっと一問だけ長谷川参考人にお伺いをしたいと思うんですが、この道路の重要性ということで、渋滞の部分を生じさせないための道路というところもあると思いますけど、もう一個、例えば防災のときなども、例えば一つの、いざというときの緊急物資を運ぶための道路という重要性はやはり必要になってきて、その上で、一つの道路が仮に通行として使えなくなった場合にもう一つあれば有益であるという議論も、そういったいろんな道路の多機能化というところから高速道路も更に造っていくべきだというような議論も当然あったりするわけですけど、それについての御所見等、もしありましたらいただければと思います。

○参考人(長谷川茂雄君)

ありがとうございます。
東日本大震災以降、防災のために道路が必要だということが盛んに喧伝されてきております。
防災ということで、私たちというか私個人が考えるのは、やはり災害対策基本法の目的にもありますように、国民の命と財産を守るというのが防災・減災の第一目的ではないかというふうに思います。
国土交通省さんが、例えば、東日本大震災の後に、くしの歯作戦で道路が非常に役立ったということを宣伝されていますけれども、それは災害が起きた後に物資を輸送することで一定程度効果を果たしたということなんだろうと思います。
阪神大震災の後に、近畿地方整備局が、どのような教訓があったのかということをレポート出していますけれども、七割以上は住宅の圧死で亡くなったと、なので、命を助けるにはいち早く助けることが大事であるという、そういうレポートを発表していますので、確かに物資を運ぶためにはそういった道路の整備も必要という議論もあろうかと思いますけれども、どちらを優先するのかという視点でいうと、まず命を守るために税金をどこに使うのかという視点で考えますと、私個人は、やはり住宅の耐震化とか建物の補強などにまず税金を使っていただいて、それでまず圧死をなくすと、そのことで国民のまず命をより多く守って、で、その後、災害そのものは人の力では防げませんので、災害が起きた後に最低限その物資輸送に使えるような、まあ代替路線を含めた道路の整備などを考えていただきたいというのが私個人の意見と希望であります。
ありがとうございます。

○矢倉克夫君

三人の参考人の先生方、大変に貴重な御意見ありがとうございました。引き続きの委員会質疑でしっかりと先生方の御意見を踏まえて議論をしてまいりたいと思います。
ありがとうございました。以上でございます。

211回 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会

2023-05-19 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
お二人の参考人の先生方、貴重なお話、大変にありがとうございます。
まず、脇参考人、本当に、これまでも、またこれからも、長きにわたり日本の領土である北方四島を取り返すこの活動に対して改めて敬意を表して、本当に感謝を申し上げたいというふうに思っております。
先ほど、墓参と自由訪問、とりわけ墓参についてはロシアも特に否定はしていないという話があった。それも踏まえまして、公明党としても、しっかり政府と実現に向けてどのような対応ができるかというのがまず協議をしていきたいということはお伝えを申し上げたいというふうに思います。
まず一点お尋ねをしたいんですが、今も話ももう出ているこの千島歯舞諸島居住者連盟、理事長を務められていらっしゃる、こちらに対してロシアが望ましくない団体に指定をした。これ、歴史的経緯を一切無視した許されないものである、これは私も全く同感であるというふうに思っております。
これについての所感というところでありますが、とりわけ、先ほども、連盟としては平和裏にというふうにおっしゃった。連盟の動きがこの現地のロシア人住人との交流なども通じた人と人のつながりをつくった上で、その先に四島返還というのを当然見越した上での活動であるわけでありますが、そういう蓄積がある、そういう活動をしているある意味連盟に対してこういうような指定をしたということ、これについての御所見、これまで対人交流でどういう成果があったかということも踏まえて改めてお伺いをできればというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○参考人(脇紀美夫君)

ありがとうございます。
望ましくない団体という指定されたことにつきましては、先ほども申し上げましたように大変受け入れ難い話ですし、残念に思っております。それで、ましてや、我々は今まで、現在住んでいるロシアの元島民と交流を深めてまいりました。特に青少年にあっては、どんどんどんどん交流が深まるにつれて友達もできました。そういう中では、非常に、人と人とのつながりという部分では非常に深化しているんですが、このことについては、もちろんこのウクライナ侵攻によってということになってくると政治的な問題になってくると思っています。
したがって、我々元島民の立場で政治的な分野にまで、これについてなかなかコメントしづらいんですが、あくまでも我々は、純粋に、北方領土、これは我々のふるさとなので返還してほしいというふうに訴え続けていることでありますから、今後もこのウクライナ戦争、ウクライナ侵攻によってこの問題が左右されることのないように我々は頑張っていきたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
まさに、人と人で営々とつなぎ続けられてきたものを、ある意味政治的な思惑でこういうような形で行ってくるということは、やはり許し難いものであるなというふうに私自身も改めて思うところであります。
もう一つ、脇参考人にお伺いをしたいと思うんですが、まさにこの北方領土の問題というのは、島民、元島民の皆様、またローカルな問題ということではなく、国の主権の問題として国民全体でやはり考えていかなければいけない問題だと、全くそのとおりであるというふうに思います。特に若い世代に対して、こういう問題があるということ、そしてそれをある意味自分事として捉えていくということは非常に重要であるなというふうに思います。
それらについての啓発として、教育の現場でもどういう取組があるのか、また、場合によっては、例えば既に取組もあるかもしれませんけど、北方領土の密接地域への研修旅行とか修学旅行とか、そういう取組もあったりとかするわけでありますが、それも含めまして、若い世代に対して、この問題に対してより身近に感じて、考えるきっかけを与える取組としてどういうものがあるのか、具体のものがあればそれも踏まえて、啓発ということで御意見があれば是非御指導いただければと思います。

○参考人(脇紀美夫君)

ありがとうございます。
戦後七十七年経過する中にあって、最近になってようやくといいますか、国の方、国の方というか、教科書にも取り上げられるようになりました、この北方領土問題。それ以前は教科書にも全くこのことについては言及されてございませんでしたけれども、ようやく教科書にも載るようになりました。それから、ある場面によっては、就職試験にもこの北方領土問題が取り上げられるようにもなりました。それで、加えて今、非常に有り難く思っているのは、修学旅行生がどんどんどんどん現地の、現地というか、北方領土が見える、特に根室管内の方に来ていただいているということであります。最近ではもう、羅臼だけでも三十校くらいもう今年の予定が入っております。
したがって、修学旅行生の若い方々がこの北方領土を間近に見て実感してもらえるという中にあっては、非常に効果があるものだというふうに思っていますので、これについては今後も全国的に修学旅行ということについて拡大していただければ大変有り難いと思っていますし、そういう面では、今後、我々元島民は八十七歳を超えているわけですから、なかなかもう体力的にも能力的にも気力的にも限界に達しているという中にあって、やはり二世、三世、この若い世代の方々にこの運動を引き継いでいってもらわなければならないというふうに思っていますので、そういう面では、こういう若い人たちのこういう取組というのは非常に有り難く思っていますし、今後とも広めていっていただきたいというふうに念願しております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
その引き継いでいかなければいけないという思い、我々もしっかり共有して、また議論も含め、活動していきたいというふうに思います。ありがとうございます。
山添参考人にお伺いをしたいと思うんですが、ロシアにとっての北方四島の位置付け、もう既に同じような質問は出ているところもあるかとは思うんですが、改めての問いなんですけど、先生の著作とかでも、このロシアの行動というところ、その大国構想というものからいろいろな活動を規律しているというような発想もあったかというふうに思います。
この北方四島というのが、このロシアの大国構想というものの中で位置付けられるものとしてロシアも位置付けているのか、それとも、並立するかもしれませんけど、安全保障上の問題として何か位置付けを考えているのか、若しくは経済的な部分なのか。ロシアにとってのこの北方四島というのはどういう位置付けになっているのかということを、ちょっと抽象的な質問になるかもしれませんが、先生の御意見をもしいただければというふうに思います。

○参考人(山添博史君)

御質問ありがとうございます。
私が先ほど御案内のあった参考資料の中で述べた大国構想というのは主に旧ソ連の空間においてのことで、これはもう、ロシアが一番人口も集中している西の方、ヨーロッパの東部、こちらの、本来ロシアはこれぐらいであったと、本来こう戻るべきだというような、大きな民族の統合とか領土の回復とかそういったもの、それを、大国であるアメリカとかイギリス、フランスでありますとか、もちろん中国にも認めさせたいと、そういう発想であります。
太平洋でもアメリカと対峙はしているわけで、それの一環として、確かに軍事拠点として択捉島、国後島というのをロシアは使っております。これは、ソ連時代の後半に潜水艦を運用するようになって、オホーツク海を潜水艦が行動をすると、それによって、核兵器をもし先にどこかから撃たれたとしても、その潜水艦からは核兵器をもって反撃ができると。そういうものが安全保障の根幹であるという考え方に基づくので、それは北極海にも、バレンツ海ですね、にあるのが第一で、第二としてオホーツク海がある、その一部としての択捉、国後というのがありますので、それについては、やはり安全保障の観点からは今の段階では譲り難いという考え方は非常に強くあると思われます。
以上です。

○矢倉克夫君

その位置付けを踏まえた上で、では、具体的にどうやって取り戻していく交渉をしていくのかという方策について、何かアドバイス等があれば教えていただければと思います。

○参考人(山添博史君)

ありがとうございます。
非常に今申し上げたことからは難しいというのがまず出発点にはなるのですけれども、ただ、歴史を遡ると、海軍が反対していた島を日本に譲り渡したということがありまして、これは一八七五年の樺太千島交換条約のときに、カムチャツカの次のところ、幌筵島と占守島ですね、この辺りの部分をロシア海軍は日本に渡してはいけないと言っていた。ですが、これは、交渉、ロシア皇帝アレクサンドル二世と外相ゴルチャコフが、今ここで決着をして彼らのサハリン島を確保し、日本と問題は決着させるんだという決断でもって、ロシア海軍の言い分は今回は譲りましょうというふうに決着した。
こういう事例はあると言えばあるので、安全保障だから絶対に譲れないということではなくて、それよりもロシアにとって必要な利益が何か、例えばこのときに日本との経済協力、それから外交支援が是非とも必要だという状況になれば、安全保障の考慮というのは絶対的ではなくて相対的な考慮になる、それは考え得るとは思います。それは、その後、これから後の歴史の流れによると思います。
以上です。

○矢倉克夫君

お二人の参考人、大変ありがとうございました。しっかり参考にさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。

211回 憲法審査会

2023-05-17 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
先月二十六日の当審査会において、四名の方、参考人の御出席いただいて、参議院の合区問題、御意見を承ったわけでありますけど、実際に投票率の低下や無効票の増加といった問題が生じていて、合区を解消すべきであると。
おっしゃっていただいたとおり、国政には多様な民意が反映される必要があって、地方の声がないがしろになってはいけないというのは私も強く同意をするところであります。合区をやむを得ないということで消極的に許容をしている御意見はあるかもしれませんけど、積極的に推進しようという意見は特段ないと私も理解しておりますし、で、合区解消のためにどうするかということを各党が知恵を持ち寄ると。
公明党は、先ほど佐々木議員から話があったとおり、全国の十一のブロック単位にした個人名投票の大選挙区制をこれ提唱はしているところであります。あえて繰り返しはいたしませんが。
その上に加えて、参議院が地域代表的性格を有すること、これを認める意義とともに、投票価値がこれ唯一、絶対の基準ではないということも私も同意をするところであります。
その上で、また先ほどの佐々木議員の議論との繰り返しにも一部なるかもしれませんが、この合区問題の抜本的解決のために参議院を都道府県選出の地方代表の議院として位置付けるということ、これについてはやはり慎重に考えざるを得ないなというふうに思っております。憲法上許容される範囲で、法律上、選挙制度上、参議院を地域代表的性格を持たせる形にしていく、都道府県を単位とすることも含めてでありますけど。これはあり得る話なのかもしれませんが、憲法でこれを位置付けるというとやはり意味合いが違ってくる。
なぜなら、まず第一に、参議院が、現行憲法が参議院に付与している様々な権能の正統性、これに大きな影響を及ぼしてしまうと。
地方代表の議院であると強調し過ぎると、憲法が予定している参議院の権能そのものを自ら否定してしまうおそれもあるというふうに思っています。
何度も議論をしている緊急集会、こちら、衆議院の不在時に参議院が国会の機能を代行するという制度でありますが、これの意義付けと矛盾するという話もそうでありますけど、例えば、参議院では決算や行政監視に力を入れておりますが、地方代表の議院と位置付けられると、従来と同様に中央政府の決算や行政監視に力を発揮できるかということは議論が出てきてしまうというふうに思います。
加えて、もう一つ懸念しているのは、憲法の定める代表制の根本に影響してしまうかというところ。
憲法は四十三条で、全国民の代表という形で規定をしており、これは、理解としては、全国民の代表というのは、特定の地域や選挙区の住民による命令委任を否定して、全国民の共通利益に基づいて審議、決定することを求める意味であるというふうに理解もしております。もし合区解消を目的に憲法に参議院の地域代表制を書き込むとなると、規定ぶりによっては、国会議員が選出母体である地方の指令の枠内でのみ代表権を持つにすぎないという形になってしまう、こういう議論もこれまでの学説を延長で考えるとやはり生じてしまい得るかもしれないと。
あと、あわせて、現実的に、参議院には今、比例代表選出の議員の方がいらっしゃる、こことの整合性という問題もあるわけであります。
このような議論、当然これは護憲か加憲かというような単純な区分けから発している発言ではなくて、参議院の独自性、我が国の二院制の機能発揮という国の統治の在り方をどうすべきかという観点からの意見であるということをあえて付言をさせていただきたいというふうに思います。今後も、立法府としては、二院制を採用した趣旨や参議院の独自性といった本質に立ち返った検討をしていくことが必要であると申し上げたいと思います。
あと、もう一つ付言をすれば、選挙制度の在り方を考えるときに、この地域の声を拾い上げるという声とともに、やはり若い人の声を拾い上げていくという、多様的な意見を拾い上げるということもまた考えなければいけないと。こういう観点も含めて今後の参議院の在り方ということもしっかり考えていくことを個人の意見として申し上げて、私からの意見とさせていただきたいと思います。
以上です。

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