知りたい選択的夫婦別姓

2025.02.26 07:00(4か月前) ブログメディア掲載情報 |矢倉かつお

党女性委などの合同会議から
(講演要旨)早稲田大学名誉教授 棚村政行氏

公明党の女性委員会(委員長=竹谷とし子代表代行)、選択的夫婦別姓制度導入推進プロジェクトチーム(座長=矢倉かつお参院議員、参院選予定候補=埼玉選挙区)、地方議会局(局長=中川康洋衆院議員)は20日、東京都新宿区の党本部と全国をオンラインで結んで合同会議を開催。早稲田大学の棚村政行名誉教授から選択的夫婦別姓制度について話を聴きました。講演の要旨を紹介します。

「望む場合」に旧姓選べる

そもそも選択的夫婦別姓というのは、夫婦が望む場合に、婚姻後も夫婦が婚姻前のそれぞれの姓(旧姓)を名乗ることができる制度です。あくまで「望む場合」であることがポイントです。

現在の民法の下では、婚姻に際し、夫婦はいずれかの氏(姓)を選択できますが、婚姻中は同じ姓を名乗り続けることになっています(夫婦同姓の原則)。

1996年に法制審議会(法相の諮問機関)が、選択的夫婦別姓制度を導入するよう答申を行ってから30年近く経過しています。この間、制度導入を盛り込んだ民法改正案が提出されましたが、成案に至っていません。

女性の社会進出で求める声強く

新たに婚姻する夫婦のうち約95%の女性が姓を変えており、事実上、多くの女性が結婚に伴い改姓しています。女性の社会進出に伴い、婚姻後も働き続ける女性が増える中、婚姻前の姓を使えないことが婚姻後の生活やビジネス上の不便、アイデンティティーの喪失などの不利益を被る弊害から、選択的夫婦別姓の導入を求める声が強くなってきました。

一方、旧姓の通称使用拡大で良いのではとの意見もありますが、公的な姓は“戸籍姓のみ”である以上、パスポートや住民票などに旧姓単独で記載できず、不動産登記などにも限界があります。

また、企業では社員のキャリアの連続性を重視するため、旧姓の通称使用が広がっています。しかし、通称使用は日本独自の仕組みであり、海外では同一人物と認識されず、契約や手続き、渡航の際などに不正を疑われてトラブルに遭うケースもあります。

人格権の尊重や多様性を実現へ

選択的夫婦別姓制度の意義などを確認した党合同会議=20日 党本部

選択的夫婦別姓制度の意義などを確認した党合同会議=20日 党本部

では賛成論を詳しく見ていきましょう。現行法では、夫婦同姓により、自分の姓を失う決断をしなければ結婚できないという障害があります。「選択的制度」を導入することで、その障害の除去をはじめ、ダイバーシティ(多様性)などの実現が挙げられています。

また、婚姻の際、同姓と別姓のいずれの選択も可能にすることは、生まれながらの姓(氏)の自己決定権や人格権を尊重する制度と言えます。さらに婚姻前から築いてきた仕事上の実績や評価を維持しやすくなり、キャリアの断絶を防ぐことができ、ビジネスや研究などさまざまな分野での女性活躍に貢献することになります。誰もが生きやすく、活力のある社会の実現につながるとの意見があります。

一方で、反対論については、夫婦同姓を名乗ることは、日本の伝統・慣行であり、社会的に定着しているとの声や、さらに、氏や姓、名字は単なる個人の呼び名ではなく、公的制度として家族のまとまりを示すようなものとの指摘があります。また、今も「○○家の墓」などに見られるように、氏(姓)が家の名称として機能しているとの意見も出ています。

制度導入で、▽親子同姓の原則が崩され、子どもの福祉なども危うくされる▽絆の弱い家族が生まれ、日本社会にとって好ましくない▽家族がバラバラになる――といった意見も聞かれます。

世論調査「賛成」多い

選択的夫婦別姓の賛否

選択的夫婦別姓の賛否

世論の動向はどうでしょうか。日本テレビ系列と読売新聞の世論調査(昨年10月)では、60代までは賛成は約7割に上り、若い世代ほど賛成の割合が多くなります。70歳以上も5割を超えます。

国際的に見ると、夫婦同姓を義務化しているのは日本のみ。国連の女性差別撤廃委員会からは選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、法改正をするように4回にわたり勧告を受けています。

大きな論点の一つ、戸籍制度について述べます。選択的夫婦別姓制度を導入しても、戸籍簿の「戸籍に記載されている者」の欄の【名】を【氏名】に改め、戸籍内の各人について氏名を記載すれば、別姓夫婦とその子についても一つの戸籍に在籍することになります。むしろ、法的氏名は一人につき一つしかなく、改姓の自己決定権は守られ、アイデンティティーも尊重されます。国内・国外共に混乱もないし、家族同一戸籍の原則を変えずに済むので低コストで実現できます。

子の姓の取り扱いについても、家族で姓が変わることに反対という声もあれば、“別姓夫婦”の子どもたちからは、家族の一体感や絆などに問題はないという声も出ています。実態調査やアンケートを実施しながら、それらを基に議論していくべきだと思います。

いずれにしても、制度の導入により、ジェンダー平等などが実現され、社会全体の活力が高まり、格差・分断・対立から平等・融和・団結へと向かうことを期待しています。

(With You)知りたい選択的夫婦別姓/党女性委などの合同会議から/(講演要旨)早稲田大学名誉教授 棚村政行氏

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