法務委員会で民事裁判情報活用促進法を質疑
2025.05.22 22:14(1か月前) ブログ国会質問 |矢倉かつお
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
今日は、法案審査、民事裁判情報の活用の促進に関する法律案ほかということで、まず大臣に伺いたいと思います。
実社会でAIの利活用が進んでいる、その関係でなんですが、本法律案が成立した後は判例情報のAI利活用が進むと見られています。これまでやはり専門家がアドバイスしていたいろんな集積、蓄積が、より一般の人にも身近なものとなっていくという利点が私はあると思うんですけど、一方で、AIが学習した裁判情報を基に偏った判断や誤用、誤解釈がある可能性も否定できない。そういう場合の対応策、まず検討されているのか。
また、二次利用、三次利用での誤情報、誤解釈が特に今SNS等で拡散しやすくなっております。そうである以上、そのようなことが起きたらすぐに対応する速効性というのが必要だと思っておりますが、それに対しての改めての見解を大臣からいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
今回の法案におきましては、そのデータベースの一次的な利用者といたしましては、出版社あるいは判例データベース事業者、リーガルテック企業、研究機関等を想定をしております。そうした中で、そのAI、これは指摘をされているところでもありますけれども、様々なそのリスク、これは当然のことながら我々としても考えていかなくてはいけないことだろうと思っております。
ただ、私どもとしては、まずは、この制度によりまして整備をされる民事裁判情報のデータベース、これ、まさにAIの学習素材になりますので、そういった意味においては、この前提としてまずは指定法人におきまして正確でかつ偏りのない網羅的なデータベースを整備をする、これが大前提になろうと思います。
その上で、その一次的な利用者、これ、どのようなAIを開発するのか、それはどういったプログラミングをするのかにも懸かっていると思いますけれども、そういった中にあって、このAIによる誤情報の提示、一般的なリスクとしてこれは指摘をされております。また、SNSによる誤情報の拡散、これは今御指摘もいただきましたけれども、様々な点で深刻な影響が出得ることだと私どもとしても認識をしております。そうした中にありましては、AIの活用促進に当たっての政府全体の方針も踏まえながら、この予防、さらには抑止、これを図っていくべきと考えております。
私どもといたしまして、この制度に、今回のこの制度によります民事裁判情報の利用状況、これをしっかりと我々としては注視をしていかなくてはいけないと考えておりますし、その上で、AIの活用に係る政府全体としての方針も踏まえて、利用者の皆様方に対するそういった啓発、リテラシーということも当然あろうと思います。同時に、そうしたことが起こらないような必要な取組、これについてもきちんと検討を進めてまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
今、啓発というところもありました。そういう部分も含め、全般の方策の下での分野でありますけど、とりわけルールベースの影響もするところもありますから、是非引き続き検討いただきたいと思います。
また、プライバシーとの関係、先ほども同様の質問あったんですけど、改めて、個人情報保護の観点から、指定法人は裁判所からデータを仮名処理してから公開しますが、衆議院の質疑で、この詳細な仮名処理の基準については指定法人の業務管理に定められますが、法務省においても適切な基準を定めるということであります。
当然ながら、訴訟関係者の権利利益というのをこれ配慮しながら定めるというふうに思っておりますが、まずその確認と、あわせて、SNS等での個人特定されるような事案が散見されます。仮名処理をしてもそれ以外の複合的な方法で個人を特定されるおそれが否定できず、特にストーカーやDV被害、その他の配慮が必要なプライバシー保護をどのように担保するのか、政府の答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(松井信憲君)
お答え申し上げます。
本法律案においては、指定法人が行う仮名処理について、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないようにするために必要なものとして法務省令で定める基準に従い、加工しなければならないものとしております。また、加工の方法に関する事項などは、業務規程に定め、法務大臣の認可を受けなければならないものとしており、詳細な仮名処理の基準等については、法務省令で定める基準も踏まえて、指定法人の業務規程に定められることを想定しています。
本法律案では、指定法人による民事裁判情報の取得、管理、提供の各場面において、訴訟関係者の権利利益に対する配慮をしております。具体的には、指定法人は、民事訴訟法上の秘匿決定や閲覧等制限決定の対象となった情報を、まず取得しない。保有する民事裁判情報等については、目的外使用を禁止するとともに、漏えい、滅失、毀損の防止、その他の安全管理措置を講じる。利用者への提供に当たっては、氏名、生年月日、その他の特定の個人を識別することができることとなる情報等に仮名処理を行うとしております。さらに、委員御指摘のように、他の情報と組み合わせると特定の個人が識別される場合もありますので、訴訟関係者からの申出により、個別の事情を踏まえ、必要に応じた追加的な仮名処理も行うことにしています。
法務省としては、訴訟関係者の権利利益について、本制度で設けた仕組みとその適切な周知徹底を通じて、適切に配慮してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
申出によりですので、訴訟関係者の。ですから、その訴訟関係者がそういう事態になり得るということを理解していく必要があります。そういう部分での周知徹底というのは、運用面も含め、より徹底していただきたいと思います。
次に、あわせて、令和六年七月二十九日の民事判決情報データベース化検討会報告書の中で、訴訟関係者のうち、死者、いわゆる歴史上の人物、公人と言われているような人物、書籍の著者、公務員等、必ずしもその氏名について仮名処理をする必要がないと考えられる類型があるのではないかという御意見がありました。
仮名処理をしない場合というのがあり得るのか、それはどのような場合なのか、政府の答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(松井信憲君)
お答え申し上げます。
本法律案においては、民事裁判情報に含まれる特定の個人の氏名について仮名処理の対象としておりますが、その裁判をした裁判官など、仮名処理をしなくてもその権利利益を害するおそれが少ないと認められるものとして、法務省令で定めるものについては仮名処理を要しないとしております。
加えて、有識者検討会の報告書では、御指摘のような歴史上の人物などの氏名を仮名処理の対象外とすることについても議論がされましたが、その判断をするための画一的な基準を設けることが困難であり、指定法人の整備する仮名処理システムの能力や運用状況等を踏まえて検討するのが相当であると指摘をされております。仮名処理の要否については、省令の内容を踏まえ、指定法人において判断されることになりますが、法務省としては、報告書における指摘を踏まえつつ、省令の制定に当たって必要な検討をしてまいります。
○矢倉克夫君
今の質問も、また今まで質問した部分も、指定法人がどういう業務管理規程を決めるかというところが割と大きな部分があるかなとは、今聞いて、思いました。
改めて、そう考えると、指定法人をどういうふうに選ぶのかというのはこれ大事になってくるわけでありますが、どのような基準でこの指定法人が指定されるのか。また、その運用上の指定の在り方について、今日の議論も踏まえた上で、出てきた問題点なども認識した上で業務規程に盛り込むようにすべきと考えますが、これについての政府の答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(松井信憲君)
お答え申し上げます。
指定法人は、訴訟関係者の権利利益に配慮しつつ、大量の民事裁判情報を適正に取り扱うことが求められますので、本法律案においては、業務を適正かつ確実に行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有する者であることなどを指定の要件としております。
こうした要件を審査するに当たっては公募の手続を予定しており、その詳細については本法律案が成立した後に具体的に検討することになりますが、適切な方式を策定し、仮名処理等の業務の在り方を含めて、候補となる法人の業務執行能力を総合的かつ的確に評価してまいりたいと考えております。
その上で、仮名処理の在り方について定めることが予定される業務規程、これ重要でございますので、指定法人の指定後に策定され、法務大臣の認可を経ることにはなりますが、法務省としては、認可権限の行使を通じて適切な業務規程が定められるように対応してまいります。
○矢倉克夫君
是非、AIへのリスクであったり、またプライバシー保護、その他仮名処理すべきそのものの判断も含めたいろんなところでしっかりした判断ができるような組織でないといけないと思います。今、認可の下でということでありましたが、しっかりした指定基準の下での指定を是非お願いしたいと思います。
また、関連で法案の質問になります。
セキュリティーの問題なんですけど、やはり検討会報告書では、情報漏えいの観点から、裁判所から受けたデータを仮名処理した後、速やかに生データを削除すべきとの意見と、他方で、データベース化した情報に誤りがあった場合、データの修正や申出や申請、実際の修正作業等で一年超は保管すべきとの御意見もあったと理解しています。
四月二十五日の衆議院法務委員会においては、法務省は、今後、指定法人においてこの点については検討するとの答弁があったようでありますが、改めて、裁判所が提供するこの生データというか、それの保管期間はこれ設ける予定があるのか、答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(松井信憲君)
お答え申し上げます。
仮名処理前の民事裁判情報は、訴訟関係者の氏名や住所等の情報を含むものですので、有識者検討会では利用の必要がなくなったときは遅滞なく削除すべきとも指摘されておりますが、その保管期間につきましては、仮名処理の訂正等のために引き続き利用する必要性と必要な安全管理措置を講じつつ保管するコストなどを考慮して、今後、指定法人において検討されることになると考えております。
保有民事裁判情報の保管期間については、安全管理措置に関わるものとして指定法人の業務規程において定められることになると考えておりまして、法務省としては、業務規程の認可等に際し、有識者検討会の指摘も踏まえつつ適切に監督をしてまいります。
○矢倉克夫君
ここもまた業務規程がどう規定されるかということでありますが、しっかり、今、有識者会議でもいろいろ意見があるということでありますが、修正の可否等も含めた判断も入れて、しっかり検討いただきたいと思います。
個人的には、デジタルデータの保管というのは必ずバックアップを複数持つことが一般的には有効であると私は考えていますが、例えば、サイバー攻撃のほかに、日本ですと災害リスクというものもあります。こういったことも考慮した上でデータの保管というのも必要であると考えます。
この点についての政府の考えをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(松井信憲君)
お答え申し上げます。
指定法人のデータベースが安定的に提供されるためには、サイバー攻撃や災害リスク等も考慮した上で、指定法人において民事裁判情報等を適切に保管する必要がございます。
本法律案においては、指定法人の保有する民事裁判情報等に関する漏えい、滅失又は毀損の防止、その他の安全管理に関する事項を業務規程の必要的な記載事項としており、所要の提出書類等により漏えい、滅失等のリスクへの適切な対策が講じられているかについて、そのデータの保管の在り方も含め審査することを想定しております。
法務省としては、指定法人において十分な安全管理措置が講じられるように業務規程の認可を適切に行うとともに、各種監督権限の行使を通じて指定法人における民事裁判情報の適正な保管管理が徹底されるように配慮してまいりたいと考えています。
○矢倉克夫君
この点も、改めて今の視点も踏まえて、指定法人の安全な管理体制ができているかは、また法務省としても引き続き法案成立後も対応をお願いしたいと思います。
あわせて、また漏えいの関係でありますが、再委託との関係になります。
データベース化する指定法人からの委託や再委託という、これ可能だというふうに理解していますが、このデータに触れる人が増えるほど、情報漏えいの危険性、当然高まります。
法務省が指定する指定法人からの委託や再委託をする場合、その委託先、とりわけ再委託先、法務省はどのように監督できるのか、監督すべきであると思いますが、これについての政府の答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(松井信憲君)
お答え申し上げます。
本法律案においては、指定法人の保有する民事裁判情報等の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全管理に関する事項を業務規程の記載事項とし、法務大臣の認可を受けなければならないものとしており、指定法人は、委託先及び再委託先における取扱いも含めて、その安全管理を確保すべき義務を負っております。
したがって、指定法人が民事裁判情報管理提供業務の一部を委託し又は再委託に同意するに当たっては、まず、指定法人において、委託先との契約及び再委託に係る同意を通じ、それらの委託先等を適切に監督することが求められます。加えて、本法律案では、業務の一部の委託又は再委託に当たり、指定法人が法務大臣の承認を受けなければならないこととしております。
委員御指摘のとおり、法務省としては、業務委託による情報漏えいのリスクにも十分注意しつつ、承認の可否について適切に判断するとともに、指定法人に対する各種監督権限の行使を通じて、委託先、再委託先の業務の適正を確保してまいります。
○矢倉克夫君
だから、再委託をする場合は、法務省の監督の仕方としたら、指定法人に対して監督をしていき、あとは指定法人にしっかりとやってもらうように監督していかなきゃいけないということであります。そういう点でも、指定法人というのは、より責任ある体制を持っているところでなければいけないし、そういう趣旨も踏まえて今後の運用もまた是非お願いをしたいと思います。
じゃ、ちょっと次に行きたいと思うんですが、この司法分野にIT化を進める趣旨は、報道ですと、例えば、このIT化が進んでいないことで海外の企業とかがこの日本の裁判所とかを選択しなくなって、それが日本企業に影響を及ぼしているというようなことが背景にもあるということ、一部ありました。
もうこの当否はまた別にしても、大臣にお伺いしたいと思うんですが、私はやはり、日本の中小企業とかがとりわけ海外と取引するに当たって、日本の法制度をしっかり利用できる、裁判所で裁判を受けられる、そして日本の仲裁機関で裁判を、仲裁を受けられるということは非常に重要だと思っています。
ちょっと話題が変わってしまうんですけど、特に仲裁においては、ニューヨーク条約というのが締約されていて、日本の企業が関わるものであっても、その仲裁の下の拘束力というのは、百六十か国以上これ拘束される、法の執行という意味でも非常に重要、これをしっかり伸ばしていく必要があると思います。
日本でも仲裁センターが一時できたんですけど、やっぱりそれが閉鎖になったりとか、様々課題もある中でありますが、私は、この仲裁というのを広めていくためには、やっぱりそれができ得る専門家をしっかり育成しなければいけないと思っています。そこが今大きな課題。それをなし得る人が少ないから海外もやはり日本の仲裁機関を利用しないということは、大きな課題の一つだと思っています。
大臣に、この日本における国際仲裁の促進のためには専門家育成が最大の課題と考えていますが、それに対する政府の対応策、これをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
矢倉先生御指摘のように、我が国日本における国際仲裁、この活性化のためには、まさにその人材、この国際仲裁に精通した人材の育成、これは極めて重要だと考えております。
私どもといたしましては、昨年五月に、国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議で策定をされました国際仲裁の活性化に向けて考えられる施策、令和六年指針と言われておりますけれども、そこに基づきまして、関係機関と連携をして、例えば、大学生、法科大学院生、司法修習生等の若年層を対象とした各種教育等の活動の実施、あるいは実務家層、この方々を対象としましたトレーニングプログラムを提供する海外の仲裁関連団体との連携等々、人材の育成に関する取組を進めているところであります。
引き続きまして、国際仲裁の活性化に向けまして、まさに、この国際標準、これに則した仲裁事務やあるいは英語での法律実務、ここにたけた人材の育成に関する取組、これ極めて大事でありますので、しっかりと進めていきたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
最後に、大臣にもう一問だけ。
デジタル化というところで共通して進んでいるところは相続登記とかの分野でありますが、御案内のとおり、相続登記、住所等変更登記の申請義務化、これは既に生じた相続や住所等の変更も対象でありますが、周知がまだ足りないです。この周知徹底をするとともに、司法書士等の力も借りた相談体制の強化もこれ必要と考えますが、最後に大臣にこれをお伺いしたいと思います。
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