【矢倉かつお】災害対策特別委員会(被災障害福祉施設の支援、災害ゴミの対応等)_20191120

2019-11-20 矢倉かつおチャンネル

【矢倉かつお】本会議(日米貿易協定)_20191120

2019-11-20 矢倉かつおチャンネル

200回 災害対策特別委員会

2019-11-20 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
まず冒頭、私からも一連の災害により犠牲になられた方の御冥福を心からお祈りを申し上げるとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。政治の主流に防災・減災を持っていく、党の公約もしっかりと果たしていきたいと思っております。
お時間をいただきました。私からも、私、地元である埼玉県を中心として主に声をお伺いしておりました。それを基にして質問させていただきたいと思います。
まず最初に、堤防の決壊によりまして壊滅的な被害を受けてしまった障害福祉サービス事業所、こちら、私が行ったところは社会福祉法人であったんですが、こちらの事業の継続支援についてお伺いをしたいというふうに思います。
資料、お配りしております一枚目、この上のところが今の施設の状況、今といいますか二週間ぐらい前ですけど、御覧のとおり、とてもこの場所ではサービス提供できる状況ではないことであります。現在入所されている方々、指定避難所での集団生活というのはこれ難しいので、ほかの民間施設に移られる方もいらっしゃいます、何個かに分けて。それ以外では、御自宅の方に戻られて家族とともにお暮らしになっている方も多くいらっしゃる状況であります。
その上で、資料の下二枚になるんですが、これは体育館に避難をされている方々をケアされている方々の状況を撮影いたしました。これ、右の方の写真は、事務所のように見えるんですけど、これ玄関なんですね。玄関先で、こういう形で椅子だけを置いて風に吹かれながら頑張っていらっしゃる状況であります。こういう状況の中で、事業所の職員の方、利用者一人一人にできる限りの生活を、これは自宅に戻られている方も含めた提供をしている状況であります。
ただ、問題は、今この復旧できていない間の運営をどうしていくのか。御案内のとおり、事業所の職員の報酬というのは利用者の施設利用に応じて行政より支払われる支援費で賄われているわけでありますが、その支援費収入が仮に途絶えてしまっては、施設がないということで途絶えてしまっては、これは死活問題になる。あと、社会福祉法人などは、内部留保も規律がありますので、当面の手持ちも十分にあり得ないところもあります。
そういう中にあって、お尋ねしたいんですが、事業所が復旧するまでの間は、これは自宅待機をしている方へのサービスの提供も含めて、様々な形態での障害福祉サービス提供はあると思います。これ、被災前の事業所の実績も踏まえまして支援費の請求をできるように、これをすることが喫緊の課題であるというふうに思っておりますが、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

○政府参考人(橋本泰宏君)
御指摘のように、避難などによりまして利用者が不在となることで通常のサービス提供が困難となる場合におきましては、障害福祉サービス事業者の収入が減少して今後の事業運営に支障を来す、そういったおそれもございます。
私ども厚生労働省といたしましては、今回の災害を踏まえた特別な対応といたしまして、障害福祉サービスの報酬請求に係る例外措置を講じたところでございます。
具体的に申しますと、就労継続支援のような通所サービス事業所とか、あるいはグループホーム、あるいは障害者支援施設が、避難所で生活する利用者に対してサービスを提供したり、仮設の建物等を利用してサービスを提供したりすることによりまして、通常のサービスを継続して提供できているというふうに判断できるような場合、あるいは、やむを得ない理由によりまして居宅等で安否確認をしたり相談支援に応じるなど、できる限りの支援を実施した場合、こういった場合には障害福祉サービスの報酬を請求することができるということを地方自治体の方に周知をさせていただいております。
今後とも、被災者の方々、障害福祉サービスの事業者の方々、あるいは被災自治体の方々に寄り添いまして、被災の状況に応じた適切な対応を心掛けてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
居住系のみならず通所系も含めてということも踏まえて、また、御自宅の方に戻られている方々へのサービスも踏まえた上での御答弁でありました。現場の方、この言葉を聞くと安心されると思います。ただ、まだ御存じでない方が非常に多いというのが私の実感でありますので、こういう取扱いを今回しているということを引き続き周知徹底をよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
それでは、次の質問に移らせていただきたいというふうに、その前に、二枚目の資料、これを御提示させていただきます。
今申し上げたところは、これ、けやきの郷さんというところでございます。御案内のとおり、場所なんですが、越辺川、また、これ越辺川に合流する入間川が近くにあるところに所在をしている。これを見せると、何でこんなところにというように言われる方も多くいらっしゃるんですが、背景だけ申し上げると、三十年ほど前、ずっといろいろなところで反対運動を受けて、やっとここにたどり着いた、ここに市が提供してくれたということでありました。
現在は、障害者差別解消法がありまして、合理的配慮ということ、障害を持っている方への配慮というのがあるわけであります。この法律の精神にのっとって、この施設が安全な場所で更にサービス提供ができるようにすることもまた政治の役割であるかというふうに思っております。その趣旨も踏まえて、是非引き続きの御対応をよろしくお願いを申し上げます。これは要望だけにさせていただきます。
続きまして、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。災害ごみの迅速な処理についてです。
現在調査中と伺っておりますけど、今回の台風被害で発生する災害ごみ、数百万トンとも言われております。これ現状、災害ごみは、公園だったり、また空き地などに、要は地域住民の方が暮らしていらっしゃるすぐ近くのエリアに今置いてある、一時的に集積されているところもあります。これは自治体にとって大きな課題になっているものです。
これは、周辺の自治体も含めて、仮置きスペースも見付からないというような声も聞いておりますが、是非、これ広域的な連携も視野に入れた迅速な支援というのも必要であるというふうに考えておりますし、それを踏まえまして、改めて、環境省になると思いますが、お願いをしたいことは、仮置場の確保に加えまして、輸送体制、広域的な支援、連携する場合の輸送体制の構築であったり、また焼却施設の手配など、このようなことも進めていくべきと考えておりますが、こちらについての御対応をお伺いしたいというふうに思います。

○政府参考人(山本昌宏君)
お答えいたします。
今回、本当に大変多量な災害廃棄物が発生しておりまして、まず仮置場の確保、それから先ほど御指摘ありましたように、身近なところ、宅地や路上からの速やかな撤去と、それから仮置場からの搬出ということを今進めております。
災害廃棄物の収集、運搬を支援する輸送体制ということでありましたが、収集、運搬を支援するために、環境省が調整いたしまして、支援自治体あるいは民間廃棄物関係団体がごみ収集車両を派遣するとともに、それから防衛省・自衛隊やボランティアとも連携して災害廃棄物の撤去を着実に進めておるところでございます。
また、御指摘がありました焼却施設につきましては、市町村の焼却施設だけではなく、セメント事業者も含めた民間の事業者の活用、それから県を越えた広域処理についても環境省において調整支援を行っているところでございます。
年内を目標としまして、生活圏からの撤去完了を目指して、引き続き、人的、物的、財政支援のあらゆる側面から被災市町村に寄り添って支援してまいります。

○矢倉克夫君
是非、これは大きな課題になりますので、広域連携を含めた体制というものもつくっていただきたいというふうに思います。
環境省さんの方でも、廃棄物処理体制検討事業ということで予算も組まれていることもあるかというふうに思います。平時からこのような体制がつくれるような在り方というものも引き続き御検討をいただいて、今回のことを教訓として、更なる発展に向けてのお取組を要望をしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
じゃ、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
これもまた現場の声から聞いたお話なんですけど、これは私の地元埼玉県、被災地を回って聞いたお声の一つです。その中で、半壊認定を受けた、罹災証明書で、方でありますが、いわゆる応急修理について御質問を受けました。応急修理の対象になるということで市役所の方に申請に行きましたところ、この方の年収五百万を超えるという、五百万にほぼ近いという、五百ちょっと超えるということで、収入要件で制度は利用できないと断られてしまったということでありました。その方が言うには、応急修理制度には内閣府の要領では世帯年収制限があるらしいという、なぜ自分の家だけ申請がはねられてしまったのかというふうに落胆をされていたところであります。
そこで、内閣府に質問をいたしますが、災害救助法による住宅の応急修理制度、これいまだに所得要件というものが設けられているのでしょうか。既にないということであれば、その周知徹底を図っていただく必要があるというふうに思いますし、あるのであれば、今回の台風十九号災害において、内閣府では住宅の応急修理制度、これ拡充したわけであります。これを機に、この収入要件、所得要件というものはもう撤廃すべきと考えますが、内閣府の見解を求めます。

○政府参考人(青柳一郎君)
お答えいたします。
委員御指摘の住宅の応急修理制度の資力要件につきましては、平成二十八年の熊本地震を契機としまして、それまでの世帯収入等の確認を求めずに弾力的な運用も認めることとしたところでございます。現在、五百万円で受けられないというようなことはございません。
ただ、いまだこの弾力的な運用について知らなかったという自治体職員がおると、所得の確認を求めているという自治体があったことから、再度、今年十月二十三日付けで通知を発出して、資力に関しては被災者の申出書の提出だけでよいという旨、改めて周知を図ったところでございます。
引き続き、この点について、自治体また被災者に向けて周知を図らせていただきたいと思います。

○矢倉克夫君
今、既にこの要件、資力要件ですね、資力要件はないという趣旨のことを答弁もいただきました。
今お話があったとおり、自治体はまだそこまで徹底がされていないようでありまして、是非これは引き続き周知徹底をしていただきたいというふうに思います。いずれにしろ、応急修理という非常時の制度にあって、前年等の基準を含めた資力は何かということ、これ求めることは非常にナンセンスであるというふうに思います。
そういう中で、いろいろ運用で苦慮をされているところはあるかというふうに思いますが、是非対応をこれ周知はしていただきたいというふうに思います。事務取扱要領も、現在は既にない、例えば畳六畳でなければいけないとかそういう要件なども、まだ自治体の中には昔の要件をそのまま理解している方もいらっしゃりだったとかそういうこともあると思いますので、一つ一つ細かいところをしっかり周知徹底をして、現場で混乱がないように取組を引き続きよろしくお願いを申し上げます。
次に質問させていただきます。
今度は農業についてになりますが、これも被災地で聞いたお話なんですけど、埼玉で、耕作放棄地、こちらを開拓しながら営農をしっかり広げていらっしゃる団体があります。こちらも被災をされたわけなんですけど。この耕作放棄地を広げるとかでは、例えばユンボを使ったり、またフォークリフトを使ったり、そういうものも使ったりとかするわけであります。これはあくまで農業利用のために使ったりとかしている。
農機については、先ほども御説明も少しあったところでありますが、今回も補助の制度というものはこれはあるわけであります。例えば、例えばと申し上げますか、修繕であったり再取得などについての補助というのはこれあるわけでありますが、その方は、この自治体との関係のお話の中では、こういうユンボであったりそういうものは対象でないから難しいというような御意見を伺ったというふうに聞きます。
しかし、農業利用で使っているものでもあり、そして営農継続というところでは非常に重要なものでもあって、しっかりと対象に含めるべきであるというふうに思っております。既に私の理解では対象に含めている部分もあったかというところはあったんですが、改めて確認の意味で、このようなものに対して補償の対象になるのかどうか、農林水産省から答弁をいただければというふうに思います。

○政府参考人(上田弘君)
御説明申し上げます。
今般の台風、豪雨により被害を受けたトラクター等の農業用機械の修繕、再取得については、強い農業・担い手づくり総合支援交付金の被災農業者支援型を発動し補助上限を撤廃するとともに、耐用年数を経過した機械も支援対象とするなど、特別な対策として被災農業者の営農再開を後押しすることとしているところでございます。
委員お尋ねのユンボ等につきましては、被災時に農業用に利用されていたものであって農産物の生産等に係る作業に使用する期間において他用途に使用されないものであること、農業経営において真に必要であること、導入後の適正利用が確認できるものであることを全て満たす場合に支援対象とさせていただいているところでございます。
なお、台風第十九号については、過去五回しか指定されていない特定非常災害になったことから、その特殊性を鑑み、補助率を二分の一に引き上げることとしているところでございます。

○矢倉克夫君
是非、現地で苦しまれている方々をお支えする上でも、運用も含めて適切な形で運用いただいて、広い範囲の方がこの制度にしっかり助けられることがあるような運用を自治体と連携して進めていっていただきたいというふうに思います。
最後に、大臣にお伺いをいたします。
被災者の方々をお伺いすると、やはりインフラ整備、更なる防災・減災、国土強靱化の重要性を訴えられております。三か年七兆円、防災・減災、国土強靱化緊急対策予算、今執行されているわけでありますが、主な事業としてはこの三か年で完成し得るものが中心となり、やはり、これからの大きな予想外の災害に対応するためには、もっと長い期間の長期的な視点での事業も含めた予算組みというものがやはり私は必要になってくるというふうに思います。
そういう観点も含めて、この三か年以降の継続的なインフラ整備というものに対しての必要性、それに対する施策の方向性について大臣から答弁をいただければと思います。

○国務大臣(武田良太君)
ここまで災害が甚大化そして多発化する中で、国土強靱化政策というのは重要度を増してきていると思いますし、今我々はこの三か年対策、緊急対策というのを集中的に今やらせていただいているところであります。
十一月八日、安倍総理の新たな経済対策に関する指示を受けまして、まずは令和二年度までの三か年緊急対策の取組を着実に進めるとともに、さきの台風の被害を踏まえ、関係省庁と連携して対策を取り続けてまいりたいと思います。
この三か年緊急対策につきましては、しっかりとこの三か年緊急対策の進捗状況そして達成度合いというものをフォローアップしながら、これが重要な土台となることと考えております。
そして、このフォローアップの結果も踏まえながら、三か年緊急対策後につきましても、国土強靱化基本計画に基づきながら必要な予算を確保した上で、オールジャパンで国土強靱化に努めてまいりたい、このように考えております。

○矢倉克夫君
安心、安全な、そのためのインフラ整備は未来に残す資産として重要であります。未来世代に対する責任としても、引き続き、しっかりした予算組みとともに、インフラ整備を是非、大臣、リーダーシップ取っていただいて、お願いをしたいというふうに思います。
あと、最後に一言、先ほど足立先生からも資料があった埼玉県加須市、広域避難、今回は本当に避難という形で迅速に対応された、御紹介いただいたことを感謝を申し上げたいというふうに思います。
加須市は、七十年以上前のカスリン台風の教訓をずっと引き継いで引き継いでということを、地域でも学校教育の現場とも連携をしてされていたことであります。一つ一つの教訓をどうやって地域社会と連携をしていくのか、それを具体的なお一人お一人のアクションに結び付けていくのかというところも、これ政治、行政にとって重要な視点であるというふうに思います。
こういう取組をまた地方議員の皆様とも連携して行っていくべきであるということも含め、私の決意も申し上げまして、簡単ではございますが質問と代えさせていただきます。
ありがとうございました。

200回 本会議(日米貿易協定)

2019-11-20 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
会派を代表し、ただいま議題となりました両協定、特に日米貿易協定について御質問いたします。
今般まとめられた両協定、とりわけ日米貿易協定は、経済成長、消費者利益、自由貿易推進などの諸点において意義あるものと評価をいたします。
一方、政府にまず強く求めたいことは、協定により影響を受ける可能性のある方々、特に農家を徹底的に支えることであります。これなくして自由貿易推進への理解はあり得ません。
その上で、政府には、自由貿易の旗手として多国間協調主義を守ることにも全力を挙げていただきたい。自由貿易の価値は、お互いの優れた点を共有し、全体を押し上げる協調の精神であります。これは、自国の利益のみを時に他国の犠牲の下に追求する保護主義とは対局にあります。
以上を前提に、まず、農業支援についてお伺いをいたします。
政府は、今回の交渉による農林水産物の生産減少額を約六百億から千百億円と試算します。生産する量は減らず、競争により販売単価が低下した前提であるとのことですが、消費者にはプラスの数値である反面、生産者側にとっては単純に売上高の減少となります。
農業の生産性を高めコストを低下させることで、生産者の利益、利潤を維持する、これが政府の責任です。
そのために重要なことは、生産関係者の連携、力を合わせる仕組みづくりであります。産地パワーアップ事業や、今回、生産額の減少が試算されている畜産分野における畜産クラスター事業の維持及び更なる充実が求められております。この点に関し、農林水産大臣の御所見をお伺いいたします。
豚コレラ改めクラシカル・スワイン・フィーバー、CSF対策についてお伺いをいたします。
私の地元埼玉県においても、疑似患畜五例目が確認をされました。CSF対策は、家畜伝染病予防法などの下、都道府県単位で対応することが基本でありますが、これ以上の蔓延を防ぐため、国としてもより積極的に県域を越えた広域による防止策に力を入れていただきたく思います。今後のCSF対策について、農林水産大臣にお伺いをいたします。
日米貿易協定を受けた農業支援につき、国際競争力のある分野に重点を置くべきとの意見もあるやに聞き及びますが、慎重であるべきです。競争力を高めることも政府の責任である一方、より以上に大事なことは、冒頭申し上げた趣旨にのっとり、自由貿易推進によっても誰も取り残されない経済をつくることであります。特に、条件不利地や中山間地域なども含めた農業基盤の整備をするべきです。これは、自由貿易を進める政府の責任であります。農業支援一般の在り方について、総理の御所見をお伺いいたします。
政府は、協定による経済成長をGDP〇・八%、二〇一八年度換算で四兆円と見込みますが、これは、自動車及び自動車部品に関する関税撤廃を織り込んだものであります。試算に盛り込む以上、政府は、早期の関税撤廃に向け、全力を尽くさなければなりません。
米国との附属書Ⅱに関税撤廃に関する交渉とだけあることを捉え、協定はTPPより後退をしているとの御指摘もありますが、そのTPPにおける自動車関税撤廃は二十五年後、トラックは三十年後であります。ここに言う交渉とは、TPPと同水準、あるいはより日本に有利な条件を勝ち取る思いでの交渉であり、政府はその思いで交渉に当たっていただきたい。今後の自動車交渉に当たっての総理の御決意をお伺いいたします。
あわせて、牛肉セーフガードについてお伺いをいたします。
現状、TPP11における牛肉セーフガードに関する規定は、TPP11に未加入のアメリカを含めた発動基準であり、これに今般の日米貿易交渉で締結をされたセーフガードが追加になることで、結果的に日本に向けた牛肉に対するセーフガードの発動基準は緩くなり得るとの御指摘もあります。
農林水産大臣に今般の牛肉セーフガード規定の評価を、西村経済再生担当大臣にTPP11諸国とのセーフガード条項をめぐる外交交渉方針についてお尋ねをいたします。
今回、米国と二国間協定を結ぶことは、米国をTPPに戻すという従来の政府方針とは矛盾をいたしません。TPPのような多国間協定においても関税分野は二国間交渉が基本であり、今回の日米貿易協定の交渉結果は、言わば来るTPP米国入りに向けた関税交渉の基礎をつくったとも言えるからであります。
米国を含めた形でのTPP締結は、米国を含めたサプライチェーン構築を通じ、とりわけ中小企業の多い我が国自動車部品メーカーなどにもメリットとなります。米国のTPP復帰に向けた交渉方針について、西村経済再生担当大臣にお伺いをいたします。
冒頭申し上げましたとおり、自由貿易の旗手たる日本が、保護主義と対峙をし、自由貿易の持つ協調の精神を世界に発することは、日本が国際社会において果たす使命であります。政府は、この日米貿易協定を自由貿易推進の一里塚としていただきたい。
最後に、総理に、米国をTPPに組み込むことが世界経済に与える意義と、今後、世界の自由貿易、その価値である多国間協調主義を守り、その推進役として活動する決意をお伺いをいたします。
分断が叫ばれる世界、その背景の一つが貿易紛争であります。米国、中国という大国の間に位置する太平洋の大国である私たち日本には、自由貿易の価値を具現化し世界の海をつなぐ使命がある、そのことを再度強調いたしまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君)
矢倉克夫議員にお答えをいたします。
日米貿易協定を受けた農業支援についてお尋ねがありました。
米国との貿易協定において、農林水産物については、過去の経済連携協定で約束したものが最大限であるとした昨年九月の共同声明に沿った結論が得られました。とりわけ我が国にとって大切な米について、関税削減の対象から完全に除外しました。さらには、米国への牛肉輸出に係る低関税枠が大きく拡大するなど、新しいチャンスも生まれます。
それでもなお残る農家の皆さんの不安に対しても、しっかり向き合い、万全の対策を講じてまいります。年末に向けて、与党のお力も借りながら、総合的なTPP等関連政策大綱を改正する考えです。
先日編成を指示した補正予算も活用し、新たな市場の開拓や、条件不利地や中山間地域等を含めた生産基盤の強化などに取り組むことで、今回の協定を、全国津々浦々、我が国経済の更なる成長につなげてまいりたいと考えています。
自動車、自動車部品の関税撤廃についてお尋ねがありました。
日米貿易協定では、自動車、自動車部品について、単なる交渉の継続ではなく、更なる交渉による関税撤廃を明記しました。こうした今回の交渉結果については、我が国の自動車工業会から、自動車分野における日米間の自由で公正な貿易環境が維持強化されるものであるとの評価が発表されているものと承知しております。
具体的な関税撤廃時期については今後交渉を行うこととなりますが、自動車は、現在、電動化、自動走行による大変革期にあり、様々な部品構成やその重要度も変わっていく可能性が高いことなども踏まえ、このような状況を見極めながら、今後、最善の結果が得られるよう、しっかりと協議を行っていく考えです。
米国をTPPに組み込むことの意義及び自由貿易推進に係る決意についてお尋ねがありました。
TPP11協定のハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを広めていくことは、世界の安定と繁栄に大きな意義があります。そうした観点から、我が国としては、米国を含めてできるだけ多くの国・地域がTPPに参加することが最善であると考えております。
他方で、TPP11、EUとのEPA、さらには日米貿易協定を合わせれば、世界のGDPの六割、人口十三億人を超える巨大な市場が日本を中心として構築されることとなります。経済のグローバル化によってサプライチェーンが世界ワイドで広がる時代にあって、オンリーワンの技を持つ我が国が誇る中小・小規模事業者の皆さんにも世界を舞台に大きなチャンスが広がります。
また、現在、国際貿易をめぐっては、米中の貿易摩擦を始め世界的に懸念が高まっていますが、公正なルールを共有する巨大な自由貿易圏が誕生する意義は国際的にも大きいと考えています。
日本は、これからも自由貿易の旗手として自由で公正な経済圏を世界に広げていくため、主導的な役割を果たしていく決意であります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣江藤拓君登壇、拍手〕

○国務大臣(江藤拓君)
矢倉議員の御質問にお答えいたします。
産地パワーアップ事業及び畜産クラスター事業の維持及び更なる充実についてお尋ねがありました。
農林水産省としては、総合的なTPP等関連政策大綱を見直して両事業を充実させることにより、生産基盤の強化やコスト低減による生産性向上を図り、輸出にも対応できる強い農業を構築していく考えであります。
次に、今後のCSF対策についてのお尋ねがありました。
CSFの対策については、本年十月に防疫指針を改定し、予防的ワクチン接種を開始するなど、対応を強化してまいりました。
予防的ワクチンの接種を開始した後も、それで安心ではなく、いまだワクチンが開発されていないASFの侵入のリスクが高まっていることを踏まえると、飼養衛生管理の徹底が引き続き防疫の基本であり、現場への周知徹底や丁寧な指導を実施してまいります。加えて、ヘリコプターも活用した経口ワクチン散布や捕獲強化などの野生イノシシ対策、水際対策など、国が主導して都道府県と連携し、あらゆる対策を総動員してまいります。
最後に、日米貿易協定における牛肉のセーフガードについてお尋ねがありました。
牛肉のセーフガードは、二〇二〇年度の米国への発動基準数量を、二〇一八年度の輸入量二十五万五千トンより低い二十四万二千トンに抑制したところであります。
この二十四万二千トンに二〇一八年度のTPP11発効国からの輸入量三十六万四千トンを加えると六十万六千トンとなり、二〇二〇年度のTPPの発動基準数量六十一万四千トンとの差が八千トンあることから、TPPの範囲内とすることができたと考えております。
なお、今後のTPP11関係国との協議につきましては内閣官房において適切に判断されるものと考えておりますが、私としては、生産者の不安に寄り添い、できるだけ早期に協議する必要があると考えております。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕

○国務大臣(西村康稔君)
矢倉克夫議員からTPP11諸国とのセーフガードに関する今後の交渉についてお尋ねがございました。
TPP11の発効後の運営等についてこれから具体的に話し合う予定であり、また、いまだ国内手続を完了していない国ができるだけ早期に締約国となるよう働きかけているところであります。
本件については、いずれかの時点でTPP関係国と協議を開始する必要があると考えておりますが、TPP11も発効から間もないこともあり、また、日米貿易協定の発効後の実際の輸入の状況などを見極めた上で、関係国と相談を行うこととしたいと思います。
また、この旨を関係国に伝えているところであります。オーストラリアのバーミンガム貿易大臣にも私からこの旨伝えております。
また、米国のTPP復帰に向けた交渉方針についてお尋ねがございました。
今回の協定では、日本の農林水産品については、米や林産品、水産品、さらにはTPPワイド関税割当て対象の三十三品目など、多くの品目で譲許しておりません。また、投資、サービス、ルール等については、デジタル貿易ルール以外は今回の合意には含まれておりません。米国にとってはTPP12の際に得られていた内容で、本協定では得られていないものが残っており、米国がTPPに戻るインセンティブがなくなったわけではないと考えております。
TPPのハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくことは、国際経済社会の安定と繁栄に大きな意義があります。そうした観点から、我が国としては、米国も含めてできるだけ多くの国・地域がTPPに参加することを期待しております。(拍手)

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