189回 法務委員会(船主責任制限法案 第三者被害の救済等)

2015-04-23 国会質問議事録

○矢倉克夫君
おはようございます。公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
今日の法案、今議題になっている法案、これは日本も批准をしている海事債権責任制限条約、こちらが改正された、それに対応する改正という部分であります。その部分では基本賛成というふうに思っております。今日は、それをまた前提とした上で、このような海難事故、それに当たっての被害者救済というものはどうあるべきかというところを議論させていただきたいというふうに思っております。
先ほども小川委員の方からも話のありました平成二十年の三月に起きました明石海峡船舶衝突事件における主に漁業被害、非常に多かったわけですけど、こちらの状況と、またどのような形で補償されたのか、その部分をちょっと簡単に御説明いただければと思います。

○政府参考人(水田正和君)
お答えいたします。
平成二十年の明石海峡での事故につきまして地元の漁業者団体から聞いたところによりますと、ノリの養殖業やイカナゴなどの漁船漁業などに約四十億円の漁業被害があったところでございます。しかしながら、船舶所有者の責任限度額を超えたということから、漁業者に支払われた賠償金は約四億円にとどまったというふうに承知しております。
水産庁といたしまして、こういった事態は漁業者の生計に関わる重大なものであると認識しておりまして、明石海峡での事故の際には、漁業共済の共済金約五億円の支払などによりまして漁業被害者への支援を行ったところでございます。
当時、この事故で被害を受けた兵庫県のノリ養殖業者の方々におかれましては、漁業共済への加入率が低く、また補償額の低い契約を選択されていた方が多かったということから十分に被害をカバーできなかったところでございますが、現在では、兵庫県のノリ養殖業者の共済加入率は九割を超えておりまして、補償額の高い契約が選択されていると承知しております。

○矢倉克夫君
現実的な対応として漁業共済の普及を更に進める、これは大事な部分であるので、引き続きしっかりやっていただきたいと思います。
ただ、今お話もありました、漁業権が侵害されて生活基盤が非常に苦しくなっている住民の方というのがいらっしゃる。私は、今やはり気になっている部分は、船主の責任制限という、これ原則的なように言われている。これ自体は合理性はある部分ではあると思うんですが、所与のものとして強調され過ぎてしまうことで被害者の保護というのが軽視されてしまうという傾向はやはりよくないと思います。両方をしっかりと両立させるという部分がやはり大事であるかと思っております。
今、とりわけこの船主の損害賠償の責任というのは、やはり注視すべきは過失責任であるわけですよね。無過失責任ではなくて、過失があって、それに相当因果関係がある損害について損害を賠償するという責務がある。これが民法の原則どおりの対応でありまして、この法律はやはりその民法の原則に対しての、いろんな政策上の理由もあると思うんですけど、特例を設けているという部分。そういう部分の中で、被害に遭っている被害者の方への救済という部分が、今メーンで御説明いただいたところは漁業共済になりますけど、これはやはり自己責任という部分になりますから、果たしてそれだけでいいのかというところはやはり議論はしていかなければいけないところであるかと思います。
国交省さん、今日来ていただいております。やはり同じような、明石海峡の事件を受けて、平成二十三年二月に、対応をどのようにするのか中間取りまとめをされていらっしゃる。いろいろなオプション、どういう方策があるのかというのを考えられた上で、やはり最終的には一つ一つなかなか難しいというような結論になっていた中間取りまとめであるというふうに理解もしております。
一つ一つ今検証するのはちょっと時間がないので幾つかだけですけど、まず、中間取りまとめの中で挙げられていた船主による国際基金の創設、これが現状難しいというふうに判断をされている理由を御説明いただきたいというふうに思います。

○政府参考人(櫻井俊樹君)
お答え申し上げます。
海運業の国際性に鑑みれば、責任限度額を超える被害について被害者を救済する制度を創設する場合には、国際的枠組みを前提として取り組むべきと考えております。そのような考え方から、二〇〇八年三月に発生しました明石海峡におきます船舶多重衝突事故を受けまして、関係省庁及び有識者から成ります船舶燃料油被害の補償制度に関する検討会を二〇〇九年十一月、国土交通省において立ち上げました。
今、先生御指摘のとおり、この検討会におきましては、複数の救済の方策、船主責任制限条約の簡易改正手続による責任限度額引上げ、今回の改正の部分でございますけれども、そのオプションのほか、船主責任制限条約の全面改正、バンカー条約において燃料油被害に特化した責任限度額を設定する、そして基金制度創設を含む複数の救済の方策について検討いたしました。
そして、御指摘の二〇一一年二月の中間取りまとめでは、国際的な船主の責任制度の枠組みがあることから、船主に対し更に拠出を求めて基金を創設することは船主責任制限制度が崩れることになると指摘されておりまして、国際的な枠組みの中で条約締約国の理解を得ることは相当に難しいと思われます。
また、油タンカーの場合には、荷主である油の受取人を拠出とする国際油濁補償基金に基づく救済制度があることを踏まえまして、船舶燃料油被害に対する基金制度の創設について、油の受取人のような拠出を求め得る者を検討しましたが、負担を正当化できる者も見出し得ないとの結論に至った経緯がございます。
今次、責任限度額の引上げ改正の採択以降、IMOに対しまして、責任限度額を超える事故の被害報告はございません。しかし、IMOにおきまして、引き続き、国際的な事故や条約締約国の制度改正の考え方について情報収集に努め、各国の動向を踏まえつつ、関係省庁とも連携して適切な対応をしてまいる所存でございます。

○矢倉克夫君
今、油タンカーにおける基金の話がありました。油タンカーは、同じような形で事故が、油漏れが起きたときの被害については、油タンカーというか、タンカー船、油漏れ、それについては基金があると。ただこれは、要は、荷主、石油会社等が元々基金の枠組みをつくっていて、それを国際条約に格上げしたという形であったと。私、事前に聞いた限りでは、今回のような明石のような事故、タンカー以外の事故の場合においては、そのような枠組みが現状ないからゼロからつくり上げなければいけないと、それは非常に大変だというようなお話でありました。
ただ私は、中間報告なんかは、そういうような認識もありつつなんですけど、船主以外の人は誰も責任拠出するような人、妥当な人がいないからという理由だけで否定しておりますが、であれば、船主でしっかりとそのような基金を、枠組みをゼロからであってもつくっていくというような姿勢はやはり持っていかなければいけないんじゃないかと、その部分はまず御指摘をさせていただきたいというふうに思います。
ただ、今お話もありました、では、基金では無理、じゃ今の現状の枠組みをどうやってつくり上げて改正していくのかというような観点からの中間取りまとめもあったわけですが、海事債権責任制限条約、この中間取りまとめの中で書かれていたものの一つに、今の条約に規定されている物的損害、これから環境損害という形のものを独立させてみて、それについては締約国が責任限度額を独自に設定する。要は、油漏れのような被害はまた別途の枠をつくって独自の責任制限額というのもつくっていくというような条約の改正の在り方もあるという話もありましたが、それについて簡単に、なぜこれが否定されたのか、御説明いただきたいというふうに思います。

○政府参考人(櫻井俊樹君)
お答え申し上げます。
中間取りまとめにおきましては、今御指摘の環境損害だけに限った限度額の設定引上げということに関しましては、船主の保険料の負担増などにより、独自の責任制限額を設定する締約国の海運、港湾の国際競争力への影響も懸念されるということ、一点。そして二点目に、さらに、その実現には、簡易改正手続によらない通常の海事債権責任制限条約の改正が必要となると。この二点を踏まえまして、同条約の締約国や海事関係などとの意見交換を通じ、理解を深めながら慎重に進めていくべき事項とされております。

○矢倉克夫君
慎重に進めるということは、これからまた進めるというところではありますが、やはり全体のトーンとしては、考えてもなかなか難しいというようなところで、入口のところで断念しているという部分がやはり多いかと思うんですよね。そこはしっかりまた進めていただきたいとは思います。
であれば、じゃ責任制限のこの額を条約上上げていくというような話になるわけですけど、御案内のとおり、この一・五一となる前にはオーストラリアから二・三倍というような提案があった、それは否定された上で一・五一という形になったというところです。結局、オーストラリアのような、日本と同じように油の被害に遭ったところは、より補償の充実というところを考えて倍率を考えたわけですけど、最終的には今回のように、物価の上昇を調整するという部分、そこのみでの調整で一・五一になったと。これは議論も分かれると思いますけれども、被害者救済という観点からどれだけ考慮がされていたのかというところは、やはり議論すべき部分はあるかと思っております。
時間がもうありませんので、ちょっと最後、大臣にまたお伺いしたいと思うんですが、この油の問題というのはやはり特殊性があって、要は責任制限というところで、通常やはり考えられる相手方というのは荷主と荷受人、このクローズな関係、契約関係にあったりとかする部分、そこら辺りの関係で責任制限というのがまず発生すると。この原則ができてきた時代もやはりそこを中心に考えていたんだと思うんですが、時代がどんどん変遷していって、あの油漏れのような、近隣住民のような第三者、関係していない第三者に対しての被害というのが発生してきていると。そういうような関係についてまで同じような原則原則というところだけでいってしまっていいのかというようなところは、やはり現実的にこれは考えていかなければいけない話であるかと思います。
今回、条約の枠組みをどうするかという難しい議論があるので、その難しい議論、ここを変えるというところは国際的な合意の枠組みを変えるというところでもあるし、原則自体を変えて条約を変えるというようなこと、なかなかこれは難しいということは分かる。その部分はあると思うので。
今日お伝えしたいのは、であれば、そこは変えるという選択肢とはまた別に、国内の問題として、この第三者に対しての被害救済という部分はやはりもっとしっかりと考えていくという姿勢。原則がこうだからというところで、あとは共済の保険、漁業共済でとか、そういう部分だけで終わってしまうような形じゃなくて、もう少し被害者救済というのを、とりわけ第三者との間の被害に対する救済というのをやはり考えていかなければいけないというふうに思っております。
ちょっと一言、もう少ししゃべらせていただきますけど、法務省の管轄というのはやはりいろんな官庁と共管する部分が非常に多くて、とりわけ、今回もそうなんですけど、基本法を所管している立場から法務省が所管をされて、そこにまた政策的な観点からいろんな省庁が入ってくると。ただ、いろんな省庁、ほかの省庁からの観点というのは、どうしてもやはりマクロ的な分野の視点というのが非常に多くなってくる。それはそれで大事なんですけど、法務省の存在意義というのは、そこで拾い切れなかったミクロ的なところを個別に拾っていって政策実現をしていくというところがやはり大事かと思っています。
法律の枠組みで今回のような被害者救済というのを変える変えないというような話は別にして、この法律は法律として、じゃそれ以外のところでこぼれた被害者の救済というのをやっぱり法務省が他省と連携をしてしっかりしていくべきでもあるし、法務省の役割であるというふうに私は思っておりますが、その辺りを、他省との連携も含めて法務大臣として御所見をいただければと、最後に一言、お願いいたしたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
今回の船主責任制限法の趣旨につきましての、今改正をお願いするということでございますが、基本的にはやはり被害者に対して救済を進めていくと、これは国際的にも全体的な潮流であるというふうに考えております。そういう意味で、今の枠組みの中では第三者の部分についても制限が課されるということでありますけれども、やはりIMOの機関におきましても、様々なテーマでの、新しいテーマでも議論が進められておりますので、そうした方向に向けての取組については関係省庁としっかりと連携をしながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。
先ほど来の話で、燃料油等におきまして漁業者等の被害額が発生していると、それに対して責任限度額を超える部分についてはなお被害が救済できないということ、このことについては大変重要な課題であると。これは、日本の国内のみならず、恐らく他の国も同じように抱えているというふうに考えておりまして、先ほど国土交通省からも御指摘がありましたけれども、IMOの場におきましても、国際的な事故あるいは制度改正の考え方、様々に情報収集をしながら、そしてその動向を踏まえながら対応し、また、国内的にもそれにふさわしいものにしていくべく関係省庁と連携をしてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
国内のまた問題としても、さらに、被害者救済という観点を法務省がまた主導してしっかりと訴えていただくということを改めて要望させていただいて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。

国会承認は例外なく「事前」

2015-04-22 ニュース

公明新聞:2015年4月22日(水)付

「例外なき国会の事前承認」を明記する案が示された与党安保協=21日 衆院第2議員会館

「例外なき国会の事前承認」を明記する案が示された与党安保協=21日 衆院第2議員会館

「国際平和支援法」(仮称)で合意へ

自民、公明両党は21日午前、衆院第2議員会館で「安全保障法制整備に関する与党協議会」(座長・高村正彦自民党副総裁)を開催した。公明党から北側一雄副代表(座長代理)らが出席した。

協議会では、新法として制定予定の一般法「国際平和支援法」(仮称)に関し、自衛隊を海外に派遣する際の国会承認のあり方について、例外なく事前承認とする案が高村座長と北側座長代理から提示された。

国際平和支援法は、国際の平和と安全のために活動中の外国の軍隊に対して自衛隊が行う後方支援を定めている。座長・座長代理案では、自衛隊を派遣する際の国会承認について、公明党の主張通り、国会の「事前承認には例外を設けないこと」が明記された。

国会の事前承認をめぐっては、例外的に事後承認を認めるべきとする政府と、例外ない事前承認を主張する公明党で意見が分かれていたが、派遣の緊急性について政府が十分な説明をすることができなかったため、民主的統制を重視する公明党の見解が採用された。

また、首相から承認要請を受けた際は速やかに議決をするよう、国連平和維持活動(PKO)協力法の規定を参考に、衆参両院それぞれが「7日以内に議決するよう努めなければならない」との努力義務を置くことも示された。

一方、自衛隊の派遣が2年を超えて継続する場合は、現行のPKO協力法と同様、(1)原則2年ごとに国会承認を求める(2)国会閉会中または衆院解散時は例外として事後承認を認める―とした。

自民、公明両党は同案を党内に持ち帰り、24日に行われる与党協議会での合意をめざす。

協議会では、日米両政府が見直し作業を進める防衛協力の指針(ガイドライン)の検討状況についても政府から説明を受けた。

与党協議会を受けて公明党は21日午後、衆院第2議員会館で「安全保障法制に関する検討委員会」(北側一雄委員長)を開催し、座長・座長代理案について了承した。

後方支援目的の自衛隊派遣 公明が厳格な歯止め

「例外なき国会事前承認」で国民の理解と民主的統制を確保

21日の安全保障法制整備に関する与党協議会で、高村正彦座長(自民党副総裁)と北側一雄座長代理(公明党副代表)は、新たに定める「国際平和支援法」(仮称)に基づく外国軍隊の後方支援を目的とした自衛隊の海外派遣に関し、国会の事前承認を例外なく義務付ける方針を示しました。

公明党は、自衛隊の海外派遣について、(1)国際法上の正当性(2)国民の理解と民主的統制(3)隊員の安全確保―の厳格な3原則を守るよう一貫して主張。特に「国際平和支援法」については、より厳格な民主的な統制を求めてきました。それが国会の事前承認です。

同法は、2001年に成立したテロ対策特措法に基づく活動のように、国際の平和と安全のために活動している外国軍隊に対し、自衛隊による後方支援を可能にする内容です。外国軍への後方支援は国連平和維持活動(PKO)や災害派遣とは大きく違った活動であるため、慎重さが求められます。

特措法は国会の審議を経るため慎重な議論が行われ、それ自体が「国会の事前承認」に当たります。一方、「国際平和支援法」では自衛隊の海外派遣は政府が決め、その可否を国会に諮ります。派遣をした後に事後で国会承認を求めるのではなく、事前に例外なく国会の承認を得るべきというのが公明の主張です。

自衛隊の後方支援の必要性や活動の内容を記した基本計画を国会に提出させ、派遣の是非を議論することで、国際法上の正当性や隊員の安全確保が明確にされ、国民の理解も広がります。何よりも政府の恣意的な派遣に対する厳しい歯止めになります。

北側副代表は21日の記者会見で、国会での事前承認によって「民主的統制は十分取れる」と強調しています。「戦争立法」などとの一部批判は全くの的外れです。

【矢倉かつお】決算委員会_20150420

2015-04-20 矢倉かつおチャンネル

189回 決算委員会(軍縮、拡不拡散/北朝鮮の脅威等)

2015-04-20 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
岸田大臣、また中谷大臣、よろしくお願いいたします。
今月二十七日から、NPT、核拡散防止条約、こちらの運用検討会議が開催されます。岸田外務大臣御出席とお伺いをしております。私からは、この問題も絡めまして、核、また軍縮、さらには不拡散の政策のこれまでの在り方、外交・安全保障の観点からの検証をした上で、可能であれば、今後どのような在り方がいいのかというのを御議論できればというふうに思っております。
まず、今、世界の核管理ということで、直近に関心非常に高まっているところはイランの核合意であるかと思います。こちらについて、内容と課題、御説明をいただければと思います。

○副大臣(城内実君)
お答えいたします。
先般、ローザンヌにおきまして、EU3プラス3、すなわちアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国とイランとの間でいわゆる包括的共同作業計画の主要な要素について合意に至り、今後、六月末を目指して最終合意に向けた交渉が行われております。
今般のこの合意後に発表されましたモゲリーニEU上級代表とイラン・ザリーフ外相との間の共同声明によりますと、イランによるウラン濃縮等の制限、IAEA追加議定書の暫定適用等につき合意に至ったというふうに承知しております。いずれにしましても、最終合意に向けて引き続き交渉が行われております。
国際不拡散体制強化の観点から、また中東地域の安定のためにも、イランの核計画が専ら平和的な性質のものであることを査察等により検証することが不可欠であります。そのことを担保するためにも、最終合意の形成とその着実な履行が重要であります。

○矢倉克夫君
今副大臣より、査察、ございました。まさに、この査察をしっかりと継続的に実効性あるものにしていくのかというところは今後大きな課題であるかと思っております。
また、今のお話に続きますが、合意を成立させたそれぞれの要因、とりわけ今回ヨーロッパ諸国とアメリカ合衆国が入っております。オバマ政権、どういう背景があったのかというところの御説明と、また、中国とロシアが今回合意にも関与をしております。そちらが関与した背景も併せて御説明をいただければと思います。

○副大臣(城内実君)
お答えいたします。
ローザンヌ合意の成立を促した要因についてのお尋ねがございましたが、EU3プラス3とイランとの交渉においては、全ての当事国がイランの核問題を平和的、外交的に解決するという強い政治的意思の下、粘り強い議論を行ってまいりました。こうした当事国の努力により、二〇一三年十一月の共同作業計画、いわゆるジュネーブ合意というものでありますが、これを経て今般の合意に結び付いたと考えております。
また、二〇一三年八月にイランでアフマディネジャド大統領からローハニ政権に政権が替わりまして、その発足後、イランの交渉態度がそれまでに比べて柔軟になったことも交渉を前進させることになった要因であります。さらに、国際社会としても多くの国々がイランの核問題の平和的、外交的解決を支持し、EU3プラス3とイランとの交渉と合意を後押ししてきた経緯がございます。
また、欧州諸国とアメリカという御指摘がありましたけれども、欧州諸国、アメリカを含む全ての当事国がイランの核問題を平和的、外交的に解決するという強い政治的意思の下、粘り強い議論を行ってまいりました。また、ロシア、中国と御指摘がございましたけれども、交渉当事国の間で考え方に若干の差が見られることはあったと思われますけれども、合意を形成するという基本的目標は、米国、ロシア、中国など全ての当事国が共有していたというふうに考えております。

○矢倉克夫君
オバマ・アメリカ大統領のプラハ演説から六年たちまして、その意義としましても、やはり最大の核保有国が核なき社会というものをしっかりと理念ではなく現実のステップとして発信をしたというのはやはり大きな意味もあったのかと思っております。
とりわけ、今、核保有国、アメリカ、またロシア、中国も含めた合意ということですが、保有国にとっても、今まさに国際テロ、非常に脅威を増している、そのようなテロ組織に核が流出するという危険性というのは、これは非常に大きな問題であると。やはり核兵器そのものが国際のセキュリティーの脅威になっているということ、それは非常に認識をされているという、その延長で今回イランの合意がなされたというふうに私は理解もさせていただいております。
ただ、他方で、先ほど課題ということを少しお話し申しましたが、アメリカの国務省のプレスリリースなどによると、今回のイランの核合意でどのような効果がまずあるのか。要するに、ブレークアウトタイム、つまり核兵器を造れるまでの期間というのが、現在二から三か月であったものが一年ぐらいには何とか最低でも延びるだろうというようなものであります。俗な言い方をすれば、今回の合意で時間稼ぎができる、いざ本当に脅威が生じたときに対応するための時間というのが、しっかりと対応できるような状況になったということであると思います。
アメリカの一月議会でキッシンジャー元国務長官が、オバマ政権、核拡散の防止を狙う段階から、核武装の阻止は不可能と見て、それまでの時間を長引かせるという拡散管理に転じているというような議会での発言もあったと聞いております。
このような背景もありまして、今回のイラン合意、現実的なステップとしては非常に評価もしている部分ではありますが、改めて核不拡散の難しさも感じているところでございます。
その上で、冒頭申し上げましたNPT会合に移りたいと思います。
イランの核合意に見られますように、核保有国と保有しない国の間の駆け引きが微妙なバランスの中でなされているというときに、今懸念をしているところは、核保有国の中でも、先ほど冒頭申し上げたテロに対しての脅威という点で、核の役割というのを低減しようという、そんな潮流がある中で、伝統的な核の力に依存をした国力の増加というような風潮も出てきているというところであるかと思います。とりわけ記憶に新しいのがロシアのプーチン大統領の発言、クリミア併合の過程で核戦力を臨戦態勢に置く可能性があったというふうに発言もされました。
NPT、岸田大臣行かれますが、今最大の軸というのは、核保有国に対して核軍縮をしっかり求めるという体制と、また核を持たない国が核不拡散と平和的利用をしっかり要求をされている、この二つが対立をしているというような状態でありますが、先ほどのプーチン大統領のような発言というのは、核を持たない国が、ロシア始め核保有国の軍縮に対しての約束というのを、これは信頼感を停滞させるというようなおそれもあるかと思っております。
NPTの交渉にも関係してくるところかと思いますが、まず岸田大臣から、このプーチン大統領の発言、与える影響をどのように思っていらっしゃるのか、お答えいただければと思います。

○国務大臣(岸田文雄君)
まず、NPT運用検討会議、五年ぶりの今年の会議ですが、NPT運用検討会議自体が、核軍縮とそして核の不拡散とそして原子力の平和利用、これを三つ大きなテーマとして掲げています。そうした三つのテーマにおいて結果を出すために、核兵器国と非核兵器国の協力なくして現実的な結果は得られない、こういった思いをしっかり持って臨まなければいけないと思っています。
そして、その中にあって、プーチン大統領のこの発言ですが、今回のロシアによるクリミア併合ですが、そもそもクリミア併合自体が一九九四年のブダペスト覚書に反していると認識をしています。すなわち、米国、英国、ロシア、そしてウクライナの間において、ウクライナが核兵器を放棄する代わりにウクライナの領土を保全する、この四つの国においてこういった覚書を交わしているわけですが、ウクライナにおいてクリミア併合が行われる、このブダペスト覚書そのものに反していると認識をいたします。
是非、こうしたプーチン大統領の発言が核軍縮・不拡散の動きを逆行されるような結果につながらないよう、ロシアに建設的な協力を求めていかなければなりません。こうした核兵器国の協力なくして結果を出すことはできません。是非、そうした思いをしっかりとNPT運用検討会議においても反映させていかなければならないと考えます。

○矢倉克夫君
今お答えいただいたことと重なってしまうかもしれませんが、私、今まで日本政府の対応、いろいろ言われている部分でもあるんですが、唯一の被爆国としての立場として貫く部分と、やはり核保有国との意見の調整といいますか、そういう部分でのなかなか難しい立場に置かれているのかなというような、こういうように思っております。
私としては、率直に申し上げれば、今まさに核保有国と核を持たない国との調整というのが大事な部分に、日本こそしっかりとリーダーシップを発揮してNPTの交渉を進めていただきたいというふうに思っているんですが、この点、まずまた大臣から一言いただければと思っております。

○国務大臣(岸田文雄君)
おっしゃるように、我が国は唯一の戦争被爆国であり、こうした核軍縮・不拡散の議論をリードしなければなりません。その際に、やはり現実的、実践的な対応を求めることによって核兵器国と非核兵器国が協力をし具体的な結果につなげる、こうした議論を進めていかなければならないと思っています。
核兵器国にも、我々はこの五年間、NPDIという非核兵器国十二か国の枠組みで議論を進めて、そして国連に十八の文書を提出し、合同文書をまとめて更に国連に提出するという働きかけを行ってきましたが、この文書を通じて核兵器国そして非核兵器国双方に具体的な努力、協力を促していく、こうした働きかけをしっかり行っていきたいと考えています。

○矢倉克夫君
昨年、オーストリアで第三回の核兵器の人道的影響に関する会議、開催をされました。これを受けまして、我々公明党としましても、本年三月二十日に、核兵器の非人道性の議論というものを、これはやはり被爆国の日本でしかはっきりと発信をできない部分でもあるかと思います、この議論について、核兵器のない世界という目標の前進に向けて、共通の礎として、非人道性の議論をしていくための外交努力と市民社会との協力の拡大、我が国としてのそういう議論を主導するとともに、この分野について各国に表明するよう働きかけるということを、これも提言申し上げました。
今回の議論におきましても、この核の非人道性、これをしっかりと大臣からもお訴えをいただきたいと思います。この点、一言いただければと思います。

○国務大臣(岸田文雄君)
御指摘の核兵器の非人道性の影響の議論、大変重要な議論であると認識をしています。
先ほど、NPDIを通じてNPT運用検討会議に対して提言を行っていると申し上げましたが、その際に、核兵器国に対しましては自らの透明性を高める、そして、米ロだけではなくしてマルチの軍縮会議を進めるべきである、こうした提言を行い、さらには世界の指導者に被爆地を訪問して被爆の実相に触れてもらう、こういった提言をしているわけですが、それと併せて、御指摘のこの核兵器の非人道性の議論は、核兵器国と非核兵器国が協力する触媒の役割を果たしていくという認識に基づいて、この核兵器の非人道性の議論を通じて核兵器国と非核兵器国が共に協力していく、こういった議論を進めていくべきだということでこの議論を重視しています。
是非、このNPT運用検討会議等を通じて具体的な結果を核兵器国と非核兵器国が協力して出すために、この核兵器の非人道性に関する議論、これを通じて協力が実現するよう議論をリードしていかなければならないと考えます。

○矢倉克夫君
大臣から、核兵器保有国と非保有国、持たない国との間の触媒としてこのような概念をしっかりと共有をさせていく、やはり人類に対しての危機というところで触媒という意味合いだと思います。そのような観点で、是非また唯一の被爆国として、核に対しての国際規範定立に向けても更にリーダーシップというのを私は取っていただきたいというふうに改めて大臣に御要望させていただきたいというふうに思います。
私、今日、核の問題取り上げておりますのは、今申し上げたとおり、NPTのようなマルチの議論の中で核のない世界というのをどのように理念として掲げていくかというところこそ日本がしっかりとやるべきだという、そのリーダーシップを取るべきだというところの御議論でもございますが、他方で、さらに、日本自らのやはり切実な安全保障の問題、核の問題でも、先ほども御質問もありました、ございます。この核の脅威というものについても、より地域の安全保障をどうやって日本として守っていくのか、外交努力等も重ねていく上でやっていくべきなのかというところからも問題提起をさせていただきたいというふうに思っております。
具体的には、先ほど話にもございました北朝鮮でございます。北朝鮮の核の問題など、最近様々な情報がいろいろ出されております。先ほど塚田委員からも様々御紹介のあったところでもありますし、一部重複もするところもあるかもしれませんが、アメリカの北軍の司令官のゴートニー司令官ですね、北朝鮮が核兵器、米本土を狙うぐらいの能力も保有しているというような発言もされていたというようなことでございます。
先ほど、あと塚田委員が引用されていましたジョンズ・ホプキンス大学の報告書でございますが、先ほどは弾道ミサイルの一千発というような話もありましたが、同じ報告書の中で更に記述がありまして、二〇二〇年までには最大百発の核弾頭を製造する能力があるというし、ミサイルと合わせれば数年内に小規模な核兵器の製造能力を確立する可能性がある、北朝鮮がという、このような見方を同じ報告書内で示しております。
また、韓国の関係の政府の方のお話でもありますが、やはり先ほど冒頭お話もしたイランとはまた比較にならないほど北朝鮮、非常にミサイルの発射実験も行っておりますし、運搬手段というのも高度化していると、そういう報道もございます。
中谷防衛大臣、先ほどのお話もありましたが、記者会見等では可能性も排除できないというようなこともおっしゃっておりました。可能性が排除できないというようなお話も先ほどありましたが、アメリカの方の海軍大将なども、やはり北朝鮮が核弾頭の小型化に成功した前提で対応すべきだというような話もされている。この安全の意味合いでも、やはりその事実というのをしっかり前提とした上でまた考えていくというような部分の御認識というのも大事かと思っておりますが、再度の確認になりますが、中谷大臣の御認識をいただければと思います。

○国務大臣(中谷元君)
北朝鮮の核、ミサイルにつきましては、いろんな国の情報に接しているところでございますが、まず、ノドン等の配備等につきましては、北朝鮮は昨年三月、六月、七月、本年三月にもノドンを含む弾道ミサイルを複数発射をし、また、運用能力も誇示をいたしておりまして、一二年の十二月に、人工衛星と称するミサイル発射などによって弾道ミサイルの長射程化、高精度化に係る技術を進展させております。
また、核におきましても、過去三回の核実験を実施をいたしまして、こういうことを踏まえましたら、一般に核兵器の小型化、弾頭化には相当の技術力が必要とされるものの、北朝鮮がその実現に至っている可能性も排除できないということでございまして、北朝鮮の動向などを注視をいたしまして、今後、北朝鮮の弾道ミサイル、また核につきましては、我が国といたしましても重大な関心を持って情報の収集、分析に努めてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
やはりなかなかお立場上お答えづらい部分もあるかとは思いますが、非常にリスクが高まっているという事実は各種客観的な情報からも、客観的なというか、客観的な、米国であったり、そういう部分の機関からの情報からもやはり明らかになってきているんじゃないかなというふうには思っております。
その部分でやはり懸念すべきは、北朝鮮の核技術が流出する、また北朝鮮も非常に瀬戸際外交をしているところでありますから、その瀬戸際をやっている最中でどんどんどんどんエスカレートしていくというエスカレーション効果というのもやっぱりあります。指導者の意思と離れて核の危険というのが起きてくるということをやはり考えなければいけない部分ではあるかと思います。
当然、まず前提として、北朝鮮の政情はどうなっているのかということも一つ確認はさせていただきたい。この部分もなかなかお答えづらい部分もあるのかもしれませんが、政府として今どのように捉えられていらっしゃるのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

○副大臣(城内実君)
北朝鮮の政情、内部の動向につきましては、例えば軍幹部の人事等に若干の変動がございますが、金正恩国防委員会第一委員長を中心とした体制が基本的に固まっているように見受けられます。こうした点を含め、政府としては北朝鮮情勢につきまして重大な関心を持って不断に注視してきており、平素より米国や韓国と緊密に連携するとともに、北朝鮮に公館を設置している国を含む各国と情報交換を行うなど内部情勢の把握に努めております。
政府としては、このような情報収集や分析を不断に行いつつ、引き続き、対話と圧力の方針の下、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて取り組んでいく考えであります。
現時点で北朝鮮情勢が不安定化しているとまでは考えておりませんが、情報収集の詳細あるいは分析の詳細につきましては、事柄の性質上、お答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。

○矢倉克夫君
今、報道などでも確かに安定しているというような報道が一部見られるわけですが、例えば金正恩第一書記のその体制の中で、内部が、元々ある意味抗争していたところが、昨年の張成沢氏の処刑なども受けて、その部分では内部が固まってきたと。ただ、実際の権力基盤がしっかりと統一化されているのかどうかという部分ではないと。内部抗争がある程度収まってきたことでの安定であって、金正恩総書記がしっかりと権力を握って抑えているかどうかというのはまだ分からないとか、いろんな議論もあるところではあるかと思います。
その辺りは非常に重要なところでもあるかと思います。政府内でも議論をされていると思いますが、引き続きしっかりと注視をしていただきたい、このように改めて御要望させていただきたいというふうに思います。
先ほどの核のリスク、高まっているというところであります。実際どうするのかというところですが、外交という観点からお話もしたいと思うんですが、まず大臣に、NPTの運用の会議へ行かれる、この場でどのようにこの北朝鮮の問題について発信をされるのか、まず御意見をいただきたいというふうに思います。

○国務大臣(岸田文雄君)
我が国としては、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界を目指す、こうした大きな責任を担っています。その際に、先ほど委員からも御指摘がありました核兵器の非人道性ということに対する正確な認識と、一方で北朝鮮等の安全保障上の冷静な認識、この二つの認識をしっかり踏まえながら現実的、具体的な対応を我が国として考えていかなければならないと考えます。
そして、その北朝鮮への対応ですが、まずもってこの核開発あるいはミサイル開発、これは六者会合共同声明あるいは一連の安保理決議に違反をしています。米国や韓国始め関係国と協力しながらこうした決議の完全履行を求めていかなければならないわけですが、あわせて、国連安保理決議の履行を他の国々ともしっかりと協力しながら働きかけていかなければならない。その際に、様々な国際会議を活用すること、大変重要だと認識をしています。四月十四、十五、開催しましたG7外相会談においても北朝鮮問題を取り上げました。
国際社会には、北朝鮮と国交がある国あるいは北朝鮮に大使館を持っている国、こういった国も多数存在いたします。こういった国々にもこの北朝鮮の状況についてしっかり理解をしてもらい、協力をしてもらわなければなりません。是非、多くの国々の理解を得ながら北朝鮮に強いメッセージを発し続けなければならない、そういった観点から、NPT運用検討会議においても北朝鮮問題をしっかりと議論し、注視していくこと、重要な姿勢ではないかと考えます。

○矢倉克夫君
予算委員会で公述人として来られていたのが一橋大学の秋山信将教授でいらっしゃるわけですが、私、質問させていただいたときに、秋山教授は、そのNPT、核兵器の在り方について理念的な議論を深めていくという部分では非常に重要であると。ただ、我々が直面している安全保障上の核の脅威というものに対しては、この多国間の枠組みとともに、やはり日本のより直接的な安全保障の問題として二国間等でも対話をしていく枠組みというのもこれはつくっていかなければいけないというようなお話もありました。
私はこの発言ごもっともであるかと思うんですが、北朝鮮などはIAEAの査察も拒絶して、NPTから実質上脱退もしているわけでございます。そういう背景もあるといえばあるんですけど、この非人道性というものを理念としてNPTのような多国間で議論をしていく、車の両輪として、やはり地域間での枠組み、これを、核をめぐった安全保障対話というのもやはりやっていくということ、戦略上やっていくということは、これ両方とも大事であるかなと思っております。
先ほど来、塚田委員の質問に対しても、まず米国というところ、ここは一番基本でありますので、日米の対話というのもしっかりやっていくべきでもあるかと思いますが、私はそれに加えて、韓国もそうですけど、中国ともこれはやっていくきっかけというものをやはり考えていかなければいけないのではないかなと思います。なかなか議論にならないところではあるわけですが、とりわけ中国も含めた二国間の枠組み、今現状すぐにできるとかそういう話ではないのかもしれないですけど、そこをやっていくことについての今政府の、大臣の御見解というものはどのようなものであるのか、御意見をいただければと思っております。

○国務大臣(岸田文雄君)
核軍縮あるいは不拡散の議論を進める上において、もちろん多国間のマルチの枠組み、これは大変重要でありますが、あわせて、二国間の対話、これも国際的な軍縮・不拡散の促進に加えて、透明性の向上を通じた地域の信頼醸成の観点からも重要であると考えます。是非、二国間のこうした対話も重視していきたいと考えております。
その際に、中国という国がこの核軍縮・不拡散の議論の中においても大変重要だという御指摘、これはそのとおりだと思います。日中関係については、昨年十一月の北京APECでの日中首脳会談、日中外相会談の後、少しずつ様々なレベル、様々な分野におきまして対話が進んでいると承知をしています。三月十九日には日中安保対話も開催されました。
こうした様々な対話を通じながら、中国との間においても、こうした軍縮・不拡散を始め様々な課題について対話を続けていくことは大変重要な取組ではないかと認識をいたします。

○矢倉克夫君
私、今中国というふうに申し上げたのは、今申し上げた秋山教授が「外交」という雑誌に書かれているものがありまして、要は、中国の核戦力というものを分析された結果でもあるんですが、相手国をせん滅させるようなものではなく、むしろ相手の産業基盤などを標的にして、それらへの攻撃能力を確保すれば相手を抑止するに十分だというような最小限抑止、若しくは、例えば先制攻撃を受けたときにそれに対してしっかりと反対できるというような体制を持っているというような、確証報復というのを採用しているというような議論があったわけでございます。私、それを見て、この中国との間でも、中国がどういう核戦略を持って、しっかりと議論をしていくということを、これ地域の安全保障を認識する前提でもやはり大事であるし、その点では対話が大事だというところがまず一点でございました。
その上で、北朝鮮との関係でいえば、やはり同じ東アジアの中で中国というものが、冒頭も申し上げたイランとの合意でも関わってきている、テロの危険性の中でどのような危険要因になってくるかというようなところでは利害も持てるような部分でもあるかと思います。そういうようなところをしっかりとつかまえていって、日本側でアジェンダもまた設定をしていく、二国間で議論をしていくというような枠組みというのを積極的によりやっていくというような姿勢がやはり大事であるのではないかなというふうなところでございます。
ちょっと時間がなくなりましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますが、やはりNPTのものにしましても、この外交の在り方もそうですけど、これ、会議があって議題があってそれに対しての対処をしていくというようなものではなく、やはり核の問題にしても日本の地域の安全保障という問題でそれぞれ分析もしていき、中国との関係でも議題もしっかり設定をしていく上で積極的に安全保障を進めていくというような方針もやはり更に確立をしていかなければいけないのではないかというところを問題意識として最後お伝えさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございます。

【矢倉かつお】法務委員会_20150416

2015-04-16 矢倉かつおチャンネル

189回 法務委員会(矯正医官不足の解消等)

2015-04-16 国会質問議事録

○矢倉克夫君
おはようございます。公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
今日の法案、まず立法事実は極端な矯正医官不足。それによって生じました部分としては、まず医官の確保、個々の過重労働がかなり増えているというところ。また、それぞれ受刑者の健康状態にも影響をしている。さらには、看護師の皆様への教育とか研修の分野の影響もあるかというところであるかと思います。
今回の法案は、まず対処すべきところとしては、個々の矯正医官の方の勤務条件が硬直化している、とりわけ勤務時間帯であったり、また兼業規制について、そこを直すことで矯正医官のなり手を増やしていくというところであるかと思います。また、私、この部分は合理性もあると思っておりますので、法案自体には賛成をさせていただきたいと思っております。
その上でお伺いしたいんですが、今回のこの法案によりまして、今、現状直面している医官不足、これについて抜本的な解決となるのか、つまり劇的に欠員ゼロというような状態になるのか、この辺りを法務当局の御意見をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(小川新二君)
矯正医官が不足している原因につきましては、矯正施設内で医療行為を行うのみでは医師としての能力を維持向上させることが難しいということで、そういった理由で民間の医師などが矯正医官になることをちゅうちょすることが多いということ、また矯正医官の認知度が低いということなどが挙げられると考えております。
本法案では、診療を行う兼業の許可に関する特例を定めることによりまして、矯正医官は簡便な手続の下で矯正施設外の医療機関におきまして自ら診療行為を行う機会を確保することができます。また、フレックスタイム制の適用によりまして、矯正施設外の医療機関等におきまして調査研究などを行うに当たりまして勤務時間を柔軟に割り振ることができるようになります。こういった特例は、矯正医官不足の解消に相当な効果を発揮すると考えているところでございます。
もっとも、本法案のみで全て解決が図れる問題ではないとも考えておりまして、広報活動、啓発活動、その他の活動を通じまして、矯正施設における被収容者に対する医療の重要性に対する国民の理解と関心を深めていくこと、また矯正医官を支える医療スタッフの充実であるとか医療設備の整備であるとかの執務環境の改善、その他様々な措置を講じてまいりたいと考えておりまして、こういったことによりまして矯正医官の人材確保に努めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
もちろん、今お話あったとおり、広報啓発等、その他様々ないろんな政策と合わせ技でやっていかなければいけない話であるかと思います。
その上で、やはり、また更に大事なことは、まず医師不足というのは全国的な問題でもありますので、厚労省ともしっかりその辺りの話も協議も続けていかなければいけないというところ、あと地域医療との連携というものがやはり非常に大事になってくると思います。その意味でも、医師会ともしっかりと協議もするというような必要もあるかと思います。
この辺り、全体のパッケージをしっかりしていくという意味では、厚生労働省であったり医師会とどのように協議をする御予定であり、今どのようにされているのか、また御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(小川新二君)
医師会との連携、協議等につきましては、矯正局と日本医師会との間でもいろいろ協議をしておりまして、法務省内で設置しました有識者会議におきましても日本医師会の方々にも御協力をいただいたという経緯がございます。また、現場の施設におきましても医師会等との連携を深めておりまして、特に地域医療との連携は極めて重要でありますので、各矯正施設におきましては、地元医師会あるいは大学医局、地域医療機関等々に対しまして医師の派遣の依頼を行うなど、連携を深めております。
また、一つ申し上げますと、医師の確保を始めとします矯正医療体制の充実に資するため、平成二十三年度から、各矯正管区におきまして矯正医療アドバイザーというものの委嘱を行っております。これは、それぞれ矯正施設所在地の医療に精通しております医師とか、大学病院医局等におきまして医師派遣の中心になっているお医者さんなどに委嘱をいたしまして、矯正施設への医師の派遣であるとか、あるいは地域医療機関と矯正施設の連絡調整等を行っていただいているものでございます。
以上でございます。

○矢倉克夫君
今、様々な取組をされているというところはあります。とりわけ、今お話にもありました、いろんな、嘱託医師の派遣であったりとか、そういう部分もこれから必要であると思います。先ほど三宅理事の方からも話もありました、内部で矯正医官を充実させていくという方向性も当然大事ではありますが、やはり、しっかり外部から非常勤のまた医師であったり嘱託の医師を派遣していただくというような方向性も大事であると思います。
その部分では、私いろんなところで話も聞いたんですが、やはり外部の方から、例えば一時間の診療のためだけに半日間潰すのはなかなか難しいであったり、そういうようなことを言っていらっしゃる方も非常に多いと。それは当然ですけれども、それだけ交通時間も掛かるようなところの方しか協力も得られないというようなことの事実もあるかと思います。もっと近隣の医師、医療機関の方からもしっかりと非常勤医師や嘱託医師を派遣していただく、そのようなこともしっかり、より充実させて考えていく必要もあるかと思います。
また、先ほども少し話もありました、例えば大学病院などを定年退職された医師の方、そのような方々にも御協力をいただく。定年制の話の問題とも絡んでくるかと思いますが、そのような非常勤医師や嘱託医師の派遣又は大学病院を定年退職された方の御協力というような部分、この辺りについて、ちょっと重なる部分もあるかもしれませんが、改めて、現状どういうような動きをされているのか、御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(小川新二君)
常勤医師の確保は非常に重要と考えておりますけれども、片や常勤医師のみで矯正施設における医療需要を満たすことは困難でございますので、これまでも非常勤医師や嘱託医師にもお願いをしているところでございますし、今後もその確保も続けていきたいというふうに考えております。
そのために、これまで地域の医療機関の医師等にお願いをしまして非常勤医師での勤務等もお願いしているところでございまして、引き続き各矯正施設からお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
また、大学病院等を退職した医師の活用等につきましても、先ほども御説明いたしましたけれども、任期付職員の活用などの手段で積極的に取り組んでいきたいと考えております。
定年引上げにつきましては、他の医療職との均衡等も考慮する必要がありますので本法案における実現は困難でございますけれども、法務省としましては、引き続き、人事院等の関係省庁とも協議しながら適切に検討してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
方向性としては、そのように引き続き、いろんな課題もあるかと思いますが、是非検討していただきたいと思います。
今申し上げましたとおり、地域医療との連携というのをどういうふうに図っていくのか、ここが非常に大事かと思いますが、今回の法案がこの地域医療との連携という観点からどのような意義を持っているのか、その部分について御所見をいただきたいと思います。

○政府参考人(小川新二君)
本法案は、地域医療連携という観点から積極的な意味も一つ持っているというふうに考えております。
と申し上げますのは、本法案は、病院や診療所などで行う兼業につきまして、法務大臣の承認によって行うことができるものとする兼業の特例を設けることとしているわけでございますけれども、多くの矯正施設は医師や医療機関の少ない地域に立地しておりまして、そういった地域におきましても深刻な医師不足の問題を抱えているというふうに承知しております。
本法案によりまして、矯正医官が地域の医療機関で医療業務に従事することが柔軟に行えるようになれば、地域の医療機関から矯正施設に医師を派遣してもらうということだけではなくて、逆の方向でより一層地域医療に貢献することが可能となるというふうに考えております。このように、地域医療に貢献することは、矯正医官が抱きがちであります社会一般の医療から疎外されているのではないかという疎外感の解消にもつながるのではないかというふうに考えております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
確認ですけれども、今まで兼業規制があったことで、今議論になっているのは矯正医官の方が民間に兼業するという方向ではあるかと思いますが、ニーズとして、民間の外部の病院とかも矯正医官の方に勤務していただきたいというニーズがあったんですが、それが兼業規制でできなかったと。
今回これを、兼業規制を緩やかにすることで、民間からの矯正医官の方にまた来ていただいて働いていただきたいというような要請にも応えられることができて、人事交流の部分でも非常に地域とのつながりができていくというような話であったというふうに理解をしたんですが、その点、再度ちょっと確認をさせていただきたいと思いますが。

○政府参考人(小川新二君)
委員御指摘のとおりでございまして、これまでは矯正施設に外部の医療機関から来ていただくということが多かったわけでございますけれども、この法律で兼業が柔軟に認められるようになれば、矯正医官も地域医療に貢献することができるということでございます。

○矢倉克夫君
私は、その意味合いでも、今回の法案は地域医療との連携というところでも意味はあるものというところは確認をさせていただきました。より一層、人材交流というところはしっかり進めていただきたいというふうに思います。
その上で、私、根本解決という意味合いでは、地域医療の連携とともに、やはり国民の皆様に対して矯正医療というものがどのようなお仕事で重要なものなのかということも周知していただくということも非常に大事であると思います。
例えば、報酬の部分であったりを改善をするということで医官のなり手が増えるかというと、それだけはなくて、やはり医官それぞれ皆様に仕事に対しての誇りというものを持っていただく、社会的な意義がある仕事をやっているんだということを理解していただくことはやはり大事でありますし、その前提が今まだできていないんじゃないかと。国民の皆様に対しても、矯正医官という仕事のいかなる重要性というものをまだ御理解をいただけていない原因があるから、やはり矯正医官として仕事されている方に対しても、お仕事に対しての誇りというものが見えにくい部分もひょっとしたらあるのかもしれないなというふうに思っております。
その意味でも、広く国民に対して矯正医療の重要性や社会的使命というものもこれは啓発していくことが重要であるというふうにも思いますが、この辺り、法務省としてどのように進められているのか、また今後どれだけ力を入れていかれるのかというところを御説明をいただきたいというふうに思います。

○政府参考人(小川新二君)
矯正医官の確保のためには、広く国民に対しまして矯正医療の重要性や社会的使命などを啓発することが極めて重要であるというふうに考えております。
そういった取組の一環としまして、文部科学省の協力を得まして、国公立大学医学部に対する積極的な広報も実施しているところでございます。全国各地では、矯正管区長自らが管区の大学の医学部を訪問しまして矯正医療の意義を訴えて協力を求めたり、大学医学部における講演の機会を求めて矯正医官とともに講演を実施するなどの広報活動を行っております。
また、刑事施設におきましては、医師会あるいは大学の医学部、あるいは都道府県等の自治体等の関係機関と協議会を開催するなどして、矯正医療に対する理解と協力を求める中で重要性や社会的使命も説明しているところでございます。
さらに、医学会の場であるとか医学教育の場などにおきましても医療関係者への啓発を行っているほか、マスメディア等の取材に対する積極的な対応あるいは協力も行っているところでありまして、まだまだ不十分なところも多いかと思いますけれども、広く国民に認知いただけるような広報活動にこれからも努めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
たしか宮城の方に視察に行ったときだったと思いますが、矯正医官をされている方の悩みの一つが、医師仲間とか、またそれ以外の部分の人の集まりがあったときにも、矯正医官、働いているというふうに聞くと、何か通常の民間の医療機関では働けなかったのでそういうところで働いているかのような印象を持たれているようなこともあるみたいなこともおっしゃっていました。
これは非常に残念なことで、本当に崇高な理念で、ある意味、制約がある状態を自ら買って出てやっていらっしゃる矯正医官の方の仕事ぶりが、誇りが傷つけられるというような状態が一番良くないことでもあると思います。その点での広報啓発活動、いかに大事な仕事で社会的に意味のある活動かということも、より具体的な、積極的なデータ等も駆使して、どれだけ社会に貢献しているのかというのももっと資料も更に集めていただいて、啓発活動というのをより良くしていただきたいというふうに、このように改めて要望をさせていただきたいと思います。
大臣にお伺いをしたいんですが、今、とりわけ私も、抜本的解決の意味では地域医療との連携とやはり広報活動というのが大事であると。何度か再犯防止の関係でもお話もさせていただいたところではあるんですが、再犯防止でもやはり何が大事かというと、福祉従事者を含めた地域との連携というものがやはり大事だということを改めて思ったところでありまして、この矯正医官の問題というものについてもやはり同じようなものがあるかなと思ったら、いかに地域と連携をし合っていくのかというところ。
この矯正医療というのは、保安とかその他の問題も、特殊のやはり目的もありますので、民間とは完全に一致なものはないとは思います。ただ、民間医療、地域医療との連携というものなくして保安という問題も目的もやはり達成できないと。そこをしっかりどれだけ連携をしていくのかというところは非常に大事かと思っております。
そのためにこそ法務省の更なる取組というのも必要であると思いますし、この矯正医療という目的を達しつつ、民間と地域との連携をし合っていく環境整備というのがやはり大事かなと。例えば、遠隔地医療とかなどでもよく使われているICTの利活用とかもしている例あるかと思います。そういうようなハード面の部分も含めて、今後、法務省としても、この法案提出で終わりとせずに、やっぱりこれまで以上に一皮むけた対応というものも、一歩更に進めた対応というのも必要かと思っております。
大臣から、この地域医療との連携がまた不可欠である、そのためにしっかりと政策をまた打っていくというようなことを御決意等も含めて一言いただければと思いますが。

○国務大臣(上川陽子君)
矯正医療の目的を達成するためにも、地域医療との関わりについては今後大変重要になるという認識につきましては共有をしているところでございます。
本当に、矯正施設内で患者さんが発生して、そして施設内で対応できない場合には地域の医療にお世話になるということ、これについては本当に御協力をいただいて治療をしていただいているところでございまして、これからもそういう意味で地域医療機関等の御支援をいただかなければいけない場面が多々あろうかというふうに思っております。その意味でも不可欠な関係づくりということであろうかというふうに思っております。
先ほど来、局長から答弁をさせていただいておりますけれども、これまでも、厚生労働省、さらには都道府県の医療関係部局、さらには日本医師会等の医療関係機関、さらには地域の様々な診療所の先生方という形で協力の依頼を行いまして、そして関係機関からも矯正医療に対しての御協力を理解していただいているというふうに考えております。十六年以降につきましては、各刑事施設の中におきまして、毎年、地域の関係機関を構成員とする医療に関する協議会開催ということにつきまして、矯正医療に対しての御理解を更に深めて御協力を仰ぐということに努力をしているところでございますし、平成二十三年度からにつきましては、各矯正管区の地域医療に精通した矯正医療アドバイザーの配置ということでそれぞれの調整をしていただいていると、こういうことも実行をしているところでございます。
この法案によりましてまた更に兼業が柔軟に行うことができるようになるということになりますと、矯正医官も地域の医療に対して貢献することが可能になるということでございますので、そういう意味では双方の連係プレーというのが大変密になっていく、そういうきっかけになろうということで、地域との医療の一層の連携強化ということに資するものと期待をしているところでございます。
こうしたことにつきましては、国民の皆様の何よりも御理解ということが大変大事であるということでございますので、私どもも先頭に立って御理解を求めるべく、それぞれの関係機関にいろいろな形でお願いに行ったり、あるいは協力のお願いに行きたいというふうに思っているところでございます。
さらに、医療の分野につきましては、地域との医療が連携が密になればなるほど、様々な医療の環境整備ということにつきましても連携をしていく場面が増えてくるかというふうに思っております。先ほどICTの活用ということにも触れていただきまして、遠隔での医療ということにつきましても、今取組が、研究も含めまして実証実験も進められているということでございますので、そういったところについても乗り遅れることのないように、そうした部分について環境整備の一つの大事な要素として検討をしていきたいというふうに考えております。
いずれにしても、地域の医療との連携強化につきましては、この法案も審議をいただいた暁には、しっかりと更に充実すべく努力をしてまいりたいというふうに決意をしているところでございます。

○矢倉克夫君
最後、大臣おっしゃったICTの利活用なども本当に重要な要素でもあるかと思います。法務省内でもこの分野における研究開発等もまた更にしっかりと進めていただきたいと思っておりますし、私も、もう少しまた勉強させていただいて、また御質問等をさせていただく機会があればさせていただきたいというふうに思っております。
最後、大臣にもう一個。今申し上げた、あと、国民周知の部分であります。
大臣は本当に現場にいろいろ入られて、いろんな方の御意見お伺いをされる方でもあると思いますし、やはり最後は大臣自ら様々なところで、この矯正医官のお仕事というのがやはり大事であるし、社会的に本当に意義のあることだということをよりまた積極的に語っていただくことということが非常に大事であると思います。政治の言葉というのは非常に重いと思いますし、その意味での大臣の御決意、御所見を含め、またいただければと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
この矯正施設の医療につきまして、私も医療関係の様々な皆さんとの意見交換等も含めまして積極的に進めてまいりたいというふうに思っておるわけでありますが、何よりも現場の状況ということにつきましては、日本の中でも、総合的な病院の機能もございますし、また一般でいきますと診療所のような機能のところもありますので、様々なニーズに応じて適切な対応をしていくということが大変大事だというふうに考えております。
国民の皆さんに矯正医療の意味ということについてしっかりと御理解いただくためにも、また同時に、そこで働いていただく医師を始めとして医療関係の皆さんの現場での御苦労も含めまして、そういったことについてよく現場の声を聞かせていただきながら、施策にしっかりと反映できるように努めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
終わります。

【矢倉かつお】法務委員会_20150414

2015-04-14 矢倉かつおチャンネル

189回 法務委員会(難民認定等)

2015-04-14 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党、矢倉克夫です。よろしくお願いします。
まず、先週の十日であったと思いますが、訟務局、設置をされました。そちらのまず意義についてお答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(定塚誠君)
お答えいたします。
その前に、訟務局創設に当たりましては各方面から多大なる御支援をいただきまして、どうもありがとうございました。職員一同頑張っていきたいというふうに思っております。
これまで訟務は、国の利害に関する訴訟が提起された場合にこれに適切に対応するということを重きを置いてやってきたわけでございますが、今後は、将来の法的紛争を回避するためのいわゆる予防司法機能も強化する必要があるというふうに考えております。また、国際化の進展に伴いまして、国際訴訟等への関与の在り方についても積極的に検討していく必要があるというふうに考えております。
そして近年、国の利害に重大な影響を及ぼす訴訟が増加傾向にあることから、訴訟への適切な対応という観点から、政府として、統一的、一元的な対応を行うために訟務に関する指揮権限を強化する必要があるというふうにも考えておるところでございます。これらに的確に対応する組織を整備するというのが訟務局新設の意義であるというふうに認識しております。
以上です。

○矢倉克夫君
私も、昨年の十月二十八日の質問において、法務省はとりわけ国際訴訟の担い手たるべきという期待の下にもありますが、この訟務局創設、応援をさせていただきました。今回このような形で創設をされたことは非常に喜ばしいことでありますし、今局長からもお話のありました、非常に意義のあるところでありますので、是非更に充実したものにしていただきたいというふうに、このように思っております。
元々この訟務局は、やはり国賠に対しての被告、とりわけ国内の訴訟に対しての対応というのが中心になるかとは思いますが、今お話にもありました国際的な問題の対応というのも非常に重要になってくると思います。もとより所管の問題もありますので、法務省が経産省や外務省と同じように例えばICJやまたWTOの紛争の前面に立ってというようなことはまた違うレベルの話になるのかもしれませんが、法務省というのは霞が関の顧問弁護士というような意味合いもあるかと思います。とりわけ人的資源、法曹資格を持っている人が非常に多い法務省が、これから更に激化をしていく国際紛争の分野においてもしっかりと力を発揮していく必要があるかと思っておりますし、その意味でも今回の訟務局創設というのは大きな意味もあるかと思います。
今後は、とりわけ他省、外務省とか経産省とかとの連携の在り方を含め、例えば、局長も今御答弁いただいた、局長レベルでのパイプを持った議論のやり方もできるというようなことも今回の訟務局創設で一つやり遂げることができたと思うんですが、そういうようなきっかけをうまくつかんで他省との連携の在り方というのも更に考えていく必要があるかと思いますが、上川法務大臣より御所見いただければと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
委員におかれましては、訟務局創設に当たりまして大きなお力を頂戴したことを心から感謝申し上げます。
ただいま御質問の国際的な様々な紛争ということにつきましても、訟務局への期待ということの御意見がございました。国際化の進展、そして国際取引そのものが飛躍的に拡大をしているということでございますので、我が国が国外で訴訟等を提起されるリスクというのは高まっているというふうに考えております。
外国の裁判所におきまして我が国を当事者とする訴訟等が提起された場合におきましては、制度上は法務省が対応可能であるということでございますが、これまで慣行的には外務省が対応してきたというところでございます。国際司法裁判所等の国際法上の司法手続あるいは国際的な紛争解決手段に関しましては、制度上は法務省が直接関与するということにはなっておりません。
しかしながら、こうした場合におきましても、国内の訴訟におきまして、事実認定でありますとか、あるいは証拠の評価につきましても、訟務の知見、ノウハウ、こうしたことが活用できるという場面もあろうかというふうに考えておりますので、関係各省、関係各部署としっかりと連絡体制を強化をいたしまして、国際訴訟案件等への対応の在り方あるいは役割分担につきましても議論を進め、またそうした連携を強化してまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
国際ルールが様々なレベルで作られる過程、裏を返せば紛争が起きるリスクもあるというところであります。その辺り、今後も一層法務省の知見を生かしてより良い運用の在り方を考えていただければと思います。
それでは続きまして、先週に引き続き難民問題を取り上げたいと思います。前回の質問、大臣より、やはり保護されるべき人が保護されないというような在り方はよくないというようなお話もお伺いもいたしました。
その御意見を踏まえまして、まず、今難民条約等もあります。この保護されるべき人、難民条約においてどのように規定をされているのか。また、今様々な国際的な情勢の変化等もある、そこの部分も範囲を超えた上で保護されるべきというような意見もあるわけですが、保護されるべき人というのはどのように捉えられているのか、御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(井上宏君)
まず、我が国における難民の定義でございますけれども、入管法におきましては、難民条約の適用を受ける難民をいうとされてございますところ、難民条約におきましては、難民とは、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見、これらのことを理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にあって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためその国籍国の保護を受けることを望まないもの、このような定義になっております。
他方、難民条約上の難民に該当しない場合でございましても、人道的な観点から必要と認められるときには本邦での在留を特別に許可することとしております。例えば、本国において内戦や戦闘状態から逃れたいわゆる避難民につきましては、避難していることのみをもって直ちに難民条約上の難民に該当するということにはなりませんけれども、人道的観点から在留を認めるべき場合につきましてはその在留を認めておるところでございます。

○矢倉克夫君
例えば、今シリア等でも内戦、更に激化をしております。今の御説明ですと、本来内戦などで避難をされている方は難民条約の難民という形ではないのかもしれませんが、やはり人道上の配慮からも保護すべきであると。その上で、そういうのが国際的な潮流にもなっているというようなお話でもあったかと思います。
現状、今、日本の難民の認定の状態を見てみたいと思いますが、先週も申し上げました、難民の申請自体は非常に増えている。昨年の平成二十六年の段階で五千人ぐらい、これ平成十七年の頃に比べればもう相当増えている、平成十七年が三百八十四人でしたので。
他方、認定をする数というものがどうなっているかといいますと、平成十七年が四十六人認定をされていたわけですが、平成二十五年は六人のみで、平成二十六年は十一名と。申請自体がもう加速度的に増えているのに、認定者が実は減っているというような状態になっている。
このような状態は背景としてどのような理由があると分析をされているのか、御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(井上宏君)
難民の認定でございますけれども、それはあくまでも申請者が難民条約の定義する難民に該当するか否かによって判断されるものでございまして、我が国における難民認定数が少ないのではないかという御指摘があることも事実でございますけれども、実際のところは、諸般の調査を綿密に行いまして、例えば第一次の審査でございますれば、法務大臣が指定する入国審査官、これ難民調査官といいますけれども、研修によりましてその能力を高めました難民調査官が具体的にインタビューをしていろいろと調べる。そのような手続を行っておりますし、二次審といいましょうか、異議段階、異議の申立てに対する審査におきましては、学識経験者等を難民審査参与員というふうに任命いたしまして、三名一班の体制で必要に応じて直接申請者から事情を聞くなど、そういう丁寧な手続をした上で、その難民審査参与員の意見を伺って、それを参考にして難民の認定を決するという。そのような慎重な適正な手続を経た上で個別に判断した結果、余り数が出ていないというのが実情であると判断してございます。
その背景事情はいろいろあるとは思いますけれども、先ほど委員御指摘のように一時は五十人程度の認定があった時代もあるわけでございますが、その当時、ミャンマーの国内情勢が非常に悪くて、かなりミャンマー国籍の方の難民認定があったということ。ただそれは、大変最近ミャンマーの国内情勢が安定してきているために減っているようなことが一つ指摘できると思いますし、また最近申請数が増えている国は具体的にはネパールでございますとかトルコ、スリランカ、ベトナムなどでございますけれども、では、これらの国々における国内の社会情勢が近年非常に急激に悪くなったかといいますと、どうもそのような事実はないと。このようなことから、難民の認定数が余り増えないということの一因になっているのではないかと思います。
いずれにいたしましても、難民条約の定義する難民に該当するか否かにつきまして、これまでの実務先例や裁判例、さらには国際的な実務先例なども参考にいたしまして、個々の事案に応じて適切に判断してまいりたいと存じます。

○矢倉克夫君
今、申請している人が国内的に安定している国の人が増えたというような事情もあったと思いますが、やっぱり見過ごしていけないのは、国際的な事情の中でも、本来真に保護をすべき人の申請が増えるような事情が非常に増えていると。内戦も非常に激化もしている、そういうような紛争状態の中で保護を求める人は増えているわけですし、潜在的に保護を求めたいという人はやっぱり多いことは言えるかと思います。
しかも、条約上の難民の定義には当てはまらないとしても保護すべきという部分は世界の趨勢でもあるわけですし、かといって、では日本だけ認定数が減っている、ほかの国は、例えばドイツなんかは、認定申請者になりますけど、二〇一三年で例えば対前年比が申請、四・五万人増えている、一四年では六・三万人増えていると。この数、桁違いにすごいわけですが、それだけ世界の中では難民申請をしたいという理由を持っている人がやっぱり増えているというような状態は看過してはいけないと思います。
じゃ、何で日本で認定数が減っているかというと、理由としては、本当に真に保護されたいというふうに思っている人の申請数自体が減っているかもしれないというようなところ、要するに、日本に申請しても駄目なんじゃないかと諦められちゃっている環境もひょっとしたらあるのではないかなと。逆に、先週申し上げましたとおり、濫用しようとする人の申請自体が増えてしまっていて、制度自体非常にひずみが来てしまっているのではないかというようなところはあるかと思います。
我が国も国際協調主義を掲げているわけですから、今の難民認定の制度、在り方が仮に濫用の温床だけになってしまって、本当に真に保護をされたいと思っている人からは日本に申請しても駄目だというふうに忌避されるような状態になってしまってはやはりよくないかと。改善すべき部分はやはりしっかり改善するというような方向性をまた議論をしなければいけないと思います。
ポイントとして、今理由として推測されるのは、まず認定の基準自体がやはり厳し過ぎるというところ、一つ目。あともう一個は、認定に当たっての前提の情報、事実、収集する情報がほかの国に比べてやはり少し偏ったものになっているか、少し範囲が狭いか、詳細な部分が足りないかというようなところであるかと思います。
とりわけその後者の部分において具体的な情報収集、どのようにされているのか、簡単にちょっと御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(井上宏君)
難民認定の手続を適正に行うためには、これは難民申請者の出身国の情報とか国際情報を幅広く収集して参照することが重要でございます。
当方どもが参照しておる情報といたしましては、例えば一般的な報道もございますし、外務省が公開しておる各国、地域別の渡航情報というのもございます。また、英国、イギリスの内務省の報告でございますとかアメリカの国務省の報告など、各国の人権状況やそういう国内情勢についてかなり良い情報を出しております。その辺も参照しております。さらに、国連難民高等弁務官事務所、UNHCRでございますが、ここが提供しております出身国情報、特に難民を多く出している諸国の出身国情報でございますとか、特定の国や地域出身者の保護の必要に関する事務所の見解等、このような情報も参照しながら適切な取扱いに努めておるところでございます。

○矢倉克夫君
今、出身国情報というような話もありました。とりわけ今は難民高等弁務官事務所なども非常に詳細なマニュアルなども作っている、各国の赤十字なども作っている、そういうようなものも、しっかり情報共有という部分も含めてやっていくべきであろうかと思います。
最後に、大臣、時間ちょっとぎりぎりで恐縮ですが、日本の問題の一つ、特に難民高等弁務官の事務所などから言われているところ、情報の共有化等も非常に少ないという部分は言われていると思います。この、認定の基準をどうしていくのかというところの部分とはまた別に、やっぱり各国の優れた知見等も取り入れていくという姿勢をもっと取り入れないと、難民認定の国際的な潮流の中で国際協調主義をしっかり標榜している日本の責務を果たす上でも、まだまだ足りない部分はあるのではないかと思います。
例えば、難民高等弁務官事務所などとのノウハウの共有を図るであるとか情報の共有化も図っていく、人材交流などというのも積極的にやっていくべきかと思いますが、その点、最後に御所見をいただければと思います。

○委員長(魚住裕一郎君)
上川法務大臣、答弁は簡潔に願います。

○国務大臣(上川陽子君)
難民調査に関わる様々な知見を共有しながらやっていくというのはやはり大変大事なことだというふうに考えておりまして、UNHCRとの間でもこれまでも人材育成あるいは出身国情報等の提供、こうした面での協力関係を構築してきたところでもございます。
これから先におきましても、その拡充に向けて協議を進めてまいりたいというふうに考えております。積極的な関わりの中で、難民の認定の制度そのものの質が向上することができるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
終わります。

15年度予算案 参院で委嘱審査

2015-04-08 ニュース

公明新聞:2015年4月8日(水)付

参院は6、7の両日、各常任・特別委員会で2015年度予算案に関する委嘱審査を行い、公明党議員が論戦を展開した。

沖縄鉄道検討すべき
河野氏

6日の参院沖縄・北方特別委員会で河野義博氏は、沖縄県への鉄道導入について、地元から強い要望の声があるとした上で、国と県が連携を強化して導入に向けた検討を進める必要があると強調した。このほか、経済や金融の活性化を図る特区制度の周知徹底も求めた。

廃棄物保管支援せよ
新妻氏

6日の参院東日本大震災復興特別委員会で新妻秀規氏は、東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物の一時保管が追い付いていないことから、事業主体に技術的な助言を行うなどの支援が必要だと強調。環境省側は負担軽減に努めると述べた。

効果的なODAに
杉氏

6日の参院政府開発援助(ODA)特別委員会で杉久武氏は、途上国に対する環境分野での支援について、「厳しい財政状況の中、一貫性を確保した戦略的、効果的、効率的な支援を行うべきだ」と訴えた。岸田文雄外相は、杉氏の指摘に同意した。

難民認定制を改善
矢倉氏

7日の参院法務委員会で矢倉克夫氏は、難民認定申請の乱用抑制によって真に保護されるべき人が保護されない事態は避けるべきだと指摘し、制度の改善を求めた。上川陽子法相は「庇護すべき人を庇護するための対策を(制度)見直しも含めて検討したい」と述べた。

テロ対策訓練必要
横山氏

7日の参院総務委員会で横山信一氏は、大規模建築物に自衛消防組織の設置や防災管理者の選任を義務付けた制度の見直しに当たり、核や生物、化学物質によるテロなどの特殊災害に備えるための「防災訓練が必要」と訴えた。髙尾和彦消防庁次長は「実践的な訓練を実施したい」と答えた。

地方に創生支援策
若松氏

7日の参院内閣委員会で若松謙維氏は、地方創生の支援策で政府の見解をただした。石破茂地方創生担当相は、公明党が推進する「地域しごと支援センター」の整備などに言及し、「地域の人を生かすことに力点を置き、公明党の主張も踏まえ取り組む」と述べた。

保険規制の影響注視
西田氏

7日の参院財政金融委員会で西田実仁氏は、保険代理店による雇用関係のない人への販売の再委託が禁止された規制に触れ、地域に根差す代理店の負担増で「地域経済に与える影響を把握し、フォローを」と強調。麻生太郎金融担当相は、代理店へのモニタリングを続けると答えた。

【矢倉かつお】法務委員会_20150407

2015-04-07 矢倉かつおチャンネル

189回 法務委員会(難民認定等)

2015-04-07 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
まず、お配りさせていただいた資料を御覧いただきたいと思います。今日は、難民認定の関係を御質問させていただきます。
別表一という紙に書いておりますが、難民認定申請数の推移、御覧になって分かりますとおり、平成十七年、三百八十四名であったのが、その後、しばらく千名前後で推移をしておりました。しかし、平成二十二年、千二百二名、その後、平成二十三年に千八百六十七名と急激に増加をして、平成二十四年には二千五百四十五名、そして平成二十五年には三千二百六十名、さらに平成二十六年には五千名を突破するという、急激な増加がこのグラフからは読み取れるかと思います。
まず、難民申請者の方々がこのように増加をした背景、とりわけ平成二十二、三年以降から急激に増加をしている背景について御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(井上宏君)
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、近年、難民認定申請者数は急増の傾向にございまして、昨年の申請数は五千件に達したところでございます。実際、このような難民認定申請者の中には、明らかに難民条約上の難民の要件に該当しない事由を申し立てて申請に及ぶ者や、不認定とされた前回申請と同様の事情を申し立てて繰り返し申請に及ぶ者などが見受けられるところでございます。
その背景につきまして、特にここ数年間の急増のことを考えますと、正規在留者である申請者に対しまして難民認定申請から六か月が経過すれば就労が可能な在留資格を与えるという現在の取扱いが、これ一部の外国人の間で、日本で難民認定申請をすれば就労できるというような形の情報となって広がっていった結果、我が国での就労を企図して難民認定制度を濫用する者の増加につながったものではないかと考えられるところでございます。

○矢倉克夫君
今日は表にはしておりませんが、今説明のありました正規滞在資格を持った人の難民申請の推移というのもありまして、平成十七年には百九名であったのが、平成二十五年には二千四百四名まで増えました。平成二十六年には三千七百名、これ十一月段階の数ですが、これまで増えているという、この数値も今の説明を少し裏付けるものではあるかと思います。
ただ、私、冒頭ちょっと申し上げたいことは、まず、正規の滞在資格を持った方が難民申請をするということ、これ自体は必ずしも普通ではないということではないということ。とりわけ、難民になる方の難民ビザというものはないものですから、大体本当に緊急の場では、まず短期でも滞在できるような観光ビザであったりビジネスビザであったり、また短期滞在のビザをまず申請して、その後安全なところに行った上で難民申請をするということ、これは正常の話でもあり、そのような方法全てが偽装難民だと言うこと自体はおかしいという点は、まず冒頭申し上げておきたいと思います。
私が今ちょっと問題点にしたいと思うのは、非常に濫用している案件も増えていることはこの数値の異常さからも非常に見えている。ただ他方で、背景ですけれども、だからといって、この偽装難民の問題が増えているから難民認定自体を厳しくしなければいけないんだというような論調にすぐ行ってしまうのも非常に問題であるかなと。むしろ、議論すべきは、何かこの日本の難民認定制度にやはりもっと改善すべき点があり、それが改善されていないことが制度を悪用されるような、助長を生むような状態になっている部分もあると。難民認定自体を厳しくするという論調よりは、日本の難民認定制度をもうちょっと改善するということで議論を進めていかなければいけないんじゃないかというような部分の話をやはりしていきたいという点がまず今日の問題意識であります。
今説明のありました、申請後六か月を、難民申請を、六か月を超えた場合に一律に就労を認めるというこの特別滞在という部分での対応であるかと思いますが、このような運用にされた部分での趣旨、その辺りについてまた御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(井上宏君)
お答え申し上げます。
委員の御指摘は、平成二十二年の三月にそのような一律に就労を認める、六か月たてばですね、取扱いに変更したということでございます。このような取扱いに変更した趣旨は、真に庇護を求める難民認定申請者の生活の安定に配慮することを目的としたものでございましたが、先ほど申し上げましたように、結果としてこれが我が国での就労を企図して制度を濫用する者の増加につながってしまったものと認識してございます。
そこで、法務大臣の私的懇談会である第六次出入国管理政策懇談会やそこの下に設けられました難民認定制度に関する専門部会から昨年末に提言を受けてございまして、現在、濫用防止策を含めた難民認定制度の見直しの検討を行っているところでございます。
ただ、すぐに難民認定を厳しくするというのではなくて、一律に就労を認めることがどうかというところの検討をまずしているところでございまして、この点につきましては、一定の条件を設けて個別にその許否を判断していく枠組みとするのが基本的な方向と考えてございまして、その具体的なところにつきましては、現在、鋭意検討しているところでございます。

○矢倉克夫君
趣旨は、その難民申請をする人の経済的困窮、まさに人道的配慮の部分もあるかと思います。その内容は正しい方向であると思う。ただ、あとは運用をどのようにするのか、また難民申請をする人の経済的困窮というのをまた別途の方向で経済的援助をする枠組みというのも考えていかなければいけないと思うし、その点は引き続き御検討をいただきたいというふうに思います。
私、その上で、もう一つこの問題が大きくなっている背景というのが、やはりこの審査期間というものが全体として長くなっている。要は、今六か月申請した後に経過した人が、審査期間が、判断がされるまで就労を認められるというようなことが立て付けになっております。それが、審査期間が長期化しているということが更にその方向性を使って就労しようという温床になっている助長でもあるかと思っております。
その前に、まず前提として、今の難民認定の平均的な審査期間、こちらは異議申立ての部分も含めて御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(井上宏君)
まず、難民認定申請がありました最初の審査、第一次審査とも申しますけれども、これにつきましては、当局の方ではいわゆる標準処理期間として六か月というものを想定して努力しておるところでございますが、近時、申請数の急増に伴いまして、直近の三か月間、平成二十六年の十月から十二月までの三か月間を取りますと、七・三か月と標準処理期間をちょっと超える方に長期化の傾向が現在進んでおります。
なお、第一次審での不認定に対して不服がある場合には、大臣に対する異議の申立てができます。これを異議審と申してございますが、こちらの方は難民審査参与員の関与なども求めまして慎重な手続になってございますので、そちらの方の平均的な処理期間は、二十六年度を通じまして二年五か月余りとかなり長期になってございます。

○矢倉克夫君
確認ですが、難民申請をした後六か月を経過したらまず就労できると。それが、異議申立て期間、判断が出るまで就労できるということ、今のお話ですと、異議申立て期間の判断の期間も含めて三年ぐらいは掛かっているということですので、正規に滞在していた人が難民申請をする、その後六か月経過したら自動的に三年間ぐらいは就労できるというような状態になっているということでまずよろしいでしょうか。

○政府参考人(井上宏君)
結果としてそのような状態になっている例が多うございます。

○矢倉克夫君
その上で、さらに、現状の制度の前提ではございますが、私の理解では、この難民認定、まず申請があれば、例えば明らかに問題が難民として該当するような事由でなければ、必ず受けなければいけないというのがまず前提としてある。その上で、一回申請がされて、それが何らかの判断がなされたものであっても再度繰り返し申請がされるというような制度設計になっているかと思います。
それを前提にしますと、先ほど、三年間まず就労ができる、その後、更に再申請をすれば、同じような事案の申立てであっても、まず審査はしなければいけないし受理しなければいけない、それがまた三年間経過をする。そういうような状態で何回も何回も何回も繰り返されて、結果的には半永久的に就労できるというような状態に制度の構造としてなってしまっているというような理解でおりますが、この点認識は正しいか、また御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(井上宏君)
委員の御指摘のとおり、まず六か月が経過した後には本人の希望に基づいて就労を認める取扱いをしまして、それはその期間は何回も更新をして、その判断が出るまで更新を続けるわけでございますが、その判断で不認定となりましても再度の申請を認めてございますので、その結果、かなり長い間続けて在留し、その間働けるという実情につながって、それがまた申請数の増加にもつながっているものと考えてございます。

○矢倉克夫君
このような在り方というのは、国際的にはどのようなものなのか。一般的なものなのかそうではないのか、ちょっとその点、お答えだけいただければと思います。

○政府参考人(井上宏君)
諸外国の取扱いにつきまして網羅的に調べ上げられているものではございませんけれども、主要国を見ますと、再申請をおよそ受け付けないというところはございませんけれども、新たな事情を求めるとか、一定の範囲に絞って再申請を認めているところが多いように認識してございます。

○矢倉克夫君
今御説明ありました、全く例えば申請者が難民性を主張していないような事案であったり、難民認定の要件に該当しないような事情のみを主張する場合、また主張に明らかに根拠がないような事案、また多くの申請者が同じようなストーリーを申し立てたりとかするような事案、そのような事案であっても、今の現状の日本の制度はやはり同じようにまず受けなければいけない。
諸外国は、その辺りをしっかり選別をしているような運用もかなり広がっているかとは思います。そして、例えばヨーロッパなどでは、やはり最初の申請と同じような理由での再申請というものは却下といいますか、その点の判断は一事不再理のような形でしっかり判断もするというような制度の枠組みがある。他方で、そういうようなのがないような日本の今の在り方というのは、果たして国際的にも合うのかどうか、少し特異なのではないかというような部分はあります。
今日は、今これを改めてお訴えしているのは、偽装難民というふうに言われている問題、これが、先ほど申し上げた六か月以降の就労を実質的に認めるという制度の立て付けと、今の日本の難民申請の少し特異な部分、この申請を受けるその辺りの構造が合致をして、本当に悪用しようとする人には悪用しがいのある、やりやすいような構造になっているのではないかと。それをまず断ち切るためには、日本の運用の部分、在り方をしっかりまず再検討することが大事であるというふうに思っておりますが、大臣は、この辺り、申請の受理の仕方等を含めてどのようにお考えか、大臣から御所見いただければと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
現在の日本の難民の認定制度につきましては、初回の申請の折に難民として要件に該当するかどうかということを審理した上で、その後、事情の変更によりまして新たな申請要件にかなうということになりましたならばということで、一律に再申請を認めないという制度にはしていないものでございます。
しかし、再申請を認めていること自体が、先ほど来のお話がございましたとおり、制度濫用につながっているという実態が見受けられるということでございまして、先ほど局長からの答弁の中で、第六次出入国管理政策懇談会、そして難民認定制度に関する専門部会の方から報告書が提出されたところでございまして、こうした制度につきましては見直しをすべきではないかと、こうした提案でございました。こうした提案がございましたので見直しをしているところでございますけれども、制度全体としての公正性ということについて欠くような結果にならないようにということで、保護すべき対象は何かと、さらに、専ら我が国での稼働を目的とした者等の保護に値しない対象と、このところにつきましては区別をして対応していくということが重要ではないかと考えているところでございます。
難民認定制度につきましては、真に庇護する者に対しましては十分に配慮しながら、また濫用につきましては防止するという、このための方策につきましてしっかりと検討をしてまいりたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君
大臣、今おっしゃってくださったとおり、これ、真に保護すべき者とそうでない者をしっかり明確に分ける。その上で、やはり大事な部分は、保護すべき難民の数は国際的にも非常に増えている、そのような運用をまた改善をする中で、本当に真に保護すべき人が保護されないような状態になるような改善というのはなすべきではないという点であるかと思います。
ちょっと時間の関係もありますので用意した質問はまた次回に回させていただくとして、最後、大臣にもう一点、再度今の確認なんですが。
今の日本の難民認定の状態は、そのような制度の問題もあり、濫用されている傾向にもある。そして、もう一方の課題として、そのような改善もしつつ、やはり真に保護すべき難民というのはしっかり保護するという体制をより良く作っていかなければいけない。今、それが濫用されているという事態で、真に保護すべき難民まで保護しないような方向に議論が行ってしまうのではないかというような危険性もあるかと思います。
その辺り、日本の難民認定制度、まさに先ほど申し上げてくださったように、しっかり真に保護すべきところは真に保護すべきという観点の下で基準もしっかりしていくというところを、大臣よりその方向でやるという部分を改めて御意見をいただければと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
こうした国際化の時代の中で、難民の認定制度そのものにつきましてもたゆまぬ改善、見直しをしていく必要があるというふうに考えております。
真に難民である方、そして庇護すべき者、そしてその方をしっかりと庇護するための対策ということについては十全なる対応をしていくべきだというふうに考えておりますので、そうした見直しも含めまして、今後もしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
終わります。

公明党は若者応援団

2015-04-05 ニュース

公明新聞:2015年4月5日(日)付

政府に青年政策アクションプランを提出する党青年委員会=2014年8月 首相官邸

政府に青年政策アクションプランを提出する党青年委員会=2014年8月 首相官邸

青年委員会の政策集96%前進

「青年政策アクションプラン(政策集)」の96%が前進――。公明党青年委員会(石川博崇委員長=参院議員)は先月末、昨年8月に全国の800人を超える若者の“生の声”をもとに安倍晋三首相宛てに提言した同プラン全51項目のうち、49項目が実現や、実現に向けて具体的に前進しているとの進捗状況をまとめました。この中から、若者の雇用対策、奨学金の拡充、危険ドラッグ防止策のポイントを紹介します。

仕事にチャレンジ

ブラック企業から守る雇用促進法案

党青年委の提案で、今国会には日本で初めてとなる若者の雇用を促進するための法案(青少年雇用促進法案)が提出されました。

これまで日本は、高齢者や障がい者、女性を対象とした雇用対策法はありましたが、若者に光を当てた法律はありませんでした。同法案は、若者が安心して就職できるルール作りが柱になっています。

具体的には、若者を使い捨てにする、いわゆるブラック企業の新卒求人はハローワークで受け付けないことを規定したほか、企業に離職率などの職場情報を提供することを義務付ける点などが盛り込まれました。

一方、若者の採用や育成に実績のある中小企業については、その魅力を情報発信できるようにします。

充実した学生生活

無利子奨学金を46万人分まで拡充

家庭の経済状況が厳しくても大学などに進学できるよう、公明党は一貫して奨学金制度の拡充に取り組んできました。無利子奨学金は2015年度予算案で約46万人分を確保し、過去最高を更新。これは成績基準などを満たせば、年収300万円以下世帯の学生が全員受けられる規模です。

一方、卒業後に奨学金を返還できない若者も増えているため、延滞利率半減、返還期限猶予制度の適用年数延長などを実現しました。また、返還月額を収入に応じて柔軟に設定する「所得連動返還型」の本格導入も進めています。

このほか、大学生を対象とする返還不要の給付型奨学金の創設をめざすなど、奨学金制度をさらに充実させていきます。

危険ドラッグはNO

販売、広告の規制や原料輸入禁止を実現

20~30歳代の乱用者が重大な交通事故を起こすなど、深刻な社会問題になっている危険ドラッグ問題に公明党は全力で取り組んできました。

昨年11月、危険ドラッグの規制を強化する改正薬事法(現・医薬品医療機器法)が公明党の推進で成立。指定薬物の単純所持や使用が取り締まりの対象になり、販売停止命令の対象拡大やネット販売・広告の規制強化も実現しました。

また、危険ドラッグの原料となる指定薬物の大半は海外からの輸入です。公明党は指定薬物の輸入禁止を強力に主張し、今国会で関税法を改正。今月から輸入禁止が実現しました。

一方、全国の地方自治体では公明党議員の訴えで、罰則などの規制を強化する条例の制定が進んでいます。

次世代エネ実用化へ

2015-04-03 ニュース

公明新聞:2015年4月3日(金)付

質問する矢倉、横山の両氏=2日 参院予算委

質問する矢倉(左)、横山の両氏=2日 参院予算委

参院予算委で矢倉、横山氏
商品開発や人材育成訴え

参院予算委員会は2日、2015年度予算案に関する一般質疑を行い、公明党から矢倉克夫、横山信一の両氏が次世代エネルギーとして期待される資源の実用化に関して質問した。

矢倉氏は、水素を活用した「水素社会」の実現に向け、商品開発や製品の国際標準化に力を入れるべきと主張。さらに、国内企業が他国に先駆けた技術を持つ燃料電池自動車の普及に向け、水素ステーションの整備を促進するよう求めた。

経済産業省側は、ガソリンスタンドの活用などで、水素ステーションを15年度中に全国約100カ所まで整備する考えを示した。

また矢倉氏は、さいたま市で行われている、ごみ焼却炉の廃熱で発電した電気で水素を作り出す水素ステーションの実証実験を紹介し、「再生可能エネルギーを由来とする水素製造を進めることを、水素社会実現の一つの目的にしてほしい」と訴えた。

宮沢洋一経産相は「22年度に再エネ由来の水素を競合可能な価格で製造する技術を確立することを目標としている」と答えた。

一方、横山氏は、日本近海に世界有数の埋蔵量があるとされるメタンハイドレートの開発を進めるためには、民間事業者の参入促進と研究者、技術者の養成が欠かせないと主張した。

宮沢経産相は「商業化に向けて民間企業の知見・技術は不可欠。連携して進めていく」と述べ、研究者らの養成については、「学識経験者、石油開発会社などが参加するシンポジウムや学会を通じて、政府の調査結果を学問の世界とも共有している」と答弁した。

これに対し横山氏は「メタンハイドレートは国策を担う分野になる可能性がある。特別な人材育成プログラムがあっていいのでは」と、重ねて提案した。

【矢倉かつお】予算委員会_20150402

2015-04-02 矢倉かつおチャンネル

189回 予算委員会(水素エネルギー社会の実現)

2015-04-02 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党、矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
時間の関係もあり、早速質問に入らせていただきます。
水素社会という言葉が希望を持って語られております。宮沢経済産業大臣より、まずこの水素社会実現の意義を御説明いただきたいと思います。

○国務大臣(宮沢洋一君)
水素は、まず様々なエネルギー源から製造することが可能でありますし、また利用段階ではCO2を出さないということで、エネルギーセキュリティーの向上や環境負荷の低減につながる将来の有力なエネルギー源、エネルギーの一つであると認識をしております。
先般、昨年決定いたしましたエネルギー基本計画におきましても、将来の二次エネルギーでは、電気、熱に加え、水素が中心的な役割を担うことが期待されるとの方針を示しております。加えて、燃料電池車を始めといたしまして、燃料電池分野での競争力、我が国は大変高いものがありまして、産業政策の観点からも水素のエネルギーの利活用は大変意義あるものだと考えております。
こうした水素の利活用に向けまして、昨年六月、経産省といたしましても、産学官の役割分担や具体的な取組を明確化した水素・燃料電池戦略ロードマップを取りまとめたところでございます。これに従いまして、燃料電池自動車を始めとして、足下で実現しつつある燃料電池技術の拡大をしていくとともに、将来、再生可能エネルギーや海外の未利用エネルギーを用いて製造した水素を安価で安定的に供給するシステムを確立することを視野に入れ、今から必要な技術開発などを着実に進めていこうと考えております。

○矢倉克夫君
水素社会実現に向けた第一歩は、水素技術を利用した製品の実用化、商品化の促進であると思います。
目下、一番取組がなされているのは、エネファームと燃料自動車、特にこの燃料自動車については、御案内のとおり、トヨタがいち早くミライ、市場投入をいたしました。燃料自動車をめぐる国内外の自動車メーカー等の動きについて御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(黒田篤郎君)
お答え申し上げます。
燃料電池自動車は、航続距離や燃料の充電時間についてガソリン車と同程度の利便性を持ちまして、走行時にはCO2を排出しない有力な次世代自動車でございます。自動車メーカー各社、実用化に向けて取り組んでおります。
昨年十二月、トヨタ自動車が新型の燃料電池自動車ミライを発売いたしました。今後は、ホンダが二〇一五年度中に、また日産自動車は早ければ二〇一七年中に、それぞれ燃料電池自動車の発売を予定してございます。また、これら我が国自動車メーカーは、二〇〇五年から二〇〇九年における燃料電池関連の特許出願件数で世界上位五社中三社を占めるなど、国際的にも強い競争力を有しているところでございます。

○矢倉克夫君
技術は、トヨタ始め日本が先行しているということを理解をいたしました。ただ、日本の課題は、やはり売る力、優れた技術がガラパゴス化しないように先手を打たなければいけないと思います。今、特許のお話等もありました。鍵となるのは、企業のマーケティング力強化と、もう一つ、特に燃料自動車はさらに水素ステーションの関係もありますが、部品も含めた関連製品が国際市場の標準となること、つまり国際標準化であると思います。
標準化といいますと二つ意味がありまして、ここで問題としているのは、官民一体の取組としては、かつてマイクロソフトのウィンドウズがそうであったように、市場経済競争を勝ち得た結果としての事実上の国際標準化、デファクトスタンダードではなく、ISOなど公的な機関による認定を通じた標準の国際化、いわゆるデジュールスタンダード、これを目指す動きが大変に重要であるというふうに思っております。
私の問題意識としては、日本はこの分野において他国、とりわけ米欧よりは遅れているという、問題意識が薄いという理解もありますが、現状の政府の一般的な取組についてお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(片瀬裕文君)
お答え申し上げます。
我が国の技術を広く世界に普及させるためには国際標準化への戦略的な取組が必要だということで、御指摘のとおりでございます。こうした観点から、具体的に今、第一として、研究開発段階から標準化に一体的に取り組むということで、我が国にとって重要な技術を早期に見定めて他国に先んじて標準化提案を行っていくということを行いましたり、第二に、欧州内で規格が統一される前に欧州の一部の国と連携して標準化を進める、あるいはアジア諸国と連携して標準化提案をする、そういった形で戦略的に国際標準化活動を実施しております。
これらの取組によりまして、日本の国際標準化活動は国際幹事引受数などにおきまして欧米に並びつつあるということでございますし、個別技術分野におきましても、超電導あるいは光触媒、LED、生活支援ロボットといった我が国が非常に得意な技術の標準化、この戦略的な標準化に成功しているところでございます。
こうした取組を更に強化をするため、昨年五月に、官民トップが参加する標準化官民戦略会議におきまして標準化官民戦略を取りまとめたところでございます。これに基づきまして、官民が緊密に連携して、国際会議で幹事を務める標準化人材の育成、それから、業界団体に加えて優れた技術を持つ個々の企業を含めた官民の連携強化、あるいはアジア諸国との国際標準の共同開発等を通じて取り組んでまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
今政府参考人から説明のありました、国際幹事引受件数の増加という話がありましたが、表にまとめております。お手元の資料を御覧をいただきたいと思います。数としては非常に、右側の資料なんですが、日本の数がどんどん今増えている。また、標準の提案数もどんどん増えているという状態であります。
私、幸いにも、この分野、前職で少し関わる機会も得まして、とりわけEUのISOに対する影響力の強さというのはよく言われています。EUはEU規格というものをつくって、それをISO規格にする術に非常にたけております。特に、ISOというのは一国一票制度でありまして、EUは規格をEUでつくった時点でもう既に加盟国分投票権があると。EUは二十八票これ持っているわけなんですよね。対して日本は一票と。そういうような状況で、このEU規格との戦いというのは最初から不利であるわけですが、今現状、政府としてもその問題を認識した上でいかにこの分野で勝っていくのかということを、着実に成果を上げられているという認識は今させていただきました。
それでは、先ほど申し上げた水素技術におけるこの分野での取組、改めて御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(片瀬裕文君)
お答え申し上げます。
水素技術分野は、今後産業化が急速に進んでいく新しい分野であるということで、研究開発と一体的に戦略的に標準化を進めるということが国際標準化の主導権を握る上で非常に重要だと思っております。
このような観点から現在取組を進めているところでございますけれども、その結果、水素技術関連の国際標準化は、国際標準機構、ISOにおきましては二つの専門委員会で行われているわけでございますけれども、まず燃料電池自動車分野を扱う専門委員会、この場ではこれまで七つの規格が開発されましたけれども、そのうち五つの規格については我が国の提案がそのまま採用されているということでございまして、残りの二つの規格につきましても我が国の技術を十分反映したものになっているというふうに認識しております。
また、もう一つの専門委員会である水素の品質や水素ステーションなどを扱う委員会におきましては、二十四の作業グループで現在まだ標準化作業が進められているところでございますけれども、そのうち五つについては我が国が座長を務めるということで主導権を持っております。残りの作業グループにおきましても、日本からは規格の専門家のみならず、特別に技術の専門家を積極的に派遣するということをやっておりまして、日本の技術を十分に反映した形で国際標準化をするべく積極的に取り組んでいるところでございます。

○矢倉克夫君
着実に進めていただきたいと思います。
御案内の方も多いかもしれませんが、WTOのTBT協定というのがありまして、その二・四条等におきましては、WTO加盟国は、国内の強制規格等を定めるに当たりまして、関連する国際標準をその基礎として用いなければならないという趣旨の規定が定められています。これは、つまり製品の国際標準を押さえさえすれば、途上国を含めたWTO加盟国の国内規格はそれに準ずることになりまして、世界市場を席巻するのに有力な力になるということです。
今日は質問等はいたしませんが、経産大臣におかれましては、この国際標準化戦略というのがマーケティング戦略と関わる優れた産業政策であるということを改めて御理解、御認識をいただければと思っております。
さて、次に行きたいと思います。
燃料自動車の普及の話を更に進めたいと思いますが、この燃料自動車普及の最大の課題の一つは、インフラである水素ステーション、この普及であります。この両者は卵と鶏の関係のようなもので、もうどちらかが進まない限りどちらも進まないという。この点、この普及をどうされるのか。環境省所管の小型水素ステーションの普及も含めまして、経産省、環境省よりいただければと思います。

○政府参考人(木村陽一君)
水素ステーションの整備でございますが、平成二十七年度中には百か所程度整備するという目標を掲げてございます。官民一体となって取組を進めているところでございまして、政府としても整備に対する予算措置を講じております。現時点で五十四か所分につきまして補助金の交付決定を行っております。現在整備中ということで承知をしてございます。
水素ステーションの整備に当たりましては、やはり整備に係る費用をまず低減していかなくちゃいけません。あわせまして、水素ステーションの用地を確保していくということも必要でございます。このため、例えば既存のガソリンスタンドを活用する水素ステーションでございますとか、あるいはスペースを取らない、あるいは低コストな一つのパッケージに必要な装置を収めたパッケージ型でございますとか、あるいは移動式の水素ステーション、そういったものを機動的に活用しながら普及を進めていきたいというふうに考えてございます。
こうした整備に当たりましての課題、一つ一つ克服しながら支援策を講じてまいりたいと考えてございます。

○政府参考人(三好信俊君)
お答え申し上げます。
環境省における水素ステーションの整備の取組方針でございますが、私ども環境省では、低炭素社会の実現の観点から燃料電池車を始めとする次世代自動車の普及促進を図っているところでございます。今御答弁ございました中に平成二十七年内に百か所程度の水素ステーションの整備という目標がございました。私どもも、この目標を受けまして、環境省といたしましては、地域で水素の製造が可能となる再生可能エネルギー由来の水素ステーションの整備を支援するための予算を平成二十七年度本予算に盛り込まさせていただいているところでございます。
経済産業省とも連携をいたしまして、燃料電池車の普及促進に向けまして全国的に水素ステーションの整備の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
この燃料自動車の関係ではトヨタの特許無償化も話題となりました。面白いと思ったのは、特許を無償化した中でこの水素ステーション関係の特許だけは無償化を無制限としているというところなんですよね。それだけ、インフラである水素ステーションは建設が急務であり設置も急務であって、より多くのプレーヤーを入れ込むこと、重要性があるということを認識をしている、示すことであると思います。この分野、更にしっかり進めていただきたいと思います。
一点だけ要望させていただきたいのが、水素ステーションの設置に当たりましては、既存のガソリンスタンド、この活用も図っていただきたいという点。昨年四月のエネルギー基本計画でも、この分野におけるガソリンスタンドの多様な役割、言及もされております。この点は是非、御協力をしっかりまたいただきたいというふうに思います。
最後、また経産大臣にお伺いをしたいんですが、お手元の資料を一つまためくっていただきたいと思います。
私の地元のさいたま市、ここにおける小型水素ステーション導入の取組が出ております。ごみ発電を伴う廃棄物焼却施設とまた水素製造をマッチしたような形なんですが、再生可能エネルギーに由来する水素を二次エネルギーとして活用するということ、これはまさに究極の二酸化炭素フリーであります。これなどが典型でありますが、水素社会が生み出す価値の一つというのは環境負荷をやはりなくしていくこと、これが大きな意味があると思います。また、再生可能エネルギーという部分に関しますと、この再生可能エネルギーは元々時間変動があるわけですが、それによって生まれた余剰電力、これを利用して水素をつくっていくということ、これは再生可能エネルギーの弱点克服にもなるかと思います。
この再生可能エネルギー等を由来とする水素製造を進めることを水素社会の実現の一つの目的としていただきたいと思うんですが、これに向けた研究の課題と展望を大臣よりいただきたいと思います。

○国務大臣(宮沢洋一君)
水素社会を実現するためには、やはり水素をどうやって製造するかというのは大変大事な問題であります。その中で、今委員御指摘のように、再生可能エネルギー由来の電気を用いて水素を製造するということにつきましては、まさに製造段階を含めてCO2を排出しないエネルギー源とするということでございまして、極めて重要な技術であると考えております。また、今おっしゃいましたように、天候の変化等による発電量の変動という再生可能エネルギーの課題の一つにつきまして、この変動を水素製造によって吸収するということも大変大事なことだろうと考えております。
ただ、問題は、この技術を本当に実用化するためには極めてコストが今高いということでありまして、低コストで効率的、安定的に水素を製造する電気分解装置の開発などの研究開発が必要であります。
このため、経産省といたしましては、二〇一三年度から十年計画で革新的な水素製造技術の研究開発に取り組んでおります。計画期間終了後の二〇二二年度には、再生可能エネルギー由来の水素を現行の水素と競合可能な価格で製造する基礎的な技術を確立することを目標として、これからも研究開発をしっかりと進めてまいります。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
これで終わりますが、今、再生可能エネルギーに関しては大臣おっしゃったコストがやはり問題だと思います。それをしっかりと克服する技術の粋を集めて、是非積極的に更に推進していただきたいことを御要望いたしまして、質問を終わります。
ありがとうございます。

総理に対し1年ぶりのテレビ質問

2015-04-02 メルマガ

矢倉かつおです。

桜咲く季節、我が家からも美しい姿が。心和ませる春の贈り物です。

国会とりわけ参議院は今、予算審議で大忙しです。

今年は、昨年末の衆院選もあり審議が遅れ、結果、年度はじめの4月を過ぎた今もなお、暫定予算を組んだのち議論が続いています。

私も予算委員として、月曜日から金曜日の連日、朝から夕方まで国会内の第一委員会室にて、お昼休みをのぞき会議の日々です。

そんななか、先月20日、安倍総理はじめ閣僚に質問する機会をいただきました。1年ぶりのテレビ入り質問です。

私が任されたのは、ある特定テーマについて議論をする「集中審議」における質問です(ほかに、「基本的質疑」と「一般質疑」などがあります。)テーマは「外交安全保障等」でした。

この「集中審議」、開催日がギリギリまで分からない事がしばしばです。なぜなら、いつ、何をテーマに開催するか等をめぐり、野党による日程闘争の駆け引きの材料とされることがあるからです。

事実、私の質問日が決まったのは、数日前でした。「時間がない!」さすがに少し慌てました。

ただ、「外交」を語るのであれば、「日本が世界に発する価値は何か」、これを訴えたい、そう心に決めたところ、テーマがすぐ三つ浮かびました。「防災」「環境」「不戦」です。

それぞれについて抽象的にならないよう、「防災」は世界防災会議とODA(政府開発援助)を、「環境」では再生可能エネルギーを、そして「不戦」は日中・日韓関係をトピックに選びました。

*動画です(37分をテーマ別に四分割しました)

https://youtu.be/lCCg4Rgiyj0  防衛 (約6分)

https://youtu.be/cgQJoaOKY5Y 防災 (約14分)

https://youtu.be/fReOrhp6r_o 環境 (約9分)

https://youtu.be/SDn1wusaYtA 不戦 (約9分)

テレビ入り質問も2回目ですので落ち着いて取り組めたと思います。

最後の「不戦」を語るに当たり、戦後70年の節目にあたる日中・日韓関係という難しい問題をとりあげた背景には、議論を通じ、感情的になりがちな日本の外交議論を、より広い視野をもった戦略的なものに変えさせたいという思いがありました。

言葉に注意しながら(キーワードによっては、すぐ意図しない方向に取り上げられます)訴えたところ、昨年より一層思いのこもった答弁を引き出すことが出来たと思います。

これまで、30回ほど国会質問をさせていただく機会に恵まれましたが、常に心がけていることは、問題の追及であれ、政策の提案であれ、答弁者と「対話」をすること、国民や支援者の声を大事にすること、そして、大臣はじめ答弁者だけでなく、議場にいる国会議員全員の雰囲気を変える議論をすることです。また、パフォーマンスだけの議論は絶対しない、それが与党である公明党議員の責務であり、誇りでもあります。

まだまだ未熟なところが多いですが、一層、精進します。

明日3日は、いよいよ、統一地方選前半戦の告示日(埼玉県はじめ多くの道府県議会・政令市議会)です!

公明党地方議員と国会議員の連携である「チーム3000」の力をさらに強固にすべく、全員当選に向け、力を出し切ります。よろしくお願いします!

3.20予算委員会_防衛

2015-03-31 矢倉かつおチャンネル

3.20予算委員会_防災

2015-03-31 矢倉かつおチャンネル

3.20予算委員会_環境

2015-03-31 矢倉かつおチャンネル

【矢倉かつお】法務委員会_20150326

2015-03-26 矢倉かつおチャンネル

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