【矢倉かつお】参議院 憲法審査会2023/04/12

2023-04-12 矢倉かつおチャンネル

【矢倉かつお】政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会(ODA沖北特委)2023/04/07

2023-04-07 矢倉かつおチャンネル

【矢倉かつお】予算委員会(防災・減災対策、防衛産業の育成等)2023/03/20

2023-03-20 矢倉かつおチャンネル

211回 予算委員会

2023-03-20 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
早速質問に入らせていただきます。
資料一を御覧いただきたいと思います。こちらは、以前も予算委員会で提出をさせていただいたものですが、土木学会の資料を基に、防災・減災対策でどれくらい災害による損害を減額できるか定量化したものであります。例えば、首都直下型地震で十兆円の備えをすれば、その減災額は二百四十七兆円、減災率にして三四%であります。ここで想定している損害というのは、資料二にありますように、直接被害だけではなく、消費の減少や企業収益の減少など、国力の低下を捉えております。
防災・減災にお金を掛けるに当たって非常に難しいことは、ふだんは効果が目に見えない、でも、起きてから慌てて掛けてもやっぱり遅いわけでありますから、災害が起きる前にがっと掛けてこそ、お金を掛けてこそ効果が最大化できる、その決断こそが政治であるというふうに思っております。改めて、大事なことは、効果を見える化することである。
まず、国土強靱化担当大臣にお伺いをいたしますが、政府において、このような防災・減災対策の効果の見える化、データ化をどのように図っているのか、お答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(谷公一君)
お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、防災・減災の効果を分かりやすく見える化して国民の皆様に理解をしていただくことは大変重要であると認識しております。
国土強靱化の五か年加速化対策で実施している百二十三の対策について、それぞれの事業の実施効果を数値目標として定めるとともに、毎年度その進捗状況を公表するなどして、事業の効果を分かりやすくするよう努めているところでございます。
また、過去の浸水被害において、審査前に対策をしていたら、被害額や原状回復費用のおよそ五分の一の整備費用で被害の発生を抑えることができたとの試算も公表するなど、効果を定量的に計測する取組も進めているところであります。
今後とも、より分かりやすく国民の皆様に防災・減災対策の効果をお伝えできるよう、直接被害や間接被害の算定など、被害の低減効果について関係省庁と連携して定量化を研究するなど、可能な限り分かりやすい数値目標の設定と公表に取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
今おっしゃっていただいた御試算含め、定量化というのが非常に大事だと思います。引き続き是非お願いをいたします。
財務大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、この資料一にあるように、防災・減災というのは将来の安心の基盤でありまして、まさに子育て支援と並ぶ未来への投資であって、両立して十分な予算を確保しなければいけません。政治の決断として重要だと思います。
改めて、防災・減災予算の重要性について大臣の所見をお伺いいたします。

○国務大臣(鈴木俊一君)
激甚化する、そして頻発化する風水害、それから切迫すると言われております大規模地震等から国民の命と暮らしを守ること、これはもう国の重大な責務であると認識をいたしております。そのような認識の下で、ハード、ソフト一体となった流域治水対策など、防災・減災、国土強靱化の取組を関係省庁と連携して推進することが重要だと考えます。
令和五年度予算におきましては、ハード、ソフト合わせた国土強靱化予算として約四・七兆円を計上したところです。
また、データの活用の重要性もあると存じておりますが、財務省としては、今後も関係省庁と連携して、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を含めまして、防災・減災、国土強靱化の取組を進めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
是非、将来世代へ残すものとして防災・減災予算、非常に重要ですので、引き続き更に一層の予算拡充を求めたいというふうに思います。
関連で、インフラの老朽化における予防保全の重要性についてお伺いいたしますが、資料三を御覧いただきたいと思います。
例えば橋、橋梁であります。老朽化のレベルに合わせて、健全な順にⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳとなりますが、右にありますように、措置が必要なⅢ、Ⅳを一年掛けてこれ七千修繕等しても、一方で、ⅠやⅡの橋が年間五千、新たにⅢ、Ⅳとなってしまう。これでは、全てが予防保全でよいⅡ以下に移行するには二十年以上掛かってしまうというわけであります。
Ⅲ、Ⅳへの措置と並行して、抜本的に、特にⅡへの予防保全予算を掛けるべきと考えますが、大臣、国土交通大臣に、老朽化対策における予防保全に対する重要性と、現行の五か年十五兆円の加速化対策でどこまで予防保全が進むのか、お伺いをいたしたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
まず、前段の予防保全の重要性でございますが、我が国におきましては、高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化が加速度的に進行しておりまして、インフラ老朽化対策は喫緊の課題です。インフラ老朽化対策を計画的かつ適切に進めるためには、将来必要となる費用を縮減することが必要であり、損傷が軽微な早期段階での手当てによって施設を長寿命化させる予防保全型のインフラメンテナンスが極めて重要です。
このため、国土交通省では、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も最大限活用しながら、各インフラについて、事後保全型から予防保全型への本格転換を進めつつ、老朽化対策を集中的に推進しているところでございます。
後段の御質問の、この今の十五兆円でどれだけそれが進むのかという御質問でございますが、例えば地方公共団体が管理する道路の橋梁で申し上げますと、事後保全として緊急に又は早期に対策を講ずべきとされた橋梁のうち修繕などに既に着手している橋梁の割合は、いわゆる五か年加速化対策が始まる前の令和元年度時点では約三四%であったのに対し、五か年加速化対策が終了する令和七年度末には約七三%まで達する見込みでございます。予防保全への転換が進捗しつつあります。
引き続き、国民の命と暮らしを守るため、五か年加速化対策も活用しながらインフラの老朽化対策を着実に推進してまいりたいと決意しております。

○矢倉克夫君
今大臣おっしゃっていただいたとおり、これは事前に軽微なときにやる方がコスト的には非常に有効であるというところであります。
他方で、今どのように進んでいるかということで、七三%というようなお話もありましたが、もうこれは実際着手できている数であります。ですから、もっとやはり加速化させないといけないというふうに思っております。
改めて、財務大臣にお伺いしたいと思います。
今申し上げたとおり、将来的なコスト増大の回避のためには、やはり軽微な部分から予防保全というのが非常に重要で、新たな国土強靱化基本計画がこの夏にも作成をされ、五年間十五兆円後の後についても議論が進むというふうに私は理解もしておりますが、財務大臣にお伺いしたいのは、今申し上げました趣旨から、五か年加速化対策以降もより一層予防保全のために予算を確保すべきと考えます。大臣の御見解をお伺いいたします。

○国務大臣(鈴木俊一君)
予防保全型の対策の重要性につきましては、今国土交通大臣から御答弁がございました。高度成長期以降に集中的に整備されたインフラが今後一斉に老朽化することが見込まれる中におきまして、国民の命と暮らしを守り、社会の重要な機能を維持するためには、インフラに不具合が生じる前に対策を実施する予防保全型の対策を行うことが重要と認識をいたしております。
財務省といたしましては、今後も国交省を始めとする関係省庁と連携をして、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づく予防保全型の老朽化対策を着実に進めるとともに、対策期間後におきましても、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
政治家の責任は、限られた財源の中でいかに将来世代のための効果的な歳出を行うか、私は、子育て支援であり、それがまた国土強靱化であるというふうに思っております。是非、予防保全含め、更なる予算の確保を引き続き求めたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、次のちょっとテーマに移らせていただきたいというふうに思いますが、次は防衛産業の育成について防衛大臣にお伺いをいたしたいと思います。
資料四、こちらは日英伊の次期戦闘機の共同開発についてであります。
先日三月十六日に、日英伊の防衛大臣会合、これに関しての会合がなされたというふうに思っております。
防衛大臣にまずその成果についてお伺いするとともに、防衛産業こそ防衛力であるとの見解があり、私も賛成をするところでありますが、大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。

○国務大臣(浜田靖一君)
委員おっしゃったように、三月十六日の日英伊防衛相会談では、二〇三五年度までの次期戦闘機の開発完了を目指すため、三か国の結束と開発に向けた強い意思を確認することができました。
また、この会談には、次期戦闘機の開発を担当する我が国の三菱重工、英国のBAE社、イタリアのレオナルド社の代表も招き、政府が、政府、企業が一体となって緊密に協力していく点についても確認をしたところであります。
今回の日英伊防衛相会談は初めて三か国の防衛大臣が対面した重要な機会ですが、この場に開発担当企業を招いたことが象徴するように、政府としても、委員御指摘のように、防衛生産・技術基盤を言わば防衛力そのものと位置付けております。そのため、政府としても、新たな利益率の算定方式の導入や、本国会に提出した開発・生産基盤強化法案に基づく取組等を通じ、防衛生産・技術基盤を強化してまいりたいと考えておるところであります。

○矢倉克夫君
民間も入った会議だということで、非常に意義深かったと思います。
先日、この共同開発に参画するIHIの瑞穂工場を視察をいたしまして、推力十五トンを誇る最新エンジン、XF9―1を製造する過程を見て、改めて日本の防衛産業技術が他国企業を凌駕する可能性を見てまいりました、資料五でありますが。
最後に、防衛大臣に、防衛産業の育成等、技術基盤の保持、発展が日本経済にいかなる波及効果をもたらすか、政府の考えをお伺いするとともに、この共同開発を成功させるため、一層官民強化、連携を強化すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

○国務大臣(浜田靖一君)
防衛省としては、次期戦闘機の国際共同開発を通じて、他国の英知を取り込みつつ、国際的に活躍する次世代エンジニアの育成や我が国防衛の足腰を支えるサプライチェーンの強化を図ることで我が国の防衛生産・技術基盤を維持強化していくこととしています。
また、議員御指摘のとおり、航空機産業は、高度な技術力と部品、素材に至る幅広い裾野を有する民間、防衛部門共通の産業基盤です。このため、次期戦闘機の開発において、様々な先端技術を投資するとともに、優秀な人材が育成されることで、防衛産業はもとより、産業界全般への幅広い波及効果が期待できます。例えば、F2の戦闘機の開発においても、一体成形複合材等の新技術が民間の他の分野にも応用されるという波及効果がございました。
これらの観点から、政府と我が国防衛産業が緊密に意思疎通を図ることが重要であり、我が国主導の次期戦闘機の開発に当たっても、官民オールジャパンの体制を探って国際協議等を進めているところであります。
防衛省としては、我が国の経済全般への広範な波及効果も期待される次期戦闘機の開発について、二〇三五年度までの開発完了を目指し、着実に推進してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
終わります。ありがとうございました。

【矢倉かつお】国土交通委員会(若者への住居支援、スマートホームコミュニティ等)2023/03/17

2023-03-17 矢倉かつおチャンネル

211回 国土交通委員会

2023-03-17 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
まず、大臣に若者と住まいについてお伺いをいたします。
国立社会保障・人口問題研究所の二〇二一年の出生動向基本調査では、理想の数の子供を持たない理由のうち、家が狭いから、これが若い世代で二一・四%。財務省の二〇二一年の研究でも、第一子出生時点での住居が狭いほど第二子出生数が制限をされております。背景には、広い家ほど住居費が高くなるという、で、手が出せなくなるという事情もあるかというふうに思っております。
まず、住居費負担が若者世代の子供を持ちたいという思いへの妨げになっていると言える、これに対する見解と、子供を持ちたいという若者世代、若年夫婦への居住支援を国土交通省としてどう進めるか、大臣にお伺いをいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
住宅の広さは子育て世帯が重要と考えている項目の比較的上位に挙げられております。家が狭いことは理想の子供数を持たない理由の一つになっている、このように認識しております。このため、希望する広さの住まいの確保を支援できるよう、取得費用に係る負担軽減策として、省エネ性能の高い住宅を取得する際の補助や長期固定ローンにおける金利の引下げなどの支援を行ってまいります。
また、新築に比べて価格が低い既存住宅の供給が拡大するよう、空き家の有効活用など既存住宅市場の活性化についても積極的に進めてまいりたいと思っております。
今後とも、子育て世帯や若年世代の住まいに対する多様な希望がかなうよう取り組んでまいります。

○矢倉克夫君
今、空き家の有効活用というお話がありました。若者を含めた居住支援のためには、既存住宅の利活用、重要だと思っております。一方で、既存住宅の流通なかなか進まない現状がありまして、例えば原因としては、売主が個人の場合の保証の短さ、中には売主が全く責任を負わないという条件の取引もあったりもします。
まず、国土交通省にお伺いしたいと思うんですが、既存住宅の流通が進まない原因と解決策について国土交通省としてどのように認識をしているか、お伺いをいたします。

○政府参考人(塩見英之君)
お答え申し上げます。
既存の住宅の流通が進まない理由、幾つか考えられるところでございますけれども、まず一つは、売買の対象になりますような良質なストックが少ない、耐震性能を満たさない住宅でありますとか、省エネ、バリアフリーの性能が不十分な住宅等が多数あるということでございます。こういう住宅の質に関わります問題につきましては、リフォームへの支援を強化することによりまして、取引される対象にふさわしい良質なストックの形成を図ってまいりたいと存じます。
それから、消費者の皆様方の中には、既存の住宅の質や不具合に対する不安感が相当あるというお話も伺ってございます。こういった消費者の方の不安に対しましては、どういうところにその不具合があるかどうかということを明らかにするようなインスペクションでありますとか、万一瑕疵があった場合のその補填をする瑕疵担保の保険、こういうものの加入の促進などを図ってまいりたいと思います。
更に申し上げますと、既存の住宅の質が適正に評価をされない、適正に評価される市場環境が十分に整っていない、こういう御指摘もいただいているところでございます。既存の住宅の価格の査定が適正に行われますようなマニュアルの作成も行っておりまして、こういったものの普及にも努めてまいりたいと存じます。

○矢倉克夫君
既存の住宅、先ほど、不安感、安心感というところがありました。保証の話もしたわけですけど、そういうのを解決するためにもインスペクションなどをしっかりと拡充していくということも是非御検討いただきたいと思います。
あわせて、流通の進まない理由としてローンの問題もあるというふうに言われております。金融庁さん、今日来ていただいておりますが、特に築年数がたっている中古住宅ではローンを組めない金融機関もあるというふうに伺います。これは、金融機関が建物の耐用年数に応じた担保評価基準を採用しているからであるとも言われております。木造住宅の耐用年数は一般に二十二年間で、例えば築三十年の木造住宅は耐用年数を超えているため無価値となって金融機関は融資しないというようなことも事実としてあるようであります。
改めて、それに対する対応を金融庁にお伺いをいたしたいと思います。

○政府参考人(三好敏之君)
お答え申し上げます。
金融機関が採用する担保評価の基準につきましては、基本的には各金融機関の判断により決定されるものと認識しております。しかしながら、金融機関による融資審査において、中古住宅を含みます担保の適切な評価がなされることは重要であるというふうに考えてございます。
金融庁といたしましては、国土交通省を中心に中古住宅流通市場における課題への対応に向けた取組が行われる中で、必要に応じ国土交通省とも連携しつつ、金融機関と対話していく所存でございます。

○矢倉克夫君
是非、引き続き対話をするということで、課題の認識は共有はいただいたと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。適切にまた対応をいただければというふうに思います。
あわせて、また先ほど、今、国交省の方からもこの既存住宅の流通が進まない理由として、住宅の質の向上、維持向上が適正に評価される市場環境が不十分というようなお話がありました。
これに関連してになりますけど、そのためにもやっぱり空き家バンクの取組というのは非常に重要だというふうに思っております。それぞれの情報の共有し合う環境整備という意味合いでもですね。
例えば、私の地元の埼玉県とかでも、先ほどの質疑の中でも、こういったものに対しての市町村のノウハウの不足というようなお話も一部出たわけでありますが、それぞれ小さな団体、自治体だとノウハウが少ないんであれば広域にやっていかなければいけないという中で、秩父市とか横瀬町とか皆野町とか長瀞町とか小鹿野町が広域でちちぶ空き家バンクというようなものもつくったりもしております。こういった取組も是非参考にいただきながら国交省としては空き家バンクの拡充を進めていただきたいと思うんですが、空き家バンクを拡充するに当たっての課題について、そして解決策についてお伺いをいたしたいと思います。

○政府参考人(長橋和久君)
お答え申し上げます。
国土交通省では、各自治体が設置する空き家バンクの情報を横断的に検索できるよう、全国版の空き家・空き地バンクを整備しております。今年の二月末現在で九百四十九の自治体、これは参加率で見ると五三%になりますけれども、が参加するなど、各地域での取組が進んでいると認識しております。
一方、今御指摘もございましたけれども、空き家バンクを設置していない自治体のうち、特に規模の小さい自治体ではそもそも人員とかノウハウが不足しているという課題があると認識してございまして、こうした自治体を含め、空き家バンクの設置を更に促進していくことが必要であると考えております。
このため、昨年六月に空き家・空き地バンク導入のポイント集というものを作成し公表したところでありまして、そのポイント集の中では、先行自治体における空き家バンクの設置要綱の例を示すとか、あるいは、今委員御指摘ありましたちちぶ空き家バンクのように、先進的に自治体と地域の宅建業者の団体などが連携して空き家バンクの運営に取り組んでいるような事例も掲載するなど、今後設置を考える自治体が空き家バンクを設置しやすくなるような支援を行っております。
また、そのポイント集の内容あるいは先行自治体の取組例などを、オンラインの説明会をもちまして、複数回、昨年十二月から今年の二月にかけて開催しておりまして、合わせて三百を超える自治体に御参加いただいたというところでございます。
国土交通省としましては、引き続き、こうした取組を通じまして、空き家バンクの充実を図り、空き家の流通の一層促進をしてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
是非よろしくお願いいたします。
先日の予算委員会の中央公聴会でも、公述人の方がこの子育て支援の障害として住まいという観点を強調されておりました。是非、国交省としても、今、政府全体で子育て支援ということを言っているわけでありますので、対策強化を進めていただきたいというふうに思います。
また、ちょっと大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、今、子育て支援という観点でしたけど、より若者一般というところも含めてもやっぱり住居支援というのは非常に重要で、例えば、国会図書館でも調査していただいたんですけど、住居費負担が、例えば可処分所得に対しての割合で三十歳未満というのは一七%、固定費に占める住居費の負担というのは非常に大きいと思います。そういう点での賃料負担、支援一般というのが非常に重要でありますが、その関係も含めて大臣にお伺いしたいというふうに思いますけど。
今月三日の予算委員会で、私、総理に、横浜市旭区の左近山団地や埼玉県春日部市のUR武里団地の例を挙げまして、若者の賃料負担軽減と高齢者の安心確保を両立する仕組み、これを評価をお尋ねしました。配付資料一枚目にそのときの資料も書いてあるわけでありますけど、総理からは意義のある取組としての評価をいただいたところであります。
これを、総理の答弁も受けまして、改めて国交省として、このURでの事例の横展開を図るとともに、これら事業はUR、U35割などを活用したものであるところ、更なる推進を図るために、地方自治体との連携を含め、是非進めていただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
URにおきましては、地域の関係者と連携、協力しながら、団地を活用して多様な世帯が安心して住み続けられる住環境の整備を進めているところでございます。
先日、委員が予算委員会で総理に質問されておりました左近山団地、武里団地、若い人たちがその団地に安い家賃で住んで、その代わり地域の活動にしっかり参加していただくと、こういう取組でございますけれども、こういう取組は、参加している若者や高齢者からも、外出、交流機会の増加や地域コミュニティーの活性化等を歓迎する声があると聞いておりまして、私としても大変意義が大きいと、このように考えております。
このため、地域と連携したこうした取組が横展開されていくよう、URから団地周辺の大学や自治体に対して、事例や家賃の割引制度に関する情報発信をより強化してまいりたいと、このように思っております。

○矢倉克夫君
是非よろしくお願いします。
この異世代が交流し合うということそのものの価値もやっぱり大きいと思いますし、例えばほかのURとかでも、今、高齢者の方、買物について非常に困難を抱えていると。この買手、家賃を安い形で入っていただいた若者に、例えば買物支援を高齢者のためにしていただくとか、そういういろんな相乗効果がやっぱり生まれてくると思うんですよね。一つの課題解決、賃料に対しての高騰の抑制というところが切り口としてあるかもしれないけど、そこからいろいろと、住まいということをキーワードにして異世代の交流をつくっていくことで複数の課題解決ができるというふうに思います。
あわせて、これはまた別の機会でと思うんですけど、外国では、異世代ホームシェアといって、郊外とかで独り暮らしをされているお年寄りの方に対して若い人が入っていって、見回りとかも含めて、しっかりサポートもしながら安い家賃で住むとか、そういう環境もありますので、そこ辺りの取組、また今後また検討したいと思いますので、是非御検討いただければというふうに思います。
次に、あわせてですけど、視点を変えて、これは今度は異業種の共創、共に創るについてでありますが、あわせて、先日の三日の予算委員会で私も総理に、高知県の大豊町や国交省の共創モデル実証プロジェクトなどで推進されているさいたま市のAIデマンドタクシーの取組を紹介しながら、交通分野など介護以外が将来の介護を支える可能性を訴えまして、若者の賃料負担軽減と、失礼、取組への支援とこの高齢者の安心確保を両立するに値する評価を尋ねたところ、総理から重要だという、関係府省との緊密な連携を図りたいとの答弁もいただきました。
AIデマンドタクシーなどを支える国土交通省の共創モデル実証プロジェクトの更なる予算拡充を求めるとともに、特に介護と交通分野の共創を図るため、国交省と厚労省の連携、これを求めたいと思いますが、大臣の所見を求めたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
地域公共交通が、いろいろな分野、今、介護をおっしゃいましたけれども、医療とかその他の分野と協働して進めていくということが非常に重要だと思っております。
このため、令和四年度補正予算におきまして、御指摘の共創モデル実証プロジェクトに関する予算を大幅に拡充したところです。今後とも、交通と介護分野を始め、地域の連携と協働の取組をしっかり支えることができるよう、必要な予算の確保に取り組んでまいります。
また、今国会に提出しております地域公共交通活性化再生法改正法案におきましては、国の努力義務として、関係者相互間の連携と協働の促進を追加しているところでございます。
国土交通省では、地域交通が介護分野など異業種を含む関係者との共創を進めるため、従来から厚生労働省始め関係省庁と連携をしてきたところですが、改正法案の趣旨も踏まえ、引き続き、関係省庁間の連携を深めてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
その厚労省との連携の状況なども是非、関係の所管されている業界とかにもお伝えをいただく、こういう分野に参入があるんだということを理解することで新しいビジネスもやっぱり生まれてくると思いますから、そういう観点も踏まえて、是非、引き続き、この共創、共に創るのプロジェクト、推進をよろしくお願いを申し上げます。
最後、もう一つ、資料ですね、これまたお伺いもしたいと思いますが、資料二と三で今日配らせていただいております。さいたま市のスマートホーム・コミュニティの取組に関係してになります。
こちら、我が党の山口代表も視察をされたのですが、特に太陽光発電設備とか蓄電池などの分散型エネルギー源を組み合わせてこの街区内においてはエネルギーを共有する、そしてあわせて、例えばCO2削減という目的観も共有していく取組として非常に先進的なものであるなというふうに理解もしております。
まず、経産省に、そして環境省にこのスマートホーム・コミュニティの取組についての評価を伺いたいというふうに思います。

○政府参考人(南亮君)
お答え申し上げます。
先生御指摘のさいたま市におけるスマートホーム・コミュニティ街区の取組ですが、太陽光発電設備や蓄電池などの分散型エネルギー源を有効的に活用しており、分散型エネルギーシステムの観点から、電力の安定供給や災害時のレジリエンスの向上に寄与するものとして重要な取組と私たち認識しているところでございます。また、ダイナミックプライシングも取り入れておりまして、これらは、再生可能エネルギーの最大限の活用、さらには需要家の行動変容を促すと、そういった観点からも非常に有用な仕組みと考えております。
私たち経済産業省におきましても、例えば、既存の電力系統を活用し、地域にある太陽光発電設備や蓄電池などを組み合わせることで大規模停電時においても電力供給を可能にするような仕組みに対して支援などを行っているところでございます。
引き続き、関係省庁や自治体と連携しながら、導入支援策等を通じて分散型エネルギーシステムの構築を推進してまいりたいと思っております。

○政府参考人(小森繁君)
浦和美園における取組につきましては、住宅開発に併せて太陽光発電と蓄電池を導入してエネルギーマネジメントを行うことで、街区内で再エネを融通し、地域における再エネ最大化を活用するという優れた取組であると認識しております。
昨年四月に脱炭素先行地域にさいたま市の計画が選定されましたけれども、このような面的なエネルギーマネジメントを浦和美園の街区にとどまらず市内の全公共施設や大学などにも展開するものでございます。地域での再エネを最大限活用するモデルとして評価しているところでございます。
環境省としましては、こうした脱炭素先行地域に対して、地域脱炭素の推進のための交付金を始め各府省庁の支援策も活用して重点的に支援を行いたいと思っているところでございます。
以上でございます。

○矢倉克夫君
環境省、改めて、また追加でですけど、今まさに地方でそれぞれで取組もしておりますので、地方環境事務所などにもしっかりした伴走型の支援をお願いしたいというふうに思います。その点、一言だけお願いできますか。

○政府参考人(小森繁君) 今御指摘いただいたとおりでございまして、地方環境事務所には、今年度創設した地域脱炭素創生室、これによりましてきめ細やかに自治体等と伴走支援を行っているところでございます。脱炭素先行地域の実現とその横展開を図っていきたいと思っているところでございます。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
今ほど両省からもお話があったこちらの街区ですけど、こうした取組を構築することで消費電力の半分以上は太陽光発電でカバーできるようになって、不足分も再エネ由来の電力で購入することで、同街区では再エネ使用率実質一〇〇%と。これはみんなで共有し合う仕組みをつくったからでき得るところであるというふうに思っております。
あわせて、環境省からも話があったように、資料三にあるように、全体にこう広げていこうというこのさいたま市のコンセプトというのも非常に重要かなと思います。
最後に大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、こちらの取組、エネルギーの共有と併せて、CO2削減という目的の共有もそうなんですが、とりわけ街区としてコミュニティーの形成共有というところが非常にできているというのも大きいかなというふうに思いました。
私も、例えば感銘受けたのは、例えば建物の前の土地とかも含めて、住民同士で合意をし合って、共有し合っている。地役権を設定し合って、共有して、コモンスペースとしてつくっていくわけなんですよね。そのコモンスペースの中、車両も通るわけですけど、一般車両は通りませんから、そのコモンスペースにしたことで、例えば電線なども浅く埋設すればいいだけであるから、無電柱化なども進むなど副次効果もあるわけですけど、コモンスペースが多くできることで、例えば朝玄関に出たら隣の方もそこのコモンスペースにいて挨拶ができるとか、そういうような触れ合いの場というのも非常にできてきている。人と家庭がつながり合うコンセプトというのが非常に実現できているなというのは、私も現地に視察は行かせていただいたんですけど、実感もしたところであります。
こちらのさいたま市の取組は、良好な住宅環境を創出したスマートホーム・コミュニティ街区として、本年の住まいのまちなみコンクールで住まいのまちなみ賞、これを受賞したというふうに理解もしております。
改めて、大臣に、こういった個々の住宅がスペースを共有して、それを通じてエネルギーだけじゃなくて人や家庭がつながっていく、こういった町をつくるというこの理念、これに対しての大臣の評価と、環境省が言うようにそれを更にさいたま市などは地域全体に広げようとしているわけでありますが、こういう取組そのものを横展開を是非図っていただきたいというふうに思いますが、最後に大臣の御答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
このスマートホーム・コミュニティのように、皆さんが少しずつ自分の土地を出し合って共有スペースをつくって、まあそれを、エネルギーとかそういう実利的なものもあるし、かつ地域のコミュニティー、触れ合いの一つの大きな場所にするということ、大変面白い試みだと思います。
このような共益的な空間は、電線類やエネルギーマネジメントに関する設備等の収容スペースとなり、良好な景観の形成に資するとともに、コミュニティー活動の拠点となることで町の価値を高めることになると考えております。この点から、スマートホーム・コミュニティの取組、これを地域に広げようとするさいたま市の姿勢は大変すばらしいものであると考えております。
国土交通省におきましては、このように空間を地域で管理し育てる、いわゆるエリアマネジメント活動を積極的に支援しております。スマートホーム・コミュニティの取組につきましては、関係各省の施策も有効に活用したエリアマネジメント活動のモデル的な事例として、今後積極的に周知していきたい、横展開を図っていきたい、このように考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
私も現地に行って思ったのは、若い世代の人が非常に多くいらっしゃいました。通常よりも実は少し割高になるかもしれないですけど、みんなで目的を共有し、割高はこの建物がですね、共有し合って一つの目的を達成する、触れ合っていくということに価値を置く若い世代って非常に多いんだ、それが若い世代の住居率の高さになっているなというふうに思いました。
今日は、若者の住居支援とともにいろんな場面でいろんな者が支え合うことの価値の増幅ということも、話もテーマとしてさせていただいたところであります。住まいなどはそういう部分での一つの軸になるというふうに思いますが、是非今後もこういう部分を共有し合って、政策論議を深めていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。

211回 予算委員会公聴会

2023-03-09 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
お二人の公述人の先生方、貴重なお話、大変にありがとうございました。
早速、私からは、まず大日向先生にお伺いをしたいというふうに思います。
先生、先ほどおっしゃった、女性の自分らしくという心の叫び、これはまさに他者の存在を大切にするという前提として重要だというお話は、もうそのとおりだなというふうに思っております。
改めて確認の意味も込めてなんですが、先生は学長としても多くの学生の方からもお話も聞かれているかというふうに思います。この学生たちの声から見える自分らしさということのイメージ、それとともに、それを支えるために必要な子育て支援のサービスであったり、また、その担い手の具体像というのをどういうものだというふうにお考えかを、まず改めて教えていただければと思います。

○公述人(大日向雅美君)
御質問ありがとうございます。
女性たちが求める自分らしい生き方ということでございますが、実に多様なんです。女性といっても様々で、一言でくくれない。個性も潜在力も実に多様です。
ただ、一つ言えることは、自分の力をどこにどう生かしたらよいか分からない、どういう活躍ができるのかというイメージが示されていないということだと思います。女性の生き方についてこれまで示されてきたイメージが余りにも画一的過ぎた。二〇二〇・三〇運動、残念ながら未達ですが、そこで示された画一的なイメージではないもっと多様なイメージを私は社会が示していくことだと思います。
そのためには、SDGs、これは、今こそ高校生、大学生に自分事として考えてもらうことが大切だと思います。世界には、社会にはこんなに問題があるんだ、それのどこに自分が一番尽くしたいのかと、そのためにどういう学びが必要でどういう資格が必要か、そういうことをまず私どもは大事にしたいと思っています。
それから、もう一つ大切なことは、自分らしい生き方とか自分が本当にやりたいことというのは社会に出てから見付かることが多いんです。三十代になって気が付いて、そこから学び直し、やり直せることです。子供がいるからできないではなくて、子供がいるからこそ見えてきたこと、そこをどうやって社会が応援するかです。普通のお母さんってそんなことしないわよ、子育てに専念すべきでしょというような子育て観はどうか一刻も早く払拭していただきたいと思います。
そして、子育てをしながらでも自分らしい多様な生き方を求めることができるためには、先ほど申し上げた、理由を問わない一時保育、様々な学び直しの機会、そうしたことを社会挙げて取り組んでいただけたらと思っております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
まさにコーヒーを一杯飲むためだけの時間、それすらないその環境、そこに対しての支援ということも含めた意味合いもすごく重要だなというふうに改めて思わせていただきました。
もう一つ、大日向先生にちょっとお伺いしたいんですが、まさに今、女性像も画一的、そこを変えなきゃいけないと。男性とかも、この子育てというものに対する考え方も画一的だったところがあるかというふうに思います。それを、今まさに子育てに対する男性とか企業の意識改革というのもやっぱり非常に重要かなと。
今までは、子育てというのは、仮に関わるとしても自分は助ける側だという男性が非常に多くて、助けてやっているぐらいの感じになっているかもしれない。けど、そうすると、例えば育休取っても、実際、育休で育児をやるわけではなく、ただの休みになってしまってお母様方の負担になったり、企業も、育休を取らせる側は男が関わることに対しても意識もないものだから、結局育休取得というものは進まないと。本当に根本的に意識改革をしなければいけないと思うんです。
ですから、そういう点では、改めてこの子育てに対する男性とか企業の意識改革をどのように施策として進めていくべきかという点と、あわせて、先生が先ほど御紹介いただいた、あい・ぽーとステーションで、シニア世代の男性、これを通じて喜びと癒やしを得たというふうにお話がありましたけど、この方々が担い手として参画する意義を、今の文脈から改めて先生のお言葉でいただきたいと思います。

○公述人(大日向雅美君)
お答えさせていただきます。
男性の意識ということに関しては、私、以前、育児休業を取った男性のインタビューで忘れられない声を聞いたことがございます。どうしてあなたは育児休業をお取りになったんですかと伺ったときに、自分はパートナーと結婚するときにこういう約束をした、結婚して子供ができたときに、喜びはお互い倍にしよう、失うものがないようにしようと。それなのに、子供が生まれて、自分は子供が生まれてうれしい、父親になってうれしい、仕事も続けられる、でも、パートナーである妻が仕事を失う、これでは約束違反だと。
こういう男性の意識というのは本当に貴重だと思います。男性の育児参加は女性との人生の分かち合いだということを、社会挙げて、特に教育の場でも徹底していただけたらと思います。
もう一つお尋ねいただきましたシニア男性のことでございますが、今関わっておりますシニア男性たち、本当に優しいです。あっ、シニア男性みんなが優しいと申し上げているわけじゃなくて、中には優しくない方もおられるとも思いますけれども、いろいろ地域のこと、子供のこと、御自分の経験しなかったことを学んでくださって、本当に人としての喜びを味わっていらっしゃいます。現役時代は、うまく仕事ができると昇進した、昇給できた、よくやったと褒められる。でも、今地域で活動すると、ありがとうと言われる。人の役に立つ喜び、これはどの人生、どの世代でも必要だと思います。
こうしたミドル、シニア世代、老若男女問わずですね、その方々が地域を支えてくださる、あるいは、本田先生がずっとおっしゃっていらっしゃる教育現場の厳しさ、ここも担っていただける可能性は非常にあると思います。子育ての現場、教育の現場を地域に開いていただくことが本当に大切なときを迎えていると思っております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
先ほど、大日向先生からも、自分らしさということは、自分の、女性の皆様がお一人お一人のこの生きる選択肢とともに、社会に与える影響の多様性というのをいかに発揮していただくかというような趣旨の話もあったかというふうに思います。
お二人の先生にちょっとお伺いしたいんですが、女性活躍というと、今まで弱い立場にいた女性を何とか支えて活躍というような、ある意味、そういうニュアンスがどうしても出てくるんですけど、私は、やっぱりこれから女性の力が発揮できるような社会をつくることが全ての人の幸せにつながっていくと。やっぱり女性というのは、そういう社会の、今の社会を救っていく大きな力がある、だからみんなのために女性に活躍していただかなきゃいけないという、そういう理念だと思っているんです。
ちょっと、改めてお二人に、その辺りの女性活躍の意味合いについて教えていただければと思いますが。

○公述人(大日向雅美君)
お答えいたします。
本当にうれしいお言葉をいただきました。
女性の力というのは、これからニューノーマル時代、いろんな変動が起きるときにピンチをチャンスに変える力だと私は思っております。これまで、必ずしも一直線に生きてこれなかった、こう生きたいと思っても様々なライフイベントで変更しなくてはいけなかった、都度、女性たちはしなやかに、したたかに生きてきた。その力をニューノーマル時代、人口減社会には、まさに先生がおっしゃるように、女性に活躍の場を与えていただきたい。その潜在力をいかに引き出すか、そこに働き方改革、地域の、地域挙げての支援を発揮していただきたいと思っております。
以上でございます。

○公述人(本田由紀君)
これまで日本で事実として女性活躍という言葉で推進されてきた事柄は、中身をよく見ますと、子供を産め、ちゃんと育てろと、老人は介護しろと、外でも働けと、経済的にも役に立てという、社会の様々な諸課題を女性に、ごみ箱のように放り込むような事柄を女性活躍と呼んできたように思います。
実際に、これもやはり様々なデータで見ると、あらゆる公的な場所で、日本の女性は極めて存在感が薄いというか、人が少ないですね。管理職も教員もそうですし、医師もそうですし、議員もそうですし、どのような職種や立場を取っても日本の女性が少ないことは確かですから、そういう意味では、そこにもっと女性に出ていっていただくということは、これは不可欠ですが、それを女性活躍という言葉で呼ぶことに対しては、私は実のところやや疑問を持っています。それも、これまでごみ箱のように女性に何でもかんでもやらせてきたことの延長で女性活躍という言葉を使い続けるのであれば、そんなことは大間違いだと思っています。
私は、むしろ日本社会の異常さというのは男性側にあると。女性に何か改善すべき点があるから、そこにもっとてこ入れをして云々といったようなことは大間違いだと思っています。女性の進出を阻む男性側の在り方、企業も国会もそうですけれども、そのように男性が独占している状況そのものが問題です。異常なのは男性側。女性をいじってもっとやらせようという、その方針そのものが日本の女性を追い込んできているのではないかと。
そういう意味では、女性活躍という言葉をこれまでのニュアンスで使い続けることに対しては、私は大きな疑問があります。
以上です。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
最後、本田先生に住居の関係をお伺いしようと思ったんですが、ちょっと時間の関係もありますので。こちらは、私個人の思いとしては、先生のおっしゃった、この若者世代の住居支援というのも非常に重要だと、少子化対策という意味合いでも。例でも、住居が狭いから子供がなかなか、希望するような子供を育てられないという声も多かったという声もありました。この関係は、また政治の課題として、先生のお言葉も承ってしっかり頑張っていきたいというふうに思っております。
私からは以上でございます。改めて、ありがとうございました。

【矢倉かつお】予算委員会(子育て支援、AYA世代への終末ケア等)2023/03/03

2023-03-03 矢倉かつおチャンネル

211回 予算委員会

2023-03-03 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
まず、総理にお伺いします。
昨年の出生率が、出生数が八十万人を切りました。まず、総理、なぜ出生率が上がらないか、政府の原因分析等、その根本解決として政府は何を異次元に行う決意か、お伺いをいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
少子化の背景には、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、家事、育児の負担が依然として女性に偏っている状況、子育て中の孤立感や負担感、子育てや教育に係る費用負担の重さなど、個々人のこの結婚や出産、子育てのこの希望の実現を阻む様々な要因、これが複雑に絡み合っていると分析をしています。
御指摘のように、急速に少子化が進展をしています。昨年の出生数は八十万人を割り込み、子ども・子育て政策への対応、これは待ったなしの先送りできない課題であると認識をしております。そして、それに、その子ども・子育て政策ですが、内容や規模、これはもちろん重要であります。しかし、これまで関与が薄いと指摘されていた企業や男性、さらには地域社会、高齢者や独身の方も含めて社会全体の意識の変革を行う、こうした変革も含めて次元の違う対策を講じていく中で、何としても少子化トレンド、反転させていきたいと考えています。
施策や予算の内容が実際に国民の皆さんにとっても安心感や希望につながり、その結果として出生率の向上にも資する、こうした効果的な政策の内容をパッケージとして具体化し、その予算を踏まえて、六月の骨太方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示したいと考えています。

○矢倉克夫君
理由は様々ということでありましたが、国民の安心感というお言葉がありました。その上で政策内容を具体化するということでありますが、厚生労働大臣にお伺いをいたします。
ワンオペ育児という言葉が広がって久しいです。昔は家族や地域が支えてくれたが、今はないと。コロナ禍で里帰り出産もできなくなった。子育てイコール孤独、過酷というイメージが定着をしております。事実、私も、片方で授乳をして、もう片手で食事を作らなければいけない、トイレにすら行けないという切実なお声をたくさん聞いてまいりました。
子育て支援対策として現金を配るということも大事でありますが、それだけでこの子育てイコール過酷という現状を打開できるかというわけではなく、何もしなければ今の若い世代はなかなか子供を産み育てようと思わないかもしれません。この不安払拭にどのように対応するのか、加藤厚生労働大臣の所見をお伺いします。

○国務大臣(加藤勝信君)
もう核家族化が進みと言われてまあ随分たちますけれども、また地域のつながりも希薄となる中で、孤独感や不安感を抱く子育て世帯、また、さっき委員からお話があったように、物理的にも手が足りないという場合にお困りになる世帯も少なくなく、安心して子育てができる環境整備、これが極めて重要でありますし、また様々な調査をしてもそうした声が出てきているというふうに認識をしています。
このため、必要とする全ての方が心身のケアや産児サポート等を行う産後ケア事業の支援を受けられるよう全国展開に取り組む、もうこれは既に母子保健法の改正等によって努力義務も課せられているわけでありますけれども。また、昨年の児童福祉法改正により創設した、主に支援の必要性の高い家庭に対して育児・家事支援を行う子育て世帯訪問支援事業について、令和六年度の施行に先駆けて令和三年度から既にモデル事業を実施しているところであります。
さらに、昨年の総合経済対策で出産・子育て応援交付金事業を創設し、妊娠届出より妊婦や特にゼロ歳から二歳の低年齢期の子育て家庭に対する伴走型相談支援と経済的支援とを一体的に行うこととし、現在、全国の自治体で取組を進めていただいているところではございます。
このように、全国で産前産後や子育て時期に育児・家事支援や経済支援を行う体制を構築できるよう、逐次政策を充実させてきているところであります。今後とも、全ての子育て家庭が孤独や不安感を抱えることがなく、また安心して子育てができる、こうした環境の整備をしっかり図っていきたいと思っております。

○矢倉克夫君
安心のために様々なメニューを充実させて環境整備をしていくというような御答弁でありました。
総理にお伺いをいたしますが、大事なことは、子育てに必要な労力をこれメニュー化して、その大半をサービスとして、ベーシックサービスとして提供できる体制をつくること、今話があった家事支援であったり、お子さんの預かりであったり、これ、場合によってはもう二十四時間対応があるぐらいでもいいと思いますけど、あなたが大変なときにほかの誰かが支えますと、社会が代わりに支えますという、異次元で示していくことであるというふうに思っております。
ただ、サービス充実も担い手がいなければ絵に描いた餅でありまして、子育て支援の全ての根幹は担い手育成であります。保育士さんや保健師さんなども当然でありますが、私が約三年前の厚生労働委員会でも訴えた産後ドゥーラなど、これを、子育てを支えている民間資格など、NPOによる家事支援なども寄り添う支援の担い手として必要であるというふうに思っております。
総理にお伺いいたしますが、今の趣旨を踏まえて、子育て予算倍増として今具体の例が挙がっているわけでありますけど、項目としては担い手育成こそ従来の倍以上の予算を掛けるべきと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
子育て支援の充実に向けて、担い手の育成は重要な課題であると考えています。
例えば、保育士を志す学生に対する資金の貸付けを通じた資格取得の促進、保育や子育て支援分野に必要な知識、技能を習得するための子育て支援員研修の実施、また、支援が必要な子育て家庭に対するサービスの担い手となるNPO等の立ち上げ支援やこの従事者の確保に向けた研修の実施等に対する費用補助、こうした取組を進めているところです。
先ほど申し上げたように、これから内容を、子ども・子育て政策、内容をパッケージで示して、そしてこの予算倍増に向けての大枠を示すわけでありますが、こうした委員の御指摘等も念頭に置きながら内容の具体化進めていきたいと考えます。

○矢倉克夫君
念頭に置いていただけるということで、ありがとうございます。
是非、担い手育成、倍の予算を、子育て支援も人づくりに、子育てを担う人づくりにお金を掛けるべきであるというふうに思いますので、改めてよろしくお願い申し上げます。
もう一つ、厚生労働大臣に、これは今審議をする五年度当初予算の案の関係でありますが、資料一にお配りしております保育所等の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業についてであります。
確認ではありますけど、こちらの予算案、これ、定員に空きのある保育所等にと書いてありますが、未就園児を定期的に預かる事業を実施する事業が来年から開始するわけでありますけど、この等というのはどこまで含まれているのか。定員に空きがなくても空きスペースがあれば対象とすべきであるというふうに考えますし、また幼稚園等で既に独自に未就園児教室を実施しているところもありますが、こうした幼稚園等の取組も対象となることでよいでしょうか。御答弁お願いいたします。

○国務大臣(加藤勝信君)
今委員御指摘の事業は、専門家による良質な成育環境を確保し、他の子供とともに育つ機会を提供するとともに、育児負担を抱える保護者の方に対しても継続的に支援を行うことを目的としています。
この実施でありますが、保育所のみならず、幼稚園、認定こども園や地域子育て支援拠点などの多様な場所において事業実施を可能とする予定であります。また、保育所等において定員に空きのある場合のほか、定員に空きがなくても別途確保できるスペースがあり、保育士等の職員を配置できる場合、また従前から独自に未就園児教室を実施しているなど、実施の意向を持つ場合、これらも対象としていきたいと考えています。

○矢倉克夫君
保育所の空き定員と書いてあったので不安の声もあったわけですが、よかったです。ありがとうございます。
週一、二回の定期的な預かりというのは、これ、専業主婦の方々も含めて幅広く今までのニーズを更に掘り起こしていく事業だと思いますので、公明党の地方議員とも連携しながら展開もしていきたいというふうに思います。
では次に、質問また行きたいというふうに思いますが、総理にお伺いもしたいというふうに思います。
AYA世代、主に十五歳から三十九歳までのこのターミナルケア支援を含めた在宅医療支援について伺いたいと思います。
私の知り合いのめいごさんが三十二歳の若さでスキルス胃がんのためお亡くなりになりました。その闘病記が、「2冊のだいすきノート」との題で、今ここにも置いてありますが、出版もされております。
この私の知り合い、友人でもある全国骨髄バンク推進連絡協議会の元会長の大谷貴子さんの新聞手記というのがあるわけでありますが、このめいごさんは、この大谷さんの尽力もあって、最後の二か月半、家族と過ごすことができました。買物、外食、ディズニーランド、クリスマス。特に印象深いのは、残された四歳の双子のお子さんが、娘さんがいらっしゃったんですけど、お母さんが亡くなる二日前には、二階に組み立てられたお風呂でお二人でお母さんの足を洗ってあげた。心に私もじんときたのが、この葬儀の翌朝にそのお子さんたちが、ママが立って笑って、立って笑った夢を見たと、こうにこやかにおっしゃっていただいた、言っていたと。大谷さんはこれを聞いて、つらいママではなくて笑っているママの記憶が残ったというふうに言っていました。
これ、仮にですね、入院して亡くなっていたら、事情はいろいろあるかもしれませんが、ひょっとしたら、病院に行ったママが次に会ったときには亡くなっていたということもあって、違った記憶になったかもしれないわけなんですね。
私言いたいのは、このターミナルケアというと死に対する備えというような側面も強いんですけど、この話を聞いて、残された人が前に進んでいく、共に進んでいった時間を共有し合って、記憶を通じて、亡くなった方が生き続けるために大事な支援で、まさにベーシックサービスというふうに感じたわけであります。
できるだけこういうふうに家で過ごそうと決断を促したのが、横浜市にある若者の在宅ターミナル支援助成でありますけど、今日は、同様の制度を設けているさいたま市の取組を資料としてもお配りもさせていただいております。御参考にとしてというふうに思いますけど。
総理にお伺いしたいのは、具体の話というよりは、まず前にですね、このAYA世代にも適用される在宅療養支援の必要性についてどのようにお考えか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
AYA世代のこのがん患者については、子育てや仕事などお一人お一人を取り巻く状況、これ多様であること、これらを配慮しながら治療や療養支援行う必要があると思います。
AYA世代を含むがん患者が自宅で療養できる体制を整備し、自宅療養を支援することは重要であると認識をいたします。

○矢倉克夫君
重要だというふうに御答弁いただきました。
もう一つ、お配りした資料三ですけど、それ、さいたま市とかの同様の制度を有している自治体の一覧があります。二〇二一年段階で二十自治体、ここから埼玉県の加須市なども加わるわけでありますけど、いわゆるAYA世代は介護保険の対象でもないため、この世代の終末ケアというのは制度の穴になっております。いかにこの穴を埋めるかは、もう保険とは何かという課題でもあって、中期的な課題として考えますが、まず当面の対応として、こういった先進的な取組をしている自治体への支援を国としてすべきではないかと考えております。
加藤厚労大臣にお伺いしたいんですけど、国としても基金を活用するなどして何らか支援を行うべきではないでしょうか。議論中のがん対策推進基本計画にも、AYA世代におけるライフステージに応じた療養生活への支援との記載があります。その趣旨を踏まえて是非御検討いただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

○国務大臣(加藤勝信君)
委員がお示ししていただいたように、一部の自治体においては既に在宅療養支援に取り組んでおられる自治体があるということは承知をしております。
また、本年度末に取りまとめる予定の第四期がん対策推進基本計画において、AYA世代を含め、ライフステージに応じた療養環境への支援を進めていくこととしており、具体的には、来年度から、厚生労働科学研究において、AYA世代のがん患者の在宅療養の実態把握を行い、その結果をも踏まえて、希望する在宅医療を受けられるよう、在宅療養環境等の体制整備について検討するなど必要な対応を行っていきたいと考えております。

○矢倉克夫君
実態把握というお言葉ありました。よろしくお願いします。
是非、さいたま市でも一年間でこの世代でがんで二十人、三十人と実は亡くなっております。その上で、早く体制整備をお願いしたいと。これは引き続き是非具体化を進めて協議をしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次に行きたいと思います。
介護の関係でありますけど、二〇四〇年時点で介護人材約七十万人足りないというふうに言われております。
まず厚労大臣に、介護人材不足解消のため大切なことは何かを御答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(加藤勝信君)
高齢化が更に進む中で介護ニーズが高まっていく一方で、それを支える中心となる生産年齢人口は減少していくわけでありますから、必要な介護サービスを安心して受けていくためにも、その担い手を確保するということが重要な課題であります。
介護人材の確保については、介護職員の処遇改善、また介護職のイメージアップや多様な人材の参入促進、ICTや介護ロボット等のテクノロジーを活用した職場環境の改善による離職の防止、介護福祉士修学資金の貸付け等による人材への育成などの支援、これが、どれを一つというよりも、新しい人に入ってきていただく、そして引き続き介護職として頑張っていただく、そうしたことを幅広く総合的に取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。

○矢倉克夫君
今大臣の方からも、参入促進、多様な人材を幅広くというようなお言葉もありました。それは本当に大事だなというふうに思います。
私、人材育成の上でまた更に大事なのは、この介護の専門家が、自身がやらなくてもいいことをいかに他の人がサポートできるかというこの体制整備も重要だというふうに思っております。
特に、異分野との関係、資料四にありますが、これはさいたま市浦和美園地区でAIデマンド乗り合い交通の実証実験進めたものであります。公明党の地元市議団などが積極的に推進しておりますけど、これは国交省の共創事業、共創モデル実証プロジェクト、共に創ると。交通と他分野の共創で、主にこの交通の価値をいかに高めるかという視点からのものでありますが、他方で、これ民間のタクシー会社がビジネスとして利益を得られるように制度設計進める一方、高齢者の買物支援や介護施設の移動など、介護分野の価値も高めているわけであります。
この点、ビジネスとして介護に関わる取組として私も注目しているのが、高知県の大豊町の見守り介護の仕組みであります。こちら、これ総理にお伺いしたいと思っていますけど、限界集落という言葉を生んだ町ではありますが、高齢者の方の見守りを行政ができないと、まあ職員も足りないし、人々が様々なところに点在をしている。そこで、地元商工会と大豊町から運送会社に補助金を出して、その運送会社が御用聞きをする。ドライバーさんも十二名のうち十名が大豊町出身とのことですけど。それで、欲しい商品を聞いて地元商工会で買って、それを届けると。行政も商工会も運送会社も高齢者も、みんながウイン・ウインになっていくと。
この福祉を、専門者と当事者の一対一の関係でやるからなかなかしんどくなるわけでありますけど、地域に開いてやると、相互作用の中で見守り介護もビジネスになっていくというようなこともあるというふうに思います、この典型だと思います。
それでお伺いしたいんですけど、介護人材不足という課題解決のためにも、交通事業者だったり運送事業者、こういった介護事業者以外がビジネスとして積極的に高齢者支援や介護分野に関与することに向けて国も一層支援をすべきと考えますが、総理の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
高齢者の多様なニーズに対応し、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けていける体制を整備するため、交通業者や運送業者、運送事業者など介護分野以外の多様な主体と連携し、高齢者の暮らしを支えていくことは重要であると考えています。
これまで、地域交通を軸として複数の主体が連携して地域課題の解決を目指す共創の取組についてモデル事業を実施してきたほか、市町村の生活支援コーディネーターが高齢者の生活支援ニーズと地域の多様なサービスのマッチングを行う、こうした取組などを行ってきたところです。
引き続き、関係府省が緊密に連携をし、分野横断的に高齢者の生活を支えることができるよう、必要な取組を進めてまいります。

○矢倉克夫君
公明党も各地方議会とかでこういう共創のプロジェクトを様々進めているので、是非、引き続きの応援もよろしくお願い申し上げます。
一方で、また資料五を御覧いただきたいんですが、これは横浜市旭区の左近山団地でありますけど、これ、若者に高齢者の生活支援をお願いする代わりに、UR都市機構の定期借家制度U35割などを組み合わせることで賃料を四万円弱安くしたりとかする、注目された取組だったりします。
同じような取組が埼玉県の春日部市のUR武里団地でも行われていると理解もしておりますが、政府の調査でも、この若者にのしかかる生活固定費のうち、住まいに係るものの比重が非常に大きくて、それが子育て含め将来設計にも影響を与えている実情が浮かんでおります。
その負担軽減と高齢者の安心確保を両立するこういった取組への意義について、総理の評価をいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
御指摘の取組は、横浜市等のUR団地において、URと地元自治体や大学、NPO法人等が連携して、UR団地に居住する学生が地域活動へ参加することを条件としてその学生の家賃負担を軽減しているものと承知をしておりますが、この取組は、若い世代のニーズに応じた住まいの確保と、地域コミュニティーの活性化を通じた高齢者が暮らしやすい環境の整備とを両立させようとするものであり、意義のある取組であると考えています。
政府としては、地域と連携したこうした事例の普及を含め、多様な世代が支え合い、安心して暮らせる住環境の整備、推進してまいりたいと考えます。

○矢倉克夫君
先ほどのは異分野同士の交流、今は異世代同士の交流で、それぞれが持っている課題を解決し得るという意味もある動きであるというふうに思います。
さらに、これを進めた異世代ホームシェアという取組も、海外であったりとか、今は日本のNPOでもあります。これは別の機会に国交委員会とかでもまた議論をしたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
ヘイトクライムのことに対して、これは許されないという思いで質問もしたいと思いますが、資料六を御覧いただきたいと思います。
在日コリアンの方々が多く住んでいる京都府宇治市のウトロ地区では土地をめぐる抗争、係争が長年続いておりましたが、これは平成十九年の十一月付けで京都府と宇治市から国土交通省に対するこの要望書、住宅、住環境の改善などを求める要望書であります。これを受けた当時の国交大臣、公明党の大先輩でもある冬柴鐵三国交大臣のリーダーシップもありまして、住民の良好な住環境確保というのがこれ進んでいるというふうに理解もしております。
改めて、現状と住居支援に関する今後の方向性について斉藤国交大臣にお伺いをいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
御質問の京都府宇治市のウトロ地区につきましては、平成十九年に京都府知事及び宇治市長から、当時の冬柴国土交通大臣に対して、良好な住環境の整備を進めるための支援などの御要望をいただいております。
その後、地元における検討、調査などを経まして、宇治市が平成二十七年からウトロ地区の住環境整備を進めることとなり、国としても、今申し上げた御要望を踏まえて、小規模住宅地区改良事業によりまして補助を行ってきたところでございます。
この事業では、宇治市が地区内の土地を借り上げて、地区の住民向けの公的住宅を建設するとともに、地区内の道路、排水路や公園の整備、それから従前からの不良住宅の除却などが進められてきたところでございます。この結果、今年度中には公的住宅が完成し、来年度には道路の整備や不良住宅の除却を完了させる予定と承知しております。
国土交通省としては、ウトロ地区の住環境の改善が着実に進むよう、引き続き必要な支援をしてまいります。

○矢倉克夫君
このウトロ地区には、今までの様々な歴史なども含めた展示も入っているウトロ平和祈念館というところがあります。非常に地域の交流の場にもなっているようなところに今なっております。
私、公明党のヘイトスピーチ、ヘイトクライムの関係のプロジェクトチームの事務局長もしておりますが、浜地雅一座長などとともに先月十日、行ってまいりました。そのときの写真が資料七で入れておりますけど、非常に明るい雰囲気の建物で、私たちが伺ったときも近くの大学生十名ほどが来ておりまして、先日、開館から八か月強で来館一万人を超えた、記念すべき来館者は関西大学の学生だったということでありますけど、そんなウトロ地区で放火事件がありました、一昨年の八月。
放火犯罪現場、まだ残っておりましたので、私、写真に、ここに撮らせていただいている、もう全焼です。ちょうどこれは、放火があったのは子供たちが普通であれば遊んでいるような時間帯のときだった。ちょうどそのときいなかったから死者は出なかったかもしれないけど、本当に危ない状況であり、一歩間違えれば子供が亡くなっていた。ここで書いてあるとおり、現地で住民の方々と懇談したわけでありますけど、もう様々な差別と闘って地域とつながる努力をされてきた。もうその気持ちを踏みにじって、思い込みの差別感情が犯行につながったことへの怒り、理不尽さというのを共有いたしました。
この犯罪の何より恐ろしいのは、実際に会ったこともない在日コリアンの人々にインターネットのゆがんだ情報から勝手に憎悪を強めて、ゆがんだ正義感から犯行に及んでいると。けど、同じような思い違いの思いが、ここにも書いてある展示のように、この種の言論であふれております。これら属性などの枠で人を人と思わなくなるこの差別の感情こそが戦争を始めとした全ての不幸の根源でもありますし、その根絶には、こういう犯罪、ヘイトクライムは許されないと総理率先で発信し続けることが大事だというふうに思います。この犯罪が正当化される日本であってよいはずはないと、恥ずかしいという思いを私はしております。
総理の強い決意と併せて、ウトロ平和祈念館へ是非訪問をお願いしたいと思います。総理のお考えをお願いいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、ましてや、そのような動機で行われる暴力や犯罪、これはいかなる社会においても許されないと考えます。
政府としては、外国人等の人権に関する動画やこのポスター、SNSでの発信等を通じて啓発活動を実施するなど、外国人等に対する偏見や差別の解消に向けて取り組んでいるところですが、捜査当局においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づきこれは適切に対処していくものであると承知をしています。引き続き、これらの取組をしっかりと行って、全ての人が輝く包摂的な社会をつくってまいらなければならないと強く思います。
そして、祈念館への訪問について御指摘がありましたが、この御指摘のウトロ地区を始め関係する皆様への連帯の表明については、適当な時期を捉えて対応したいと考えています。

○矢倉克夫君
表明の決意について是非検討いただきたいと思います。諸外国では、リーダーが現地に行って許されないと言うのもよく多く例があるところであります。お願いしたいと思います。
最後に、以上の総理の決意を踏まえまして、改めて法務大臣の見解を伺うとともに、啓発活動やヘイトクライムの実態調査などについて法務大臣から御意見をお伺いしたいと思います。是非お願いしたいと思います。

○国務大臣(齋藤健君)
まず、私からも、総理がお話しされましたように、特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、ましてや、そのような動機で行われる御指摘のような暴力や犯罪は、いかなる社会においても許されないものと考えているところであります。
総理からも御紹介ありましたが、法務省において、外国人等の人権に関する動画やポスター、SNSでの発信等を通じて啓発活動を実施するなど、外国人等に対する偏見や差別の解消に向けて取り組んでいるところでありますが、引き続きこうした取組をしっかりと進めていきたいと考えています。また、刑事事件として取り上げるべきもの、これはあるようであれば法と証拠に基づき適切に対処するものと承知をしているところであります。
犯罪被害を受けた方々、ここに思いを寄せて取り組んでいくということが極めて大事だと私は思っておりますので、このような方々の支援に関しましては、法務省だけではできないこともあろうかと思いますので、関係府省とも連携しながら、しっかりと適切に取組を進めていきたいと考えています。

○矢倉克夫君
被害者への寄り添う思いというのは大事だと思います。改めて、これは日本社会はどうあるかという社会の在り方の問題であります。そういう根底、社会の危険度がしっかり察知をして、政治家が、それをなくしていくということを強く発信してリーダーシップを取っていくということが政治の在り方だと思いますので、是非よろしくお願いを申し上げます。
防衛大臣、申し訳ありませんでした。次の機会で、防衛産業こそが民需をしっかり、また、防衛産業も、民需との関係というのもまた是非お伺いもしたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

210回 憲法審査会

2023-02-10 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
参議院の在り方と合区について意見を述べます。
まず、参議院の在り方について二点。
一つ目は、緊急集会についてです。
近時の甚大な自然災害の増加や安全保障上の緊急事態の発生可能性の増大を踏まえると、今後、参議院の緊急集会の意義はますます高まるものと考えられます。
前提として強調したいのは、日本国憲法が参議院の緊急集会を認めていることは、参議院が衆議院と同じ全国民の代表であることを表したものであるということです。近時、参議院を都道府県選出の地方代表の議院として位置付けるべきとの見解が唱えられることがありますが、この緊急集会の意義との関係に加え、そもそも現行でも比例選出議員がいることなどとも整合性が取れるのか、疑問の余地はあります。
この緊急集会の開会要件については、憲法は明文上、衆議院が解散されていることと国に緊急の必要性があることの二つを規定しております。前者の点について、憲法の規定はあくまで衆議院が存在しない例として衆議院の解散を定めたにすぎないとする説が多数説となっております。根拠は、解散によるものであれ任期満了によるものであれ、衆議院が存在しないという点では両者で質的な差異がないという点です。これによれば、解散時のみならず、任期満了時も参議院の緊急集会を開催できることとなります。これは、大規模自然災害等における衆議院議員の任期延長の是非という議論にも影響を与えるものですが、傾聴に値すると考えます。
次に、国に緊急の必要性があることについて、この判断は内閣に専属するものか、また緊急集会においてとり得る措置は内閣提出のものに限られるのかといった点についても更なる検討が必要であります。
参議院の独自の判断による緊急時における行政監視機能の必要性を考えると、現行の内閣提出案件中心の仕組みは再検討されるべきとも言えます。緊急集会は参議院の独自性の観点から重要な権能であり、以上の諸論点について参議院の院の自律権の問題として真摯に議論することが重要であります。
参議院の在り方に関する二つ目の論点は、行政監視機能です。
行政監視こそ参議院が中心となるべきです。良識の府参議院は、公共の利益の実現を目指し、党派を超えて努力すべきことを期待されており、しかも解散がなく、六年という長い任期を与えられていることから、長期的観点から行政の組織や人事に関する、対する統制を行うことができます。
これまで、行政監視委員会の設置や決算審査の充実などの改革を行い、着実にその成果を上げてきたのですが、引き続き参議院の行政監視機能を充実強化すべく、更なる検討が必要であります。
次に、合区について意見を申し上げます。
確かに、選挙区選出議員の地域代表的性格を強調した場合、各都道府県から少なくとも一名の議員を選出すべきとの見解も成り立ち得ます。しかし、平成二十四年の最高裁判決にもありますように、都道府県は参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はありません。
さらに、先ほど言及しましたように、衆議院が解散されて存在しない場合でも、参議院に国会の権能を代行させるために、憲法上、参議院の緊急集会の制度が設けられております。これは、上下両院の二院制を取る諸外国の中でも極めて珍しい制度であると言われておりますが、このような重大な仕組みが可能であるのは、参議院も衆議院と同様に全国民の代表であるからであり、また、地方代表の議院ということを強調し過ぎることは、現行憲法が予定している参議院の権能そのものを参議院自ら否定してしまうおそれもあります。憲法上も法律上も衆議院とほぼ同等の権能を有する根拠は、憲法の要請である投票価値の平等が参議院においても当てはまることであるということも十分に留意が求められます。
したがって、選挙制度改革を進めるに当たって、較差を拡大するような改革は、いかなる政策的目的ないし理由があったとしても、少なくとも現行の憲法を前提とする限りは許されないものと解します。もちろん、最高裁の言うように、投票価値の平等が選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準となるものではありません。問題は、憲法が求める投票価値の平等という価値と、衆議院とは異なる参議院の独自性といった価値をどう調和させるかであります。
私どもは、このような観点から、従来より、全国を十一のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱しております。これは、憲法が求める議員一人当たりの人口較差の更なる縮小と、参議院独自のブロックを単位とする地域代表的な性格を両立、調和させることを通じて、参議院全体としての全国民の代表としての性格を堅持する方策であります。特に、投票価値の平等の要請をより満たすことになりますから、参議院の権限の縮小が求められることはありません。
現在、参議院改革協議会において議論が進められており、座長からは、選挙制度改革を集中的に議論する専門委員会の設置の提案がなされております。今後、着実に議論がなされることを強く御期待を申し上げまして、私の意見表明といたします。

210回 消費者問題に関する特別委員会

2022-12-09 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
私、二十年前に、友人、知人の義父母が高額なつぼを買わされたという話を聞きまして、弁護士資格を持っている人間として、個人としてアドバイスをさせていただきました。その折も、本当に悪質な行為に激しい怒りを覚えるとともに、宗教という名をかたってやっていることにすごい憤りを感じた思いがしております。
こういう経験をしながら、このような形で世間的に大きく問題になるまで政治家として関われてこなかったことということは、自己の不明を今恥じているところであります。こういう被害は是非もう本当に撲滅していかなければいけないというふうに改めて強く感じております。
総理も、お話もお伺いしている限り、被害者三名の方に一時間半にわたって面談をされたというふうに伺いました。まず総理に、その面談の中で被害者の方々が何に一番苦しまれているとお感じになったのか、御答弁、お話を総理のお言葉でお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
御指摘のように、私は旧統一教会の被害者の方々とお会いをし、この三名の方からお話を伺わせていただきました。そして、その中で様々な凄惨な経験を直接伺いました。財産被害ですとかDV被害ですとか、あるいは学校、地域における人間関係ですとか、あるいは親子や家族関係についても語っていただきました。
その中で最も強く感じたのは、やはり被害を受けられた方々の孤独な状況に置かれている、その精神的な負担、これが誠に大きいので、大きかったのではないか、こんなことを感じながらお話を聞かせていただいた次第であります。

○矢倉克夫君
公明党としても十月に、総理にこの被害者の方々への救済のための提言を申し上げました。私もその場にいさせていただいたんですけど、特に相談体制の整備など、法テラスの拡充なども含めて申し上げたわけですが、やはり大事なのは、今総理もおっしゃっていただいた、被害者の方々はやっぱり理解されないとかそういう孤独な思い、話しても駄目だというようなやっぱり思いがあるというふうに思うんですね。
そうすると、相談体制をつくるだけじゃなくて、やっぱり相談する場所に来られない方々へのこの対応をどうするかがいいかということも非常に重要だと思います。それについて、総理の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
御指摘のように、相談する場所に来られない方もおられる、そういった方々の声をどう政府として受け止めるのか、様々な工夫をしなければならないと思います。これ、具体的なこの方策についてはいろいろ用意しております。是非、それについては政府参考人から答弁をさせます。

○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
法テラスでは、霊感商法等対応ダイヤルを設置いたしまして、フリーダイヤルやメールにより未成年者を含むお困りの方から幅広く相談を受け付け、お悩みの内容や相談者の居住地等に応じ適切な相談機関等を紹介しておるところでございます。
また、法テラスでは、資力の乏しい方に対し、弁護士等による無料法律相談を実施しておりますところ、相談場所まで赴くことが困難な方につきましては、電話、オンライン相談や出張相談を利用することもできるようになっております。
法務省としては、より利用しやすい相談方法等について不断の検討を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
相談を受け付ける体制を拡充というのは大事なんですけど、やっぱり来られない方、そこにどうするか。やっぱり、あらゆるつながりとかを、学校とかのつながりとかを含めて、声を上げられない方に対して行政の方からアウトリーチをする、そういう視点もやはり必要になってくるかというふうに思います。いわゆるソーシャルワークの動き等でありますけど、こういう、ここに本来であれば本来の宗教は関わってくるものだというふうに私は思っておりますが、それは後で時間があるときにまた議論をさせていただきたいというふうに思います。
とにかく、寄り添う支援というのをしっかりと総理主導で行っていただきたいというふうに思いますので、お願い申し上げます。
時間の関係で次に行かせていただきたいと思いますが、法案に絡めて、法案の関係であります。
最大の論点である刑罰権の対象たる禁止行為の範囲について、ここは、禁止行為の範囲というのは、この刑罰、これは旧統一教会のみならず全ての法人等に事案、また要件に該当し得る限り対象になり得るものでありますし、この禁止行為の範囲というのは国家に刑罰権を付与する範囲というふうにも言えます。
改めて総理にお伺いしたいと思うんですけど、この禁止行為は明確でないといけないというふうにおっしゃっておりますが、これはなぜそのようにお考えになるのか。権力には常に濫用のおそれがあるということ、これは権力を行使する総理自身どのように捉えているのかということにも絡めまして、総理からの御答弁をいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
禁止行為の対象となる場合、刑事罰の適用にもつながるものであることから、現行のこの日本の法体系に照らせば要件の明確化が必要となります。このような観点から、新法における禁止行為の規定は、法人等の行為類型を可能な限り客観的で明確なものとして規定することといたしました。
そして、委員の方から、権力は常に濫用されるおそれがある、これとの関係で申し上げても、権力に常に濫用のおそれがあること、これは御指摘のとおりであるからこそ、この要件については明確性が求められるものであると考えます。

○矢倉克夫君
先日、駐日英国大使と話をしたときに印象的だったのが、民主国家と専制国家の違いというのは刑罰に関して権力の濫用のおそれを感じるかどうかというところであるというふうに、まさに民主国家の要請としても明確性というのは非常に重要だと思います。
それで、総理がおっしゃった事情から、この禁止行為のみでは、行為を明白かつ厳格なものにしなければならない、おのずと対象も限られてしまうわけでありますが、そして、そこに規定していない行為は禁止されていないというような逆のメッセージも発し得ることもあり得ます。
そこで、今回法案では、この禁止規制の限界を補足しつつ、同様の事案が二度と起きないように、禁止行為と配慮義務の二重構造として、個人の意思決定への不当な介入をしないように法人等への意識付けを図るべく配慮義務を加えたと私は理解をしております。被害者救済に資する現実的なアプローチであるというふうに思っております。
その点について総理にもお伺いしたいんですけど、これは見方を変えると、刑罰という国家権力作用のみでの解決ではなく、さらに、それに加えて、当事者同士の意識啓発を通じて被害の防止を図るものだというふうにも思っております。私、問題解決にはこれこそ大事な視点であるというふうに、根本的な解決としては、このような悪質な団体を生まない土壌を官民挙げて不断の努力をしていく、官民挙げて不断の努力をしてつくっていく、これがこれからは重要だという意味もあるというふうに思います。
配慮義務についてもそのような意味があるということも込めるべきとも考えておりますし、これについて総理の御見解と御決意等をお伺いできればと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
先ほども申し上げましたが、禁止行為の対象とする場合、要件の明確化が必要となります。こうした中で、現在の規定は、現行の日本の法体系の中で許される限り最大限、禁止行為や取消し権の対象とするとの方針の下、規定を行いました。
一方、この配慮義務については、適切な判断をすることが困難な状態等、勧誘によってもたらされる結果としての個人の状態、これを規定いたしました。これは、いかなる行為によるものであったとしても寄附勧誘の際にはそのような結果をもたらさないようにすべきという規範を示すものであり、禁止行為とする場合より、こうした結果を招く、より幅広い行為を捉えることができるため、民法上の不法行為認定及びそれに基づく損害賠償請求を容易とする効果が高いと考えております。
こうした二段階の制度とすることで、悪質な寄附の被害の防止や救済に向けて高い実効性が期待できると考えています。また、寄附勧誘の適正化により寄附文化が一層醸成され、悪質な団体を生まない土壌をつくることにもつながると期待をしております。

○矢倉克夫君
こういう結果を生まない、民間の中でのまた意識啓発というのもやはり重要だというようなこともあるかというふうに思います。
その配慮義務でありますけど、河野大臣にお伺いしたいんですが、配慮義務に勧告が設けられたことが、この勧告制度があることそのものが、ある意味寄附を、マイナスのイメージを生むことで寄附文化育成を阻害するのではないかという御懸念がNPOなどからも寄せられております。
法案はこの辺りの懸念について条文上配慮されていると考えますが、改めてその確認とともに、適切な運用に向けた大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(河野太郎君)
新法案の配慮義務は社会通念上不当な勧誘行為に限定しており、通常のNPO法人などの寄附の勧誘行為に支障が生じるとは考えておりません。
新法案の審議で修正された配慮義務規定違反に対する勧告、公表の行政措置につきましては、その発動に、個人の権利の保護に著しい支障が明らかに生じていると認められる場合などの要件が設けられております。勧告、公表の規定があることをもって寄附文化の醸成が不当に抑制されるとは考えておりません。むしろ、不当な勧誘行為が防止される実効性が高まることで、寄附への御理解あるいは寄附の勧誘への安心感が高まることにつながるのではないかと考えております。
新法案では、法の運用に当たって、NPO法人など様々な法人の活動における寄附の重要性に留意しなければならない旨を規定しておりまして、法案が成立した暁には、法の適切な運用にしっかりと取り組んでまいります。

○矢倉克夫君
今大臣がおっしゃった寄附への御理解、安心感というのも大事だと思います。
総理に伺いたいと思いますが、配慮義務がこの寄附を受ける側の意識啓発という趣旨も有するという議論を一歩進めまして、この際、主に寄附をする側に回る国民一般についても、寄附リテラシーの向上といいますか、それを図るきっかけとしてもよいかというふうに思っております。世の中にどういう寄附や献金があるかを広く知るとともに、寄附や献金をする際、それが何の目的でどのように使われているかを主体的に考え判断する意識と能力を向上させることというのは、被害の防止、発生にも、発生防止にも資するだけでなくて、諸外国に比べて低いとされている健全な寄附文化の土壌を国民全体でつくるきっかけにもなるというふうに思っております。
より良い寄附とは何か、国民全体で考える寄附リテラシー向上運動、総理の御見解をお伺いしたいというふうに思いますが。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
新法案により不当な寄附の勧誘行為が防止されることによって、寄附をする者による寄附への理解や寄附勧誘への安心感が高まることにつながると考えられると申し上げて、申し上げているわけですが、また、法案成立の暁には、寄附文化の抑制に、抑制につながらないよう、NPO法人、学校法人、宗教法人等にもその趣旨を広報する予定でありますが、その際、これらの団体と連携して、学校教育や地域等の現場で寄附の役割や意義等について情報発信をしていくことなども検討していきたいと思います。
これらを契機として、国民の寄附リテラシーの向上につながることを期待してまいります。

○矢倉克夫君
是非、そういうプラスの方向にも行くような議論のきっかけを是非巻き起こしていただきたいというふうに思います。
次の質問に行きたいと思いますけど、宗教がクローズアップされておりますが、政治学者の姜尚中さんは、宗教団体など中間団体の機能というのを、自由と自己責任だけの世界で人と人のつながりをなくしている、そういう、そこから人と人のつながりを回復して、社会の足腰を強くすることだと。これが痩せ細られると、自分の悩みを誰にも言えないような土壌になってしまうというような話もされておりました。
私も、宗教の大事な機能の一つは人と人のつながりをつくって孤立させないことであるというふうに理解もしております。総理に対して、この宗教が社会に与える意義というのをどのようにお考えかを、御認識をお伺いしたいというふうに思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
宗教は、社会生活において、まず人を支え、そして委員御指摘のように人と人とのつながり、こうしたことにおいても重要な役割を担っていると考えます。歴史の中で人々が受け継いできた文化であると考えております。
そのような宗教の理解を進める観点から、宗教的な信仰のある方も、そうでない方も、自己と異なる立場の方々に対してお互いを認め合う態度を育むことが重要であると考えています。そのことが憲法の定める内心の自由や信教の自由の実現の上でも大きな意味を持つと考えており、こうした観点から、国民の主体的な意思に基づき社会的な議論がなされることがよいのではないかと考えております。

○矢倉克夫君
私も親と同じ信仰を持っておりますが、これは親がやっているからではなくて、自分の中でそしゃくをして、いろいろ格闘もしながら、自分の人格形成の一部に今はしているところであります。
海外などは、自ら有する信仰に誇りを持ってお互い啓発し合うということも非常に普通なんですけど、日本の場合は、宗教とは何かとか、宗教が自分の世界にとっていかなる意味があるかということを余り議論できない、むしろちょっと敬遠するような、タブーになるような土壌が、やはり独特の風土があるかなというふうに思っています。私は、これが国民の宗教というものに対する正しい理解を阻害して無関心を生むとともに、かえって、結果として、宗教とは言えない宗教まがいのもの、集団に対する批判的な思考もなくなって、それをはびこらせるような結果も生んでしまっているのではないかというふうに思います。
根本解決には、やはりこの宗教の機能や役割といったものを認識を深め合える機会というのをもっと持っていくとともに、宗教というものをオープンに議論できるような環境というものもやっぱり必要かというふうに思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
委員の今の御指摘の点については、先ほどの答弁の後半の部分に重なるかとは思いますが、こうした宗教の理解を進める観点から、自己と異なる立場の方々に対してお互い認め合う態度を育むことが重要である、さらには、こうした観点から、国民の主体的な意思に基づいて社会的な議論がなされること、これが大切なのではないかと思います。すなわち、国等が関与する形での議論ではなくして、やはり国民がそれぞれ主体的にこうした問題について考えていく、こうした雰囲気をつくることが重要であると考えます。

○矢倉克夫君
おっしゃるとおり、主体的に議論し合えるような関係、これはまた非常に重要だというふうに思います。
そして、ちょっと最後の、ちょっと時間がありませんので最後の質問にさせていただきたいと思います。一問飛ばして、一番最後の質問で、恐縮ですけど。
今回の問題、本当に姜尚中さんもやっぱり同じようなことを、安倍元総理のあの事件に対しての容疑者、本当に許されないことでありますが、彼も孤独を抱えていたのだろうというようなことを別の記事でもおっしゃっておりました。そういうものに対してしっかりと支え合っていけるような宗教の役割というのはやはり非常に重要かというふうに思いますが、これは、政治と宗教の問題というふうにではなく、ほかの方もいろいろとおっしゃっていますけど、社会的に多くの問題を抱えた団体と政治家との関わりの問題であるというふうに私も理解もしております。
最後、総理に改めてお伺い申したいんですが、今回の件を通じて、やっぱり一番リテラシーというのを求められているのは政治家。政治家が有権者とつながるというのは、これ、より良い社会をつくっていくためでありますけど、やはりそのつながる相手が社会的に多くの問題を抱えて被害者を出している場合、そのつながり自体が更なる被害とともに政治への不信を招いていくということもあり得ると思います。
そういう危機感に対して、総理として、今後なくしていくためにどのような御認識持っていらっしゃるのか。こういう問題となる団体が今回は宗教団体というふうに形を取っておりましたが、それに限らず、全ての団体などとのお付き合いにおいて国民の目を意識し襟を正すべきと考えると思いますが、総理の御所見と、最後に決意をお伺いをいたしたいというふうに思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
まず、閣僚を含む多くの議員が社会的に問題がある旧統一教会、その関係団体と接点を有していたことが明らかになり、国民の皆様の政治への信頼を傷つけたこと、これを率直におわびを申し上げます。自民党においては、今後関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。
また、委員御指摘のとおり、活動の社会的相当性が懸念される組織、団体から不当な政治的影響力を受けているなどと誤解されるような行動は厳に慎まなければならず、政治家一人一人が国民の目を常に意識しながら取り組んでいかなければならないと考えております。

○矢倉克夫君
私自身も同じ政治家として、同じ思いでまた決意を持っていきたいというふうに思います。
被害が起きないように、しっかりとまた、これからが勝負であると思います。法案の成立をいただく後であっても、更にこのようなことが起きないようにちゃんとした継続的な動きが必要であるということも私からも申し上げまして、質問を終えたいと思います。
ありがとうございます。

210回 国土交通委員会

2022-11-10 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
私、選挙区は埼玉ですけど、生まれは横浜でして、横浜港見て育って、港湾には非常に愛着もあります。今回の法案、脱炭素というのを切り口にして、この港湾の新しい価値、日本の港湾の新しい価値を開いていく意義のあるものだと思っておりますし、賛成であります。
その上で、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。
まずお伺いしたいのは、競争力の強化になります。午前の議論でも、この日本の港湾の競争力、なかなか弱くなっているというようなお話がありました。その上で、今回の法案の概要資料によりましたら、臨海部に集積する産業と連携してカーボンニュートラルポートの取組を推進し、我が国の産業や港湾の競争力強化と脱炭素社会の実現に貢献とあります。
カーボンニュートラルポートの形成によって形成される、強化される国際競争力とは何であるのか、どのような指標で判断するのか、またカーボンニュートラルポートの形成がなぜ国際力強化になるのか、その関係性をお願いいたしたいと思います。

○政府参考人(堀田治君)
お答え申し上げます。
企業経営に脱炭素化を取り組むことが世界的に進展する中で、サプライチェーンの脱炭素化に取り組む荷主等が増えておりまして、これらのニーズにしっかり対応して港湾施設の脱炭素化に取り組むことが荷主や船社から選ばれる港湾になるために必要であると認識しております。
このため、国土交通省では、港湾のターミナル、コンテナターミナル等における脱炭素化の取組を促進するために、低炭素型荷役機械の導入支援などと併せて、コンテナターミナルなどの脱炭素化の取組状況を客観的に評価する認証制度の導入に向けて、学識経験者等の意見を聞きながら検討を行っております。具体的には、低・脱炭素型荷役機械の導入状況や船舶への低・脱炭素型燃料の供給設備の導入等を評価する方向で検討をしている状況でございます。
本認証制度については、先ほどもお答えしたとおりですが、国際展開も視野に入れて検討を進めておりまして、我が国の港湾が国内外の荷主や船社から選ばれる競争力のある港湾となるように取り組んでまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
選ばれる港にする意義があるということでありました。
今の答弁もお伺いして、改めて私からもお訴えしたいのは、やっぱり最後におっしゃっていただいた認証制度の国際展開でありますね。これ、ただ選ばれるのを待つだけじゃなくて、やっぱり選ばれるためのルール作りを、これをしっかりしていく、これはもう日本全体今まで弱みだったところでありますから、そういう視野も入れて、作るだけじゃなくて採用されるような、これはいろいろ政治も関わらなきゃいけない話でありますけど、そこの視点をしっかり入れて是非お願いをしたいというふうに思います。
では、次に行かせていただきたいと思いますが、法案の関係で、また、二〇一八年の七月に国交省が作成をした港湾の中長期政策、PORT二〇三〇では、今後、特に強く推進をする施策として八つ挙げておられます。その一つが港湾・物流活動のグリーン化でありますが、そこでは、LNG基地を強みとしたLNGバンカリング、船舶への燃料供給、この戦略を掲げていらっしゃいます。
我が国は、御案内のとおり、世界最大のLNG輸入国でありますから、それゆえに臨海部に多く、LNG基地が多くありまして、これも強みとして生かしていくのは非常に重要だと思いますけど、一方で、ロシアのウクライナ侵略、これを端を発して、LNGの輸入元の一つはもうロシアでありますから、そういう部分でのこの調達の不安定さというのも出てきている。LNGへの過度な依存も課題がないとは言えないというふうに考えております。
こういう観点を踏まえると、今後は、水素エネルギー、この水素エネルギーも港湾・物流活動のグリーン化の方策の一つとして位置付ける必要があると思いますが、PORT二〇三〇にはそこも必ずしも明確に書いていないのではという理解で私はおります。
改めて、このPORT二〇三〇で示した港湾の中長期政策、特に港湾・物流活動のグリーン化の趣旨と、そこにおける水素エネルギー強化の方向性を問うとともに、方向性に当たっての法案がどのように資するのか、見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(堀田治君)
お答え申し上げます。
国土交通省港湾局では、二〇一八年、二〇三〇年頃の将来を見据えまして、今後特に推進すべき港湾政策の方向性等について港湾の中長期政策として取りまとめをさせていただいております。
その中で、港湾・物流活動のグリーン化として、地球環境問題に港湾としても責任ある対応をしていくために、自然再生エネルギーである洋上風力発電の導入であったり、船舶等の低炭素化等によるCO2排出源対策、ブルーカーボン生態系の活用等によるCO2吸収源対策を促進することとしております。このうち、CO2排出源対策において取り組むこととしている船舶、荷役機械、トレーラー等の輸送機械の低炭素化においては、LNGのみならず水素の積極的な活用も重要であると認識をしているところでございます。
このような方向性を踏まえまして、本法案におきましては、官民の連携による協議会との協議を踏まえ、港湾管理者による脱炭素化推進計画の作成を行うと。それから、同計画の実現のために港湾管理者が定める区域内における構造物の用途規制を柔軟に設定できる特例であったり、手続のワンストップ化などの措置を講じまして、港湾における水素エネルギーの活用や関連施設の立地環境整備を進めるなど、港湾における脱炭素化を強力に推進してまいりたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君
港湾、PORT二〇三〇、本文も私読みましたけど、グリーン化の文脈では水素というのは必ずしも書いていなかったというふうに理解もしております。
今、読み込むという話もありましたが、例えば、カーボンニュートラルポートの形成に向けた施策の方向性、昨年十二月の国交省の文書ですけど、これでは、例えば、LNG発電が水素発電に変わっていく蓋然性が高いから、LNG基地が水素基地に転換していく可能性という、より踏み込んだ議論もあったりとかもしております。これ、是非、中長期的な施策の柱としても是非認識の上で進めていただきたいと思います。
ちょっと次の質問に移らせていただきたいと思います。
次、ちょっと一問まずちょっと飛ばしていただいて、経産省と国交省の方にお伺いもしたいと思います。
今申し上げた水素エネルギーの関係なんですけど、KPIで、港湾における水素、燃料アンモニア等の取扱貨物量、二〇三〇年百万トンと。脱炭素の関係でも話もありましたが、私は、脱炭素という部分と併せて、やはりエネルギー安全保障という点でも水素の可能性はやはり大きいと思います。
午前中、水素戦略についての評価の話があったわけでありますが、大臣もおっしゃっていただいたように、潜在的な需要というのはこれから非常に伸びていく。そして、やはり何といっても、今世界が水素製造にもやはり動いているわけで、水素の特徴というのは世界どこでも作れる、化石燃料のように地域が偏在しているとかそういうものではやはりないわけであります。で、そういう潮流をしっかり受け入れて、世界から水素を受け入れる窓口として日本の港湾を造っていくということは、調達の多様性をしっかり確保していくという意味合いでのエネルギー安全保障に非常に資するのではないかと思っており、そこはしっかりと進めていかなければいけないと思っております。
その上で、今日は資料をお配りをさせていただいて、これは、川崎重工業株式会社、隣に川崎重工業出身の新妻さんがいらっしゃるわけでありますけど、図ったわけでもないんですけど、こちらが進めていらっしゃる「すいそ ふろんてぃあ」、二号、これが左側の方に書いてあります。私も二年前にこれ視察させていただきましたが、設計含め、日本の技術の粋が集まっているなと思いました。
御案内かと思いますけど、今年の初頭にオーストラリアのビクトリア州ラトローブバレー産の褐炭から水素を製造する、これCCSの機能を、技術を使って、水素、CO2フリーという形で水素を作り、それを日本に持ち帰っていったわけであります。二月には無事に神戸港に帰港をした。特筆すべきは、やっぱりこれが、こういう水素運搬船が世界初で日本が実証実験をして行ったということはやはり特筆すべきでありますし、だからこそ、この分野の日本の強みというのを生かさない手はないのではないかと思っています。
その上で、今、川崎重工業もこの経験を生かして右のような形で大型、午前の議論でもこの水素社会の課題の一つはコストだという話があったわけでありますが、その課題を克服するためには大型化をして、当然容量として引き受けれるものを、そのものも大きくしていくことがコスト削減にはやはり資するわけであります。「すいそ ふろんてぃあ」に比べてタンク容量だけ見ても実は百三十倍、百三十倍の液化水素、これを運ぶことができる。これが実現すれば、コスト削減というのも大きく課題としては克服できるなと。
LNGというのも五十年前に開始をして一気に普及したわけでありますけど、それ以上に期待が掛かるわけでありますけど、現状、こういう水素運搬船の受入れが可能な港は現在神戸港のみというふうに理解もしております。政府としてこれを増やしていかなければいけないと私は思っておりますけど、そのために何が必要か、また、受入れのための設備支援などを必要と考えますが、政府の見解をまず経産省からお伺いしたいというふうに思います。

○政府参考人(井上博雄君)
お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、カーボンニュートラルポートの形成と並行しまして、安定的かつ低コストな供給を実現する水素の国際サプライチェーンの構築が大変重要だと考えてございます。
そのため、経済産業省では、グリーンイノベーション基金も活用しながら、液化水素運搬船、先生御指摘の液化水素運搬船や陸上タンクといった油槽設備の大型化などに関する技術開発、実証を支援しているところでございます。
今後、さらに、御指摘のとおり、課題はコストでございますので、水素の価格低減に向けまして様々な分野での需要を創出するとともに、化石燃料と水素の価格差に対する支援を大胆に行っていくといった取組や、国内の受入れ拠点、石油化学コンビナートをどういうふうに変えていくのかといったようなインフラ整備支援についても検討を進めているところでございます。
引き続き、国土交通省とも連携させていただきながら、こうした技術開発、実証を着実に進めつつ、大規模な水素の国際サプライチェーンの構築を国内での製造基盤確保と併せてしっかりと進めていきたいというふうに考えてございます。

○政府参考人(堀田治君)
お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、今後、海外から多量の水素等の輸入が想定されておりまして、安定的、低コストな供給を実現する国際サプライチェーンの構築が必要というふうに認識をしております。
現時点で、どの港でどれぐらいの需要が発生するかまだ明確ではございませんので、具体的な施設計画というのは立てられておりませんけれども、いずれにしても、港湾において、サプライチェーンの拠点として港湾管理者や民間企業等と協力して受入れ環境の整備を進めていく必要があるというふうに考えております。
国土交通省としては、こういった技術開発等の動向であったり、各港におけるカーボンニュートラルポート形成に向けた関係機関、関係者間の調整状況などを踏まえながら、港湾における必要な対応、そして支援についてしっかりと検討をしてまいります。その際には、引き続き、経済産業省を始めとする関係省庁とも連携しながら、港湾における脱炭素化の取組を強力に推進してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
しっかり、特に国交省、進めていただきたいと思います。先ほど用地の話もありましたが、予算面も制度面も含めてしっかり進めていく準備を今からしっかり進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
ちょっと次の質問に移らせていただきたいと思います。また、資料、お配りをしている二枚目の方になりますが、あっ、失礼、資料は次でした。まずは、資料は、その前に物流関係の関係でちょっと質問をしたいと思います。あっ、資料はこちらですね。
地元、埼玉県なんですけど、物流業者が主に東京港で荷物を降ろし、また揚げるというようなことをやるわけでありますけど、現場からの声でお伺いしたのが、これ大臣にお伺いしたいと思いますが、東京港ではコンテナの搬出、搬入において五時間から六時間ぐらい長い待機時間が発生するというふうにも言われています、非常に困っていると。
その原因として、まず、何と考えておられるかということをお伺いするとともに、あわせて、その解決のために現場からも要請があったのが、ほかの主要港等では見られない自動化とかIT化が進んでいる名古屋港の取組が参考にすべきではないかというふうに思っております。
先ほど資料、ちょっと混乱しましたが、資料を改めて御覧をいただきたいと思うんですけど、こちら資料の二枚目の方は、日本で初めての自動化コンテナターミナルである名古屋港の飛島埠頭の南側、コンテナターミナルの写真になります。
右上の写真が世界初となる遠隔自動RTG、ラバータイヤ式ガントリークレーンで、左上の写真のように、遠隔操作室のオペレーターがモニター映像を確認しながら無人のRTGを操作することによって飛躍的に作業効率が向上したと。
また、ガントリークレーンと荷さばきの間のコンテナ輸送には自動制御で往復するAGV、自動搬送台車を導入して、RTGとの連携により更なる荷役作業の効率化が図られております。
こういったコンテナの搬入、搬出をチェックするゲートも一か所に集約して、トレーラーには携帯端末でコンテナの受渡し場所を指示するなど、IT技術を取り入れた時間短縮と効率化を図っているということであります。
今御紹介したような名古屋港同様の自動化、IT化を東京港で進めることができるよう国の支援をお願いしたいと思いますが、大臣からの御答弁をお願いいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
東京港におけるターミナルゲート前の渋滞発生については様々な要因があり、例えばコンテナトレーラーの来場時間が集中しゲートの処理能力やターミナルの荷役能力を超えてしまうことなどが考えられております。これらの渋滞発生の要因を解消するためには、ICT技術の活用といった港湾におけるDXの更なる推進が必要と考えております。
このため、ゲート前の混雑解消を目的として国土交通省が開発したシステムであるCONPASの普及促進や、遠隔操作ができるRTG、タイヤ式門型クレーンを導入する民間事業者に対して導入費用の最大三分の一を補助する支援措置の実施などに取り組んでいるところでございます。
引き続き、東京港を含め、我が国コンテナターミナルの生産性向上に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
いろいろその港湾の中の関係者間の調整というのもやはり国がまたしっかりと行っていく、こういう自動化を含めた、最終的には働き方改革も、そこを資する意味での自動化というところで、是非そういう協議の場を設定するなど、また調整役としてもまた大臣のリーダーシップも是非よろしくお願いしたいというふうに思います。
次の質問にまた移らせていただきたいというふうに思いますが、次は、またちょっと港湾に関わる部分ではありますけど、ちょっとまた視点も変えまして、私は、建設業を支えているセメント業であったり生コン業とか、そういう産業をしっかりと支えていくためのプロジェクトチームの党の事務局長もさせていただいているわけでありますけど、最近よく、これは今年の年頭からもよく聞いていた話の一つが、このセメントなどの製造業で石炭を原料として使用しているわけでありますけど、その石炭価格が相当今の状況を踏まえて高騰をしている、これは燃料としてではなく原料としての石炭でありますが、まあそういう状況と。
加えて、やはり先ほど申し上げたウクライナ侵略、ロシアによるウクライナ侵略によって、政府の方針として当然ロシア産の石炭は使わないということになっております。
例えばオーストラリア産に切り替えるというような動きになるわけでありますけど、そうするとどういう状況になるかというと、ロシア、ロシア産の船舶というのは大体一トン級ぐらいなんですが、オーストラリア産は四トンであったりとか大型になったりとかしてきます。そういう大型化に対応する港の設備というのもやはり必要になってくると思いますし、揮発性など各国の石炭の性質を踏まえますと、設備投資として、ヤードの整備だったり発火防止の設備だったり、油槽設備等への支援というものもこれ必要になってくる。石炭の利用を低減する代替燃料の製造設備等への支援というのもまた更に必要になってくるかというふうに思っております。
こういった状況を踏まえた整備を図るためにも政府は後押しすべきだと思いますが、今日は経済産業省からもまた参考人来ていただいておりますが、こちらについてどのように支援をしていくのか、経産省から答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(恒藤晃君)
石炭につきましては、本年四月以降、G7で協調し、ロシアへの依存を段階的に低減しているところでございます。
このため、セメント製造業などでロシア産の石炭を原料等として用いていた事業者におきましては、ロシア以外の石炭に切り替えるなどが必要となります。その際、性状の異なる石炭を扱うことになるため、多くのケースで、例えば自然発火性のある石炭を管理するための設備など、新たな設備投資が必要となります。これに関しましては、先月、委員が事務局長を務めておられます、公明党生コンクリート・セメント産業振興推進プロジェクトチームからもですね、当方の西村大臣に対しまして、こうした設備投資への支援につきまして御提言をいただいたところでございます。
経済産業省といたしましては、石炭などのロシアへの依存低減を進める事業者を支援するため、令和四年度予備費におきまして五十億円を措置し、設備投資等への支援を行っているところでございます。これに加えまして、今月八日に閣議決定されました令和四年度第二次補正予算案におきましても五十五億円を計上したところでございます。
こうした措置によりまして、ロシア産の石炭から他国の石炭等に切り替える事業者をしっかり支援していきたいというふうに考えてございます。

○矢倉克夫君
四月の段階で、関係者からは、私はまた関係者の方から聞いたとき、やはり設備投資など百億近く掛かるというようなお話が具体的にあったところでありました。しっかり引き続き政府としても取組をお願いしたいというふうに思っております。
最後、大臣にお伺いをしたいと思います。
ちょっと、今の絡みにも絡むところでもあるんですが、プロジェクトチームとしても大臣の方にもこの前申入れもさせていただきました。今のセメントだけではなくて、例えば、建設資材全般、骨材とかも含めてですね、今非常に価格高騰がやはり著しいわけであります。
先日もスライド条項の適用というような議論もありましたが、やっぱりそれを成していくには工事全体の予算というものもやはり拡充はこれ必須であります。ですから、まず、大臣にそれへの決意をお伺いするとともに、この建設資材価格高騰については、やっぱり国は民間発注者を含めてですね、サプライチェーン全体でしっかりと分担を図られるような環境整備をしていかなければいけないというふうに思います。なかなか転嫁がし得ないような中にあって、そういう転嫁がちゃんとし得るとともに、分担し得るような枠組みというものを。
で、例えば、このままですと、建設業を技術とかまた資材の調達などで支えている中小零細企業、やはり最後のしわ寄せが行ってしまうわけであります。プロジェクトチームの関係で申し上げると、例えば生コンなどは、セメントが価格が急激に一立米当たり三千円ぐらい一気に上がったりとかしてですね、そうすると、それはただ契約時の価格で、その後販売をしなければいけなくなるから、その三千円分が転嫁できないと、販売時に価格をスライドできるようなことをできればいいけど、商慣習でなかなかできないと。
そういう結果、やはり生コン業者が、東京の場合とか埼玉の場合とか、零細企業が多い生コン業者が負わなければいけないというようなことも多くあったりとかするわけであります。やはりこういった中小零細企業の持続可能性を図っていくということが、インフラ整備であったり防災対策など、命を守る建設業そのもののもう持続可能性に関わるところであります。
国として、関係者間での協議の実施や契約費用の透明性やリスク負担の在り方について議論すべきであると思いますが、最後、大臣の答弁をお願いいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
建設資材の価格高騰は大変大きな問題だということで、先日、公明党の生コンクリート・セメント産業振興プロジェクトチームからも御提言をいただいたところでございます。
矢倉委員御指摘の第一点目の予算の確保についてでございますが、政府として骨太の方針や今回の総合経済対策において、現下の資材価格の高騰等を踏まえ、適切な価格転嫁が進むよう促した上で、必要な事業量を確保する旨を位置付けておりまして、引き続き必要な事業量の確保、つまり予算の確保に取り組んでまいりたいと思っております。
そして、二点目の価格転嫁と関係者間の協議についてでございますが、直轄工事においては適正な請負代金の設定や契約後の状況に応じて必要となる契約変更に取り組むとともに、民間発注者や建設業団体等に対しても要請を行ってまいりました。引き続き、資材の価格上昇が適正に工事価格に反映されるよう、しっかりと取組を進めてまいります。
また、価格変動に関するリスクの負担の在り方も重要な検討課題であると考えており、関係者間での協議の実施や契約費用の透明性の確保といった点も含めて引き続き議論を行い、関係省庁とも連携しつつ、適切な価格転嫁に向けた環境整備に努めてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
是非、建設業全体の持続可能性ということも含めて、よろしくお願いしたいと思います。

210回 予算委員会

2022-10-24 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
今日パネルを持っていただくのは、福岡選挙区選出の下野六太参議院議員です。ありがとうございます。
総理、まず、私からは、今日はまず、教育や介護、医療など、無償化の範囲、これ対象をまた広げることがどのような社会をつくることに資するか、少し議論をしたいというふうに思っております。(資料提示)
初めにお伝えいたしますと、私は、教育とか介護とか、また医療など、無償化の範囲を広げる、例えば、教育だったら高校や大学の無償化、また介護であれば自己負担額を減少していく、さらには医療などは子供医療費無償化、こういったことはしっかり進めるべきであると思いますし、対象は中間層を軸にして、高所得の方も一部含まれるかもしれませんが、広げるべきであると、こういうような所得制限をなくしていくという立場であるというふうにまずお伝えしたいと思います。
パネルを御覧ください。
こちら、二〇一九年の幼児教育無償化実現前と後で世帯ごとの補助相当額がどう変わったか、あくまでイメージですが、図にいたしました。
国からの補助相当額は、従来少なかった特に中間層、こちらも含めて、当然無償化後はみんな同様に支援をされている。で、パネルの左が無償化前でありますけど、ここでは右に行くにつれて下に下がっていった、補助が減っていたわけですけど、右の無償化後は均一の四角になっております。
〔委員長退席、理事片山さつき君着席〕
まず、総理に早速お尋ねをしたいと思いますが、この幼保無償化ですね、低所得層と中高所得層の支援に差異を設けなかった、この点を政府としてどのように評価をされているか、お伺いをいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
御指摘の幼児教育、保育の無償化は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育、保育の役割の重要性と、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策の観点から、三歳から五歳の子供たちに所得制限を設けることなく実施することとしたものであります。
令和元年十月の制度開始以降、着実に実施をされ、定着していると考えており、昨年度内閣府において実施した調査では、七割を超える保護者が肯定的な評価をしていると承知をしております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
肯定的という話でありました。私が当時、その肯定的の中身なんですけど、よく聞いていたのは二つありまして、当然、まあ二つというか、大きくざっくり言うと二つあります。
一つは、お金が浮いたことでほかのことに使う余裕ができたと。私の友人の一人なんかは、例えば家賃額に上乗せしてローンを組んで持家を買ったというような人もおりました。これ、可処分所得が向上した、これは経済にもいい効果があったということであります。本来の意味の幼児教育が進むというのは当然として、それに付随して二つというふうに今申し上げておりますが、もう一つは、初めて税金払ってよかったと思ったと、こういうような声があったということであります。逆を言えば、それだけ皆さん、税による受益感というのをそれまで余り感じていなかったということであります。
私は、幼保教育無償化をされた二〇一九年十月から本年九月の三年間、公明党の青年委員会の委員長も務めさせていただきました。そこでは、青年と膝詰めで対話をして、大体千人近く行っているかもしれませんが、多かった声の一つが、特に単身者も含めて、政治には期待していないと、だってお金ばっかり取られて何にもしてくれないから、という率直な声を多く聞いてまいりました。
この日本は諸外国に比べて税への信頼が極端に低い、税への拒絶感が極端に強い国だというふうにも言われております。あるデータ、例えば国際社会調査プログラムという調査の中では、中間層の税負担について尋ねた項目がありまして、日本は、税負担は相対的に軽いのに負担が重いと答える人の割合が非常に多い。これは、北欧諸国、税負担が重い国よりも日本の方が税負担、負担が重いと答えている人が多いという、こういう調査がやはり出ているわけなんですね。私、これは大問題だと思っています。要するに、税への信頼感というのが極端に低い。これは当然、国の基に関わるところであります。
次の質問に入る前に、端的にちょっと総理に確認だけさせていただきたいと思います。今の部分に関わるんですけど、国を運営するに当たって、税への信頼、また税への拒絶感を可能な限り緩和するということは急務である、そのように思いますが、総理の御認識を、次の質問に移る前に、この点だけ、結論だけで結構ですので、お答えいただければというふうに思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
もちろん、税は行政サービスの費用を賄うために重要なものでありますが、委員御指摘のように、国民一人一人に税金を納める際の納得感を持っていただく、これは大変重要なことであると考えます。税への信頼、この納得感、これは今後とも得られるように分かりやすい説明を続けていく、こういった姿勢は大事であると思います。

○矢倉克夫君
分かりやすい説明、まさに国民の皆さんにとって税金が自分たちに返ってくるというこの感覚を持っていただくための分かりやすい説明というのは非常に私も重要だと思います。
その上で、もう一つ、この税に対する信頼をどういうふうに回復をしていくのか。その方法の一つとして、私は、やはり無償化の範囲や対象を広げていく、所得制限をなくしていくということも重要であると思います。なぜなら、他人のために払っていたと思っていた税の意味合いが、他人だけじゃなくて自分のためにもなっていく、みんなのためにも変わっていくからであります。そして、この税に対する信頼感を回復するということは将来的な財政再建にも当然資するものであるなと思っております。
国から国民、まあ国が国民からお金をいただく方法は、ざっくり言うと二つあると思っています。一つは、国民が銀行などに預けたお金、こちらを国債などの形で間接的に集めるというような形がやはりあるかと思います。まあ直接国民が国債を買う場合もありますけど。やっぱりもう一つは、国民から直接お金をいただく。これは税であると。この二つだと考えて、今は国債が累積発行残高がやっぱり増えざるを得ない。これは裏を返せば、やっぱり税金が取れないからであると。その根本的な理由は、やはり税への拒絶、拒絶感というのがやっぱり強いからであるなというふうに私自身は思っております。
以上の状況を踏まえまして、改めて総理にお伺いもしたいんですが、この無償化の範囲を拡大していく、所得制限を緩和していく、こういったことは税に対する信頼の回復にも、ひいては将来的な財政再建という意味合いでも重要な選択肢の一つであるというふうに私は考えますが、総理の御見解をお伺いをしたいというふうに思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
所得制限を設けるかどうかということについては、従来から説明させていただいておりますように、その制度の目的、あるいは支援方法に応じて判断されるものであると考えておりますが、ただ、委員がおっしゃるように、国民の皆さんの納得感、あるいは理解を得る、これは大変重要なことだと思います。
社会保障制度についても、今、全世代型社会保障構築会議において議論を行っていますが、こういった議論において、より受益を実感できる制度の構築、これは努めていかなければなりませんが、その制度の構築と併せて、先ほど申し上げました、政府として分かりやすい説明、これを併せることによってできるだけ現実の制度に対する理解や納得感を得ていく、こうした努力を行っていきたいと考えております。

○矢倉克夫君
税をどうしても取る側になると、取る対象としてしか国民を見ないわけですけど、取られる側の思いというのはやっぱりあるわけであります。
納得して払っていただくということにはどうすればいいかということをまず第一に考えて税金との在り方というのはやはり考えていかなきゃいけないと思いますし、私は、その国民の思いに寄り添うというところから考えれば、無償化の範囲を拡大していく、所得制限を広げていくというのは非常に重要なことであるなというふうに思っておりますので、この点はまた引き続き是非議論をしたいと思います。
もう一つだけ、やはり同じような文脈で、私、なぜこの問題にこだわるかをお訴えをしたいというふうに思いますが、やはり無償化を進める、やはり所得制限をなくしていくということは、最終的に、私の考えでは、人と人のつながりを回復していくという観点もあるというふうに思っております。
所得制限を設けると、どうしても支える側と支えられる側に国民分かれてしまうわけであります。そこに、例えば自己責任社会である日本の特徴というのが重なってしまうとどうなるか。これ、支えられる側である弱者というのは、自己責任を果たしていない方だというふうにみなされてしまうおそれもあるわけなんです。で、仕方ないから助けてあげると、そういうような構図がやはり日本の中にはあるということ。
ただ、中間層支援を重視されている総理だからお分かりのように、今、誰も彼も将来不安をやっぱり抱えているわけなんですね。特に、かつての高度経済成長期も知らない、バブル経済期もそれほど知らない私のような四十代以下の人間にとってみたら、やはり中間層だったり、あるいはそれよりも所得をもらっている人であっても、なかなか、あしたはもっと良くなるというふうに思うことができないわけであります。
でも、自己責任社会にいると、やはり弱者とみなされちゃうと落後者のような扱いも、語弊があるかもしれませんが、受けてしまう。だから、みんな不安だけど、そういうような助けを求められないという思いがあります。そんな不安とか不満がたまるとどうなるかというと、何でこんなにこっちも苦しいのに、あちらの方にばかり支援行くんだという弱者非難みたいな形にもやはりなりかねないと、これが実際に私もいろんな人から話を聞いた危険性の一つであります。
こういう分断の芽をやはり生みやすい社会を根本的に変えていくには、先日もこの委員会で温情主義という言葉が出ました。かわいそうな弱者を救っているというような社会構造から転換して、みんながみんなで支え合っているような実感を持てるような社会に私はすべきであると思います。そのための方法として、やはり無償化を進めて、所得制限をなくしていくべきだと。なぜならば、みんなが負担した部分というのが、みんなに向けたサービスに向けられて、そして、みんなの共通の利益になっていくからであります。
大事なことは、これまで支える側だけだった人も支えられる側になっていく、しかも、弱者というふうに言われている方々、本当に一生懸命苦しみながらも頑張っていらっしゃる、しかし、弱い立場にいるような方からもいただくような税金も含めて、全ての人が負担して、そして全ての人に向けられたサービスになっていくと。こういう、自己の負担が誰か他の人のためだけではなくて自分にも返ってくる、自他共の幸福、みんなで負担し合っているというようなこの実感、これこそ支え合いでありますし、こんな実感をみんなで共有し合う、生きる喜びを分かち合うような社会をつくるために、私は無償化や所得制限の廃止というものもしていかなければいけないと思っております。
長々としゃべってしまいましたが、総理に改めて、この無償化の範囲を広げていく、所得制限をなくしていくことが社会をつなげる力になると、つながり支え合う社会をつくる基盤になるという考え方に対しての総理の御所見をお願いをしたいというふうに思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
まず、社会においてつながり、あるいは支え合うという感覚、重要であるということについては御指摘のとおりだと私も思います。
例えば、社会保障につきましても、先ほど社会保障、まあ全世代型社会保障構築会議の話をさせていただきましたが、その議論においても、子供から子育て世帯、また高齢、お年寄りまで、全ての世代で安心できる全世代型社会保障の構築に向けた検討を進めるとされています。
この会議のこの議論の中間報告では、この給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直して、能力に応じて皆が支え合うことを基本としながら、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障をバランスよく確保できることが重要であるという内容の提言をいただいています。
これまで主に社会保障制度を支える側と考えられてきた子育て、若者世代も含めて、全ての国民一人一人が互いに支え、支えられながら、将来にわたって必要な社会保障をしっかり受け取ることができるよう、引き続きこうした制度の構築に向けた取組は進めていきたいと思います。

○矢倉克夫君
今総理おっしゃった方向性は、私も共有をしているところであります。私、この前まで委員長をしていた公明党青年委員会も、今このような議論もして、どういう社会があるべきものかということもずっと議論もしてまいりました。
我が党の石井啓一幹事長も先日の代表質問で総理に、教育、医療、介護など、人間が生まれていく、生きていく上で不可欠なサービス、無償化するベーシックサービスの考え方等を踏まえ、教育や医療、介護などの望ましい給付の在り方、改革の優先順位について検討をいたしますと、その上で、財源や負担の在り方を議論し、二〇四〇年までの社会保障改革の大きな流れを示すビジョンを示したいというふうに伝えました。
これ、単なる社会保障の拡大論ということではなくて、こういうつながり合う社会をどういうふうにつくるかという、国の形をどうするかという議論として、また引き続き、骨太な、これ与野党を超えての議論にもなるかもしれませんが、しっかりと政府と私たちは骨太の議論をしていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
では、この点についてはこの程度にして、ちょっと次の質問。
総理、大変恐縮ですけど、ちょっと次に通告した質問とは、その先に、ちょっと外交の方を先に、視点をちょっとがらっと変えてさせていただきたいというふうに思います。
今、みんなで支える共通の利益という点では社会保障と財政の話もしましたが、ある意味、みんなの共通の利益でやはり最たるもののうちの一つは、外交、国を守る、平和を守る、そのために国を守る、外交や防衛であるというふうに思います。
総理、先週末の日豪首脳会談、大変お疲れさまでございました。私、日豪議員連盟の幹事でもあります。オーストラリアとの関係は非常に防衛面でも非常に重要でありますので、引き続きの強化、連携強化をよろしくお願い申し上げます。先日の安倍元総理の国葬儀の折には、元首相三人もオーストラリアからはいらっしゃいました。本当に大事な国であるというふうに思います。
今日は、防衛という点でやはり議論したいのは北朝鮮であります。
北朝鮮、七年前、私は、北朝鮮の核、ミサイルがやはり小型化される懸念があるんじゃないかというような議論をこの特別委員会の場でテレビの前で当時の安倍総理にもお話もして、平和安全法制の重要性などをお訴えをしたところであります。で、脅威は本当に増しておりまして、先日、尹徳敏駐日韓国大使の歓迎会、私も参りましたが、そこでも、今の北朝鮮、本当に実戦も想定して核配備を準備を進めているんじゃないかぐらいの懸念も共有されるような、非常に危機感があるようなところを感じました。
その上でお伺いしたいのは、今出ました韓国との関係であります。やはり、この日本を守るために、地図を見ても分かるように、北朝鮮の脅威から日本を守るためには、やっぱり韓国とのこの関係というのをやはり強くつくっていかなければいけないというふうに思っています。
残念ですけど、特に韓国との友好とかそういうことを言うと、やはり妥協というイメージがどうしても付いてしまって、イメージとしてですね、で、やはりすぐに非難もされる場合もあると思うんですけど。確かに韓国というのは政権が替わるたびにがらっと変わる、もう百八十度転換してしまって、そのたびに私たちもゴールポストを動かされたかのような気持ちになって、非常に信頼できないというところもあるのが偽らざる本音であります。そして、妥協のための交渉などは絶対にすべきではありません。
ただ、前政権のときには、日米韓のミサイル防衛システムなど参加しないとか、GSOMIAを一方的に廃棄するとか、本当に、言葉も良くないかもしれませんけど、ひどいものでありましたが、今は百八十度変わって、尹大統領も、日韓関係が過去の一番いい時期に戻したいと、人事もやはり尹大使のように知日派の方を非常に配置もしておりますし、最大の懸念の一つである徴用工問題でも現金化の進行を止めるべく最高裁に手紙を出すとか、また、場合によっては北朝鮮との関係において、意見書、手紙ではなく、あれは意見書ですね。また、北朝鮮との間においては、日米韓を中心とした国際圧力強化、これで非核化を目指すというような思いも持っていらっしゃるというふうに私は思っております。
外交は、あくまでも自国の利益のため、相手や国際社会の関係を有利に導くための不断の努力であります。少しでも現状良くなる可能性があれば時期を逃してしまうのはいけないし、仮に相手のリーダーが相手の国内の世論も、世論から批判されるリスク、リスクを冒してでもこちらに関係改善のやはりシグナルをしっかり送っているのであれば、どんどん積極的にコンタクトを取るべきであるというふうに思っております。
総理は、ニューヨークでもこの前、大統領と、三十分ぐらいでしたかね、懇談もされたわけでありますが、ああいう第三国での懇談でも結構でございますので、改めてどんどん会って信頼関係をつくっていただきたい。
外交とは国を、国民を守るためにこそあるとの当たり前の事実の確認を総理からいただくとともに、御自身、外務大臣時代にあの日韓合意など尽力されたこの韓国との関係について、日本を守るための関係を構築するため、より一層首脳同士の信頼関係を構築するという、その総理の御決意をお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
まず、韓国は国際社会における様々な課題において協力をしていくべき重要な隣国であると認識をしています。現下のこの戦略環境に鑑み、日韓、さらには日米韓、こうした協力の進展、これはもう今以上に重要なときはないと認識をしています。
〔理事片山さつき君退席、委員長着席〕
尹大統領との間においても、この北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受け、今月六日にも電話会談を実施いたしました。引き続き、日韓、日米韓で緊密に連携していくことを確認をいたしました。
国交正常化以来築いてきた友好協力関係を基盤にしながら、日韓関係、健全な形に戻し、更に発展させていくために、首脳間を含め、韓国政府と緊密に意思疎通を図ってまいります。是非、国民の、国民を守るために外交を進めていく、こういった観点からも日韓の間の意思疎通は図っていきたいと考えております。

○矢倉克夫君
首脳同士の意思疎通というのは非常に重要でありますので、是非よろしくお願いします。
最後、ちょっとパネルをお願いします。
最後に、特に非正規の方への職業訓練の重要性ということだけ、一点だけ。
パネルの右側でありますけど、日本総研の山田久副理事長からいただいた資料でありますけど、各国の一人当たりの平均年収の国際比較、本当、日本は低くなっています。今円安の状況だからもっと下がっているかも、韓国よりも低いです。
やはりその理由の一つ、いろいろあるんですけど、まず、総理がおっしゃっている構造的な賃上げを、しっかり上げていくための構造改革も必要であると。あわせて、やはり割合の多くを占めている非正規の方の賃金が低い。これはパネルの右の方に書いてあります。なぜかというと、やはりスキルアップの機会がないからなんですね。やはり会社にとってみても、短期にしか勤めていかない方、そういう方に対してスキルアップの投資をするというのはなかなか難しいと。そういう方に対しての事業をしっかりと進めていただきたい。
この前まで就職氷河期世代の方向けの短期資格の習得コースというのがあって、例えばそれを使ってソフトウェア協会などが非正規の方の研修などもしたんです。そうしたら、実質的に就職支援をした方の就職率が六五%行ったとか、いろんな効果があった。しかし、今回その事業が削られてしまったと。こういったことの継続も含めて、最後、端的に、大変恐縮ではございますが、総理から今後の非正規の方への就職支援についてお答えをいただければというふうに思っております。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
まず、御指摘のこの事業の取扱いですが、就職氷河期世代の方向けのこの訓練事業の後継として、来年度、非正規雇用労働者や就職氷河期世代など、受講者の特性に応じた訓練手法を試行する事業、これを実施することを検討いたします。
そして、あわせて、御指摘のように、非正規雇用者に対するこのリスキリングを始めとする人への投資、これは大変重要であると認識をしております。
五年で一兆円のパッケージと申し上げておりますが、今回用意する総合経済対策の中にもこうした非正規の方々を受け入れる企業に対する支援を新設する、そして、実際こうしたスキルアップに努力をしている方々に直接支援を行う、こういった制度を創設する、さらには、従来、企業の中でスキルアップを応援している企業に対する支援、これは存在したわけですが、この支援をより手厚くする、こうした取組を総合経済対策の中に盛り込むことを考えています。
こうしたことも含めて、五年間で一兆円の人への投資のパッケージ、これを充実させていきたいと考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
最後、資料、総理に二十五万の声を持っていったときに、個人の幸福が感じられる経済成長や働き方に、これが新しい資本主義だというふうに総理からもお言葉をいただいたときの資料であります。一人一人の幸福が感じられる経済成長、実現をお願いいたします。

208回 地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会

2022-05-20 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。質問の機会を与えていただき、委員長、理事各位始め皆様に感謝申し上げます。
法案の柱の一つである大学への編入学資格の対象への職業能力開発短期大学校の追加、こちら、長野県、熊本県、山形県などの申請内容からもうかがえるように大事な視点であり、全国展開も視野に入れるべきものだとして賛成であります。
その上で、今日は、日本の職業訓練の在り方を、法案の観点も踏まえつつ別の視点からお尋ねをしたいと思います。
先に問題意識をお伝えすると、諸外国に比べて、日本は企業外での職業訓練、制度整備が遅れているのではないかなと思っております。背景にあるのが日本固有の終身雇用でありますが、就職ならぬ就社型で人を囲い込んで、OJTを通した組織の風土に合った人材を育てると。これ非常に利点も多かったわけでありますけど、社会全体で人材育成する仕組みやシステムというのが欠如していた。
その結果、この終身雇用から外れた大変多くの非正規の方は職業教育を受ける機会も逸してしまったわけでありますし、また、この日本型のOJTによる人材育成で育まれる人材、組織内で既存の制度やサービスを、これをサービスの低コストで高い品質でという、そういうことができる人材は育成できても、組織外の観点から新たなアイデアやノウハウを取り組んで、これまでにない組合せで新しい製品やサービスを創造するこのイノベーションという点では立ち遅れてしまったところがあると。そして、終身雇用制度も崩壊をしている。
こういったことを背景にして、やはり今は、全ての人が生きていくために必要な職業スキルを得るという個人の幸福の観点と、あとイノベーションを可能にする人材をつくって日本の成長力を強化する、まさに社会全体で職業訓練をする仕組みの構築を急ぐべきであるというのが問題点であります。
その上で、まずお伺いしたいのが、この法案でも取り上げられている職業能力開発短期大学校であります。このような実務的な能力を身に付ける機関の位置付けについて、政府としてはこの職業能力開発短期大学校は日本の会社内のOJTだけでは限界のある部分を補う機関としてどのような役割を果たしているとお考えか、まず答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(岡崎毅君)
お答え申し上げます。
職業能力開発短期大学校は、主に高卒者を対象といたしまして高度の職業訓練を行う職業能力開発施設でございます。
この施設においては、これに加えて、地域のニーズに対応した在職者向けの職業訓練も実施しております。この在職者に対する人材育成でございますけれども、これを支援するため、職業能力開発短期大学校に加えまして、国の機関としては全国四十六か所のポリテクセンターにおいて在職者向けに業務の改善、効率化に必要な専門的知識や技術等を習得するための訓練等を実施しております。
さらに、四十七都道府県に設置されております生産性向上人材育成支援センターにおいて、企業の人材育成に関する相談支援や企業の課題に合わせた人材育成プランの提案、職業訓練の実施まで中小企業等の人材の育成に必要な支援を一貫して行っているところでございます。
これらの取組によりまして、企業における人材育成を支援してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
今答弁ありましたとおり、在職者向け、また企業におけるというような基調でありました。これも大事なんですけど、もっと広く全ての人に向けての人材育成という観点から是非また更に発展的に考えていただきたいなというふうに思っております。
その上でまた、法案について、今の問題意識についてまた引き続き掘り下げたいと思いますが、冒頭申し上げたとおり賛成なんですけど、もう一つ、一つだけ懸念しているのが、今回の大学の編入学の対象を加えるというこの方向性、大事でありますけど、他方で、この職業能力訓練短期大学校も大学を頂点とする教育システムの中に組み込まれることになる。
これ、後ほども少しお話もしますけど、今の法制度だと学校教育と職業訓練というのはこれは分けているわけでありますが、私の冒頭の問題意識だと、これから社会全体で職業訓練をしっかりつくっていく仕組みをつくらなければいけない、その軸にこの職業短期大学校なども必要であるというふうに考えたときに、今回の学校教育の中に組み込まれることでこの独自性が失われてしまうようなことがないのかというような懸念が、まず私も思いました。
そうならないためにはどうすればいいかというのが私の関心事なんですけど、ここでは具体的に、例えば、職業能力開発短期大学校を卒業して大学に編入しない方のスキルの評価の枠組みや、就職に向けた制度構築の在り方を今後どのように充実させることを考えているのか、政府の答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(岡崎毅君)
御質問ありました件でございますけれども、職業能力開発短期大学校の設立目的であります、技術革新に対応できる高度な知識、技能を兼ね備えた実践技能者の育成を、養成を実現し、地域の物づくり企業に送り出すために、例えばジョブ・カードというものを活用することによりまして在学中からきめ細かな就職支援を実施しておりまして、これによりまして、例えば令和二年度の修了者の就職率でございますけれども、九八・二%というふうになっております。
このジョブ・カードでございますけれども、自身の持つ職業経験の振り返りやスキルの見える化を図るものでございまして、厚生労働省におきましては、短期大学校の関係者に限らず、労働者等の個人への就職支援やキャリアコンサルティングに当たってジョブ・カードの活用を推奨することによって就職の支援を行っております。

○矢倉克夫君
今、現状の御説明を中心に話があったわけでありますが、今後更にどう充実させていくのかということもまた一緒に考えていただければなというふうに思います。
ジョブ・カード、このスキルの見える化というのは非常に重要な観点で、その上で、今問題意識だけお伝えします。これは答弁は特に求めないんですが、これ、見える化したスキルを、じゃ、どう評価されて採用につながっていくのかという、そこの仕組みづくりがやはり重要であるなというふうに思います。
こういった、ジョブ・カードで評価されたスキルの見える化が人事システムにしっかり組み込まれて採用システムにも持っていくというそのシステムづくりそのものが、例えば今も検討されているジョブ型雇用というものも本当の意味で推進する上では必要だというふうに思いますし、具体で言えば、ちょっと外れるかもしれませんけど、やはり、キャリアを持っていた女性の方とかが例えば出産、育児とかで一回離れて、そうしたら、その後戻るときには自分のスキルに合った仕事がなかなか就けずにパートでというような方もたくさんいらっしゃるわけであります。
そういった全ての人に適用されるようなスキルの評価システムというのがあれば、そういう方に対しての仕事のマッチングというのもやっぱりできるわけでありますから、冒頭申し上げたような問題意識にとって、そういうようなことも含めて、引き続き更なる充実というところも含めて考えていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間の関係がありますので、もう次に行きたいというふうに思いますが、冒頭申し上げた、社会全体で職業訓練をする制度という観点からもう一つ質問をさせていただきたいと思いますが、資料用意をいたしました。こちらは、日本総研の副理事長である山田久先生が公明党の勉強会で講演をしてくださった際に使用された資料の一部で、スウェーデンの例を挙げつつ、産学官連携による職業訓練制度の方向性を示してくださったものであります。
スウェーデン、職業大学制度の整備が充実をしていて、今の、産学官、公労使の密接な連携でマッチングした実務訓練ができると。左側の方にある図というのは、スウェーデンの産業協会が企業をヒアリングをして、現在及び将来必要になるような職業をマッピングしているわけなんですよね。このマッピングに基づいて、右にあるように、政府も枠組みに入った職業教育訓練システムにしっかりと組み込まれて実際の就職に導いていると。
感銘を受けたのが、このスウェーデンでは、教育訓練プログラムの策定や指導員の派遣又はインターンなど企業での実地訓練実現など、人材育成に産業界が横断的に一体となって連携をして関わっているということであります。横断的というのがポイントで、これは会社を超えて求められるスキルを持った人材の育成にもつながっていて、まさに日本に欠けているところを補充するものではないかなというふうに思います。
それで、またお伺いをしたいんですけど、日本でもこういう業界横断的に統一的な人材育成の組織を産業界においてもつくり、そこと職業訓練大学校などスキル向上を専門とする教育機関との連携を密にするなど、会社という枠を超えた人材育成のための連携の仕組みを政府が働きかけてつくっていくべきではないかというふうに思いますが、御意見を伺います。

○政府参考人(岡崎毅君)
議員御指摘のとおりでございまして、海外の取組事例も参考にしまして、産業界と教育訓練実施機関が連携し、人材育成を積極的に行う視点が今後ますます重要になってくるというふうに考えております。
これを受けまして、本年三月に法改正しました職業能力開発促進法によりまして都道府県単位の協議会を法定したところでございます。協議会におきましては、地域や業種等で異なる人材ニーズを職業訓練にきめ細かく反映するため、産業界や教育訓練実施機関等の幅広い関係者に参画していただき、地域のニーズを反映した訓練コースの設定を促進することとしております。さらに、訓練効果の把握、検証をしっかり行いまして訓練内容の改善を図るというようなことも行うこととしております。
厚生労働省といたしましては、この協議会を通じまして、関係者と連携しつつ、地域のニーズをしっかりと把握して効果的な人材育成が実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
是非、この協議会には期待をしております。業界横断的なものも含めて、会社の中だけで生きるスキルより、更にもっと普遍化できるようなスキルを社会全体でつくっていって、また、それを持っている人を評価できるような人事システムもしっかりつくっていくということは是非御検討をいただきたいと思います。
最後に、最後の問い、大臣にちょっとお伺いをしたいというふうに思いますが、構造改革特区という行政の在り方に関しての分野も所管されている野田大臣に、今回の法改正が職業訓練における省庁連携という観点からどのような意義を有するかを御質問したいと思います。
今の質問は、産業界と職業訓練学校との連携なので厚労省と経産省の連携になるわけでありますが、日本においては、職業訓練の充実を考えるにもう一歩考えなければいけないのは、この連携に教育界、文部科学省も加えていくと、今ほどのスウェーデンの例はまさにそれをしっかりと実現できているところであるかなというふうに思います。
職業能力開発促進法などを見ると、例えば、職業訓練は学校教育法による学校教育との重複を避けという文言があったりして、ここは二つは分けているのが日本の法の立て分けになっているというふうに思うんですが、やはり冒頭申し上げたとおり、社会全体で職業訓練をしていくという仕組みをつくる上に当たっては、この教育界もしっかりと職業訓練の輪に入っていくというのは非常に重要かなと。
そういう意味では、今回の法律はこの大学の編入学の対象を追加するという文脈ではありますけど、学校教育法と職業能力開発促進法、これ文科省と厚労省の法律がつながり合ったという点では非常に大きな意味もあるかなと思っておりますし、先ほど斎藤議員もおっしゃっていました、学ぶという人の立場からしたらどうやってつなげていくのかという観点、私はそういう御質問だというふうに思ったんですけど、非常に重要な視点だなというふうに思います。
以上を踏まえまして最後に大臣にお伺いしたいんですけど、この学校教育と職業訓練の垣根を越えるという意味において、この法案が有している意義をどのように評価されるのか、あわせて、本法案を受けて職業訓練を通じた人材育成という点について、文科省と厚労省の連携はどうあるべきと考えるか、大臣の御見解を求めたいと思います。

○国務大臣(野田聖子君)
お答えいたします。
構造改革特区における学校教育法の特例は、地域産業を担う高度人材を育成するため、一定の要件の下、現在認められていない職業能力開発短期大学校から大学への編入学を可能とするものであります。省庁間の垣根を越えた意義深い特例と考えております。
矢倉議員御指摘のとおりで、人材育成については、文部科学省、厚生労働省、経済産業省など関係省庁がしっかり連携して取り組む必要があると考えますが、連携に当たっては、時代の変化や国民目線に立って、施策の垣根を越えて一体となって取り組む、そのことが重要なものだと考えています。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
時代の変化と国民目線、その学ぶ人の立場、そういうのも含めて様々な生き方の多様性もあると思うし、そういうものに合わせてしっかりした職業訓練の仕組みというのもつくっていただきたい。
野田大臣には、今回は構造改革特区ですから地方活性化のための規制改革でありますけど、行政改革という意味合いも当然あるわけでありますし、何よりも省庁の縦割りという部分をしっかりリーダーシップを発揮していただける方として是非御期待を申し上げまして、質問を終えたいと思います。

208回 地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会

2022-04-22 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。質問の機会を与えていただき、委員長、理事各位始め皆様に感謝申し上げます。
まず、法案について大臣に伺います。
先ほど御答弁ありましたとおり、政府は年間一万件以上の手数料等についてキャッシュレス化に取り組む方針と承知をしておりますが、この法案が成立したとして、どの程度の手続が実際キャッシュレス化されるのか。特に、達成のためにはいわゆるデジタルデバイド解消の施策が必要ですが、これについてどのように進められるのか、答弁を求めます。

○国務大臣(牧島かれん君)
政府としては、年間支払件数が一万件以上の手続について、可能なものから速やかにクレジットカード決済等のキャッシュレス化に取り組むなどの方針、閣議決定いたしました。
この閣議決定の対象となる国に対する納付手続の数がおよそ百六十ございます。この中には既にクレジットカード決済等による納付が可能となっているものなどがありますので、残る百十程度の手続から本法案によるクレジットカード決済等による納付の導入が順次進められることになります。
なお、具体的にどの納付手続についてキャッシュレス化を導入するかは、当該決済手段の普及状況等を勘案した上で、費用対効果の精査を十分に行った上で、納付手続を事務として所管する各府省庁において個別に判断するものとなります。
また、いわゆるデジタルデバイド対策というところは、私どもも大変重要な点というふうに受け止めております。デジタル推進委員を始め、デジタルに不慣れな方々をサポートする制度を準備をしているところでございます。
デジタルに不慣れでも、こうしたデジタルサービス、キャッシュレス含めて便利に活用をしていただきたい、又は、活用をしてみたいけれども誰かにアドバイスをいただきたい、そういう方々のお声に対応できるような体制を関係省庁と連携しながら進めてまいります。

○矢倉克夫君
デジタル推進委員、大事です。一万人という話も聞きますが、十分な伴走体制の強化、是非よろしくお願いをいたします。
それでは、また、各種手数料をキャッシュレス決済した場合、どのようなコストが考えられるのか。それを上回るメリットとして何が見込まれるかを、定量的なものがあればそれをお示しいただきたいとともに、例えば行政コストの減少があるのであれば、それは手数料額の減少にも反映すべきとも考えますが、この辺りについて御答弁をいただければと思います。

○政府参考人(菅原希君)
お答えいたします。
本法案により各種手数料の納付についてクレジットカード決済等のキャッシュレス納付を行った場合、クレジットカード事業者等に対する決済手数料が発生するほか、行政機関側ではキャッシュレス納付に必要な情報システムの整備、運用コストが発生するものと考えております。
一方、キャッシュレス納付を行う場合の利用者側のメリットといたしましては、窓口に赴く必要がなく、現金や印紙の準備が不要となり、基本的に二十四時間三百六十五日納付が可能となるというものでございます。また、行政機関側のメリットといたしまして、行政窓口での対応時間の削減などの業務効率化が期待できるところでございます。
このようなコストやメリットを定量的にお示しするということは難しいですけれども、民間取引によってキャッシュレス決済が急速に普及している状況に鑑みますと、全体としてはキャッシュレス納付によるメリットがコストを上回るものというふうに考えているところでございます。
なお、行政手続に係る各種手数料は、法令上、実費を勘案して定めることとされておりますので、当該行政手続に係るコストが下がれば手数料額も改定して下がる、そういう性格のものであるというふうに理解をいたしております。

○矢倉克夫君
今クレジットカード事業者等に対する決済手数料についての話がありましたが、日本は少しそれが高いのではないかという観点から、幾つか質問をしたいと思います。
まず、野村総研の二〇一七年のデータで、このキャッシュレス推進、韓国は九六・四%、イギリスなども六八・七%と聞いておりますが、我が国のキャッシュレス市場拡大はやはり遅れていると言われております。まず、政府の認識を伺うとともに、遅れている理由について、先ほどは大臣から答弁がありましたので、経済産業省から答弁をいただければと思います。

○政府参考人(澤井俊君)
お答え申し上げます。
議員から御指摘がございましたように、我が国のキャッシュレス決済比率、諸外国と比較しても低い水準にあるというふうに認識してございます。このため、二〇二五年までにキャッシュレス比率を倍増させて四割程度まで持っていくと、こういう目標を掲げて様々な施策を講じているところでございます。近年、その水準、増加傾向にございますが、二〇二〇年で二九・七%というところにとどまっているところでございます。
この原因でございますけれども、一つは、社会情勢に関する要因としまして、やはり日本、治安が良くて盗難が少ない、現金を安全に持ち運べるということがございます。それから、偽札の流通も少ないといったようなことで、現金に対する信頼が高いということがございます。それから二つ目として、店舗側の要因としては、決済手数料がやはり高いという話とか、あるいは、決済、キャッシュレスの導入のメリットが見えにくいといったようなことがございます。三つ目として、消費者側の要因としては、無駄遣いとか、セキュリティーに関するやはり不安といったようなものが挙げられてございます。

○矢倉克夫君
今、加盟店手数料の高さ、決済手数料の高さということもありました。
資料一を御覧いただければと思います。これは、クレジットカード決済の構造を示したものですけど、図の右にありますとおり、このインターチェンジフィーというものが加盟店手数料の大きな割合を占めております。これが最終的には加盟店手数料の高さになっているということの構造も見えると思うんですが、改めて、そもそもこのインターチェンジフィーというのはどういうものなのか、説明を求めたいと思います。

○政府参考人(澤井俊君)
お答え申し上げます。
インターチェンジフィーと申しますのは、加盟店を管理するカード会社、これはアクワイアラーというふうに申し上げますが、と、利用者の方と契約をしてカードを発行したり提供したりするこういう会社、これをイシュアーというふうに申し上げますが、このアクワイアラーからイシュアーに支払う手数料でございます。イシュアー側の方は、この手数料収入を使って利用者のポイント還元事業に充てたり、ごめんなさい、ポイント還元に充てたり、あるいは請求書等の印刷、郵送、それからシステム費用、こういったものに充てているということでございます。
このインターチェンジフィーにつきましては、国際ブランドがいろいろ設定しておるんでございますが、これは、国際ブランドが自社ブランドのカードの利用が最大化されるように、加盟店手数料の収入の配分を、これはアクワイアラーとイシュアーのバランスをよく、バランスよく配分すると、で、両方を育てていくと、こういうような戦略を持ってやってございます。そういった意味で、アクワイアラーとイシュアーのバランスを調整して決めているというところでございます。
アクワイアラーとイシュアーはそれぞれ、また多数存在するものですから、これ、仮にそれぞれが個別交渉でやるとなると膨大な交渉になってしまうものですから、そういった実務上の非効率性もございますことから、このインターチェンジフィーというものが適用されていると、こういうことでございます。

○矢倉克夫君
このインターチェンジフィーの直接の収受の当事者ではない国際ブランドが、決めているというのが、一つの特徴だと思うんですが、この国際ブランドからしたら自社ブランドの取引拡大という経営のための選択からですけど、その選択の結果が最終的には高いインターチェンジフィーになったときには加盟店に来るという、この構造をどうするかというところはまた考えなければいけないと思います。
それで、資料の二を見ていただきたいんですけど、このインターチェンジフィーを、これはアメリカのカンザスシティー連邦準備銀行による資料なんですけど、国際比較をしたものです。
これ、日本は入っていない。日本は大体、先ほどの資料にあるとおり二・三%、資料によっては、統計によっては三%というふうに言われているんですけど、これを見ると、ほかの国は日本よりは低いです。紫のところなどを見ると、上限規制〇・五%以下にしているところも結構あるわけなんですよね。
改めてお伺いしたいんですけど、日本においてこのインターチェンジフィーの上限規制、これ行っていない理由は何なのか、また、規制できないのであればどのような取組を行うべきか、経済産業省にお伺いします。

○政府参考人(澤井俊君)
お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、諸外国におきましては各国の事情、それぞれキャッシュレス化がどれぐらい進んでいるかとか、かなり異なってございますので、そういった事情を踏まえまして、規制を含めた取組が行われているというふうに承知をしてございます。
インターチェンジフィーの上限規制につきましては、規制のやり方によりましては、これは、インターチェンジフィーがそのイシュアーにとっての顧客サービスの原資になっているものですから、消費者への、それを低下してしまうと消費者へのサービスの低下といったような様々な影響が出る可能性がございます。こうしたことから、我々としては慎重な検討が必要であろうというふうに思っております。日本のキャッシュレス決済を取り巻く環境なども踏まえながら、その影響をしっかりと見極めることが必要であると、こういうふうに考えてございます。
したがいまして、経済産業省といたしましては、まずは、規制によるのではなく、民間の努力や、努力による効率化や加盟店とカード会社の交渉の活発化を通じて手数料を引き下げることをできないかと、こういうことで取組を進めているところでございます。
具体的に申し上げますと、加盟店と決済事業者の間の情報の非対称性、これを解消することが交渉の活発化につながるというふうなことから、インターチェンジフィーの標準料率の公開に向けて取組を進めているところでございます。

○矢倉克夫君
規制がイシュアーのコスト増になって利用者に跳ね返るということから、まずは公開により民間努力という話でありましたが、ちょっと質問順序変えて、公正取引委員会に聞きたいと思いますが。
公正取引委員会、四月八日にクレジットカードの取引に関する実態調査報告書を公表し、インターチェンジフィーについて、国際ブランドに対して標準料率を公開するよう求めておりますが、それは独禁法上、どのような観点からの、視点からの公開であるのか、あわせて公開をどのように促すのか、答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(岩成博夫君)
お答えいたします。
御指摘の公正取引委員会の報告書でございますけれども、クレジットカードの加盟店手数料について、カード会社と加盟店の交渉を活発にすると、そしてカード会社間の競争を促進するという観点から、国際ブランドにあっては、インターチェンジフィーの標準料率を公開することが適当であるという考え方を示したところでございます。
独占禁止法は事業者の公正かつ自由な競争を促進するということを目的としておりまして、標準料率の公開はそのような独占禁止法の目的にも沿うものというふうに考えております。
公正取引委員会としては、経済産業省とも連携して、報告書の考え方を個別に国際ブランドに説明していくことによって標準料率の公開を促していきたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
競争上の促進という観点からの答弁、私なんかは、国際ブランドのこの優越的な地位という部分も含めて考えてもいいのではないかというふうに思いますが、それはおいておいても、是非、この公開の民間努力だけではなくて、やはり公正取引委員会としてもしっかりとその権限に基づいて積極的な促しを引き続きお願いをしたいというふうに思います。
それで、その上で、先ほど経産省からもちょっと話がありましたイシュアーのコスト増というところで、また図の三を見ていただければ分かると思いますが、インターチェンジフィーが何に使われているかということが書いております。これが、結局、インターチェンジフィーが公開されることでその率が低下すればイシュアーの収入が圧迫されるわけでありますが、これが利用者のメリットを減するようなことがないようにするためにはどのようにすればいいのか、対応策を経産省から聞きたいと思います。

○政府参考人(澤井俊君)
お答えいたします。
議員御指摘がございましたように、インターチェンジフィーの公開、それから加盟店手数料の交渉の活発化で加盟店手数料が下がれば、加盟店手数料の高さからクレジットカード導入をちゅうちょしている加盟店、こういった店舗の、への加盟が進み、結果として取扱高も増加するということが考えられます。そうしますと、イシュアーの収入も増えることになりますので、そういったことで、インターチェンジフィーの公開によりイシュアーの収入を圧迫することを回避することも可能ではないかというふうに考えてございます。
また、イシュアーの費用に着目をいたしましても、当然、カード利用者へのポイント還元費用など、取扱高の増加に伴いまして費用も増えるんでございますが、一方、システム費用など固定費もありまして、そういったところは取扱高が増えても増えませんので、そこは収益につながっていくということでございまして、全体として、インターチェンジフィーを公開が必ずそのイシュアーの収益を圧迫すると、こういうことにはならないのではないかというふうに考えてございます。
政府といたしましても、そういったことになりますように、業界が協調してコスト削減に取り組むことができないかということで、この業界協調によるコスト削減の取組と、こういったものを今後進めていきたいというふうに考えてございます。

○矢倉克夫君
過当競争にならないようにするための環境整備って必要だと思うんですよね。
ちょっと更問いで恐縮なんですけど、じゃ、今ほど業界協調によるコスト削減というふうにおっしゃっていましたが、例えば具体的にはどういうことがあるのか、答弁をいただければと思います。

○政府参考人(澤井俊君)
例えばセキュリティーに関する費用、これ結構今は掛かってきております。こういったところは競争するというよりもやはり皆さんで業界が一致して対策を取っていく、こういったことによって、よりセキュリティーを高めて、かつ費用も抑えられるということで、こういったところが協調領域になっていくんじゃないかと考えてございます。

○矢倉克夫君
例えば、後ほども少し質問するかもしれませんが、インドなんかはQRコードも統一化したりだとか、やっぱりそういうことも引き続きしっかり、やはり競争条件をそれぞれ改善していくための協調の在り方ということも政府が主導して行っていくという点が必要かと思いますので、それはまた改めて時間があれば質問をさせていただきたいと思います。
それでは、そのような形で取組をしていただくとともに、またお伺いしたいのは、この加盟店手数料の方になるんですけど、大企業とやはり中小企業の方でやはり違いがあるんじゃないかということ、これに対してどのような改善があるのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。
加盟店手数料も、企業の規模や業種で異なるとされております。それはなぜであるのか。また、特に、私の理解する限り、場合によっては大企業の加盟店手数料と中小企業の加盟店手数料、二%、三%違ったりだとか、やはりする。これがキャッシュレス普及の課題にもなっておりますし、中小企業の立場からしたら、市場から、これからキャッシュレスをわあっと広げようとしているのに、その広がる市場に対して締め出しをされるようなことにもなっている。ここら辺の格差というものもしっかり是正しなきゃいけないと思いますが、どのような改善のための取組を行うべきと考えますか。政府からの答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(澤井俊君)
お答え申し上げます。
加盟店手数料は、カード会社と加盟店が個別に交渉して決めていくということでございます。その際には、やはりその加盟店の営業コスト、それからインターチェンジフィーも、業界によって、業種によって異なってきます。こういったものを勘案して設定されるため、加盟店の業種や規模によって率が変わってくるということでございます。
加えて、大規模なやはり加盟店ほど手数料の価格交渉が激しく行われる傾向がございます。結果として、そうすると低廉な加盟店手数料が実現していくと、こういうことでございまして、一方で、その中小店舗の方は加盟店手数料が高くなってしまうと、こういうことでございます。
経済産業省といたしましては、中小店舗を含む加盟店が手数料の交渉力を付けて市場が競争的になるようにすることが大事だというふうに考えてございます。
そこで、情報の非対称性を解消して、加盟店と決済事業者の間での交渉を活発化するために、インターチェンジフィーの料率の公表を国際ブランドに求めるとともに、カード会社に対しまして、クレジットカードのコストに関する情報を加盟店に対してきちっと開示していく、こういうふうなことを求めていく所存でございます。あわせまして、中小の店舗に対しましても、決済事業者との加盟店手数料の交渉の重要性について周知、広報をしていくということを考えてございます。
これらの取組によりまして、市場の透明性が高まって、加盟店による交渉が活発化して手数料の低減が実現していくように取り組んでまいりたいと考えてございます。

○矢倉克夫君
今ほどの答弁の中でもあったわけですけれども、やはりインターチェンジフィーそのものも大企業と中小企業で変えているという現実もやはりあるわけでありますから、公開でそこも変えていくという部分もそうですし、それについての更なる是正、どういうことがあるかということは、公正取引委員会も含めて政府一体でまた考えていただきたいと思います。今のお話ですと、やっぱり情報の非対称性をまず変えることで中小企業の交渉力の強化というところはあるかと思います。それは一歩としては大事なんですが、非対称性を変えただけで、じゃ、すぐに交渉力が上がるかというと、そういうわけではありませんので、これは引き続き、今後公開をした上で、民間の中での自助努力で変えていくというだけじゃなくて、引き続きウオッチをして、中小企業が締め出されることがないようにそこはしっかり御対応をいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
最後、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
もし、ちょっと今通告していませんが、今の中小企業のやり取りについて、もし何かありましたら一言いただきたいのと、あわせて、その上で通告の方の質問をさせていただきたいと思いますが。
デビットカード、結局、諸外国を見ると、イギリスとか中国なんかはキャッシュレスが進んだのはデビットカードからだったりするんですよね。やはりそういうところからしっかりと広がっていったというところがあって、我が国はやはりクレジットカードがまだ主体になっているわけでありますけど、キャッシュレス決済全体を進めていくというところでは、デジタルの環境整備としてもデビットカードやQRコード決済の普及がまた主役になってくるので、それらの普及促進をどのように図られるのかお考えをいただきたいのと、あわせて、先ほども少し言いましたけど、キャッシュレスが進んでいる国の共通点は、政府が銀行協会とかと共同で決済インフラに関する企画立案を行う官民協議体を設置するなど、金融インフラに関する仕様の共通化などを積極的に推進している点だというふうに思います。
これらについて、まさに司令塔として大臣がどのようにリーダーシップを発揮されるのか、御決意含めて、最後お伺いをしたいと思います。

○国務大臣(牧島かれん君)
まず、中小企業のデジタル化等についてでございますが、DXを推進したいという意欲を持っておられる中小企業もいらっしゃれば、何から始めたらいいか分からない、迷っているという方もいらっしゃる、それが現実だというふうに受け止めていますし、私どもも、広報や周知徹底という点、また御指摘のあった情報の非対称性というものの前提に立って丁寧な取組を進めなければならないということは考えているところでございます。
そして、御質問ございました、更にこの国の行政手続におけるキャッシュレス化を一層進展させていくという観点から、国の歳入等の納付の方法、選択肢の拡大進めておりますけれども、進めていくということになりますが、クレジットカード決済のみならず、デビットカードや二次元コード決済など、多様なキャッシュレス納付を可能とする制度の整備を図ってまいります。デジタル庁としては、普及しているキャッシュレス納付手段の種類や利用者のニーズ動向といった情勢も踏まえていきたいというふうに考えております。
また、例えば二次元コード、これはQRコードと呼ばれることもございますけれども、総務省においては、統一QR、JPQRの導入を推進するなど、各分野において取組も進められております。
こうした金融インフラに関する仕様の共通化についても意識をしながら、また、デジタル庁が、例えばAPIを利用して既存のシステムと連携する、共通機能の構築を検討するといったことも考えられるかと思います。しっかりと司令塔機能を果たせるように取り組んでまいります。

○矢倉克夫君 ありがとうございます。
是非取組を進めていただきたいと思うのと、最後、大臣からAPIの話もありましたので、コメントだけ。
まさにこれこそがやはり私はデジタル化の、キャッシュレスがむしろ手段で、目的はAPIを進めていくというふうに考えてもいいぐらいだと思っています。ソフトウエア間で自由に情報をやり取りするということは当然低コストでもありますし、リアルタイムで正確な情報が行き交えるという、これはこの分野に限らず、霞が関全体にしっかりと広げていくことが最終的にはEBPMにも、やはりエビデンスに基づいた政策というところのデータの蓄積というところも非常に大きな部分がありますので、その分野も含めて、ここをまた一里塚として、霞が関全体、また国全体のデジタル化、効率化というところを、利用者にとっての利便性が高まった効率化というのを是非進めていただきたいということを最後お訴えを申し上げまして、質問を終わります。

208回 憲法審査会

2022-04-13 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
岡崎事務局長、川崎法制局長、分かりやすい御説明、ありがとうございます。
法制局長にちょっとお伺いしたいと思うんですが、私も、先ほど御説明いただいたときにも言及があった、二つに分けなきゃいけないなと、問題を。この会議体の構成要件としての定足数の出席概念と、あと議員の活動を、まあある意味活性化するためにこの出席概念ってどこまで柔軟化していいかという、この二つの問題を分けた上で考えなければいけないなと思っていて、その上で、二ページ目のところでいろんな論書いていらっしゃるんですけど、例えばこの二つの問題意識からの出席概念というのが解釈が変わっていいものなのかどうか。具体的には、定足数としての出席は物理的出席だけど、この議員の活動を確保するための許容要件としての出席はより柔軟にしていいと。そういうような考えが仮にできれば、例えば三分の一の人が物理的に出席していれば、それ以外の人は仮にオンラインで出席したとしても憲法上問題はないというようなハイブリッド的な構成の在り方というのも考えられると思うんですが、資料の中で書かれていたA、B、Cというふうに説を書かれているんですけど、それを照らし合わせて、今言ったような考え方というのは、これは物理的に、学説があるかどうかは別にしても、あり得るものなのかどうかというのをちょっと教えていただきたいと思います。

○法制局長(川崎政司君)
御質問ありがとうございます。
定足数の関係でございますが、議事の定足数と議決の定足数がございます。議事の定足数というのは、日本国憲法では規定をされておりますけれども、諸外国を見ますと、議事の定足数を規定していないところも結構ございます。そういう意味でいいますと、日本国憲法の場合には議事の定足数も規定をしておりますので、解釈という意味でどれだけ違いを設けられるかというのはありますが、議事の定足数に関しては、その考え方としては少し緩やかに解して、議決のところは厳格にやるという、そういうハイブリッド的なことというのもあり得るというふうに思っております。
特に、三分の一以上ということのお話もございましたが、諸外国と比べますと、三分の一以上というのは定足数としては少ない、普通は過半数でございます。そこのところをうまく活用しながら、三分の一のところはしっかり確保しながらというのも、またこれもあろうかと思います。
以上でございます。

○矢倉克夫君
改めてお伺いをしたいんですけど、二つあって、出席、議院、会議が構成するための、定足数のための出席というのはどういうふうに考えるかというのは一つ。それ以外で、議員が議決権等を行使するため、その前提としての出席という概念の二つ。こういう分け方というのは概念としてはできないものなんでしょうか。

○法制局長(川崎政司君)
オンライン出席をどのような場合に認めるかということとの兼ね合いの話のような気もいたします。
まず、三分の一は絶対きちんと満たしている必要があるというお考え、そういうお考え方は当然あろうかと思います。その上で、議決の正当性を高めるために、より多くの先生方、議員の方々に出席をしてもらうと、その点については、オンライン出席を組み合わせるという考え方というのは十分あり得ると思います。

○矢倉克夫君
分かりました。
もう一つ、じゃ、今、ちょっとかみ合っているかどうか分からないんですけど、じゃ、ちょっと時間がありませんので、最後、一点だけお二人にちょっとお伺いしたいと思うんですけど、院の自律権というものをどこまで範囲に入れるのか。
一方、聞きたいのは、例えば、これは一般的な概念でいいんですけど、院の自律権というものを、例えば会議の構成とかで、院の自律権で決めれると、それは一般的に限界要素としてどこまで、どういう限界考慮があるのかというところだけを最後お二人に端的に教えていただければと思います。

○憲法審査会事務局長(岡崎慎吾君)
お答え申し上げます。
議院の自律権の限界ということでございますが、これは先ほど来議論されていますとおり、やはり憲法の枠内というものがどうしてもありますので、その枠をどのように考えて議院の自律権を行使すべきかということの問題だと思います。

○法制局長(川崎政司君)
私も同じ考えでございますけれども、やはり憲法の規定、規範がある以上は、その枠内で自律権の行使ということが基本であるというふうには思います。

○矢倉克夫君 ありがとうございました。

208回 憲法審査会

2022-03-23 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
会派を代表し、憲法に対する考え方との議題に関し、本日は新たな課題として、まずデジタル社会と憲法について、そして参議院として特に重要である緊急集会について述べさせていただきたいと思います。
まず、デジタル社会と憲法について。
急速なデジタル技術進展の中、人権や民主主義という憲法価値がどう守られるかが議論になっております。背景に、いわゆるGAFAに象徴される巨大プラットフォーマーが情報分野における新たな統治者として存在感を増していることが挙げられます。
特に、これらプラットフォーマーによりユーザー個々の移動や検索の履歴、思考、関心事項、その他の個人情報がプロファイリングされ、その特定された個人情報を基に利用者の関心度が高いものを購入させるマイクロマーケティングが行われているのみならず、ネット利用者個人の検索履歴やクリック履歴をアルゴリズムにより分析し学習を重ね、個々のユーザーが見たいであろうと推測される情報を優先的に表示させ、逆にユーザーの考え方に合わないと推測される情報からは遮断させるといったことがなされていることも指摘をされております。結果、ユーザーは自身の考え方や価値観のバブルの中に孤立してしまうフィルターバブルに置かれる。
これらは意思形成過程に大きな影響を及ぼすものであり、憲法上の人権の観点から見た場合、第十三条前段の個人の尊重の観点、とりわけ十三条後段の幸福追求権に基づくプライバシー権や個人情報保護法制も併せ考えた場合における情報自己決定権、自己の個人情報の開示及び使用について原則として自ら決定する権利への抵触の懸念が出ています。また、十九条の思想及び良心の自由の規定においては、自律的、自発的な意思形成過程への阻害要因となる可能性もなしとしません。
さらに、AIによる採用面接への振り落とし等、プロファイリングによる差別は十四条の関係でも議論し得ます。この人権の観点に加え、十五条の選挙権、二十一条の言論の自由という民主主義社会形成の基本となる人権の行使に対し、今後更に発展するであろう巨大プラットフォーマーがどのように影響を与えていくのか、今の我々が想像も付かない問題点も出てくる可能性もございます。
一方、では、憲法の基本的人権の規定を改定し対応すべきかについて、巨大プラットフォーマーの出現という民間権力との関係を人権一般の普遍的課題として捉えるべきか否か。そもそも、日本国憲法のように規律密度が相対的に薄い成文において、この問題をあえて明文で規定すべきか否かなど、様々考慮すべき事情はあるかと思います。憲法レベルではなく法律による規制でもいいのではないかという御意見もあるかと思います。今後、プラットフォーマーがどのような発達や変貌を遂げるかを見極めつつ、慎重に議論を進めるべきと考えます。
次に、参議院の緊急集会について意見を申し述べます。
まず、日本国憲法が参議院の緊急集会を認めていることは、参議院が衆議院と同じ全国民の代表であることを表したものであるということをまず強調いたします。
その上で、近時の甚大な自然災害の増加や安全保障上の緊急事態の発生可能性の増大を踏まえ考えたとき、今後、参議院の緊急集会の意義はますます高まることが考えられます。私たちは、院の自律性に関わる問題として、この参議院の緊急集会の開催の要件や手続、権能や効果等について更に議論を深めていく必要があります。
特に、参議院の緊急集会の開会要件については、憲法は明文的に、衆議院が解散されていること、国に緊急の必要性があることの二つを規定します。一に、このうち、近時、解散による衆議院の不存在と、その任期満了による不存在についての質的な差異がなく、憲法の規定はあくまで衆議院の存在がない例として解散を定めたにすぎないとする有力な説もあります。この説によれば、解散のみならず任期満了時も衆議院が院を構成できない場合として参議院の緊急集会を開催できることとなります。これは、大規模自然災害等において衆議院の任期を延長できるかという議論にも影響を与えるものですが、傾聴に値すると考えます。
次に、後者について。国に緊急の必要性があることの判断は内閣のみに専属するのか、また緊急集会による参議院の承認を衆議院が次の国会の開会後十日以内に承認しなかった場合の効果をどのように考えるのか。特に、自衛隊法第七十六条に基づく自衛隊の防衛出動の承認の場合、仮に不承認となったときの影響、予算の執行などとこれは違うものがあるわけであります。
どう考えるかなど、今後、参議院の緊急集会の開会における要件や手続、権能等は更に議論すべき課題は多く、これらについても参議院の院の自律権の問題として真摯に議論すべきことが重要であることを述べ、党を代表しての意見表明といたします。

208回 予算委員会

2022-03-04 国会質問議事録

○矢倉克夫君
質問の機会を与えていただき、委員長、理事各位始め皆様に感謝申し上げます。
お手元の資料一、内閣府の資料によりますと、二十五歳から三十四歳までの若者の中での格差が広がっていることが労働所得のジニ係数の推移などからうかがえます。末冨芳先生など有識者は、この一番の原因は非正規労働、正社員となれない方が多い、仕事が短期で長く続けられないこととされております。私が委員長を務める公明党青年委員会が全国各地で進める若者との対談、ユーストークミーティングでも、正社員として長く働く場所がないというのは常に相談をされることであります。
若者の安心を確保するため大事なことは雇用保障であります。正社員として長く働ける環境確保に向けた施策をもっと本腰を入れるべきと思いますが、政府の方針を伺います。

○国務大臣(山際大志郎君)
先生と思いは同じでございまして、やはりこの二〇〇〇年代のデータを見ますと、男性の非正規雇用比率が、非正規雇用の比率の高まり、あるいは労働時間の減少等々でジニ係数が上がっているという分析がございます。こういうのを見ますと、より一層しっかりと、不本意ながら非正規雇用になる方々に対して支援をしていかなくてはいけないという思いをしているところでございます。
先生御案内のように、わかものハローワーク等々を通じ、担当者制での安定就労に向けた就職支援や、あるいは就職後の職場定着への支援を行うとともに、キャリアアップ助成金の活用等による正規雇用への転換等の支援などに取り組んでおりますが、これで十分だとは思っておりません。岸田内閣においても、三年間で四千億のパッケージ等々も準備しながら、より一層人への投資ということを加速させなくてはいけないと思っております。

○矢倉克夫君
決意の言葉、ありがとうございます。
正社員として長く働く場所がないという一方、若い人材が集まらないことを嘆く中小企業の経営者も多いんです。先週二十四日公表の帝国データバンクの調査によりますと、今年一月時点で企業の四七・八%が正社員不足であると。水準はコロナ以前に戻っております。
新しい資本主義の柱である人への投資で大事なことは、まず中小企業の賃上げ原資確保でありますが、それに加えまして、新たな人の採用、特に中小企業の採用促進について力を入れるべきではないかと思っておりますが、経産大臣の見解を求めます。

○国務大臣(萩生田光一君)
中小企業における人手不足の解消は、活力ある中小企業の事業活動を支援する観点から非常に重要であります。
このため、令和二年三月に中小企業における人手不足の解消に向けて、中小企業・小規模事業者人手不足ガイドラインを策定し、経営課題の見詰め直しとこれを解決するための方策の検討、求人像や人材像などの明確化、人材の活躍や定着に向けた考え方などを整理したところであり、現在はその考え方の普及や経営への取組を促すことを通じて中小企業の人手不足解消の実現に取り組んでおります。
具体的には、同ガイドラインに基づく取組事例である中小企業・小規模事業者の人手不足対応事例集を公表し、中小企業の経営者の意識啓発に取り組んでいるほか、各地域の経済産業局においてはセミナーやマッチングイベントを年間約八百回程度実施しているところです。
引き続き、このような取組を通じて中小企業における人手不足の解消にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
人手不足解消という観点からの答弁でありましたが、特に中途採用についてちょっとお伺いしたいんです。
先日、竹谷とし子議員が中間就労支援に言及されておりました。中途採用を進める方策でも大事なことが、例えば社会人インターン制度の更なる活用、例えば有償の長期インターンシップを実施する企業に助成金を支払うことで、非正規雇用などなかなかスキルを磨く機会がなかった方でも職務経験を積みながら技能を習得できる、そして、そのインターンシップ経験者を採用した企業、これはインターンを実施した企業には限りませんが、採用した企業に採用奨励一時金を支給するといった制度をつくれば、企業にとっても技能ある人をより採用しやすくなるというふうに思っております。
そういった制度の検討ができないか、こちらも答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(萩生田光一君)
インターンシップ制度は、企業の魅力を発信するとともに、業務内容を理解し職場の雰囲気を感じてもらう機会となるため、中小企業にとっても人手不足を解消するための有効な手段の一つであると承知しております。
このため、経産省では、中小企業の魅力発信につながるようなインターンプログラムの作成支援ですとか企業とインターン希望者とのマッチング事業を行っているほか、地方の中小企業が行うデジタルツールを活用したインターンシップなどの採用活動を支援するなど様々な施策に取り組んでおります。
また、職務経験を積みながら自分に合った仕事を見付けることができる環境を整備するため、経産省としてはリカレント教育を推進しているところであり、例えばITなど今後成長が見込まれる分野における高度な専門性を身に付けてキャリアアップを図るための講座を認定するなどの取組を行っているところです。
こうした取組は委員御指摘の中途採用を促進することにもつながるものと考えており、引き続きこれらの施策をしっかりと進めることにより、中小企業がインターンシップや中途採用を行いやすい環境を整備してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
座学でいろいろ勉強された後、キャリアアップで勉強された後も、やはり、すぐに就労に結び付く前に、中間就労という観点も。その部分でもインターンシップはやはり必要かなと。そこでスキルを磨いた方であれば企業もまた雇いやすくなってきて、人手不足にとっても非常に重要であるなというふうに思っております。
是非、山際大臣、先ほど三年間四千億円のこの人への投資の施策パッケージおっしゃっていただいたわけでありますが、こちら要望のみで。先月、その内容についてのパブコメもなされたというふうに伺っておりますが、今ほどの提案も含めて是非御検討をお願いしたいと、こちらは要望だけしておきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、キャリアある仕事に就いていたが、結婚や出産で数年で辞めてしまわれると。元のスキルを生かした仕事に就くことがなかなかできずにパートなどでお仕事をされていらっしゃる場合も、これ特に女性に多いわけであります。
持っているスキルを生かせる仕事を元の職場に限らず幅広くもっと見付けやすくするために必要な施策は何と考えておりますか。厚労大臣の御答弁を求めます。

○国務大臣(後藤茂之君)
出産、結婚、出産で離職された子育て中の女性や、これから子育てと仕事を両立したい女性に対する就職支援を強化するために、全国にマザーズハローワーク、マザーズコーナーを設置しているところでございます。
具体的には、委員から御指摘のあった、持っているスキルを生かせるように求職者一人一人の状況に応じた担当者制によるきめ細かな就職支援、そしてまた、仕事と子育てが両立しやすい求人の確保、提供、そして就職活動に向けた心構え、面接対策、パソコン講習等の再就職に資する各種セミナー等を実施しております。
令和四年度予算案におきましてはマザーズコーナーの設置箇所数の増加などの拡充を盛り込んでいるところでございまして、引き続き子育て中の女性の就職支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
マッチングのお話、ありがとうございます。
あと、私は一つ、ジョブ型雇用も一つありかなと。といってもですね、ただ、全ての労働者の方がジョブ型ということではなく、こういうスキルを持った方の中途の採用。これは、要するに働き方が複線的に、多様にというようなことも必要かというふうに思います。この点だけはお伝えをしておきたいと思います。
次に、新しい資本主義の柱の一つの中間層支援についてお伺いをいたします。
私たち公明党青年委員会、私が委員長を務めている青年委員会も、一昨年の八月に当時の安倍総理に提出を青年政策二〇二〇としていたしましたが、第一に訴えたのがこちらでありました。当時着目したのは、これ中間層を含めみんなが将来不安を感じていると。にもかかわらず、所得制限により支援対象から外れてしまう中間層も多くて、社会に不公平感、これは分断という部分にも出てくる可能性もある。
おとといもですね、全国で十人の三十代以下の若者とオンラインで二時間ユーストークミーティングを行ったんですが、この感覚は皆さん共有をしておりました。医療や介護、教育などを典型に、生きるために必要な支援における所得制限の緩和、無償化の範囲の拡大等を通じまして、みんなを受益者とする方向性、これを示して、みんながみんなで支え合っている実感を大事にするということが、人々のつながりを重視する新しい資本主義の目指す方向ではないかと思うんですが、山際大臣の御見解を求めます。

○国務大臣(山際大志郎君)
哲学は同じだと考えておりまして、それがありまして、岸田内閣においては全世代型社会保障制度、これをつくっていかなくてはいけないというふうに思っております。
具体的には、子供から子育て世代、お年寄りまで、全ての方が安心できる全世代型社会保障の構築に向けた取組を進めていくとしておりまして、男女が希望どおりに働ける社会を目指して、女性の就労の制約となっている制度の見直し、あるいは勤労者皆保険の実現、仕事と子育ての両立支援などに取り組むとともに、社会保障制度を支える人を増やし、能力に応じてみんなが支え合う持続的な社会保障制度の構築を進めてまいりたい、このように思っております。

○矢倉克夫君
哲学は同じということで、私たちは私たちで、また新しい資本主義の制度の提案をしていきたいと思います。
それでは、こちらで山際大臣と萩生田大臣と後藤大臣は、委員長、御退席をいただいて結構でございます。

○委員長(山本順三君)
山際大臣、萩生田大臣、後藤大臣、三大臣御退席いただいて結構でございます。

○矢倉克夫君
次に、ウクライナ情勢について大臣に、東アジアの秩序に関わる、これはいかに関わるのか、御見解をいただきたいと思います。

○国務大臣(林芳正君)
ロシアによるウクライナ侵略、これは欧州にとどまらず、アジアを含む国際社会全体の秩序の根幹を揺るがす深刻な事態であります。日本として、力による一方的な現状変更は断じて認められないとの立場の下で、今回の事態に対して引き続き毅然と対応してまいります。
特に今後、今回のような国際法違反あるいは国連憲章に反するような行為、これを抑止するためにも、アジアを含め世界のどこであっても力による一方的な現状変更は決して許されない、こうした意思を国際社会とともに強く発信していくことが重要であると考えます。

○矢倉克夫君
意思の発信ということで、東アジアの秩序に関わる以上、日本が、より主体性を持って動くべきであると考えております。特に、中国に対してロシア撤退に向けた関与の度合いを強めるべきだということを、日本はバイの関係でも強く求めていくべきではないかと思います。
今日、ロシアがウクライナの原発を攻撃したという報が入りました。先ほど、大臣から放射能レベルの上昇はないようだというような御報告もあったわけでありますが、一報を聞いて、もうそこまでやるのかと私も愕然とした思いであります。
このロシアを強く非難する世論を背景として、国際世論を背景として、力による現状変更は決して許されるものではないのだということを、日本が中国との関係でも確認することは、東アジアの安定にとっても十分に意味があることと考えますが、大臣の御見解を求めます。

○国務大臣(林芳正君)
今回のロシアによるウクライナへの侵略は、力による一方的な現状の変更の試みであり、欧州のみならずアジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をいたします。
そして、今回のような力による一方的な現状変更、インド太平洋、とりわけ東アジアで許してはならないと考えるわけでございます。今こそ国際秩序の根幹、これを守り抜くために、中国を含む国際社会が結束して毅然と対応することが重要であり、日本としても引き続き関係国と連携して適切に対応してまいります。

○矢倉克夫君
国際連携とともに、日本としての自主的な意思発信をお願いします。
プーチン大統領による核発言をめぐりまして、正直痛感したのは、侵略を行う為政者心理というのは、異常さというか、それを目の当たりにしまして、私は、核兵器をお互い持っていればこの脅威から戦争は抑止されるという論理は余りに楽観的なのではないかと逆に思いました。世界に核兵器がある限りこの脅威は終わらない、核廃絶を発信し続けることこそが被爆者の思いが刻まれている日本の人類に対する責任であるというふうに思います。
お手元の資料に、賢人会議の議長レポートで、核抑止は世界の安全保障にとって危険な基盤であり、全ての国はより良い長期的な解決を追求する、また、最も困難な課題ではありますが、核抑止への依存を低減し、それを安全保障のための代替手段としていくという言及もあります。
日本はどこまでも核廃絶を追求し、抑止によらない安全保障の在り方を考えるべきだと思いますが、核保有国に対して積極的に廃絶へのロードマップを伝えるべき大臣の決意をお伺いします。

○委員長(山本順三君)
時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

○国務大臣(林芳正君)
我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界に向けて全力を尽くす決意でありまして、核軍縮の実質的な進展のために核兵器国を関与させるよう努力していかなければなりません。
その観点から、核兵器国、非核兵器国の双方が参加するNPTを国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石として重視をしております。この維持強化に努めつつ、CTBTの早期発効やFMCTの即時開始、即時交渉開始といった効果的な核軍縮措置に向けた取組を積み重ねていく考えでございます。こうした考え、核兵器国を含めて、国際社会に対してしっかりと訴えてまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
すみません、要望だけすみません。
資料三、ユース、十代、二十代の学校保護宣言、これも是非批准、賛同をお願いします。

○委員長(山本順三君)
矢倉君、時間が来ております。

○矢倉克夫君
以上で終わります。ありがとうございます。

最近の市民相談に対する回答から。

2022-01-31 ブログ
事務所にきたご質問に対する回答のうち、多くの方が関心をお持ちであろうものを不定期で掲載します。

【子ども家庭庁の名称について】
公明党は昨年5月に菅総理大臣(当時)に対して、「経済財政運営の基本方針」(いわゆる「骨太の方針」)などに関する提言を出しましたが、その中で省庁の縦割りをなくし、子どもと家庭を総合的に支えていく必要性を込めて、「こども家庭庁」の名称で、総理大臣直属の新たな行政組織の創設を提案致しました。

この「こども家庭庁」という名称については、子どもの幸せを最優先する社会の実現のために、「子ども」も「家庭」も支援していく、両方守る、という意味が込められています。伝統的家庭観に基づいて「家庭」の名称を入れたものではありません。
子どもの育ちに家庭は必要な存在ですが、それが不幸にも児童虐待などの問題で叶わない子どもたちもいることはもとより承知しております。ですので、今後、子どもたちがそのような苦しみを味わうことがないように親を含め周りの環境を支え変えていかなければいけません。子どものためにも家庭も支援していかなければなりません。

そして、ときに、社会、そして国自体が家庭の役割を果たし、愛情と責任を持って全ての子どもを守り、その成長を図り、幸せにしていかなければなりません。その意味では、この「家庭」という言葉は家族という意味に限定されず社会という意味も含まれており、子どもが苦しむことがないよう、みんなで支え合う社会をつくる、そんな決意がこの名称には込められております。

そして、その趣旨のもと、親御さんがいない子どもたちも、無戸籍や無国籍の子どもたちも、外国ルーツの子どもたちも全ての子どもたちの育ちを支えていく組織にする。「こども家庭庁」という名称は以上のような意味を込めております。
公明党は、その設立理念を実現するために、その施策内容を検討し、その実施体制を充実させるため、「こども家庭庁」発足後も施策実施のための安定的な財源の確保と、十分な人員確保に全力を挙げてまいる決意です。

 公明党のこれまでの実績について触れますと、2006年4月に、子育てを社会全体で支援するチャイルドファースト社会の構築を目指した政策提言『少子社会トータルプラン』を発表し、このプランが元になって、出産育児一時金や不妊治療の拡充、給付型奨学金の創設や幼児教育・保育の無償化といった子育て政策を実現してまいりました。

 今回は、昨年の衆院選の重点政策で、「こども家庭庁」の創設に加え、子どもの権利を保障する「子ども基本法」の制定、子どもの権利保護や政策について行政から独立した立場で調査・勧告する権限を持つ、いわゆる「子どもコミッショナー」の設置を訴えております。
 今後、公明党は、子育ての総合施策として『子育て応援トータルプラン』を策定して、妊娠・出産から幼児教育、高等教育までの支援の充実をはかり、誰もが安心して子どもを産み育てられる社会の構築に向けて、全力を挙げてまいります。

本庄市議選が、昨日、告示

2022-01-24 ブログ
3期目に挑戦、清水しずこ候補の応援に。
介護職の経験を生かした認知症施策に加え、地元での交通事故急増を防ぐため混雑に悩む国道17号のバイパスとしての本庄道路推進など、地域のために全力。
西田実仁参議員も応援に。
新人の、栗田ひろし候補とともに勝利を!お願い致します。
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