本年は、対面とオンラインを組み合わせ、ユーストークの内容を強化し、中間層への支援充実など青年政策をさらに深掘りします。また、公明党が取り組んできた携帯電話料金の引き下げを強力に進め、医療や介護、教育など生きていく上で不可欠な基本的サービスを無償化する「ベーシック・サービス」の議論を深めていきます。
政策実現過程の「見える化」へ、公明新聞電子版の「KomeSTA!」での情報発信にも力を入れます。「青年の訴えは、社会全体を変えていく大きな力を秘めている」との信念で、声をカタチにする政治に全力で取り組みます。
公明党の主な取り組み
「携帯電話といえば公明党」といわれるほど、20年以上前から携帯料金の引き下げなどを一貫して進めてきました。
2000年2月、携帯料金の引き下げを求め、全国から集めた1352万人の署名を政府に提出。こうした運動が後押しとなり、携帯各社で料金引き下げの流れが加速しました。03年には1012万人の署名を添え、電話番号をそのままで携帯会社を乗り換えられる「番号ポータビリティー制度」の導入を政府に要望。06年10月に実現しました。
15年は、普及が進んだスマートフォンの料金負担の軽減に向け、通信量に応じた多様な料金プランの設定などを大手携帯会社に促すよう政府に要請。その後、各社が低料金プランなどを導入しました。
19年には、電気通信事業法の改正で通信料金と端末代金の分離を義務付け、料金プランが比較しやすくなりました。これは、党青年委のボイス・アクションで寄せられた声を基に、政府に要望して実現したものです。
さらに、公明党は国民が納得できる携帯料金やサービスの実現へ、昨年10月、公正な競争を促す環境整備を求める緊急提言を政府に提出しました。昨年11月、国会での公明党の質疑に対し、菅首相は「私が気付くはるか以前から、公明党がそうした署名活動を行っていることに心から敬意を表したい」と述べました。
現在、携帯大手が低料金プランを発表するなどの動きが広がっています。
加藤官房長官(中央)に提言する矢倉委員長(左隣)と竹内政調会長(右から2人目)ら=25日 首相官邸
公明党の竹内譲政務調査会長と青年委員会の矢倉克夫委員長(参院議員)らは25日、首相官邸で加藤勝信官房長官と会い、新型コロナの感染拡大で厳しさを増している雇用環境の改善や、医療・介護従事者の心のケアなどを求める青年の声を紹介するとともに、青年政治意識調査に基づく政策提言を手渡した。三浦信祐青年局長、安江伸夫学生局長(いずれも参院議員)が同席した。
今回の提言は、党青年委が9月以降に若者から集めた声に基づくもの。
席上、三浦青年局長は、11月下旬から約2週間、医療や介護・福祉、保育、ITなどの仕事に携わる全国各地の若者計約130人と集中的に懇談した「業種別ユーストークミーティング」を報告。コロナ禍でも、医療など生活に欠かせない職業に従事する「エッセンシャルワーカー」の負担が増してマンパワーがギリギリだとの現場の声を伝え、当事者に寄り添った支援として「人手不足の解消や心のケアが必要だ」と訴えた。
加藤官房長官は「医療従事者の心のケアとともに、さまざまな分野に対するケア、相談体制の充実にしっかり取り組んでいく」と述べた。
また、失業・雇い止め、新卒採用見送りに見舞われた人や、雇用の先行きに不安を覚えている人が多いことから、「第二の就職氷河期」を生まないよう、雇用維持・就職支援を一刻も早く実行するよう求めた。
一方、矢倉委員長は、9月から10月にかけて約4000人の青年から回答を得た政治意識調査の結果を報告。特に“子育て支援制度があっても利用できない環境がある”との声が多いと指摘し、利用者目線に立ったきめ細かな対応が重要だと述べた。具体的には、育児休業を取得しやすい環境を整備するため、「男性の産休」の創設とともに、企業における時間単位の年次有給休暇制度の早期導入などを促すよう求めた。
また、意識調査結果から、中間所得層が負担に見合った行政支援を実感できずにいることが改めて浮き彫りになったと指摘。こうした結果を踏まえ、大学など高等教育無償化の拡充をはじめ、奨学金返還支援の充実や若者世代への家賃補助など、中間所得層の固定費削減に向けた取り組みを積極的に進めていくよう提案した。加藤官房長官は「非常に重要である。しっかりやっていきたい」と応じた。
安江学生局長は、若者の主体的な政治参加を推進するため主権者教育のさらなる充実などを訴えた。
提言ではこのほか、安全・安心な通信環境の整備促進や総合的なうつ対策の充実、自殺防止対策やSNS(会員制交流サイト)などインターネット上での誹謗中傷対策の強化などを求めている。
公明党の古屋範子女性委員長(副代表)と矢倉克夫青年委員長(参院議員)は3日、衆院第2議員会館で、ジェンダー(社会的性差)平等に向けた政策に関して国会議員と30歳未満の若者が意見交換するイベントに参加した。
古屋女性委員長は、公明党が選択的夫婦別姓を提言したことなどを力説。矢倉青年委員長は、若者の声を幅広く生かす重要性を訴えた。
同イベントは、国際協力に携わる公益財団法人ジョイセフなどが協力して開催された。
理美容業界で働く若者との懇談では、コロナ禍で今年上半期の売り上げが減る中、政府の支援策を活用したおかげで、経営の苦境を乗り越えたという声が相次いだ。一方、持続化給付金や雇用調整助成金などについて「手続きが煩雑だ」とし、申請のさらなる簡素化を求める声が寄せられた。
また、今年6月末に終了したキャッシュレス決済のポイント還元制度に関し「政府の手数料の一部補助がなくなり、キャッシュレス決済利用者が増えた分だけ事業者の負担が増えた」などの意見も出た。
経営者との懇談でも、政府のコロナ支援策について高く評価する一方、申請手続きの簡素化を求める声が。国の支援策とは別に、自治体独自で取り組んでいる地域もあるため「支援策が地域によって違いがあり、分かりづらい」として、利用者目線に立った支援策の周知も提起された。
昨日、武田総務大臣に対し、国民が納得する携帯電話料金・サービスを実現するため、競争環境の整備を促す緊急提言を提出しました。多くの若者の皆さんからも声をいただいており、青年委員長として党内の議論を進めてまいりました。携帯電話といえば公明党。引き続き、青年委員会がリードしてまいります。(提言全文はこちら)https://drive.google.com/…/1jY20mMiKS5BBLOmyZUl…/view…
「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」ユースチームの皆さんが国会に来られ(オンラインでの参加含む)、『紛争下の子どもと教育を守るために』とのテーマのもと、大学生の皆様と語り合う機会を得ました。学生の皆様のまっすぐな思いに、大きな力をいただきました。各自の活動の原点を伺いながら、一人が声をあげることが世界を変えることになる!と私なりに激励を。気づいたら、当初の予定を大幅に超えて、1時間半弱の対話に。テーマの一つである、学校を軍事利用しないよう規定する『学校保護宣言』は、5年前、私が初めて党内で取り上げ、政府へ訴えたものになります。引き続き、若者の声を力に変え、一つ一つ形にしてまいります。
本日の公明新聞で青年委員長に再任されての決意・抱負を掲載いただきました。是非、お読み下さい。過日の公明党全国大会でも、幹事長報告において「(政府に申入れした)『青年政策2020』の実現に取り組む」と言及されました。さらに提言の内容を深めながら、今後も声を聴き、青年と共に政策実現に全力を挙げます。
先日、党大会が開催され、山口代表のもと、新たに石井幹事長、竹内政調会長が任命され、新たなスタートを切りました。
私も引き続き、中央幹事、及び青年委員長の任をいただきました。全力で取り組んでまいります!
石井新幹事長の報告の中で、過日、安倍前総理に直接申入れした『青年政策2020』の実現に言及があり、その柱の一つである「中間層を含めた全ての人を受益者とする為の『ベーシック・サービス論』を本格的に検討する場を党内に設ける」とありました。
青年委員長として『青年政策2020』の実現に全力を尽くし、「明日はもっと良くなる」と実感できる社会を創ってまいります!
渡部本部長(右端)と懇談する(右から2人目から)矢倉、平木、里見の各氏=21日 東京・文京区
公明党の新産業委員会(委員長=矢倉克夫参院議員)は21日、東京大学の本郷キャンパス(東京都文京区)を訪れ、創業初期の企業の事業活動を後押しするための施設「アントレプレナーラボ」を視察した。矢倉委員長のほか、平木大作事務局長、里見隆治の両参院議員も参加した。
同ラボは、2018年10月から、東京大学での研究成果などの事業化をめざす“大学発”のベンチャー企業に対し、オフィスや実験スペースを提供。施設内にはオフィスとして使える個室が32室あり、うち22室はバイオ実験にも対応できる。
一行は、同大学の渡部俊也・産学協創推進本部長から、将来起業を志す学生が多いことや、起業家教育などの取り組みを活発化させている状況を聞いた後、施設内を見学した。
視察後、矢倉委員長は「起業の意欲ある若者を大学が全面的にサポートする体制が素晴らしい。大学の財政基盤の強化を含めて後押ししていきたい」と話した。
矢倉 党青年委は、全国の青年局長の皆さまと共に昨年末から対面やオンラインで1200人を超える若者とユーストークミーティング(ユーストーク)を実施しました。また、ご意見箱を設置するなどし、多くの若者の声を聴いてきました。提言はその声の結晶であり、政治家と若者が一体となって作り上げたものです。11日、安倍首相に直接届けました。
――若者からは、どんな声がありましたか。
矢倉 行政からの支援を受けられず、「政治から取り残されている」との不安を感じている若者が多くいることを実感しました。新型コロナウイルス感染症は「全ての生活者が被災者」である災害ともいうべきもので、その拡大がそれらの声を顕在化させたと言えます。提言では、そうした不安に対応するために二つの理念を強調しました。
――具体的には。
矢倉 一つは「公正公平で分断のない社会の実現」で、不安、不信による分断を回避し、支え合いによる連帯を生むことです。国民の不安や不公平感の放置は社会の分断を生み、“弱者たたき”にもつながる可能性があります。断じて回避しなければなりません。一律に10万円を給付する「特別定額給付金」を多くの方が支持してくださったのは、全ての人が受益者となる、分断を生まない政策だったからだと考えます。
もう一つの理念は「真に達成すべき国民の豊かさの追求」です。従来型の消費社会を前提とした、国内総生産(GDP)だけでは計れない豊かさは何か、政治はもっと向き合わなければいけません。生き方の多様性なども、この豊かさにつながると思います。
――どのような政策を重点的に進めるのでしょうか。
矢倉 まずは、不安を打破するための「中間所得層への力強い支援」です。低所得者への支援を維持、充実させた上で、支援を若い単身者を含めた中間層まで広げることが重要です。賃金上昇に取り組む企業への支援や奨学金返還支援の充実、民間賃貸住宅における家賃補助制度の創設などを掲げました。そして「社会生活の基礎を支える方々への強力な支援」を求めます。保育や医療、介護など、社会を支える労働を適切に評価し、賃金を上げる必要があります。
また、仕事と育児の両立のための「育休取得環境の整備」や、「テレワークを軸とした働き方の推進」により、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)や地方創生につなげるべきです。
さらに、「文化芸術・スポーツの力を生かす」ことは国民の豊かさの基盤となります。コロナ禍の困難に直面する方々を支援します。さらに、コロナをはじめとする危機を乗り越えるためには、「若手研究者への支援」も欠かせません。また、「全ての人がデジタル技術を活用できる社会」をめざし、行政のオンライン化を進めます。そして「感染症と自然災害の脅威から命を守る」ための対策がますます重要になっています。これらを重点政策として、強力に進めます。
――その他の課題は。
矢倉 子育て支援や教育、学生支援、ハラスメント対策などの職場環境の充実、ネット上の誹謗中傷対策なども盛り込んでいます。若者が行政に関わるために、政府や地方自治体の審議会に参加してもらうことや、若者政策担当大臣を設置することも訴えました。
――ユーストークでは、環境や平和に関心のある若者も多くいました。
矢倉 若い人が望む世界観は全ての人の幸せです。その言葉には全ての世代の課題を解決する力強さがあります。SDGs(持続可能な開発目標)の推進や気候変動対策なども提言しました。特に、安倍首相に強く届けたのは、「核兵器のない世界」を望む若者の声です。「真の橋渡し」として、核保有国を巻き込む覚悟とリーダーシップを発揮するように、首相に私からも強く訴えました。
コロナ禍の不安解消から長期的な展望まで、多岐にわたる提言となりました。提言は「出して終わり」ではありません。皆さまと共に、実現に向けて全力で取り組みます!
安倍首相(中央右)に「青年政策2020」を手渡す矢倉青年委員長(左隣)と斉藤幹事長(右端)ら=11日 首相官邸
公明党の斉藤鉄夫幹事長と青年委員会の矢倉克夫委員長(参院議員)らは11日、首相官邸で安倍晋三首相と会い、中間所得層への力強い支援や育休給付金の拡充などを盛り込んだ提言「青年政策2020」を手渡した。安倍首相は「幅広い分野で提言をまとめていただいた。しっかり受け止め、取り組みを進めていきたい」と応じた。党青年委の平木大作顧問(参院議員)、国重徹(衆院議員)、杉久武(参院議員)の両副委員長が同席した。
●民間賃貸住宅における家賃補助制度の創設
●保育士を含め社会生活を支える人の賃金上昇
●テレワークを軸とした多様な働き方の推進
●育休制度利用当初の1カ月間は給付率を賃金の100%に
●若手研究者への生活費支援や研究費の重点化
●行政手続きのオンライン化の早期実現
提言では、新型コロナウイルス感染症について「生活者の全てを被災者とする未曽有の危機」と指摘。行政の支援が行き渡らないことは、国民の間に不公平感を生み、社会を分断するとして「公正公平で分断のない社会の実現を政策の軸とすべき」と強調した。
特に、中間所得層が負担に見合った行政支援を実感できずにいると分析。所得の低い人への支援維持・充実に加え、中間所得層向けの対応強化策を求めた。具体的には、中間所得層の賃金増に取り組む企業に対する支援金・補助金の大幅拡充を要請。国と自治体が奨学金の返済を肩代わりする奨学金返還支援制度の対象拡大や、返済猶予・減額制度の周知徹底のほか、民間賃貸住宅における家賃補助制度の創設なども提案した。
ポストコロナ時代に向けた重点政策として、医療や介護、障がい福祉に加え保育なども含めた社会生活を支える人の賃金上昇を要望。育休制度利用の当初1カ月間の育休給付金について、賃金の67%となっている給付率を100%に引き上げる制度の導入を提唱した。また、コロナ禍を多様な働き方を推進する機会と捉え、テレワーク環境を整備することなどを盛り込んだ。
文化芸術、スポーツ分野や若手研究者への支援のほか、全国民が等しくデジタル技術を活用できる社会に向け、行政のオンライン化の早期実現などを求めた。
提言では、子育て支援などの対象外である単身世帯への対応強化を提案。若者が行政や政治に参加できる仕組みづくりや、核兵器のない世界に向けた取り組みの推進なども明記している。
国連の中満事務次長(右)と会談する山口代表=4日 参院議員会館
公明党の山口那津男代表は4日午後、参院議員会館で、国連の中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)と会談し、核軍縮に向けた対話の重要性が増していることを確認。山口代表は「コロナ禍を乗り越えていく中で、国際協調や国際連携が必要になる。その時こそ日本の出番だ」と述べ、中満事務次長は、橋渡し役としての日本の役割に期待を寄せた。
冒頭、中満事務次長は、グテレス国連事務総長からの山口代表への伝言とともに、事務総長が原爆投下から75年となる今年の広島訪問を強く希望していたことを伝えた。
新型コロナウイルスの影響で来年に延期された核拡散防止条約(NPT)再検討会議について、山口代表は「(会議の)意義が薄れることのないよう、多くの国・地域が参加する形で開催してもらいたい」と強調。日本政府として「賢人会議」を主催し、最終報告書がまとめられたことに触れ、「そうしたものが再検討会議の合意形成の過程に反映され、核保有国と非保有国の共通の基盤ができればと願っている」と述べた。
中満事務次長は「開催された時には、どうしても成功させねばならない」と語った。
核兵器のない世界に向けた取り組みでは、山口代表が、核保有国と非保有国の対話の“土俵”をつくる日本の役割を強調。中満事務次長は「日本は対話のドアを閉めてはならない。核廃絶という目的の根っこは共有しているというメッセージが、唯一の戦争被爆国である日本から出てくることが重要だ」と述べた。
両氏は、自律型致死兵器システム(LAWS)や、国連の持続可能な開発目標(SDGs)などを巡っても意見を交わした。
会談には、国連広報センターの根本かおる所長、公明党の斉藤鉄夫幹事長、浜田昌良、矢倉克夫、平木大作各参院議員が同席した。
野村総合研究所 上席研究員 森健 氏
野村総合研究所は3年に1度、「生活者1万人アンケート」を実施している。この調査で、自分の生活レベルを「上/中の上」や「中の中」と回答する人の割合が2009年ごろから増えている。国内総生産(GDP)の成長率や賃金は横ばいなので、それらに表れない意識の向上が見られている。この時期、日本で起きたこととしてスマートフォンの登場がある。スマートフォンは生活を劇的に変えた。デジタルの利活用が生活満足度を上げているのではないかと考えている。
商品やサービスの価格とは別に、消費者がここまで支払ってもよいと考える「支払い意思額」という概念がある。価格と支払い意思額の差が経済学でいう消費者余剰、つまり消費者が感じる「お得感」である。一方、商品やサービスの生産にかかったコストと価格の差は生産者余剰、すなわち企業の利潤となる。生産者余剰はGDPに計測されるが、消費者余剰は計測されない。GDPが伸びていないにもかかわらず生活満足度が上がっているのは、GDPに含まれない消費者余剰が拡大しているからではないかと見ている。
デジタル化は、価格やコストを押し下げる効果がある。最安値の店舗を簡単に見つけられる価格比較サイトや、複製コストがかからない音楽や映像などのデジタルコンテンツの普及がその例だ。これらも消費者余剰の拡大に寄与している。
また、無料のデジタルサービスも莫大な消費者余剰を生み出している。私たちはLINEなど無料のSNS(会員制交流サイト)について、「あなたは月いくらまでなら支払えるか」あるいは「あなたに月いくら払えば1カ月間利用をやめられるか」と尋ねた。二つの質問の回答の中間に正解があるのではないかと考えたためだ。
結果、LINEであれば1500円~2000円が支払い意思額だろうと見ている。こうした調査からLINE、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムの四つのSNSが年間20兆円の消費者余剰を生み出していると考えている。
世界各国のGDPと生活満足度との関連を見てみると、所得が低い国では所得が上がるほど生活満足度も上がる。しかし、1人当たりのGDPが2万ドル~3万ドルを超えてくると、生活満足度との関わりはなくなってくる。そこで私たちは、GDPに消費者余剰がもたらす精神的充足度を加えて評価する「GDP+i」という概念を提唱している。GDPを横軸、消費者余剰を縦軸で捉え、グラフで表示するものだ。
デジタル化は生活満足度を高める重要な役割を果たしている。私たちは社会のデジタル化を評価する指標として、デジタル・ケイパビリティ・インデックス(DCI)を考案している。
インターネットの利用頻度やブロードバンドの普及率、自治体の手続きがオンライン化されているか、高度なITスキルを保有する人材がどれぐらいいるかなどを基に評価する。このDCIを都道府県別に見ると、DCIが高いところほど生活満足度も高くなるという相関関係があった。DCIを高めることがGDP+iの横軸(GDP)と縦軸(生活満足度)の向上につながる。
市担当者は、同住宅と交流拠点が、移住者や交流人口の増加をめざす市のモデル事業の一環として整備され、地元の人に加え、豊島区など都内からの移住者も入居していることを説明し、「入居者と地域の人との交流の輪が広がるようにしている」と述べた。
矢倉氏らは、必要に応じて机やいすなどを並べて語り合えるようになっている交流拠点のオープンスペースなどを見た後、入居者と懇談。開設とほぼ同時に入居した女性(84)は「みんなに仲良くしてもらって安心だ」と話していた。
今回のコロナ禍で、IT(情報技術)など新たなテクノロジーの活用の遅れが明らかになっている。オンラインによる授業や診療などは、本当はもっと前から導入しておくべきだった。
今こそ、ITが人々の暮らしを良い方向に導く変革であるデジタルトランスフォーメーションを進める好機とするべきだ。
私はテレワークについて、従業員が働く場所を選べることにより、創造性や生産性を高める手段として位置付けるべきだと考えている。調査では、子育てや介護の負担軽減よりも生産性や効率性の向上を利点として挙げる人が多い。オフィスの外での仕事が多い営業などは、オフィスに戻るという部分をなくすことで業務の効率化や労働時間の短縮ができる。
テレワークはかつて、情報共有や上司による評価が難しいという見方があったが、オンライン会議システムなど、新たなテクノロジーがほぼ解決している。表情や雰囲気など、言語化できない情報はこれまで、対面でないと得られないとされてきた。しかし、最近は画質も良く、表情もよく分かる。情報の共有や伝達を人力で行う対面主義や、皆同じ場所で時間を共有し、共通の目標をめざす大部屋主義の利点が、これまであまりにも強調されすぎたのではないだろうか。
多様で柔軟な働き方をめざす働き方改革は、新たなテクノロジーの活用と同時に進めることが重要であり、テレワークはその「一丁目一番地」だ。先進的な取り組みをしている企業ほどテレワークに積極的で、全従業員が利用できるなど工夫している。企業の先進性はテレワークへの対応を見れば分かる。いわば「リトマス試験紙」だ。
テレワークにより、地方に移住しながら大都市圏の企業で働くことも可能だ。反対に、大都市圏の従業員が副業・兼業で地方の企業に勤めることもできる。地方創生につながるとともに、生活に対する価値観そのものを大きく変える可能性を持っている。
平成以降、共働き世帯が約6割増えた。しかし、勤労者世帯の収入はピークだった1997年の水準に届いていない。世帯収入300万円未満の世帯が全体の31%、400万円未満の世帯が全体の45%を占める。
年収が400万円であれば、手取り収入は340万円ぐらいだ。それで子どもを大学に行かせ、家を買い、老後は安心だとは、言えないだろう。ならば「暮らしはしんどい」と認めてもいいと思う。しかし現実には、内閣府の調査で自分の暮らしぶりが「下」だと答える人は4%しかおらず、93%は「中」と回答する。
結婚、子ども、持ち家を諦め、ようやく人並みの暮らしができ、「中流」にいると信じたい人たちが多くいる。そこで今、必要なのは「弱者の再定義」だ。もはや「弱者」は働けない人や一部の低所得層を指すのではない。中間層を含めた多くの人たちが困っているという前提に立つべきだ。
そこで提案しているのが、教育、医療、介護、障がい者福祉を全ての人に無償で提供するベーシック・サービスだ。消費税を6%引き上げれば、サービスの無償化が可能だ。「大増税だ」と言う人がいるかもしれないが、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均ぐらいにしかならない。
消費税の逆進性を指摘する声があるが、取ったお金をどう使うかを議論すべきだ。消費税は高所得者の方がたくさん払っている。このお金を等しくサービスで配れば、格差は必ず小さくなる。公明党は消費税率を引き上げるとともに、幼児教育・保育の無償化、大学授業料の負担軽減を実現させた。格差を縮小させるパッケージであり、見事だ。
一部の人だけを助ければ、みんなが幸せになる時代はもう終わった。公明党が提案した軽減税率や10万円一律給付を国民が支持したのは、中間層を含めたみんなが受益者になるからだ。今後は、この方向性をさらに進め、税の負担を皆で分かち合い、分け隔てなく「サービス」を提供することで、「弱者を救済する」社会から「弱者を生まない」社会に転換してほしい。
同社はコンクリート製造設備とともに、1日当たり最大600キログラム(約500人分)の使用済み紙おむつを破砕、乾燥、減菌し、ペレットと呼ばれる固形燃料に再資源化する装置を生産している。
山下社長は、製造課程で水を使用しないため排水がなく、「安全面に優れ、コストも下げられる」と特長を説明した。
装置を視察した矢倉氏は、使用済み紙おむつの排出量が将来的に増えることが見込まれるため、再資源化の重要性を強調し、「循環型社会の形成に取り組む」と述べた。
ビデオ通話で鶴教授の講演を聞く党合同会議=25日 参院議員会館
公明党の青年委員会(委員長=矢倉克夫参院議員)と新産業委員会(委員長=同)は25日、参院議員会館で合同会議を開き、ビデオ通話を使って慶応義塾大学大学院商学研究科の鶴光太郎教授から「ウィズコロナ時代における働き方」をテーマに講演を聞いた。
鶴氏は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、多様で柔軟な働き方に向けた各企業での改革が重要になると強調。従業員が自由に働く場所を選べるテレワークは「企業が先進的な取り組みを行っているかが分かる“リトマス試験紙”だ」と主張した。
日本の雇用システムでは「同じ場所で時間を共有する対面主義の利点が強調され過ぎたのではないか」と指摘。コロナ禍で浸透したテレワークが、東京一極集中の是正や地方創生につながる可能性に言及し、「生活様式だけでなく、生活に対する価値観が大きく変わってくる」と述べた。
今後、消費構造が大きく変化する。飲食は都市部から地元へ、観光も遠くから近県へと、移動距離が短くなるだろう。海外旅行は当分の間、難しいので、近距離の国内旅行を意識した振興策が求められる。また、インバウンドの減少で、外需は落ち込む。しかし、それを過大評価してもいけない。外国人観光客は年間約5兆円を日本で消費するが、日本人は国内の旅行で約22兆円消費している。簡単ではないが、日本人の国内旅行で2割消費が増えれば、インバウンドの減少分はカバーできることになる。
需要不足を補うため、財政出動の拡大が必要になる。そのための公共事業については、短期的な拡大ではなく、老朽化したインフラの整備について長期計画を策定する必要がある。一方、家計に対しては、必要に応じた追加の給付や、社会保険料の免除が効果的だと考えている。
日本はこれまでも、さまざまな国難から復活を遂げてきた。企業が持つ目に見えない財産を守り、十分な景気対策を行うことにより、日本経済のV字回復は不可能ではない。
また、学校や家庭以外で子ども・若者の空間となる、第3の領域が日本は弱い。塾や部活で忙しく、余暇の時間がないために、自分が主体的になれる活動がない。そうした活動への助成金も少ないという課題がある。
ある調査によれば、日本の若者は「政治に参加すればより良くできる」という政治的有効性感覚が少ないと言われている。若者の投票率が高いスウェーデンでは、法律をつくる際に専門家や市民団体が関わる仕組みがある。一方、日本では政策形成過程への若者の関わりが薄い。
しっかりとした若者政策をつくるためには、政策を決める行政や政治家、若者支援の伴走者、若者の研究者、若者団体および若者個人の四つをつなぐ必要がある。そして、若者政策の基準をつくることが重要だ。欧州若者フォーラムは、政策が権利やエビデンスに基づいている、参加型であるなど八つの基準を設けている。
スウェーデンでは、政党青年部の活動が盛んだ。青年部が党本部の単なる下部組織となっておらず、党本部と活発に議論している。政党青年部や若者団体が活性化し、声が届く仕組みが確立されれば、若者の政治参画はより進むだろう。そのために、若者がさまざまな活動に参加するための余暇の時間をつくることも重要だ。
両角氏は、若者の投票率が8割に上るスウェーデンの取り組みを紹介しながら、日本において政治参画を促すためには「若者が社会のさまざまな分野で主体的に参画できる活動の場が必要だ」と強調。こうした活動に若者が取り組めるよう、個人の余暇を増やす重要性も主張した。