教育委員会の活性化に向けて

2014-06-05 メルマガ

矢倉かつおです。

猛暑のあとの雨模様、いよいよ関東も梅雨入りでしょうか。

通常国会は終盤を迎えております。慌ただしい日々ですが、非常に充実しています。

5月27日の参議院文教科学委員会にて、「地方教育行政法」の改正案について審議が行われました。この「地方教育行政法」は教育委員会の権限などを定める法律です。私が質疑で取り上げた議題は「教育委員会の活性化」でした。

福岡県に春日市という人口11万人弱の都市があります。この春日市の教育委員は、夏休み期間中などを利用し市内の全小中学校をまわって全教職員と意見交換するなど、「現場に入る」姿勢が有名です。これは「出張トーク」などといわれ、新聞報道でも幾度か取り上げられました。

私のほうからは、この春日市や、東京の立川市、また教育委員を公募する大阪の箕生市(教育委員6名のうち4名が、経験豊富な30代から40代の女性です)などの実例を示しながら、教育委員会が「地域の幅広い民意を吸い上げる」という本来の役割を果たすために必要な提案を、いくつか具体的にいたしました。西川文部科学副大臣からは「教育委員が自ら現場に出向いて地域住民と意見交換を行う、あるいは地域住民の意見を聞く機会を設ける。大変重要なことだと考えております。」との積極的な答弁を引き出しました。

http://youtu.be/orZQmWEsJfU
※    質疑の動画となります。「教育委員会活性化」について詳細は、動画の17分あたりからです(動画視聴には別途料金がかかることもあります。ご注意ください)

実は、この「地方教育行政法」の改正をめぐっては、当初、「教育委員会を廃止するべきだ」との議論が与党内でも優勢でした。理由は、大津市でのいじめ事件における教育委員会の対応の悪さでした。「大事なときに、教育委員会は動かないじゃないか、むしろ問題を隠している。」こういった批判の声が廃止論に行き着いたのです。

しかし、教育委員会を廃止することは、首長の教育に対する関与を強めることを意味します。特に幼少期にどのような教育を受けたかは、子どもの思想や人格に影響します。仮に教育が選挙結果により短期的に左右されるようなことが起きたとき、子どもの将来に誰も責任が持てません。「教育は子どもの幸福のため」この観点から公明党は拙速な教育委員会廃止論をおさえました。ここにも激しい与党内調整がありました。

今回の改正案は、教育委員会を執行機関として残したうえで、教育予算を預かる首長と、教育委員会の連携を蜜にするための新たな制度を導入しました。「多数決という民意」を体現する首長と、「多様な民意、地域の声を吸い上げる」教育委員会が良い意味で緊張関係を保つことは大事です。その理想通りに制度が動くために必要なこと、それが、形骸化の叫ばれている「教育委員会を活性化」させることです。

全国には、良い取組みをしている教育委員会も多く存在します。今回は取り上げませんでしたが、たとえば、埼玉県の鶴ヶ島市なども、その一例です。各地の先進的な取組みをいかに全国展開するか。この点も引き続き、議論して参ります。

186回_文教科学委員会(地方教育行政法案 参考人質疑)

2014-05-29 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫でございます。
四人の参考人の先生方、お忙しいところ、大変にありがとうございます。それぞれの御経験と御識見に基づく非常に貴重な御意見、大変参考になりました。
時間もありますので早速お伺いさせていただきたいんですが、今回の改正案の一つのポイントは、教育長と教育委員長を一体化するという点があると思います。責任の明確化や、また判断の迅速化等が趣旨であると思うんですが、まず、今田参考人、加治佐参考人、そして三上参考人にお伺いをしたいのですが、この教育長と教育委員長を一体化させたことに対する評価、御意見をいただければと思います。

○参考人(今田忠彦君)
私、自分の陳述の中でも申し上げましたが、一つは、組織のありようとして、責任のありようみたいなことでどこか一つになるというような意味での分かりやすさというものがあるというふうに思います。
しかし一方で、私の横浜の経験でいきますと、これだけ大きな現場があり、そして教育という非常に大きな世界、奥深い世界、それの責任が何か一方に偏っちゃうというか一人だけになっちゃう。今までは、行政の部分は教育長、あるいは教育の少し大きな部分というのは委員長がフォローするというふうな格好で、大きな組織ですからそういう両方の協力でなっていたものが、一人教育長という格好になるということは、なかなか教育長になる人は力量がかなりないといけない。
そういう意味でその育成の大事さということを申し上げたんですけど、私は、この辺は本当は、都市の自主性、規模とか成熟度によって両方設けるというのも一つあるのではないかなというふうに個人的には思っておりまして、中教審の臨時部会でもそういう発言をさせていただいたことがございます。

○参考人(加治佐哲也君)
教育委員会制度というのは、元々いわゆるレーマンとプロフェッショナルの調和といいますか、そういうもので成り立っているわけですね。ですから、原則論からいうと、専門家が教育委員、つまり素人、レーマンを兼ねるということはあり得ないわけですね。アメリカの制度はそうなっているわけです。それが戦後日本に移入されて、当初はそうだったわけです。つまり、都道府県も市町村も教育委員と教育長は別です。教育委員長を兼ねるなんていうのはとんでもない、その当時は、ことであって、それが地教行法改正によって市町村は教育委員であって教育長になるようになったと。さらに、その後、都道府県についても、教育委員として特別職になって教育長を担当すると、こういうことになったわけですね。私は、制度理念からいうと全く矛盾していると思います。そのことは文科省もこれまで指摘してきたと思います。
ただ、最初に申し上げましたように、しかしながら、合議制教育委員会というのはもうどう考えても、私申し上げました、機能しません。実態としては、やはり教育委員でもある教育長が事実上地域の教育行政を取り仕切っていると、こういう現実があるわけですね。これは、理念からは反するかもしれないけど、日本的実態からいうと、もうこれ、致し方がないことなのだろうなというふうに判断せざるを得ません。
そこで、合議制の下では責任の所在がはっきりしないということですから、実質的にもう担当している教育長にそういう教育委員会の、教育委員長というよりも教育委員会を総理するということですよね。だから、そういう役割を与えたこと自体は決してもう間違っていないというか、ある意味仕方がないなというふうな思いをしております。
それによって、住民、民意を反映する教育委員と専門職である教育長という矛盾が解消されて、教育長が純然たる専門職だということになるということだということなんで、まあそれはそれでそういう面では前進かなという評価はしております。

○参考人(三上昭彦君)
私は加治佐さんとは全く違う評価ですね。反対でございます。
日本の教育委員会制度は、先ほど私の最初のあれでも言いましたけれども、一九五六年の地方教育行政法によって本当に理念もぐちゃぐちゃにされたというのが私のあれですよね。なぜかといったら、先ほど加治佐さんもおっしゃられていましたけれども、確かに教育委員会制度はアメリカで発達して日本に紹介されて、この行政委員会制度というのは確かに国際的に見てもそんなに数があるわけではない、やっぱりユニークな制度ではあると思います。その一つの理念がレーマンコントロールとプロフェッショナルリーダーシップと言われていますけれども、しかし、もしそれでいくならば、一九五六年の地方教育行政法は教育長は教育委員の中から、一般の市町村についてはですね、都道府県と政令指定都市は違いましたけれども、あの法律によって教育長は教育委員の中から選ぶという、つまり教育長は教育委員を兼ねるという制度を導入して、非常に理念的に訳が分からなくなってきたわけですね。
その流れでいいますと、しかも地教行法は、現行法がそうですけれども、教育長は教育委員長を兼ねられないというのを明記していますよね、現地教行法は。それを今我々のテーマにしているといいますか審議している一部改正法案は、教育長は事実上教育委員長と一本化するわけですから、兼ねるわけですよね。確かに、教育長は教育委員ではなくなるわけですけど、それは一本化という意味がどうも私もはっきりしないんですが、教育委員長というのはいなくなるわけでしょう、いわゆる。教育長が教育委員会を代表してその責任を持つわけですから、これは明らかに、教育委員会を開いて広く議論をしていくと、四人ですか、通常で四人の教育委員会は、教育長に対してはもう今まで以上に本当に影が薄くなると思いますよ。
もし影を薄くしないための唯一の方法があるならば、この教育委員に住民代表制を与えるということですよ。もしそうであるならば、しかもその教育委員が、やはりある一定の識見を持って、それから地域の教育問題についてもきちっとした現状分析と、それに対するやっぱり積極的なあれを持てるというふうな、これを教育委員も持つならば、これは教育長と大いに議論ができるでしょうけれども、今のまま、現在の今回の法案ではとてもそれは駄目です。マイナスの方向に行くだろうと。
つまり、教育委員会は、首長プラス教育長なんですね。独裁とまではいかないにしても、それが完全に主導する教育委員会になると、これは本来の制度から明らかに更に後退していくと、そういうふうなのが私の意見でございます。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。大変参考になりました。
私個人的には、これまで教育委員会の形骸化と言われているのは、教育長の下に事務局があって、そのラインとは別のところに教育委員会があったことで情報の伝達等もなかったという部分も仮にあったとしたら、今回の一体化はそれを解決に資するものではないかとも思ってはおります。
ただ、今御指摘いただいたとおり、そもそも兼用することで、やはり一人きりになるということで濫用というおそれも出てくる可能性もひょっとしたらあるし、専門家がレーマンを兼ねるということがそもそもできるのかという部分もあり、結局は教育長がどのような方が養成されていくのかというところ、そこがやはり非常に大事になってくるなというのを今改めてお伺いしました。ちょっとそこを具体的に更にお伺いしたかったんですが、ちょっと時間がありませんので。
次、岸参考人にお伺いをしたいんですが、コミュニティ・スクール、ツールにしてスクール・コミュニティ、この方向性、本当に非常に大事であるし、お取組の一つ一つ、本当にすばらしいなと思いました。
ただ、現状、いろんな自治体がこのコミュニティ・スクールを何とか促進させようとしてもなかなかそれに幅が広がらないというところがあるかとは思っています。例えば、空き教室を使うとかという話、今の学童保育の問題とかでも出てきたりしているんですけど、何が問題かといえば、現場の教育委員会がなかなかそれに応じなかったりとか、あと、何といっても保護者との協力関係とかそういう部分での連携というのが大事であるなと思う。
その点では、教育現場とも保護者とも非常に連携が取れた形をされているんじゃないかというふうにお話をお伺いして改めて思ったんですが、このような教育委員会、若しくはまた更に保護者との連携の辺りで、ここは大事だと思うようなところがありましたらアドバイスをいただければと思います。

○参考人(岸裕司君)
僕がPTAの役員になったときに一番おかしいなと思ったのは、保護者が文句ばっかり言っているんですね、PTA。で、役員になりたがらない。つまり、僕は民間人ですから、PTAという団体は任意加入の社会教育団体なんですね、しかも大人の保護者と教職員が入る。嫌だったらやめればいいのにって。やめる勇気もなくて文句ばっかり言っている、こんな主体性のない親じゃ駄目じゃないかっていうのが第一点だったんです。だけれども、マーケティングしないと、ただ怒っただけになっちゃう。そこで、学校をいろいろ調べるわけですよ。
そうすると、例えば登下校、登下校というのはお城さんですよね、いまだに登下校って言うんですから。登下校時に子供が事故に遭ったときに責任誰にあるかって、学校にあるんですね。だから、寄り道するなと言うのが先生の仕事になっちゃうんですよ。で、さっき言ったように、百七十人が寄ってたかって一人の先生に文句言うよりも、その中の一〇%、例えば十七人でも登下校時に立とうよと言えば、ああ、そうか、先生大変なんだねって、じゃ、立とうねってなるわけですよ。
つまり、ウイン・アンド・ウインという考え方、学校だけがメリットを求めちゃ駄目なんです。関わる保護者、地域住民も一緒にメリットを求めていく。その中で主体的に動こうとする人が自分を鍛えて、そういう住民に秋津の人たちはどんどんなっていったと思うんですね。

○矢倉克夫君
岸参考人、あと、教育委員会とかそういうところとの連携についても、もし御意見があればいただければと思います。

○参考人(岸裕司君)
実は、年間一万三千人使っているコミュニティルームの教育委員会支出は年間三万円なんです。あと、水道光熱費は全て学校メーターですから我々の税金であると。
なぜ三万円で済むかというと、全て、四十ぐらいあるサークルは自己完結型で運営しているんですね。生涯学習というのは自分にメリットあることですから、例えば陶芸で粘土を使うとなれば自分で粘土買って当たり前ですよね。そういうふうなやり方をしながら、だから教育委員会にもメリットがあるから教育委員会も積極的に施策を進めてくれるわけです。
逆に言うと、三万円だったら要らないと言ったことがあるんですが、行政施策なので受け取ってくださいと言われたんです。だったら受け取りましょうということで、来年で二十年になりますが、開放して、もうずっと三万円です。行政にもメリットないと、新しい仕事はやりません。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
教育委員の人選の在り方にしても地域とのつながりにしても、やはり今後運用をどうしていくのかというのはまた非常に大きな視点であるなということを改めて教えていただきました。大変にありがとうございました。
以上で終わります。

かつおニュース VOL3

2014-05-29 かつおニュース

【矢倉かつお】文教科学委員会質問_20140527

2014-05-27 矢倉かつおチャンネル

186回 文教科学委員会(地方教育行政法案 教育委員会への期待)

2014-05-27 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
今回の改正に至る経緯には、教育委員会への不信と期待の交錯があったと思っております。大津の事件などを契機に、教育委員会というのはそもそもその求められる役目、責任を果たしていなかったんじゃないかと、特に危機管理対応を非常勤、合議体の教育委員会に任せるのはどうかという議論が巻き起こりまして、不信が極限まで達し、ならば廃止してしまえと、首長に任せればいいじゃないかということになったと思います。
ただ、特に教育の分野に関しては首長が体現している民意だけで判断してしまって本当にいいのか、教育介入への不信、不安と言ってもいいと思います。そこから政治的中立性を考える契機となりまして、結果、これまで何度も確認してまいりましたが、首長と教育委員会の権限配分は一切変えず、円滑な意思疎通を図る趣旨で総合教育会議というのを今回の改正案で設置をいたしております。この方向性、私は正しいと思っております。この前提で、まず大臣より、これまでの教育委員会に対する評価、これをいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)
現在の教育委員会制度は、これまで約六十年にわたって教育の政治的中立性、継続性、安定性の確保を制度的に担保しつつ、地域の多様な立場の人たちの視点を反映する観点から重要な役割を果たしてまいりました。
一方、現行制度については、教育委員長と教育長のどちらが責任者か分かりにくい、また、いじめ等の問題に対して必ずしも迅速に対応できていない、あるいは、地域の民意が十分に反映されていない、さらに、地方教育行政に問題がある場合に国が最終的に責任を果たせるようにする必要があると、そのような課題も指摘されているということから、今般これらについての見直しを行うための抜本的な改革を行うものであります。

○矢倉克夫君
地域の声を反映する、他方でやはり形骸化があったという大臣の評価であったかと思います。
教育委員会に期待される役割を担う理念としてレーマンコントロールという言葉がございます。今回の改正、改めてこの意義を考える契機だと思います。なかなか分かるようで分かりにくい概念ではあるんですが、改めて御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(前川喜平君)
レーマンコントロールとは、専門家の判断のみによらず、広く地域住民の意向を反映した教育行政を実現するため、基本的に教育の専門家や行政官ではない住民が専門的な行政官で構成される事務局を指揮監督するという仕組みでございます。
今回の改正案におきましては、教育行政の責任者としての教育長のリーダーシップが高まるわけでございますけれども、教育委員の職業等に偏りがないよう配慮するとの現行法の規定も維持しておりまして、教育の専門家ではない一般の住民の意向を教育行政に反映していく必要があることから、いわゆるレーマンコントロールの考え方を基本的に引き続き維持しているものでございます。

○矢倉克夫君
専門家の判断のみによらず、広く意見を受けるという点であると思います。
教育政策が、レーマン、この定義がなかなか様々あるようで、そこが問題でもあると思うんですが、このレーマンに求めるものは何か。今参考人の方からも御説明ありましたが、言い換えれば、教育政策が専門家の意見だけに偏ってしまってはいけないという趣旨、この点を特にまた改めて御説明をいただければと思います。

○政府参考人(前川喜平君)
教育はそもそも住民の日常生活に関係の深い地域的活動であり、地域住民の教育に対する期待も極めて大きいものがございます。このため、専門家の判断のみに任せるのではなく、幅広い地域住民の意向を十分に反映できる仕組みとする必要があるわけでございます。また、教育委員には、大局的立場に立って教育行政の方針を決定し得る識見と能力を有することも求められるところでございます。
こうしたことから、教育委員につきましては、教育の専門的知識や経験を有する者のみにより構成されることがないよう、委員の任命に当たっては、委員の職業等に著しい偏りが生じないように配慮する旨の規定が設けられているところでございます。

○矢倉克夫君
私も弁護士という立場で世間的には専門家と言われている職種だったわけですが、その経験からいえば、やはり当然いろんな分野で専門的知識、経験等は非常に重要なんですが、専門家というのは非常に勉強した方がやはり多くて、物事を考えるとき、自らが勉強した論理、逆に言えば、ある意味Aの場合はBだというような公式、定理と言ってもいいと思うんですが、そういうものを過信してしまう場合がやはりあるんじゃないかなと個人的には思っています。場合によっては人にそれを押し付けてしまう、そういうような傾向もあるんじゃないかと、これが正しいんだということで。ただ、事教育に関しては、私の感覚ではあるんですが、そういうような専門家の弊害が仮に起きた場合の悪影響が余りに多いんじゃないかと。
我々公明党、常に訴えているところは、教育の本質とは子供の幸福のためにある。これをもう少し別の言葉でいえば、個々人が持てる力を最大に発揮をして、あるいは潜在的に有している、何というか、本質みたいなものをちゃんと現実に現すことを助けるものがこれが教育であると、私はそのように思っております。これは相当大変な作業でありますし、そうであれば、究極を言えば、その人ごとに教育の在り方というのはあるんじゃないかなと思っております。そういう観点から考えると、むしろ、余り自らの論理だけにこだわらずに、相手が何を求めているのか、真剣に聞く姿勢や、それを反映していこうという謙虚さ、これが専門家だけではなし得ない民意の反映でもあるかと思っております。
ここに、私の考えでは、教育委員会の権威の根拠というのもある。レーマンコントロールというのも、文部科学省がホームページでレーマンとは何かと書かれておりましたが、素人という意味合いがこれまで強かった意味ではあるが、むしろ予断や偏見を排して事柄に臨む人たちであると。あらゆる意見をしっかりと多様に吸い上げるレーマン、ここから反映される民意というのを教育に反映させていこうというのがレーマンコントロールの意味でもあり、教育委員会に求められる役割ではないかと、私はこのように思っております。
では次に、対首長という関係から考えたいと思うんですが、やはり教育委員会によるレーマンコントロールというのを考えたいと思います。
まず、あらかじめ申し上げますと、これまで議論で、首長を教育から遠ざければ遠ざけるほど政治的中立性というのが保たれるんじゃないかというような風潮も一部にはあったのかもしれないんですが、私自身はそうは思っておりません。午前の石井委員の質問にもあったんですが、秋田の事例も、私も秋田に行きまして、やはり大事なのは連携であるというふうに非常に思っております、首長も民意を体現した方でもあるわけですし。ただ、他方で、私は、首長の体現する民意と教育の在り方というものは、ある種良い意味で緊張感というものが当然なければいけないと思っております。
今回の改正は、少なくとも教育に関しては、経緯から考えますと、選挙による民意を反映した首長の意思だけが絶対であるという考えは採用しないということがより明らかになったかと思っております。
改めて、教育が首長による民意だけで判断されるべきではない、この理由についてどのようにお考えか、御意見をいただければと思います。

○政府参考人(前川喜平君)
教育行政に多様な民意を反映するということは非常に大事だと考えております。今回の改正によりまして、民意を代表する立場の首長の意向の反映がより図られるものになるということは事実でございます。
しかしながら、教育行政には政治的中立性、継続性、安定性を確保することが求められるわけでございまして、より一層多様な民意を反映し、地域の状況に応じた教育行政の展開を図るという観点からは、合議制の教育委員会が教育行政の管理、執行に当たるということが適切であるという考え方でございます。

○矢倉克夫君
様々理由はあると思います。私の意見としては、まず首長が反映している民意というのは、究極、五一%の可能性もある。これは京都の門川市長もおっしゃっていることではあるんですが、五一%だけで決めてしまった場合は学校教育への信頼感というものもやはりなくなってしまう可能性がある。また、やはり選挙の過程で教育だけを政策として訴えるわけではありませんので、パッケージとして訴えますから、そこで得られた民意というのが全て教育に全部当てはまるというようなことも、ひょっとしたらもう一考慮があるんじゃないかというのはやはり考えなければいけないと思います。
さらに、もっと言えば、政治はどうしても短期の結果を求めたがってしまう、次の選挙もあるということもあり。やはり、教育は子供の人格の形成に関わるものでもありますし、短期的視点だけから判断するのは危険だと、こういうような部分から、政治的中立性というのは様々やはり求められるところではないかというふうに、このように思っております。
以上を前提にして、今回も教育委員会廃止論などというものもありましたが、最終的に首長と教育委員会の権限配分は変更しないということを明確にいたしました。改めて、その趣旨、理由についてお願いをいたします。

○政府参考人(前川喜平君)
学校教育につきましては、多数の者に対して強い影響力を持ち得ることから、一党一派に偏した政治的主義主張が持ち込まれないよう政治的中立性を確保する必要がございます。
今回の改革案は、地方教育行政における責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長との連携の強化を図るものでございますが、教育の政治的中立性、継続性、安定性の確保の重要性に鑑みまして、教育委員会を執行機関として残し、現行の教育委員会の職務権限を変更しないとしたところでございます。

○矢倉克夫君
まず前提を確認させていただいたんですが、ちょっと大臣から、ここまでについて御意見がございましたら是非お願いいただきたいことと、あと、何度も確認していることではあるんですが、地方教育行政について最終的な責任を負うのは合議体の教育委員会であるということを再度御確認をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)
今回の改正におきましては、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保する観点から、引き続き教育委員会を合議制の執行機関として残すとともに、教育委員会の職務権限は変更しないこととしたわけであります。したがって、今回の改正後も、地教行法第二十一条に規定する教育に関する事務の管理、執行については教育委員会が最終責任者であるわけであります。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
以上、前提を確認させていただきましたので、次の問題意識に移りたいと思います。
レーマンコントロールという理念は分かりますが、結局やはりそれに沿うことができなかった教育委員会が多かったのではないかというような現実も今まであって、それが今回の改正の議論に係っている部分であるかと思います。
そこで、やはりこちらも大臣にお願いしたいんですが、教育委員会がレーマンコントロールというものに沿った組織として機能するには何が必要か、御意見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)
教育、学術及び文化に関して識見を有するものとの教育委員会の資格要件はもとより、教育委員の職業等に偏りが生じないよう配慮するとともに、保護者を含まなければならないとの現行法の規定は変更しないこととしておりまして、教育行政の責任者としての教育長のリーダーシップは高まりますが、一般の住民の意向を教育行政に反映するのと、レーマンコントロールの趣旨は引き続き維持していくということが必要であるというふうに考えます。
こうした観点から、教育委員会において地域の多様な民意が反映されるよう、例えばコミュニティ・スクールや学校支援地域本部の代表を教育委員に選任するなど、地域の幅広い関係者から教育委員を人選する工夫を一層進めることが有効であると考えます。また、教育委員会会議は原則公開とすることと法定されており、改正後もこの取扱いに変更はなく、引き続き公開されることとなります。さらに、改正案においては、より一層の教育委員会会議の透明性の向上を図り、住民によるチェック機能を強化する観点から、教育委員会会議の議事録の作成及び公表を努力義務としているところであります。

○矢倉克夫君
今大臣おっしゃったように、教育委員会が求められている役割、原点に立ち返りますと、民意をいかに吸い上げていくか、吸い上げるような仕組みをつくっていくことがやはり大事。そして、情報公開、公開制ということをおっしゃっていましたが、この公開を通じて住民を巻き込んでいくこと、これがやはり大事であると思っております。
その地域の声を集約する、そのための手足として動いていくべきが、先ほど石橋委員から話もありましたが、教育委員会の事務局がこの役割を担うべきではないかと私は思っております。この点、大臣より御意見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)
現在、教育委員会が自らに期待されている機能を十分に果たしていくということのためには、教育委員会を支える事務局職員の資質、能力を更に御指摘のように向上させていく必要があると考えております。
各教育委員会においては、幅広い地域住民の意向を反映するため、教育職、行政職、いずれの職員についても、一層の行政能力の向上の観点から、教育内容等専門的な内容と管理的業務の双方についてバランス良く職務を経験させるなど、計画的な人事異動を行うとともに、職員に対する研修の充実に努めていくことが必要であると考えます。
また、教育行政に高い専門性を有する職員を確保するため、教育委員会プロパーとして地域の実情に詳しい職員を育成することも一つの方法でありまして、教育委員会事務局と首長部局が連携して人材育成の方針を検討することが重要であると考えます。国としては、現在、様々な研修を実施しているところでありますが、今後、各都道府県教育委員会等とも連携して更にその充実方策について検討してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
専門性を持つ専門家や、また多数決の意思という民意を持っている首長と教育委員会がより良い緊張感を保っていかなければいけない。協議、調整を通じてより良い教育をつくっていくというためには、やはり教育委員会にもいい意味で対抗できる武器となるようなものが必要であると思っております。これがない限り、幾ら責任がどこにあるか、権限はどうかなどと抽象的なことを言っても余り意味はないのではないかなと。
私も、その武器と言っていいのがやはり地域や父兄、教員などとのつながりですね、教育委員会にとっては。あと、それから集約された現場の声、これがやはり大事であって、そのための手足となるのが事務局、その活性化であると思います。大臣から今、その事務局の活性化、人材育成、様々な点がございました。この事務局をどうやって活性化させていくのか、これが非常に大きな問題になると思います。
今回いろいろと制度改正をしたわけですが、同時並行でこの事務局の在り方そのものをやはり考えていかないと魂がやはり入らないものになる可能性もある、そこはしっかり考えなければいけない。様々いろんな事例を私、参考になるものを見てきたんですけど、その中で面白いなと思ったのが福岡県の春日市の実例でございます。
今、私の手元には毎日新聞の記事があります。この記事の中で、事務局活性化に向けてどういうのが必要かいろいろ考えた中で、一つヒントがあったので紹介させていただきたいんですけど、まず読んで驚いたのが、この事務局改革、教育委員会改革の起点というのが、忙し過ぎる事務局、これを楽にさせてあげるというところから入っていたというところであります。
私も知らなかったんですが、教育委員会の事務局というのは非常にやはり多忙みたいでして、例えば学校予算も処理しなければいけない、また文部科学省や県の教育委員会から調査依頼の文書が山のように降ってくる、そういうようなことが毎日毎日のルーチンで行われているということ。特に、予算に関しては、あるAという学校がホッチキスを買いたいとか、やはりそういう部分を含めて予算の使い方ということで、学校から依頼が来てそれを処理するであったりとか、そういうような書類の処理で一日忙殺されてしまうというようなことがありました。
福岡の春日市、これがまず何を始めたか。この予算について、教育委員会が担っている部分の権限というのをどんどん現場に下ろしていったというようなことが紹介をされております。まず、予算執行権を学校に委譲して、ある金額以下は校長が決裁できるように改めたと。その執行権の委譲というところから更に進みまして、最終的には教育委員会が決めるのは総額だけで、そして内訳は学校の裁量に任せたと、このようなことが言われております。学校予算総枠配当方式と言われているようですが、これによって教育委員会の事務局の負担は更に軽減をされたと。
これが実際どういう副次的効果といいますか、これを生じさせたかというと、記事等によれば、この負担の軽減は教育委員会事務局の職員の意識を変えることになったと。それまでは、自分たちは事務屋であると、文部科学省や県の教育委員会の下請だというような、そういう感覚があったわけですが、事務がなくなって負担が軽くなったことでより良く頭を働かす方向になり、諸問題を学校とともに改善していこうという積極的姿勢が高まったと言われております。特に学校に頻繁に足を運ぶような事務局の姿勢になっていった。
先ほど来から話にもあるコミュニティ・スクール、春日市は全小学校、中学校がコミュニティ・スクールになっているという、そこもいろんな経緯があったようですが、現状そのようになっているんですが、このコミュニティ・スクールの一員としてもこういう教育委員会の事務局が入っていっている。もうまさに地域でしっかりいろんな方が集まっているところに事務局が入っていって、そこで意見を交換して集約をしていく、まさに地域の声を集約する手足として事務局が働いているという部分があります。この起爆剤が、先ほどから冒頭申し上げた、まず事務局の負担を軽減していくというような部分があったというところは非常に示唆に富むところであるかなと思っております。
こういう点では、もう一方は、ちょっと長くなって恐縮なんですけど、このような春日市の教育委員会の主導をしたのが工藤さんという方なんですが、私の手元にもう一個この方の手記があるんですが、タイトルはずばり、「教育委員会事務局の改革が地域の活性化につながる」、この事務局を改革することがコミュニティ・スクール等を通じた、更に地域との連携、教育を一体化していこうというような動きにしっかりつながっていったというようなことがはっきり表れているタイトルでございました。
そこで、文部科学省にお伺いしたいんですが、春日市のように事務局定型業務をスリム化して事務局の政策形成機能を育てる、こういう方向性とともに、学校の自立化を目指し権限を委譲していく、このような委譲によって、先ほど御紹介もした部分の中に一部書いてあったのは、これまで上と下の関係であった教育委員会と学校というのが、むしろ支持し合える、お互いが話し合えるような横の関係になったというのも一つの効果として挙げられています。
こういうような効果が上げられる一つの取組というのは、特殊な事例ではなく、全国的にも広がり得る普遍性のあるものでもあるかと思っております。国としても各自治体に、同様の施策を行っていくように、権限委譲等も含めた積極的な関わりを促していくべきである、このように考えますが、この点いかがでしょうか、御所見をいただければと思います。

○政府参考人(前川喜平君)
御指摘のとおり、春日市は、学校への予算執行権の委譲によりまして教育委員会事務局の定型業務が効率化され、政策形成機能の強化が図られた優れた事例であると承知しております。
このため、文部科学省としては、学校の自主的、自律的な運営を促進するとともに、教育委員会事務局の事務負担軽減を図る観点から、予算執行権限の委譲や裁量的経費の措置といった予算面における学校裁量の拡大などの取組につきまして、説明会やフォーラム、広報誌等を通じて事例の紹介や啓発に努めているところでございます。
引き続き、こうした取組を通じまして、教育委員会が自らに期待されている機能を十分に果たせるよう指導してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
引き続きよろしくお願いいたします。
この教育委員会事務局の改革、先ほどの毎日新聞の記事や工藤さんの手記から、さらに次どうなったかというような話が書いてあったんですが、改革を経た事務局が次行ったのは、それまで教育委員会というのが実は事務局案の追認機関にすぎなかったという現実、これがあったわけです。その教育委員会の現状に違和感を感じ始めた、そういう状況がある。そこから、身軽になった教育委員会の事務局が知恵を絞りまして、教育委員会の在り方の見直しにも着手をしていった。様々な取組を生んだわけですが、その一つとして、春日市の教育委員会、挙げられているもの、またほかの例では立川などもあるようですが、言われているのが、出張、出前トークと言われているものです。
これまで、よく教育委員会は学校訪問という形で様々現場の声を聞く取組をしていたわけなんですが、現実としては、教育委員会、教育長も含めて大挙押し寄せていき、学校の幹部の方とだけ話をすると。ほとんど、学校側の意見を聞くというよりは、上から何かを言うというようなタイプのやはりものがどうしてもあったと。現場の教育、学校の関係者の方のお話ということであるが、まるで一つのショーだったというようなことがあったという御意見がありました。これでは、やはり儀式でもあるし、意見交換にならないと。
そこで、春日市等は、そうではなくて、同じような態様かもしれないんですが、視察ではなく意見交換に重点を置いて、通常夏休みに十八校回るわけですけれども、学校側は全教職員が参加もして、教育委員会側も事務局全員も加わった上で、本当に一対一で対面をしながら話し合うような、そのような意見交換の場を積極的に設けるようにしたと。
立川などは、大挙押し寄せるのではなく、教育委員一人でも行って意見を聞いていくというような取組をどんどんするようになった。そのための事務局として、教育委員会の事務局がしっかりと機能を果たしているというようなことの報告がなされております。
私としても、今後、教育委員会活性化のためにどうしても大事なことは、先ほどのレーマンコントロールの前提からも考えましても、こういう現場に入るような教育委員会の在り方をつくっていくこと、これが非常に大事であるかとは思っております。その点、今後どのように進められるのか、御意見をいただければと思います。

○副大臣(西川京子君)
今先生がおっしゃいました春日市の例、立川市の例など、教育委員が自ら現場に出向いて地域住民と意見交換を行う、あるいは地域住民の意見を聞く機会を設ける、大変重要なことだと考えております。
平成二十四年度の調査によりますと、保護者や地域住民の意見、要望、苦情等を聴取し、意見交換を行う機会を設けた教育委員会は、都道府県、指定都市で全体の五一・五%あります。そして、市町村で全体の三〇・六%という状況になっております。
また、改正案においては、総合教育会議を実効性あるものとするために、協議、調整を行うに当たって必要があると認めたときは、先ほども申し上げましたように、学識経験者や関係者、それらの方々の意見を聴くことができることとしておりまして、具体的には学校運営協議会委員やPTA関係者、地元の企業人等からの意見聴取が行われることも想定しているということでございまして、総合教育会議だけでなくて、日頃からやはりそれに類するそういう地元民との意見交換、こういうことによって教育委員さんの資質も向上していきますし、地域の状態の理解も深まると思いますので、文部科学省としては、今後とも広く地域住民の意見を反映できる機会を設けるよう教育委員会に促してまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
やはり教育委員会一人一人の意識の問題もあると思います。その辺り、地道な取組、また促しも必要だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
そういう点では、教育委員会がどのような資質を持つかというのは非常に大事な部分ではあるかと思います。首長さんの意向を酌むことを考えるような教育委員会だけでは当然いけないし、一方で、やはり現場に入ってという熱意と情熱を持っているような方、これをどのように選任していくのかというのはやはり大事なことであるかと思います。
この点、様々これから取組が各地域でなされるところではあるかと思うんですが、よく参考に言われているのは、公募の方式、これをやはり採用していく実例がもろもろあるというところであります。
例えば大阪の箕面市などは、この前、教育委員六名のうち四名公募されていたわけですが、地域の方が非常に熱意があったというか、応募されたのが三十名以上応募をされて、そこから四次選考をして、最終的に四人の方が教育委員として公募に合格されたと。その上で任命を受けたというような話も聞いております。四名の方皆さん女性で、三十代、四十代の方ばかり、取締役をされている人もいれば、やはり学校教育関係をずっと従事して、またさらには海外で教えられたりとかされた方、もうお一人お一人様々な立場でしっかり識見、見識を持った方で、何といっても教育に対しての情熱、自分から応募をされているわけですので、どうあるべきかというような問題意識を非常に持った方が多くいたというようなお話もしております。
やはり委員のこの選任の在り方というのも、これはやはり地域個々ごとに決めなきゃいけないところではあると思うんですが、このような公募の方式ということも文部科学省として積極的にある意味推進をしていく部分もあるかとは思うんですが、この辺りについて御意見をいただければと思います。

○副大臣(西川京子君)
先生の今御指摘のように、今教育を取り巻く環境の中には、いじめ問題を始めとして本当に様々な問題が山積しております。そういう中で、当然、この教育委員になる方もあらゆる方面の方から代表を選ぶということは大変大事なことだと思っております。地域の多様な民意が反映されますように、保護者や地域の関係者、そういう方々を教育委員として選任することも大事ですし、また、いわゆる専門的知識を持っていらっしゃる方を入れるということも大事だろうと思います。
そういうことで、幅広く人材を求めるということでは、公募制を活用するということは、教育委員会の活性化のための大きな有効な一つの方策だと考えておりまして、平成二十五年度三月一日現在、全国で二十三団体において公募制で教育委員が選任されております。
文部科学省としても、今後ともこの教育委員の人選の工夫、こういうことを一層工夫を進めていきますように促してまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
是非よろしくお願いいたします。幅広く、偏りもなく、本当に優秀な方々、熱意のある方々が委員になるということで、やはり起点であるかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
様々今いろいろ御紹介したとおり、全国各地でいろいろ教育委員会、先進的な取組というのがあるなと、そういう部分は感じられる部分です。では、こういうのが共有されているのかどうかというようなところを事前に文部科学省に確認をしたんですが、教育委員会研究協議会というのがあるというふうに回答をいただきました。
しかし、やはり現状、例えば大きな会議室で全国から一堂に集まって、そういう方が講演を聞くと。ただ、初めてお会いするような方の成功事例とかを、なかなか、聞いてもすぐに身に付くかというと、やはり難しい部分はあるのかなと。参加者の立場から立ってみたら、聞いてきたというだけで大体終わってしまうんじゃないかなというような部分はやはりあるかと思います。
私としては、せっかくいろんな先進事例が、恐らくいろんな教育委員会が現場で悩みながらいろいろなやり方を模索しているのであれば、それを多くが共有し合って、接触し合って切磋琢磨し合うというような枠組みをやはりつくっていかなければいけないんじゃないかなと思います。
そのためには、やはり顔の見える関係、近隣の教育委員会同士でお互いの活性化策をちゃんと議論し合うような、そういうようなスタイルもつくっていく必要があるかと思います。その前提には、当然、近隣同士のつながりを密にする必要性もあるわけですし、そういった教育委員会メンバー同士がつながりを強化し合って、連携し合って情報を共有していくこと、こういうことを含むような研修制度の構築、少々ちょっと抽象的な問いかけになってしまうんですが、このようなものをしっかりつくっていって、教育委員会同士がお互いをしっかり切磋琢磨し合うような関係をつくっていくことが大事だと思うんですが、この辺りについて大臣の御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)
非常にいい考えだというふうに思います。
今、矢倉委員のお話を聞いていて私も思い出したんですが、私も国会議員になる前に都議会議員をしていたときがありまして、そのときに文教厚生委員長をしていたんですね。私が委員長になって初めて東京都の教育委員と一緒に議論する場が、初めて提案して、非公式だったんですが、あったんですね。それだけ議会と東京都の教育委員が一緒に平場で議論したこともなかったというのも、今から考えるとやっぱり相当閉鎖的だったんじゃないかなと思って聞いていたわけでありまして、それだけこれから新しい教育委員会については、地域住民の多様化の中で一人一人のもちろん能力を高めていくことも必要ですし、議会や住民の方々ともっと接点を持つことによって、今教育委員会で議論されていること、あるいは地域の中で、あるいは議会の中で何が問題なのかということをよく把握をしてもらうということも必要だと思います。
そして、もちろん研修でありますけれども、文部科学省におきましては、毎年、都道府県、指定都市の新任教育委員に対して研修を行っていることに加え、文部科学省と都道府県教育委員会の共催で市町村教育委員会委員等を対象とした研修会を実施しております。そして、都道府県においては、平成二十三年度の調査によれば、全市町村の教育委員を対象とした研修を年平均一・二回行っているほか、自らの教育委員に対する研修を年平均六・七回行っているということだそうであります。市町村においても、自らの教育委員に対する研修を年平均四・六回行っているということでありますが、ただの座学的な研修ではそれほど成果、効果は上がらないのではないかというふうに思います。
今の矢倉委員の指摘も踏まえて、より成果、効果の上がる研修の在り方、充実について検討してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
大臣、御自身の御経験に基づく御答弁、ありがとうございます。
やはり教育委員、閉鎖的閉鎖的と言われていた部分はあるんですが、一つ、様々、事務局の活性化であるとか、そういう外部環境を変えることで本来教育委員の方々が持っている教育を何とかしようという思いがやはり解き放たれることができるんじゃないかなと、それをやっぱりサポートするのが政治の分野であるかなと思っております。
教育委員の様々な、先ほどの出張トークをされたときの方の経験ということで新聞が報道しているのが、現場でやっぱり話してみると、教員の方と教育委員の壁が取り外されて一緒にいい教育をつくっていこうという信頼感ができてきたと。そういうような信頼感をどんどん醸成していくことがやはり大事であるかなと、その点は私もしっかりと今後も議論も含めて貢献してまいりたいと、このように思っております。
次に質問を移らせていただきます。教育長の資質についてでございます。
先ほども確認いたしましたが、専門的な教育長がレーマンで集まりである教育委員会を支配してしまうというようなことが仮にあっては、教育委員会によるレーマンコントロールの制度趣旨に反してしまうわけでございます。その上で今回の法案の文言に立ち返りますと、教育長の任務については、委員会を代表するとともに、会務を総理するという言葉があります。この総理するという文言が代表するとは別に書かれている点、これはいかなる意味か、御見解をいただければと思います。

○政府参考人(前川喜平君)
今回の改正案において新たに置くこととされております教育長は、教育委員会会議を主宰するという現行の教育委員長の役割に加えまして、事務局の事務を統括し、所属の職員を指揮監督する現行の教育長の役割も果たすことになることから、これらを総体として表現いたしまして、改正案におきましては教育委員会の会務を総理すると規定したものでございます。
改正案では、常勤の教育長が会議の主宰者となることによりまして、会議の招集や議題を適切に判断することや、委員への迅速かつ適切な情報提供が可能となり、教育委員会の活性化に資するものと考えております。

○矢倉克夫君
事務局を総括する立場としての総理であるという答弁であったと思います。
その事務局は、先ほども確認いたしましたとおり、非常勤である教育委員が現場の声を聞く、そのための手足ともなるべき存在でもあり、吸い上げる役割も持っている調査員のような、場合によってはシンクタンクのような役割もこれから担っていかなければいけない、このように思います。それを総括するのが教育長でもあると。
以前も、今回の法改正前も、そのシンクタンクであるべき事務局は、要は事務局長は言わば教育長であったという認識でございます。しかし、事務局が吸い上げた、あるいは吸い上げるべき情報若しくは地域の声という共有すべき対象、これを共有すべき対象である教育委員会、これを主宰するのは、法の建前上は教育長とは別の教育委員長だったと、これが今回の法改正前の、今現状ですね、現状がそういう状態であるということだと思います。それによっては、教育長がいかに事務局を通じて収集した情報などを教育委員会に開示したくても、会合自体が開会されないというようなこともあり得た。これをやはり解消する意味では、今回教育委員長と教育長が一体化したという点は非常に意味はあるという点ではないかなと私は思っております。
ただ、その新しい教育長の役割は何か。繰り返しになりますけど、一つには、集約した多様な民意を専門家ではない教育委員に議論してもらうときの専門的見地からの論点整理その他を行う方であるわけですが、何よりも重要なのは、つなぎ役としての教育長、やはり学校現場と行政、また教育委員会を代表する、総理する立場として、その教育委員会とやはり子供の懸け橋になるようなことが教育長は、この一体化の議論を経てスーパー教育長とも言われているわけですが、新しく担わなければいけない役割として非常に重要であると思っております。総理というこの言葉を解釈する上でも、このつなぎ役という意識を持った人であるという部分の思いというのは大事であるかなと思っております。
そこで、改めて、このような重要な役回りが期待されている教育長に求められている資質というものはどのようなものか、御意見をいただければと思います。

○政府参考人(前川喜平君)
現行法におきましては、教育長の要件につきましては、教育、学術、文化に関し識見を有するものという教育委員としての要件のみが法定されておりまして、一般職としての教育長の要件は法律上の規定がないわけでございます。
改正案におきましては、教育行政の責任体制を明確化する趣旨から、現行の教育委員長と事務局を統括する教育長を一本化した新たな職を設けるものでございまして、新教育長は行政法規にも通じ、組織マネジメントにも優れるなどの資質が求められるわけでございます。そういったことから、法律上、教育行政に識見があるものという要件を定めているところでございます。なお、この場合において教育行政に識見があるものとは、教育委員会事務局や教職員の出身者だけではなくて、教育行政を行うに当たり必要な資質を備えていれば幅広く該当するものと考えております。

○矢倉克夫君
そのような資質を有している教育長か否かについてどのように判断するか、先ほど来の質問もあったんですが、議会における同意に当たっての所信表明なども挙げられているところであります。この所信を表明する、まあ、どのような所信を表明するのか、今お話も聞いていても、これはやはり大変な能力を持った方でないとなかなか務まらないところがあるかなと思います。識見だけではない、知識だけではない、しっかりしたマネジメント能力もなければいけない。現場に入るというような意欲も持っている方でなければいけない。どのような所信をまた述べていただくかというような部分もあるかと思います。
この辺りについて、どのように更に判断をしていくのか、御意見をいただければと思います。

○政府参考人(前川喜平君)
新教育長は、現行の教育長と教育委員長の職務を一本化した職でございまして、教育行政に大きな権限と責任を有し、従来に比べましてその職責が重くなることから、その資質、能力を議会において丁寧にチェックするということが必要であると考えております。
そのため、議会同意に当たって、例えば地方公共団体において、教育長候補者が所信表明を行うなど丁寧な手続を定めることも一つの方策ではないかと考えております。法案が成立した場合には、施行通知や改正法の説明会等を通じまして、議会同意に当たっての所信表明など、教育長の資質、能力をチェックするための様々な工夫について周知してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
所信表明、どういう所信になるかという部分もあるかと思うのですが、やはり教育長に求められているのはこういうものだというのを周知徹底することは大事であるかと思います。やはり判断する側が、教育長というのはどういうことを、役割を求められていて、どういう資質を求められているのかというのが分からないと、やはり所信を聞くだけでは判断ができない部分はあるかなと思っておりますので、その辺りも含めて、施行通知等でしっかりと、施行通知に限らず現場にしっかりと徹底をしていただければと思います。
その上で問題なのは、やはり教育長として役割を担っていく人、非常に能力もまた様々経験等も重要な部分であり、理想的な方というのを探すことはなかなか難しい部分はあるんじゃないかというぐらいに大変な役職だと思います。ただ、他方で、教育長に値するような方々をやはり養成をしていくというような視点もしっかりと考えていかなければいけないと思います。
この辺り、教育長がいかにあるべきか、そういう部分の、養成の制度等も含めて、どのように今後進められていくのか、大臣から御所見をいただければと思います。

○副大臣(西川京子君)
大変大きな権限を持っている教育長の、今、資質をどうするかと、そして今後どうやってそれを更に高めていくかという責任があると思います。
その中で、昨年の十二月の十三日に中央教育審議会答申においては、教育長には、強い使命感を持ち常に自己研さんに励む人材が求められ、学び続ける教育長の育成を担保することが大事だと言われております。国、都道府県、大学などが主体となって、現職の教育長の研修を積極的に実施することが必要である、その際、教育の専門的知識だけではなくて、福祉、雇用、産業、環境など様々な分野に関する知識の習得が求められるとされております。
例えば京都市の教育委員会におきましては、行政職の職員を長期にわたって教育委員会事務局に勤務をさせまして、教育内容や学校運営を理解し、教員出身の職員とともに政策立案、学校の運営指導ができる専門性を持った職員として育成し、その中から教育長となる人材を確保している。現京都市の生田教育長そして門川市長、共に教育委員会事務局の御出身でいらっしゃるという、そういう経験を基にして大変きめ細かな人材育成をやっていらっしゃるところもあります。
教育長のリーダーとしての資質や能力を高めるための方策としては、現在、国や大学において市町村の教育長を対象とした研修会を実施しておりまして、今後、国、都道府県、大学などによる研修のプログラムについて充実をしっかりと図ってまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
最後に、大臣、通告していないんですが、新しい教育長に求めるもの、大臣、是非御意見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)
先ほどもちょっと答弁させていただきましたが、今度、兵庫教育大学で教育長を養成するための大学院コースを設定する、これを全国のほかの大学、大学院と連携するということでありまして、そういう意味で、今まで述べてきたような識見、能力だけでなく、さらに、新しい時代に対応する教育行政あるいは教育の在り方についても熟知をしていただきたいと思いますし、今、私の下だけでも四十七項目の教育改革同時工程表を作って進めておりまして、その時代に合った、今、教育がどんなふうにタイムリーで国が行っていて、それをそれぞれの自治体でどうするかということについても常に学び続けていただかないと、ちょっと前までの感覚ではずれが出てくると思いますし、それだけ教育長に求めることは多いわけでありますが、是非、日本が教育立国を目指すためには大変重要な立場であるというふうに思いますし、是非それぞれの教育委員会がすばらしい教育長を選任していただいて、そしてその教育長の下ですばらしい教育行政が行われるような教育委員会、対応できるように国としてもフォローしてまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。以上です。

与党としての公明党の役割

2014-05-23 メルマガ

矢倉かつおです。

150日間の通常国会も、6月22日の会期末まであと一か月を切りました。いよいよ終盤戦です。衆議院で審議・可決された法案がどんどんと参議院に送られてくるため、特に忙しい時期となります。「良識の府」参議院が真価を発揮するときです。実のある審議をして参ります。

ところで、昨年の臨時国会と今年の通常国会を経験し実感することがあります。それは、与党内議論の熾烈さです。

たとえば、軽減税率導入をめぐる議論です。

昨年12月制定の与党税制大綱は、「軽減税率を導入する。」とはじめて明記しました。ポイントは、何らの条件も付さずに「導入する。」と記されたことです。つまり、軽減税率は必ず導入されます。もとより、その時期や範囲等をいつにするかが次の課題で、勝負はこれから半年間ですが、単に「検討する。」と記載されていた当初案からは大きな第一の勝利でした。これは、与党内でも当初多数を占めていた軽減税率反対意見に対し、公明党が地道に説得、説明した成果です。

また、昨年末のメルマガで詳細にご報告した特定秘密保護法もそうです。

当初の政府案が、「知る権利」保護の観点から改善すべき点の多いものだったため、公明党が主導し、野党の意見も取り込んで大幅に修正をいたしました。専門家を呼んだ独自会合を10回以上開催し協議した結果を、与党内でぶつけ反映していく、公明党の地道な努力・経緯等は昨年のメルマガで記載したとおりです。

この特定秘密保護法成立の際、「知る権利」の更なる確保のため、なすべき事項を与野党内で合意しました。そのなかの一つが、「国会」内に、「行政がなした秘密指定が正しくなされたか否か」を「常時監視」する機関を「創設」することでした。今、私はこの創設を担う与党プロジェクトチームの一員として活動しております。

先日、この「常設」の「秘密監視機関」の具体的中身について、与党内で大筋合意をいたしました。実は、この与党内協議においても与党の一部から「常時監視機関」の創設そのものを否定する意見が出されました。しかし、これは「知る権利」を守るための国民への約束であると公明党が強く主張し、激しい議論の結果、ほぼ公明党の主張に沿った形で与党案が最終的に合意される見込みとなりました。これが成立すれば、これまで事実上、国会が関与できなかった行政の秘密のあり方(42万件以上と言われた秘密のあり方に国会が異を唱えることはほぼ出来ませんでした)に、はじめて、国会のメスが入ることになります。

なかなか外から見えることのない与党内議論ですが、公明党がいるから安心だ、そう思っていただける実績をこれまで地道につくってまいりました。公明党が与党にいる責任は、この安心をいかにつくるかです。今後も様々な局面で、与党内にいる公明党の責任が問われることもあるかと思います。頑張ってまいります。

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2014-05-14 メルマガ

矢倉かつおです。

5月です。木漏れ日射す新緑の色が、目に鮮やかです。
ゴールデンウィーク明けのゆったりした雰囲気も瞬時に吹き飛び、昨日は文教科学委員会にて質問、本日は先ほどまで参議院本会議と、慌ただしく動いています。

ゴールデンウィークの最中、オーストラリアを訪問、連邦議会や政党本部、政策研究所、教育機関(シドニー大学等)を訪ねるとともに、同国の国会議員や州議会議員など10数名と個別に会談や会食し、友好を深めてまいりました。

この訪問は、「日豪若手政治家交流プログラム」という公式事業の一つです。訪問団は私のほか、自民党2人、民主党1人、みんなの党1人の国会議員計5名、ほぼ同世代の組み合わせでした。超党派で深い人間関係をつくることが出来たことは、非常によかったです。

オーストラリアは今、秋真っ盛り。緑と赤と黄色という三色に彩られた一本の木が、ぬけるような青空に溶け込む姿は一幅の名画でした。夜は南十字星に迎えられ、あっ!ここは南半球だ!!と改めて実感しました。

様々驚くことがありました。オーストラリアの選挙制度は特殊で(詳細は省きます)、投票用紙の長さが、なんと1メートルに及ぶこともあります。ところ変われば、常識も常識でなくなることがあります。

町を歩き、特に驚いたのは、賃金の高さでした。マクドナルドで働く人に時給を尋ねたところ、なんと22オーストラリアドル以上(ほぼ2000円)です。これが休日には2倍となります。資源の輸出で外貨を稼いでいることが大きな要因ですが、高い物価(コンビニエンスストアで買う水が4オーストラリアドルほどします)で売り、利益をあげた企業がそれを賃金に反映し、また買ってもらう、という経済の好循環が存在することも見逃せません。

オーストラリアの国会議員の方々とは、外交・防衛・経済・教育・文化等、様々な議論をしました。私にとって収穫の一つは、日本とオーストラリアの繋がりが、とくにアジア太平洋地域における秩序維持に重要であるとの認識を共有した点です。

経済産業省時代、決して大国とは言えないオーストラリアの交渉団が、アメリカやヨーロッパの主張に負けず多国間の貿易ルール交渉について主導権を握る姿をみて、驚いたことがあります。オーストラリアのこの姿勢、交渉力を日本も良い意味で利用し、「アメリカか中国か」といった単純な構造で議論しがちなアジア・太平洋地域における外交議論とは違う角度の議論を提供できないか、そんな直感を受けたことがありました。多くのオーストラリア議員に伝えたところ、大きく頷いていました。

そのオーストラリアが日本に望むことは、中国との友好です。オーストラリアにとって、両国は主要な貿易相手、仲良くしてくれるに越したことはないのです。

日豪関係は、アジア・太平洋地域の安定にとって重要です。今後は、日豪友好議員連盟の幹事としても活動していきたいと思います。

186回 文教科学委員会(給付型奨学金等)

2014-05-13 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
このゴールデンウイーク、オーストラリアに滞在いたしまして、多くの国会議員と会談をしてまいりました。日豪若手政治家交流プログラムという二十三年間続いている公式プログラムに基づくもので、大臣も過去に行かれていた。私も後輩という形になりますが、滞在の合間にシドニー大学を訪問いたしまして、教授陣や留学している日本人学生さん二十人弱と議論する機会を得ました。そこで感じたことを中心に、まず二、三御質問をしたいと思います。
最初に、社会人の留学サポートについてです。
留学生二十人弱のうち、四名ほどが会社を辞めて留学されている方でありました。女性が大半です。元の職場では自分輝くことができなかったので、自分の人生を自分で切り開こうと思ったと、力強く語ってくれました。
日本学生支援機構が二〇一二年三月に十八日間掛けて無作為に抽出した留学経験者千五百人ほどから行った海外留学者追跡調査によりますと、約二三%の留学生が会社を辞めて無職の状態で留学をしている。今や個人での社会人留学は当たり前の時代になったと思います。
その社会人出身の女性の方から言われたのが、日本は社会人留学に決して優しい国ではないと。例えば、日本学生支援機構が貸与型として留学支援金を提供していますが、学生支援機構によるものという面もあるんですが、卒業後二年以内の人が対象でありまして、社会人留学は門前払いだと訴えられました。
終身雇用も崩れまして、若者が自分の力でキャリアをつくっていかなければいけない時代になりまして、企業を辞めて留学する方への支援も充実させるべきと考えますが、この点、いかがでございましょうか。

○政府参考人(吉田大輔君)

社会経済のグローバル化に伴いまして日本企業等が世界に展開している中、個々の能力を高めましてグローバル化した社会で活躍する人材を育成することは喫緊の課題であるというふうに認識をしております。
今御指摘の、企業を辞めて留学をする社会人につきましては、そのような方も含めまして申請可能な奨学金制度といたしまして、海外の大学院で修士又は博士の学位取得を目的として一年以上の期間留学する者への支援制度を設けております。平成二十六年度の予算におきましても、この制度による支援を拡充したところでございまして、二十五年度までの二百人の枠を二百五十人に拡大をしてきているところでございます。
私どもとしては、昨年閣議決定されました第二期教育振興基本計画、あるいは日本再興戦略におきまして、二〇二〇年までに日本人の海外留学の倍増を目指すという目標がございますので、その点も踏まえながら海外留学の促進に取り組んでまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君

今御説明いただいたのは、給付型の奨学金であると認識しております。その方向性、正しいと思いますので、是非一層受給者の数を増やすよう、よろしくお願いいたします。
留学という観点に限らず、社会人始め学ぶ人全ての学ぶ意欲を手助けするためには、可能な限り給付型の奨学金を増やすべきであると思います。返済に苦しむ人の話を多く聞くにつれまして、貸与型ではやはり夢をかなえる手助けにはなかなかならないのではないかという実感があります。
国の財政的制約の問題からやむを得ず貸与ということになったとしても、例えば条件を満たせば返還を猶予する、免除する、そういう条件付貸与や条件付給付と言ってもいいかもしれませんが、イメージとしては、昔あった教員になられた方には奨学金免除をされるというような制度があったと思います。ああいう形でのより柔軟な奨学金の設計の在り方、これも一層社会人含めた学ぶ人への支援のために考えるべきであると考えますが、大臣の御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

私も、五月の連休、アメリカのワシントン、それからASEANではシンガポール、インドネシア、マレーシアに行きまして、二〇二〇年までに、これから六年後ですが、留学生を送り出しも倍にする、また迎え入れも倍にするということで、各国の担当大臣等と協議をしてまいりました。そのために、このバッジを付けていますが、「トビタテ!留学JAPAN」、これは官民ファンドですね。政府も、文部科学省も、今年、留学予算を倍増いたしましたが、民間からもファンド、寄附を積極的に今協力をいただいているところでありまして、このことによって、今年、取りあえず大学生対象に、これは給付型で奨学金で海外に送り出すということを始めました。
是非、これを将来的には拡充をして、矢倉議員御指摘のように、社会人まで広げていくようにすることによって、日本の、もう一度輝く自分を取り戻したい、それを留学によってチャンスをつかみたい、そういう意欲のある、志のある若者に対してフォローアップするような体制を考えていくことは非常に重要なことだというふうに思います。
まずはそういうふうな、今の学生から給付型の奨学金で留学生枠を広げていきたいと思っておりますが、将来は社会人まで広げていくことも視野に置いて検討してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

学ぶ人の意欲を満たしていく、夢をかなえるという意味合いで、是非今の大臣の御決意のまま御対応いただければと思います。
続きまして、同じまたシドニー大学での懇談に話を戻しますが、やはり多く受けた相談は、就職が心配であるという点です。就職活動をしたいが、留学生用のキャリアフォーラムについての情報もない、日本に帰る期間も短い中で就職する機会もない、卒業しても学位を尊重してくれないと、不安の声が非常に多くありました。
今、留学しよう留学しようという形で若者に促しているわけですが、留学した先のその後が就職難という点になりますと、無責任な対応というふうに言われかねない部分も出てくるかと思います。その辺りの留学生に対する就職支援、これについての国の対応を御回答いただければと思います。

○政府参考人(吉田大輔君)

御指摘のように、帰国後の就職支援を充実させることは大変重要でございます。
独立行政法人日本学生支援機構では、大学と企業の関係者が一堂に会し、学生等の就職及び採用活動について情報交換を行います全国就職指導ガイダンスを開催しているほか、厚生労働省ではハローワークを中心とした就職支援などを実施してきているところでございます。
また、国家公務員採用試験におきましても、外国の大学を卒業した者を採用する機会を増やすことを念頭に置きまして、秋に試験を実施する試験区分も設けられたところでございます。
また、就職・採用活動時期の関係につきましても、再チャレンジ担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣及び経済産業大臣の連名で、主要な経済団体や業界団体の長に対しまして、海外留学からの帰国者の就職活動の改善を図ることを目的とした、就職・採用活動開始時期の変更を要請したところでございまして、二十七年度からそれが変わってくるということになりますけれども、この要請に沿った運用が徹底されるよう、引き続き周知に努めることとしております。
また、先ほど大臣から御発言がございましたけれども、若者の海外留学支援制度ということで新たに官民ファンドを用いたプログラムを設けておりますけれども、この中で、社会が求める資質、能力を持ったグローバル人材の育成を図ることとしておりますが、このプログラムの中には、帰国後のインターンシップですとか、あるいは企業説明会の開催など、就職支援につながるような取組も盛り込んでいるところでございます。
文部科学省としては、これらの取組を通じまして、関係府省庁、産業界、大学等と連携し、日本人留学生の就職活動に対する不安を解消し、日本人の海外留学数の増加に努めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君

最後に、話題を変えまして、学童保育の問題、質問をしたいと思います。
小一の壁、小四の壁という言葉があります。子供が小学校に入る、あるいは学童保育の多くが対象は小学校三年までですので、これを過ぎると預け先がなくなり、親が仕事を辞めざるを得ないという問題がございます。この解消のため期待されるのが、学校の空き教室、この利用、学童保育所としての活用でございます。
予算委員会の場で、我が党の山本香苗議員からの質問に対し、大臣は、教室利用が現状まだ進まない、この理由につきまして、教育と福祉の関係間における意識の壁、言及くださいました。その過程の中でまた教育委員会の問題も言及されていたわけですが、この問題について具体的にどのように対策をお考えか、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

放課後児童クラブ等への学校の余裕教室等の活用については、今年三月の産業競争力会議において私の方から、厚生労働省と連携を図りながら、一体型を中心とした放課後児童クラブと放課後子ども教室の整備等を通じて最大限進めていきたいというふうにプレゼンをいたしまして、また今、政府としてそのように厚労省と一緒になって進めているところでございます。
教育と福祉の関係間における意識の壁、これがやはりあると。これを越えるために、さらに、今これ衆議院の方で審議中でありますが、教育委員会制度抜本改革案、この中で総合教育会議を設けるということになっております。これは、首長とそれから教育長が一体となってその地域における教育行政を進めるということでありますが、このような首長と教育委員会が十分に協議する機関を設けるということによって、学校の余裕教室等の積極的な活用が更に促進されるということに制度設計の中でなってくるというふうに期待をしております。
こうした学校の余裕教室等の活用の促進と併せまして、全ての子供たちを対象とした放課後の学習支援や多様なプログラムの充実も含めた総合的な放課後対策を推進してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

特に少子化はオールジャパンで取り組む問題ですので、縦割り等の意識がもし仮に存在するのであれば、打破する対策を引き続きよろしくお願いいたします。総合教育会議について今お話もありました。行政の縦割り解消という意味合いでのこの運用の在り方も、また引き続き議論をさせていただきたいと思います。
最後、一言だけ。
オーストラリアに行ってお土産いろいろ渡してきたんですが、一番実は喜ばれたのが、二〇一九年のラグビーのワールドカップのバッジを非常な興奮で皆さん受け取ってくださいましたので、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックとともに日本が世界に非常に発信するスポーツ大会として二〇一九年のラグビー大会、こちらの大成功もまた大臣のリーダーシップで是非よろしくお願いいたしますとお伝えして、質問を終わらせていただきたいと思います。

【矢倉かつお】文教科学委員会質問_20140513

2014-05-12 矢倉かつおチャンネル

公共事業入札の一層の改善を

2014-04-28 メルマガ

矢倉かつおです。

新緑の季節です。日々、光ととともに色を変える若葉の姿が目に美しいです。

先週月曜日、決算委員会にて太田国土交通大臣、谷垣法務大臣、林農林水産大臣と、三人の大臣に質問いたしました。質問の内容は、谷垣大臣に対し「国際訴訟に強い法曹養成の必要性」、林大臣に対し「耕作放棄地担い手対策」、そして、太田大臣に対しては、「圏央道などの早期完成」、「公共事業のあり方」です。

特に公共事業予算について、今年度の総額に占める防災・減災、老朽化対策の割合は、前年度の約47%から約53%に増加しております。

ところが今、その公共事業の受注が決まらず工事が始まらない、いわゆる入札不調が増えております。被災地の例だけでなく、例えば、埼玉県では、2013年4月から12月に行った埼玉における公共工事の不調・不落率はほぼ15%、例年の2倍です(4月10日付け埼玉新聞一面)。

人手不足等のため、工事が「物理的に出来ない」こともありますが、公共事業の発注者が設定する落札上限価格(「予定価格」といいます)が実情にあわず低すぎるため「この金額では赤字になるから出来ない、応じない」という事情もあります。また、公共事業予算がついても、地方議会の議決やその他様々な手続きをへて工事契約は11月ぐらいになることも多いですが、極度な資材不足により工事開始がなかなか出来ず、結果、「工期が短すぎて現場が疲弊する」という事情もあります。そんな厳しい環境で人手をやり繰りし工事を完了して、年度末の工事が終了すると一気に仕事が減ります。「発注が同じような時期に集中する」ことも問題です。

私のほうからこれら予定価格や工期の問題を指摘し改善を促しました。

太田大臣から「工期ということについてはこれまでも国会で余り指摘がなかった」と前置きされたのち、「発注の平準化をすすめる、資材調達に必要な期間を見て余裕をもった工期を設定する、あるいはまた、年度を越えて工期を延長するという必要がある場合には適切に(予算の)繰越手続をする、簡単にできるようにする」といった具体的な提案をいただきました。私からは「予測できない資材不足などの事情の場合、工期を柔軟に変更できるなどの条件も考えるべき」と訴えました。

太田大臣への質問は、テレビカメラを前に安倍総理に対し質問したときより緊張しましたが、時折、笑みをたたえながら答弁される太田さんの雰囲気に最後はすっかり緊張もほぐれました。

公共事業のあり方は、防災・減災はじめ国の安全のみならず、地域経済のあり方にも影響します。現場の声をうけ、この問題は一層深めていきたいと思います。

186回 文教科学委員会(著作権法案 出版文化の保護等)

2014-04-24 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
これまでの議論を聞きまして、改めて、議論の焦点は、出版者による企画、編集など、出版文化の中核を成す貢献がこれまでも含めて正当に評価されているのかという問題があると思います。これは、今回の法改正の可否だけに懸かるようなものでもないかと思っております。議論の前提といたしまして、先ほど石橋委員からも出版というものについての意味合い、質問がありましたが、より形式的な法律条文解釈、二、三点確認したいと思います。
まず、現行の出版権の内容ですが、著作権法八十条によりますと、著作物を販売する目的を持って原作のまま複製する権利であります。出版というと、企画、編集を中核とした一連の行為を一般的に捉えるんですが、事法律的な出版権という言葉が持つ響きからもそのようには感じるわけですけど、実際の条文から見える出版権は、既に企画、編集を経て、創作、実在している著作物が目の前にありまして、それを前提にそれをコピーする権利を認めているものであるというふうに理解をしております。
例えば、Aという人が企画、編集して成立した著作物を、Aとは別人であるBが複製、すなわちコピーすることを捉えても出版権というふうに構成をしているという理解でございます。しかも、出版権を許諾できるのは、厳密には著作権者ではなく、著作物の企画、編集などに関与もしていない複製権者であります。
つまり、条文だけ見ると、出版権との関係では企画、編集行為の価値は必須とされていないというふうに確認せざるを得ない部分ではあるんですが、この辺りの理解の確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○政府参考人(河村潤子君)

御指摘のとおり、現行法において、出版権の内容は、「頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利」でありまして、企画、編集の内容は含まれておりません。
ただ、出版権制度全体の趣旨としては、企画、編集等を通じて出版物を作成し世に伝達するという出版者の役割の重要性に鑑みて設けられたということから、出版を引き受け、企画、編集等を通じて出版物を作成し世に伝達するという役割を担う者がこの設定を受けることが制度趣旨にかなうということで御説明をさせていただきたいと存じます。

○矢倉克夫君

次に、今回の改正の具体的内容の確認であります。時間の関係もありまして、二点まとめて質問させていただきたいと思います。
まず、法案の八十条一項二号規定のいわゆる二号出版権の内容たる公衆送信ですが、電子媒体の言わば複製、コピーであり、一号出版権である有体物の複製と二号出版権、行為としてはこれ対応しているという理解でおります。共通の基盤として主に言えることは、公衆への伝達を果たすという部分での基盤があるという理解であるか、これがまず一点でございます。
二点目は、もう一点目の確認として、今回の改正以前から著作権者がいわゆるプラットフォーマーと直接電子書籍の出版について独占的な出版権の許諾契約を結ぶこと、これまでは否定はされておらず、もっとも、これはいわゆる債権的利用権であり、出版権といった準物権的利用権ではないわけですが、いずれにしろプラットフォーマーが電子書籍に関する権利を独占するという懸念、これ自体はこの改正以前、今現時点からもう既にある問題であり、これに対して、企画、編集等を行った出版者といえども必ずしも対抗することは難しかったという理解であります。
以上二点について、御意見いただければと思います。

○政府参考人(河村潤子君)

まず最初のお尋ねでございますけれども、紙の出版権について出版者が対抗要件を備えて独占的な出版を確保するということで、それからさらに、有効な海賊版対策を行うに当たって必要となる準物権的な権利を特別に専有させる観点から、頒布目的の複製権が出版者に専有されることとなっております。それの複製権、伝達の形式として複製権ということになっておりますけれども、今回の改正はそれに当たる部分を公衆送信といたしたという、御指摘のとおりでございます。
また、プラットフォーマーとの関係でございますけれども、いわゆるですけれども、いわゆるプラットフォーマーが著作権者と独占的な利用許諾を締結することなどの方法によりまして電子書籍の配信について独占的な権利を取得することは、現行法上も可能でございます。したがいまして、今回の改正によって新たにいわゆるプラットフォーマーが電子書籍を独占的に出版するということが初めて可能になったということではございません。

○矢倉克夫君

そこで本題ですけれども、これまで企画、編集といった価値に対しての保護は、もちろん編集行為そのものが著作権と認められれば別なんですが、明示にはやはり認められていなかった、保護はされていなかったのではないかという理解であります。全体として、趣旨として確認をするというような話が先ほど参考人からもありましたが、条文だけ見るとなかなか見えてこない。ですので、私としては、著者に加えて編集者や校閲者などを交えて質の高い作品を生み出してきたというこの出版文化の実態から考えると、特に時代状況変わっていったということも考えると、やはり一層の考慮というのが必要なのではないかなというふうに思います。
特に今、これまで紙媒体の著作物だけだったときは企画、編集した出版者が事実上ほぼ一〇〇%出版権を保持をいたしまして、企画、編集に対してなされた労力等の投下への回収がなされる、回収できるというような状態であったわけですが、電子書籍というものの技術革新を契機にして、企画、編集していない者であっても電子媒体の複製たる公衆送信することにより利益を上げることができるようになってしまった。これは今回の改正というよりは技術革新によってそういう事態が生じてしまったということであるかと思います。
大事なことは、やはり企画、編集した者の労力などが経済的価値として見合った収益を上げる体制をつくることであり、単に市場に委ねるという手法とはまた別に、しっかりと国としても経済活動の正常化を図る上では必要であるかと思います。この点に関しまして、大臣から御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

御指摘のように、著作物が出版物として世に出るまで、著作者と出版者、それぞれの寄与のありようは様々ではありますけれども、出版者が企画や編集等、相当な努力をされている例が少なくないということは承知をしております。
現行出版権制度は、出版を引き受け、企画、編集等を通じて出版物を作成し世に伝達するという出版者の役割の重要性に鑑み特別に設けられたものであり、その趣旨は今回の改正案においても変わってはおりません。このため、従前の紙媒体に係る出版の場合と同様に、電子出版を引き受け、企画、編集等を通じて電子書籍を作成し世に伝達するという役割を担う者が電子出版に係る出版権の設定を受けることが制度趣旨にかなうものと考えられます。
御指摘のように、企画、編集等の役割を担い尽力された出版者がその努力に見合う利益を得られるようにするためには、当事者間の信頼関係に基づき適切な契約を結ぶという慣行を形成していくことが重要であるというふうに考えます。我が国の出版文化は、著作者と出版者との間の信頼関係に基づく企画、編集等の一連のプロセスから、出版事業がその基盤にあるということから、文部科学省としては、法律改正後も、当事者間における契約慣行の形成状況を見つつ、新たな出版権制度が効果的に活用されるよう取り組んでまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
続きまして、次の質問に移らせていただきます。
国際的な海賊版撲滅に向けた取組となります。私、中国に滞在した時期があるんですが、外に出回ると、海賊版のDVD、出版ではなくDVDになるんですが、例えば一枚百円とかで売られているというような状況を見てまいりました。国内の著作権の改正があってもやはりそれは海外にはなかなか適用がなくて、本来的な意味での海賊版撲滅のためにはやはり国際的な枠組みというのをしっかりつくっていく必要はあるかと思います。
特に、ちょっと今、質問時間が関係ありますので私の方からこれまでの中国に対する関わりというのを幾つか言いたいと思うんですが、二国間協議等で日中で侵害発生国への法整備等の要請もされたということ、また中国の職員を対象にした研修事業も実施をされている、また権利者向けのセミナーの開催など様々な取組を行われてきたということをお伺いはしておりますが、ここ数年はなかなか動きがないという事実もまたお伺いもしております。
今後の一つの在り方としては、やはり日本が主導をしてこの海賊版対策等も含めた国際的な枠組み、ASEAN等を中心にした、特に、実体的な権利の部分ではなく、知的財産保護の執行体制整備のための助言や人材交流などをする枠組みをつくっていきまして、それに対して中国等もしっかりと入れていくというような在り方も必要かなと思いますが、この辺り、政府の方針等を御意見いただければと思います。

○副大臣(西川京子君)

先生御指摘のとおりでございまして、国内で幾ら整備をしっかりやっても、実際に海賊版がいろいろと中国その他で出て、被害を受けているのは現実でございますから、早急にその国際間の枠組みをしっかりと構築することが一番大事だと思っております。文部科学省としては、アジア地域を中心とする途上国を対象として著作権制度の整備を促進する、もうこのことが一番今大事なことと思っております。
具体的に、WIPO、これは世界知的所有権機関との共催によりまして、アジア地域著作権制度普及促進事業、これを平成五年から行っております。主にアジア太平洋地域でのシンポジウムの開催、途上国の政府職員や著作権管理団体職員等を対象とする研修の実施、これは主に東京でやっております。それから、途上国の国民を対象とした著作権の重要性に関する啓発を目的としたセミナーの開催等を毎年実施しておりまして、このシンポジウムと研修には、ASEANはもちろんですが、中国からの参加者も来ております。
引き続き、このような多国間の枠組みを使いまして、関係者や民間団体等も共に連携しながら、アジア地域における著作権制度整備への、主に日本が大きなリーダーシップを持って取り組んでまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
以上で終わります。

【矢倉かつお】決算委員会質問_20140421

2014-04-21 矢倉かつおチャンネル

186回 決算委員会(国際訴訟に強い法曹養成/入札不調の改善/圏央道の早期開通/耕作放棄地対策(農業担い手・農福連携))

2014-04-21 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
まず、事前に質問通告した順序を変えさせていただきまして、先に法務大臣にお尋ねしたいと思います。午前中にも少しお話をいただきました、国際訴訟に強い法曹養成の育成の必要性についてでございます。
午前にもお話のあった調査捕鯨に対するICJの判決下されましたが、いわゆる敗訴という形になった原因の一つは、オーストラリアの訴訟団に比べまして日本の訴訟団の中にいる法曹資格者の数が少なかったということが挙げられると思います。私自身も、このような形で立場いただく前は、経済産業省に任期付公務員として出向をしてWTO等の経済紛争に関わらせていただいたんですが、その経験からも、やはりこういう分野で強い日本の法曹を育成する必要は非常に感じているところでございます。
大臣から、今後、国として、国の国際競争力強化のため、国際紛争に強い法曹、どのような形でつくって育成されるのか、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君)

矢倉委員御自身が国際交渉をいろいろ経験されて感ずること、たくさんおありだったと思います。
おっしゃるように、日本の法律家、これが国際的な専門的能力を身に付けて、いろいろ日本の国際的な通商問題や交渉の過程に参画していくと。これは、日本の国際競争力を付けていく、あるいは国際社会での日本のプレゼンスを高めていくという意味でも極めて大事なことだろうと思っております。もちろん、今まで、場合によっては日本以外の法律家をそういう場合に使うという、そういう選択肢もないわけではないでしょうが、やっぱり日本人の法律家の中にそういうことを十分できる人を育てて、積極的に活躍してもらうということをもっと考える必要があると私は思います。
それで、法務省では、そういう問題意識の下で、法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会、それから、その下に法曹有資格者の海外展開に関する分科会、これをつくりまして、日弁連や有識者の方々にも参加していただいて、国際分野での法曹有資格者の活動領域を拡大し、その拡大を更に促進していこうと、そういう検討を今進めているところでございます。
それから、この検討、ちょっと今の委員の問題意識と若干ずれるかもしれませんが、私、この仕事に就きまして、海外との法制度の整備を支援していくというのが非常に大事な仕事だなと改めて思っております。そのことは、例えばまだ法制度が十分できていないところに法の支配という枠組みをきちっと入れていくためにも、いろいろな法制度を支援していくということが大事でしょうし、例えば、日本とかなり、日本の法律家が関与して法制度の整備を進めていくということが、日本の経済界にとってもその国との経済関係をつくりやすいと、こういう面があるだろうと思います。
それに加えまして、結局、法制度整備支援をしていくということになりますと、単に制度、法律を作るというだけじゃなしに、その制度を担う人材をどうつくっていくかということにも関与するということになりまして、これは長い両国間の関係をつくっていく上で役立つだろうと思います。
ちょっととっぴな例を挙げますが、私ども法務省の、日本の検察とドイツの検察というのはある意味では極めて親しい関係にございます。それは日本の刑事制度がかつてドイツにたくさん学んだということがございまして、共通な発想がやっぱりあるんですね。ですから、新しい現代的な問題が起こってきてなかなか解決がうまくいかないとなると、日本でもドイツではどう考えているんだろうという発想が出てくる、ドイツでも日本ではこの問題どう片付けているんだろうかというような発想が出てきて、かなりそういう意味での法律家同士の連携がたくさんございます。そういうものをつくっていくということも私は極めて大事なことではないかと。そういった観点から、委員の問題意識に応えられるように更に議論を深めてまいりたいと、このように思っております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
法の支配、国際的な法の支配の分野に強い人材をつくるということは、やはり無駄な政治的摩擦を避ける意味合いでも非常に大事だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、続いて国土交通省、お尋ねをいたしたいと思います。復興事業を始めとした入札不調の増加の背景についてでございます。
報告によりますと、被災地三県での復興関連工事、入札状況を調べましたところ、平成二十三年十月から一年間における予定価格一千万以上の土木工事においては何と二割が入札不調と。これは被災地に限らず全国的なものでありまして、例えば、私の地元である埼玉、埼玉新聞の四月十日付けの一面ですが、共同通信のアンケートによると、二〇一三年四月から十二月に行った埼玉における公共工事の不調・不落率はほぼ一五%、例年の二倍以上になっているということでございます。
まず、この全国的な入札不調の背景について、端的にお答えいただければと思います。

○政府参考人(毛利信二君)

入札不調の現状を見ますと、御指摘のありました被災地では発注工事の増加に伴いまして条件の悪い工事を中心に発生をしております。しかし、こういった工事につきましても、再発注時にロットの大型化など工夫が行われることによりまして、ほぼ契約に至っている状況でございます。
また、全国では土木工事よりも建築工事で入札不調が発生しておりますけれども、特に公共団体発注の大型建築工事におきましては繰り返し不調となるものが多く見られます。こうした案件につきましても、最新単価の適用ですとか実態に合わせた適切な工期設定などで市場の状況を的確に反映して発注し直した案件につきましては契約が進んできておりまして、したがいまして、入札不調の一番の原因というのは、人や資材の不足というよりは予定価格が実勢価格に合っていないと、これが一番大きな原因だと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
今、原因としては予定価格が実勢価格に合っていないというお答えでありましたが、やはりただそれだけではないかなと私は現場の感覚では思います。やはり今、厳しい工期が資材調達の不足などと相まって、結果、受注すること自体が損になっているというような事態があるかと思います。この前も、埼玉のある地方の土木建設業者二十社ほど集まる会合にお邪魔しまして、いろいろお話をお伺いしました。皆さん公共事業が増えて喜ばれているかと思ったんですが、やはりそうじゃなかったと。資材調達などの困難が工事開始の遅れを生みまして、結果、短くなった工期の下、急ピッチで作業をしなければいけない、それが人件費の高騰を招きまして、結局は現場の利益を圧迫しているという声が多かったです。皆さん、これでは怖くて今後公共事業を受けられないというようなお声もありました。言わば入札参加控えというような事態であると思います。
多くが、国が地方自治体に補助金を交付し行う公共事業の場合なんですが、例えば、予算が付いた後、地方議会で議決、了承しまして、そこから設計を始め、さらに各種ヒアリングなどを行って、大体、結局、手続開始から入札までは四か月ほど掛かると。落札、契約の締結はどうしても十一月頃になって、それから資材調達を開始するわけですが、とにかく今、資材が入らない。結局、工事開始できたのは一月半ばで、そこから年度末の三月末まで残り一か月半でやらざるを得ないと。こういうような話が幾らかございまして、短い工期で仕上げるため、職人さんを雇うにもやはり通常よりも高い労務費、例えば一万八千円だったものが三万四千円と倍近くの賃金でやることになって、費用もかさんでしまって利益も出ないと、こういうような話が複数ございました。この事態、アベノミクスの二本目の矢である公共事業を含めた財政出動、この景気波及効果という観点からもゆゆしき事態であるかと思います。お金がしっかり裾野まで回っていないと。
そこで、大臣にお尋ねいたします。地域雇用を支えているこれら地場の建設土木業者にしっかりとお金が行き渡るように、工期の柔軟性を図りやすい入札の在り方などを検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。御所見をいただければと思います。

○国務大臣(太田昭宏君)

先ほど局長からお話がありましたが、東北三県と全国というのは、これ全く様相が違います。全国で平均しますと、大体、去年の四月からいきますと、入札不調というのは七%ぐらい、その前の年は大体五%ぐらいということです。そして、東北の場合も、これは仙台市などは四八%ぐらい。これが、大体去年でいいますと若干下がってきていると。岩手がかなり上がって十数%だったのが二五%ぐらいになっているんですが、これは、去年の夏の大雨が降ったということに、かなり仕事がそちらに先に行ったというようなことがございます。
価格が合わないということを御報告しましたが、この辺は、今までの感覚に従ってやっているということであると二回、三回と。特に、地方自治体の建築部門というのは議会で決めるというようなこともありまして、なかなかそこに価格が合わないという形での入札不調現象が起きてきているということです。しかし、価格を合わせる、あるいはまた全体像を見せるということの中で、全国的に二回目ではほぼ契約がされているという状況にございます。
今、矢倉先生が指摘した問題の工期という、これは、人の問題と資材の問題と入札不調の問題というのは三つそれぞれ手を打ってきているところでありますけれども、工期ということについてはこれまでも国会では余り指摘がございませんでしたが、この工期ということは、入札不調を一つ抑えると。そこは、入札不調がありますと工期が短くなるということがありますから、入札不調をなくしていくということに努力をするということがまず必要だと思います。
それから、現場の中小の建設業者にとりましてみると、国が出してくる仕事、県が出してくる仕事、そして市町村で出す仕事というのがばらばらにあるものですから、全体像が見えると、そうすると、ここのこれを取る、次はこれを取るという目算が立つということが非常に大事だという指摘がありまして、これについては、全国的に見通しが利くようにそれぞれのところの発注ということの姿を見せるということをやらさせていただいております。
第三に、工期の設定を工夫するということも極めて大事でありまして、発注の平準化を進める、資材調達に必要な期間を見て余裕を持った工期を設定する、あるいはまた、年度を越えて工期を延長するという必要がある場合には適切に繰越手続をする、簡単にできるようにするというようなことも含めて、工期の問題ということについて言うとそういうところだというふうに思います。
全体的にいろんなことを業者の方もおっしゃるわけでありますけれども、それぞれ、資材不足にはどう手を打つ、人不足にはどう手を打つ、労務単価を引き上げたりさせていただきましたけれども、それぞれのところの隘路というものをどう打開するかということを、私はきめ細かく全国をよく見ながらやらさせていただいているというのが現状でございます。

○矢倉克夫君

ありがとうございました。
今大臣おっしゃってくださいましたとおり、まず入札不調をなくしていく、不調が当然工期を短くしていたということはおっしゃるとおりであると思います。
それで、工期の面に関しては、やはり様々、個々の事情で責めがあって工期、間に合わなくなったという場合もあれば、やはり全体的な流れとして資材不足というのがある、責めに帰さない部分で工期がやはり短くなってしまったというようなこともあるかと思います。その辺りも含めて、入札の場面で、今後の事情変更に応じたやはり工期の設定変更などもしっかりできるかのような条件の設定というのもこれから大事になってくるかとは思います。
大臣もおっしゃってくださいました、後ほど、この後質問しようと実は思っていたんですが、やはり大事な部分は、その工期等の、また短くなった工期が圧迫をするというような部分含めて、これらを解消してやはり発注も含めた平準化も図っていくことであるかと思います。まさに同じように、地方の方でも、発注の平準化が図れないのが困る、三月末まで忙しくて、四月になったら急に楽になってしまうと、こういうようなのはやはり現場にとっても徒労感が非常に多くなってしまう。
次に、御質問なんですが、改めてですが、この発注の平準化についてどのように対応されるのか、答弁いただければと思います。

○政府参考人(本東信君)

発注の平準化について御質問をいただきました。
公共事業の実施に当たりましては、委員御指摘にございましたように、入札契約等に要する準備期間が必要でございます。そういったことから、例年、年度当初は工事量が比較的落ち込むという傾向がございます。しかしながら、今回、二十五年度補正予算につきましては、昨年の二十四年度補正予算に比べまして一か月程度早く成立させていただいております。このため、この補正予算を早期に執行していくことによりまして、工事の発注量が落ち込む年度当初に公共工事が実施可能となりますので、工事発注の平準化にも効果があるというふうに考えております。
政府といたしましては、今回の消費税率引上げに伴う景気の下振れリスクに対応するために、今回の二十五年度補正予算につきましては、六月末までに七割程度、九月末までに九割程度を実施するということにいたしております。国土交通省といたしましても、この目標の達成に向けまして最大限取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
今話にありました補正予算が早く成立できたという点、その部分も含めて今後の早期の執行に非常に良かった点であるかと思います。早期執行できれば、その後の工期の在り方等も含めて非常に工夫がなされるのではないかと思います。是非、財務省や総務省ともしっかり連携を組んで早期執行を実現をしていただければと思います。
それでは、次の質問に移らせていただきます。高規格幹線道路整備、特に未開業部分、いわゆるミッシングリンクについてでございます。
二十四年度予算から二十六年度予算まで道路関係予算、毎年約一兆三千億円、このうち大部分がいわゆる高規格幹線道路の整備に利用されております。埼玉でいえば圏央道であると思います。例えば、この圏央道が全線開通いたしましたら、東北道を通じて東北全域にも物流がしっかりと広がる、さらに関越を通じて新潟まで、そしてまたさらに、その先を行けば海を越えてあるいはロシアやヨーロッパまでというような、本当に壮大な物流網の起点になるものだと私は思っております。
ただ、このミッシングリンクが存在することで物流という経済効果に関して、本来であれば百ある効果が発せられるような道路が、ぶつ切れになっている部分だけ百のある効果が十しか影響を発揮できないというようなこともあるかと思います。この部分について、このミッシングリンク解消等に当たっての現状の対策を含めて御答弁をいただければと思います。

○政府参考人(徳山日出男君)

御指摘のございました圏央道でございますけれども、都心から半径四十キロから六十キロメートル圏域の環状道路ということでございまして、まずは首都圏の慢性的な渋滞緩和に大きな役割が期待をされております。
一方、先生御指摘のとおり、この圏央道の開通に合わせまして、これまでにない規模の機能の高い物流施設が今や多数立地をし始めております。これによりまして、当日の配送できるエリアが大幅に拡大するようなことが見込まれるなど、我が国の物流を変革する効果も期待をされております。
また、こういう平時の効果ばかりではなく、首都直下地震が起きた場合でも、首都圏各地への物流を迅速に輸送できるなど、災害時における緊急輸送道路の確保の観点からも重要であると認識をしております。
こうした点を踏まえることになりますが、少しでもコストを縮減しながら、きちっと評価をしながら、こうした圏央道を始めとする高規格幹線道路ネットワークの強化に取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
圏央道を含め、いわゆるミッシングリンク解消、今コストのお話もありました、確かにそこは問題であるかとは思います。といいますのも、他方では老朽化対策等も待ったなし。このように新規のものを造るとはまた別に、先日も国土交通省の道路分科会で報告ありましたとおり、市区町村の九割が、橋などの老朽化対策に係る予算不足について懸念を示しております。
大臣にお尋ねいたしますが、新規着工部分、重要なものもありつつ、既存にあるものの老朽化対策、これも非常に重要であります。限られた予算でいかにバランスよく図っていくのか、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(太田昭宏君)

公共事業全体ということからいきますと、今までは、公共事業は無駄であったり、あるいは悪玉であるというような、そうした声が随分多く聞かれたというふうに思います。無駄な公共事業は削る、必要な公共事業はやる、当たり前のことでありますけれども、そこが大事だというふうに私は強く思っています。
同時に、去年、私はメンテナンス元年というふうに銘打ちました。それは、今までほとんど注目をされてこなかった防災・減災あるいは老朽化対策。首都直下地震や南海トラフの地震に対して防災・減災という手を打つことは極めて大事です。そしてあわせて、この老朽化対策と。
高度成長時代に造った建造物が、もうこれが五十年を経過して、そして劣化を始めてきているという。一九八〇年代、一九三〇年代のいわゆるニューディール政策によってアメリカが造ったものが、五十年たちまして八〇年代、荒廃するアメリカと、こう言われて、橋梁が落ちたり様々な事象が起きました。同じようなことがこれから起きてきているということで、この公共事業予算は去年そして今年と実際は、事実上はほとんど横ばいということになっているわけでありますけれども、先ほど、入札不調がということは公共事業が増えているというふうに言う方多いんですけれども、実際は横ばいの予算組みをしておりまして、実は民間工事がアベノミクスの中で活発化しているということもまた、やる方は、建設業者は同じでありますので、同じようなことが加わっているという御認識をいただければと思います。
この老朽化対策にどう力を入れるかという、そういう意味では、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、ここのところにかなり重点的に私どもは今予算組みをさせていただいておりまして、先般成立させていただきました補正予算では約五六%、そして本予算においては五三%、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、ここに重点的にこの予算を組んだというのが実は昨年、今年の予算組みの大きな特徴でございます。
そこは相当手を入れていかなくてはいけないというふうに思っておりますが、さりとて経済戦略的な道路、ある意味では圏央道などもそうでありましょう。そうしたことからいきますと、それを、僅かのところ、残っているところを結ぶことによって、圏央道周辺には既に工場が大変多く立地している、埼玉にはですね、というような現状がありまして、これは関越とも結び、東北道とも結び、そしてまた成田の方向にも結んで、途中には国際会議ができるつくばというものも通るというような、そして東名にも間もなくつながるというようなことになりますと、相当これは経済効果ということを、利便性だけでなくて及ぼしてくるというふうに思います。
財政が制約をしています。無駄なことはやらないということについては私も強い信念を持っています。その制約のある中で、どのように防災・減災、老朽化対策、耐震化、メンテナンスというものをやりながら、そして経済の、戦略的にどこをつなげていくかということを併せて全体的に見ていって私はこれからの計画を立てていかなくてはならないということで、正直言いましてなかなか大変な作業なんですけれども、吟味をさせていただいているところでございます。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
是非、老朽化対策、非常に待ったなし、他方で造らなければいけないものはまたしっかり造っていく、この辺り、非常に難しいバランスではありますが、よろしくお願いいたします。
それでは、ちょっと一つ先に飛ばさせていただきまして、農林水産省にお尋ねをいたします。耕作放棄地の問題であります。主に農地の再利用、利活用についてとなります。
かつては耕作放棄地、日本全国で三十八万ヘクタール、埼玉県と同じだと言われていたのが、最近は滋賀県、四十万ヘクタールほどになってきた、どんどん増えてきたというような形を言われております。
それで、農水省にお伺いをいたしますが、国はここ数年、耕作放棄地対策の補助金として年平均二十億円を計上しているという理解でおります。これにより、どのように効果が見えたか、御答弁いただければと思います。

○政府参考人(三浦進君)

お答えいたします。
耕作放棄地の再生につきましては、雑木の除去ですとか土壌改良など、作物の栽培に向けた再生作業に一定以上の労力と費用を要する荒廃農地につきまして再生利用を行う取組を支援しているところでございます。
具体的には、平成二十一年度から、耕作放棄地再生利用緊急対策交付金によりまして、十アール当たり十万円以上に相当する再生費用を要する荒廃農地を対象といたしまして一定の助成措置を講じております。これによりまして、平成二十一年度から二十四年度までの年平均で約一千ヘクタールの荒廃農地が再生されたところでございます。
また、この対策による再生のほかに、比較的簡易な作業などによる自主的な再生等が行われておりまして、これを含めまして平成二十一年度から二十四年度までの年平均で農用地区域内では約七千四百ヘクタール、これも含めて全農地では約一万ヘクタールの荒廃農地が再生されております。
農林水産省といたしましては、引き続き、自力では再生が困難な荒廃農地の再生の取組への支援を通じまして、耕作放棄地の再生利用に努めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

御答弁ありがとうございます。
今のお話ですと、国の補助金を使った上での再生部分は年平均千ヘクタールということであります。今御説明ありましたとおり、私たち、普通に耕作放棄地というと、もう荒れ放題、足の踏み場もないようなものをイメージしがちであるが、どうも耕作放棄地というものに対してはイメージが様々あって、そういうものもあれば、少し荒れていると、自力で手を加えれば何とかなるようなものもあるというような、その分類の上での御答弁であったと思います。
今の答弁は、そのうち、特にやはり国がしっかりと支援をしなければ再生できないような耕作放棄地についてしっかりと予算を付け、そして審議をしていき、またそれで再生していき、年で千ヘクタールほどできているというようなイメージがあります。逆に言うと、それ以外は多くは自力再生できるものだということが分かりました。
といたしますと、耕作放棄地対策の肝は再生の担い手探し、特に農地所有者が自ら耕作する意思がない、又はできないような場合における新たな担い手探し、これを探していくことも耕作放棄地対策にとっては重要であるかとは思います。
これについて、例えば埼玉県の深谷市の農業委員会が面白い取組を以前からしておりまして、名前としてはアグリ・ハローワークというものなんですが、深谷市内での耕作放棄地状況を全てデータベース化いたしまして、ホームページに載せて、そこをクリックすれば耕作放棄地の状況や面積等が全て一覧できるというような状態になっております。実際、それを見て、この耕作放棄地なら自分で自力で再生できるなと思った方がいろいろ申請をして、そこで新たに農地として再生をしていくというようなマッチングがなされているというようなことを聞きます。
今後の耕作放棄地対策の在り方として、このようなデータベース化、現状の状況がどうであるか、それについて、耕作放棄地についてニーズを感じる方がその情報を見て積極的に取り組もうと、そこでマッチングするための情報の在り方等も含めた対策が必要かと思いますが、この辺り、御答弁をいただければと思います。

○大臣政務官(横山信一君)

委員御指摘のように、深谷市の農業委員会でのアグリ・ハローワーク、耕作放棄地解消の成果を上げているということは存じ上げております。
耕作放棄地の解消や農地の流動化を進めるためには、各地域の農地の利用状況等をデータベース化し、これを電子地図上に表示し誰でも見られる状況にすることが極めて重要と考えております。
このため、昨年秋の臨時国会で成立をいたしました農地中間管理機構関連法の中で、農地法を改正し、農業委員会が農地台帳及び電子地図を整備し、インターネットで公表することを法律上義務付けたところでございます。このシステムを活用して、耕作放棄地の解消と農地流動化を積極的に推進をしてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
深谷の例など、各耕作放棄地の写真情報なども掲載しております。将来的にはそこら辺りも含めて、しっかりとより良い情報公開等、また農地中間管理機構による農地集約化などにも是非生かしていただきたい、このように思っております。
さて、大臣にお伺いしたいと思います。
耕作放棄地再生の担い手像を含め、農地の利用については、私はもっと多様な姿を想定してもよいかと思っております。
例えば、また同じ埼玉で恐縮なんですが、NPO法人さいたま自立就労支援センターという組織がございまして、NPOですが、ホームレスの方々の力を結集して、実際に埼玉県の本庄にある耕作放棄地九千平方メートル、〇・九ヘクタール再生したというような事案がございます。また、私、埼玉の西部の飯能市にあるNPO法人たんぽぽという在宅介護支援のNPO法人にお邪魔をしたときの話が印象的だったのですが、そこは農業ソーシャルファーム事業というものを立ち上げまして、介護事業で得た収入を農業経営に回して、入所をされている障害者の方々などの、要は就業困難者の方々の雇用確保を図っております。実際、農作業を行うことで、更にそういう入所者の方々の障害の程度がどんどんどんどん下がっていっている、そういうようなお話も聞きます。やはり、こういう点では、農地というのは、また農業というものは、例えば、就労の支援も含めてそうですが、健康維持やまたコミュニティー維持、様々な分野で非常に意味のある、利活用のできるものであるかなというふうに私は思います。
そこで思い当たるのは、例えば、これもまた一例なんですが、病気や障害などで生活に困難を抱えた方々が少人数一般住宅で生活する社会介護施設、いわゆるグループホーム。グループホーム、今、全国的に不足している問題が指摘されております。例えば耕作放棄地、あるいは放棄地から再生された農地のような場所に、一部地域にこういったグループホームが建設しやすい条件等をしっかりと整えて後押しをしていく、今後の地域包括ケアシステムという形で地域でしっかりと支えていくというような体制をつくる上でも検討に値することではあるかと思います。
特に、希望がある人を受け入れるということではなく、より積極的にまた推進していくというようなことを含めて大事であるかと思いますが、大臣の御所見、いかがでございましょう。

○国務大臣(林芳正君)

今委員がおっしゃったように、耕作放棄地、これについては、やはり再生利用が可能なものは担い手への集積について活用する、これは基本なんですが、受け手が見付からないような場合等々で今おっしゃった福祉農園等として活用すること、大変有効な方策の一つだと考えております。農林水産省としても、耕作放棄地を再生して例えば休憩所等を備えた福祉農園として整備する取組に活用できる支援措置を講じてきたところであります。また、二十五年度から、高齢者、障害者等を対象とした福祉農園の取組の拡大に向けて、厚労省と連携をして、「農」と福祉の連携プロジェクトを推進しているところでございます。
私自身、つくばにこの独法が幾つかありますので、そこを視察したときに、現地でそういうことをやっていらっしゃるNPO法人訪れましていろいろ聞いてみますと、やはり実際作業することによって非常に、室内でずっとストレスのたまる作業をやるよりも、大地の中で作業をするということで非常にそういう方が生き生きと仕事をしていただく、場合によっては健常者の方よりも、同じ作業を何回も繰り返すというような農業がございますが、そういうことには非常に得意な方もいらっしゃると。こういうことも分かってきて、丸の内でマルシェをやっておられますが、そこにちょっと御紹介して、今、障害者の皆さんがお作りになったものが丸の内の地下街で月一回か二回ぐらいですが売っていただいている、その売り子もそういう方々がやっていらっしゃる、こういう話が出てきておりますので、我々もしっかりと後押しをしていきたいと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
空き家対策についても実はお伺いしたかったんですが、時間もございましたので、これで質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

小規模事業者が元気な社会

2014-04-15 メルマガ

矢倉かつおです。

川沿いに咲く菜の花が美しいです。桃色の桜とあわせ、春は本当に彩り豊かだと感じます。

来週日曜の20日、埼玉県では秩父市・春日部市・久喜市・上里町が、それぞれ市町議選の投票日を迎えます。先日、選挙応援のため、埼玉県久喜市にある鷲宮地域を訪れました。

鷲宮は人気アニメの舞台として有名です。そこに目をつけたのが地元の商工会でした。地元業者の大半を占める「小規模事業者」(従業員5名以下の企業)にもっと元気になってもらおうと、アニメ出版元である大企業等との連携を実現、「聖地」観光と銘打った地域おこしキャンペーンにより、県内外からの観光客を激増させ、地元経済を活性化させました。

この鷲宮の実績は、地元の小さな企業活性化の好例とされます。公明党久喜市議団も、商工会やNPO、銀行などによる地域支援の枠組み(シティプロモーション活動)構築に並々ならぬ力を発揮しました。国も今後、日本全国の「小規模事業者」が抱える課題(販路開拓や後継者不足解消など)解決のため、地元商工会や商工会議所の一層の役割増大を期待し、商工会および商工会議所と「小規模事業者」の関係を基軸に、地方公共団体やNPO、金融機関などとの連携への後押しを進める予定です。(小規模支援法案)。

国の「小規模事業者」重視の姿勢は、「現場を歩く公明党の姿勢が、役所に反映された結果」(私の国会事務所を訪ねてきた中小企業庁の幹部の言葉)といえます。

これまで、政策の焦点があてられることの少なかった「小規模事業者」ですが、その数、なんと約334万者。これは、385万者ある中小企業のおよそ87パーセントにものぼります。景気回復の実感を隅々まで届けるために、小規模事業者を無視した政策は意味がありません。しかも、「小規模事業者」には、地域の雇用を維持し、また、地域と「顔のみえる関係」で信頼関係を築くという積極的役割があります。その事業の持続的な発展は、日本経済にとって大きな意味があります。

今後は、地域に密着した「小規模事業者」の潜在力を引き出すため、地域外に販路を拡大し地域内にお金をおとす「コネクターハブ企業(地域中核企業)」と「小規模事業者」との「連携」など、より総合的な施策が必要となります。「小規模事業者が元気な社会こそ、元気な日本である」、この考えのもと、「実感できる景気回復」を実現いたします。

消費増税にあたり

2014-03-31 メルマガ

矢倉かつおです。

我が家の目の前の桜が一気に花開きました。春です。

明日より消費税が増税されます。よく頂くご質問に、あらためてお答えしたいと思います。長文、かつ少し複雑な内容になりますが、お許しください。

まず、何故、消費税をあげる必要があるか。
一言で言えば、増え続ける年金や介護、医療や子育てなど社会保障費用の負担を、これから生まれてくる子どもたち世代に押し付けないためです。

高齢化社会をむかえ、国の予算総額約96兆円(2014年度)のうち、社会保障費は、はじめて30兆円を超えました。この25年間で、およそ3倍となりました。今後、ますます増えます。

今、国は、この増え続ける社会保障費の多く(想定で、ほぼ半分)を、「国債」という借金でやり繰りしています。そして、その「借金」を返す義務があるのは、まだ生まれていない将来世代です。今を生きている現役若者や高齢者世代のための社会保障制度を支えているのが、これから生まれてくる世代なのです。そうではなく、今の社会保障は出来る限り、今生きている世代が支払う「税金」で、つまり消費税でまかなおう、と政治決断をいたしました。これが税と社会保障の一体改革といわれているものであり、今回の増税の理由となります。

1)    社会保障の「安定」のために
では具体的に消費税をどう使うか。消費税が5%から8%になると、「初年度は」およそ5兆円の増収となる予定ですが、この増収分はすべて社会保障の「充実」、「安定化」に使われます。

この5兆円のうち、2兆9500億円を、国民年金(具体的には、全ての年金受給者に支給される老齢基礎年金です)の財源として使います。国民年金は、その半分を皆様からいただいた「年金保険料」、残り半分を「国費」でまかなっています。しかし、その「国費」部分ですが、実は、「借金」に頼るだけでなく、「特別会計剰余金」という本来別の目的で使われるべきお金などをまわし、なんとかやり繰りしているという不安定な状態です。そこで、安定財源としての消費税が使われます。

残り2兆円のうち1兆3000億円ほどは、高齢化により自然に膨らむ医療や介護費などに充てるとともに、その他、借金で賄っている社会保障費の財源の安定化に充てます。これも、将来世代への負担を回避するためです。

2)社会保障の「充実」のために
残った7000億円のうち2000億円は、医師や介護士への報酬調整分(増税による経費増軽減のための)として使い、5000億円は、社会保障の「充実」にあてられます。例えば、医療費が高額になった場合でも、多くの世帯にとって、上限月最高8万円ほどだけ払えばよいわけ(高額療養費)ですが、この上限を更に5万円に下げます。他に、低所得者の方々の健康保険料低減や難病対策、父子家庭への遺族年金などの資金に消費税を充てます。そして特に大事な点は、やはり少子化対策です。子育て世代が安心して働けるよう、保育所の整備や保育士の確保など「待機児童解消加速化プラン」に使います。

ちなみに、消費税が10%となった時、この社会保障の「充実」は、育休手当の拡充や低所得の高齢者の方のための年金増額、また短期労働者の方への年金や健康保険拡充などが加えられ、総額2兆7000億円となる予定です。

以上が消費税の使い道になります。もとより未来への不安をなくすための消費増税ですが、現在の不安が増幅する事態は避けなければいけません。公明党として、低所得者対策などきちんと対応してまいります。

かつおニュース VOL2

2014-03-29 かつおニュース

通常国会前半戦を終えて(下)

2014-03-28 メルマガ

矢倉かつおです。前回に引き続き、通常国会前半を終え、主に予算についてご報告いたします。

2014年度予算は、総額約96兆円です。このうち国債の占める割合は、総額約41兆円(43%)であり、近年では久しぶりに、税収が、国債発行額を上回りました。国債という借金を払うのは、生まれてくる将来世代であり、未来につけを回して現在のお金のやり繰りをしている状況は可能な限り改善していかなければいけません。

予算の特色として、ものづくり企業支援等、中小企業対策が充実していることなどがまずあげられます。これらは公明党の主張の反映です。

野党の一部は、公共事業費が前年度に比べ13%増加していることを激しく批判します。しかし、この増加分の大半は、特別会計からの組み入れ、つまり、別の財布で賄っていた費用をこちら(一般会計)で賄うようにした結果であり、支出は実質的に増えていません。

更に言えば、「公共事業イコール悪であるというような、単純なレッテル張りからは本当に脱却しなくちゃいかぬ」(予算委員会での太田国土交通大臣答弁)と思っています。竜巻や台風、豪雪など近年の異常気象を考えると、尚更、その感を強くします。今回、公共事業費に占める防災・減災、老朽化対策の割合は、約47%から約53%に増加しました(そのほかは、物流ネットワークの整備など)。もちろん、この公共事業支出を景気回復につなげていくには、地方の零細な企業にもお金がまわるよう公共事業入札のあり方を考えるとともに、工期のあり方(現場を疲弊させる年度末駆け込みをなくす)なども考える必要があると思います。

予算のもう一つの特色は、社会保障と税の一体改革のもと、社会保障の「充実」と「安定」が図られていることです。このなかには、地域包括ケアシステムなども含まれます。社会保障費は今回、はじめて30兆円を超えました。今後も増加の見込みです。特に消費税の増税分5兆円の使い道については、次号メルマガで詳細を書かせていただきますが、「基礎年金国庫負担割合2分の1への引上げ(2.95兆円)」「社会保障の充実(0.5兆円)」「消費税率引上げに伴う社会保障費の増額(0.2兆円)」「後代への負担つけ回しの軽減(1.3兆円)」の4本柱となっており、全て、社会保障の充実・安定に使われます。一部の野党より、消費税増税のうち、社会保障に使われるのは2200億円だけだ、という批判がありますが、これは増税分のうち社会保障の「充実」に充てられる一部だけを切り取り、さも、それが全てであるかのようなことを宣伝するための批判です。

一つ残念だったことは、参議院の予算委員会の集中審議(テーマを決めて審議するうことです。5回行いました)において、「社会保障」をテーマにするよう与党がいくら求めても、野党が応じなかったことです。「社会保障」では、NHKの籾井会長や小松内閣法制局長への追求が出来ないため避けたのでは、との声もあります。
テレビが入っていることを意識して、ひたすら責め立てることだけに時間を費やすことはいかがなものかと思いました。

【矢倉かつお】予算委員会質問_20140312

2014-03-25 矢倉かつおチャンネル

186回 文教科学委員会(私立学校法案 自主性と公共性のバランス等)

2014-03-25 国会質問議事録

○矢倉克夫君

おはようございます。公明党の矢倉克夫です。
ただいま議題になっております私立学校法の一部を改正する法律案、会派を代表して質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、理念的な確認をさせていただきたいと思います。今回の法律の背景にある部分でございます。大臣にお尋ねいたします。
そもそも私学の自主性というのはなぜ認められているのか、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

私立学校は、私人の寄附財産等によって自発的に設立されたものであることや、独自の建学の精神に基づき多様で特色ある教育を実施していることなどの特性を有するものであるということから、その運営は自律的に行われるべきものであります。
このため、教育基本法や私立学校法においても私学の自主性の尊重が明記されているところでございます。具体的には、所轄庁の権限を国公立学校の場合より制限すること、解散命令等を行う場合には私立学校審議会等の意見聴取を義務付けることなどの仕組みが整えられております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
他方で、私立学校法の目的には「公共性を高める」という文言、目的の中に含まれております。自主を重んじる私学に対して公共性を高める、一見相反するかのようにも読めるんですが、大臣は私学における公共性というものをどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。介入の根拠にも関連するかもしれませんので、御答弁をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

私立学校も、教育基本法第六条に規定する公の性質を有するものでありまして、公教育の重要な一翼を担うものでありまして、その公共性を高めることが重要であります。
このため、私立学校も学校教育法の適用を受けるほか、私立学校法においては、理事や評議員などの規定を設け、私立学校を運営するにふさわしい学校法人の組織運営について定めるとともに、法令違反等の場合における解散命令など、所轄庁に一定の権限を与えているものであります。

○矢倉克夫君

自主を重んじる私学、他方で、社会の中での一構成員としてのルール、また存在するためのやはり必要な遵守すべきもの、事項、いろいろ様々、公共性を守る上で大事な部分はやはりあるんじゃないかなという御答弁であったと思います。
やはり重要な視点はこの自主性と公共性のバランスというものを考えていくこと、その観点を念頭に置きながら、今般新たに導入されました規定、具体的には六十三条に基づく立入検査、また六十条に基づく措置命令、それぞれの要件について簡単に確認をさせていただきたいと思います。
まず、先ほども石橋先生の方からお話もありました六十三条、特に「法律の施行に必要な限度において、」という文言でございます。ここに言う法律の施行とは、衆議院の文部科学委員会における我が党の中野洋昌議員の質問に対する答弁として、先ほども話もありました、措置命令、解散命令等の対象となり得るような事態に立ち至っている場合、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために、との意味であるという御答弁いただいております。
そうであれば、文言としてより明確な形で、措置命令、解散命令等、対象となり得るか否かの判断に当たり必要な限度という記載も可能ではあったかと思うんですが、今のような「法律の施行に必要な限度」という形での文言に至った経緯を御答弁いただければと思います。

○政府参考人(常盤豊君)

この法律に、必要な限度においてとは、今御指摘ございましたように、本法に定める措置命令や解散命令等の対象となり得るような事態に立ち至っている場合、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために行われるということを想定しております。
この改正案第六十三条の規定でございますけれども、他の法人制度における最近の規定例も踏まえまして法制的に検討した結果、「この法律の施行に必要な限度において、」というふうに規定をしたところでございます。

○矢倉克夫君

他の規定の文言を準用してという御答弁でありました。
ただ、やはり解釈の場合には文言が重視される部分があり、何を解釈として利用したかというところはなかなか見えない部分もひょっとして出てくるので、この「法律」という言葉だけですと法規全体になってしまいますから、ある程度やはり明確性というのは今後大事になってくるかなと思います。
この点はまた改めて後で確認もさせていただきますが、運用に当たっては、明確な、先ほど衆議院の方でも御答弁のあった、線に沿った上での運用という部分、しっかりと維持していただきたいというふうに改めて要望させていただきたいと思います。
それで、また今の関連の質問になりますが、この法律の施行に必要な限度においてという要件に該当し、そのための立入検査をした場合において、対象となる事実が存在するかを判断するための立入検査ということですが、当然ですが、その立入りもした場合も、先ほど来の目的に従った範囲での限定されたものであるということがやはり自主と公共性というバランスを図る上でも非常に大事な部分ではないかなと思っております。
特に、六十三条、任意捜査と違いまして、命令といえば強制に基づく措置であります。その範囲もしっかりと画していくための議論も必要であるかと思いますが、例えば別件捜査のようなことが起きないようにする必要もある。この点については、立入り範囲というものも含めて、範囲の適正化を図る上でどのような運用をされる御予定であるのか、御答弁をいただければと思います。

○政府参考人(常盤豊君)

報告及び検査でございますが、本法に定める措置命令や解散命令等の対象となり得るような事態、それらの命令を行う事態に立ち至っている場合に、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために行われるというものでございまして、限定的に行い得るものでございます。
具体的には、任意の報告の求めや調査では必要な書類等の提出が行われないなど、十分な対応がなされず、所轄庁が法人運営の実態を十分に確認できない場合に行われることを想定をしております。実際の運用に当たりましては、検査をより効率的かつ適正に行う観点から、検査の日程や場所、調査することが想定される項目や書類などについては事実上の行為としてあらかじめ当該学校法人に通知することになると考えております。
なお、報告及び検査の結果によりまして、その後に命令等を行う場合には、あらかじめ私立学校審議会等の意見を聴かなければならないということとしております。

○矢倉克夫君

引き続き、適正な手続面という面も認識をした上で御検討いただければと思います。
続きまして、六十条の措置命令の方に移りたいと思います。
この点も既に衆議院の方でも質問が出ているところですが、この要件のうち、運営が著しく適正を欠くと認めるとき、この点についても、また我が党の中野洋昌議員の質疑による答弁になるんですが、このように答弁をいただいております。私立学校の設置者として求められる要件を欠く場合であり、かつ自主的な改善が望めない学校法人に対して措置命令を行うというものでございました。
例えば、これはまた文言の問題になるんですが、同じような条文を持つ公益認定法などは、是正措置の発動の要件として、公益認定法第五条に掲げる基準のいずれかに適合しなくなった等、疑うに足る理由がある場合としております。今回の六十条は、ここで言う、済みません、疑うに足る相当な理由ですね、失礼しました、相当な理由という言葉は特に入っておらず、「認めるとき」というふうにしっかり書いておりますが、この趣旨は、さきに挙げた立入検査などで集めた資料により認定がされたときであるという趣旨と理解してもよろしいでしょうか。

○政府参考人(常盤豊君)

措置命令を行う場合の要件とそれから具体的に行い得る事例については、既に衆議院でもお答えをさせていただいているところでございます。
そして、このうちの運営が著しく適正を欠く場合とは、明白に法令違反とまでは言えないけれども措置命令を行い得る事例としての要件を満たしている場合、そのうち、私立学校の設置者として求められる要件に照らして適正を欠く場合で、具体的には、理事の地位をめぐる訴訟により必要な予算の編成や事業計画の作成がなされず教育研究活動に支障が生じている場合などが想定されるところでございます。
このような事態において措置命令を行う場合としては、単に漠然と疑いがあるという状態ではなく、学校法人の運営に著しく適正を欠く事態に立ち至っている場合であり、任意の報告の求めや調査、又は改正案第六十三条による報告徴取及び検査により必要な事実が確認された場合に行うことを想定をしております。

○矢倉克夫君

しっかり、この要件が満たされると認定された場合であるというふうに確認をさせていただきました。
今まで検討させていただいた要件の話、また手続の話等も含めて、非常に私学の自主性と、またそれを尊重しつつ公共性をしっかり維持していくといういわゆるバランスを取る上では、明確な基準の下、しっかりと判断されて執行されるという点は大事であると思います。
この辺り、これは今まで説明していただいた解釈基準等も例えば施行通知などで明確化すべきであるかと思いますが、この辺りについて御意見をいただければと思います。

○大臣政務官(上野通子君)

今回の法案が成立した際には、今回の制度改正の趣旨及び内容、留意事項等について施行通知を発出することとしており、文部科学省としての法令解釈について関係者に周知を図ることを予定しております。
施行通知の具体的な内容については、国会審議等も踏まえて検討していくこととなりますが、特に所轄庁が措置命令や解任勧告、報告及び検査を行うことができる場合について、それぞれの基本的な考え方やその具体例などについて盛り込むことを検討しており、どのような場合に報告や検査や措置命令を行うかについては各所轄庁がその権限と責任において判断するものであります。その際には、文部科学省が施行通知で示す法令解釈を踏まえて行うこととなります。
文部科学省としては、各種会議等において制度改正の趣旨や留意点を説明するとともに、施行通知の内容の周知徹底に努めてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。引き続き、是非よろしくお願いいたします。
また六十条、その具体的な必要な措置の内容として、こちらも衆議院の方で議論があった点なんですが、学校の経営に例えば必要な資産の不足によりまして教育研究活動への支障が生じている場合におけるこの必要な措置としてどういうものがあるかという質問に対しましては、改善計画を作成し必要な財産を備えるよう命ずるという答弁でありました。
これはあくまで、先ほど来申し上げましたとおり、六十条というのは自主的な改善が望めない状態での措置であるというふうに理解をしております。そのような自主的な改善が望めない状態の学校法人に対して、先ほどの衆議院の答弁ですと、改善計画を作成することを命ずるということでありますが、自主的な改善が望めないような状態の法人に対して改善計画を作成する等を命ずることにどれだけ実効性があるのか、実際上は中身のない、また裏付けのない計画が出てきてしまうのではないかというような懸念も一部ではあるかと思います。
今回のこの具体的な適用について、仮に堀越学園の事案において必要な措置を発するとしたとした場合はどうなったかという点も踏まえまして、御答弁をいただければと思います。

○大臣政務官(上野通子君)

そのような取組を、任意の行政指導によって、自主的に行おうとしない学校法人に対しては、今回導入する措置命令を発動することによって法的な強制力を持って改善計画の作成等を行わせることが可能となり、経営改善に向けた取組が当該学校法人においてより実効性を持って進められるものと考えております。
今質問のありました堀越学園の事例の場合には、御存じのとおり、数年間掛けて繰り返し経営改善の指導を行ってきたにもかかわらず長期にわたり有効な改善計画が作成されず、その結果、改善計画に基づく具体的な取組も行われないという状況にありました。
今回改正により措置命令が制度化された場合には、学校法人の運営の在り方について過去の再生事例なども踏まえて検討し、有効な改善計画を作成し実行することなど、必要な措置を命ずることが可能となるものと考えているところでございます。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
単なる改善計画の提出でよしということではなく、財政状況の悪化を招いた根本の理由含め、今のお話ですと、例えば堀越学園の場合であればどうしてこういう乱脈経営ができてしまったかとか、そういうガバナンスの面も含めてきちんとメスを入れていく対応をこの今回の法律によってまたできるという御趣旨であるとお伺いをいたしました。
引き続き質問をさせていただきます。
この法律の改正の立法事実、関係する部分かもしれません、立法事実としては、大臣も説明されましたが、運営が極めて不適切な学校に対する対処の必要があると。この運営が著しく適正を欠くと認めるときの典型として、衆議院の議論では、財政基盤の脆弱化とかガバナンスの欠如などが挙げられていたという理解でおります。
このうち特に私学の財政基盤が脆弱化していることについての現状の分析、また、今後どのようになるのかということについての分析等がございましたら御説明いただければと思います。

○政府参考人(常盤豊君)

我が国の十八歳人口は減少期に入っております。平成二十四年度は約百十九万人となっているところでございます。主な収入を学生生徒等の納付金に依存する私学にとりまして、単年度赤字となる大学等が増加傾向になるなど、従前に比べて厳しい経営状況となっております。平成二十四年度決算において、単年度収支、帰属収支差額がマイナスの大学数は五百八十八大学中二百八校、三五・四%となっております。
今後の傾向については、二〇二〇年頃までの十八歳人口はおおむね現状同規模で推移いたしますが、その後はまた減少傾向となると予測をされておりますので、厳しい経営状況が続くというふうに認識をしております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
現状、少子化の影響もあるかとは思いますが、やはり各、特に私立大学、財政状況厳しいという現状認識であり、またこれも改善はどうなるかという状態ではあるかなと、横ばいか、それとも更に悪化するかというような分析であるかなというふうに認識をしております。
今後のまさに私立大学の財政再建のためにお伺いしたいんですが、国はどのような方向性を持っていらっしゃるのか。私立である以上、自主の下、国の関与というのは少なくして、あくまで自主、先ほど来よりも話がありましたとおり、自主的な再建が難しくなったときに今回のような六十条のような措置を発するという対応であるのか、それとも国の何か方針として、経営の健全化も含めて、専門家を派遣するための枠組みなども、そういうのを考えて、財政再建、財政がこれ以上悪くならないようにというような状況をつくる方向性を持っていらっしゃるのか、その辺りを含めて、大臣に御所見いただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

近年、十八歳人口が減少しているということに伴いまして、主たる収入が学生生徒などの納付金に依存する私立大学にとっては単年度赤字となる大学等が増加傾向にあるということで、従前に比べて非常に厳しい経営状況になっているところであります。
このことから、文科省として、私立大学等経常費補助金について、平成二十六年度予算では四年ぶりの増額となる対前年度九億円増の三千百八十四億円を計上するとともに、私立学校施設の耐震改築事業への国庫補助制度を新たに創設するなど、私学助成の充実に努めているところでもございます。
特に私立大学が、急速に変化する社会のニーズに的確に対応して、教育の質向上、国際化への対応や地域、産業界との連携などに関する財政支援を通じ、個性、特色ある教育研究を行うために必要な予算上の支援を取り組んでいく必要が、これは更にあるというふうに思います。
私立大学の経営支援については、文科省では、私学事業団と緊密に連携し、各学校法人の経営状況を分析し、個別の経営指導、助言など、経営改善に向けた取組の支援を実施しているところでございます。
今後は、今政府全体の中で議論もしていますが、女性の活用、それから社会人の学び直し等によって、もう一度スキルを学ぶという意味では、やはり社会と学校が連動しながら、もう一度大学に入って、大学院あるいは専門学校に入って学び直してまた社会に行くということを考えると、二十五歳以上でもう一度学び直しをつくるような環境ということで、新たな学生生徒の枠の拡大を図っていくということと、そもそも私学に対する助成金等の拡大を目指すということをもっと力を入れていく必要があると思います。
本来二分の一までということですが、現在は一〇%程度しか私学助成金が出されていない現状がありますので、是非、私学における助成等、文部科学省が更に力を入れて対応していかなければならないと、そういうふうに認識しております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
大臣、最後に私学助成の話してくださいました。私学助成、やはり少ない部分はあるなという、これが直接な理由ではないんですけど、私学の例えば財政の基盤の脆弱化にひょっとしたら間接的に関わっている部分もあるかもしれないなと思います。その辺りやはり拡充が必要であるかなと思います。
今大臣、先ほど御答弁くださった、やはり女性とまた社会人の学びの機会としての大学の有用性というのも、これも非常に重要なポイントであると思います。財政の観点の系列でいえば、当然入学者が少なくなっているから財政悪くなっているわけですけど、その辺りの方面からも、女性であったりまた社会人の方がどんどんどんどんと入って学んでいく、そしてまた新たな知識も得た上でまた大学の財政も良くなっていくというこの方向性は非常にすばらしいものであるなと思います。
もう一点、確認といいますか、先ほどの六十条の必要な措置の前提の結論としては、やはり自主的な改善が見込まれない大学に対して財政再建計画を出すというような措置になるというところではございました。改めての確認なんですけど、やはり必要なのは、そういうような自主的な再建が望めないような状態になる前にしっかりとした経営のサポートをしていく体制をつくっていくことが、ある意味ではこれ六十条の実効性を図る上でも重要な部分ではないかなと思います。
先ほども御答弁いただいたんですが、この大学の経営の在り方、体制についてのしっかりした体制のサポートみたいなものについて、改めて大臣の御所見をいただいて質問を終わらせていただきたいと思います。

○国務大臣(下村博文君)

改めて大学のガバナンス改革については今国会で是非提出をさせていただきたいというふうに思っております。
その中で、大学経営が的確に対応できるような状況をどうつくっていくかということが問われてくるというふうに思いますし、また、今の御指摘の点も踏まえて、一方で、やはり私立学校というのは、自主性を重んじ、また寄附者の大学設置、私立学校設置の理念の下で行われるべきことですから、所轄官庁が結果的に必要以上に介入するようなことがやっぱりあってはならないと思いますし、その辺のバランスを取りながら、しかし、最終的にそのことによって一番学生や生徒が被害を被るということはあってはならないわけでありまして、そういうバランスの中で、私立学校が経営が健全にできるようなフォローアップについてしっかり検討してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。以上で終わります。

通常国会前半戦を終えて(上)

2014-03-25 メルマガ

矢倉かつおです。

春めいてきました。我が家の窓越しにみえる桜も、まもなく桃色の花を咲かせます。

今月20日、2014年度予算が成立、通常国会前半戦が終了しました。この過程において、12日、すでにご案内のとおり、直接、安倍総理に質問いたしました(テーマは「外交・防衛・公共放送」)。NHKテレビ中継をご覧くださった方々から、「よかったよ!」と多くお声をいただきました。元気いっぱいに質問することが出来たのは皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

*質問の状況は、下記リンクよりご視聴いただけます。
http://youtu.be/Cqzp3wITgI4
(動画視聴は、通信費がかかる場合がありますので、ご注意ください)

今回、心がけた点は、一議員と総理ではなく、あくまで人対人、として、対話する思いで質問することでした。質問といっても、外交なのだと思います。パフォーマンス重視の非難ではなく、相手の心に入るやり方を自分なりに追求し、質問いたしました。

質問項目は、日中・日韓関係の改善と、被爆国日本として核なき世界に向けての取り組みの二つにしぼりました。

前者について、2006年秋における安倍総理(当時)電撃訪中の際、中国上海にいた私自身の経験に触れながら、相手の懐にはいる度量と勇気をもった外交を!首脳会談の実現を!と訴える私に対し総理は「日中・日韓・日中韓の関係がアジアの安定のために重要であり、同世代でもある習主席や朴大統領とは、大局的見地にたって関係がつくれるよう、努力・尽力していきたい!」と強く決意を表明しました。また、後者について、被爆三世の方の訴えを引用しながら、国際会議で核廃絶に向けての強いメッセージを発するよう総理に促しましたところ、総理から唯一の被爆国である我が国の立場、十分に主張する、との力強い答弁がありました。

今回改めて感じたことは、我々議員は当選後も党員支持者に支えていただいている、という点です。一国の総理を前にテレビで質問する、足が震えてもおかしくないですが、全く緊張しませんでした、なぜなら、質問しながら、党員支持者の皆様の顔が浮かんだからです。「自分は本当に力を与えていただいている、幸せだ」と実感しました。

初心忘れず、原点失わず、一層精進してまいります。国会はいよいよ後半戦、頑張ります。

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