○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。大臣、よろしくお願いいたします。また、皆様よろしくお願いいたします。
まず、今ソチで、国際情勢いろいろ紛糾する中、パラリンピアンの皆様、一生懸命日本の国旗の下、思いを持って頑張っていらっしゃっております。大臣から一言、パラリンピアンの方々に激励のメッセージをいただければと思います。
○国務大臣(下村博文君)
パラリンピックの選手たちが自らの障害と向き合いながら無限の可能性に挑戦する選手の姿は、人々に大きな夢と感動、勇気を与えるものであるというふうに思います。
ソチ・パラリンピックにおいては、現在アルペンスキーの滑降男子座位とスーパー大回転男子座位の二種目で狩野亮選手が金メダルを獲得されたことを含め、日本選手全体として合計五個のメダルを獲得されております。見事にメダルを獲得された選手及び指導者の方々に対し、心からお祝いを申し上げたいと思います。
また、惜しくもメダルに手の届かなかった選手も含め、多くの日本選手が活躍されている。今後出場する選手の皆さんにもベストを尽くしていただきたいと思いますし、先日、安倍総理と一緒に壮行会、出席をし、全て二十人全員の選手が出席をされておられましたが、激励をしてまいりました。それぞれ個人個人のドラマの中で最大限の日頃の成果を出し切る大会になるように、まだ残された競技種目のパラリンピアンに対してはお願いと応援を申し上げたいと思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
大臣おっしゃったとおり、パラリンピアンの方々は本当にお一人お一人その背景といいますか、これまで様々なドラマを乗り越えられて、今一生懸命頑張っていらっしゃる。そのお姿、私も国民の一人として本当に心温かく見守って、頑張っていただきたいと思っております。
昨年の十一月の私、質問で、このパラリンピックの関係で何度か質問させていただきました。一つは、パラリンピック、ナショナルトレーニングセンターをパラリンピアンの方々が使えるようにというような質問ではございましたが、回答として、まずは、パラリンピック選手のナショナルトレーニングセンターの利用につきましては引き続き関係団体と連携を図っていく、このようにお答えいただきました。この点は引き続き関係団体の方々との協議をお願いしたいと思います。
先ほど橋本先生から、ナショナルトレーニングセンターについての宿泊代であったり食費の無料という御要望がありました。これはパラリンピックにとっても特にやはり重要な部分であろうかと思います。特にこの関係団体、やはりオリンピックに比べてもパラリンピックの方はやはり財力的な基盤も弱い部分もあり、結果としてアスリートの方々への負担に係る部分もあるということも考えられますので、その関連でも、先ほどの無料化という点もまた引き続き御検討いただきたいと思っております。
もう一点は、お答えいただいたのが、既存施設をナショナルトレーニングセンター競技別強化施設として指定し活用する、このようなお話でありました。国の中に一個あるナショナルトレーニングセンターとはまた別に、地域ごとの既存のある施設を利用していくという発想は非常に大事であると思います。
ただ、パラリンピアンの方々も、障害の程度であったり、また競技ごとでいろいろと様々な事情の状況があると思います。やはり何といってもパラリンピックのアスリートの方々に直接ニーズを聞くことが非常に重要であろうかなと思っておりますが、この辺り、先ほども質問一部あったんですが、現状どういうふうに今進められる御予定であるのか、御答弁をいただければと思います。
○大臣政務官(冨岡勉君)
矢倉委員の質問にお答えいたします。
委員御指摘のように、ナショナルトレーニングセンターをやっぱりパラリンピックのためにも造ろうという動きはございます。所沢にあります障害者リハビリセンター等も候補に挙がっているんですが、委員御指摘のように、やはり分散型にした方も使いやすいんじゃないかという意見も強うございまして、それの調査費用名目で調査研究費を計上しております。
したがいまして、今後、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会推進室や厚生労働省等も含めまして、関係団体とそういったニーズとマッチするようなセンターを検討していきたいと思っております。
○矢倉克夫君
引き続き、また調査等も含めて、是非よろしくお願いいたします。
二〇二〇年の東京には、やはりオリンピック大成功とともにパラリンピックを大成功させる使命があると思っております。この六年半の過程の中で、パラリンピック成功することで、やはり何といっても健常者の方、障害者の方が同じように社会の中で活躍できる社会をつくっていくということと、また障害をお持ちの方に対するボランティア精神というのをしっかりと社会の中で植え付けていくということが非常に大事であると思っております。
その中で、今日は関連で若干障害者に対しての教育を受ける権利という部分での質問をさせていただきたいと思います。
最初に、特別支援学級についてでございます。
現状、様々いろんなところのお声をお伺いすると、まだ特別支援学級に対しての、やはり設備等の面の、ハードの面も含めて、まだまだ拡充の余地はあるかなと思っております。
現状、例えば不足教室がどれくらいであったのか、平成二十四年の五月一日の段階でのデータ、ちょっと古くて恐縮ではございますが、その時点で四千六百三十三不足教室があったというふうにお伺いもしております。また、私、個人的にお伺いをした事例の中で、やはりまだまだ障害者に対しての、特に御児童さんの方々に対しての教育環境というのはやはり足りないんだなと思ったことがございました。
あるお母様なんですけど、千葉県の方です。お子さんが脳性腫瘍を患っていらっしゃるということで、なかなか学校、市立、地元の公立も受け入れることはできないというふうに拒否をされてしまって、一番近くにある特別支援学校が、じゃ、どこにあるかといったら、そこから往復で二時間ぐらい掛かってしまうようなところにある。往復で二時間掛かってしまうようなところにある。その場合に、じゃ、バスで迎えに来てくれるかというと、バスでも対応ができないというふうに学校に拒否をされてしまったということで、大変困って私のところに来られました。
我が党の、公明党の市議会議員さんがいろいろ動いてくださいまして、最終的には、週の二回はその地元の近くの特別支援学校の方に行き、それ以外は地元の公立学校の方に通うというような形で話も付きまして、何とかその場は抑えたんですが、やはりこのような事例があちらこちらで頻繁に起きているんじゃないかなということを改めて懸念をするところでございます。
そこで、まず現状、この特別支援学校拡充含めて、政策全般についていろいろ御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(前川喜平君)
障害のあるお子さん方の教育に関しましては、去る一月二十日に批准されました障害者の権利に関する条約におきまして、インクルーシブ教育システムの理念が提唱されております。この理念の実現に向けた取組が現在非常に重要であるというふうに考えております。
このインクルーシブ教育システムにおきましては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、障害のある子供の自立と社会参加を見据えて、その教育的ニーズに的確に応える指導を提供できるよう、通常の学級あるいは通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場の整備が必要になると考えております。
このように、インクルーシブ教育システムにおきましては、特別支援学校も大きな役割を担うものでありますが、文部科学省では、これまでに外部専門家の活用等を通じた特別支援学校の機能強化を図るためのモデル事業等を実施しております。
また、御指摘のように、施設の不足というものが非常に問題でございます。施設整備の観点からは、引き続き特別支援学校の新増築への支援を行うとともに、平成二十六年度からは、新たに廃校でありますとか余裕教室を改修いたしまして特別支援学校として整備する事業に対しまして国庫補助する制度を創設することを予定しているところでございます。
今後とも、これらの施策を通じまして、インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援学校の充実等に取り組んでまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
今インクルーシブという観点の理念も御説明いただきました。非常に大事な視点であると思います。やはり障害のある方は、ここだけの地域、という形で限定をされないで、同じような環境の中でお互い切磋琢磨し合うということは非常に重要であるかなと思っております。
今特別支援学校の件、廃校等も含めて、いろいろとこれは再生していくというような方向性であるというふうにお伺いもいたしました。先ほどちょっと話を挙げた千葉県の方は、県の予算を使って、何とか本来その方がお住まいのところの市で特別支援学校を造っていくことに今調整が付いたということでありますが、今のお話ですと、今後はまた国が更に補助もした上で廃校等も改修していくというような方向になったという点であると思います。非常に重要な点であると思いますので、引き続きその方向で進めていただければと思います。
続きまして、今のは児童の関係ではございますが、次に大学の関係、障害者の関係の設備について質問をさせていただきたいと思います。
私、アメリカに一時期留学をしたことがありますが、願書等を提出すると、各大学どこを見ても、あれっと思ったのは、ホームページ上では必ず障害者に対してのサポートというようなページがアメリカでは必ず入っておりました。日本ではなかなか見かけなかったなというふうに思っていろいろ調べてみましたら、アメリカではリハビリテーション法という法律、また、障害を持つアメリカ人法という形で、障害を持っている方と障害を持っていない方の学生さんに対しての教育機会を均等にするということを非常に理念としてうたっていらっしゃる。この根底には、障害を持っている方の自立を促すことが最終的には社会全般にとっての活力になっていくというような哲学みたいなものもあるというふうにお伺いいたしました。
対して日本は、障害者基本法十六条、教育に関しての条項はあるんですが、対象として明文上書かれているのは児童さん、生徒さん。学生という言葉はまだない状態ではございます。
そんな中、これから日本も大学の学生さんに対する障害対応、障害者の方々への対応というのは非常に重要であるかなと思っております。
データとしましても、今上げられている数で、大学に通われている障害者の方は平成十七年で五千四百四十四人いらっしゃった。それが平成二十四年では今一万千七百六十八人、倍増しているという。これは、元々障害を持たれた方が増えたということよりは、どんどんニーズが増えてきているというか、掘り起こされてきているという経緯があると思いますが。また、その中で発達障害の方が平成十八年では百二十七人であったのが、平成二十四年では何と千八百七十八人まで増えているというような状態でございます。
大臣の所信の中では、この大学生の障害をお持ちの方に対しての政策というのは直接明文では書かれていなかったと思いますが、改めて今、今後この問題について大臣としてどのように進めていかれるか、御所見をいただければと思います。
○国務大臣(下村博文君)
この件は矢倉委員と問題意識は全く同じでありまして、私は、昨年の十二月に福島に視察に行ったとき、小中高連携の特別支援学校に行きました。そのときに、その高校生たちの作品を見て驚いたんですね。自閉症の子とか、それから学習障害、発達障害、身障者、いろんな子供たちがいる特別支援学校でしたが、すばらしい芸術性を持った作品が埋もれているんですね。
しかし、結果的にはその子たちの高校卒業した後の行き先は軽作業所のようなところしかなくて、せっかくその持っている才能をもっと引き出すようなことをしたら、これは社会に迷惑を掛けているような存在というふうに当事者の方々、親御さんたち思っていますが、逆に社会を牽引するような優れた芸術才能、能力を持っていて、それをどう引き出してあげるかということが今後の我が国の課題だし、それは、その一人一人の障害者の方々が自立するということだけでなく、そのことによって社会貢献をするということにもつながっていくという意味で、これから大学教育についても力を入れるべきではないかということを改めて感じました。
今、大学においては、障害に関する専門的知識や経験を有する教職員やコーディネーターを配置する、あるいは手話通訳等の専門技術を有する支援者を確保するというようなことが重要だということで、それぞれ、日本学生支援機構や、あるいは文科省としても、平成二十五年度から、国立大学法人運営費交付金における専任の教職員の配置、また私立大学等経常費補助金における障害学生一人当たりの単価の倍増など、大学における障害学生支援体制の強化を図っているところでありますが、先進諸国に比べてまだまだ足らないというふうに思います。
そもそも、ほかの国でも、その障害に合った、例えば入学試験の形を健常者とは別の形で工夫しながら、一定レベルの障害者、これは学習障害児含めてですが、受け入れていると、つまり多様な学生を受け入れていると。それが結果的に大学のためになるし、また社会全体に対して、そういう学生をバックアップするということが、その学生たちが社会に貢献するその道筋をつくるという意味では、我が国は非常に遅れている部分があるという感じを私個人としても持っております。
是非、文科省としても、各大学の取組を更にバックアップをしながら、障害のある学生が安心して大学に学べるような、そういう環境づくりに努めてまいりたいと思います。
〔理事石井浩郎君退席、委員長着席〕
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
今大臣おっしゃったとおり、この障害を持たれている方のその潜在能力、非常にすばらしいものはあると思います。よく言われる話ですけれども、例えばエジソンとかアインシュタインなんかも実は障害を持っていたというふうに、話も、部分はある。そういうような方々が解き放たれた才能というのは、本当に社会にまたいい影響も与える部分はあるかなと、あとは環境整備であるんだなと思っております。
今大臣が、国立大学に対しては法人運営費の交付等されているというようなお話もありました。やはり大事なのは、良い取組をしている大学のノウハウ等をちゃんと共有していく在り方であるかなと思っております。その点では、例えば立教大学などが非常に良い取組をしている、その取組の在り方を、独立行政法人の日本学生支援機構、障害学生支援ネットワーク事業という形で、政府の方でもいろいろ共有をしていく枠組みもつくられているということではありますが、やはり一つそういうような形で各大学の自主運営によって専門のスタッフを配属をしていき、それを共有させていくというような取組はされているんですが、やはり課題として挙がっているのは、それぞれ各大学で専属のスタッフとして障害者対応の方がいらっしゃったとしても、やはり非常勤であったり、待遇面がまだまだ弱いという方が非常に多いという話をよく聞きます。一時期的にはその方々が対応しても、やはり長続きもしないで、ノウハウとしてもその大学に残らないというようなお声もよく聞いております。
昨年の一月の大学時報という雑誌に書かれている論文の中でのデータなんですが、日常業務のうち、障害学生支援が七割以上の方の給与というのをいろいろ分析をしたみたいなんですけれども、ほとんどが、百三十万円以下の方が最も多いという割合でありました。人事ローテーションで異動を繰り返す事務局スタッフや支援担当教員が含まれている半面、支援に当たる業務のウエートが高い人ほど非常勤職員として低い待遇を余儀なくされていることが分かると。こうした状況で専門的なノウハウや知識が学内に蓄積しないのは当然であり、障害学生支援に対して、特定の学生だけが恩恵を受ける付加サービス、非常勤職員やボランティアに任せれば十分と見る空気が大学内で根強い表れと思われているというような論文ではございます。
やはり一つの環境整備の在り方として、もうちょっと国で人材を育成するというような在り方も考えなければいけないのではないか、そういうような専門的な各大学の障害者政策に対してこれを支援する、アドバイスする、その専門の人たちを国でしっかりと支援をしていって派遣をしていくというぐらいの在り方も考えなければいけないのではないかと思いますが、大臣、御所見をいただければと思います。
○国務大臣(下村博文君)
おっしゃるとおりだと思いますね。アインシュタインやエジソンは学習障害児であったのではないかと、発達障害児ですね、言われておりますけれども、日本で生まれていたら、多分ドロップアウトしてしまって、学校教育になじめなくて、独自に家庭でフォローアップもなくて、ただの不登校児で苦労する人生になってしまったのではないかというふうに思うところがあります。今の日本の発達障害児も同じようなやっぱり環境のままいるのではないかと。しかし、その子たちのチャンス、可能性を磨くことによって、日本において第二、第三のエジソンやアインシュタインになる可能性がある子が実はそういうところからもたくさんいるかもしれないと。
そういう部分で、これは高等教育まで含めて、チャンス、可能性を広げていくということは、その人その人の人生にとって大切なことですが、同時に社会全体の豊かさにもつながっていくという視点から、これから多様な価値観の中で障害児等の支援をするということについてもっと力を入れるべきときに我が国は来ていると。大学教育においても、そういう意味で、多様な学生が受け入れられるような学校施設であり、あるいはハードやソフトの部分の対応、それから入学試験そのものの多様化を含めたですね、そういうことをすることによって障害児の方々が学ぶ権利がもっと獲得できるような、そういう支援をしていくことが非常に重要だというふうに思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきます。
大学の国際化に向けての話でございます。大臣、所信表明でもおっしゃっていらっしゃいましたが、今、グローバルな中で、やはりグローバル社会に勝ち抜く学生を育てていくということは非常に大事なことであるかと思います。
その上で、日本人が海外に出ていく、これも一生懸命促進していくことは大事であると思いますが、私、一方で、大臣もおっしゃっている海外の優秀な留学生が日本に来られる環境をつくっていくことは非常に重要であると思います。
一つは、日本人の全ての学生が、やはり経済的事情もあってみんな海外に行けるわけではないわけですが、それでも海外から来てくだされば、その方々と触れることでやはり異文化ということの、そこの出発点も見えてくるということは非常に大事であると思いますし、海外から来る優秀な方々が日本に来て、また定住をされた上でそこで力になっていっていただくということは、日本の力を更に多様化していく上でも非常に大きな意味があるのではないかと思います。
その上で、ある有名国立大学の総長とお会いしたときに、じゃ外国の留学生を日本にもっと来てもらうためには何が課題なんでしょうかとお伺いをしましたら、真っ先に住環境だというふうに言われました。やはり、外国の方が来て住居が一番困ると。私もアメリカにいたときは、大学に確かに寮がありまして、留学生用の寮があったんですが、日本の大学が必ずそのような形であるかどうかというようなことははっきりしないところであります。特に日本は、敷金であったり礼金であったり、そういうような契約慣行もありますので、そういうような在り方をしっかりとサポートするような体制というのが必要だと思いますが、この辺りどのような政策を打たれているのか、御意見いただければと思います。
○政府参考人(吉田大輔君)
外国人留学生の方が日本において安心して充実した留学生生活を送る上で、まさに住環境の整備というものが重要な課題であるということは御指摘のとおりでございます。
文部科学省におきましては、留学生の住環境確保に関する取組といたしまして、奨学金の支給等による経済的支援に加えまして、日本学生支援機構が保有する国際交流会館などを活用した宿舎の提供及び交流事業の実施を行いますとともに、大学等がアパートなどの民間宿舎を借り上げるに当たりまして、契約時の礼金、仲介料、保険料等に掛かります費用を補助する留学生借り上げ宿舎支援事業の実施も行っているところでございます。
さらに、留学生が民間の宿舎に入居する際に保証という問題が出てまいりますけれども、この関係につきましても、公益財団法人日本国際教育支援協会におきまして、留学生が民間の宿舎に入居する際の入居契約における保証人の負担を軽減するために、火災事故等による損害賠償に加えまして家賃の未払などを補償する留学生住宅総合補償事業を行っているところでございます。
私どもとしては、更にこういう関係の施策を進めまして、住環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
確認なんですが、国際交流会館は今まだ事業としては残っているという理解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(吉田大輔君)
はい、前に事業仕分などで厳しく言われましたけれども、残っております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
特に地方に関しては、やはり地価とかそういう部分も安い部分もあって、国として何か整備をするという部分は必要ないのかもしれないんですが、やはり都市部に関しては地価も高い部分もある。他方で、やはりいろんな大学が密集しているところもあって、そこに一つ留学生の拠点みたいなのがあれば、いろんな大学の留学生がそこで交流し合って留学生コミュニティーみたいなものも生まれるんじゃないかなと思います。そういう意味での留学生用の宿泊施設というのも、いろいろな制約もあるかもしれませんが、やはりしっかりと造って、国としても万全だという体制を外に示していくことは大事であるかなと思います。
あともう一点、海外の留学生をやはり引き入れるといいますか、先日、国際教養大学の方に視察、行かせていただきまして、改めて感じたんですが、あの大学の力の強さといいますか、学生が皆寄ってくるのは、ここに行けば留学に行ったと同じような感じで外国人の留学生の方々と非常に交流が持てるというようなことを言っておりました。外国人の留学生が来るということは、当然いろんな大学と海外の交流提携ができているということであると思います。いろんな大学との提携を、お話も聞きましたが、アメリカだけではなくてアジア、アフリカ、その他様々な、世界各地からの百何十校以上の学校との提携ができていたという、在籍している学生にしてみれば、留学している最中も国際教養大学の授業料だけ払えば、あとは生活費は当然自分で払うわけですが、その分の授業料という点では現地では徴収はされないと、そういうような形での各大学との提携ができていたというようなお話も聞きました。ただ、それらの学生の協定を結ぶ事務というのは、やはり現地の大学の事務員の方々が一生懸命開拓をされたというところであります。
今後、いろんな大学生を日本に引き入れるといいますか来てもらうためにも、やはり各大学の、そういう今、自主に任せている部分もあるかもしれない、そういうような、外国との大学との提携を結ぶ、協定を結ぶというような、そのようなノウハウ等も含めた共有の在り方や、また国からのしっかりした支援、サポートというのも必要かと思いますが、この辺りを今政策としてどうされているのか、いただければと思います。
○政府参考人(吉田大輔君)
今御指摘の関係につきましては、まず、文部科学省としては、各大学の取組の参考に供するために、交流協定などに基づくダブルディグリー等の外国の大学との教育連携の構築に関して留意すべき点を示したガイドラインを平成二十二年に策定をしております。
また、交流協定などに基づき外国の大学との質保証を伴った教育連携プログラムを開発、実施する大学を支援するために、平成二十三年度から大学の世界展開力強化事業を実施しているところでございますけれども、この事業では、様々な国、地域の大学との間で単位互換や成績管理の方法など質保証の枠組みを構築し、先導的な国際教育連携プログラムを実施する大学を目指してその取組を支援しているところでございますが、この事業採択校の個々のプログラムの概要や進捗状況につきましては他の大学の取組の参考となるようにウエブサイトで公表するとともに、各大学によってシンポジウムを開催するなど広く情報発信を行うよう求めているところでございます。こういった取組を更に進めてまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
最後に、大臣から。留学生三十万という目標があります。それに向けて一言いただければと思います。
○国務大臣(下村博文君)
少子化が進行し、社会や経済のグローバル化が進展する我が国において、優秀な外国人留学生を獲得し、我が国の成長に生かすことは極めて重要であり、二〇二〇年までに外国人留学生受入れ三十万人の目標を達成するために、我が国への留学が世界中の学生にとって魅力あるものとする施策としてこれから政府全体で取り組んでまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
以上で終わります。
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
昨日、東日本大震災発災から三年が経過をいたしました。私、先週末も被災者の方にお会いをいたしました。福島から避難された方々でございます。とにかく安心が欲しいんだと涙ながらに訴えられまして、その思いを改めて聞いて、復興への決意を新たにいたしました。一人一人の思いに寄り添い、そして励まし、さらにはお約束をしたことを実現する、改めてお誓いを申し上げる次第でございます。
今日は、外交、防衛、公共放送がテーマでございます。
質問に入る前に、一言、御就任以来、地球儀を俯瞰する外交を展開される安倍総理のたゆまざる外交努力に心から敬意を表したいと思います。三十一か国も回られている。私を含め国民全体、本当に感嘆をいたしております。
総理も御訪問されたソチの地、今パラリンピックが行われておりますが、まさにその近くのクリミアでの情勢、大変緊迫をいたしております。報道でも、谷内国家安全保障局長、ロシアに派遣をされたとお伺いしました。まさに、是非、プーチン大統領と個人的にもお親しい安倍総理のリーダーシップの下、何としても外交努力、解決に導いていただきたい、このように改めてお願いを申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、近隣諸国、特に中国、韓国との関係であります。
私、全国津々浦々回らせていただいて、いろいろお声をお伺いをいたします。一番お聞きするのは、景気回復、早く実感したいというお声。ただ、実は、二番目にお聞きする声は、とにかく近隣諸国と仲よくしてもらいたい。特に、私の亡くなった父は実は大正十五年、昭和元年生まれでして、母は昭和十年生まれなんです。二人とも、当然ですけど戦争世代。そういうような戦争を経験された方々から、特に若者世代のためにも仲よくしてもらいたい、こういう声を非常にお聞きいたします。
まずは外務大臣より、現状の日中、日韓関係、分析をいただければと思います。
○国務大臣(岸田文雄君)
まず、日中関係につきましては、日本にとって最も重要な二国間関係の一つであります。経済を始め様々な分野において日中の間には切っても切れない関係が存在いたします。例えば、我が国にとりまして中国は最大の貿易相手国です。また、日本から中国に進出している企業数も二万三千を超えております。各国の中で第一位という状況にあります。日中の間には年間約四百八十万人の人的往来があり、留学生交流ですとかあるいは地方自治体の交流ですとか、様々な交流が存在いたします。
また一方、日韓関係を見てみますと、日韓関係も、韓国、我が国にとりまして最も大切な隣国でありますが、国民交流あるいは経済分野等様々な分野で深い関係が存在いたします。こちらは、人的往来、年間五百万人を超えるという状況にあります。また、北朝鮮問題を始めとする東アジアにおける安全保障環境を考えましても、日韓関係が緊密であることは不可欠であると認識をしております。
こうした日中韓の関係は、こうした関係が安定することが三か国の国民にとって利益であるばかりではなくして、地域や国際社会の平和や安定や繁栄にも大きく影響するということからして、日中韓三か国は地域や国際社会の平和や安定や繁栄にも責任を負う立場であると考えています。
こうした状況ですので、確かに日中関係、日韓関係の間には大変難しい問題が存在し、そして難しい局面があります。しかしながら、こうした大切な関係にある日中関係、日韓関係、是非対話や交流を積み重ねていくことが大事だと思っておりますし、環境ですとか様々な実務的な積み重ねを行うことによって、是非高い政治のレベルでの対話につなげていかなければならないと考えているものです。
難しい局面にあるからこそ、是非政治の対話を大事にしたい。こういった思いを是非中国、韓国にも受け止めていただき、我々のこうした呼びかけに応じていただきたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
今大臣おっしゃいました日中、日韓関係、難しい局面、様々な課題がある、しかし政治の対話が必要であるという力強いお言葉であったと思います。いろいろ難しい局面はあるところではございますが、かすかながら光も見えてきているのかなという思いも私もいたしております。
例えば、こちらは今、先日のジャパン・タイムズの記事なんですが、中国の指導者が、見出しですが、日本と紛争をしないというポリシーを設定したという、そういうような見出しの記事がございます。
これは、外務省に事前に確認をいたしましたところ、昨年の十月、周辺外交工作座談会という、中国で開催をされております、習近平国家主席、また重立った共産党幹部、さらにはアジアに滞在している大使の方々が集まる重要な非公式会合においての習近平国家主席の反応であったというふうにお伺いをしております。人民日報等では公式な見解としては出ていないんですが、様々なインターネットの中での情報等を含めますと、日本について非常に言及もされているというようなことが報道でもございます。
その後、総理の靖国参拝等の契機もあったわけですが、今年一月、中国は民間外交、民間交流を突如停止もするというようなこともございましたが、三月になりまして、突然ですが、また農村青年部代表団の訪日など、民間事業を急遽復活させてまいりました。これなども、先ほどの習近平国家主席の意向が末端まで反映されたというふうにお伺いもしております。
また、韓国との関係についても、FTA交渉など様々実行、どんどん進んでいるところでございます。私も韓国の政府高官の方と直接お会いをしたんですが、韓国大統領の日韓友好に対しての強い思いというのを非常に、改めて直接お伺いをいたしました。
外務大臣もおっしゃっていましたが、アジア情勢、緊迫はしております。防衛力を維持することは当然ではございますが、相手国の国内情勢も分析しながら、僅かなきっかけもしっかりとつかんで友好への道を開く、それが国民生活の安心のためにも政治の役割であると思いますが、総理はこの点、日中、日韓関係、どのように安定させていくおつもりか、御意見をいただければと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
矢倉委員の御指摘のとおり、日中関係、日韓関係、極めて重要な関係でありますし、こうした関係を発展をさせていくために様々なチャンスを捉えて関係を転換させていきたい、あるいは改善していきたいと、このように思っている次第でございます。
日韓関係、日中関係、隣国でございますから様々な課題が当然生じてくるわけでございます。そうした課題があったとしても、一つの課題があった、一つの問題があったからといって全ての関係を閉じてしまうということがあってはならないわけでありまして、課題があるからこそ、例えば首脳間の交流はしっかりとしていく、首脳会談あるいは外相レベルでの会談は行っていくべきであろうと、こう考えているわけでございます。
ですから、例えば日中関係におきましても、たとえ中国が防空識別区を一方的に設置をしてきたとはいえ、我々は、民間の交流あるいは文化交流等をこちらが一方的にそれを止めるということはもちろん一切していないわけであります。そういう状況だからこそ、防衛当局間の話合いを我々は求めているわけでございまして、韓国におきましても、基本的価値を共有する最も重要な隣国でございまして、本日、齋木外務次官を韓国に派遣をいたしまして、先方の外務次官との間で協議を行わせることにしております。政府としては、未来志向の日韓関係の構築に向けて引き続き尽力をしていく考えであります。
日中関係は確かに厳しい状況にあるわけでございますが、日中間で不測の事態が発生することは誰の利益にもならないわけでございますし、第一次安倍政権の際に日中首脳会談で私が提案をしたのでございますが、防衛当局間の海上連絡メカニズムについて、我々が、私が提案をしたわけでございますが、いまだ中国はその運用開始に合意をしていないのは大変残念なことでございますが、引き続き中国側に働きかけを続けていきたいと、このように思うわけでございます。
いずれにいたしましても、会談をやるための条件を付すのではなくて、まさに様々な課題を解決をするために首脳会談を開催すべきであると、このように考えておりまして、私の対話のドアは常にオープンでありまして、中韓両国にも同様の姿勢を取っていただきたいと思う次第でございます。
○矢倉克夫君
総理、ありがとうございます。今、首脳会談大事であるという力強いお言葉もいただきました。
今おっしゃっていた防衛当局間の海上メカニズム、これは非常に大事な分野であると思います。防空識別圏の話題もあります。その中で、偶発的な衝突がないようにするためにも、やはり航空機同士の連絡も取り合えるようなメカニズムというのはしっかりとつくっていく。これは継続的にまた御協議をいただければと思っております。
その上で、この首脳会談を含めどのように進めていくのか。やはり、いかに関係を進めて修復をするか。一つのヒントが先日の総理御答弁にあったと思います。総理は、我が党の河野義博議員、フィリピン台風被害に対する質問、また防災や減災対策についての共通の枠組みに関する質問に対しまして、中国、韓国との関係においても、防災対策の共有や共同研究等の取組を含め、できるところから互恵的な協力関係を発展させていくよう呼びかけていきたい、このようにおっしゃいました。全くそのとおりであります。
特に、異常気象や台風もあります。また、津波、竜巻もある。さらには地殻変動など人類共通の課題に対しまして取り組むことは、仲間意識や連帯意識を育む上でも大変に意義のあることであると思っております。
特に、日本にはそのような枠組みをつくる使命がございます。昨日、三年を迎えた東日本大震災、そのような中で得た知識、経験というのは、災害救助の在り方そのものとまた別に、震災被害からいかに復元をしていくのか、そのような知識、ノウハウもあると思います。例えば、住民の健康を守るべき病院その他が被災した場合の復旧の在り方をどうするか、そのような知識、経験は、まさに日本から世界に発信をして、共通をしていく財産であると思っております。
それに向けて大事な会合が来年の三月、仙台で行われます、まさに第三回の国連防災世界会議でございます。この会議は、本来であればニューヨークで行われる閣僚級の国連総会をこの日本で行う。今まで三回やっておりますが、第一回は横浜、第二回は阪神・淡路大震災後の神戸、そして今回は仙台、全てこの日本で行われる会議でございます。
総理、いかがでしょう。この会議は何としても成功させなければいけない。その成功を促す意義を込めて、日中韓首脳の間で防災対策をテーマにした何らかの合意ができませんでしょうか。そのために協議を開始すべきと考えます。
事務方レベルではこのような日中韓の枠組み、既になされております。今月の六日、日本の外務省において、中国、韓国、また日本の事務方が集まりまして、東京で震災が起きたとき、中国、韓国がどのように救助をするか、それについての事務レベルの協議されました。外務大臣も急遽御参加されて、このような枠組みが大事であると発言されたというふうにお話も聞いております。こういうような事務レベルでの会議、これを政治レベルででもしっかりとやっていくべきではないかと。
五月のOECDの閣僚会合もございます。九月下旬の国連総会、十一月にはASEANの関連首脳会議、G20の首脳会議もあります。そして秋、北京ではAPECの首脳会談など、幾らでも機会はございます。
改めて総理、このような日中韓の防災、これをテーマにした首脳の会談、こちらについての御意見いただければと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
来年三月、仙台で行われます第三回国連防災世界会議では新しい国際的な防災の取組指針が策定される予定でございまして、極めて重要な会議になると思います。我が国としては、東日本大震災を始めとする幾多の災害を通じて得た貴重な経験や知見を世界と共有をし、そして国際社会において防災の主流化を積極的に推進していく考えであります。
委員御指摘のとおり、防災分野は中国、韓国との関係でも重要な協力分野の一つでございます。三月六日に東京で第二回日中韓三国防災机上演習を開催するなど、実務レベルでの防災協力を推進をしてきているところでございますが、今後とも中国、韓国との間で防災対策をテーマとした取組を進め、できるところから互恵的な協力関係を発展させていきたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
日中韓の関係改善には、やはり何としても総理、安倍総理のリーダーシップが本当に大事である。総理のお言葉一つ一つがこの東アジアの安定にも本当に大きな大きな影響力を与える、このように私確信をいたしております。
そう思う理由が実はございます。私、二〇〇六年の秋当時、中国の上海に滞在をいたしておりました。当時の日中関係、余りよろしくございませんでした。小泉元総理の靖国神社参拝問題が尾を引きまして、余りいい関係ではなかったと思います。日本製品の不買運動なども起きた。私も現地で少なからず嫌な思いもいたしました。
そんな中、突如中国を訪問されたのが総理、安倍総理でいらっしゃいます。私驚いたんですが、その総理の訪中を受けた後の中国人の反応というのが大変に驚きまして、それまではいろいろ言い合いもしていた人たちも、みんな私に握手を求めてきました。アンベイ、アンベイジンサン、総理の中国読みなんですが、これはもう大変失礼、呼び捨てはみんなしていたんですけど、本当にすごいと、この状況で中国に来るということは本当に勇気の要ることだと、そういうようなことを言っておりました。なかなかできないと私に握手を求めて、そして何人かはありがとうというふうに言ってくれました。私も、個人の体験で大変恐縮なんですが、その経験を経て、やはり中国人も日本人と仲よくしたがっているんだなということを実感もした次第でございます。
私にとってもこの外交というのは、時には相手の懐に入る度量の広さ、そしてもう勇気というのが必要なんだということを私、総理に教えていただきました。総理、もうその総理であればこそ、むしろ総理でしかこの難局は私は乗り切れないと思っております。先ほど来も、対話のドアは常にオープンである、こういうふうにおっしゃってくださっております。こういった従来の御答弁、これの枠を超えて、より強く近隣諸国に対しての関係改善に向け積極的なメッセージをいただきたいと思います。是非総理、よろしくお願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
朴槿恵大統領とは就任前に意見交換を行う機会がありました。また、就任後もサンクトペテルブルクのG20やバリのAPEC首脳会談の際に、これは社交ではありますが、会話を交わす機会はあったわけでございますし、またダボス会議では朴槿恵大統領の講演を伺いに参りました。
また、習近平国家主席とは、昨年九月のサンクトペテルブルクのG20の機会に握手をして挨拶を交わしたところでございます。日中戦略的互恵関係の原点に立ち戻って日中関係を発展させていくべきとの考え方を伝えて以来、残念ながら、より深く意見交換をする機会は設けられていないわけでございます。
先ほど申し上げましたように、それぞれの国に主張があるわけでございますが、しかしこの地域において、日中、日韓、日中韓が関係を強化をしていくことは、間違いなく地域の安定と発展、未来に資する、こういう共通の認識を持っているわけでありますし、それぞれの国益に資するということについても共通の認識があるんだろうと、このように思うわけであります。
習近平主席、また朴槿恵大統領とも私は大体同じ世代でもあります。このような三人のトップリーダーの間で密接な関係を何とか築いていきたいと、このように思うわけでありますし、そうした関係を築くことは、先ほど、繰り返しになりますが、申し上げましたように、地域の発展には間違いなくこれは資することになるわけでありまして、今後とも私も努力をしていきたいと思うわけでありますし、私としては、大局的な見地から、韓国及び中国との間で政治、経済、文化など、あらゆる分野において未来志向の協力関係を発展させていくべく、引き続き尽力をしていく決意でございます。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
日中、日韓の国内状況をつぶさに観察しますと、やはり国民的支持の高さもある、そして支持基盤も強固である、これはやはり総理のみでございます。そういう意味でも、海外に向けてしっかりとメッセージを発することができるのはまさに総理のみであると私は思っております。そういう意味で、引き続き関係改善に向けて御努力をいただければと思っております。
それでは、次の質問に移りたいと思います。核なき世界に向けての取組、質問をさせていただきます。
昨月の十三、十四日だったと思います。メキシコのナジャリットというところで日本を含む百四十六か国が一堂に会しまして、そこで第二回核兵器人道的影響に関する国際会議、開催をされました。核兵器というのは非人道的なものである、もう百四十数か国というこの大きな単位での国際的合意が確固となりました。さらには、会議に参加していない核五保有国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国、これらの国にも幅広く参加を呼びかけていこうということが決議された大成功の会合であったとお伺いしております。
私も、この会議に参加をされたNGOの方から直接にお話をお伺いしたんですが、会議の流れを決定付けたのは、会議冒頭に行われた被爆者の方々の証言でございました。会議を、それを聞いた多くの参加国、大半の参加国は、被爆者という言葉を使って核廃絶に向けての誓いを新たにした。
その上で更に感動を呼んだのが、そこでいらっしゃっていた、参加をされていた長崎の高校一年生、小柳さんの英語スピーチ。ユース非核特使、ユースは英語で青年のユース、非核は非核三原則の非核でございます。このユース非核特使として参加をしていた小柳さんのスピーチでした。被爆三世である小柳さん、祖父母に対して、生き延びてくれてありがとう、大変な中、生き延びてくれたから自分がいるんだ、こういうような思いも訴えた上で、核兵器の非人道性を世界に向けて訴えていくことが被爆三世である使命だと高らかに訴える姿勢に多くの方々が賛同をされていたというふうにお伺いをしております。
ちなみに、このユース非核特使制度は、被爆者の高齢化が進む中、被爆体験を継承するため、岸田外務大臣がイニシアチブの下推進された制度であると承知をしております。
総理にお尋ねいたします。
オバマ大統領の訪日を調整中とお伺いしております。大統領と核廃絶に向けて様々お話をされると思いますが、大統領とこのユース非核特使、面会の機会を是非設けていただきたいと思います。未来へのメッセージとして両国の若い世代に核なき世界の理念を伝える、この意味で非常に重要だと思いますが、では、よろしくお願いします。
○国務大臣(岸田文雄君)
我が国は唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界を目指すというこの大きな目標に向けて、世界、国際世論をリードしていく、こうした道義的な責任があると考えています。
そして、ユース非核特使につきましては、ただいま委員の方から御紹介をいただきました。核兵器使用の悲惨さを世代を超えて継承していく、こういった観点から昨年六月に立ち上げたわけですが、今日まで二十五人をこのユース非核特使として委嘱しております。
オバマ大統領自身も核兵器のない世界を目指すという目標を掲げています。この核兵器のない世界を目指すという目標においては、日本と米国、これは目標を共有しているわけですので、米国政府関係者とこうしたユース非核特使が面会するということは、核軍縮の機運を高めるという意味においては大変有意義な機会になると認識をしています。
ただ、オバマ大統領の訪日については、日程、それから日数等、詳細はまだ決定しておりません。よって、そうした具体的な日程について今の段階でちょっと申し上げることは難しいかと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
最後、質問させていただきます。
三月には核セキュリティ・サミットが行われます。オバマ大統領も出席を検討されているという報道がございます。私、国会審議の状況が許すのであれば、是非このサミットには総理に御出席いただきたいと思っております。その際には、是非核兵器廃絶、これを訴えていただきたい。前回、韓国で行われたとき、当時の野田総理、核兵器廃絶までは言及されなかったと聞いております。核の問題は、唯一の被爆国であるこの日本、世界の中で我が国にしかなし得ない発する価値というものがございます。我が国しかできない価値、これをしっかりと発信していくことが外交力であると思っております。
是非総理の御決意をいただければと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
核兵器のない世界に向けた世界的な核不拡散、核軍縮を進める上で、核セキュリティー、いわゆる核テロ対策の強化を話し合う三月の核セキュリティ・サミットは極めて重要であるというふうに認識をしております。我が国は唯一の戦争被爆国であるとともに、原子力の平和利用に長い経験を有しており、このサミットに積極的に貢献すべき立場であると、このように思います。
このような核セキュリティ・サミットの重要性と我が国の立場に鑑み、もし国会の状況を含め諸般の事情が許せばこのサミットに出席をし、我が国の立場、十分に主張したいと考えております。
○矢倉克夫君
是非よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
矢倉かつおです。
東日本大震災から今日で3年を迎えます。先ほど、追悼行事に参加してまいりました。お亡くなりなった方々のご冥福を改めてお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方々の希望のため、全力で働く決意です。
3年前の3・11、私は、経済産業省の16階にて執務中でした。あのあとテレビでみた津波の光景、忘れることが出来ません。
様々なところでお話ししておりますが、私が政治を志したきっかけの一つは東日本大震災です。最も国民が助けを求めているときに、復興を主導できなかった政治への憤りからでした。
その後、参議院選挙の予定候補となり、真っ先に訪れたのが、岩手の陸前高田市でした。申し訳ないことに被災者の方のお宅に泊めていただきました。30人ほどと懇談しましたが、皆さん、肉親を失った、親友を奪われた、家を流された等々、言葉に出来ない苦しみを味わった方ばかり、それでも、笑顔でした。
この笑顔の奥にどれだけの辛労があったのだろう、悲しみを乗り越え、必死に頑張ろうとされている、なんと強い方々だろう―――自然と涙が出ました。
先週末、埼玉県の入間市に避難をされている福島県の方々と懇談する機会をいただきました。「風化」と「風評被害」、二つの風に立ち向かう決意を冒頭、述べたところ、複数の方が涙ぐまれていました。胸が締め付けられるような思いでした。
聞く話全てが、切実でした。そのなかの一つに以下のようなものがありました。
「月に一回、南相馬市に帰っているが、いくら避難解除されても、もうあの家には住めない。ネズミだらけだし、水道管も使おうとしたら破裂してしまった。
そんな家だけど、津波で流されたわけではない、建物も損壊してない、だから私たちは修理も何もかも自己負担になってしまうのです。でも、修理に相当なお金がかかると言われてしまいました。」
政府は、昨年末、福島からの避難者の方々全員に帰還していただくという方針を転換し、帰還支援を復興の基本であることを維持しつつ、故郷を離れて新しい生活を開始する住民の方々のための支援も拡充する方針を閣議決定しました。ただ、福島避難者の方は、帰るか帰らないか決めている方々だけでなく、帰りたくても帰れない、二重生活をせざるを得ない方も多いことを忘れてはいけない、あらためて感じました。
どこまでも寄り添う思いをもって、引き続き、全ての人が安心できるよう党内でも議論をしていきたいと思います。
(お知らせ)
明日、NHKで中継されます予算委員会にて質問に立ちます。(15:00頃)
詳細は、明朝、お知らせさせていただきます!
前々回のメールにて「災害時の対応に、国道か県道か市道、町道といった違いがあるのはおかしい」と記載しましたが、補足します。
もとより、基幹道路である国道の除雪は何にもおいて重要です。高速道路が通行止めとなった場合、国道が不通になれば、物流は完全に途絶え、経済は破綻します。そもそも、市道その他に除雪車を向かわせることも出来ません。
ただ、国が管轄、県が管轄、市が管轄といった平時のルールが、仮に、今回のような緊急時における除雪その他を妨げているようなことがあれば問題だと思いました。各自治体の基礎体力の差が、住民生活復旧の速度に直結してしまいます。これだけ広域な災害なのですから、情報をもっと集約し、国道・県道・市道・町道関わらず優先順位を決め、機動的に除雪できる体制をつくるべきだと思います。
新潟県が山梨県に除雪隊を派遣したことが、昔、戦国時代に上杉謙信が武田信玄に塩を送ったとされる逸話になぞらえ紹介されています。良い話だなと思います。国は、災害時における広域連合の動きをより促進する手助けをするとともに、国としても、融雪剤や除雪車など常備するなど、備えを万全にすべきだと思います。
また、このようなときに除雪その他で活躍するのは、地元の土木・建築業者などです。地元業者を育成することも防災の意味で重要だと、改めて感じます。
矢倉かつおです。先日送信した、豪雪被害関連メールについて補足です。
豪雪被害による農産物やビニールハウス被害に対する補償について、調べました。
まず、政策金融公庫等から融資をうけた場合、その3割を国が補助する(つまり、3割は返す必要がない)制度が存在します。「経営体育成支援事業」という制度です。先週末、担当者(農林水産省経営局就農・女性課)と協議したところ、今回の雪害のような「重大な気象災害」による「被災農業者」に対しても上記制度の適用を検討したいとの回答でした。
昨日の衆議院予算委員会において林農林水産大臣が、「倒壊したビニールハウスの撤去・再建費の3割補助」に言及されました。おそらく上記制度を利用するのだと思います。
また、同じく予算委員会において林大臣が、「果樹の植え替えや果樹棚設置に必要な経費助成」に言及されました。これについて、担当者(農林水産省生産局園芸作物課)に照会したところ、植え替えについて2分の1以内の補助を行うととともに、未収益期間における収入補助も考えるとのことでした。こちらは新しい制度を創設するそうです。
各制度の詳細は、これから農林水産省より各自治体に伝わると思います。私のほうで理解している範囲で、あらかじめご連絡いたします。
課題は農業だけではありません。
山梨県の横内知事が「太田国土交通大臣が『県内の国道全ての早期復旧を』」と号令を発した翌日には、ほぼ通るようになった」とおっしゃっていたとのことです。これは、裏を返せば、国道以外の道路の除雪はなかなか進まない、ということです。災害時の対応に、国道か県道か市道、町道かといった違いがあるのはおかしいです。
孤立集落の問題で言えば、自衛隊派遣の問題もあります。豪雪被害発生直後、埼玉県の公明党秩父市議団から、「孤立している集落が多数存在している、高齢者の方々が特に心配だ、自衛隊を。」との切実な声がすぐに届きました。西田まこと県代表を中心に、県に対し自衛隊派遣要請をするよう求めたところ、当初、拒否した県も「これは人命にかかわる事態である」と認識を改め、自衛隊派遣要請をいたしました。しかし、対応に課題を残したことは事実です。
初動対応として、私が個人的に思ったことは、災害時の指揮系統として、情報を持っている防災担当大臣に権限を与え、より迅速な対応ができるようにすべきではないか、日本の災害対応は情報収集に労力をかけ、その情報が活かしきれていないのではないかということを感じます。
総じて、日本の災害対策は、指揮系統も統一化されておらず、対応も現場の市町村の力によって違いがでるなど問題が多いと感じます。農業など産業への補助のあり方とともに、国の体制も今一度きちんと検証しなければならないです。日本の安心を守るため、議論したいと思います。
矢倉かつおです。
先週の14日金曜日に関東一円を襲った豪雪の被害、甚大なものがあります。
まず農業です。雪の降り止んだ15日の夜、「ビニールハウスが壊滅的被害をうけている」との情報を、
以前お伺いしたことのある埼玉県深谷市の農家の方より、直接いただきました。驚きのあまり飛び上がりました。
その後、埼玉県鴻巣市の農家の方からも連絡があり、2月18日に緊急視察をさせていただきました(同月19日付け公明新聞掲載)。
農業用鉄骨ハウスが雪で倒壊した現場を確認しました。頑丈そうな鉄骨がぐしゃぐしゃに。ハウス内の全てが駄目とのこと。
花きや、野菜、果物などハウス栽培をされている方の多くが、今回、一年分の収入を一気に無くしました。しかも、
再建に必要な生産設備が壊れてしまいました。政府にはまず早急に、今回の豪雪被害を「激甚災害法」に基づく激甚災害と認定してもらいたいと思います。
もっとも、「激甚災害」認定だけでは不十分です。ビニールハウスの除去などに対する補助のかさ上げは図られるかもしれませんが、
個人所有のビニールハウスの建て替え補償や生産物補償はないからです(「激甚災害法」による補助は、共同施設に対するものです)
農水省による低利融資の制度なども存在しますが、「国からの融資をうけても、その使い方に様々な条件を付けられてしまい、
結局、借りる必要も無い過剰投資になる。だから、ありがたいけど融資は受けたくない」とのお声もあります。
制度設計のあり方や返済の据え置きも含め、より利用しやすい補助制度としていく必要があります。
また、今回の豪雪は、災害における自助のあり方にも課題を残しました。農業共済に加入していない人が多いのです。
訪問した鴻巣の花き生産会社の社長(この方は農業共済に加入されています)から、「自助が原則と言えばそうだが、
国は担い手育成をうたうのであれば、セーフティネットである農業共済をもっと負担感なく加入できるように整備すべきだ、
全額個人負担の掛け捨てであった仕組みを工夫するなど、やり方はあるだろう」という、貴重なご助言もいただきました。
いずれにしろ、今回の災害により引き起こされた損害に対する対応は国が全力をもってやらなければいけません。
農業に対するハウス栽培は、比較的若い層が新規に就農をはじめているとのことです。
今回の豪雪は、新たにチャレンジをしようとする若者の思いを砕くものでもあります。
農業の「担い手」を育成するうえでも、全力を尽くします。
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
下村大臣始め文部科学省の皆様の常日頃からの文部科学行政に対する尽力に心から敬意を表したいと思います。また、今日は、お忙しい中、内閣府から後藤田副大臣、また倉持政策統括官、また経産省から安永審議官、大変お忙しいところ、ありがとうございます。
時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
今回審議されている法律案、私は、この法律案は、法文上、革新的新技術研究開発業務と定義されている、この意味するところは、その成功によって社会や産業の在り方そのものをもうひっくり返すような爆発的なインパクトを持つ、ただ、成功の見込みはなかなか高くはないかもしれないけど革新的なイノベーション、このような革新的新技術研究開発業務に充てる基金を創設するための法律案と理解をしております。
私からは、この基金、適切な運用をされるために確認すべき事項、三点ほど御質問をさせていただきたいと思います。
まず、この革新的新技術研究開発業務、ImPACTと言われているということですのでImPACTと今後呼びたいと思いますが、このImPACTの特筆すべき特徴というのは、プログラムマネージャーと言われている方を選定し、そのプログラムマネージャーに大幅な権限と責任を与えて、その目利きと裁量で優秀な技術と人材を結集させるということ、このように理解をしております。
これとはまた別に、似たものとして、先ほど来からも話も出ています最先端研究開発支援プログラム、いわゆるFIRSTと呼ばれているもの。山中教授などもこのFIRSTを利用されて研究されたということでありますが、このFIRSTは、あくまで研究者の方、そして研究者の方のやっていらっしゃる研究内容を注目されて選定を、その方に対して補助金等を切るというようなものである。
これに比して、このImPACTは、まさにPM、プログラムマネージャーはどういう事業を営んでいこうとしているのか、どういうものをつなぎ合わせていこうとしているのか、そのような全体のマネジメント、それを注目をして、その方の資質その他にある意味懸けてお金を渡すという、その点がFIRSTと大きな違いであると思います。
そう考えますと、当然このImPACTが成功するためには、PM、プログラムマネージャーの資質、この方がどういう研究をしようとしているのか、それによって成功するかどうか大きく左右される、PMがどういう方かというところが非常に大きなところであるなと。
その点で、内閣府、後藤田副大臣としてこのプログラムマネージャーに求められる資質というものをどのようにお考えか、まずお考えをお伺いしたいと思います。
○副大臣(後藤田正純君)
ありがとうございます。
矢倉委員におかれましては、本ImPACTの御趣旨を御理解いただいて、本当に有り難く思います。
今のPMのいわゆる資質ということになろうかと思いますけれども、これはやはり、先ほど来もお話出ていますが、やはり触媒的な機能を発揮して、本当にインパクトのある化学反応を起こすということだと思います。
その中で、やはりまずは全体のプロジェクトをプログラムする構想力というのはまず必要だと思いますし、また、研究者、PMが選んできた研究者の目利きもそうでございますが、そういった方々を束ねるリーダーシップということも大事だと思いますし、また、そのためにはマネジメントの経験や実績、また潜在的能力、柔軟な構想力と、こういうものも大事だと思います。
加えて、やはりこれは国の税金を使っているわけでございますので、やはり国民の皆様にも対外的に分かりやすい説明ができる、そういう説明力、そういったことも大事だと思いますし、加えて、あらゆる分野の方々とのコミュニケーション能力、まあアカデミアンというのはなかなかそういった社会性といいますか、そういったところに欠けるというところもよく言われることでございますが、そういう両者というんですか、実用化に向けての産業界だとかまたアカデミアン、それをちゃんと両方認識できる人。
例えば、先般の小保方さんの例でいいますと、例えばあの女性をリーダーにしたというのがすごく、これは誰がしたのかなという、こういったことに着目したときに、多分今までのアカデミアンの世界ではなかったんではないかなと。彼女が言っていたように、ある外国の研究者には何百年の科学の歴史を愚弄していると。そういう方を、本当にどういう人か、これも分析したいと思いますけれども、そういった方々にまずなっていただいて、加えて、我々は、先ほどもお話出ましたけれども、三段階にわたっての公募に対しての選定というものをそういう基準で厳格に選んでいきたいと、このように考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
今副大臣がおっしゃってくださったとおり、小保方さん、STAP細胞、研究開発成功された。私も、あの報を聞いて、彼女自身の地道な努力、大事だなと思いましたが、やはり陰のMVPは、ああいう一時期酷評された研究、それをされている方を採用してずっと支えていった理化学研究所その他の周りの環境であるなと思います。
プログラムマネージャーを選ぶとき、知識とか経験とかノウハウとか、そういう部分はあるんですが、やっぱり大事なのは、ある意味人間力というか、いろんな見込みが分からないような研究でもとにかくやってみようと、私が責任持つからやってくれと励ませるような、そういうような力のある方も必要だなと。特に研究者、元々は上下関係がいっぱいある方をそういうふうに束ねるわけですし、また、場合によっては競合の会社とかを束ねて一つのプログラムをつくっていく方なので、大変な資質を持っていらっしゃる方でなければこのプログラムマネージャーというのは務まらないと思いますが、公募期間も短い中だと思うんですけど、是非そういうすばらしい方を選んでいただくように、何とぞお願いを申し上げたいと思っております。
続いて、二点目の質問に入らせていただきます。
今お話もありましたプログラムマネージャー、大変な資質を要求される方ではあります。他方、大変な権限も持っていらっしゃる。その上で、今回のプログラムマネージャーとして想定されている方は、例えば新規事業を新しく立ち上げられた方であったり、そういう民間で活躍されている方であるなと。非常に権限も持ったそういうような方々に対しては、これはその方がどうかという問題以前に、立場上与えられた権限を御自身の事業等に使われるという危険性が潜在的にはあるかと思います。いわゆる利益相反の問題なんですが、こういうような問題に対して対処をする上でどのようなことをお考えか、この辺りをお聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(倉持隆雄君)
御説明申し上げます。
いわゆる利益相反の問題、大変重要なところでございまして、このImPACTの制度設計の議論をしております総合科学技術会議の有識者議員の間でも常にそれを念頭に置いて検討が進められているところでございます。
繰り返しになりますが、ImPACT、本当にイノベーションの創出を目指すということで、このプログラムマネージャーの構想を実現するためにトップレベルの研究開発力と様々な知識の結集を求められていると、そういうものでございます。そのために、このプログラムマネージャーとのいわゆる利害関係の有無をいわゆる画一的な基準で判断してしまうということによって本当に求められる最高の技術であるとか人材の結集の妨げになることは必ずしも適当ではないんじゃないかと、こういう認識で検討が進められております。
こういう考えの下で、先ほど申しましたように、総合科学技術会議の下でプログラムマネージャーの選定であるとかプログラムの決定時の審査プロセスというものを作っていくわけでございますけれども、そのプロセスを通じて具体的な計画の合理性、妥当性を確認して、まさに利益相反という批判を招かないように適切に対応することが必要だと、そのための審査をしっかりやっていくことを考えているところでございます。
○矢倉克夫君
利益相反の問題は、その選任の段階と、また選任された後、プログラムを進行する段階。選任段階ではまずそういう方かどうかということを、何か利益相反の問題があるようであれば、その辺りの事情を、問題ないということを説明させるというふうな対応も必要であろうと思います。プログラムが進行した後、利益相反の可能性があれば、そのたびに外部の専門家の方なども呼んで、しっかりと利益相反がちゃんとクリア、チェックできるような体制もつくっていく。こういうような体制を法的にも、法的というかルールの観点でいろいろと担保できるような在り方も今後また検討いただきたいと思います。
次、三点目でありますが、特許の問題をお伺いしたいと思います。ちょっと時間が限られてきてしまっているんですが。
今回、このような研究によって仮に特許権が発生した場合の扱いなんですけど、これについては、私は、産業技術力強化法がございますが、この法律に基づいて、科学技術振興機構から委託を受けて実際に研究をしている研究者や企業の方に帰属をするという理解でおります。その点は正しいか、御回答いただければと思います。
○政府参考人(倉持隆雄君)
御指摘のとおり、日本版バイ・ドール条項を適用いたしまして、委託先、すなわち大学であるとか企業等の研究開発実施機関側に帰属させることを考えております。
ただ、国費を投入して実施するプログラムであることに加えまして、産業競争力強化であるとか社会的課題解決に資する成果の創出を目指すものであることから、創出される知財が幅広く利活用されるということが重要と考えておりまして、実施権を受託元であるJSTが保有するなど、知財権を実施しやすくする仕組みが必要と考え、今検討を進めているところでございます。
○矢倉克夫君
産業技術力強化法に基づいた対処が原則になると思うんですが、問題点として考えているところは、例えば技術特許が帰属をした企業等が買収された場合、原則の産業技術力強化法に基づくと、買収された場合などは、本来であれば必要な国への報告なども、承認なども要らなくなるというようなことになっております。
様々な理由があってこういう法律になっているんだと思うんですけど、今回、国のお金を使って研究させたもの、それに対して発生をした特許が買収であるとかそういうものによって全く関係ない企業に行ってしまうということが仮にあったとしたらそれは問題なのではないかと、使い方としてどうかという点はあると思うんですが、この辺りについてはどのようにお考えか、御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(倉持隆雄君)
研究開発プログラムで得られた知的財産権の売却や買収などの移転が行われる際には、まさに技術流出によって我が国の国際競争力に支障が生じないような措置が必要であるというふうに考えております。このため、委託元であるJSTの承認を必要とする、移転後も知的財産権に係る権利及び義務関係は継承されるといった旨を当初の委託契約の中に盛り込む方向で今検討を進めているところでございます。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。是非御対応をまた引き続き御検討いただければと思います。
最後に、下村文部科学大臣、昨年の臨時国会の冒頭で、世界で最もイノベーションに適した国をつくるというふうに力強くおっしゃってくださっておりました。まさに今回事業体であるJSTを所管する担当大臣として、改めて御決意、また意気込み等をお伺いできればと思います。
○国務大臣(下村博文君)
このImPACTは、長期的な観点から革新的なテーマを設定し、PMに大きな権限を与える、その下で挑戦的な研究開発を今後五年間にわたり集中的に推進するというものであります。
文科省としては、プログラムの実施に当たり、JSTの持つ知見を最大限に活用しながら、産業や社会の在り方に大きな変革をもたらすイノベーション創出につながる成果が得られるよう、総合科学技術会議と連携して取り組んでまいります。
○矢倉克夫君
ありがとうございました。
是非、日本から、世界にとっても非常に貢献できるような優れた技術が生み出されるよう、この事業が成功に導くことを祈りまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございます。
矢倉かつおです。
2月です。寒さのなか、わずかながらも春の芽吹きを感じる時季となりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
150日間を予定する通常国会が開会し、今日で15日目となります。
昨夜、参議院本会議において補正予算が成立いたしました。
今日午前中は、予算委員会集中審議において、同期の河野議員がテレビ質問デビュー、
素晴らしかったです!そして、午後、私は文教科学委員会に出席、質問いたします。
この詳細は、また改めてご報告いたします。頑張ります!
年頭から今日まで、事情ありメール送信できませんでした。
本年初のメールですので、まずは、決意をお伝えします。
国会議員として活動を開始し、半年が経過しました。振り返り、改めて実感することは、
公明党こそ、「日本の安心」にならなければならないという点です。
公明党の国会議員総数は衆参あわせ51名、これは与党議員総数の9分の1です。
決して多くありません。しかし、その存在感は、際立っております。
昨年は、自民党や霞ヶ関の反対を押し切り、「軽減税率導入」を決定づけさせました。
また「軽自動車税」も、当初政府案を修正し、すでに軽自動車を保有している方に対する
増税を撤回させました。
そして迎えた本年、いよいよ、公明党がリードし「日本の安心」を確立させなければならない年となりました。
まずは、景気です。景気回復が叫ばれますが、まだ期待だけ。期待も、そうそう持ちません。
早く「実感」を持っていただけるよう、今年は正念場です。
また4月には、消費税が増税されますが、税収は全て社会保障の充実に充てられなければなりません。
これを改めて確認するとともに、いわゆる「団塊の世代」が75歳以上となる
「2025年の社会保障のあり方」を具体化する議論が、本年、本格化します。
年を重ねても住み慣れた土地で暮らし続けることのできる安心社会、それをつくるためには、
地域で支える枠組みをつくらないといけません。これが出来るのは、
地域の具体的な声を聞き反映させるネットワークのある、公明党だけです。
最後に、昨年末、国家安全保障戦略が閣議決定されました。同戦略は、
「国際協調主義に基づく積極的平和主義」について、詳細な記載をする一方、
「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならず、非核三原則を堅持」してきた日本の
「平和国家としての歩み」についても記載します。この「平和国家としての歩み」は、
「国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきており、これをより確固たるものにしなければならない」、
そう、同戦略は記述します。これは、決して見落としてはならない点です。
この「平和国家」理念をどう実現していくか、その追求こそが公明党の使命である、改めて決意いたします。
友人が詠んだ句です。「新春の澄んだ寒気を身にまとい、友と語りて冬を春へと」
対話が春を導く、いい句だと感じましたので、ご紹介させていただきました。
本年も、原点を忘れず、頑張って参ります。
特定秘密保護法については、「採決を急ぎすぎなのではないか」とのご意見を多くいただきます。
「強行採決」とご批判を受けた姿を、メディアを通じ、皆様に見せてしまったことは本当に残念ですし、反省すべきことだと思います。
その反省の上に立って、やはりお伝えしないといけないことは、「必要性の認められる法律」すら党略に使う野党、特に民主党の姿勢です。
衆議院段階までは順調にいっていたかに見えた法案の修正過程ですが、法案が参議院に送られてきて状況は一変しました。
野党との信頼関係をつくることができなかったことが大きな原因です。
特に民主党は、まるで、与党の「強行採決」を待っているかのようでした。
与党の1年生議員として実感したことは、特定秘密保護法のように、丁寧な説明を要する法律について、野党が最初から議論を戦わせることを放棄し、「強行採決」を演出することだけに戦略を集中すれば、それは高い確率で成功してしまうということです。
そもそも、この特定秘密保護法は、平成20年の第一次安倍内閣時に始まり、政権交代後の菅内閣や野田内閣なども政府の方針として公式に進めていました。
つまり民主党も、この法律の必要性を理解していたのです。
しかし、今国会での民主党、特に参議院の民主党の姿勢は、与党時代を忘れたかのようにただ反対だけの反対を繰り広げていました。
一番、不思議に感じることは、政府案に対する対案を民主党は作成していたはずなのに、特に参議院では、その対案をぶつけて審議し内容を明確にする姿勢など最初からなく、難癖をつけるような質問ばかりしてきたことです。
会期の最後のほうでは「与党は秘密に関する統一ルールが無かったというが、あったじゃないか、嘘つきだ」という質問ばかりを繰り返していました。
政府がいくら、「ルールはあったけれども政令であり、しかも網羅的でないので各省バラバラな運用だった。だから法律をつくるのだ」と答弁しても、「嘘をついた、立法の必要はない」の繰り返しです。
大声をはりあげる野党議員の姿だけが報道でながれ、それでイメージはつくられていきます。
およそ、与党時代に法律の必要性を検討していた党の質問とは思えません。
会期終盤に行われた地方公聴会について、民主党などは、「突然、地方公聴会を決めて勝手に進めるなど、強行採決へのアリバイ作りに過ぎず認められない」と批判しましたが、地方公聴会をやるように要請していたのは言うまでもなく民主党と、その他の野党です。
野党こそが求めていた公聴会ですが、与党は忘年会シーズンで難しい中、会場確保に奔走し、ようやく12月2日に設定することができました。
その日にすぐ民主党理事に伝え、民主党側は了承したにも関わらず、翌日になって「こんな横暴は許せない。こんな急に人は呼べない」とテレビの前で態度を変えてまくし立ててきました。
ここから結局は、どなたを呼ぶかもあらかじめ何の準備もしておらず、ただ「公聴会を開け」と叫んでいたことが明らかになったと思います。
この法律に対する民主党の姿勢を象徴的に示したのは、最後の本会議での民主党議員の動きです。
本会議での法案審議に入ったら、いきなり民主党議員は全員退席します。
あとから聞くと、退席をすることで「強行採決だ」という印象を与えようとしたとのことですが、その結果、法案に対する反対討論をする貴重な機会を自ら放棄することとなりました。
反対討論をして国民に訴えるよりも、退席をして、強行採決を印象づけるパフォーマンスを選んだ訳です。
その後、民主党内からも、このやり方に対して異論がでたため、一度退席した本会議場に、民主党の全議員がまた戻ってきました。
しかし、突然退席して議事を混乱したことには何ら言及しないまま、今度は採決方法をめぐって議論を提起し、時間稼ぎをするなど、本当に誠実さを欠く姿勢でした。
どこまで本気でこの問題に向き合っているのだろうと、憤りすら感じました。
隣の共産党の人も「まとまりがない党なら、解散しろ」と野次をいれていました。他の野党にも失礼だと思いました。
最大野党として民主党は、最初からまじめに議論する気などなく、「強行採決の横暴のなか、必死に抵抗した自分たち」という姿をいかに残すか、それだけを考えていたと思います。
余談ですが、民主党は、この臨時国会において、福島の方々の損害賠償請求権の時効期間を延長する法案についても委員会を欠席し、採決も棄権しました。
当初、この法律について賛成の意思を表明していたにも関わらずです。
話を特定秘密保護法に戻します。
もとより、この法律は早く通す必要がありました。
一番の理由は、緊迫した東アジア情勢です。
昨今、話題となりました、中国の「防空識別圏」設定の問題はこの事情を端的に示しています。
仮に、日本の航空自衛隊も出てこざるをえなくなると、一歩間違えれば戦争にもなりかねません。
また北朝鮮の動きも緊迫しています。
ナンバー2が処刑され、政権内部でこれまでにない大きな動きが起きています。
ひょっとしたら、今後の政権維持に影響がでてくるかもしれませんし、軍部が暴発して日本に被害がおよぶ可能性も否定できません。
こうした諸外国の重要な情報を収集する必要があります。
特に民主党の方々は、こういう事情があることをよく知りながら、無駄に時間だけをかけ、あまり実りのない質問ばかりを繰り返し、時間切れを狙って廃案に追い込もうとしました。
およそ政権を担ったことのある政党の姿ではありませんでした。
みんなの党の動きも不可解でした。
衆議院では修正協議に応じていたのに、参議院では、まるで違う党のようでした。
結局、参議院で主に議論を主導していた議員の方々は、その後、離党をします。
党内の勢力争いが、みんなの党における「衆参ねじれ」となり、この法案での対応の違いになったのかもしれません。
参議院での議論は日を追うごとに混乱の度合いを増しました。
「継続審議にして、次回国会にまわすべきだったのでは」とのお声もありますが、民主党などはどこまでも強行に廃案を求め、建設的な議論となりません。
法案に対する明確な質問もしないで、テレビを前にドタバタをみせることだけを目的に動く野党、特に民主党の動きをみていると、継続審議にしても、議論が正常にもどるのは絶望的に思えました。
結果、採決か、継続審議とするかの判断を迫られた与党は、最終的に法律の必要性を考慮し、採決することを決定しました。
混乱した姿をお見せしたことは、本当に申し訳なく思います。
現場にいた人間の感覚として、事実は、与党が数で押し切ったのではなく、野党の「強行採決」を演出する戦略に与党が押し切られた格好です。
しかし、円滑な議事ができなかったことは、与党としてお詫びをしなければいけないと、私は思います。
また、「第三者委員会」の内容など、これから決めることが多すぎて、そんななか法律をつくっていいのか、というお声もあります。
たしかに、今後の宿題はまだまだ多いです。
それでも、情報漏洩を防止し、秘密に関するルールの枠組みをつくることがまず大事であると考えます。
今回の修正をへて、秘密管理や情報漏洩防止について制度の大枠は出来ました。今後は詳細な制度設計の段階となります。
多くの意見を集約し、結論をだしていく政治の世界において、詳細な制度設計が決まるまで「何も決められない」「大枠すら決められない」ということを繰り返していたら、結局、何も進みません。
これは、国会にはいり、私が実感したことでもあります。
繰り返しになりますが、この法律はあくまで出発点です。
この法律がしっかりと機能し、秘密の無限定な拡大を抑え、情報の漏洩を防止する枠組みをつくるための詳細な制度をつくることがこれからの課題となります。
しっかりと議論し、結果を出してまいります。
矢倉かつおです。
国会会期も終わりましたが、連日、税や予算の検討を行っており、また休日や夜は、地元をまわっております。
前回、特定秘密保護法について記載しました。「報道では伝わらない内容がよくわかった」というご意見を数多くいただきました。本当にありがとうございます。
他方、「公明党は与党のブレーキ役を担うはずなのに、結局、政府に追随しているだけではないか」とのご意見もいただいております。
この点、公明党は、「知る権利」の配慮が不十分だった当初政府案の修正を粘り強く交渉し、ひとつひとつ成し遂げました。
官邸主導の動きの中、「与党のなかのブレーキ役として責任」を果たした、とお伝えしたいと思います。
長文になってしまい恐縮ですが、大切な問題ですので、今回は、この点についてご報告します。
そもそも、この法律の原案を作成したのは政府、つまり安倍内閣です。
自民党と公明党が政府より説明をうけ、53日間という短い臨時国会で成立を期す旨の連絡を受けたのは、だいたい今年の8月の終わりから9月ごろのことでした。
私も9月上旬に初めて政府提出の原案を見ましたが、当時の率直な感想を言うと、「行政が何の基準もルールもなく、秘密を指定すること」を認めるものであり、問題だと感じました。
(余談ですが、テレビのコメンテーターの方の発言を聞くと、「当初政府案を前提に話しているのでは?」と思うようなことが多々あります)
前回、日本には、すでに42万件にもおよぶ「特別管理秘密」が存在することをご紹介しました。
それが、何の統一ルールもなく管理されていたことが、これまでの「情報隠し」を許していた原因の一つであると公明党は考えます。
だから、情報漏洩の防止とともに、明文のルールを法律でつくり、秘密を管理することが必要です。
しかし、政府原案がそのまま通ると、現状のずさんな秘密管理を法律で追認するようなものとなってしまいます。
「これでは法律がない方がマシだ」と感じました。
他方で、この法律を早くつくり、各国との情報共有の体制もつくらないといけません。
ならば、「政府原案を修正し、知る権利を決して侵害しないものに変えていく」ことで、「与党内のブレーキ役」として全力を尽くそうと公明党は決めました。
この作業は、自民党だけでは出来ない作業です。
労多くして評価されることの少ない地道な作業であり、見方によっては「成立に手を貸した」と世間の批判をあびる可能性もあるものです。
しかし、これを出来るのは与党のうちの公明党だけだと自負もし、その覚悟でのぞみました。
そこからが大変でした。
9月7日の初会合を皮切りに、合計13回会合を開き、多くの専門家の方を呼んで議論をし、その結果をもって役所と対峙しました。
こうして、多くの成果を勝ち得たと思います。
主なものを記載すると以下のとおりです。
1.「秘密の指定・解除等」の客観的基準作成
まず、行政が「何のルールもなく」秘密の指定・解除等を行うとされた政府原案を改めさせ、「弁護士を含めた有識者会議の意見を聞いて作成する客観的な基準」に従ってなすべきであるとの趣旨で修正をしました。
公明党のこの修正がさらに発展をし、最終的に、指定や解除の状況について政府が毎年、有識者会議の意見を付して国会に報告し、公表することまで義務づけることが出来ました。
2.秘密延長の内閣の承認、閣議議事録作成
また、秘密指定が30年を超える場合には「内閣の承認」、つまり閣議決定が必要であることを明記しました。
さらに重要なことは、閣議決定が必要であるとしたことをうけて、その「閣議の議事録を作成すること」を安倍総理に認めさせました。
これは明治時代以来の慣行を破るものです。
3.「知る権利」を明記、取材行為の処罰禁止を明記
さらに、「知る権利に資する」「報道の自由」に配慮すべき旨の規定を盛り込みました。
そして、その具体性を確保するために、取材行為は「正当業務行為として取り扱い」違法とならない旨の規定を入れ込みました。
この修正が、さらにその後の修正を生み、最終的に、取材行為は、「スパイ目的等でない限り処罰されないこと」が明記されました。
4.特定秘密の公開原則
また、たとえば防衛秘密などは、これまで防衛省限りで廃棄していましたが、「特定秘密の指定が解除された情報」は、「原則、公開すること」、また「廃棄する場合には内閣総理大臣の同意を得ること」を政府に認めさせました。
これが更に発展をし、「30年以上秘密指定された文書」は原則すべて公開されることが義務づけられました。
5.情報公開制度充足、国会への情報提供義務
そのほか、情報公開のための有識者会議設置や、これまで国会にも提出されることのなかった秘密を、一定の手続き(秘密会)を経れば、国会に提出させる義務を政府が負っていることなどを、国会質問の過程で明らかにしました。
ここまで修正をやり遂げた公明党の「次になすべき仕事」は、多くの野党と建設的な議論をして、より広い合意を目指すことです。
衆議院では、みんなの党、維新の会と実務者レベルで合意が出来ましたが、このように広範囲に与野党合意が出来たことは画期的なことです。
これも、公明党の大口衆議院議員をはじめ関係者が粘り強く交渉した結果です。
このように公明党は、政府に追随などせず、政府・役所と議論を戦わせながら、野党との協議も整わせ、もともと不十分だった政府案の内容を充実させるために、岩盤に穴を開けるような思いで粘り強く交渉してまいりました。
この点は、引き続き丁寧にご説明していきたいと思います。
また、「採決を急ぎすぎではないか」とのご意見も多くいただきました。
この点について、説明不足のまま、あのような姿を広く見せたことが大変に残念でもあり、申し訳なく思います。
私も議員1年生として「与党の難しさ」を実感いたしました。
他方、あのタイミングで採決をする事情もあり、次回のメルマガでは、この点について私なりにご説明をさせていただきます。
「特定秘密保護法は、戦前の『治安維持法』のように特定の思想信条を持っている人を逮捕するための道具になるのではないか」との懸念の声をいただきました。
これについて断言いたします。そんなことはありません。
今の憲法では、戦前と違い、「思想・良心の自由」が保障されています。
治安維持法のような法律は違憲であり、無効です。
「特定秘密保護法」という名前が混乱を生じている原因かもしれません。
まるで秘密国家を目指しているかのような名前ですが、この法律の内容を正確に表すのなら、「特定秘密保護法」ではなく、「機密情報漏洩防止法」ではないでしょうか。
かつて、「後期高齢者」という言葉をつくり、全国的に批判をあびたセンスの無さが、ここでも発揮されてしまったように思いますが、この法律は治安維持法とは全く性質の異なるものです。
もっとも、こういった懸念が生じてしまう、より重要な理由は、「何でもかんでも秘密にしてしまうのではないか」という多くの方が感じている不安だと思います。
たとえば原発の情報などは、今回の「秘密」の対象ではないのですが、「原発情報も特定秘密にあたってしまい、それを取得しようとしたら即逮捕となってしまうのではないか」との懸念の声も聞いております。
この不安は非常に重要なことです。
これについて、安倍総理の国会答弁が一つ参考になります。
安倍総理がいうのは、前回のメルマガでも言及した42万件にも及ぶ「特別管理秘密」ですが、その9割ぐらいは人工衛星からの情報で、残りの大半は暗号だということです。
今回の「特定秘密」は、その「特別管理秘密」よりも更に狭い範囲となります。
もっとも、「本当にそうか」という不安はまだあると思います。
権力は常に濫用のおそれがあるものです。
そこで、公明党の主張をいれ、「特定秘密」の指定のための公開ルールを定めることが義務づけられました。
ルールにきちんと従って指定がなされていたかを定期的にチェックし、最終的にその結果は、公表することとなりました。
さらに、30年間に及び特定秘密指定された秘密は、原則公開されます。
秘密指定が30年間未満の情報の公開もルールを決めるとの政府答弁がありました。
これにより、秘密は原則、歴史の検証をうけます。
これまで、自衛隊の情報などは、一定期間が過ぎれば廃棄されたようです。
報道によれば、数年間で3万件以上の情報が廃棄されてきたと言います。
しかし今後、こういうことが無くなります。これも今回の法律によって前進した点です。
その他、新聞報道にあるとおり、秘密指定の適正をチェックする独立機関の設立など、多くの仕組みを取り入れることとなりました。
報道機関等が特定秘密を取得することも「スパイ目的」でない限り処罰されないことも明記されました。
何のチェックもないまま、役所の判断で秘密管理していたころから比べると格段の違いです。
理想を言えば、秘密などなく全ての情報を公開する。また、仮に秘密をつくっても、何が秘密かは全部国民が判断できるようにすれば、この上ないことでしょう。
ただ、それは到底、無理な話です。
情報が外にもれないようにしなければいけないのに、その秘密をみんなで決めることなど出来ないのです。
みんながみんな信頼できる人であればいいのですが、そのなかで一人でも信頼できない人がいれば、そこからインターネットなどを利用して、あちらこちらに情報が広がってしまいます。
また残念ながら、実務を担っている各行政機関にしか、何を秘密にすべきか判断する能力がないことも事実です。
ですから、秘密の指定は行政がするしかないのです。
そのうえで、二重三重にチェックする仕組みを不断につくっていくことが国会に課せられた役割であると思います。
公明党の強い主張で、相当程度、この法律はチェック機能を果たせるものとなりました。
今後は、公文書管理法や情報公開法、国会法などあらゆる関連の法律を総点検し、よりよい情報公開のあり方をつくる必要があります。
ですから、繰り返しますが、この法律はあくまでも出発点なのです。
「公明党は、憲法9条改正まで賛成するのではないか」とおっしゃる声もあります。
しかし、平和主義を掲げた憲法9条の1項、2項を守ることは公明党の党是です。
憲法9条の1項、2項を削除するような動きは許しません。そこははっきりと申し上げたいと思います。
その他の国会報告は改めていたします。
年末に向けて、予算編成と税制議論が続きます。さらに頑張ってまいります!!
矢倉かつおです。
53日間におよぶ臨時国会が終了しました。
私にとって、事実上の初国会でしたが、国会質問する機会を5回も与えていただきました。
そのうちの1回は、本会議での安倍総理に対する質問です。
一生に一度あるかないかの機会を、いきなり1年生でやらせていただきました。
色々とご報告したいことも多いのですが、今回は「特定秘密保護法」について記載します。
私の事務所にも連日のように数多くのご意見をいただきます。
説明が足りず、大変に申し訳ないと思っております。
今回のメルマガはこの重要法案につきまして、少々長くなりますが、2回に分けて発信させていただきたいと思います。
まず、公明党がこの特定秘密保護法の成立を、なぜ支持したか。
答えは、第一に、この法律がないと、どうしても守らなければいけない情報が外に漏れてしまい、外国やテロの攻撃に晒されてしまう危険性があるからです。
そして第二に、この法律がないと、諸外国から「日本では重要な情報が守れないので、日本に情報を渡すのはやめよう」と言われてしまう可能性があるからです。
これまで日本には、国家秘密を守るためのしっかりしたルールが法律レベルではありませんでした(自衛隊法など一部の例外を除いて)。
あるのは、国家公務員法100条という刑罰規定ぐらいです。
何が秘密で、それをどう管理するか等々、「法律」ではなく「政令」という省庁ごとの規則で決めていました。
これは世界からみると異常な状態であると言えます。
いくら政令で定めても、国民の目からは詳しいことは見えません。
外国の人からみたら、なおさら分からないでしょう。
「日本には、秘密を守るルールすらないのか」と思われてしまいます。
法律をつくるべき国会が、その仕事をさぼっていたと言われても仕方のない状態でした。
ちなみに、今の法律では、秘密を漏らしてしまったことに対する刑罰は「懲役1年以下」です。
物を盗んでも窃盗罪で「懲役10年以下」の刑罰なのに、国の安全を守るために必要な情報を漏らしても「懲役1年以下」というのは軽すぎるのではないでしょうか(アメリカなどでは、情報によっては極刑もあります)。
このままでは、ますます外国から「日本は秘密を守ることに熱心でない」と見られてしまいます。
そこで、極秘情報を扱う人の範囲を定め、情報を漏らしたことに対する罰則を外国並みに重くすること。
さらに、秘密指定を適切に行わせるとともに、秘密の公開の手続きを定めた、今回の法律が必要になるのです。
では、この法律をつくり、秘密の取り扱いを国際レベルに引き上げることで、具体的にどういう効果があるのでしょうか。
例えば本年1月、アルジェリアでは「日本人人質殺害事件」が起きました。
あの時、アルジェリア政府による突入計画など、重要な情報は日本政府に入りませんでした。
「もう少し外国からの情報収集がうまくいっていれば、もっと違う結果になったかもしれない」という後悔が、今の日本政府にはあります。
情報がうまく入らなかった理由の一つは、日本の情報管理が外国から信頼されておらず、「日本に情報を渡しても、情報が漏れる」と思われたことでした。
今回、この法律が出来て、「日本に情報を渡しても、漏れることはない」と各国に信頼してもらうことができれば、今後、同種の事件が発生した際に、アメリカやイギリス、フランスなどの政府からも情報が入り、国際テロなどの未然予防に役立つことが期待されます。
今、問題となっている「中国の防空識別圏の問題」等に対処するための必要な情報の共有にも効果を発揮します。
ちなみに、間もなく発足予定の国家安全保障局のリーダーである国家安全保障局長は、「特別公務員」といって、今の法律のままでは、国家公務員法100条の秘密保持義務の対象外になりかねない状況です。これもおかしな話となってしまいます。
そして、公明党がこの法律を支持した第三の理由といってもよいと思いますが、今回、きちんとした法律をつくることで、これまで行政に任せきりだった「秘密管理のあり方」を、オープンに議論する土壌が、やっと出来ました。
これは見過ごせない点だと思います。
実はこれまで、日本にはすでに、「特別管理秘密」という秘密が存在していました。
その数なんと42万件です。
これを規律するルールらしいものはつくられていましたが、内容がそれほど詳細でなく、結局、各省が独自に秘密の管理等を取り扱っていました。
今回、法律をつくることの意味は、こういうバラバラな状態を統一させ、きちんと、国民の皆様どなたにも「見える」形でそれを監視する枠組みをつくることにあります。
この法律をつくる過程で、おそらく多くの方は、「安心・安全を守るには、守るべき秘密があり、それを守りつつ『知る権利』をいかに確保するか」という作業の難しさをお感じになったことと思います。
このような悩みを共有し、国民的な議論になったこと自体、有意義であったと私は思います。
「法律をつくる」ということは、これまで、ある意味では、政府に勝手にやらせていたこれらの作業を、国会の責任としてとりあげたということであり、秘密行政のあり方を根本から変える意義があったと思います。
国会審議では、核持ち込みに関する日米の「密約」や薬害エイズ情報など、過去の情報隠しが議論となりました。
今回の法律により、こういう秘密が更に増えるのではないかとのお声もありますが、私は違うと思います。
これまで、それぞれの役所の判断で「秘密情報」として隠されてしまっていた情報の管理の仕方が、衆人環視のもと法律で決められるのです。
そういう秘密の動きが無くなるよう、国会の監視のもと行政を縛る枠組みがやっと出来たということです。
この法律が明記した、「30年間秘密指定された情報の公開原則」や、国会の秘密会への秘密情報提供(これまでは、国会法に規定される「内閣の声明」により国会に提供を拒否されていた情報も、国会内で適切な手続きをとれば提供されるようになりました)など、今後、その細部をしっかりつくる必要があります。
その意味では、この法律はまだ出発点です。
皆様のご意見を拝聴しながら、さらにより良い枠組を作っていきたいと決意しております。
(次号へつづく)
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫でございます。大臣、連日お疲れさまでございます。
まず最初に、早速質問に入らせていただきます。昨日もお尋ねをしたんですが、法案の必要性についてです。
私、昨日も夜、二百人ぐらいの会合を二つ出ましていろんな国政のお話を聞いたんですが、やはり質問の集中はこの法案についてでございました。多くの方は、大半の御質問は、知る権利どうやって保護するのかという許容性の問題よりは、むしろ何で必要なのかというところ、そこをもうちょっと具体的に知りたいというような質問が非常に多かったです。
総理からも御答弁いただいたとおり、情報共有、各国からの情報提供の前提としてこういう秘密保全制度、非常に重要である、そのようなこともお伝えもしました、私も聞いたというふうに。私自身も、テロの危険の増幅、アメリカにいるときも自分の体験として感じたこともございますし、そういう辺りも含めてお話ししたんですが、やっぱりもう少し具体的な事実に即して、こういう事態が過去に生じた、ある事態が生じたときに外国から情報の提供がなされなかったという具体的な事実がもしあれば、今回のこの法律の経緯に至った具体的な事実みたいなものも絡めて、今回の法案の必要性について御答弁いただければと思います。
○政府参考人(鈴木良之君)
お答えします。
外国との情報共有につきましては、情報が各国において保全されることを前提に行われているところでございまして、本法案により情報を適切に保護する体制を整備することで、我が国の情報保全体制に対する各国からの信頼を確立し、より幅広く質の高い情報の取得が可能になるものと考えております。
例えば、日米両政府間におきましては、情報保全に対する共通の信頼を増進することを目的として二〇一〇年三月に情報保全についての日米協議を設置し、政府横断的なセキュリティークリアランスの導入やカウンターインテリジェンスに関する措置の向上を含む情報保全の更なる改善に向けた方策について意見交換を実施しているところでございます。
こうした中、平成二十三年六月の2プラス2共同声明におきまして、情報保全のための法的枠組みの強化に関する日本政府の努力を歓迎し、そのような努力が情報共有の向上につながることを期待した旨言及され、本年十月の同委員会共同発表におきましても、情報保全の法的枠組みの構築における日本の真剣な取組を歓迎する旨言及されているところでございます。
さらに、例えば本法案が施行されることになれば、万が一、在アルジェリア邦人に対するテロ事件のような事件が将来発生した場合に、外国の関係機関等から我が国に対し秘匿度の高い情報がより適切な形でより迅速に提供されることが期待されます。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
引き続き、やはり具体的にどういう事実があったか等も含めて説明をまた誠実にしていただければと思っております。
必要性の部分はまたより一層引き続き具体的に詰めていきたいと思いますが、法案、今後いろいろ審査していく上でやはり大事な部分は、昨日も申し上げましたけれども、情報秘匿の必要性と知る権利のバランス、特に国民の皆様が本当に御懸念なのは、知る権利が侵害されているのか、必要以上に知る権利が侵害されているのではないかという点、それがなされないような仕組みをしっかりつくるということがバランスを図るということであると思っております。
私も、当初の政府原案、まだ国会開会前に見せていただいたとき、非常にびっくりしたのは、秘密指定、行政の機関の長がすると、それに対しての基準すら全くなかったわけですが、公明党の主張も入れまして、今十八条になっています有識者に基づいた基準というものも仕組まれました。今回の修正過程も含めて、この基準はまた内閣の策定に基づいて、また総理が改善命令も出すと。最終的には、この基準に基づいた運用の状況も国会に報告もし、公開もする、そういう形で、適正な手続に基づいて秘密指定がなされているのか、一定程度の担保はなされている部分はあるかと思っております。
その上で、更に今後この基準をどうしていくのかという点は非常に重要な部分であるなと。特に、法案を作った中で、今後また更に内閣で検討をして基準を具体化していく上でですが、一番最初にどういう基準を作るのかというのは非常に重要であると思っております。
特に、この部分について基準の中でしっかりと検討していくことが行政の秘密指定の恣意性を排除する上では重要である。どういう項目が必要か、御答弁をいただければと思います。
○政府参考人(鈴木良之君)
お答えします。
本案に基づきます運用基準につきましては、有識者の御意見をいただきまして策定する予定となっておりますが、その中におきましては、特定秘密の指定、解除及び適性評価につきまして定めることとなりますが、具体的な特定秘密の情報ごとに応じました指定の期間や取扱いの方法等について、情報に応じた適切な基準を設けたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
指定は、特にいろいろ主観的な事情も定義の中に特定秘密として含まれていますので、そういう辺りも今後一層入れていかなければいけないとは思っております。その後、今後しっかりと基準も含めていくべきであると私は改めて思っております。
それで、その次に、行政の恣意性排除の上で、やはり最終的には、大臣ちょっと今いらっしゃらないのであれなんですけど……(発言する者あり)昨日、最終的に行政の恣意性排除の上では、やはり指定を得た上で、指定した情報が公開をされて歴史の検証を受けるという点は非常に重要であると思っております。その上では、最終的には指定された情報も公開されるという、その部分は、確実にまた履行される部分は必要であると思っております。
今回の修正案で四条の六項、先ほど来からも一部御説明ありましたが、指定三十年を超えて内閣の承認が得られずに延長できなかった行政文書、これも公文書管理法上の歴史的文書という形の扱いをした上で公文書館等に移すと。これは、最終的には歴史的文書、全て当然公開はされるわけですけど、三十年秘密指定されたということで、当然のように同じような扱いをして公文書として公開されるというような部分は担保された情報であるし、意義はある部分であると思います。
ただ、やはりその三十年を超える以前の段階、秘密指定をして、その後、延長を五年ごとにしていくわけですが、その三十年を超えるまでの段階で、延長自体はしないでいるという事態もあり得ます。そのときに、じゃ仮に廃棄をされてしまった場合、一旦指定をされて見えないところに行った、そのまんま廃棄をして、まさに物として消えてしまうというような、そういうような事態も可能性としては存在する場合もあると思います。
改めて、答弁の部分も含めてちょっとまた御確認を、これ公文書管理法上の今後のまた検討の部分に入ると思いますので、御検討をいただければと思います。
○副大臣(岡田広君)
お答えいたします。
三十年未満で特定秘密の指定が解除され、文書の保存期間が満了したものについては、ほかの行政文書と同様に歴史公文書等については国立公文書館等に移管されることとなり、それ以外の文書については、廃棄する際に内閣総理大臣に協議し、その同意を得ることになるものと考えておりますが、先日の衆議院の委員会におきまして、特定秘密の指定期間が三十年未満の文書であっても、長期間特定秘密として指定されるものについては、その歴史資料としての価値を踏まえ、国立公文書館等への移管が適切に行われるよう、ルール作りも含めて検討してまいりたいということで考えております。
○矢倉克夫君
引き続き検討を、やはり制度を更に、この今回の保全法とはまた別に、いろんな諸制度もしっかりと検討し続けていって全体的な情報公開の在り方というのも考えていく、セットとして考えることが非常に重要であると思っております。御検討をいただければと思います。
次、昨日も、質問の一つで国会の関係も質問させていただきました。特に、本案で十条、国政調査権との関係で、国会が情報提供要請をした際の関係も含めて質問させていただきまして、大臣、御答弁の中では、この法案によって国会に対する情報提供が妨げられるのではないかというような質問の趣旨に対しては、これまで、国会法に基づいて文書の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣声明、それによって提出が拒まれていたものも、秘密会等の手続を経ることで公開される部分もあるというような御答弁もいただきました。
ちょっと趣旨もまた含めて確認したいんですけど、御回答の前提には、今までの国会法で国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨というふうに認定をされる情報範囲よりは、今回の特定秘密の範囲というのは当然狭いというような御前提があると思うんですが、この認識でよろしいでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君)
はい、そのとおりでございまして、国会法百四条の場合よりも狭くなりますので、この声明を出すことなく国会の求めに応じ秘密会に特定秘密を提供することになるということです。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
その限られた情報の中で、ただ、やはりどうしても違和感、違和感というか、違和感というとちょっと間違いではあるんですが、十条の中でやはり更に説明が必要な部分だなと思う部分は、今おっしゃったとおり、最終的には、国会法で提供されないようなものも、この十条の手続を経れば開示をされる余地はあるという部分はあると思います。
ただ、要件上は、やはり行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに初めてそうなる部分はある。開示が理論的にはできるんですけど、最終的に行政機関の長による裁量が入り込むという部分で、実質上、一歩を、国会に開示される内容が、可能性が広がったという可能性があったとしても、それが打ち消されているんじゃないかという懸念も生じますが、この我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められるとき、具体的にはどういう場合を想定されていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君)
原則としては、国会から求めがあれば、国会における保護措置は当然国会の中で講ぜられることになっていると思いますので、国会から求めがあれば秘密会に提供をすることになります。今回の修正案ではそのように提供をするものとするというふうにもなって、その趣旨が明確化されました。
そして、お尋ねの我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときという意味でございますけれども、この著しい支障を及ぼすおそれがあるときとはどういうときがあるかと逆から申し上げますと、サードパーティールール、例えばサードパーティールールと申しまして、外国から情報をいただいた、それを特定秘密にしているというときに、外国が提供するときに、これはその他の者には出さないでくださいというような条件を付ける場合がございます。その場合で、国会に対してもそれが出せない場合というものが当てはまると思いますけれども、それ以外の場合は、通常、国会から求めがあれば、これは国会の保護措置が講じられていると思いますので、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないというふうに認定をされるというふうに思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
御趣旨、これは解釈としては非常に、更にこれからはっきりと明確になっていけばより良いとは思いますが、先ほどの、国会法で拒否される情報の範囲よりも特定秘密がまず狭いというこの前提、これは行政の恣意性をいかにまた排除していくのかという要件も非常に絡んでくると思います。これが確定した上で、この我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないという部分がしっかりと裁量の余地がないほど限定されるのであれば国会に提供される余地も出てくるかと思います。これ、運用いかんによっては国会の情報のコントロールというのもしっかり強化する役割も持ってくる部分はあると思いますので、しっかり今後も明確な運用ができるような議論が必要であると思っております。
時間ではございますが、秘密保全法、非常に世の中も関心もあるところであり、今後はこの法律の部分も含めて、また公文書管理法も、国会法も、様々な法律としっかり一体となって議論をしていくことは必要であると思います。
より良い情報の在り方について私も検討していきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございます。
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫でございます。大臣、連日お疲れさまでございます。
まず最初に、早速質問に入らせていただきます。昨日もお尋ねをしたんですが、法案の必要性についてです。
私、昨日も夜、二百人ぐらいの会合を二つ出ましていろんな国政のお話を聞いたんですが、やはり質問の集中はこの法案についてでございました。多くの方は、大半の御質問は、知る権利どうやって保護するのかという許容性の問題よりは、むしろ何で必要なのかというところ、そこをもうちょっと具体的に知りたいというような質問が非常に多かったです。
総理からも御答弁いただいたとおり、情報共有、各国からの情報提供の前提としてこういう秘密保全制度、非常に重要である、そのようなこともお伝えもしました、私も聞いたというふうに。私自身も、テロの危険の増幅、アメリカにいるときも自分の体験として感じたこともございますし、そういう辺りも含めてお話ししたんですが、やっぱりもう少し具体的な事実に即して、こういう事態が過去に生じた、ある事態が生じたときに外国から情報の提供がなされなかったという具体的な事実がもしあれば、今回のこの法律の経緯に至った具体的な事実みたいなものも絡めて、今回の法案の必要性について御答弁いただければと思います。
○政府参考人(鈴木良之君)
お答えします。
外国との情報共有につきましては、情報が各国において保全されることを前提に行われているところでございまして、本法案により情報を適切に保護する体制を整備することで、我が国の情報保全体制に対する各国からの信頼を確立し、より幅広く質の高い情報の取得が可能になるものと考えております。
例えば、日米両政府間におきましては、情報保全に対する共通の信頼を増進することを目的として二〇一〇年三月に情報保全についての日米協議を設置し、政府横断的なセキュリティークリアランスの導入やカウンターインテリジェンスに関する措置の向上を含む情報保全の更なる改善に向けた方策について意見交換を実施しているところでございます。
こうした中、平成二十三年六月の2プラス2共同声明におきまして、情報保全のための法的枠組みの強化に関する日本政府の努力を歓迎し、そのような努力が情報共有の向上につながることを期待した旨言及され、本年十月の同委員会共同発表におきましても、情報保全の法的枠組みの構築における日本の真剣な取組を歓迎する旨言及されているところでございます。
さらに、例えば本法案が施行されることになれば、万が一、在アルジェリア邦人に対するテロ事件のような事件が将来発生した場合に、外国の関係機関等から我が国に対し秘匿度の高い情報がより適切な形でより迅速に提供されることが期待されます。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
引き続き、やはり具体的にどういう事実があったか等も含めて説明をまた誠実にしていただければと思っております。
必要性の部分はまたより一層引き続き具体的に詰めていきたいと思いますが、法案、今後いろいろ審査していく上でやはり大事な部分は、昨日も申し上げましたけれども、情報秘匿の必要性と知る権利のバランス、特に国民の皆様が本当に御懸念なのは、知る権利が侵害されているのか、必要以上に知る権利が侵害されているのではないかという点、それがなされないような仕組みをしっかりつくるということがバランスを図るということであると思っております。
私も、当初の政府原案、まだ国会開会前に見せていただいたとき、非常にびっくりしたのは、秘密指定、行政の機関の長がすると、それに対しての基準すら全くなかったわけですが、公明党の主張も入れまして、今十八条になっています有識者に基づいた基準というものも仕組まれました。今回の修正過程も含めて、この基準はまた内閣の策定に基づいて、また総理が改善命令も出すと。最終的には、この基準に基づいた運用の状況も国会に報告もし、公開もする、そういう形で、適正な手続に基づいて秘密指定がなされているのか、一定程度の担保はなされている部分はあるかと思っております。
その上で、更に今後この基準をどうしていくのかという点は非常に重要な部分であるなと。特に、法案を作った中で、今後また更に内閣で検討をして基準を具体化していく上でですが、一番最初にどういう基準を作るのかというのは非常に重要であると思っております。
特に、この部分について基準の中でしっかりと検討していくことが行政の秘密指定の恣意性を排除する上では重要である。どういう項目が必要か、御答弁をいただければと思います。
○政府参考人(鈴木良之君)
お答えします。
本案に基づきます運用基準につきましては、有識者の御意見をいただきまして策定する予定となっておりますが、その中におきましては、特定秘密の指定、解除及び適性評価につきまして定めることとなりますが、具体的な特定秘密の情報ごとに応じました指定の期間や取扱いの方法等について、情報に応じた適切な基準を設けたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
指定は、特にいろいろ主観的な事情も定義の中に特定秘密として含まれていますので、そういう辺りも今後一層入れていかなければいけないとは思っております。その後、今後しっかりと基準も含めていくべきであると私は改めて思っております。
それで、その次に、行政の恣意性排除の上で、やはり最終的には、大臣ちょっと今いらっしゃらないのであれなんですけど……(発言する者あり)昨日、最終的に行政の恣意性排除の上では、やはり指定を得た上で、指定した情報が公開をされて歴史の検証を受けるという点は非常に重要であると思っております。その上では、最終的には指定された情報も公開されるという、その部分は、確実にまた履行される部分は必要であると思っております。
今回の修正案で四条の六項、先ほど来からも一部御説明ありましたが、指定三十年を超えて内閣の承認が得られずに延長できなかった行政文書、これも公文書管理法上の歴史的文書という形の扱いをした上で公文書館等に移すと。これは、最終的には歴史的文書、全て当然公開はされるわけですけど、三十年秘密指定されたということで、当然のように同じような扱いをして公文書として公開されるというような部分は担保された情報であるし、意義はある部分であると思います。
ただ、やはりその三十年を超える以前の段階、秘密指定をして、その後、延長を五年ごとにしていくわけですが、その三十年を超えるまでの段階で、延長自体はしないでいるという事態もあり得ます。そのときに、じゃ仮に廃棄をされてしまった場合、一旦指定をされて見えないところに行った、そのまんま廃棄をして、まさに物として消えてしまうというような、そういうような事態も可能性としては存在する場合もあると思います。
改めて、答弁の部分も含めてちょっとまた御確認を、これ公文書管理法上の今後のまた検討の部分に入ると思いますので、御検討をいただければと思います。
○副大臣(岡田広君)
お答えいたします。
三十年未満で特定秘密の指定が解除され、文書の保存期間が満了したものについては、ほかの行政文書と同様に歴史公文書等については国立公文書館等に移管されることとなり、それ以外の文書については、廃棄する際に内閣総理大臣に協議し、その同意を得ることになるものと考えておりますが、先日の衆議院の委員会におきまして、特定秘密の指定期間が三十年未満の文書であっても、長期間特定秘密として指定されるものについては、その歴史資料としての価値を踏まえ、国立公文書館等への移管が適切に行われるよう、ルール作りも含めて検討してまいりたいということで考えております。
○矢倉克夫君
引き続き検討を、やはり制度を更に、この今回の保全法とはまた別に、いろんな諸制度もしっかりと検討し続けていって全体的な情報公開の在り方というのも考えていく、セットとして考えることが非常に重要であると思っております。御検討をいただければと思います。
次、昨日も、質問の一つで国会の関係も質問させていただきました。特に、本案で十条、国政調査権との関係で、国会が情報提供要請をした際の関係も含めて質問させていただきまして、大臣、御答弁の中では、この法案によって国会に対する情報提供が妨げられるのではないかというような質問の趣旨に対しては、これまで、国会法に基づいて文書の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣声明、それによって提出が拒まれていたものも、秘密会等の手続を経ることで公開される部分もあるというような御答弁もいただきました。
ちょっと趣旨もまた含めて確認したいんですけど、御回答の前提には、今までの国会法で国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨というふうに認定をされる情報範囲よりは、今回の特定秘密の範囲というのは当然狭いというような御前提があると思うんですが、この認識でよろしいでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君)
はい、そのとおりでございまして、国会法百四条の場合よりも狭くなりますので、この声明を出すことなく国会の求めに応じ秘密会に特定秘密を提供することになるということです。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
その限られた情報の中で、ただ、やはりどうしても違和感、違和感というか、違和感というとちょっと間違いではあるんですが、十条の中でやはり更に説明が必要な部分だなと思う部分は、今おっしゃったとおり、最終的には、国会法で提供されないようなものも、この十条の手続を経れば開示をされる余地はあるという部分はあると思います。
ただ、要件上は、やはり行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに初めてそうなる部分はある。開示が理論的にはできるんですけど、最終的に行政機関の長による裁量が入り込むという部分で、実質上、一歩を、国会に開示される内容が、可能性が広がったという可能性があったとしても、それが打ち消されているんじゃないかという懸念も生じますが、この我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められるとき、具体的にはどういう場合を想定されていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君)
原則としては、国会から求めがあれば、国会における保護措置は当然国会の中で講ぜられることになっていると思いますので、国会から求めがあれば秘密会に提供をすることになります。今回の修正案ではそのように提供をするものとするというふうにもなって、その趣旨が明確化されました。
そして、お尋ねの我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときという意味でございますけれども、この著しい支障を及ぼすおそれがあるときとはどういうときがあるかと逆から申し上げますと、サードパーティールール、例えばサードパーティールールと申しまして、外国から情報をいただいた、それを特定秘密にしているというときに、外国が提供するときに、これはその他の者には出さないでくださいというような条件を付ける場合がございます。その場合で、国会に対してもそれが出せない場合というものが当てはまると思いますけれども、それ以外の場合は、通常、国会から求めがあれば、これは国会の保護措置が講じられていると思いますので、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないというふうに認定をされるというふうに思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
御趣旨、これは解釈としては非常に、更にこれからはっきりと明確になっていけばより良いとは思いますが、先ほどの、国会法で拒否される情報の範囲よりも特定秘密がまず狭いというこの前提、これは行政の恣意性をいかにまた排除していくのかという要件も非常に絡んでくると思います。これが確定した上で、この我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないという部分がしっかりと裁量の余地がないほど限定されるのであれば国会に提供される余地も出てくるかと思います。これ、運用いかんによっては国会の情報のコントロールというのもしっかり強化する役割も持ってくる部分はあると思いますので、しっかり今後も明確な運用ができるような議論が必要であると思っております。
時間ではございますが、秘密保全法、非常に世の中も関心もあるところであり、今後はこの法律の部分も含めて、また公文書管理法も、国会法も、様々な法律としっかり一体となって議論をしていくことは必要であると思います。
より良い情報の在り方について私も検討していきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございます。
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
ただいま議題となりました特定秘密の保護に関する法律案につき、会派を代表し、質問させていただきます。
情報化社会は、経済活動の更なる創造性を育み、国民生活の利便性を向上させる一方、国民の安心、安全に係る機密事項が瞬時にテロリストを含む不特定多数に拡散してしまう危険性を増幅させました。したがって、国民の安心、安全を守るため、一定程度の情報の秘匿は必要です。他方、行き過ぎた情報秘匿は国民の知る権利を侵害いたします。権力には濫用のおそれが付きまとう、それが歴史の教訓であり、それを不断にチェックすることこそ民主主義の歩みでした。これを支える権利こそ知る権利です。
本法案は、まさにその情報秘匿の必要性と、報道の自由や国民の知る権利とのバランスをいかに図るかの観点から議論すべきものです。私は、このバランスを図るべく、有益な議論を通じ、国民の本法案に対する理解を深めるべきと考えます。この立場から幾つかお尋ねをいたします。
まず、本法案の必要性についてです。
多くの国民は、なぜ今この法案が必要なのか、総理のより明快な説明を求めています。総理は、他国から情報提供を受けるため強い情報保護法制が必要であること、これまで縦割りであった政府部内での情報共有に資することの二点を強調されました。公務員秘密漏えい罪を始めとする我が国の現行秘密保護法制の何が他国からの情報提供の妨げとなり、本法案がいかにそれを改善するのか、また、秘密保護を目的とする本法案がなぜ政府部内の情報共有に資するのか、総理の御答弁をいただければと思います。
次に、行政による特定秘密指定についてです。
重要なことは、恣意的指定の余地はない、そう言えるほどの客観ルールが存在するかです。この点、衆議院修正により、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関する基準は、内閣が策定し、内閣総理大臣が運用改善を指示する旨明記されました。これは、特定秘密の指定について内閣総理大臣が責任を負うことを更に明確にしたものです。
総理、恣意的な秘密指定を防ぐために必要な基準とは何か、最終責任者として御答弁をお願いいたします。
関連し、特定秘密内容の定義の明確性についてお尋ねいたします。
特定秘密の定義中には、安全保障や安全を害するおそれという主観的基準が存在いたします。例えば、特定秘密たる特定有害活動防止に関する措置のうち、いわゆるスパイ活動防止措置とは、第十二条二項及び別表を併せ読む限り、我が国安全保障に支障を与えるおそれのある非公知な情報を外国の利益を図る目的で取得するための活動で、我が国及び国民の安全を著しく害するおそれがある活動を防止する措置を意味します。基準の大半が安全保障や安全を害するおそれの存否であり、判断の裁量の余地が大きく、結果、スパイ行為と言えない情報収集活動にまで影響の出る事態も想定し得ます。かかるおそれの判断基準、手順も秘密指定に関する基準に盛り込むべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
更に関連し、特定秘密指定の延長についてお尋ねいたします。
衆議院修正により、指定の有効期間の上限は原則六十年とされました。これは、六十年を超えれば原則公開される趣旨と理解してよろしいでしょうか。また、六十年を超えてなお秘密指定される情報として、現在の外交交渉に影響を与える情報や、六十年を超える指定を条件に外国から提供された情報など、範囲が一概に明確でないものも存在いたします。六十年を超えた指定延長が無限定に広がらないための方策について、総理、御答弁いただきたく思います。
次に、処罰範囲、特に特定秘密範囲の明確性についてであります。
総理は、衆議院本会議において、特定秘密が記録された文書にはその旨の表示がなされることから、何が特定秘密かは公務員等にとって明確、したがって、公務員の取材への対応に支障を及ぼすことはないと御答弁されました。裏を返せば、秘匿されるべき特定秘密とは、表示あるいは通知という第三条規定の処置を施した媒体に記載された情報のみであり、それ以外の情報の漏えい行為が関連情報を漏えいしたなどの理由により処罰されることはないと理解してよろしいでしょうか。総理、御答弁をよろしくお願いいたします。
関連し、過失による漏えい行為の処罰についてお尋ねいたします。
過失行為は類型化が難しく処罰範囲が広がるおそれもあり、その結果、過失処罰を恐れる公務員等が情報提供に過度に慎重となることも考えられます。処罰範囲を明確化する観点からは、故意に準ずるものとして重過失処罰に限定することも考えられますが、過失を処罰すべきとした御趣旨を森大臣、御答弁いただきたく思います。
次に、国権の最高機関たる国会との関係についてお尋ねをいたします。
衆議院修正案は、国会への特定秘密提供義務を、一定要件の下、行政機関の長に課しましたが、他方、行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれのないと判断することも提供の要件としており、裁量の余地は残ります。国会法第百四条は、国政調査権に基づく情報提供要請を拒否できるのは内閣の声明があるときのみといたしますが、本法案には内閣の声明は明記されておりません。国会への情報提供が不当に妨げられることのないよういかに対処すべきか、森大臣の御答弁を求めます。
最後に、内閣の情報管理についてお尋ねをいたします。
秘密業務を行う各行政機関が、特定秘密保護法案の存在そのものを奇貨とし、情報隠しに走らないよう、各行政機関への監視を内閣が確実に行う必要がございます。内閣が行政を一元管理することができて初めて、議院内閣制下での内閣を通じた国会による行政に対する民主的コントロールが確保されます。各行政機関による情報隠しを排除することに向けて、総理の御決意をお伺いいたしたいと思います。
国民の本法案に対する不安を取り除く丁寧かつ誠実な説明が今、政府に求められております。このことを強く申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
矢倉克夫議員にお答えをいたします。
本法案の必要性等についてお尋ねがありました。
外国との情報共有は、情報保全が確立されていることが前提であり、また、政府部内の情報共有が促進され、特に国家安全保障会議の審議がより効率的に行われるためには、秘密保護に関する共通ルールの確立が不可欠であります。しかしながら、これまで、防衛分野以外の安全保障に関する秘密については、一般的な国家公務員法の守秘義務の定めしかなく、また、適性評価等について規定する法律が存在しませんでした。
本法案は、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定め、その漏えいの防止を図るものであり、これにより我が国及び国民の安全を確保できるものと考えます。
恣意的な秘密指定を防ぐために必要な基準についてのお尋ねがありました。
本法案では、特定秘密の指定等の統一的な運用を図るため、安全保障に関する情報の保護や情報公開、公文書管理の分野の有識者の御意見を内閣総理大臣が聴いた上で、案を作成し、閣議決定により特定秘密の指定等の基準を定めることとしています。
当該運用基準においては、法案の別表に限定列挙する事項の細目や特定秘密の指定解除手続等について規定することを想定しております。議員御指摘の、おそれの判断基準等も含め、当該運用基準をできるだけ具体的かつ詳細に定めることにより恣意的な指定を排除し、本法案の運用の統一を図ってまいります。
特定秘密の指定の有効期間についてお尋ねがありました。
修正協議を経て、特定秘密の有効期間は原則三十年を上限とし、その延長について内閣の承認を得たとしても、暗号や人的情報源に関する情報等、例外中の例外を除き、通じて六十年を超えることができないことといたしました。これにより、原則として一定期間経過後は全ての情報が公開されます。
また、修正協議により、有識者の意見を踏まえ、内閣総理大臣が指定や解除について行政機関の長に対し改善すべき旨の指示をすることができるようになるなど、適正な運用がより一層確保されることとなったところであります。
漏えい罪の対象となる情報についてお尋ねがありました。
特定秘密である情報は、御指摘のように、表示あるいは通知の措置が講じられており、これらの措置が講じられていない特定秘密でない情報を漏えいしたとしても、本法案の漏えい罪により処罰されることはありません。
特定秘密に関する内閣の情報管理についてお尋ねがありました。
特定秘密の指定等の統一的な運用を図るため、有識者の御意見を内閣総理大臣が聴いた上で、案を作成し、閣議決定により特定秘密の指定等の基準を定めることとしています。また、内閣総理大臣が指定に関し行政機関の長に対し改善すべき旨の指示をすることができることとされ、内閣総理大臣が指定等について指揮監督を行うことが明確となっております。
本法案が成立した際には、政治のリーダーシップを発揮をし、内閣として秘密保護に関する共通のルールの適正な運用を図ってまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
○国務大臣(森まさこ君)
過失を処罰する趣旨についてのお尋ねがありました。
特定秘密の取扱いの業務に従事する者等は、業務上正当に特定秘密を知得する以上、その秘密が漏えいすることを防止すべき注意義務を負っているのであって、この義務を怠るときは過失の責任を免れないと考えます。なお、自衛隊法に基づく防衛秘密制度やMDA秘密保護法においても過失による漏えい等の処罰が規定されております。
国会への特定秘密の提供についてのお尋ねがありました。
本法案が施行され、国会において特定秘密を保護するために必要な措置が講じられることとなれば、国家の重大な利益に悪影響を及ぼすものではないとして、国会法第百四条第三項に基づく声明を出すことなく国会の求めに応じて秘密会に特定秘密を提供することとなり、これまで以上に国会で必要な議論ができるようになるものと考えております。
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
質問に入る前に、冒頭一言。前回の委員会で私学のいじめ問題、質問させていただきました。下村大臣また西川副大臣、大変に誠実に御回答いただきまして、早速相談者の方にお伝えをしましたら、国が対応してくれたということで感動をしてくださって、登校拒否になっていたお子さんも高校進学に向けて一生懸命勉強を頑張ると、今度私の国会事務所の方にも来たいというふうにおっしゃってくださっていました。一言、この前時間がなくて余り御礼できなかったんですが、御対応いただいてくれたことに対して、御礼とともに、より一層しっかりと御対応いただければと思いまして、冒頭、御挨拶させていただきました。ありがとうございます。
それでは質問に入らせていただきます。
所得制限を掛けることをいろいろ議論をされております。いろんな議論があるんですが、私は、今回の所得制限を掛けられたことに、法案の意義というのは、前提はやはり親の収入や格差によって教育を受ける権利を奪われかねない子供がいる、それを何とか救っていきたいという思いがありまして、ただ財源の問題もあり、どうしても子供の教育のために将来的に現役世代に負担を掛けるような国債増発等もなかなか難しい、限られた財源の中でどうすればいいかというやりくりの中で、やはり、高所得者の方には大変申し訳ないんですが、その御負担の下、社会全体で支えるという思いも込めて、この所得制限、決断をされたというふうに認識をしております。
通告とはちょっと若干順序が違うんですが、まず冒頭、大臣から、その所得制限を掛けられたことを、そしてそれを財源をどうやって生かしていくのか、その点を含めてちょっと御答弁いただければと思います。
○国務大臣(下村博文君)
御指摘のように、国の財源が豊かであれば、これは高校だけではありませんが、幼児教育の無償化含め、あるいは大学教育の公財政支出をすることによって、より負担を軽減することによって、どんな家庭の子供であっても、貧しい家庭の子供であっても、意欲と志があれば大学や大学院あるいは海外まで留学できる、そういうチャンス、可能性をつくっていくということは、この国の将来を考えた場合に大変重要なことだと思いますし、是非そういう方向性を目指していきたいというふうに思います。
ただ、高校においては、今の制度において、無償化前から授業料が全額免除されていた低所得者にとって恩恵がなかったこと、また私立高等学校の低所得世帯の生徒には授業料を中心に依然として大きな負担がある、こういう課題があり、低所得者世帯の生徒に対する一層の支援と、それからもう一つは、公私間の教育費格差の是正を図る、こういう必要があるというふうに考えているわけであります。
そこで今回の改正においては、文部科学省としては、所得制限によって捻出された財源を活用して、一つは、奨学のための給付金制度の創設、二つ目に、私立学校の就学支援金の加算の拡充、三つ目に、特定扶養控除の縮減により負担増となった特別支援学校や定時制、通信制高校の生徒の支援、これらを実施することによって現行制度の課題に対応してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
既に与党の政調会長同士も合意をされたその趣旨にのっとって、今回の所得制限で浮いた財源をしっかりと低所得者のまた子供に対しても振り向けていく非常に具体的なお話であると思います。
私自身も、実は小学校三年生のときに父が事業を立ち上げ、失敗もし、非常に借金がずっと続いた状態で、それでも自分の思いとして私立に行きたかった思いもあり、親に何とか頼み込んで授業料等も捻出してもらった、父親も働いたお金をそのまま予備校代に出してきて、生活費を消費者金融で賄ったりとか何かはありました。親が収入がなかなかない中でも、一生懸命学校に出してくれた親に対して感謝する思いとともに、私立に行った、授業料も高いのは当然なんですけど、例えば定期代を親に出してもらうというのが非常に心苦しくて、そのために毎回毎回お金をもらうのが大変申し訳ないなという思い、そういう思いもあって御飯をよく抜いたりとかして、そこで少しだけでも浮いていこうとか、そういうような思いもしたことを今改めて思い出しております。
先ほど大臣の方から、まず低所得者、これまで恩恵を受けなかったまさにその低所得者世帯に対しての奨学のための給付金というふうにおっしゃってくださいました。今申し上げましたとおり、教育費という点でなかなか授業料がすぐに浮かぶ部分もあるんですが、私、今手元にある文部科学省の子供の教育費調査という資料なんですけど、平成二十二年、ちょっと今日はお手元には配れなかったんですが、それを見ますと、例えば平成二十二年度で全日制の公立の高等学校教育全体で掛かるお金というのは、授業料ゼロという前提であっても、学校教育費で二十三万、年間ですけど、二十三万七千六百六十九円、修学旅行やまたPTAの会費その他が掛かると。また、学校外活動費でも十五万五千七百九十五円掛かる。私立になりますと更にそれ以上掛かるというような数値もあります。授業料という部分の負担とはまた別に、やはりそれ以外の部分での教育費の負担というのもそれぞれ低所得の家庭では大変な部分もあるので、それに対してしっかりと附帯をされるというのは非常に重要な点であるなと思います。
ただ、今回、法文では明文化されることはなかったと思うんですが、その辺りの経緯の御説明とともに、改めて具体的な制度について、御説明を大臣からいただければと思います。
○国務大臣(下村博文君)
私も小学校三年生のとき父が交通事故で亡くなりまして、それ以来母子家庭で、たまたま高校に入るときにあしなが育英会の前身である交通遺児育英会ができて、日本育英会、当時は給付型があったんですね。この日本育英会と交通遺児育英会の奨学金二つを貸与なり給付することができるので高校進学することができたと、そういう経緯がございます。
さて、委員が御指摘のとおり、今回、これは真に公助が必要な方々のための制度とするものでありまして、そういう意味で、現下の厳しい財政状況の下、低所得者支援や公私間格差を是正するための財源を捻出すべく所得制限を設けることにしたわけでございますが、この所得制限によって捻出された財源については、八月二十七日の与党間合意で、低所得者支援としての奨学のための給付金制度の創設、それから公私間格差是正としての就学支援金の加算拡充、また特定扶養控除縮減への対応等に充てるということを踏まえまして、文科省としてこれまでも財務省と調整を行ったところでございます。
今後の予算編成過程においては、当然、この与党間合意が守られるものであるというふうに確信をしておりますが、さらに、低所得者支援等の施策の実現に向けまして、先頭に立って努力をしてまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
あと、公私間格差の是正という話もありました。なかなか、一般のイメージですと、私立に通う御家庭というのは高所得な方が多いんじゃないかと。私も、私立と公立の格差を是正する必要はないんじゃないかというようなお声も実は聞いている部分はあるんですが、今、手元ですと、例えば年収四百万未満の御家庭で公立の小学校に、小学校、中学校の話をまずしますが、公立の小学校に通っている御家庭は一六・三%、私立は二・九%、非常に差はある。公立の中学校は一四・四%、私立の中学校は二・八%。公立の高校になりますと一五・四%通うんですが、私立の高校も九・五%と。この数字から見ると、収入が低い御家庭でもやはり私立の高校に通わざるを得ない方がいらっしゃるということであると思います。
今回、具体的には、地方でもやはり公立の競争力が激しくて、収入が低くても私立に行かざるを得ない、高い授業料の私立に行かざるを得ないというような御家庭があるというような話もお伺いしておりますが、今回、公私間格差是正というふうに政策向けられている趣旨、背景というのはそういう辺りもあるというように理解しておりますが、いかがでございましょうか。西川副大臣、よろしくお願いします。
○副大臣(西川京子君)
先ほどから矢倉先生のお話を聞いていて、本当に、そういう中から頑張って国会議員になられたってすばらしいなと思いまして、頑張っていただきたいと思います。
おっしゃるとおり、実は、都市部においては富裕層があえて非常に難関校を目指すというような私立志向というのはあると思うんですが、地方においては本当に、むしろ所得が公立へ行っている子より低い家庭が結構あるというのは現実です。就学支援金制度においても、私立学校に通う生徒のうち二割程度が加算措置を受けている年収三百五十万未満程度の世帯であるということが分かっております。
そういう中で、御指摘のとおり、高所得者世帯の人たちが私立高校に行っているというのは、ある意味では地方においては当たらないと思いますので、私立学校への支援というのはしっかりしていかなければいけないと思っております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
先ほど大臣もおっしゃってくださいました今回の所得制限というのは、やはり真に公助を必要としている子供たちのための政策であると認識をしております。であるからこそ、浮いた財源は当然そちらに向けなければいけないわけでありまして、それに対しては、今後財務省とのいろいろ御折衝も、既になされていると思いますけど、重要な部分もあるかと思います。
もう一言大臣に、財務省との折衝も含めて御決意を御答弁いただければと思っております。
○国務大臣(下村博文君)
これは予算関連法案でございますので、財務省の立場からすると、予算編成の過程において現段階で明言できないということであるかもしれませんが、先ほどから答弁させていただいているように、与党間の政調会長合意について誠実に履行するということについては財務省は国会答弁でも述べておりますので、これは必ず、所得制限で捻出された財源は低所得者や公私間格差の是正等に使われるのは当然のことですし、またそれに向けて全力で対応してまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
それで、具体的な法文にちょっと入らせていただきたいと思うんですが、今回出されている法案、制度設計としては、高校無償化という原則を一旦外した上で就学支援金を支給するという形になっていると思います。やはり、今まで無償化になっていた、今回の所得制限に入らなかった御家庭に対して、同じような状況をしっかり担保するというのは、法文上も、その就学支援金の額がこれまで無償とされていた月額授業料と同額であるということをしっかりと担保する必要はあるかと思っております。
法案の五条の三項なんですが、「第一項の支給限度額は、地方公共団体の設置する高等学校、中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部の授業料の月額その他の事情を勘案して定めるものとする。」、「その他」という文言がございます。この「その他」というのは、その前に書かれていた月額をマイナスする要因というふうには理解しておりませんが、その理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(前川喜平君)
先生御指摘のとおり、この法案の第五条第三項には「その他の事情」という文言が出てくるわけでございます。この就学支援金の支給限度額につきましては、現に公立の高等学校等で徴収される授業料の月額、その実態をまず勘案するということでございますけれども、それに加えて、その他の事情もあり得るだろうということで「その他の事情」という文言が入っているわけでございますけれども、これは決してその標準的な授業料額を下回るように支給限度額を設定するための規定ではございません。
現に、公立の高等学校と比べまして、定時制、通信制の高校におきましては私立の高等学校の授業料は高いわけでございますが、こういった事情を勘案するということでございまして、具体的には、現在、公立の定時制、通信制高校の授業料はそれぞれ月額二千七百円と五百二十円となっているわけでございますけれども、これをそのまま私立の定時制、通信制の支給限度額とするのはこれは問題があるということで、私立の定時制、通信制高校につきましては全日制と同じように月額九千九百円に上限を引き上げるということとされております。
このため、そのその他の事情を勘案するということが全国の標準的な授業料額を下回る額を設定するということに使うということは想定していないわけでございます。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。明快な御答弁、ありがとうございました。
また、さらに、制度の内容に入りたいと思うんですが、与党の政調合意では所得制限の額として九百十万という金額が出ております。なかなか報道ではその九百十万という金額が先走りしているところもあるかもしれないんですが、合意の中でもこれは基準額として九百十万というふうに書かれている。
ただ、九百十万という額で仮にぴったり切ってしまうと、この教育費に掛かる負担の感覚というのも、お子さんが何人いらっしゃるかとか、そういうところで家庭ごとにいろいろ事情も違ってくる部分はあるかと思います。単純に所得だけで区切るということはいかがなものかというようなお声もあるんですが、その辺りに対してはどのような配慮をされているのか、御答弁いただければと思います。
○政府参考人(前川喜平君)
この所得制限に係る所得の把握につきましては、現行の就学支援金の低所得者加算における場合と同様に、市町村民税の所得割額を使用するということにしているわけでございます。この市町村民税所得割額は、これは控除の対象となる家族の構成が反映される形になるわけでございますので、教育費のかさむ高校生や大学生といった子供を持っている家庭につきましては、この市町村民税所得割額を使うことによりまして、その子供の数を含めた家族構成が勘案されるということになります。
例えば、夫婦片働きで高校生一人の家庭でありますと年収九百十万ということになるわけでございますけれども、これが高校生一人にプラスして大学生一人であるということでありますと九百六十二万円まで基準額が上がります。また、更に高校生二人、大学生一人という三人の子供を持っている家庭でありますと年収が一千万円というところまで基準額が上がると。これはいずれも市町村民税所得割額が三十万四千二百円なんでございますけれども、この家族構成が控除に反映されることによりまして、実際の年収額に引き直しますとこういった違いが出てくるということで、子供の多い家庭、特に教育費のかさむ子供の多い家庭にはそういった事情が反映されるという基準になっているわけでございます。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
あと、所得制限の関係でいいますと、やはり所得の判断の基準の在り方といいますか、先ほど来からも質問が出ていたので改めて確認なんですが、やはり前年度所得を参考に無償化適用があるか否かを判断されておられるということで、収入の激変などによって授業料負担が、前年は九百十万以上だったものが急に減って、本来であればその減った収入基準であれば無償化適用の場合にあるかもしれないんですけど、収入の激変によって、授業料を払わざるを得なくなっているというような状態が仮に起きた場合、それに対してどのような対処をされるのか、御答弁いただければと思います。
○政府参考人(前川喜平君)
御指摘のとおり、就学支援金の支給につきまして、所得制限等の基準、これの所得確認につきましては、前年度の市町村民税の所得割額、これを使うわけでございますけれども、その場合、当該年度において家計が急変したという場合に直ちに対応できない、こういう問題がございます。これは現在の私立高校への就学支援金の加算においても同じことが起こっているわけでございますけれども、こういったことにつきましては、私立高校につきましては、現在既に各都道府県の行っております家計急変への対策につきまして国としての補助をしているわけでございますが、この新しい制度を実施するに当たりましては、公立高校も含めまして家計急変への対策を取ってまいりたいと考えております。
具体的には、これは各都道府県がどのような判断をするかということでございますけれども、家計急変につきましては、失職やあるいは死亡あるいは病気といったことの事情を勘案いたしまして、収入が大幅に減ったということについて、それをカバーする緊急の措置というふうに理解しております。そういったものにつきまして国の補助をするという仕組みを設けることによりまして、急激な変化に対する対応をしてまいりたいというふうに考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
今後、制度が動き出したときにやはりまた問題になり得るのは、収入の把握についての現場の事務負担がやはり増えるのではないかというような部分もあるかと思います。その辺りについてはどのように御対応されるのか、御答弁いただければと思います。
○政府参考人(前川喜平君)
この制度の改正によりまして、所得確認の事務など地方自治体での事務負担が増えるということは御指摘のとおりでございます。特に所得の把握に当たりまして、現行制度における就学支援金の加算あるいは都道府県が行う授業料減免措置の対象者の判断におきまして、多くの都道府県が採用しております保護者の市町村民税所得割額の合算額によって支給の有無、支給額を判断するということでございます。この市町村民税所得割額で判断するというのは、これは一律に三十万四千二百円という数字で判断するということでございますので、この所得の確認につきましては最も簡素で容易な方法であるというふうに考えております。
また、この事務の実施に係る経費につきましては、各地方公共団体の状況に応じまして、予算の範囲内で必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
今後、学校現場や地方公共団体の御意見も十分お伺いしながら、可能な限り更なる手続の簡素化を検討してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
最後に、法案とは少し離れますが、幼児教育の無償化。
幼児教育の重要性は非常に、皆様御案内のとおりであります。また、幼児をお持ちの世帯の所得というのはやはり低いというふうに推定もされる部分もありますし、幼児教育、今後、小学校、中学校、高校ともう様々な教育費の負担というのが潜在的に増えるという、そういうようなお子さんを持っている御家庭に対してのやはり教育関係の無償化というのは非常に重要であるなと思っております。
与党もこの六月に無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議で基本方針を取りまとめて、五歳児を対象とした無償化を実現することを視野に置いて二十六年度から段階的に取り組むとしておりますが、財源確保への対応も含めて、今後の無償化への取組、決意について、下村大臣、最後によろしくお願いいたします。
○国務大臣(下村博文君)
御指摘のように、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでありまして、特に先進諸国は、この幼児教育における投資というのはその人にとってだけでなくその社会、国にとっても大変な先行投資として社会発展に寄与する、そのための無償化ということを各国も進めているわけでございます。
委員が御指摘のように、今年の六月に幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議におきまして今後の取組の基本方針が取りまとめられ、無償化に関する環境整備と財源確保を図りつつ、まずは五歳児を対象として無償化を実現することを視野に置いて平成二十六年度から段階的に取り組むこととされました。この基本方針を踏まえまして、先ほど説明申し上げましたが、幼稚園と保育所の負担の平準化を図る、こういう観点から、幼稚園の就園奨励費補助において低所得世帯、多子世帯の保護者負担について保育所と同様の軽減措置を行うということを決めまして、平成二十六年度の概算要求を今行っているところでございます。
引き続き、幼児教育の無償化に向けた取組を財源を確保しながら段階的に進めてまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
以上で終わります。
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
昨日、春原先生、落合先生、西山先生、参考人として御来院されまして、本法案についての貴重な御意見を賜りました。参考人の皆様がおっしゃっていた共通の部分というのは、特にこの日本の力、発信力を弱めている縦割りを打破する意味で、この法案が与える意義というのは非常に大きいという点。西山参考人も、十全に機能すればすばらしいというふうにおっしゃっておりました。
私も、自身の経産省に出向をした弁護士としての経験から、国際通商を様々担当して、例えばUSTRの人から日本の顔は経産省なのか外務省なのかどちらかとか聞かれたこともある。国際通商の分野においても縦割りというのが今まであったのが事実であり、特に外交、防衛については更にそれをしっかりと打破していく必要あると思いますし、この法案は非常に意義があるものだと実感をしております。
他方、昨日の参考人の、特に春原先生がおっしゃっていた点というのは、このNSCもやはり運用が大事であり、やりようによっては暴走もする、これはアメリカのNSCの例を挙げておっしゃっていたことではありますが、暴走という意味もあると。やはり、どういう運用の在り方を考えるのが非常に重要であるかなというふうに私改めて感じをいたしました。
それで、通告と順序が若干違うんですが、まず、総理補佐官と国家安全保障局長のすみ分けについて改めてお伺いをしたいと思います。
今までの御答弁、総理補佐官の役割というのは総理直属のアドバイザー、また、国家安全保障局長というのは事務局でもあり、また外交、防衛については各国のNSCの長とのカウンターパートでもあるというふうにお伺いもしております。他方、補佐官、第一次安倍内閣のそのときのNSC法案の有識者会合の中での議論などでも、補佐官が当時役割を担うと想定されていたのは、各国の代表との交渉なども考えられていた。今回の法案のときの有識者会議ではそういう文言は入ってなかったという認識はしておりますが、ただ、役職として、やはり補佐官と国家安全保障局長というのが両頭でいることで、非常に重複した権限もあり、場合によっては、補佐官が職務がはっきりしない分だけ権限がぶれてしまって、お互いがかち合ってしまうんじゃないかというような懸念もやっぱりございます。
今、官房長官も、これまで兼任をすることもあり得るんだという御答弁もいただいておりました。であれば、なおさら一層、常置の機関として、法定の機関として補佐官を置くのはどういう意味があるのかなという疑問が湧いてくるわけですが、この点、特にこの総理補佐官、役回りとしてどういうのを想定されているのか、御答弁いただければと思います。
○国務大臣(菅義偉君)
総理補佐官は総理直属のスタッフ職であります。総理補佐官の中から一人、この安全担当を総理が指名することになります。そして、国家安全保障局長というのは、今言われましたように、まさにこのラインの中で政策の企画立案、総合調整を行う。
前回の安倍内閣の国家安全保障局というのは事務局でありました。今回は内閣官房の中に入れて総合調整まで含めました。総理補佐官は、総理の命において臨機応変に動くことのできるという立場であります。例えば、政府・与党、そうした中で与党の政務の皆さんのところに様々な考え方を説明に行くとか、総理の特命を受けてということも私は出てくるだろうというふうに思います。
ですから、国家安全保障局という長はまさにその六十人の責任者であって、そして総理大臣の補佐官は総理直属のスタッフでありますから、直接この国家安全保障局にかかわることはないわけでありまして、国家安全保障会議には出席をしますけれども、局の責任者は局長と。そして、総理の特命を受けて、これは政府・与党とかの政務もあるでしょうし、あるいは海外においても総理の特命の中で行動することが可能だというふうに考えます。
○矢倉克夫君
昨日の春原先生の、アメリカのNSCの理解を通した上で、一時期、アメリカのNSCの補佐官ですので日本とはまた違う部分はあるんですが、やはり暴走した経緯もあり、それに対しての反省という部分も含まれていた。
懸念としては、補佐官として直属の総理の意向を受けてということですけど、それぞれが別々に、局長が動く部分と補佐官が動く部分というのがやっぱりずれてしまう可能性もひょっとしたらあり得るんじゃないかなと。もうちょっとこの補佐官というのを、どういう役回りを持っているのか、運用の中で更に明確化していくというような必要はあるのではないかなということで御質問をさせていただきました。
次に、これも昨日、春原参考人とのお話の中で出てきた情報と政策の分離の関係でございます。
今までも御答弁されていらっしゃいましたとおり、やはり情報と政策というのはしっかり分離をしなければいけない。その上で、国家安全保障局の役回りというのは、政策立案の上での情報の発注者、カスタマーである、要求者であって消費者であり、他方、独自に情報を集める機関ということではないという理解でおります。
そういう点では、しっかり分離はされている部分もあるんですが、やはり情報の発注の仕方によって、情報を集める側もやっぱりいろんなプレッシャーを掛けて、集める情報自体がゆがめられるというような危険性もあるかと思います。この点は今後もしっかり運用で検討していく必要あるかと思いますが、御答弁いただければと思います。
○国務大臣(菅義偉君)
委員言われましたように、政策と情報というのは今回の法案の中では完全に分離をさせていただく形になっています。まさに内調を中心とする情報あるいはそれぞれの役所の情報、そうした情報を国家安全保障局で集約をして、そこである意味で消費をするわけであります。
そういう中で、やはり集約した情報を総合的に分析をして政策に反映していくという、そこは、そういう意味において、国家安全保障局と内閣情報室を中心とする情報コミュニティーというのは完全にこれ分離しているというふうに考えています。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
最後、ちょっと法案とは少し離れるんですが、私、経産省にいたとき、特にWTOの紛争なども関与させていただいたりとかしました。レアアースの件、中国に提訴したときなども手続に関与させていただいたんですが、個人の思いとしても、これから非常にグローバル経済どんどんいく中、今、TPPの問題もEPAもFTAも、様々な国際ルールの中でのグローバル経済をしっかりどうやって生きていくのかというのが非常に重要になってくるなと。この国際通商の分野での訴訟戦略というのも、どこの国と手を結んでどこを訴えるか、そういうような高度な判断も必要となると思いますし、先ほどのレアアースの件なども、外交、防衛という点での戦略物資という部分のかかわり合いも出てくる訴訟というのも出てくると思います。
今回、私の拙い経験で、やはりそういう部分でも日本は縦割りが残っているところがあって、意思決定がなかなか即座にいかなかったりとかする部分もひょっとしたらあるのかもしれないなと。この法案は、国防、外交という点ではありますが、やはりそういう国際通商の分野においても今後しっかりと政治主導といいますか、迅速な意思決定なされるための努力が更に必要であると思いますが、その点、御見解を賜れば幸いです。
○国務大臣(菅義偉君)
今委員から発言がありましたように、まさに我が国はこの縦割り社会の中で、迅速に、そして機動的に基本方針を設定をして、安全保障、外交、防衛の司令塔の役割という形でこの安全保障会議を設定をさせていただいているわけであります。
そういう中で、今通商問題の話もありました。通商の中でも事安全保障にかかわる部分については当然ここで扱う形になろうというふうには思いますけれども、そこは総理の判断によるわけでありますけれども、いずれにしろ、この国家安全保障会議でそうしたものを行う行わないは別にして、通商政策についても、やはりオールジャパンというんですか、そういう形の中で縦割り行政の弊害をなくして行っていくことが極めて大事だというふうに思っています。
現在、TPPにおいては、甘利大臣を中心に、それぞれ外務省も経産省も農水省も一つになって今通商問題に当たっているということであります。
○矢倉克夫君
私の方でお伺いしたいことはこれで以上でございますので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫でございます。
今日は、三人の先生方、大変お忙しい中、急なお呼び立てにもかかわらずお集まりをいただき本当にありがとうございます。また、先ほど来、それぞれの御専門また御経験に基づいて大変貴重な御意見を賜りましたことを感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
お説をお伺いしておりまして、今回のNSC法案、今の日本の力を弱めている一つの原因がまず縦割りである、特に政策や情報収集での縦割りであり、その打破に向けて意義はあるという点は皆様御一致されている御見解であると思います。あとは、その運用いかんをいかにするか、ここはまたこれからしっかり議論をしていかなきゃいけないところであるなという点を改めて実感した次第でございます。
私自身は、元々弁護士ではあったんですが、昨年の三月まで経済産業省に任期付職員として出向をいたしておりました。特に、貿易関係の国際交渉を担当しておりましたが、その中で、民間から来た役所の中に入った人間として、縦割りの一つの原因は、やはり情報の縦割りというのが非常に多いなと、役所自身もそれぞれの力を維持するためには情報をいかに出さないかというのを非常に腐心しているなというのを実感をした次第でございます。その意味で、私も、今議論をされている法案、方向性としては非常に重要であるし、作っていかなければいけないなと。ただ、今日、また改めてどうやってその制度設計をしていくのか御説明をいただきたいと思っております。
まず、春原先生にお伺いをしたいんですが、先ほど、特にこれまで余り議論がなかった、NSCは暴走を停止をするという機能があったと。今、アメリカの歴史も含めて六段階に分けて非常に詳細に御説明をいただいたところでございます。
お伺いしたいのは、NSCが一時期暴走をした、それが父親ブッシュのときに組織として機能をした要素に転換をしたと。これは、暴走すべき要素があったNSCが組織的に何か変革をして、有効に機能したというような変革がなされたというふうに私推測したんですが、今の、できれば、アメリカのNSCと日本版NSC、日本版NSCはむしろイギリスのNSCに似ているというふうに理解ではいるんですが、可能な限り日本版のNSCの組織に照らし合わせて、アメリカではどういう変革がなされたのか、どういう部分の機能を強化されたのかというのを御説明いただければと思います。
○参考人(春原剛君)
先ほど申し上げました、レーガン政権のときにイラン・コントラ事件がありまして、これは御案内の方も多いと思いますが、イランとはいまだにアメリカは国交断絶です。しかしながら、イランのお金、オイルマネーを使って、サンディニスタ政権という当時あった中米の政権、左派政権を打破するために、そこの反政府ゲリラ、コントラにお金を回すということでイランに武器を売ったと。これは、オリバー・ノース等々NSCの軍人スタッフが考えた仕組みでありました。
これは、当時、レーガン政権がある種二期目に入って少し求心力を失っていたということもあり、NSCが肥大化したこともあり、そういった暴走を招いたんだと思いますが、これに対して、先ほど申し上げたハワード・ベーカー首席補佐官、あるいは議会の方でジョン・タワーというやはり国防問題に詳しい方がタワー委員会というのを創設して、こちらでいろいろ検討しました。そうした検討を受けて、父親のブッシュ大統領のときのスコウクロフト補佐官が導入した最大の改善点はデピュティーズコミッティーというものを導入したことです。デピュティーというのは英語で言うと次席ですね。今も実はホワイトハウスを中心とした、NSCを母体とした政府運営はこのデピュティーズコミッティーの役割がかなり高いというふうに言われています。
これは具体的に何を言うかといいますと、NSC、アメリカの場合はデピュティー、副官がおります。この副官が主宰して、各省庁、国防総省、国務省、財務省、USTR、商務省等々、アメリカの有力省庁の次官クラスあるいは副長官クラスを集めまして、各省庁からの情報を吸い上げ、意見を統合し、ここで一つ政府としての意見をまとめるということですね。この上にあるのがプリンシプルミーティングという、よく彼らは言っていますけれども、長官クラス、大統領も出席する長官クラスのNSCの会議であります。ですから、日本とそういう意味では似ているようなところもありまして、昔、事務次官会議というのがありましたが、事務次官会議をもう少し、しゃんしゃんではなく、実質的に各々の情報を持ち合い、意見を統合し、政府の国家戦略として束ねるという、そういう性格を持たせたものがデピュティーズコミッティーであろうかと思います。
ですから、このデピュティーズコミッティーが今のアメリカのNSCにおいていかにうまく機能しているかというのを、今後、日本版のNSCを創設、運営していく上においていろいろ研究、勉強する必要はあるのではないかというふうに思っておりますし、実際、アメリカの多くのNSCの補佐官たちも、あのデピュティーズコミッティーをスコウクロフト、父親ブッシュ大統領が導入してからNSCは随分と近代化したと言われています。簡単な言葉で申し上げると、キッシンジャーの時代がキッシンジャーという非常にあくの強い人の個人商店であったNSCが、スコウクロフトの改革によって会社組織のようなものに変わったというふうに私は認識しております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
今のデピュティーズコミッティー、これ日本版でいえば幹事とかが役回りをするということになり得るという理解でよろしいでしょうか。
○参考人(春原剛君)
恐らく、日本版のNSCの構想においても副官が二人候補になっていると思いますが、そのうちのいずれかが例えば委員長役となって関連各省庁の、先ほど申し上げました日本の例でいいますと局長クラスでしょうか、あるいはその上なのか分かりませんが、そういう方々を集めて随時機動的に議論を行うというイメージではないかと思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
今の暴走の関係にもあると思うんですけれども、近くはやはりイラク戦争のときの教訓として、今情報と政策の分離ということがよく言われておりますが、実際、何で大量破壊兵器があるというような情報の下、政策判断なされたかというと、情報発注側の意向が、やはりあることを想定した情報を集めるというような発注がなされていたんだろうなというような推測が成り立ちますし、日本版NSC設計するに当たっても、やっぱりそういう部分の危険性というのは常に監視をしなきゃいけないところであるなと思っております。
それでまた、続けて春原先生にお尋ねするんですが、制度的にこういうカスタマー、情報のカスタマーとしての、今回であれば国家安全保障局、いかに発注するか、その適正を図る制度設計みたいなのをアドバイスいただければと思います。
○参考人(春原剛君)
今議員御指摘になったとおり、日本におけるNSCの議論で少しごっちゃになっているなという印象があるのは、そのおっしゃられたインテリジェンスに関して、カスタマーであるNSCと提供元であるインテリジェンスコミュニティーの役割が少しごっちゃに議論されている。これは第一次安倍政権のときから少し見られた傾向なんですが、今御指摘があったとおり、NSCというのは、あくまで情報、上げられた情報に基づいて分析をし、戦略を考え、政策を総理大臣に提言するというのがファンクションであって、情報を集めるのが仕事ではないということです。
ただ、政府の諸機関からそれぞれが持っている、外務省、防衛省、あるいは警察なり経産省、財務省も含めまして、それぞれの有力省庁が持っている情報を吸い上げるという意味では情報を集めるということになろうかと思いますが、実際に、ローマテリアルとよくこの世界で言いますけれども、生の情報を収集するのは各省庁であって、NSCの役割ではありません。
ですから、どうもそこのところが、情報を政府の中から吸い上げるということからして、そういう表現があるので、NSCそのものが情報を集める、だから秘密保全法案が必要なんだというようなちょっと議論になっているようなところもあるかと思いますが、そこは明確に区別を付けなければいけないというのがまず第一点。
であるからこそ、NSCというのはカスタマーですから、情報には一切手を触れない、これが大原則だと思います。御指摘になったとおり、イラク戦争のときは、例の有名になったテネットというCIA長官がブッシュ大統領の執務室でスラムダンクですよという言葉を使ったと。つまり、絶対確実にサダム・フセインは大量破壊兵器を持っているというふうにミスリードをしたわけなんですが、そのミスリードしたと言われる原因も、今これも御指摘のあったとおり、恐らく当時戦争を、対イラク戦争を仕掛けたいと思っていた人たちのことをおもんぱかった、やっぱりバイアスが大分掛かっていたのではないかというふうに言われています。
ですから、日本がNSCをつくるに当たって最も気を付けなきゃいけないのは、政策判断をする、もちろん総理大臣、官房長官は当然のことながら、NSCの方々が自らの行いたい政策だけに適合する情報を集めるのではなく、全ての情報をあまねく集めた上で自らの政策なり方向性が正しいかどうかというのを判断する、そういうような役割分担をきちんとしていただきたいというふうに思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
やはり発注する側ですので、その発注の仕方いかんによって変なプレッシャーをインテリジェンスチームの方に与えないということも非常に大事な部分ではあるかなとは思っております。
それで、あと、逆に必要な情報がやはり集まらないというようなことも非常に重要な、大変な部分ではあるかなと思っております。私も先ほど、冒頭申し上げたとき、役所にいたとき、例えば係から課に、局から、どんどん上がっていくうちに情報というのはどんどん選別をされていく。いろんな理由があると思うんですけれども、やはり上げたくない心理の中で情報が選別されていってしまうというようなことは非常に大きいと思います。
今の法案の中では、情報共有、省庁を隔てた情報共有は官房長官をまた基点にして制度を設けているんですが、実際、行政機関の長から供与されたとき、行政機関の長に上がっている情報が選別をされて不十分な情報であれば法案自体も実効性がないかなとは思っております。
落合先生、先ほどまさに御経験の下、いかに情報というのが上げることが難しいかというようなことをおっしゃっていらっしゃいました。その御経験に基づいて、的確な情報をしっかり下から上に上げていくためにはどうすればよろしいのか、もし、アドバイスいただければと思いますが。
○参考人(落合洋司君)
いや、なかなか難しい問題なので、本当に非常に難しいことなんですが、ですから、情報というのはその辺に転がっているものではないので、やっぱり人が持っているといいますか、どうしても人というものが情報をそれぞれいろんな形で持っている、各省庁の中でも各段階でも持っていると。
ですから、私のやっぱりイメージとしては、そういう情報に対して日ごろから一つの人間関係、信頼関係というのを保ちながら、偉い人だけを相手にするんじゃなくて、必要に応じて少し下の方の人たちとも接するというふうな人をきちっと設けておく。私のイメージではそれが総理補佐官というふうな感じのイメージなんですけれども、例えばですね。別に総理補佐官でなくてもいいんですけれども、やっぱりそういう人が日ごろからよく見て、誰がどういう情報を持っているかというのも含めてきちんと把握をしていると。必要があれば、上の人だけじゃなくて、もうちょっと下に下がった人に対していろいろ働きかけをして、情報というのを持っていないかという形でいい意味で拾い上げていくと。
だから、下からぐっと上がってくるのだけをただ口開けて待っているというのではなくて、そういう積極的に働きかけていくというふうなことをやっぱりやっていかないと、なかなかいい情報というのは拾えないと。そういったことをやるには、やはり専従で誰かが、ステータスのそれなりに高い方がよく見ておくという体制が必要なんじゃないかなというイメージは持っていますね。
以上です。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
ちょっとまた話が戻るかもしれないですが、インテリジェンスチーム、やはり先ほど、情報を収集、要求をしたときに、ある程度の圧力を感じてインテリジェンスチームが上げる情報を仮に選別してしまうというようなことが、やっぱりプロ意識を持ったインテリジェンスのチームをつくっていくためにはどういうような組織の在り方、今やはりいろいろ問題になっているのは、省庁からの出向とかで来てしまって一時的に来ている人たちが集まると、元の省益をやはり維持をしたまま来てしまうと。そうではなくて、もうちょっと専門化、特化した恒常的な組織をつくるべきだという議論も一部あったと思うんですが、それについて、春原先生、御見解をいただければと思います。
○参考人(春原剛君)
インテリジェンスを集める手法として専門の人たちがよく言われるのは、ヒューミント、人的情報源ですね、それからテクニカルミーンズといって、例えば情報収集衛星であるとか電波とかシグナルとかそういうものをとらえるのと、いろんな種類があろうかと思います。
そうした中で、先ほど申し上げたアメリカの場合は、NSAのようにいわゆる電波とかネットとかそういうものを中心としたものに特化する組織と、CIAのようにある程度工作員を抱えるような組織というものがあろうかと思いますが、後者に関しては日本で僕はやれるとは思いませんし、やるべきではないというふうに思っております。ただし、今、内閣の中にある内閣情報調査室が必ずしも政府の持っている全ての情報をうまく統合できていないという面もあると思いますので、ここをどういうふうにこれから強化していくのか、オールジャパンの体制を取っていくのかということが一つの重要なポイントになるんではないかと思います。
その一方で、先ほど申し上げました、例えば防衛省の情報本部の特性を生かしつつ、ここをどういうふうに伸ばしていくか、そういった議論も必要ではないかというふうに思います。
○矢倉克夫君
ちょっとまだお伺いしたいことが実はあったのですが、時間が来ましたので。
三人の先生方、本当にありがとうございました。非常に貴重な御経験の、また基づく御専門のアドバイスをいただきまして誠にありがとうございました。質問を終わりたいと思います。