211回 国土交通委員会

2023-05-30 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
早速、今日の議題であります道路整備特別措置法等改正案、質問入らせていただきたいと思います。
こちらの改正案、平成26年の法改正における審議では、これ以上更新事業は出ないというふうに説明されていたというふうに私は理解をしているところでありますが、今回新たに更新事業が発生したわけであります。まず、この理由について国土交通省にお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
平成17年の民営化当時は、更新の必要性は認識していなかったものの、更新が必要な具体的な箇所が明らかではなかったため、更新は計画に見込んでおりませんでした。
その後、平成24年の笹子トンネルの天井板崩落事故を契機として、メンテナンスの重要性が再認識されるとともに、高速道の供用から約50年が経過し、更新が必要な具体の箇所が顕在化してきたことを踏まえまして、平成26年の法改正で料金徴収期間を15年延長いたしまして、更新に着手したところでございます。
平成26年の7月には、改正道路法施行規則が施行されまして、必要な技術を要する者が近接目視により5年に一回の頻度で点検を行うことを基本とする法定点検を開始いたしました。この法定点検においては、構造物内の直接目視が困難な部分については、ファイバースコープあるいは非破壊検査などを活用し、また、人による点検が困難な箇所につきましては、ドローンや点検ロボットなど順次新しい技術を活用してきたところでございます。
このように、新技術も活用し、より詳細な点検を行ったことによりまして、新たに更新が必要な箇所が判明したものでございます。

○矢倉克夫君

新たな技術により、当時分からなかったものが分かるようになったというような答弁だったと理解もしております。
それで、平成26年の法改正のときは必要な需要、更新、進化に対応する部分のみ料金徴収期間を延長する法案にしていたわけでありますが、今回そういうふうにしなかった理由はなぜなのか、また、事業を追加して、料金徴収期間を延長するために追加した事業の適切さをチェックすべきと考えますが、これに対してはどのように対応するのか、答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

最初に、先ほど冒頭に、民営化当時は更新の必要性、認識していなかったと言いましたが、認識をしていたとの言い間違えでございます。失礼いたしました。
それでは、問いの方の答えをさせていただきます。
平成26年の法改正においては、その当時明らかとなった更新需要に対応するため、料金徴収期限を15年延長し、更新に着手しましたが、その後開始した法定点検によりまして、新技術なども活用しつつ、より詳細な点検を行ったことにより、新たに更新が必要な箇所が判明したところでございます。このような状況を踏まえますと、新たに更新が必要になった箇所と同じ構造、基準の箇所については今後更新が必要となる蓋然性が高いと考えております。
このため、今般の改正法案につきましては、蓋然性の高い箇所の更新財源も確保できるよう、料金の徴収期限を現行の2065年から50年延長いたしまして、2115年に設定したものでございます。
その上で、今後の法定点検によって明らかとなる更新需要などに応じ、逐次料金徴収期間を延長する制度とし、確実に更新需要などに対応できる仕組みとしたところでございます。
また、これまで更新需要、事業や進化事業の一つである四車線化、この事業を追加する際には、損傷の状況、また渋滞の状況などの客観的な事実、また指標を基に有識者委員会において事業内容について御審議いただくとともに、事業許可の情報などをホームページに公表しているところでございます。
今後とも、更新事業、また進化事業を追加する際には、これまでと同様に客観性、透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

将来に向けた更新財源確保も図るように国民利益を考えてという理解であったと思いますが、事業のチェックはしっかり引き続きやっていただきたいと思います。
その上で、料金徴収期限を2115年とこれ設定した理由、根拠は何であるのか、現在整備している道路についても更新の対象となるのか、併せて答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
道路は、国民共有の財産で極めて公共性が高く、無料公開が原則であることを踏まえ、有料道路制度は債務完済後には無料公開する仕組みとなっております。
平成17年の道路関係公団の民営化時におきましては、債務の確実な返済、また道路建設への歯止めの観点から、料金の徴収期限を法定化いたしました。また、平成26年の法改正における附帯決議におきまして、有料化、永久有料化すべきという御意見と、無料化すべきという御意見の両方の御意見がございました。
このような状況を踏まえまして、今般の改正法案におきましては、現行法を踏襲し、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所の更新財源も考慮しつつ、従来と同様に料金の徴収期限を設定したものでございます。
また、現在の橋梁設計基準では、橋梁が性能を発揮することを期待する期間、これを100年としているなど、現在整備されている道路につきましては長期の健全性が確保されると考えております。

○矢倉克夫君

ちょっと更問いであれなんですけど、今の答弁を、私の理解として、現在の基準で造られたものは現時点では料金徴収による更新を想定されないが、古い基準、構造に基づくもののうち、更新を、コストを算定した上で最大限考慮した場合の徴収期限が2115年というふうに理解をしたんですけど、それでよろしいでしょうか。

○政府参考人(丹羽克彦君)

そのとおり、概念としてはそのとおりになっております。

○矢倉克夫君

じゃ、債務を完済し、設定した期限内にこの料金徴収を終えた後、高速道路は無料になるということを前提に今されているというふうに答弁も理解もしたんですけど、その後の維持管理などに要する費用、これいずれにしろ掛かるわけであります。これらは費用はどなたが負担をするのか、これについての答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
債務の完済後においては、高速道路の本来道路管理者である国又は地方公共団体が税によって維持管理などを行うこととしております。なお、維持管理、また修繕は永続的に必要なため、道路交通を取り巻く環境の変化などを見据えながら、有識者などの意見を丁寧にお伺いしつつ、将来の有料道路制度について引き続き議論してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

今の答弁をお伺いして、料金徴収がないという意味では無料と言えますけど、やはり税という形で国民よりお金を集める必要性はあるということだというふうに理解もしております。
であれば、だとすると、やはり次の問いになりますが、将来にわたって確実に維持管理、修繕を行うためにも、受益者負担の観点も踏まえて、高速道路は債務を完済した後も無料にすることはなく料金徴収を継続すべきとの考えもあるわけでありますが、これに対しての国土交通省の見解を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
将来にわたって高速道路の機能を維持管理することは必要不可欠でございまして、確実に維持管理、修繕を行うための財源の確保、これは重要であるというふうに認識をいたしております。
一方、現時点の知見におきましては、構造物の正確な劣化予測に基づきまして将来にわたる更新需要を正確に見通すことは困難であることから、現時点で永続的に利用者負担を求めることは利用者の理解がなかなか得にくいのではないかというふうに考えております。
なお、維持管理や修繕は永続的に必要なため、道路交通を取り巻く環境の変化なども見据えながら、有識者などの意見も丁寧にお伺いしつつ、将来の有料道路制度について引き続き議論してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

道路がある以上、維持のお金は掛かるわけでありますけど、ただ、もう一回ちょっと更問い、確認ですけど、永続的に料金徴収を求めることを国民に求めるほどの知見というのはまだ現状としてはないので、今後のまた議論に、しっかり議論をしていきたいということで、その点でよろしいでしょうか。改めて、確認だけで。

○政府参考人(丹羽克彦君)

委員御指摘のとおりでございます。

○矢倉克夫君

大臣にお伺いもしたいと思います。
法案の趣旨を今改めて確認しつつ、したところでありますが、やはり、制度も複雑なところもあり、国民の理解というところ、今後更に一層しっかり説明をしていく必要があるかというふうに思っております。
令和3年の8月4日の社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会の中間答申では、料金徴収の期限は、償還期間に合わせて設定されており、償還期間の見直しにより度々先送りをされてきたため、将来、高速道路は無料になるという説明に対する不信感が高まっているという指摘があるところであります。
本法律案では、更新事業等の追加によりまして料金徴収期間が延長することから、これまで以上に利用者にとって料金徴収期間がいつまで続くのか分かりにくくなっているというふうに理解もしております。
改めて、この料金徴収期間を延長し無料開放をされる時期が先送りになることや、本法律案による新たな料金徴収期間の仕組みについて、利用者の理解をどのように得ていくのか、その方法も含めて大臣に答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)

今回の改正法案におきましては、国民の財産である高速道路の機能を将来にわたって維持するため、道路構造物の抜本的な性能回復を図る更新事業を推進することなどが目的でございます。
そして、これだけは確実に掛かるというもの、分かったもの、そして、将来、これと同じ構造だから多分掛かるだろう、これは確実なものについては、確実にこれを更新していきましょうということで、工事についてはちゃんと50年ごとに完済していくんですが、将来のものも含めて、現在分かっているものについては2115年までにそれを完了させると。その後については、今の原則を、これを原則的な立場で今回法案を提出させていただいたということでございます。
これ、非常に、ある意味で分かりにくい、おっしゃるとおり分かりにくい原則でございます。こういうことで、国民の皆様に対しては、今般の改正法案の目的や仕組み、それから料金徴収期限を2115年に設定した理由などについて、引き続き分かりやすく丁寧に説明し、御理解を得られるよう取り組んでまいります。具体的には、有料道路制度などについて、これまでも有識者委員会で議論を行っており、議論の内容についてはホームページを通して公表しております。
また、高速道路会社においては、これまでも更新事業に関するホームページの充実や現場見学会の開催、更新工事に伴う通行止めの周知の際に事業の必要性も併せて説明するなどの取組を行っております。
そして、その上で、本当にこの有料道路制度の将来については真剣に議論をし、5年後の、先ほども答弁申し上げましたけれども、議論ということについても、有料道路制度の在り方について引き続き議論していきたいと思っております。

○矢倉克夫君

大臣の言うこの高速道路、天下の公道、これは無料だというのが原則、それを維持しつつの、分かりにくくなってしまっているところもあるかもしれませんけど、是非分かりやすく答弁をいただくとともに、これからも説明いただくとともに、国民のためのこの負担の在り方については、そちらも経緯は分かりやすく、是非引き続きの議論をお願いしたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
その上で、法案は高速道路が対象でありますけど、やはりより深刻なのは地方の一般道もそうであるかというふうに思います、老朽化という点におきまして。
笹子トンネル事故の教訓から得て、点検という在り方もそのものも更に精度を上げられることで、今回の更新事業の追加などということもあったというふうに理解もしておりますが、例えば、同じような、これは仮にですけど、新技術を利用した法定点検、これを地方道などで行うと、より更新の部分、相当増えてくると思います。そのメンテナンスに掛かる費用というのは多大な額になると推測をされるところであります。
そういう中にあって、高速道路のような料金徴収、そういうのが見込めないこの地方道、これのメンテナンス、老朽化、更新というものをどのように維持をしていくのか、国としてどのように支援をしていくのか、こちらについても国交省から答弁を求めたいというふうに思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
各道路管理者は、平成26年度以降、管理する橋梁やトンネルなどにつきまして点検要領に基づき五年に一回の頻度で点検を行うこととしております。地方公共団体においては、点検から五年以上経過しても修繕に着手できない橋梁が約三割あるなど、早期に修繕が必要な施設が多く残っているところでございます。
このため、国土交通省におきましては、橋梁などの修繕や更新などに対しまして、令和二年度より道路メンテナンス事業補助制度などにより財政的な支援を行ってきております。当初予算に加えまして、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、これの予算も最大限活用し、集中的に支援をしているところでございます。
国土交通省といたしましては、地方公共団体における老朽化対策が着実に進められるよう引き続き支援してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

五か年加速化対策、こちらの以降についても私も様々な場面でも質問などもしておりました。引き続きのこの地方道のメンテナンスの国の支援というのも是非行っていただきたいというふうに改めて要望をさせていただきたいと思います。
その上で、さらにではありますけど、今、高速道路、これに比べてもやはり全道路というのは距離も非常に長い、それら全てをメンテナンスというよりは、やはり持続可能、道路そのものの持続可能性というのを考えると、やっぱり残す道路の機能強化というのを図ることを前提にして、地域の実情に応じては道路の集約ということもこれは重要になってくるかというふうに思っております。
そういった道路の持続可能性、生活の足を支えるということの意味を含めて、そういった道路の集約ということに対しての地方自治体の判断、実行に対して国としてどのように支援をしていくのか、こちらも答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今後、道路インフラの老朽化が進展する中で、道路ネットワークの持続可能性を考えますと、既存の道路を適切に維持管理、更新していくとともに、集約、撤去も行いながら道路ストックの最適化を図っていくことが必要であるというふうに認識をいたしております。
施設の集約、撤去に当たっては、各地域の置かれた状況は様々であることから、各道路管理者が地域の実情、また利用状況などを踏まえながら進めていくものと考えております。
このため、国土交通省といたしましては、実際の取組事例を基に、道路橋の集約、撤去を進める上での主な検討項目、また留意事項について令和4年3月に事例集として取りまとめ、地方自治体に提供しているところでございます。
また、現在、全国130か所の集約、撤去事業、これを道路メンテナンス事業補助で支援しておりまして、さらに長寿命化修繕計画で集約、撤去に関する具体的な計画を定めている道路管理者につきましてはこの補助の優先支援対象としているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き地方公共団体の行う施設の集約、撤去、また維持管理、更新事業を支援しつつ、道路インフラが将来の世代にわたりネットワークとして効率的、効果的に機能を発揮できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

是非、地方のネットワークを効率的に次世代にしっかり引き継ぐための支援もお願いしたいと思います。
その上で、他方で地方、道路がやはり足りていない、必要な道路が整備できていないという面も実はあります。道路事業化の評価に当たって重要な指標というのが費用便益分析、BバイCでありますけど、このBバイCが事実上の足切り要件となって、とりわけ地方に必要な道路が進まないのではないかという問題意識から質問をまずしたいと思います。
資料がございます。こちらの費用便益分析に対する資料が一ですけど、道路が一本できたことで短縮された時間を貨幣価値化して測定するという指標の理解だと思います。貨幣価値化というと、例えば道路ができたことにより短縮された時間で働けば賃金がこれだけ上がるとか、そういった具合に計算するという説明も私受けたわけでありますけど、この評価方式では、私の問題意識としては、道路利用者が多い都市部であればあるほど貨幣価値の総和として便益が増えるということで有利になるし、例えば一人の命を守るといった貨幣価値に測定できない価値が拾い切れないのではないかというふうに考えております。むしろ、一本の新しい道路を造るということに生まれる効用は道路の少ない地方こそ大きいとも言える。百本道路があるところで一本造るよりも、一本道路があるところでもう一本造った方が効用が大きくなり得るということは当然あり得るわけであります。こういった地方の一本の道路がもたらす効用というのはある意味、都市部の一本の道路がもたらす効用よりも大きいかもしれません。
その議論の意味合いの例として一つちょっと挙げたいのが、地元埼玉県の主要の地方県道の熊谷小川秩父線における定峰峠トンネル、資料二になりますけど。
秩父、観光でも有名になりますけど、国道140号と299号、これが主要なんですけど、今非常に渋滞しています。この渋滞緩和という意味でも、この主要の地方道、熊谷小川秩父線、こちらで言えば青の線になるわけですけど、これが一つ注目を浴びるわけなんですけど、難所としてこの定峰峠というのがあります。この定峰峠、この真ん中にあるくねくねしたオレンジのところですけど、道幅も狭くて急カーブも続いて、車両の擦れ違いや夜間や冬期等の安全な通行に支障を来して、通過にも多くの時間を要している。そのためにも定峰峠をトンネル化することが必要であって、これは具体的なルート案も提示もされているところであります。
ただ、ここで強調したいのは、これが実現すれば、安全通行と時間短縮ということに加えて、例えばこの秩父地域から埼玉医科大学病院とか小川赤十字病院などへの救急搬送に掛かる時間も大幅に短縮できる、小川赤十字病院など30分近く短縮されるわけなんですけど、言わば住民の命と安全を守る命の道としての重要な役割、これを担うということであります。また、トンネルがなければ患者さんはこのくねくねしたところを救急搬送されなきゃいけない。もうこれだけでも体の負担というのはやっぱり大きいわけなんですよね。そういうのをなくしていく上でもトンネルというのは必要だと。
ただ、冒頭の問題意識に戻りますけど、やっぱりこういった一人の人、命を救うとか患者に負担を掛けないといった便益は、費用便益分析のこの三便益では測り切れないし、場合によっては足切りに遭ってしまうということであります。これは県道ですので国交省がどうこう言う立場でないことは分かっておりますが、道路評価の評価方式の在り方として、こういった足切り方式ではなく、この定峰峠トンネルのような道路について、社会全体への影響にある住民生活とか地域経済への利益、災害対応等、総合的なメリットを評価すべきであるというふうに考えますが、国土交通省の見解を求めたいというふうに思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
道路事業の事業化に当たりましては、費用便益分析、いわゆるBバイCの分析に加えまして、医療施設へのアクセス向上、また防災面の機能向上、また走行快適性の向上などの様々な事業の効果、事業の実施環境など、様々な観点から総合的に評価を実施しているところでございます。このうちBバイC分析につきましては、現時点における知見によりまして十分な精度で計測が可能かつ貨幣換算が可能な効果として、走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少の三つの便益を計上しているところでございます。
他方、委員御指摘の医療施設へのアクセス向上に伴うこの命の道としての効果でございますが、便益の計測精度、また二重計上などの課題もあることから、現行のBバイC分析には含まれていないところでございます。
このため、国土交通省といたしましては、道路の多様な効果を適切に評価できるよう、有識者の意見も伺いながら、事業評価の在り方について検討しているところでございます。

○矢倉克夫君

今の答弁、定峰峠トンネルの命の道としてのこの意義を理解された上で、そこで捉え切れないBバイCの検討、事業評価の在り方について検討するというような御意見でありました。
是非、地域の道路がしっかりと必要なものが造れる評価の在り方というのを考えていただきたいというふうに思います。どうしても、一を超えるか超えないかなんというところで多くの必要な道路が、私の実感としてはまだ事業化し切れないというような形になって地元が落胆をすることもあるわけでありますので、是非お願いしたい。
あわせて、都市部の方で、これは意見ですけど、事業費の方が高くなるということでありましたけど、例えばこのトンネルなども地方であっても当然事業費は高くなるわけでありますから、そういう意味でも、BバイCに捉え切れないものというものも是非引き続き検討をいただきたいということ、これはまず要望だけをさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
また、ちょっとまた別の観点からの道路に関係する話を、ちょっと今度は大臣にお伺いもしたいと思います。
今回の法案は、パーキングエリアとかサービスエリアの高度化という話がありますが、先日の参考人質疑で、同じように、サービスエリア、パーキングエリアに求められている長期運転の中継地点、中継施設として考えられる高速道路直結の民間施設の議論なども私の方で根本教授にもさせていただきました。
教授からもその必要性について賛同をいただいたところでありますが、また、その観点も踏まえて取り上げたいのが、またちょっと地元の件で恐縮ですけど、資料三枚目に行っていただきたいんですけど、現在、埼玉県の久喜市で進められている首都圏中央連絡自動車道、いわゆる圏央道の久喜東スマートインターチェンジの計画、これは今、久喜市といろいろとまた協議もされているというふうにも理解もしております。こちらにある三枚目のところの久喜白岡ジャンクションと幸手インターチェンジの間、こちらは四車線化が進んで、おととい私もその完成式典に行ってきたところでありますが、その中間点にあるところになります。
次の四枚目に行っていただくと、今計画地の辺りの資料があるわけなんですけど、特色は計画中の大型物流施設がこれ近いこと、隣町の宮代町などでは20ヘクタールの物流施設がありまして、また、久喜東スマートインターチェンジの北側にある久喜市吉羽諏訪土地区画整理事業では26ヘクタールの大型の物流団地が予定されているというふうに私も理解もしております。
この久喜東スマートインターチェンジが実現すれば、産業の活性化とまた東北自動車道への乗換えの渋滞緩和、交通結節機能の充実といった地元の利便性向上はもとより、高速道路直結の大型物流施設ができることになりまして、現在大きな課題となっている長距離輸送トラックの中継施設としての役割も期待もされます。特に、この付近、四車線化が実現したことで一日当たり今約3200台交通量増と、物流の動脈としての意義も増しているところであります。
改めて、この久喜東スマートインターチェンジに対する国交大臣の評価を求めたいというふうに思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)

高速道路の有効活用や地域活性化を図るため、従来のインターチェンジよりも低コストで整備できるETC専用のスマートインターチェンジについて整備を全国で進めているところでございます。これまでに整備されたスマートインターチェンジでは、周辺への工場や商業施設の誘致、これに伴う雇用創出、それから周辺の交通渋滞の緩和、高次医療機関までのアクセス時間の短縮などの効果が見られており、御指摘の久喜東スマートインターチェンジについても久喜市において必要性の検討がなされているものと認識しております。
一方、久喜市内の圏央道は、橋梁による高架構造であり、この箇所にインターチェンジを設置する場合、橋梁の拡幅が必要になることや一般道への接続道が長距離となることなどから事業費が高額となることが想定されており、久喜市においてコスト縮減策などの検討を行っていると聞いております。
国土交通省としても、高速道路会社と連携し、久喜市に対して必要な協力を行ってまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君

大臣、意義を御理解いただいた上で、必要な協力というふうにおっしゃっていただきました。ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。
今大臣のお話にもあったように、計画の課題はこれ事業費でありまして、久喜東スマートインターチェンジ、高架構造部分に設置ということになっています。この高架という絡みでちょっとまた質問をしたいんですけど、高架構造部分にスマートインターチェンジを設置するというのは、用地買収などに係る費用は抑えられるわけでありますけど、盛土構造部分、道路への設置に比べると工事自体の事業費がやっぱり上がってしまう。ただ、例えば、実は圏央道は、埼玉県内約58.4キロメートルのうち、高架構造部分というのは31.6キロで54%であります。
今後も高架構造部分にスマートインターチェンジを求める自治体の声は高まるはずですが、その際、今のスマートインターチェンジ事業における地元自治体とNEXCOなどとの負担割合を前提にすると、なかなか協議が難航してしまうかもしれないと理解もしております。
そもそも、スマートインターチェンジのこの間隔を平均10キロから欧米当たりの5キロにするというのも国の方針のはずでありますが、今後のニーズに応えるためにも、高架部分対応のための現行のスマートインターチェンジのスキームとはまた違うスキームというのもこれ検討する必要があると思うんですが、これに対しての国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君)

お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、高速道路において橋梁などの高架構造の箇所にインターチェンジを追加で設置する場合、橋梁の拡幅など大規模な工事が必要となり、事業費も高額となることが想定されることから、スマートインターチェンジ制度による整備はなかなか難しくなるというふうに考えております。
他方、高速自動車国道にインターチェンジを整備する場合には、接続する道路の管理者である自治体がインターチェンジ本体の事業費を負担する制度を活用することもできますが、一般的にスマートインターチェンジに比較して自治体の負担が大きくなるところでございます。
国土交通省といたしましては、高速道路の橋梁部などに事業費が高額となると見込まれる箇所にインターチェンジを設置する場合において、地方自治体の意見を聞きながら、負担の在り方などどのような整備手法が適切なのか検討してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

今、いわゆる地域活性化インターチェンジの話かもしれません、ちょっとお話もあったところでありますけど、やっぱりそれだけですと、他方で自治体の負担も大き過ぎる、そこの部分でどのような適切な負担割合ができるかという新しい制度というのを、これ、是非今後のニーズも含めて引き続き検討をいただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ちょっと最後の質問になると思いますが、今、ドライバーの長距離輸送というところの観点から話もしたところですけど、もう御案内の問題になっている2024年問題解決というためにも、やっぱり不可欠なのは、この長距離輸送の問題に加えてやっぱり不可欠なのは、荷主のより主体的な関わりであるというふうに思います。かねてから協力は要請してきているわけでありますけど、今後はこの荷主の皆様を物流を利用する当事者として、より持続可能な物流の実現に関わる方向性を示すべきであると思っております。
厚労省は、改善基準告示の改正に合わせて、長時間の荷待ちを恒常化させる荷主に対しては、労働基準監督署が改善を要請する仕組みを新たに導入をしたと理解もしております。また、持続可能な物流の実現に向けた検討会は、本年1月の中間取りまとめを発表しまして、その中で、物流負荷軽減の取組を検討するために、荷主企業が物流改善に取り組むことに資する措置を検討すべきというふうに盛り込みました。
上記の方向を、これ、上記というか今申し上げた方向性を踏まえまして、国交省におかれては、荷主企業を所管する経済産業省や農林水産省などとともに、ドライバーの長時間労働問題に対して、荷主企業が協力という範囲を超えた、より積極的に責任を持つような要請をしていただいて、具体的な動きにつなげていただきたいというふうに思いますが、国交省の見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(鶴田浩久君)

お答え申し上げます。
トラックドライバーの労働環境を改善するには、出荷や入荷の条件決定に大きく関わる荷主企業が物流の直面する諸課題を認識して、御指摘のとおり物流事業者とともに主体的に取り組むことが重要と考えております。
このため、昨年9月から、荷主を所管する経済産業省や農林水産省と共同で検討会を開催しておりまして、そこで不適切な商慣行の是正に向けた規制的措置等の導入に向けて議論を深めているところでございます。さらに、今年3月末の関係閣僚会議で総理から指示を受けまして、6月上旬を目途にただいま申し上げた点を含めて政策パッケージを取りまとめるべく調整を進めております。
国土交通省として、関係省庁とよく連携して積極的に取り組んでまいります。

○矢倉克夫君

規制的措置というふうにおっしゃった。是非具体化をお願いしたいと思います。
道路の議論が今日主だったわけですけど、道路もそうですし、あとドライバーの皆様が働きやすい環境をつくるということは、当然、物が運ばれやすい環境をつくることで国民に対する大きな利益になっていくわけでありますので、物流をしっかり持続可能にしていくことそのものが日本経済と日本社会を安定していく、防災のためのレジリエンス機能も強くしていくという深い意味合いもあるということもより理解をして、是非実効的な措置をお願いしたいことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。

211回 本会議

2023-05-24 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案につきまして、総理並びに財務大臣、防衛大臣、経済産業大臣に質問をいたします。
ロシアによるウクライナ侵略は、世界各国が築き上げてきた国際秩序を危機に陥れるものです。また、我が国周辺の安全保障も、北朝鮮の度重なるミサイル発射や中国による尖閣諸島周辺海域における繰り返しの徘徊や領海侵入など、厳しさ、複雑さを増しております。かかる懸念、脅威から国民の生命と平和な暮らしを守るため、戦略的に第一に重要な要素は外交力であり、その趣旨は国家安全保障戦略にも記載のとおりであります。
まず、総理に、さきに成功裏に終了をしました広島G7サミットの結果、我が国及び国際平和を守るため必要な日本の外交力がいかに強化されたとお考えか、お伺いをいたします。
また、今回のサミットの結果を踏まえ、総理が掲げる核なき世界の理想実現に向け、いかに現実的で実践的な責任あるアプローチを図るか、いかに日本としてリーダーシップを発揮し、核なき世界を実現されるか、併せてお伺いをいたします。
その外交力と表裏の関係を持ち、それを補完する役割を有するのが防衛力であり、その強化、防衛予算の増額は、現下の情勢を踏まえると不可欠であります。
本法律案では、税外収入を防衛力の強化、整備に充てるため、新たに防衛力強化資金を創設いたします。必要な財源を年度予算ごとに確保するのではなく、あえて特別の資金を創設して将来の防衛費の財源をプールすることとした理由を財務大臣にお伺いをいたします。
また、本法律案に講じられる税外収入確保のための特別措置は、令和五年度に実施する措置に限られます。令和六年度以降、同資金への繰入れ財源を具体的にどう確保していくのか、こちらも併せて財務大臣にお伺いをいたします。
次に、財源確保策のうち決算剰余金の繰入れについてお伺いをいたします。
財源確保策が防衛財源として想定をする決算剰余金は年〇・七兆円程度、五年間計三・五兆円ですが、この三・五兆円を確保するため、政府はどのような方策が必要とお考えでしょうか。毎年の決算剰余金が幾らになるかは予測できるものではありません。防衛予算確保のための安易な国債増発による決算剰余金のかさ上げなど決してあってはならないことは当然でありますが、その点も含めて、財務大臣にお伺いをいたします。
続いて、歳出改革についてお伺いをいたします。
衆議院での本法律案に対する我が党の代表質問の際の総理答弁から、社会保障費は歳出改革の対象とならないということは確認済みでありますが、少子化対策、子育て支援予算の削減はないことを改めて総理に確認をさせていただきます。また、本法律案で政府が示した将来的な防衛予算の財源確保に向けた決意は、少子化対策、子育て支援予算においても同様に求められるものであります。少子化対策、子育て支援予算に関する財源について、あらゆる手段を尽くして確保するとの総理の決意を求めます。
さらに、令和五年度予算で防衛費の財源として建設国債が充てられることに関連をし、今後の公共事業についてお伺いをいたします。
今回、自衛隊・防衛省の施設整備や船舶建造に係る経費を財政法第四条における公共事業費として整理し、建設国債の発行対象と整理したと理解をしておりますが、この整理によって従来からの公共事業費予算が減額されることはないということでよろしいでしょうか。また、道路網整備などインフラ整備は、いざというときの自衛隊の輸送路などにもなることで安全保障面でも重要でありますが、今その老朽化対策が急務となっております。国民生活、経済、防災はもとより、防衛の観点からも必要な公共事業、特に道路の老朽化対策費について従来以上に確保すべきと考えますが、総理の御答弁を求めます。
次に、防衛予算増による国内防衛産業育成が経済や財政に与える影響についてお伺いをいたします。
防衛大臣は、四月十九日の衆議院財務金融委員会安全保障委員会連合審査会において、防衛関係費における国内向け支出額の防衛関係費全体に占める割合は約八割と答弁をされておりますが、これら国内向け支出が国内中小企業の基盤強化に与える効果についてどのように分析をされているのか、防衛大臣にお伺いをいたします。
この国内防衛産業育成の意義について、例えば、三月二十日の参議院予算委員会における私の日英伊の次世代戦闘機共同開発に関連した質問に対し、防衛大臣からは、次世代エンジニアの育成やサプライチェーンの強化を図る点であるとの答弁がありました。特に、この共同開発の経験を生かした次世代エンジニアの育成は、民生分野を含めた航空機の全機開発、機体、エンジンを含めた全機設計能力の向上や、あるいは今回の三菱スペースジェットの事業撤退で明らかになった、日本の弱点とも言える各国の認証取得に向けたノウハウ不足を解消する上でも重要と理解をしております。私は、日英伊の次世代戦闘機共同開発を含めた国内防衛産業育成を通じ、従来、ボーイングなどからの部品発注の受注の立場が主なものだったと言える日本の民間航空機産業を一段の高みに押し上げるとともに、それを通じ、部品数三百万点とも言われる民間航空機産業を自動車に並ぶ新たな裾野産業と育成することが日本の中小企業の存続のためにも重要と考えます。経済産業大臣の御所見をお伺いいたします。
また、防衛設備などの更なる国産化は、国内中小企業をそのサプライチェーンに取り込むことにより、国内雇用の確保とともに税収増加にも資するものです。これについて、財務大臣の御所見をお伺いいたします。
防衛費増額と国民理解についてお伺いをいたします。
まず、国民理解を得るために重要なことは、今回積み上げた防衛費が適正か否かを事後的に精査する仕組みがあることであります。この点、総理は、三月六日の参議院予算委員会における我が党議員の質問に対する答弁で、関係省庁において第三者による専門家会議を設置する可能性について言及されましたが、是非実行をしていただきたい。その際、外交、防衛のみならず、経済や科学技術など様々な分野の専門家を構成員とすべきと考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
最後に、税制改正大綱でも言及された増税の実施時期については、国民との徹底した議論が必要であります。防衛力強化の財源を安易に増税に求めることは避けるべきであります。仮に実施せざるを得ない時期に来た場合、総理におかれては、自ら国民一人一人と対話する思いで国民の中に入り切り、真摯に説明し、徹底的に議論されることを強く求めます。
真に防衛力の強化を図るために必要なことは、防衛という国民全体の共通の利益に対する国民の主体的な理解と納得であり、その形成のためにも、防衛予算の財源を決するプロセスは丁寧さに丁寧さを重ねる必要があります。防衛は国民全ての共通の利益の最たるものの一つであり、その共通の利益のためにお金を拠出し合おうと国民に御理解いただくこと自体は、真の防衛力の強化にも資するとも言え、その合意形成は政治の責任です。
他方、仮に、国民が唐突感を抱くような形で拙速に増税時期決定のプロセスを経てしまうこととなれば、それは防衛力そのものが毀損、破壊されるほどの意味を持ちます。防衛力強化の観点、これも含め、国民一人一人の対話と時間を掛けた説得のプロセスを一層強く、重視をしていただきたい。防衛予算確保に向け、国民との徹底した議論の必要性について、総理の所見と決意をお伺いいたします。
以上、本法律案によって確保した財源を活用して必要な防衛力の強化が果たされるとともに、国民の皆様が安心して生活を送ることができる社会の実現のため、我が国の外交力の更なる強化が図られることを念願して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)

○内閣総理大臣(岸田文雄君)

矢倉克夫議員の御質問にお答えいたします。
G7広島サミットの結果を受けての日本の外交力及び核兵器のない世界に向けてのアプローチについてお尋ねがありました。
国際社会が歴史的な転換期にある中で開催された今般のG7広島サミットでは、日本が議長国として中心に立ち、G7の揺るぎない結束を改めて確認することができました。
G7首脳は、分断と対立ではなく、協調と連携の国際社会の実現に向けて、第一に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くこと、第二に、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々を始めG7を超えた国際的なパートナーへの関与を強化すること、こうした二つの視点を柱とし、積極的かつ具体的な貢献を打ち出していくことを確認いたしました。
広島サミットでのこうした成果は、世界における日本のリーダーシップの強化、今回の招待国を始めとする国際社会のパートナーとの関係の深化にも結実したと評価しており、我が国の外交力の強化につながったと考えています。
これらを踏まえ、また、核軍縮に関する初めてのG7首脳文書となるG7首脳広島ビジョンの発出により、今次サミットは、核兵器のない世界に向けた国際社会の機運をいま一度高める機会になったと考えています。これを強固なステップ台とし、ヒロシマ・アクション・プランの内容を一つ一つ実行していくことを通じて、現実的で実践的な取組、継続、強化していきたいと考えております。
防衛力強化のための財源と少子化対策の財源についてお尋ねがありました。
防衛力強化のための財源としての歳出改革については、社会保障関係費以外の経費を対象としていることはこれまで申し上げているとおりであり、子育て支援に関する予算を削減することとはしておりません。
また、少子化対策に関して、加速化プランの財源確保については、まずは全世代型社会保障を構築する観点から歳出改革の取組を徹底するほか、既定予算の最大限の活用を行ってまいります。そして、こうした歳出改革の徹底により、国民の実質的な負担を最大限抑制していきたいと考えております。今後、六月の骨太方針に向けて、こども未来戦略会議において議論を進め、将来的な子供予算倍増に向けた大枠、これをお示しいたします。
公共事業費の確保についてお尋ねがありました。
今般、防衛省・自衛隊の施設整備や艦船建造費を建設国債の発行対象経費として整理をしましたが、これにより従来の公共事業費を減額することはありません。
その上で、自然災害等から国民の命と暮らしを守るため、あるいは我が国の経済成長や地域社会を支えるために必要なインフラについては、着実に整備していく必要があります。また、インフラの老朽化が進行しており、老朽化対策は喫緊の課題です。このため、今後とも、中長期的な見通しの下、安定的、持続的な公共投資を推進してまいります。
防衛力の抜本強化に係る専門家会議についてお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、三文書の策定後も、国民の理解を得ながらその内容を適切に実施していく必要があり、関係省庁において第三者による専門家会議を設置し、様々な分野の有識者の下で議論を行うこともその方策の一つです。引き続き、政府としては、国民の理解と協力を得られるよう努めていくとともに、そのための方策についても検討していきます。
防衛力強化に係る税制措置についてお尋ねがありました。
防衛力の抜本的強化については、その具体的内容、予算、財源を一体的に国民にお示しするとの方針を昨年の通常国会から一貫して申し上げており、その方針に沿って、国家安全保障会議四大臣会合、有識者会議、与党ワーキングチーム、与党税制調査会など、活発な議論を積み重ねてまいりました。その集大成として、政権与党としての方針を三文書や税制改正大綱の閣議決定の形でお示しをしました。
実施時期については、令和九年度までの過程において、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、閣議決定した枠組みの下で税制措置の実施時期等を柔軟に判断してまいります。
こうした防衛費増額の財源確保に向けた内閣の方針について、国民の皆様に御理解いただけるよう、国会での議論も含め、引き続き丁寧な説明を行ってまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

○国務大臣(鈴木俊一君)

矢倉克夫議員から、まず防衛力強化資金を創設する理由等についてお尋ねがありました。
防衛力強化のための財源確保に当たっては、税外収入の確保などに最大限取り組むこととしておりますが、税外収入等につきましては、年度によって変動が生じ得るものであり、必ずしも当該年度に必要となる防衛力強化のための歳出額と見合うものになりません。
このような税外収入等を防衛力の整備に安定的、計画的に充てられるようにするためには、このタイミングのずれについて年度を超えた調整を行う必要があるため、特別の資金である防衛力強化資金を新たに創設することとしたところです。
令和六年度以降については、令和五年度予算において、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことも踏まえ、年平均〇・九兆円程度の税外収入を確保できるように、引き続きその確保に努めていきたいと考えております。
次に、決算剰余金についてお尋ねがありました。
今般の防衛力強化のための財源確保に当たっては、国民の皆様の御負担をできるだけ抑えるべく決算剰余金を活用することとしており、過去の実績を踏まえた合理的な根拠に基づく金額を財源として見込んだところです。
その上で、決算剰余金は、予算を執行していく中で結果として生じた歳出の不用や、税収や特例公債等の歳入の増減により金額が確定するものですが、特に、特例公債については、特例公債法の規定に基づきその発行を最大限抑制するよう努めてきたところであり、今後ともこうした方針に基づいて対応してまいります。
最後に、防衛施設などの国産化による経済効果についてお尋ねがありました。
防衛産業は、中小企業を含め多数の下請企業から成るサプライチェーンを構成していると承知しており、防衛装備品等の国内調達により国内生産の拡大等につながるものであれば、国内雇用の確保や税収増にも貢献し得るものと考えています。
新たな防衛力整備計画においては、我が国の防衛生産・技術基盤を言わば防衛力そのものと位置付けた上で、その維持強化を進めることとしており、政府としてこの計画に基づきしっかりと取り組んでいくことが重要であると考えております。(拍手)

○国務大臣(浜田靖一君)

矢倉克夫議員にお答えいたします。
防衛予算増による国内防衛産業育成が経済や財政に与える影響についてお尋ねがありました。
昨年末決定した防衛力整備計画の防衛力整備の水準は、四十三兆円のうち約八割程度が国内向け支出です。防衛産業は、プライム企業のみならず、多数の中小企業の下請企業から成るサプライチェーンを構成をしております。関連する産業も含めて波及効果や雇用創出の効果があると予想されます。
また、例えば、F2戦闘機の開発において向上したレーダー技術が高速道路のETCなどに応用される事例のような他分野への波及効果も期待できると考えているところであります。(拍手)

○国務大臣(西村康稔君)

矢倉議員からの御質問にお答えいたします。
次期戦闘機開発の航空機産業育成の観点からの重要性についてお尋ねがありました。
まず第一に、御指摘のように、航空機産業は高い技術力と広い裾野を有する重要な産業であり、我が国としては、これまでも、哨戒機P1、輸送機C2などの防衛用途の航空機開発や、民間機では三菱スペースジェットの開発などを通じて、完成機開発の経験を蓄積するとともに、経済安全保障の観点からの技術開発やサプライチェーン強化など、その基盤強化に向けた取組も進めることとしております。
その上で、現下の航空機産業は、グリーン化、いわゆるGXや、デジタル化、いわゆるDXなど、大きな変革期を迎える中、我が国の技術力を生かす可能性が広がってきております。また、経済安全保障の観点でも重要性が高まっている中、将来に向けて航空機産業を育成強化していくことは極めて重要であると認識しております。
こうした中で、次期戦闘機開発は、民生、防衛の双方を担う航空機産業の基盤の強化につながる極めて重要なプロジェクトであると考えております。
経済産業省としては、これまで蓄積した航空機開発の経験を次期戦闘機開発にも十分に生かしていくとともに、これが国内航空機産業の更なる発展にもしっかりとつながっていくよう、防衛省など関係省庁とも連携し、取組を進めてまいります。

211回 国土交通委員会

2023-05-23 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
三人の参考人の先生方、大変貴重な御意見、誠にありがとうございます。
早速ちょっとお伺いしたいと思うんですけど、まず近藤参考人にお伺いしたいと思うんですが、永久有料化、そしてサブスク、非常に興味深いお考えかと思います。それを現実化というところの課題を整理するという意味でちょっとお伺いしたいと思うんですけど。
12ページ目、先生の資料で、こちらで、有料化すれば料金半額ということ、これは半分の償還金が払わなくても済むという。私の理解ですと、この償還金というのは要は機構が民間の金融機関から借り入れたものに対する償還だと思っておりまして、利息は返すということですから、これは元本を民間の金融機関から借りたものを返さないということの理解だと思うんですけど、そこ辺りについての、正しいかどうかと併せて、どうやって金融機関から理解を得るかという話。
あと、もう一つ。定額制ですと当然、400円として、一部の人は値下げになるけど値上げになる方も走行距離によってはいるかもしれませんが、そういう方々に対しての理解を得るというところで御示唆がいただければと思いますので、よろしくお願いします。

○参考人(近藤宙時君)

一点目の御質問でございますが、先生御理解のとおり、これはちょっと乱暴ではありますけれども、銀行さんの方に一切元本は返さないと、永久に返さないという前提で利息だけはお支払いするという考えで徹底すれば半額になるのではないかという考え方でございます。ただ、90年後に返してほしがっているのかというのもちょっと分かりませんので、銀行に、返さないけど利息はきっちり払うよと。むしろ、今、年利4%で計算されておりますので実効金利の三倍ぐらいかと思いますが、普通の利息の二倍払うから永久有料でいかがかと一度銀行の方に聞いていただいた方が良いのかなというふうに思います。
二点目でございますね、安くなる人が多くなるけど高くなるんではないかという話でございますけれども、400円といいますと、まず150円のゲート通行料といいますか、定額料金がございますので、走行距離に対しては250円でございます。走行距離250円を普通車の24.6円で割りますと10キロちょいです。先ほど申しましたように、高速道路のインターからインターまでというのが、首都高以外、首都高は高速道路ではございませんので一般高速道路でいいますと、10十キロに一か所といいますと、一区間しか乗らない金額がちょうど400円でございます。これより安い料金を払っているという方がいらっしゃるのかどうか分かりませんけれども、おおむねの方には御理解いただけるのかと。若干上がるとしても、それは妥協していただける部分かなと思いますし。
また、そういった僅か十キロ払う人のための道路なのかと、元々そういうつもりで造った道路なのかと。言ってみれば、新幹線、東京から新横浜までしか利用しない人をどうするかという問題と同じだと思います。むしろ、名古屋や大阪へ行く人の方を優先するということを考えるのが必要かなと思います。

○矢倉克夫君

観光需要という点では意味もあるかと思います。ちょっと課題整理というところであえてお伺いもさせていただきました。
根本参考人にちょっとお伺いしたいと思うんですが。
先生の資料の立て、三のところですが、これ、私の理解がまだ足りていないところがあってちょっと概念の整理なんですけど、更新債務と更新工事というふうにおっしゃっている、これは違うものという前提ですけど、改めて教えていただきたいのと、この先生の御試算でも2115年度まででこれは払い終えるという前提で理解もしております。
となると、この2115年以降のここで言う更新工事というのは料金を引き当てにしたものはないという前提だというふうに理解もしたんですが、それで正しいのかと、もしそういうふうに御試算されたのであれば、その根拠等がもしあれば教えていただければと思います。

○参考人(根本敏則君)

私のシミュレーションでは、2115五年と、これもう相当先ですから、そこまで料金を取りますという意味を永久有料という言葉で実は呼んだんです。その先どうなるかはここではちょっと、この論文では問いませんと。2115五年まで更新工事をする、そのための投資が必要で、それを料金収入で返していきますということを申し上げたんです。
今、国会で問題となっているのは、どちらかというと、2115年のところで無料化するのかその先有料化するかということが議論になっているようですけれども、私の永久有料の定義は、2115年まで料金を取り続けるぞというのが私のこの論文の中での永久有料という言葉の意味だったんですね。それで少し御理解いただけたでしょうか。
あと、ついでにちょっと申し上げると、私は、その2115年でも多分更新工事があるからその先も料金は取るだろうと思います。それはシミュレーションとは関係ないことですけれども。
ただ、申し上げたいのは、政府の計画で一番長い計画というのは何でしょうか。国土形成計画でしょうか。それは計画期間十年ですね。地方自治体の基本構想も20年程度ですよね。ですから、100年後にどうするかということを議論するということの意味はどれくらいあるのかということは少し気になります。要するに、それによって民間企業が投資の仕方を変えるのかと。2100年に無料化しますというか、それでも多分有料になるでしょうというのは、世の中の民間企業の人には余り関係ないことかもしれないなとは思っているんですね。個人的には永久有料だとは思っていますけど。
以上です。

○矢倉克夫君

永久有料のお言葉の意味もお伺いしたいと思いましたが、今教えていただいたので。
ちょっと改めてなんですけど、その更新債務と更新工事というものの簡単な違いをちょっと教えていただきたいのと、そうすると、先生の想定だと、今先生が想定されている更新債務、更新工事、現状想定されているものは2115年までのものでよいという理解でよろしいんでしょうか。(発言する者あり)

○委員長(蓮舫君)

根本参考人。

○参考人(根本敏則君)

あっ、ごめんなさい。
我々は本当に単純に、これまでの経緯を考えまして、年間800億円という更新工事が2115年まで必要だろうというふうに割り切って計算したわけですけれども、この更新工事に伴って債務が発生しますよね。それがここで言うところの更新の債務という、上の方に書いている図ですけれども、そういうふうな言葉の使い方をしております。

○矢倉克夫君

分かりました。ありがとうございます。
もう一つちょっと根本参考人に、今のちょっと高速道路に関係するところではあるんですけど、今回の法案、サービスエリア等の機能強化というところもあるわけですけど、ちょっとそれに関係するというか、先生が去年の十二月に「道路」という雑誌でインタビューを書かれているのを拝見して思ったんですけど、今、貨物トラックのドライバーとかの長距離運送が非常に問題になっていて、それ、解決として、中継輸送、そのためには中継拠点が必要であるという文脈の中で、サービスエリアとパーキングエリアはこの機能を果たすべきだと。これ全くそのとおりだなと私は思いまして、それに加えて、例えば民間の高速道路直結型の物流施設、これ埼玉などでもあったりするんですが、こういったものが同じような中継地点の拠点としても役割を果たしていく。
先生のインタビューの中では、民間の立場としてそこまでインターチェンジとかに近くに造る必要はないということでお書きになっていますけど、もし仮にそういう制度があれば、設備があればそういうものは必要だというふうに、中継拠点としては重要だと私は思っているんですけど、先生の御所見をお伺いできればと思います。

○参考人(根本敏則君)

中継エリア、乗り継ぎエリア、いろんな言い方あっていいと思うんですけれども、要するに高速道路に直結するような形で乗り継ぎ輸送とか、ダブル連結を後ろと前で共同輸送するとか、あるいは自動運転のトラックをそこまでマニュアルで持っていって自動で走らせるとか、そういうトラックに関係するようなターミナルというのはもう絶対必要だと思うんですね。十年後に自動運転トラックが新東名上り千台、下り千台走るようになったときには、相当大きなターミナルが必要になると思うんです。そのターミナルは、多分僕は公共ターミナルとしての色彩が強くなると思っているんです。いろんな事業者が使う必要があります。
ですから、今御質問にあったのは、民間が直結型でそこの施設を造るというふうにおっしゃったんですけれども、民間企業は在庫だとか仕分けだとかそういうふうなことをやるのは直結していなくていいんですね。直結しなきゃいけないのは、あくまでもそういう高速道路にすぐ乗り入れるための自動運転トラックのためとか、あるいは上りと下りで運転手が替わるためなんで、その直結のためには民間である必要はないし、むしろ民間はそこまで僕は投資できないんじゃないかというのが僕の考えなんですね。そういう意味で、国とかNEXCOの役割は大きくなってくるんじゃないかと思っています。
以上です。

○矢倉克夫君

済みません、改めて、その上で、当然、まず公共がやるべき話ですけど、そういう部分で民間が協力するという民間があれば、それは当然いいということで。(発言する者あり)
じゃ、改めて、もうちょっと一問だけ長谷川参考人にお伺いをしたいと思うんですが、この道路の重要性ということで、渋滞の部分を生じさせないための道路というところもあると思いますけど、もう一個、例えば防災のときなども、例えば一つの、いざというときの緊急物資を運ぶための道路という重要性はやはり必要になってきて、その上で、一つの道路が仮に通行として使えなくなった場合にもう一つあれば有益であるという議論も、そういったいろんな道路の多機能化というところから高速道路も更に造っていくべきだというような議論も当然あったりするわけですけど、それについての御所見等、もしありましたらいただければと思います。

○参考人(長谷川茂雄君)

ありがとうございます。
東日本大震災以降、防災のために道路が必要だということが盛んに喧伝されてきております。
防災ということで、私たちというか私個人が考えるのは、やはり災害対策基本法の目的にもありますように、国民の命と財産を守るというのが防災・減災の第一目的ではないかというふうに思います。
国土交通省さんが、例えば、東日本大震災の後に、くしの歯作戦で道路が非常に役立ったということを宣伝されていますけれども、それは災害が起きた後に物資を輸送することで一定程度効果を果たしたということなんだろうと思います。
阪神大震災の後に、近畿地方整備局が、どのような教訓があったのかということをレポート出していますけれども、七割以上は住宅の圧死で亡くなったと、なので、命を助けるにはいち早く助けることが大事であるという、そういうレポートを発表していますので、確かに物資を運ぶためにはそういった道路の整備も必要という議論もあろうかと思いますけれども、どちらを優先するのかという視点でいうと、まず命を守るために税金をどこに使うのかという視点で考えますと、私個人は、やはり住宅の耐震化とか建物の補強などにまず税金を使っていただいて、それでまず圧死をなくすと、そのことで国民のまず命をより多く守って、で、その後、災害そのものは人の力では防げませんので、災害が起きた後に最低限その物資輸送に使えるような、まあ代替路線を含めた道路の整備などを考えていただきたいというのが私個人の意見と希望であります。
ありがとうございます。

○矢倉克夫君

三人の参考人の先生方、大変に貴重な御意見ありがとうございました。引き続きの委員会質疑でしっかりと先生方の御意見を踏まえて議論をしてまいりたいと思います。
ありがとうございました。以上でございます。

211回 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会

2023-05-19 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
お二人の参考人の先生方、貴重なお話、大変にありがとうございます。
まず、脇参考人、本当に、これまでも、またこれからも、長きにわたり日本の領土である北方四島を取り返すこの活動に対して改めて敬意を表して、本当に感謝を申し上げたいというふうに思っております。
先ほど、墓参と自由訪問、とりわけ墓参についてはロシアも特に否定はしていないという話があった。それも踏まえまして、公明党としても、しっかり政府と実現に向けてどのような対応ができるかというのがまず協議をしていきたいということはお伝えを申し上げたいというふうに思います。
まず一点お尋ねをしたいんですが、今も話ももう出ているこの千島歯舞諸島居住者連盟、理事長を務められていらっしゃる、こちらに対してロシアが望ましくない団体に指定をした。これ、歴史的経緯を一切無視した許されないものである、これは私も全く同感であるというふうに思っております。
これについての所感というところでありますが、とりわけ、先ほども、連盟としては平和裏にというふうにおっしゃった。連盟の動きがこの現地のロシア人住人との交流なども通じた人と人のつながりをつくった上で、その先に四島返還というのを当然見越した上での活動であるわけでありますが、そういう蓄積がある、そういう活動をしているある意味連盟に対してこういうような指定をしたということ、これについての御所見、これまで対人交流でどういう成果があったかということも踏まえて改めてお伺いをできればというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○参考人(脇紀美夫君)

ありがとうございます。
望ましくない団体という指定されたことにつきましては、先ほども申し上げましたように大変受け入れ難い話ですし、残念に思っております。それで、ましてや、我々は今まで、現在住んでいるロシアの元島民と交流を深めてまいりました。特に青少年にあっては、どんどんどんどん交流が深まるにつれて友達もできました。そういう中では、非常に、人と人とのつながりという部分では非常に深化しているんですが、このことについては、もちろんこのウクライナ侵攻によってということになってくると政治的な問題になってくると思っています。
したがって、我々元島民の立場で政治的な分野にまで、これについてなかなかコメントしづらいんですが、あくまでも我々は、純粋に、北方領土、これは我々のふるさとなので返還してほしいというふうに訴え続けていることでありますから、今後もこのウクライナ戦争、ウクライナ侵攻によってこの問題が左右されることのないように我々は頑張っていきたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
まさに、人と人で営々とつなぎ続けられてきたものを、ある意味政治的な思惑でこういうような形で行ってくるということは、やはり許し難いものであるなというふうに私自身も改めて思うところであります。
もう一つ、脇参考人にお伺いをしたいと思うんですが、まさにこの北方領土の問題というのは、島民、元島民の皆様、またローカルな問題ということではなく、国の主権の問題として国民全体でやはり考えていかなければいけない問題だと、全くそのとおりであるというふうに思います。特に若い世代に対して、こういう問題があるということ、そしてそれをある意味自分事として捉えていくということは非常に重要であるなというふうに思います。
それらについての啓発として、教育の現場でもどういう取組があるのか、また、場合によっては、例えば既に取組もあるかもしれませんけど、北方領土の密接地域への研修旅行とか修学旅行とか、そういう取組もあったりとかするわけでありますが、それも含めまして、若い世代に対して、この問題に対してより身近に感じて、考えるきっかけを与える取組としてどういうものがあるのか、具体のものがあればそれも踏まえて、啓発ということで御意見があれば是非御指導いただければと思います。

○参考人(脇紀美夫君)

ありがとうございます。
戦後七十七年経過する中にあって、最近になってようやくといいますか、国の方、国の方というか、教科書にも取り上げられるようになりました、この北方領土問題。それ以前は教科書にも全くこのことについては言及されてございませんでしたけれども、ようやく教科書にも載るようになりました。それから、ある場面によっては、就職試験にもこの北方領土問題が取り上げられるようにもなりました。それで、加えて今、非常に有り難く思っているのは、修学旅行生がどんどんどんどん現地の、現地というか、北方領土が見える、特に根室管内の方に来ていただいているということであります。最近ではもう、羅臼だけでも三十校くらいもう今年の予定が入っております。
したがって、修学旅行生の若い方々がこの北方領土を間近に見て実感してもらえるという中にあっては、非常に効果があるものだというふうに思っていますので、これについては今後も全国的に修学旅行ということについて拡大していただければ大変有り難いと思っていますし、そういう面では、今後、我々元島民は八十七歳を超えているわけですから、なかなかもう体力的にも能力的にも気力的にも限界に達しているという中にあって、やはり二世、三世、この若い世代の方々にこの運動を引き継いでいってもらわなければならないというふうに思っていますので、そういう面では、こういう若い人たちのこういう取組というのは非常に有り難く思っていますし、今後とも広めていっていただきたいというふうに念願しております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
その引き継いでいかなければいけないという思い、我々もしっかり共有して、また議論も含め、活動していきたいというふうに思います。ありがとうございます。
山添参考人にお伺いをしたいと思うんですが、ロシアにとっての北方四島の位置付け、もう既に同じような質問は出ているところもあるかとは思うんですが、改めての問いなんですけど、先生の著作とかでも、このロシアの行動というところ、その大国構想というものからいろいろな活動を規律しているというような発想もあったかというふうに思います。
この北方四島というのが、このロシアの大国構想というものの中で位置付けられるものとしてロシアも位置付けているのか、それとも、並立するかもしれませんけど、安全保障上の問題として何か位置付けを考えているのか、若しくは経済的な部分なのか。ロシアにとってのこの北方四島というのはどういう位置付けになっているのかということを、ちょっと抽象的な質問になるかもしれませんが、先生の御意見をもしいただければというふうに思います。

○参考人(山添博史君)

御質問ありがとうございます。
私が先ほど御案内のあった参考資料の中で述べた大国構想というのは主に旧ソ連の空間においてのことで、これはもう、ロシアが一番人口も集中している西の方、ヨーロッパの東部、こちらの、本来ロシアはこれぐらいであったと、本来こう戻るべきだというような、大きな民族の統合とか領土の回復とかそういったもの、それを、大国であるアメリカとかイギリス、フランスでありますとか、もちろん中国にも認めさせたいと、そういう発想であります。
太平洋でもアメリカと対峙はしているわけで、それの一環として、確かに軍事拠点として択捉島、国後島というのをロシアは使っております。これは、ソ連時代の後半に潜水艦を運用するようになって、オホーツク海を潜水艦が行動をすると、それによって、核兵器をもし先にどこかから撃たれたとしても、その潜水艦からは核兵器をもって反撃ができると。そういうものが安全保障の根幹であるという考え方に基づくので、それは北極海にも、バレンツ海ですね、にあるのが第一で、第二としてオホーツク海がある、その一部としての択捉、国後というのがありますので、それについては、やはり安全保障の観点からは今の段階では譲り難いという考え方は非常に強くあると思われます。
以上です。

○矢倉克夫君

その位置付けを踏まえた上で、では、具体的にどうやって取り戻していく交渉をしていくのかという方策について、何かアドバイス等があれば教えていただければと思います。

○参考人(山添博史君)

ありがとうございます。
非常に今申し上げたことからは難しいというのがまず出発点にはなるのですけれども、ただ、歴史を遡ると、海軍が反対していた島を日本に譲り渡したということがありまして、これは一八七五年の樺太千島交換条約のときに、カムチャツカの次のところ、幌筵島と占守島ですね、この辺りの部分をロシア海軍は日本に渡してはいけないと言っていた。ですが、これは、交渉、ロシア皇帝アレクサンドル二世と外相ゴルチャコフが、今ここで決着をして彼らのサハリン島を確保し、日本と問題は決着させるんだという決断でもって、ロシア海軍の言い分は今回は譲りましょうというふうに決着した。
こういう事例はあると言えばあるので、安全保障だから絶対に譲れないということではなくて、それよりもロシアにとって必要な利益が何か、例えばこのときに日本との経済協力、それから外交支援が是非とも必要だという状況になれば、安全保障の考慮というのは絶対的ではなくて相対的な考慮になる、それは考え得るとは思います。それは、その後、これから後の歴史の流れによると思います。
以上です。

○矢倉克夫君

お二人の参考人、大変ありがとうございました。しっかり参考にさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。

211回 憲法審査会

2023-05-17 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
先月二十六日の当審査会において、四名の方、参考人の御出席いただいて、参議院の合区問題、御意見を承ったわけでありますけど、実際に投票率の低下や無効票の増加といった問題が生じていて、合区を解消すべきであると。
おっしゃっていただいたとおり、国政には多様な民意が反映される必要があって、地方の声がないがしろになってはいけないというのは私も強く同意をするところであります。合区をやむを得ないということで消極的に許容をしている御意見はあるかもしれませんけど、積極的に推進しようという意見は特段ないと私も理解しておりますし、で、合区解消のためにどうするかということを各党が知恵を持ち寄ると。
公明党は、先ほど佐々木議員から話があったとおり、全国の十一のブロック単位にした個人名投票の大選挙区制をこれ提唱はしているところであります。あえて繰り返しはいたしませんが。
その上に加えて、参議院が地域代表的性格を有すること、これを認める意義とともに、投票価値がこれ唯一、絶対の基準ではないということも私も同意をするところであります。
その上で、また先ほどの佐々木議員の議論との繰り返しにも一部なるかもしれませんが、この合区問題の抜本的解決のために参議院を都道府県選出の地方代表の議院として位置付けるということ、これについてはやはり慎重に考えざるを得ないなというふうに思っております。憲法上許容される範囲で、法律上、選挙制度上、参議院を地域代表的性格を持たせる形にしていく、都道府県を単位とすることも含めてでありますけど。これはあり得る話なのかもしれませんが、憲法でこれを位置付けるというとやはり意味合いが違ってくる。
なぜなら、まず第一に、参議院が、現行憲法が参議院に付与している様々な権能の正統性、これに大きな影響を及ぼしてしまうと。
地方代表の議院であると強調し過ぎると、憲法が予定している参議院の権能そのものを自ら否定してしまうおそれもあるというふうに思っています。
何度も議論をしている緊急集会、こちら、衆議院の不在時に参議院が国会の機能を代行するという制度でありますが、これの意義付けと矛盾するという話もそうでありますけど、例えば、参議院では決算や行政監視に力を入れておりますが、地方代表の議院と位置付けられると、従来と同様に中央政府の決算や行政監視に力を発揮できるかということは議論が出てきてしまうというふうに思います。
加えて、もう一つ懸念しているのは、憲法の定める代表制の根本に影響してしまうかというところ。
憲法は四十三条で、全国民の代表という形で規定をしており、これは、理解としては、全国民の代表というのは、特定の地域や選挙区の住民による命令委任を否定して、全国民の共通利益に基づいて審議、決定することを求める意味であるというふうに理解もしております。もし合区解消を目的に憲法に参議院の地域代表制を書き込むとなると、規定ぶりによっては、国会議員が選出母体である地方の指令の枠内でのみ代表権を持つにすぎないという形になってしまう、こういう議論もこれまでの学説を延長で考えるとやはり生じてしまい得るかもしれないと。
あと、あわせて、現実的に、参議院には今、比例代表選出の議員の方がいらっしゃる、こことの整合性という問題もあるわけであります。
このような議論、当然これは護憲か加憲かというような単純な区分けから発している発言ではなくて、参議院の独自性、我が国の二院制の機能発揮という国の統治の在り方をどうすべきかという観点からの意見であるということをあえて付言をさせていただきたいというふうに思います。今後も、立法府としては、二院制を採用した趣旨や参議院の独自性といった本質に立ち返った検討をしていくことが必要であると申し上げたいと思います。
あと、もう一つ付言をすれば、選挙制度の在り方を考えるときに、この地域の声を拾い上げるという声とともに、やはり若い人の声を拾い上げていくという、多様的な意見を拾い上げるということもまた考えなければいけないと。こういう観点も含めて今後の参議院の在り方ということもしっかり考えていくことを個人の意見として申し上げて、私からの意見とさせていただきたいと思います。
以上です。

211回 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会

2023-04-28 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
四人の参考人の先生方、大変貴重な御意見、誠にありがとうございました。
まず、中西参考人にお伺いしたいと思うんですが、今ほども話があった人間の安全保障、有識者懇談会の報告書でも、開発協力のあらゆる側面に通底する基本理念というふうにお書きになっておりました。その重要性を改めてお伺いするとともに、あわせて、私たち公明党も、三月十四日に外務大臣に大綱について申入れしたとき、この人間の安全保障を重視すべきだと訴えたんですが、今回の大綱案で私注目したのは、UNDPが報告書で書いていたこの新たな要素としての連帯という言葉を人間の安全保障の新たな要素として加えていたことがあるかと思います。有識者懇談会では連携という言葉はよく出ていたわけでありますが、そことはまた異なる言葉としてのこの連帯という言葉の先生のお考えになる意味合いを。
それに関連して、私は、この連帯というのは、その連帯を実現するためには、自国と他国の成長、幸福が一致する領域をどんどん広げていく、共通の利益になるような領域を広げていく能動的な活動だというふうに理解はしているところなんですが、先生も先ほど、まさに人類公益と国益を一致させていく過程が大事だというふうにおっしゃっておりました。先生のお考えで、レジュメの方でもこういった国益と国際公益の長期的一致という言葉もあるわけでありますが、このお考えと連帯という言葉で重なり合う部分があれば是非御教示をいただきたいと思います。

○参考人(中西寛君)

御質問ありがとうございます。
お話ありましたとおり、人間の安全保障というのが、私が座長を務めた有識者懇談会報告書の中心概念、日本の開発協力の基本理念として改めて掲げるべきだというふうに書き込みました。これは、有識者のメンバー、皆さんいろいろな立場から御参加をされていたんですけれども、初回に皆さんの総括的な御意見を伺ったときに、基本的に全ての委員からそういうような御発言があったというふうに記憶をしております。
人間の安全保障という言葉が何を意味するかということについては、いろいろな考え方があろうかと思います。先ほど若林委員からお考えがありましたけれども、若林委員のような捉え方も一つではあろうかと思いますが、私は、必ずしもそれに限られるものではない。あえて申しますと、まあいささか曖昧であるけれども、人間という言葉と、つまり個人であったり社会であったり、場、様々なつながりでありますけれども、国家ではなくてそうした人間そのものに焦点を当てるということ、そして、広い意味での安全を高めるということについてコンセンサスが得られやすいということが重要だと思います。
例えば、ミャンマーのような民主化が進んでいると思われた国で、その状況が残念ながら後退してしまうということは現在の国際政治では生じてしまうわけですが、そのときに援助を止めてしまうというのも確かに一つの考え方だろうと思います。しかし、現地でその民主化の支援やそうした政治変動で苦しむ人々がいることも確かですので、そうした人々を助け続けるということも日本の開発協力の在り方ではあると思います。
そういう場合に、その政府を支援するのではなくて、人々を助けるんだという理念そのものを維持しながらどのように対応すべきかということをある程度実践的な観点から検討するということが必要ではないかという、そういう御意見もあったかと思います。
今お話にありました連帯ということについて、UNDPがどのような意味で言っているか、私は詳細に残念ながら承知しないんですが、あるいは、従来の、とりわけ西側が言ってきました人権を重視するという考え方は、個人の人権というのを重視するという考え方が根底にあるわけで、それは確かに一つの理念として正しいものであると思いますけれども、世界的に見たときに、必ずしも個人単位で人々の安全というのを考えるわけではなくて、家族であるとかコミュニティーでありますとか様々なつながりの中で個人が安全を得るという考え方もあろうかと思います。
改めて、UNDPがそういう点を見直すことを言うためにこの連帯という言葉を重視するという話であるとすれば、日本が掲げようと我々が提案しました人間の安全保障という考え方と重なり得るものだと思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございました。
次に、佐藤参考人にお伺いをしたいと思うんですが、今の連帯というところの続きにもなるんですが、あわせて、佐藤参考人の方でもお話として、例えば自助努力というところから良い依存関係をつくるというこの発想転換が大事、非常に重要なメッセージであると私も思っております。
この先生が込められたメッセージとこの大綱にある連帯という言葉の関係の考えみたいなのを、先生もほかの文献でも、例えば、日本のこれまでについて、人類益と国益の二項対立のはざまでたくましく行き来して折り合いを付けるというようなお言葉もあったわけでありますけど、そういった先生のこれまでの発信も踏まえつつ、この連帯と先生のこの依存、良い依存関係というものの関連性について御教示いただけるところがあれば是非お願いしたいと思います。

○参考人(佐藤仁君)

ありがとうございます。
すごく難しい問いだと思うんですけど、まず、今直前に話題になっていた人間の安全保障の話についてちょっと一言だけ言わせてください。
人間の安全保障を本気でやるということは、相手国政府が嫌だと言ってもやりますかということなんですよね、まあちょっと乱暴に言えば。
日本の援助というのは、御承知のように基本的に要請主義なので、相手国政府から要請が来て、それを大使館やJICA等でもんで、そこに優先順位を付けて、東京で許可を出して、援助を送り出すと。そうすると、じゃ、政府と反対の、政府と対抗しているような勢力からは、基本的にはその政府ルートでは要請は来ないわけですよね。にもかかわらず、そこに物すごく深刻な人間の安全保障のリスクがあるときにそこに踏み込んでいくのかどうかという話だと思うんです。
これは、物すごく、その日本のODAの歴史の中で、もしこれを本当にやるんであればこれは大転換だと思うので、私は、この人間の安全保障というのは理念はもちろん理解しますし、誰もそのことに反対する人はいないと思いますけれども、ODAの仕組み上それをどうやってやるのかということはかなり慎重な検討が必要なんじゃないかなと思っています。
もちろん、日本政府がというよりも、例えば、その人間の安全保障を推進する現地の団体を、あるいは現地でどちらかというと政府と話ができる団体から申請、要請を出させるというような、そういう様々な裏技はあるかもしれませんが、そういうことも含めて考えないと、現在のそのガバメント・ツー・ガバメントの仕組みの中で人間の安全保障が一番深刻に表れている、つまり、その深刻というのは、政府が自国民に対して暴力を働いているときにどうするのかということなんですね。
これは決してレアなケースではなくて、東南アジアなんかでは、スハルトとかマルコスのお父さんとか、あるいは極端な例でポル・ポトとかですね、物すごい暴力を自国民に対して働いていたわけですから、こういうことに対してODA踏み込むのかというのは大問題だと思います。中西先生おっしゃったように、ミャンマーのことについても日本の態度が迫られるところだと思います。
そういった中で、連帯とか依存というのは、どちらかというと、将来困ったときに助け合えるような関係を今からつくっておくと。その今からつくるための触媒の一つとして、それは全てではないですけど、触媒の一つとしてODAを使っていくということであって、何かやっぱり、私の冒頭の発言で申し上げましたけど、自立というと、何か自分で全部、自分ができるようになる、それは推し進めていけば、ある種の孤立というか、ほかと関係がなくてもやっていけるような、そういうニュアンスがあると思うんです、そこまで考えている人は余りいないとは思うんですけれども。
なので、困ったときに助け合えるような関係を日常的につくっていくということで連帯という言葉が使われているのであれば、私はそれは賛成です。
以上です。

○矢倉克夫君

ちょっと続いてもう一つだけ、佐藤先生に。
事後検証というのは非常に重要だと私も思っておりまして、ODAの。先ほど申し上げた党の提言でも、モニタリングと事後評価のシステムを強化すること、ODAについてというようなことは申し上げ、結果を公開することというふうに申し上げたんですけど、今後、具体的に、では、今までのODA、これ事後評価をするに当たって、どういう、誰がどのような形で評価をし得るのか、ちょっと制度設計についてのアイデア、もしございましたらちょっと教えていただければと思います。

○参考人(佐藤仁君)

ありがとうございます。
これは、本当にやろうとするとすごく難しいと思います。
というのは、現状ですと、例えば事後評価というのは三年とか五年でやるわけですよね。それの意味というのは、比較的そのプロジェクトが始まってからそんなに時間がたっていないので、何か変化があったときに、それはプロジェクトによって起こされた変化であるという同定が比較的しやすいというのはあると思いますし、その結果を今オンゴーイングのプロジェクトにフィードバックするということができるようになるということなんですね。
ただ、十年、二十年という時間がたつと、そのプロジェクトの結果何か変化が起きたのか、ほかの要素によって変化が起きたのかというのはだんだん分かりにくくなってくるわけです。そうなってくると、そこで学んだことというのの教訓は、プロジェクトに返すというよりも開発協力全体の在り方について返すしかなくなってくるわけですね。
こういったことについて、今、人が少ないJICAみたいなところが人を割いて、十年、二十年のレビューをやりましょうって一生懸命やってくれるかというと、多分やってくれないと思います。それ、今やっているプロジェクトとか来年の予算に役に立つんですかと言われて、いや、それはちょっと分かりませんといって、なくなっちゃうような話ではないかと思うので、こういったところは、まさに市民社会とか研究者とか、いわゆるODA実務の外にいる人たちがまさに連携をする形で長期的にもモニタリングをしていくということが大事だと思います。
日本では、幸いなことに、いろんな地域の地域研究者がいます。アフリカの例えばウガンダを三十年見ていますとか、ラオスの専門家ですとか、そういう地域研究者を、地域をずっと見ている人たちをうまく使いながら、長期的に開発が持つ意味というのを検討して、その検討結果を実務機関と共有するような仕組みというのがいいんじゃないかなと思います、JICAにやらせるというよりも。

○矢倉克夫君

大変ありがとうございます。
若林先生に、今、市民社会の言葉も出ておりましたが、人間の安全保障というものを実現していく上で、社会的に、市民社会の役割について先生の御所見をもしお伺いできればと思います。

○参考人(若林秀樹君)

ありがとうございます。
今の御質問の流れの中で、連帯ということを市民社会としてどう捉えるかというところを含めてお答えしたいんですけれど、例えば、我々の団体は中国のNGOと連帯しています。国際的に二国間ではテンションが高くてまともな話もできないという中で、市民社会の役割というのは、国境を越えて人間の安全保障というところでつながるんですね。彼らも日本の経験を知りたい、日本に、取られている政府との関係、国際協力をどうやっているのかと。その前提は、彼らも人間なんですよ。彼らも大事にしているのは基本的な人権なんです。その重要性は彼らも分かっている。だから、我々は連帯をして、いろんな交換をしたりだったり、いろんなイベントをやったりして共有をしていると。最終的にどういう政治体制を選ぶかは彼らなんです。
ですから、その前に我々はできることは、国境を越えて政治観を超えて、市民社会としてつながって連帯して、国際平和、人権たる、何物か、どういう形が望ましいのかという経験を、それをベースに話す、で、最終的に向こうが選ぶというのが今の我々の役割ではないかなという意味では、連帯ということは非常に重要な言葉ですね。我々の役割はそこに発揮できるんじゃないかなと思っています。
よろしいでしょうか、以上です。

○矢倉克夫君

私もそのとおりだと思います。
最後、時間ですかね、失礼しました。
じゃ、済みません、焼家参考人、ちょっと食品ロスとかの関係の日本の課題とかもお伺いしたかったところはあったんですけど、時間ですので、申し訳ありません。
本当に様々な、特に、あともう一件だけ。あと、先ほどの紛争の地でのやっぱり安全を確保されるということは非常に重要だと私も思っていて、そこについての政府としての役回りなどもまた私たちもいろいろ検討しながら、しっかり安全も確保して、共に世界の安全に、確保に、食料飢餓を、困難回復に尽くしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
済みません、以上でございます。ありがとうございます。

211回 国土交通委員会

2023-04-20 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
今回、改正法でありますけど、この地域公共交通活性化再生法、二〇〇七年に制定されてから十五年強になります。その間も人口減少やコロナなどで廃線は続いて、公共交通の需要減少も続いているわけでありますが、まず政府に、この現行の活性化再生法に基づくこれまでの取組の効果について国土交通省としてどのように評価をしているのか、また、その評価を本改正案においてどのように反映しているのかをお伺いしたいと思います。

○政府参考人(鶴田浩久君)

お答えします。
十五年前に制定されましたこの法律によりまして、協議会それから地域公共交通計画、これらが制度化をされまして、これまでに全国で七百余りの計画が作成されております。このように、地域における公共交通の将来像について自治体を中心に議論をして決定していくと、こういった動きが広まってきていると認識しております。
一方で、長期的な需要減に加えて新型コロナの影響もあって多くの事業者が大変厳しい状況にありますけれども、こういった状況は交通事業者の経営努力だけでは避けられないものでありますので、地域の関係者の共創によって、共創を強化することが必要と考えております。
このため、今般の改正法案におきまして、連携、協働について法律上の各種規定に明記をする、またローカル鉄道の再構築について連携、協働の仕組みを創設する、また自治体とバス事業者等が連携、協働するエリア一括協定運行事業を位置付けるなどを盛り込んでございます。

○矢倉克夫君

また個別には時間があれば議論したいと思いますけど。
交通全体の持続可能性の問題として、この地域公共交通に限らず、大事な担い手の問題についてお伺いしたいと思います。
特にバス、タクシーの自動車運転業は、全産業に比べても労働時間が長くて年間所得も低くなっており、若年層の就業が敬遠されております。バスも第二種大型自動車運転免許の保有者は十五年間で二四%減少、タクシーも十五年間で四〇%運転手も減少をしていて、高齢化も進んでいると。男性労働者の全産業平均が四十・八歳であるのに、タクシーは六十・九歳。
国土交通省として、まずバスやタクシーの運転手不足に対してどのように対処していくのかをお伺いしたいと思います。

○政府参考人(堀内丈太郎君)

お答え申し上げます。
バス・タクシー業界におきましては、若年層の雇用、そして低い賃金水準の改善、これが大きな課題であると認識をしております。
このため、国土交通省では、現在、多くのバス・タクシー事業者からいただいております運賃改定申請に対して迅速に対応し、早期の賃上げや安心で快適な職場環境の整備を促進するとともに、令和四年度補正予算において創設いたしました二種免許の取得に対する支援など、事業者による人材確保、行政の取組を支援、これを使っていただけるように促してまいります。引き続き、バス・タクシー業界における人材確保に向けてしっかりと取り組んでまいります。

○矢倉克夫君

地域のバス会社の方なども非常にこれは懸念をしております。是非しっかりやっていただきたいと。
その中で、声のある一つが外国人運転手の解禁ということであります。この運転手不足の改善、これは物流の二〇二四年問題にも関係をいたしますが、この外国人運転手を解禁するということも考えてもよいのではないか。
報道によりますと、外国人技能実習制度の中間報告のたたき台では、この制度の廃止、改善というのも議論されているというふうに聞いておりますが、この新制度に組み込むか、あるいは、現在のこの十二種ある特定技能に新たに運転手なども加えるということも考えられると思います。
大臣にお伺いしたいと思うんですが、今のこの外国人運転手の解禁、今、バス、タクシーに加えて、とりわけトラックドライバーについても二〇二四年問題を扱う閣僚会合で議論をしてもよいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)

バス、タクシー、トラックの三つの業界団体においても、各団体の今年度の事業計画に外国人材の活用が盛り込まれたものと承知しております。これは、事業者としても人材確保に関して大きな危機感をお持ちであることの表れと受け止めております。
国土交通省としては、現時点で外国人材の活用に関して具体的な対応方針を決定しているわけではありませんが、委員の御指摘や業界の意向なども踏まえ、関係省庁と連携して検討を進めてまいりたいと思います。
これとは別に、トラックドライバーの確保対策については、物流の関係閣僚会議において六月上旬を目途に取りまとめる政策パッケージに実効性のある具体策を盛り込めるよう、スピード感を持って関係省庁と議論を深めてまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

非常に問題もかなり複雑化して、深刻化しているところであります。関係省庁と連携は必要でありますが、まず国土交通省として、現場の声をしっかり聞いて、こういう課題解決も必要だということを積極的に対応していくことも必要だと思いますので、大臣のリーダーシップを是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
あわせて、ちょっと次の質問にまた移りたいと思いますが、先日の参考人質疑でもモーダルシフトという話がありました。これもまた大臣にお伺いしたいと思うんですけど、温室効果ガスの排出量を削減し、カーボンニュートラルを推進するため、トラック輸送からCO2の少ない大量輸送機関である鉄道輸送等への転換、いわゆるモーダルシフト、国交省としても進めており、桜井参考人なども積極的に評価をされておりました。
これは、環境負荷低減の面に加えまして、これも先日の参考人質疑でも出ておりましたが、全国的な物流ネットワークというのも、維持管理というのもこれ含めた意味合いもあると思いますし、緊急時の自衛隊の物資輸送等の安全保障の面、さらには物流の労働力不足への対応という面もあるなど、多面的な機能を有していると理解もしております。
これら多面的機能、まさにクロスセクター効果と言えると思いますが、これらを有する鉄道網については、例えば先日の参考人質疑でも森参考人が、こちら何度も今この委員会でも出ておりますけど、交通というのは公共財だと、まず思い切って公費投入をして、ポジティブに社会資本の質を上げるためという公費投入が必要だというふうにおっしゃっておりましたが、まず国の施策を進める上で必要な鉄道路線をこれを指定するなどして路線の維持のために国として支援をしていくべきではないかというふうに考えております。
この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)

この点についても午前中からいろいろ議論があったところでございます。
貨物鉄道は環境に優しい大量輸送機関であり、またドライバー不足が課題となっているトラック輸送の受皿としてもますます大きな役割を担っていくことが期待されます。
昨年、国土交通省に設置した地域モビリティ検討会では、貨物列車が現に走行している線区、災害時や有事において貨物列車が走行する蓋然性が高い線区については、我が国の基幹的鉄道ネットワークとして引き続き維持を図っていくことが強く期待されることが提言されています。
今後、こうした考え方を地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針や新たな国土形成計画に盛り込み、貨物鉄道がその機能を十分に発揮できるよう、ネットワークの強靱化やトラック輸送との連携強化等に向け、国として必要な支援を行っていきたいと、このように思っております。

○矢倉克夫君

大臣から支援というお話がありました。地域公共交通を支援するためのこの財源についてまたお伺いもしたいと思います。
地方の財源としては、国の地域公共交通確保維持改善事業などもありますが、多くの地方自治体の財政状況も厳しい中、地域公共交通を長期的に支援していくための財源の確保というのが課題になっていると思います。
諸外国を見ますと、先日も桜井参考人が例に挙げていらっしゃったドイツでは、連邦からの補助金がある、これはエネルギー税が財源となっているということで、気候変動対策などとも多面的に考慮した上でだと思いますが、ほかにも、フランスなどは公共交通の特定財源として都市交通税があり、これが公共交通への投資の財源となっております。
国土交通省としても、まさに諸外国に学べというような先日の参考人のお言葉もあったわけでありますが、この地方への支援財源の確保についてどのように考えているのかをお伺いしたいと思います。

○政府参考人(鶴田浩久君)

お答えします。
まず、今般の予算におきまして、社会資本整備総合交付金などの新たな枠組みも含めて、財政支援を質、量共に大幅に拡充したところでございます。国土交通省としましては、まずはこれをしっかりと執行していくとともに、必要な予算の確保に努めてまいります。
その上で、本年二月の交通政策審議会の中間取りまとめにおきまして、更なる課題として安定的財源の確保が示されていることも踏まえまして、これについても中長期的な課題として幅広い観点から検討してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

先ほどの午前の答弁にもあった中長期的な課題として検討していくというのは大事でありますので、是非引き続きやっていただきたいと思いますが、あわせて、関連してちょっとお伺いしたいんですけど、先日の森参考人がこれもおっしゃっていたんですけど、まさに公共交通維持の財源のため新しい歳入を得る方法について国の関与をもっと大きくすべきであるといった趣旨の御発言もされていらっしゃいました。
是非、森林環境税なども例として挙がっていたわけでありますが、総務省ともより実務レベルで積極的に議論すべきとも考えておりますが、これについての国土交通省の見解を伺いたいと思います。

○政府参考人(鶴田浩久君)

御指摘ありましたように、森参考人から、森林環境税を例に挙げて、地方の交通を維持するための財源について国の関与を大きくしてほしいという御発言ございました。
先ほど申し上げましたように、中長期的な課題として幅広い観点から検討を進めてまいりますが、その際には必要に応じて総務省も含めた財政当局ともよく協議してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

是非実務レベルでも、その上で、合意形成という点で我々政治もしっかりと責任を果たしていきたいと思いますので、是非連携して、とにかく地域公共交通を支えるにはどうすればいいかということを、国民の理解を得るための具体的な政策をどんどん連携を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
またもう一つ、参考人の御意見にも絡むところではあるんですが、また、現行法で道路運送高度化事業というのが規定をされております。それについては、例の一つとしてはBRT、これが挙げられているわけでありますが、参考人からもいろいろ御評価も、批判的な否定的な御評価も一部あった中で議論がされているところではありました。
まず、これについて、これまで導入されたBRT転換による事業の収支や利用者の増減等について国土交通省としては認識をどのように持っていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。

○政府参考人(堀内丈太郎君)

お答え申し上げます。
BRTは、連節バス、バス専用道、バスレーン、公共車両優先システムなどの幾つかを組み合わせることで、定時性の確保や速達性の向上、輸送能力の増大を可能とする機能を備えた輸送システムでございます。令和五年四月一日現在、全国二十九か所で導入をされておりまして、うち五か所が鉄道からの転換によるものとなっております。
BRTが導入されております各路線の収支につきましては運営を行っている事業者から公表されておりませんが、そのうちの一部の事業者が行った利用者アンケートによれば、運行本数、スピード、運行の安定性など、運行のサービスの水準については利用者から高い評価を得ているものと聞いております。
国土交通省といたしましては、BRT含め、地域のニーズに応じた交通システムの整備を積極的に支援することによって、地域公共交通の維持、活性化を図ってまいります。

○矢倉克夫君

是非、メリットやまたデメリットも含めて引き続きしっかり検証をしていただきたいと思います。
このBRTにも絡む議論として、午前中も、貨物によるネットワーク維持ということもあります。それも推進すべきであると思いますし、なかなか、他方で、全て貨物でということも難しい場合はBRTの選択肢というのも当然あり得るかと。
これも午前中、局長からお話があったように、これ単なる鉄道の代替ということではなく、また新たな交通経路も考えるなどして、是非地域の足を維持するためにもこの効果というものもしっかりと説明できるように検証をして更に推進をしていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、今の少し挙げた道路運送高度化事業ということでもう一つだけお伺いしたいんですが、今回の法改正でAIデマンド交通がこれ加わったと理解もしております。
資料今日お配りしておりますが、これはさいたま市の浦和美園という地区の、予算委員会などでも私も議論もさせていただいたものなんですけど。過疎地ではないです、都市部の中でありますが、この都市部の中であっても交通弱者というのは当然多いことを踏まえたいろいろ取組として、私も視察なども行かせていただいた、地域でしっかり一体となって頑張っている、交通を地域の暮らしと一体で捉えて民間事業者と行政が連携して取り組んでいる取組であるというふうに思っております。
先ほども話があった共創型、共に創る共創型交通のプロジェクトとしてしっかりこれも推進すべきものであるかというふうに思っておりますが、こちらのさいたま市の取組について国土交通省の評価をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(鶴田浩久君)

御指摘の浦和美園の取組は、商業施設や子育て支援施設など日常生活に必要な施設が分散立地をしていると、これらの施設を利用する際の移動手段が不足していると、こういう課題に対しましてAIオンデマンド交通を実証運行している事業でございます。子育て世代を含む女性の御利用が多いと承知しています。
本事業につきましては、まちづくり団体と商業施設運営者を含めまして、地域の関係者が連携して取り組んで、これらの事業者から協賛金を募ると、そういった仕組みを構築するなど、今般の改正法案に盛り込んだ共創の具体的な事例であると評価しております。
引き続き検討を続けていただいて、優良なモデルとなっていただくことを期待しております。

○矢倉克夫君

協賛金の仕組みと、また民間事業がビジネスモデルとして経営がしっかり成り立つようなことも考えられているので、是非いろいろ引き続き発信をしていただきたいと思います。
ちょっと最後に、法案の関係で、再構築協議会について通告していた質問を何問かまとめてちょっとお伺いをしたいと思いますが、こちらについて、まず、複数の自治体にまたがっている場合に一つの自治体だけで組織をすることが要請できるか。一部の地方自治体がこの再構築協議会、反対することに対して、そういう場合にどのように対応するのか。また、関係者相互の議論がなかなかかみ合わない状況が想定される場合、どのように国として対処をしていくのか。最後に、先ほども議論ありましたけど、昨年のモビリティ刷新検討会では三年と書いておりましたが、期間について、今回提出した改正案では期限の設定がないのはなぜなのかということを御答弁をいただければというふうに思います。

○政府参考人(上原淳君)

お答えいたします。
まず、国が再構築協議会を組織する場合、この要請は一つの自治体のみで行うことができますが、国は、協議会の設置に際しましては、ほかの沿線自治体からも意見を聴取することといたしております。
その結果、一部の自治体が反対している場合には、協議会の設置及び再構築方針の協議は事実上困難な状況となります。国としては、対策が必要と認めた場合には、協議会の設置に反対している自治体からその理由も聴取をしながら、広域行政組織である都道府県とも連携して粘り強く調整していきたいというふうに考えております。
また、それぞれの関係者の意見が対立している場合に、私どもとしましては、協議会の主宰者といたしまして、事業者にデータの開示を求め、調査事業、実証事業の結果を用いてデータとファクトに基づく議論を促し、またこれをできるだけ住民の皆さんにも情報共有をしていただく、そうしたことを通じまして、関係者の合意形成に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
さらに、協議期間につきましてでございますが、モビリティ検討会の提言では、三年以内を一つの目安として合理的な期限内に対策を決定すべきとされたところでございます。これは、地域公共交通としての利便性と持続可能性を改善するということで、協議会での議論がいたずらに長引かないように一定の合理的な期限を設けるべきとの考えに立ったものと承知いたしております。
他方、三年という期限はあくまでも目安の一つでありますので、期限あるいは検討スケジュールは協議会の構成員の総意に基づき議論していくべき、個別に協議会ごとに議論していくべきものというふうに考えておりますので、法に基づく一律の基準とはせずに、地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針にこの基本的な考え方を盛り込んでいきたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君

先日、森参考人が、行間を読むと、いい計画がまとまれば国がしっかり支援すると、対立しているものも国が調整をして、財政的にも負担も国が一定程度関与する、そうでないと意味がないというふうに言い切っておられました。是非機能するように国の関与をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。

211回 憲法審査会

2023-04-12 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
本日のテーマである参議院の緊急集会について、衆議院では緊急時における議員任期延長の前提的な議論として議論が進んでおりますが、私たち参議院の院の自律権の問題も絡むものであり、参議院において、より真っ正面からしっかり議論すべきものであるとまず考えます。
本審査会で議論すべき課題を私なりにまとめると、六つあるかと思います。
まず、発動要件として四つ。第一に、適用場面です。明文で衆議院が解散されていることとされていることとの関係となります。第二に、衆議院解散から特別国会の召集まで最大でも七十日程度の期間を想定したものであるかという期間要件に関して。第三に、国に緊急の必要があるときといった要件はどこまでを示すのかという緊急性の要件。第四に、内閣の求めによって開かれるため、審議対象も内閣提出の案件とこれに関連する案件に限られるのかという案件の四つであります。
これら発動要件に関係する議題に加えまして、効果について二点議論すべき課題がございます。一つは、緊急集会には首班指名などを行使し得るのかということ。もう一つは、事後に衆議院の同意がない場合の効力をどうするかであります。
これら議論のポイントは、緊急集会は二院制の例外である以上、抑制的であるべきという要請と、緊急時対応という実際の必要性から全国民の代表たる参議院に託された世界でも類を見ない制度、権能であり、参議院の独自性という観点も踏まえ、過度に抑制すべきではないという要請をいかに調和するかという観点であると考えます。
これら諸点について、緊急集会はあくまで二院制の例外である以上、厳格に解すべきと考えた場合、明文に沿った厳格なものとなり得ます。
他方、前述の全国民の代表制に加え、阪神・淡路大震災や東日本大震災による地方選挙の実施困難による選挙任期、任期延長を経験してきた現下の状況などを併せ考えたとき、国政選挙においても同様の事態が起こり得るわけであり、解釈で広げる余地は十分にあります。現に、第一の適用場面に関して、衆議院解散時に限らず任期満了時にも類推適用できるという学説が唱えられており、もはやこのような解釈は多数説となっております。衆議院の不在という根本的な点において同じだからであります。
この点を敷衍すると、第二の点である期間についても、必ずしも七十日にこだわらない解釈の余地もあり得るかと思います。
さらに、第四の要件である案件について、国会法改正によってこれらを緩和し、幅広い案件を審議できるようにすることも検討に値すると思います。
もっとも、緊急集会は二院制の例外である以上、安易な緩和には慎重であるべきとの指摘もございます。その調整の一つのアイデアとして、衆議院の同意要件の強化というものも提唱されております。衆議院が同意しなかった場合の効果については、一般に、既に行われた行為には影響を及ぼさない、将来効と解されていますが、衆議院の例外要件の緩和を二院制の趣旨を踏まえた衆議院の同意要件の強化によってバランスを取るという発想からは、遡及効を持たせることもなお検討項目ではないかという見解もあります。ただ、緊急集会の意義からは慎重に議論すべきものと考えます。
なお、公明党は、二院制の趣旨から、全国民の代表である参議院に衆議院と異なるべき権能を付与すべきであり、具体的には参議院の行政監視機能を強化すべきと従来より主張をしております。この主張とも相まって、例えば緊急時を想定した緊急集会にこそ、権力の監視、統制といった観点から、より積極的な意義付けを与えるべきではないかといった議論もこの二院制の趣旨からも可能であるということを付言いたしたいと思います。
以上、解釈による緊急集会の拡大を軸に述べてまいりましたが、この緊急集会の意義付けは衆議院で進む憲法改正による議員任期延長にも影響し得るものであり、参議院の憲法審査会において、今日挙げさせていただいた六つの点も含め、憲法学者などの意見も拝聴しつつ議論を深めるべきであり、これが衆参それぞれの真摯で建設的な検討に資することを申し上げまして、私からの意見といたします。

211回 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会

2023-04-07 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
質問に入る前に、昨日消息を絶った陸自所属のヘリ、迅速な捜索とまた一日も早い救助を是非お願いをしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
岡田大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、本年一月十八日に委員派遣で理事として視察した沖縄県で、副知事などと協議をいたしまして、私からも、沖縄県がお一人当たり県民所得が全国最低であるということの対策、これを問いまして、議論をいたしました。観光など潜在力が非常に大きい沖縄でありますが、なぜであるか。私も普天間飛行場などを視察した際に実感をしたことは、経済活動に優良な場所が米軍基地として位置付けられているということも、その最たる理由の一つであるというふうに考えました。
移設・返還問題を解決するためにも、政府として、返還後の跡地利用を沖縄県としっかり連携をしてより具体化しなければいけないというふうに思っております。
まず、大臣に、この跡地利用、どのような経済効果があると考えておられて、県民の所得向上につなげる方策であるか、具体策を大臣にお伺いをいたします。

○国務大臣(岡田直樹君)

お答え申し上げます。
基地の跡地は、その地域によって利用可能な空間が新たに生まれることになり、これを有効に活用していくことは沖縄の将来発展のために大変重要であると認識をいたしております。中でも、委員御指摘の普天間飛行場は、四百七十六ヘクタールという極めて広大な面積であること、また宜野湾市の中心部に立地しておることから、この跡地を有効に活用することは、宜野湾市のみならず、沖縄県全体の振興にとっても極めて重要な課題と考えております。
昨年七月には、沖縄県と宜野湾市において、普天間飛行場の跡地利用計画の策定に向けて、全体計画の中間取りまとめ第二回が作成されたところでありまして、跡地の有効な活用に向け、着実に検討が進められていると考えております。
また、普天間飛行場の経済効果については、平成二十七年の沖縄県の試算によれば、返還前の年間百二十億円と比較して、返還後はその約三十二倍となる三千八百六十六億円と試算されております。基地跡地の有効な活用は、この経済効果の面からも大きく期待されるところであると考えております。
どのような跡地利用がよいか、それは沖縄の地元で今後一層具体的に検討されると存じますが、この普天間飛行場の跡地利用が沖縄の地元における経済効果が十分に発揮されるものになるよう、国としても引き続き、地元自治体と密に連携しながらしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

国と県が一体となって、そこに県民一人一人が入って共に考えることが大事であると思います。県民一人一人の所得向上につなげるという政府の強い意思と決定が移設、返還の進展になるかというふうに思いますので、大臣のリーダーシップ、強く御期待を申し上げたいというふうに思います。
引き続いて、資料を御覧いただきたいと思いますが、同じ視察で一月十七日にお伺いしました久米島で、現地でいただいたものであります。
この久米島での海洋深層水利用は、島嶼地域のエネルギー、水、食料の自給モデルとして太平洋島嶼部からも注目を浴びており、行政視察件数は沖縄で、二〇一八年ということでありますが、一位と。
政府は、この取組を一層支援し、また育成をして、日本のソフトパワーとして諸外国に発信すべきであるというふうに考えますが、政府の見解を求めたいと思います。

○政府参考人(水野敦君)

お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘いただきました久米島町の沖縄県海洋深層水研究所につきましては、農業及び水産分野における海洋深層水の利活用に関する研究を実施し、クルマエビや海ブドウの養殖に活用しているほか、海洋温度差発電の研究を行っておられるというふうに承知してございます。こうした取組は、海洋深層水という言わば海洋資源を活用し沖縄の産業振興に役立てているということで、大変有意義な取組であると考えてございます。
また、内閣府におきましても、過去、ソフト交付金を通じまして、沖縄県がここで実施する海洋深層水を利用した発電の実証実験を支援してきたところでございます。
内閣府といたしましても、地元自治体においてこうした海洋深層水の利活用の取組を広く発信される際には、地元の御要望なども踏まえつつ、機会を捉えてサポートしていきたいと、このように考えてございます。
以上です。

○矢倉克夫君

サポートされるということで、是非、他省も巻き込んで、エネルギー関係であれば経産省とかも関わると思いますが、他省との連携の下で更に発展、支援をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
ODAの方にまた質問も移らせていただきたいと思います。
ODAに関しての開発協力大綱の案が四月五日にまとめられて、今パブコメ中であるというふうに理解もしております。
武井副大臣にお伺いをまずしたいと思いますが、公明党は、三月十四日付けの外務大臣宛てのODAの開発協力大綱改定に向けた提言におきまして、人間の安全保障を全ての基軸にと訴えました。これへの政府の受け止めをまずお伺いするとともに、あわせて、この人間の安全保障につきましては、UNDPの報告書が、新時代の新たな脅威を考慮に入れたものとして、新たな要素として連帯というものを加えました。
公明党もこのUNDPとの会合でその意義を確認したわけでありますが、この連帯の意義についての外務省の受け止めと、同趣旨が先日まとめられた新しい開発協力大綱の案にどう反映されているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○副大臣(武井俊輔君)

近年、ウクライナ情勢によります人道危機や、また地球規模課題の複雑化、また深刻化など、世界は複合的な危機に直面をしているところであります。こうした中、一人一人の生命と尊厳を守るこの人間の安全保障という理念でございますが、これはまたこれまで以上に重要になってきていると認識をしております。
複雑に絡み合います諸課題の対処には、多様な主体が共通の目標のために連帯をしていくという取組、不可欠であるというふうに考えております。公明党から頂戴をいたしました提言も、まさにそのような政府との思いと、認識と軌を一にするものであるというふうに思っております。
先日公表いたしました開発協力大綱案におきましても、個人の保護や能力強化といった人への投資に加えまして、様々な主体との連帯を重視する新しい時代の人間の安全保障を我が国のあらゆる開発協力に通底する指導理念と位置付けをしているところであります。
引き続き、御党を始め幅広い関係者の皆様の御意見を頂戴しながら、新しい時代にふさわしい開発協力大綱を作成してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

副大臣、ちょっと更問いで恐縮ですけど、連帯を広げる上での決意を改めて伺いたいと思うんですけど、連帯というのはただ呼びかけるだけではなくて、やはり自己と他者、自国と他国というものの幸福が一致する領域を共通の利益とするというこの領域の広がり等、これが結局、他国のため働くということがまた自国の利益にもなるというこの実感にも広がってこそ、連帯というのは生まれてくると思います。それが世界を覆う分断のエネルギーに対する対抗軸にもなるというふうに私は理解しております、例えば気候変動などもそうでありますが。
改めて、この開発大綱に連帯を書き込むことは共通領域を広げるために日本が不断の努力をしていくということであるという決意であるというふうに理解もしておりますが、一言で結構ですので、副大臣の決意をいただければと思います。

○副大臣(武井俊輔君)

連帯ということの意味というのは、まさに今委員からもお話ございましたとおりでございますけれども、直近でも、例えば国連でも、二〇二一年六月からの国連人間の安全保障のフレンズ会合、これ四回開催をされているわけであります。また、二〇二二年、UNDPでもこういった同趣旨のものを発表しているわけでありまして、そういう意味でも、まさにこれは世界の中でも共通、思いを一にして取り組んでいるものでありまして、当然我々といたしましても、その思いを我が国としても更に進化、発展をさせていきたいと、そういう決意で臨んでまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

是非、日本が主導して進化、発展いただければと思います。
そのODAでありますが、外交政策の重要なツールということでいろいろなところでも発信があるわけでありますが、改めてですが、ODAにより達成しようとする外交政策というのはどういうものであるか、政府にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(遠藤和也君)

お答え申し上げます。
現在、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が重大な挑戦にさらされているという状況にございます。複雑化する国際情勢と地球規模課題の深刻化の中で、多くの開発途上国は経済成長の減速、国内外の経済格差に見舞われていると。そうした中におきまして、我々の擁護する国際秩序が世界の人々の信頼に足るものであるために、気候変動、エネルギー、食料、保健、開発等のグローバルな諸課題への対応を主導していくという必要があろうかと思います。
こうした中で、今御指摘のとおりでございますけれども、ODAは外交の最も重要なツールの一つでございまして、その戦略的、効果的な活用によってSDGsの達成や自由で開かれたインド太平洋の理念の実現に向けた外交的取組を加速し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の下で、平和で安定し繁栄した国際社会の形成に一層積極的に貢献するということと同時に、我が国と国民の平和と安全を確保し、経済成長を通じた更なる繁栄を実現するといった国益に貢献する、その双方の実現を追求してまいるという考えでございます。

○矢倉克夫君

繰り返しですけど、国際益と国益が両立し得る共通の領域というのが、先ほど言った連帯の基盤になるかと思います。そこをしっかり広げて、共に共存し合える関係なんだということを国際社会に発信する材料としても是非ODAを使っていただきたいと思います。
ちょっと済みません、一問飛ばしていただきまして、引き続きODAに関係しますが、総理が三月二十日にインド世界問題評議会、ICWAで演説されました。オファー型協力というのをこれは打ち出しをされていらっしゃいます。
副大臣にお伺いをしたいと思いますが、このオファーの具体的内容を決するに当たっての原理原則を確認するとともに、従来、要請主義というふうに言われております、この要請主義との関係性どう整理するか伺う、あわせまして、公明党の先ほど申し上げた提言では、このオファー型支援に当たって現地の持続可能性に配慮するように求めておりますが、こちらをどう捉えて今後の運用に反映されるのか、副大臣の受け止めをお伺いしたいと思います。

○副大臣(武井俊輔君)

我が国の開発協力は、開発途上国の経済社会開発を目的に、先ほど委員よりお話もございましたが、被援助国などからの要請に基づいて実施をしているところであります。
その上で、この新たな開発協力大綱の改定では、このような要請主義は維持しつつも、ODAとOOF等の様々なスキームを有機的に組み合わせ相乗効果を高めていくこと、そして、日本の強みを生かし、協力メニューを積極的に提示をするオファー型の協力を打ち出す考えであります。公明党からも、現地の持続可能性に配慮したオファー型の支援の推進を御提言をいただいているところでございます。ありがとうございます。
我が国といたしましても、この開発協力におきましては、開発途上国との対話と協働により相手国に合ったものを共につくり上げていくという姿勢を重視しているところであります。引き続き、能動的かつ戦略的な開発協力を進めてまいりたいと考えております。ありがとうございます。

○矢倉克夫君

オファーの原理については明確にはなかったんですけれども、ほかの答弁で反映されているというふうに理解もしましたが、対話と協調、大事であると思います。共に創るという共創というところで、やはり相手の自立性を高めていく支援というのが大事だというところで、我々も持続可能性と申し上げましたが、間違えても押し付けという形にならず、また、債務のわなに陥らせるようなことがないような、そこの対応はしっかりやっていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
引き続いて、副大臣、恐縮ですが、また答弁求めたいと思いますが、三月二十七日の本会議における谷合正明議員のODA実績のGNI比〇・七%の達成に関する総理に対する質問で、総理は、官民協力など様々な形でODAを拡充するというふうにお述べになりました。この拡充には、民間資金のみならず、当然に国の予算も拡充含むと理解もしておりますが、政府、副大臣の見解を求めたいと思います。

○副大臣(武井俊輔君)

ODAの実績の対GNI比〇・七%というこの国際目標につきましては、開発協力大綱案におきましても、この目標を念頭に置くとともに、我が国の極めて厳しい財政状況も十分に踏まえつつ、様々な形でODAを拡充し、開発協力の実施基盤の強化のために必要な努力を行うという旨を記載しているところであります。この開発協力大綱案におきましては、官民連携の強化や積極的な提案に基づくオファー型協力を含む戦略性の一層の強化などが示されているところであります。
このような方針を踏まえまして、我が国の外交の最も重要なツールの一つであるODAの戦略的な活用を一層進めていくとともに、その具体的な拡充の在り方につきましては、引き続き、幅広い関係者の皆様の御意見を踏まえ、官民の資金を含め政府部内で検討してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

官民協力、民のお金を増やすということ、そこで、じゃ、官がお金を増やす必要がないかというとそういうわけではないわけで、またちょっと一言だけ、その上で、国の予算としてこのODA予算をしっかり拡充していくという外務省としての決意を、副大臣、一言でお願いします。

○副大臣(武井俊輔君)

まさに委員が御指摘をいただいたとおり、もちろん官民の連携を深めていくわけですけれども、それは別に民に頼るということではなくて、共に協働していくということですので、その意味ではODAの予算というものも含めて、しっかり我々もこれからも拡充していくよう努力してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

その方向性はしっかり我々も支援をしていきたいと思います。
また、引き続いて、今々民間のお金というような話もありましたが、政府の方にお伺いしたいと思うんですけど、同じ総理のインドの演説で言及された民間資金動員型の支援、これどのようなものであるか。あわせて、公明党の提言でも、この支援により具体的な民間資金の呼び込みにつながるよう、民間資金の動向や投資運用に関する高い知見、見識が必要であると訴えたところであります。人材育成の点も含めてどのように備えるのか、政府にお伺いをいたします。

○政府参考人(遠藤和也君)

お答え申し上げます。
委員御指摘の演説におきましては、新たに民間資金動員型の無償資金協力の枠組みを導入するということについて総理から表明いただいたというところでございます。この支援は、途上国におきまして開発課題に取り組む現地のスタートアップを相手国政府の、相手国政府への無償資金協力と技術協力を通じて支援しつつ、民間資金を動員する新たな協力の枠組みとすることを考えておりまして、現在具体的な事業の形成に取り組んでいるというところでございます。
民間資金の動員やスタートアップへの支援には高度な知見、専門性を必要とするということから、委員御指摘の御提言も踏まえまして、JICAとも連携して事業の実施に必要な人材の確保や育成にも当たっていくという所存でございます。

○矢倉克夫君

官の資金がまた呼び水となって民間を呼ぶ、そこに引かれるぐらいの提案を官が出せるかというところも重要かと思いますので、人材育成も是非よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
残りの時間で、またOSAに関係してちょっと御質問させていただきたいと思います。
昨年十二月の改定の国家安全保障戦略で、同志国の軍に対する支援の新たな枠組みについての打ち出しがありました。これは、政府は今般OSAとして概要を固めたというふうに理解もしております。
改めてでありますけど、このOSAとODAの違いについて伺いたいと思います。とともに、OSAではどのような支援を行うのか、政府からの答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(石月英雄君)

お答え申し上げます。
我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれております。そのような中、力による一方的な現状変更を抑止して、特にインド太平洋地域における平和と安定を確保し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、我が国自身の防衛力の抜本的強化に加え、同志国の安全保障上の能力、抑止力を向上させることが不可欠でございます。
こうした観点から、OSAは、開発途上国の経済社会開発を主たる目的とするODAとは別に、同志国の安全保障上の能力、抑止力の強化を目的とする支援枠組みとして導入されたものでございます。ODAとは全くその意味で異なるものでございます。
OSAの支援内容につきましては、法の支配に基づく平和、安定、安全の確保のための能力向上に資する活動、人道目的の活動、国際平和協力活動等の国際紛争との直接の関連が想定し難く、本支援の目的の達成にとって意義のある分野に限定して、資機材の供与やインフラ整備等の支援を行う考えでございます。

○矢倉克夫君

他国への人道開発支援であるODAと違って、日本の抑止力を高めるための戦略的枠組みであるというふうに理解をいたしました。抑止力を高めるという目的の下での先ほどの支援内容である、当然その前提でしっかり支援内容を固めていくということを改めて強く求めていきたいというふうに思います。
その上で、今ほど目的と枠組みが違うという話がありましたが、その上で、OSAは、平和国家としての日本の歩みにいささかもそごがあってはいけない、そのような運用があってはいけないというところはもう論をまたないところであります。
副大臣に、改めて平和国家としての日本の歩みにそごがないような形でこのOSAどのように進めていくのか、答弁を求めたいと思います。

○副大臣(武井俊輔君)

ただいまの委員の御指摘は、まさに基本、最も重視していかなければいけないことであるというふうに考えております。
まさに今回のこのOSAでございますが、同志国の安全保障能力、抑止力の強化を目的としてこの支援行うわけでありますが、我が国が平和国家としての歩みを引き続き堅持しつつ、同志国の安全保障上のニーズに応えていくということがまさに大前提であります。それを踏まえまして、先般、そのための実施方針を定めたところであります。
実施方針におきましては、供与する資機材が防衛装備に当たるか否かを問わず、防衛装備移転三原則及び同運用指針の枠内で支援を行うこと、国際紛争との直接の関連が想定し難く、本支援の目的の達成にとって意義ある分野に限定して支援を実施すること、国連憲章の目的及び原則との整合性の確保等について定めているところでございます。
引き続き、先ほどの委員の御指摘をよく肝に銘じまして取り組んでまいりたいというふうに思います。

○矢倉克夫君

日本の抑止力向上のためにも重要であるということを一層強調いただくとともに、今おっしゃっていただいた平和国家としてのそごがないような動きというのを是非お願いしたいというふうに思います。
最後、またOSAの関係でありますが、OSA予算として二十億円が今年度予算に計上されております。今後、例えば補正予算編成の際に、これまでのODA予算を削ってOSAに充てるというようなことはあってはならないというふうに考えております。
これに対しての政府の所見をお伺いしたいというふうに思います。

○政府参考人(石月英雄君)

お答え申し上げます。
御指摘のとおり、ODAとOSAはその目的等が全く異なる支援枠組みでございます。外務省といたしましては、いずれの予算につきましても、その重要性に鑑み、プライオリティーの高いものと考えております。それぞれの支援の目的やニーズに応じ、適切に予算要求を行っていきたいと考えております。

○矢倉克夫君

OSAとODAもプライオリティー高いという位置付けの下で、今後もしっかり財務省にも予算折衝などをしていただきたいと思います。それについては改めて私たちもしっかり支援をしていきたい。
改めて、ODA予算については対GNI比〇・七%、これをしっかり求めて、私からの質問を終わらせていただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。

211回 予算委員会

2023-03-28 国会質問議事録

公明党の矢倉克夫です。
令和五年度予算三案につきまして、自民、公明、与党を代表し、賛成の立場から討論を行います。
以下、主な賛成理由を申し述べます。
第一に、隠れた安全保障とも言える少子化問題に対応し、子育て支援を着実に前進させる予算となっている点です。
こども家庭庁の創設、出産育児一時金の引上げに加え、妊婦や子育て世帯に対し十万円相当の経済的支援を行う出産・子育て応援交付金を実施する費用として三百七十億円計上をしております。これは、妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型の相談支援、特にゼロ歳児から二歳児への伴走型支援と経済支援を一体のものとして予算化するものです。ほかに、産後ケア事業の拡大や保育所の空き定員等を活用して未就園児を定期的に預かるモデル事業を実施するなど、当事者に寄り添った施策が随所に見られ、評価をいたします。
第二に、新たな成長産業育成とともに、賃上げを実現するために必要な施策を盛り込んでいる点です。
特に、GX経済移行債を発行し、民間のGX投資を支援する仕組みを創設するとともに、二〇五〇年カーボンニュートラル目標達成に向けた革新的な技術開発支援に四千五百六十四億円を措置するなど、経済成長と脱炭素を両立させるものとなっております。これと、個人のリスキリングへの支援を含む人への投資、五年一兆円施策パッケージを併せ着実に実施することにより賃上げを伴う労働移動円滑化を進める一方、下請Gメンを増員し、適正な取引や価格転嫁に対する監督を一層強化することなど、賃金を上げたくても上げられない中小企業・小規模事業者を支えるための施策を盛り込んでいることを評価いたします。
第三に、今後の物価高騰やウクライナ支援、新型コロナ対応などを見据え、対策を講じている点です。
一般予備費五千億円に加え、コロナ禍や物価上昇、ロシアによるウクライナ侵略により先行きの見通せない世界情勢等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費に四兆円、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費に一兆円を計上しておりますが、これは不測の事態に対応できるよう万全の対策を講じるものであり、最終的に国民の生活を守るため必要なものであると考えます。
第四に、流域治水の本格実施、切迫する大規模地震から社会経済システムの機能不全を最小限に抑えるための対策に加え、事後保全型から予防保全型のインフラメンテナンスへの転換を図るなど、未来への投資として、国土強靱化、防災・減災関係予算四・七兆円を計上、激甚化、頻発化する風水害から国民の生命や財産を守るため必要不可欠なものとなっている点です。
第五に、安定的な輸入と適切な備蓄を組み合わせつつ、水田の畑地化支援により畑作物の生産を推進するとともに、肥料、飼料などの国内生産の拡大を推進するなど、国民の命を守るための食料安全保障の確立等に資する農林水産予算を二・三兆円計上している点であります。
第六に、安全保障、外交面の強化が図られる予算となっている点です。
新たな国家安全保障戦略が戦略的なアプローチとして第一に掲げるのは外交力であります。本予算が新時代リアリズム外交を展開するため外務省予算を前年度比四百八十五億円増の七千五百六十億円計上をしている点など、評価をいたします。
その上で、外交力と両輪を成す抑止力強化について、新たな防衛力整備計画の初年度として、継戦能力の向上を含め、必要な防衛費予算が計上していることを評価をいたします。
なお、政府は、本予算における防衛費増額分の財源を歳出改革や決算剰余金の活用、税外収入から捻出をし、新たな国民負担を求めておりません。引き続き、国民負担を最小限に抑える努力とともに、抑止力強化と近隣諸国との外交関係改善を両立、推進することを政府に求めたいと思います。
以上、令和五年度予算三案について賛成する主な理由を述べさせていただきました。経済安全保障の推進など、それ以外にも様々理由はございますが、ここでは省略をさせていただきます。
内外重要課題が山積する中、国民の生活と平和を守る政治の責任を果たすために、本予算の速やかな成立と着実な執行を求め、私の賛成討論といたします。よろしくお願いします。
以上です。

ヘイトクライム許すな

2023-02-12 ニュース

ウトロ地区訪れ住民と懇談
京都・宇治市で党PT

ウトロ地区の住民から声を聴く(右から)安江、浜地、矢倉の各氏=10日 京都・宇治市

公明党のヘイトスピーチ・ヘイトクライム問題対策プロジェクトチーム(PT、座長=浜地雅一衆院議員)は10日、在日韓国・朝鮮人が多く住む京都府宇治市のウトロ地区を視察した。一方的な偏見や嫌悪感による動機から、2021年に起きた放火事件に関して、浜地座長と矢倉克夫、安江伸夫の両参院議員が同地区の住民から声を聴いた。

子どもを産み育てた家が燃やされた女性は、偏った憎悪感情による行為を非難。元自治会役員の男性は、ネット上の情報によって、差別や偏見、憎悪に基づく犯罪「ヘイトクライム」が起きたことに懸念を示した。一行は「ウトロ平和祈念館」の展示も見た。

浜地座長らは「差別意識による問題が言葉による攻撃から憎悪犯罪に移行していることを深刻に受け止めている。これらが許されないということを、国政や社会に広げていきたい」と話した。

かつおニュース VOL23

2023-01-26 かつおニュース

被害防止・救済へ大きな前進

2022-12-14 ニュース

旧統一教会問題で新法制定
不当な寄付勧誘許さず
禁止行為、配慮義務に実効性

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた被害防止・救済法(新法)が10日の参院本会議で可決、成立しました。自民、公明の与党両党と立憲民主、日本維新の会、国民民主の野党各党などが賛成し、共産党、れいわ新選組は反対しました。消費者契約法と国民生活センター法の改正法も賛成多数で成立。新法の内容や成立に関する評価の声、公明党の取り組みを紹介します。

■法律の概要

新法の正式名称は「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」。法律の柱は、法人などを対象に、霊感を用いて不安をあおり個人を困惑させる不当な寄付勧誘のほか、借金や住居の売却、田畑や工場といった事業用資産の処分による寄付金調達の要求などを禁止することです。

被害者救済の観点から、寄付の取り消し権を行使できる期間は、寄付の意思表示から5年間(霊感を用いた場合は10年間)可能としました。国は禁止行為の停止を勧告・命令でき、命令違反には罰則として1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金が科されます。

特に、勧誘の際の禁止行為を明確に定めたことは大きなポイントです。具体的には、▽退去の求めに応じない▽勧誘を受ける人を退去させない▽霊感を用いて不安をあおる――などの六つです。これにより悪質な寄付勧誘を行う団体を取り締まることができ、違反すれば罰則を適用できます。

また「個人の自由な意思を抑圧しない」などの配慮義務も規定。配慮義務を怠ったケースで、裁判所が違反と認めた場合などには勧告や団体名の公表ができるとしており、不当な勧誘の抑止効果が期待されます。

国会審議では、岸田文雄首相が新法に禁止行為と配慮義務が盛り込まれた意義について、法体系の中で許される最大限の規定になったとの認識を示し、「被害の防止や救済に高い実効性が期待できる」と述べました。

このほか、被害者の子や配偶者の救済については、民法の規定である「債権者代位権」の特例を導入し、親などに代わって将来分も含めた生活費などの範囲内で寄付を取り戻せるようにしました。

一方、消費者契約法の改正では、霊感などによる告知を用いた勧誘に対する取り消し権の適用要件を拡大し、権利の行使期間も最長10年に延長するなど使いやすくしました。国民生活センター法の改正では、裁判外紛争解決手続き(ADR)の迅速化を図り、相談機能を強化します。

■公明の取り組み

早期成立に力尽くす 相談体制の強化推進

被害救済・再発防止を巡り公明党は、消費者問題対策本部(本部長=古屋範子副代表)を中心に6回にわたり、被害者を支援している弁護士や有識者などから意見を聴取するなど、対策強化へ積極的に取り組んできました。

10月17日の衆院予算委員会で高木陽介政務調査会長は、相談体制の強化に加え、新たな被害の防止に向け「既存の消費者関連法の見直しだけでなく、悪質な寄付の要請を規制する新たな立法の検討を」と強調。同28日には党対策本部が岸田首相に、重ねて再発防止への新法検討を促すなどの提言を提出しました。

一連の取り組みを通じ、政府が閣法を国会提出する流れが確立し、予算措置を通じた相談体制の強化にもつながっています。

また、実効性のある被害者救済に向け、悪質な寄付勧誘には厳正に対処する一方で、健全な寄付勧誘を萎縮させないようにする観点から、与野党協議や国会審議に臨むなど、新法の早期成立に力を尽くしてきました。

新法は、与野党協議を通じて野党の意見も可能な限り反映させた実効性ある法律であり、被害防止・救済へ向けた取り組みが大きく前進します。

今後は法律が適正に運用されるかが重要です。まずは動向を注視しつつ、必要に応じて改善していく方針です。

岸田首相(中央)に提言を手渡す古屋本部長(左隣)ら=10月28日 首相官邸

■評価の論調

法整備、一定の抑止効果ある(日経) 寄付取消へ十分くんだ内容(識者)

今回の新法成立に関してマスコミなどで評価する論調が出ています。

新聞各紙は、「一連の法整備で、悪質な勧誘に対する一定の抑止効果はあるだろう」(10日付「日経」)、「被害の救済に向けた第一歩である」(11日付「毎日」)などと報じています。

また有識者の声として、7日付の「読売」では「不当な寄付勧誘の防止という点で意義がある。マインドコントロール下にある寄付を取り消せるよう十分くんだ内容ではないか」(桜井義秀・北海道大学教授)との見解を紹介しています。

さらに、7日に行われた衆院消費者問題特別委員会での参考人質疑では、中央大学大学院の宮下修一教授が、今回の法整備について「被害者救済の観点から一歩前進だ」と評価。「まず立法という形で第一歩を踏み出し、より良いものに発展させていくことが大事だ」と述べました。

旧統一教会問題 被害防止・救済法が成立

2022-12-11 ニュース

不当な寄付勧誘を禁止
矢倉氏は質疑

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた被害防止・救済法(新法)は10日の参院本会議で採決され、自民、公明の与党両党と立憲民主、日本維新の会、国民民主の野党各党などの賛成多数で可決、成立した。共産党、れいわ新選組は反対した。改正消費者契約法・国民生活センター法も賛成多数で成立した。

被害防止・救済法は、法人などを対象に、霊感を用いて不安をあおり個人を困惑させる不当な寄付勧誘や、借金などによる資金調達の要求を禁じた。国は禁止行為の停止を勧告・命令でき、命令違反には刑事罰を科す。また「個人の自由な意思を抑圧しない」などの配慮義務も規定。配慮義務を怠った場合、勧告や団体名を公表できる。

質問する矢倉氏=同 参院消費者特委

本会議に先立ち参院消費者問題特別委員会は岸田文雄首相が出席して審議を実施。公明党の矢倉克夫氏が質問に立ち、新法に禁止行為と配慮義務が盛り込まれた意義について見解をただした。これに対し岸田首相は、法体系の中で許される最大限の規定になったとの認識を示し、「被害の防止や救済に高い実効性が期待できる」と述べた。

【矢倉かつお】消費者問題に関する特別委員会2022/12/10

2022-12-10 矢倉かつおチャンネル

国を守る外交の意義と東アジアの安全保障に向けた日韓関係改善

2022-11-14 メルマガ

埼玉選挙区選出の参議院議員 矢倉かつおです。
いつも応援いただき、大変にありがとうございます!

先ほどのメルマガに引き続き、
10月24日の岸田総理に対するテレビ質疑動画、
2、国を守る外交の意義と東アジアの安全保障に向けた日韓関係改善、についてお送りします。
https://youtu.be/lCdp-XctIbA

お時間あるときにご視聴ください。

*以下、質問のやりとりの概要です。
質疑では、早期の日韓首脳会談を求めました。
昨日、カンボジアで日韓首脳会談がなされたとのこと。
引き続きの信頼関係構築を求めます。

矢倉
「共同利益の最たるものの1つが、平和を守り、そのために国を守ること、つまり、「防衛」と「外交」」

「防衛という点で、懸念の一つは北朝鮮。7年前に私は特別委員会の場で当時の安倍総理に北朝鮮の弾道ミサイルの小型化、核武装の危険性と平和安全法制による日米共同対処の必要性を訴えた。事態はさらに悪化。」

「この対処のため、日本を守るために、私は今こそ韓国との外交関係を本気で改善しなければと考える。」

「確かに、韓国は政権が変わるたびに全てが変わる、そのたびに我々からしたらゴールポストを動かされた思いが強い、なかなか信頼できないというのが偽らざる本音。そして、妥協のための交渉など絶対にすべきではない。」

「ただ、前政権の時は、日米間のミサイル防衛システムにも参加しないなどと一方的に宣言しジーソミア(日韓秘密軍事情報保護協定)も一方的廃棄を宣言するなど、その対応ぶりはひどいものであったが、いまは、ユン大統領自身「日韓関係を過去の1番良い時期に戻したい」と話し、人事もユン大使のような知日派を、さらに最大の懸念の一つである徴用工問題についても、現金化の進行を止めるべく最高裁に意見書も出している。また、北朝鮮に対しては、日米韓を中心とした国際圧力の強化が必要との認識で一致している。」

「外交は、あくまでも自国利益のため、相手や国際社会との関係性を有利に導くための、不断の努力であるべき。すこしでも現状よりよくなる可能性があるのであれば、時期を逃してしまうのは、いけない。仮に相手のリーダーが、相手国内の世論から批判されるリスクを負いながらも、こちらに関係改善のシグナルを送っているのであれば、積極的にコンタクトをとるべき。」

「総理に、外交とは「国を、国民を守るために」こそある、との当たり前の事実の確認とともに、ご自身、外務大臣時代などに尽力された韓国との関係について、日本を守るための関係を構築するため、より一層、首脳同士の信頼関係を構築することに向けた決意を伺います。」

<岸田総理>
現下の戦略環境に鑑み、日韓および日米韓関係はこれ以上ないほど重要と認識している。
国交正常化以来築いてきた友好協力関係を基盤にしながら、日韓関係を健全な形に戻し、さらに発展させるため、首脳間を含め韓国政府との連携を深めていく。国民を守っていくという観点からの外交を進める、この観点から、より日韓の意思疎通を図っていく。

所得制限撤廃による「つながり支え合う」社会の構築

2022-11-14 メルマガ

埼玉選挙区選出の参議院議員 矢倉かつおです。
いつも応援いただき、大変にありがとうございます!

10月24日の岸田総理に対するテレビ質疑、無事に終えることができました。
大変多くのご反響をいただき、ありがたいお言葉もたくさん頂きました。
応援、本当にありがとうございました!!

一方、「お昼の時間帯だったので視聴できなかった」
「どこで聴けるのか」といったお声も複数いただきました。

遅くなり恐縮ですが、当日の質疑動画のうち、所得制限撤廃と日韓関係改善に関するものを、二回に分けてお送りします。

まず、一つ目のトピックである
1、所得制限撤廃による「つながり支え合う」社会の構築 です。
https://youtu.be/pDjj5PPD1XQ

お時間あるときに、ぜひ、ご視聴ください。

*以下、質問のやりとりの概要です。
国や社会の大きな形を問う質問であり、まだ十分な回答は得られていませんが、問題提起をし訴え続けることが大事。
引き続き、繰り返し、主張してまいります。

問1ー1
矢倉
「教育や医療、介護などで所得制限をなくしていく、無償化の範囲や対象を広げていくべきである。」

「所得制限をなくすことで、どのような社会がつくられるか、総理と少し議論をしたい。」

「日本は諸外国に比べ、税への信頼が極端に低い、税への拒絶感が極端に強い国と言われる。
この税に対する信頼感をどう回復するか。
私は、無償化の範囲や対象を広げる、所得制限をなくしていくこと、だと考える。
なぜなら、他人のために払っていた税の意味合いが、他人だけでなく自分のため、つまり、みんなのために変わるから。」

「税に対する信頼感を回復することは、将来的な財政再建にも資する。
国が国民からお金をいただく方法は、大きく二つ。
一つは、国民が銀行などに預けているお金を国債などで間接的に集める、もう一つは、国民から直接集める、つまり、税金。
国債の累積発行残高が増えざるをえない、と言うことは、逆を言えば、税を集めることができないから。その根本理由は、税への拒絶感。だから、税への信頼回復は将来的な財政再建にも必要。」

「総理に、幼保無償化、低所得層と中高所得層の支援に差異を設けなかった点の評価とともに、税への信頼、税への拒絶感を可能な限り緩和することは、急務であることへのご認識を伺います。所得制限の緩和、撤廃、無償化範囲の拡大は、税に対する信頼の回復、ひいては、将来的な財政再建のためにも重要な選択肢の一つであると考えますが、それへのご所見も伺います。」

<岸田総理>
幼保無償化、低所得層と中高所得層の支援に差異を設けなかった点は国民の7割から肯定的に評価されている。税を納めていただくにあたり国民一人一人に納得を持っていただく、これは重要な点。所得制限を設けるかどうかは、制度の目的、あるいは支援方法に応じて判断されるものだが、国民の皆さんの納得感、理解を得る、これは大変重要なこと。わかりやすい説明に努める。

矢倉
問1ー2

「所得制限をなくすことは、人と人のつながり合いを回復する、意味もある。
所得制限を設けるなどすると、どうしても、国民を「支える側」と「支えられる側」に分けてしまう。

それは、成功者が落伍した人を救ってあげる、といった温情主義、可哀想な弱者を救っている、といった歪んだ社会構造になり得るもの。それを転換し、みんながみんなで支えあっている実感を持てる社会にすべき。

そのための答えの一つが、
私は、無償化を進めるべき、所得制限をなくしていくことだと考える。
なぜなら、みんなで負担した税金が、みんなに向けたサービスに向けられる、みんなの「共通の利益」になるから。」

「大事なことは、これまで「支える側」だった人が「支えられる側」にもまわる、そして、弱者の方々からいただく税も含め、全ての人の負担が、全ての人に向けたサービスにもなる、自分の負担がだれか他の人のためだけでなく、自分にも返ってくる、自他ともの幸福のため、みんなで負担し合っているんだ、と言う実感。こんな実感をみんなで共有し合う、生きる喜びを分かち合える社会をつくるためにも、私は、無償化や所得制限の緩和、撤廃が必要と考える。」

「総理に、無償化の範囲を広げること、所得制限をなくしていくことが社会をつなげる力となる、また、つながり支え合う社会を作る基盤となるという考えに対する御所見を伺います。」

<岸田総理>
これまで主に社会保障制度を支える側と考えられてきた子育て・若者世代を含めて、全ての国民一人一人が互いに支え、支えられながら、将来にわたって必要な社会保障をしっかり受け取ることができるよう、引き続きこうした制度の構築に向けた取組は進めていきたい。

【矢倉かつお】国土交通委員会(港湾の脱炭素化,水素社会の推進等)2022/11/10

2022-11-10 矢倉かつおチャンネル

日本の安保環境厳しい

2022-11-02 ニュース

米外交問題評議会 スミス上席研究員と
山口代表らが意見交換

スミス上席研究員(中央右)の表敬を受ける山口代表(同左)ら=1日 衆院第1議員会館

公明党の山口那津男代表は1日、衆院第1議員会館で、日本外交や日米関係に詳しい米外交問題評議会のシーラ・スミス上席研究員の表敬を受け、日本の政治課題を巡って議論した。党国際局次長の石川博崇、矢倉克夫両参院議員が同席した。

この中で山口代表とスミス氏は、ロシアによるウクライナ侵略で国際情勢が激変する中、日本を取り巻く安全保障環境も厳しさを増しているとの認識を共有した。

また、年末に向けた日本の大きな政治課題である「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定や今後のアジア情勢、経済政策といった課題への対応を巡り活発に意見を交わした。

旧統一教会問題巡り霊感商法など被害救済で提言

2022-10-30 ニュース

相談支援の充実・強化を、実効性ある法制度検討も

岸田首相(中央)に提言を手渡す古屋副代表(左隣)ら=28日 首相官邸

公明党は28日、首相官邸で岸田文雄首相に対し、霊感商法などによる被害の救済、防止に向けた提言を提出しました。被害者一人一人に寄り添ったきめ細かい相談対応の充実・強化や、再発防止に向けた新たな法制度の考え方などが柱です。岸田首相は、今後の被害防止に向けて「しっかりやっていく」と述べました。

提言は、党消費者問題対策本部(本部長=古屋範子副代表)が、被害者を支援している弁護士や有識者などから聴取した内容を踏まえて取りまとめたもので、実効性のある対策を求めています。

具体的には、霊感商法などの被害に対する相談体制の継続とともに、日本司法支援センター(法テラス)に弁護士や心理専門職らを配置した専門部署新設など総合法律支援体制の充実・強化を訴えています。

また、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る宗教2世・3世が抱える課題の実態把握や、被害に伴う生活困窮者への心身ケアなど総合的な支援を要請しています。

被害防止に向けた新たな法制度を巡っては、霊感商法を規制する消費者契約法の規定を検証するとともに、被害の実態を踏まえた対応が必要になると指摘。消費者契約法の取り消し権の対象範囲拡大や、寄付・献金を強要する悪質な勧誘の規制に向けた法制度など、実効性ある対策を検討する重要性を訴えました。

さらに、旧統一教会に対する宗教法人法に基づく「報告徴収・質問権」の適正な行使も求めました。

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