204回 厚生労働委員会

2021-06-10 国会質問議事録

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
 私から、まず国会でも質問をしましたコロナ対策のプレハブ病棟、病床につきまして、今日はその一つを視察したときの写真を資料一でお配りしております。埼玉県川越市にある埼玉医大総合医療センター、地域の中核病院でコロナの最前線で闘っていらっしゃる、深谷顕史県議会議員と参りました。
 見てお分かりになりますとおり、これ最先端のCTがあったり、ウイルスを除去する高額な設備、これは写真にはないんですけど、もあったり、また、患者の部屋が一覧できるようなオペレーションルームであったり、完全な動線確保をされたり、プレハブという言葉がふさわしくないぐらいに完備された病棟であるというふうに思います。
 こういう非常に貴重な医療資源、可能な限り存続すべきと考えますが、資料二を御覧いただきたいと思うんですけど、建築基準法上におけるいろんな制限書いている一覧であります。
 まず、国土交通省に、こういうものに対しての建築基準法上の存続期間、お答えを、結論のみで結構ですのでお答えいただければと思います。

○政府参考人(黒田昌義君)
 お答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各地域の病院等の敷地内に新たな検査や治療などの医療体制の強化を行う仮設の施設が設置されていることは承知しております。
 御指摘のような施設の建築基準法の取扱いにつきましては、八十五条の二項というのがございます。全国の特定行政庁での対応を円滑にするために、この八十五条二項、災害などに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物に該当する旨を通知をさせていただいているところでございます。
 資料にございますとおり、完了手続が不要となるというような諸手続の緩和が行われ、存続期間が三か月を超える場合は、それまでに特定行政庁の許可を得られれば、その後も二年間、合わせて最大二年三か月存続することができるということでございます。
 以上でございます。

○矢倉克夫君
 最大でも二年三か月、現場では一年という誤解もありますのでその部分では良かったんですが、これ二年三か月を超えても収束していない場合もあり得る、場合によっては新しい感染症もあり、こういうときに、建築基準法上の問題だけでというと申し訳ないんですけど、仮設の病棟を壊せとなるというのは問題もあるんじゃないかと、制度上超える部分もあるかというふうに思いますが、その辺りについて答弁をいただければと思います。

○政府参考人(黒田昌義君)
 一般的には、仮設建築物につきましては存続期間が限定されることを踏まえまして、適用される建築基準法の基準は、恒久的な建築物と比べまして、構造、防火、避難規定や集団規定など、建築基準法の一部を緩和しているところでございます。
 ただ、仮設建築物を設置しました場所の特定行政庁の判断となりますけれども、仮に二年三か月を超えて利用する場合には、特定行政庁が対象建築物の状況を個別に調査をいたしまして、必要な場合は改修等を求めた上で、建築基準法の基準に適合していることを確かめられれば、恒久的な建築物と同様にその後も存置することが可能となるケースもあると考えているところでございます。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
 じゃ、医療法上、新型インフル特措法上、存続期間があるかをお伺いするとともに、課題は病床計画との関係だと思いますが、この第八次医療計画において、感染拡大時における医療を計画として記載することとなりました。都道府県がこういった増床された病床を平時から有事への備えとして計画に位置付けることに対する評価と。あわせまして、次の質問も併せてお伺いしたいと思いますが、四月二十二日の質疑において、局長からこういう、計画策定年である二〇二三年度に先立って積極的に計画策定の準備に取り組む都道府県に国が支援するというふうにおっしゃっていただいています。かかるプレハブ病床を都道府県が積極的に感染対策に位置付けることに対して国としてどういう支援ができるのか、端的に結論のみお答えいただければと思います。

○政府参考人(迫井正深君)
 御指摘のプレハブの活用を含めまして、新型コロナ用に増床された病床や臨時の医療施設に関しましては、医療法に基づき増床された病床については、厚生労働省の令和二年四月十日付けの通知でございまして、感染が収まるまでと、収束するまでという期限を設けております。
 それから、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき増床された病床、こちらにつきましては、令和三年二月十五日付けの事務連絡で、政府対策本部が廃止された後の取扱いに関して、各医療機関と都道府県とで協議を行うこととするとともに、同特措法に基づき開設された臨時の医療施設の取扱いについては、政府対策本部が廃止された後、入院患者の状況等を考慮しつつ順次閉鎖されるものとしております。
 厚生労働省といたしまして、厚生労働省では、今般の新型コロナ対策により得られた知見を踏まえまして、今後の新興感染症等の感染拡大時に病床や人材の確保など必要な対策が機動的に講じられるよう、今国会で成立いただいた改正医療法によりまして、都道府県が策定する医療計画に新興感染症等の感染拡大時の対応を追加することとしておりまして、具体的には、医療計画において、感染症患者の受入れに活用しやすいゾーニング等の実施に配慮した一般病床等の確保などの内容を定める方針としており、今後詳細に検討を進めていくこととなっております。
 御指摘のプレハブを活用した病床確保につきましては、今般のコロナ対応の中で実施されているものと承知をしておりまして、こうした中で、先ほど委員御指摘いただきましたが、先日御答弁させていただきましたとおり、計画策定年である二〇二三年度に先立ちまして積極的に計画策定の準備に取り組む都道府県に対しましては国として必要な支援を行うことが重要と考えております。
 御指摘のプレハブで活用した病床確保を含めまして、今般の新型コロナ対応で得られた知見を整理、周知する中で、必要な対応について支援を行うことといたしております。

○矢倉克夫君
 確認ですけど、この第七次医療計画中間見直しに当たって、こういうプレハブとかを感染拡大時における受入れの確保病床として考えている都道府県とはしっかり協議をして支援をしていくということでよろしいでしょうか。結論だけもう一回お願いします。

○政府参考人(迫井正深君)
 もちろん、その都道府県、自治体に、具体的にどのような内容かにももちろんよりますけれども、そういった内容につきまして都道府県としっかり協議をさせていただいて、必要な支援をさせていただきたいと考えております。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
 今、知見というふうにおっしゃっていただいた、こういう施設が必要だという知見と併せて、もう一つお伺いしたいのが基準病床の在り方であります。
 資料三で埼玉県の二次医療圏ごとの基準病床の数なども入れているわけでありますが、高度専門的な医療を提供する基幹的な病院、コロナ対応などのように、そういう、している病院に対しては、他の二次医療圏からも患者を受け入れておりまして、自医療圏の患者に対する病床を十分に確保できないことも考えられるわけであります。
 こういった県境を越えた高度で専門的な医療機関の病床整備をより可能にする趣旨も込めて、二次医療圏ごとに基準病床数、制度の下で整備するのではなく、都道府県の裁量によって基準病床数と別枠で必要な病床などを配分できるようにするなど弾力的にすべきとも考えますが、これについての答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(迫井正深君)
 医療機関における病床の整備でございますけれども、これは各地域において医療ニーズに即してバランス良く医療資源を配置をするという視点とともに、個々の医療機関において、平時においても経営的に安定した運営ができるようにするという視点などから、医療需要に見合った病床数とすることが重要でございます。
 このため、基準病床数につきましては、病床、人材といった医療資源の地域偏在を是正するという観点から、二次医療圏ごとに整備可能な病床数の上限として、足下の人口や入院受療率のほか、他の医療圏との間での入院患者の流出入の状況等を踏まえつつ算定することといたしております。
 さらに、現行の取扱いにおいては、今般の新型コロナのような感染症の大幅な感染拡大が発生した際などには、例外的に基準病床数を超えて病床を整備することが可能としているところでございます。
 加えて、御質問の高度専門医療に関しましては、御指摘のとおり、必ずしも二次医療圏で完結するものではなく、地域の実情を踏まえつつ、より広域的な視点から体制整備を図ることも重要と考えておりまして、仮に追加的な病床の整備が必要となった場合には、現行制度においても専ら救急医療やがんなど専門的な医療を行う病床について基準病床数を超えて整備することが可能となっております。
 引き続き、都道府県の現場の課題を伺いながら、国からも制度の趣旨、運用について共有を図りつつ、平時と新興感染症等の発生時のいずれにおいても弾力的に対応可能な提供体制構築を進めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 弾力的な医療体制ということでありますから、緊急時を織り込んで平時からしっかりと、都道府県とも連携しながら計画を立てていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
 じゃ、ちょっと次の質問に、時間もありませんので移らせていただきたいと思いますが、今日、鰐淵政務官、来ていただいております。文科省にお伺いしたいと思うんですが、少し話題変わりまして、特別支援学校における教育環境の整備についてであります。
 埼玉県においても明らかに特別支援学校というのはこれ慢性的な教室不足でありまして、今後も児童数の増加傾向というのが認められている。県の塩野正行県議会議員が質問した限りは、明らかになりますと、埼玉県、平成三十年において、普通教室でない教室を百八十八教室転用したり、四十教室を間仕切りしたり、あるいは学校が保有する普通教室数などから想定される受入れ人数を九百五十人も上回る児童が在籍しているなどの事情が認められておりました。なかなか改善はされていないようであります。
 今般、特別支援学校の設置基準が初めて策定される方向で、今現在パブリックコメントにかけられているという理解でありますが、この基準は二〇二三年度以降に着工する学校だけでなく、努力義務とはいえ既存校にも適用される。そういう意味で、既存校においても、教室を間仕切りした状況などを改善するための増改築など子供の数に応じた学習環境の確保、これ促進することを期待したいと思いますが、国として財政支援を含めどのような支援があるのか、答弁をいただきたいと思います。

○大臣政務官(鰐淵洋子君)
 お答えいたします。
 特別支援教育を必要とする子供の増加によりまして、教育不足が生じている状況等を踏まえ、文部科学省では、私の下に今後の特別支援教育の在り方に関するタスクフォースを設置をいたしまして、特別支援学校の設置基準について検討を進めてまいりました。
 委員御指摘のとおり、現在パブリックコメント中の特別支援学校設置基準案では、既に定めのある小中学校等の設置基準と同様に、施行日以前に建てられた学校についても設置基準を満たす等の努力義務を課すこととしております。
 文部科学省では、こうした特別支援学校の施設整備を進めるため、特別支援学校の新増築等の施設整備に対しまして優先的に国庫補助を行っております。特に令和二年度から六年度までの間を集中取組期間と位置付けまして、特別支援学校の教育不足解消に向けた計画の策定を都道府県に要請をしております。
 あわせまして、各設置者がそれらの整備を加速化できるよう、既存施設を特別支援学校の用に供するための改修に係る国庫補助率につきまして、通常の三分の一であるところを二分の一に引き上げ、支援の強化を図っているところでございます。
 引き続き、こうした支援強化の取組等を通じまして、障害のある児童生徒が安心して学ぶことができるよう、教育環境の整備を進めてまいります。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
 埼玉県などは新しい計画を立ててこれから実行するわけでありますけど、その計画が実行しても現状より数が、その受入れ、本来受け入れる人数よりも入れない、入り切れていない人数が減少するという方向にはなかなか行かなかったりとか、現場は苦労しているところがありますので、都道府県のそういう取組を是非支援するように、国のリーダーシップよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
 最後の質問をさせていただきたいと思いますが、以前、四月二十日にも私質問した水害時における垂直避難のための、とりわけ高齢者施設における避難器具についてであります。
 山本副大臣のリーダーシップの下、今年三月に取りまとめた令和二年七月豪雨災害を踏まえた高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会、これを継続する方向で、今改めて検討会を今年中に立ち上げるというふうに理解もしております。
 その場所において、改めてですが、今申し上げたような避難器具の在り方について検討すべきと考えますが、まず副大臣の御見解を求めるとともに、今日は総務省さんにも来ていただいております。こちらの検討会にも参加をして、この水害時の垂直避難における避難器具、こういうものに対して更に知見を深めて議論を深めていただけることを期待したいというふうに思いますが、所見を求めたいと思います。

○副大臣(山本博司君)
 令和二年七月豪雨によるこの水害被害など、災害が激甚化、頻発化している中で、高齢者施設等におきまして十分な水害対策が講じられ、実効性のある避難措置を確保していく必要があると認識している次第でございます。
 昨年度は、厚生労働省及び国土交通省によりまして、令和二年七月豪雨災害を踏まえた高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会、これを開催し、本年三月に取りまとめを行ったところでございますけれども、この中で、施設の上階に垂直避難先を確保するなど、多重的に避難先を確保することが必要であるとしておりまして、円滑かつ迅速な垂直避難の実現を図るため、避難設備の設置促進は重要でございます。
 また、委員御指摘のとおり、今年度におきましても、実効性のある避難措置の確保につきましてより具体的な検討を進めるために、国土交通省と共同で改めて検討会を立ち上げる予定でございます。この中で、委員御指摘の避難器具の在り方についても検討していきたいと考えております。
 高齢者施設等を所管する厚生労働省としても、現場の実態に即した対策が図られますよう、関係省庁と連携し、しっかり取り組んでまいります。

○委員長(小川克巳君)
 簡潔にお答えください。

○政府参考人(荻澤滋君)
 お答え申し上げます。
 高齢者福祉施設に関しましては、平家建てのもの、これは立ち退き避難、原則になりますけれども、委員御指摘のとおり、垂直避難が有効なもの、それぞれ状況は様々でございまして、それぞれの施設におきまして、避難確保計画、実効性あるものとしていただくことが大変重要であるというふうに考えております。
 消防庁といたしましても、市町村長の避難指示発令、住民の避難、そういった災害応急対策を支援する立場から、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

○矢倉克夫君
 是非引き続き、国交省さんも是非引き続き取組をいただくようにお願い申し上げまして、質問に代えます。
 ありがとうございます。

【矢倉かつお】厚生労働委員会(医療的ケア児等支援法案)2021/6/10

2021-06-10 矢倉かつおチャンネル

【矢倉かつお】厚生労働委員会(プレハブ病棟の活用等)2021/6/10

2021-06-10 矢倉かつおチャンネル

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【矢倉かつお】憲法審査会2021/6/2

2021-06-02 矢倉かつおチャンネル

204回 憲法審査会

2021-06-02 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
先ほどの参考人の御見解を踏まえた意見は後ほど述べるといたしまして、まず私からは、先週の本審査会の質疑を踏まえ、憲法改正国民投票法改正案について意見を申し上げます。
〔会長退席、会長代理那谷屋正義君着席〕
衆議院段階の修正によりまして追加された検討条項の解釈が焦点の一つとなりました。すなわち、CM規制等の議論に結論が出るまでの間、憲法本体の論議や憲法改正の発議ができるかどうかという点であります。
この点につきまして先週の議論では、まず、北側議員などの原案発議者から、検討条項には憲法本体の論議や憲法改正の発議に関する言及は一切なく、法制的に憲法本体の議論も憲法改正の発議もできる旨の明快な御答弁がありました。特に、北側議員からは、制定時に付されていた十八歳投票権とのリンクのようなものは今回付けられていないという大変重要な指摘もあったところであります。私も、法律家の一人として、そのような解釈に大いに納得をいたしました。
次に、修正案提出者の山花議員からも、法制的に憲法本体の論議や憲法改正の発議ができることについて北側議員などと共通の認識を持っていると明言されており、原案発議者との間で何らそごはないという理解であります。その上で、政治的には、現行法のままでは投票結果に対する信頼が揺らぐので、憲法改正の発議は難しい旨の言及がございましたが、これが政治的観点からの御主張であることは明らかであります。ただ、憲法本体の論議を行うことについては政治的にも異論が示されておりません。
また、同じ修正案提出者の奥野議員も、憲法本体の議論は妨げられないと明言をされておりました。議事録で確認をしております。
憲法改正について、各党各会派それぞれ様々な立場があることは理解しておりますが、したがって、国民投票法改正案の原案や修正案に賛成したからといって、個別的規定に関する政治的観点からの主張まで完全に一致することが難しいことはよく分かるところでありますが、先ほど述べたように、このような政治的観点からの主張の前提である法制的解釈については、原案発議者と修正案提出者の間で完全に一致しており、何ら揺らぎはないということが明らかになったわけであります。
以上の下で、改めてでありますが、まず、本改正案につきましては早急に可決、成立をさせた上で、CM規制等について速やかに議論を進め、結論を得るとともに、同時並行で国民のための憲法論議をしっかりと深めていただくべきであるというふうに考えます。
先ほどの浅野参考人が言うように、主権者たる国民の意思による憲法を検証することが立憲主義とのお言葉もあったところであります。過日、十九日、当審査会で私も申し上げたとおり、国民一人一人が憲法を自分のものと捉えるため議論は必要であり、また、上田参考人が先ほどおっしゃっていただいたとおり、イギリスと比べ、成文法がある日本であっても憲法の価値観が共有されているか疑問があるというお言葉もありました。
特に、三原理を真に国民のものとするためにもしっかりと議論を深めていくべきであるということを申し上げて、私からの意見とさせていただきます。
以上です。

【矢倉かつお】厚生労働委員会(互助社会とソーシャルワーカーの役割)2021/6/1

2021-06-01 矢倉かつおチャンネル

204回 厚生労働委員会(菅総理への質問)

2021-06-01 国会質問議事録

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。総理、よろしくお願いします。
 本法案の目的は、国民皆保険、社会保障、持続可能性の維持でありますが、そのために本法案が守ろうとしているのは、人と人がお互いつながり支え合う連帯の意識であると理解しています。言わば互助であり、総理の言うきずなにもつながるかもしれません。
 お尋ねしたいのが、この人と人がお互いつながり支え合うために必要なソーシャルワーカーの役割、重要性であります。
 この委員会でも私が取り上げた引きこもりや妊産婦の産後うつの問題に加えて、例えばネグレクトなど生きづらさを感じている人の課題というのは、専門家による相談窓口があって解決はできない。なぜならば、本当に困っている人というのは相談になど行けないからであります。しかも、そういった人の問題の背景は多様で、貧しさだったり家庭内外の人間関係だったり身体的な問題だったりするわけであります。
 そこで、一人一人に率先して積極的にアプローチをして、その人が抱える問題を解きほぐして、課題を特定して、その解決に必要な組織や制度につないでいくために奔走する人、この福祉とか地域、接着剤としてつなげていくような役割を持って、生きづらさを抱えた人の環境ごと変えていけるような仕事が必要であり、それこそがソーシャルワーカーであるというふうに考えております。
 この役割をきずなある社会のために重要と考えますが、総理の御認識をお伺いいたします。

○内閣総理大臣(菅義偉君)
 御指摘いただいていますように、生きづらさを抱える方々の不安や課題に寄り添い、地域の中の様々な社会資源も活用しながら解決に向けて支援をつなげていくこと、これが地域社会におけるきずなの再構築という観点からも重要な課題であるというふうに思います。従来から、こうした役割は社会福祉士などのソーシャルワーカーの方々が担われてきている、こういうことも承知をしています。
 昨今の八〇五〇問題や介護と育児のダブルケアなど世帯の抱える課題が複雑化、複合化する中で、こうした役割というのはますます重要になってきているというふうに認識しています。ソーシャルワーカーの方々が活動しやすい環境整備を進めることが重要であると考えております。
 政府として、昨年の法改正によって、市町村が中心となって、地域住民の多様な課題に対処するための包括的な相談支援体制の構築だとか地域住民が交流する場、場づくり、こうしたことを進めております。
 こうした取組の中で、ソーシャルワーカーの方やそうした皆さんの経験、知見、積極的に生かしていただいて、我が国の古くからの伝統である地域の連帯だとかきずな、そうしたものを再構築していくことができればというふうに思います。

○矢倉克夫君
 今、総理から地域という話がありました。この重要な役割を担うソーシャルワーカーも、やっぱり知らない土地や知らない家庭に踏み込むことはできないわけですね。ソーシャルワーカー単独では、例えば不登校の問題考えるにしても、背景に何があるか、貧困かネグレクトかよく分からない。やはりその地域の人たちとの連携が不可欠であります。
 私が今イメージしているのは、その地域の担い手としては世話好きな隣近所の普通の方、そういう担い手がいる社会、地域で共に生きる仲間として男女問わずお互いが支え合う、言わば互助機能のあるコミュニティー、地域社会と言えます。例えば、地域包括ケアシステムを考えるだけでも、システムだけではなくて、こういう地域の姿がなければ、イメージする本来の役割というのは果たせないと思います。
 総理に最後お伺いしたいのが、そういった互助機能のあるコミュニティーを再生、再構築するために政府は何をすべきとお考えか。私は、最低限すべきなのは、一人一人が平日の夜は家庭と過ごし、週末は趣味や地域での活動に充てることができる、余裕ある生活を送ることができるような広い意味での社会保障整備が政府がやるべきことであるというふうに思っております。
 最後に、この弱体化している互助機能の構築のため、言わばきずなの再構築のための政府の役割について総理にお伺いをいたします。

○内閣総理大臣(菅義偉君)
 単身世帯の増加だとか、あるいは地域のつながりの希薄化など、家庭や地域の生活領域における支え合い、互助の力というものが弱まってきているというふうに思います。
 私自身、きずなのある社会の実現を目指しており、多様なつながりの中でお互いに支え合いながら生きていく、こうしたことができる社会を構築していくことが極めて重要だと認識をいたしております。そのためには、今御指摘いただきましたように、個性や多様性が尊重されるとともに、国民一人一人が安心をして過ごせるような社会保障制度をつくっていく、このことが大事だというふうに思います。
 あわせて、政府としては、自治体における包括的な支援体制の構築を促進をし、地域の相談を包括的に受け止める場所だとか、あるいは多様な地域住民が交流する場所の確保、こうしたことを進めているところであります。こうした取組によって地域における互助機能の再構築を進めて、きずなのある社会の実現、こうしたものをしっかりと図っていきたい、このように思います。

○矢倉克夫君
 一人一人の自立、自助をこれ可能にするには、自己責任の強調ではやはり難しいと。支え合う基盤があって初めて自助というのは可能である。その基盤づくりについてやはり政治は大きな役割を持っている。この点を強調して、質問に代えたいと思います。
 ありがとうございます。

【矢倉かつお】厚生労働委員会(全編:健康保険法改正案)2021/5/27

2021-05-27 矢倉かつおチャンネル

204回 厚生労働委員会

2021-05-27 国会質問議事録

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
 法案について、今回、全世代対応型、この言葉、まさに全世代で対応をしていかなければいけない、支え合ってつながっていかなければ社会保障そのものが持続可能にはならないという、こういう思いであり、その延長線上で、苦しい決断でもありましたが、御高齢の世代間での支え合いということも含めて二割負担をお願いする形になったわけであります。
 その上で、午前中でも議論がありました。高齢になればなるほど医療費は当然上がっていく、そういうことに対して、配慮措置として、党の提言も受けて、一月分の負担増が上限三千円としたわけであります。
 まず、この配慮措置について局長にお伺いしたいと思いますが、本会議での私の質問に対しての答弁で、この二割負担の対象者となる高齢者の方に事前に口座を登録していただくという御答弁がありました。ただ、対象の方が二百八十万人いらっしゃるわけでありまして、施行後一気にそのようなこと対応すると大変な事務作業にもなってしまうんです。であれば、施行前から、ある意味プッシュ型でこれをしっかり進めるべきと考えますが、この点いかがかということ。
 それと、あわせて、今国会で成立しました公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律、こちらに対しての関係はどのようになるか、まず答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(浜谷浩樹君)
 お答えいたします。
 配慮措置につきまして、受けるべき方に確実に受けていただくことが極めて重要でございます。
 二割負担の対象者に口座を事前に登録していただくことを検討しているわけでございますけれども、これは、市町村の窓口に口座登録申請書を取りに来ていただくとかではなくて、御指摘のとおり、施行前に対象者に必要な書類をお送りするといったような方法で、プッシュ型の方法を前提に検討してまいりたいというふうに考えております。
 また、さきに成立いたしました公金口座登録法との関係でございますけれども、これは、マイナンバーの活用によりまして、内閣総理大臣に登録された口座情報を広域連合が照会している方法も考えられます。
 ただ、この口座登録でございますけれども、これはあくまで任意ということでございます。また、内閣総理大臣が口座情報を得る方法が今回の改正法案の施行の前に実施されるかどうか、ここもまだ分からないということでございまして、現時点で、厚労省といたしましては、広域連合等と連携いたしまして、事前に直接広域連合が御本人から口座を登録をいただくことを勧奨するといった形で検討をしているところでございます。

○矢倉克夫君
 申請を待たずに、施行を待たずに必要なところにプッシュ型でやっていくという、この方向性は是非堅持をしていただいて、今御答弁いただいた対応は非常に良いというふうに思います。以前も質問した一人親世帯の子育て世帯生活支援特別給付金のときもそういう形でプッシュ型でやっていただいている。改めて感謝を申し上げて、引き続き進めていただきたいと思います。
 その上で、大臣にお伺いしたいと思うんですが、衆議院の議論などでも、例えば口座を事前登録するにしても、複数の医療機関とかで関わる場合はいずれにしろ初回に申請が必要なんじゃないかといったような議論もあったわけでありますが、本当にそうであるのかという点と、あわせて、政府としてこの配慮措置の活用状況を把握すべきと考えますが、御所見いただきたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 二割負担になられる方々、この配慮措置ということで、高額療養費を使うということでございますので、今委員がおっしゃられたとおり、二つ以上の医療機関等々を御利用している場合に関しては初回に登録いただかなきゃならぬ、申請をいただかなきゃならないということでありますが、今ほど来局長から説明をいたしましたとおり、プッシュ型で口座登録をお願いをしていくということにいたします。これ、登録されればもう初回申請をしていただく必要はなくて、もうそのまま振り込まれるという形になりますので、いかにこの登録をしていただけるかということでございますから、対象になる方々にしっかりと登録いただけるように、これは広域連合と連携をして、どういう方法がいいのか、これは早急に検討を法律成立後させていただきたいというふうに思っております。
 なお、その今言われた、それを把握をしっかりするようにということでございますので、これは、まあ言うなればどれぐらい登録していただけたかと、登録していただければ当然使っていただけることでございますので、そういう形の中で把握をさせていただきたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君
 まさに、こちらからプッシュ型で必要な方に対してしっかりと登録を促していくということが、最終的には申請もいただかなくても済むという形になるわけであります。是非、今の点からも含めて、あらゆる多くの方が対象になるわけでありますけど、対象になりそうな方、把握でき次第すぐにプッシュ型で対応するという、この迅速さが重要でありますので、この点、是非よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
 じゃ、次の質問ですけど、これは現場でいろいろ議論もあります。立憲民主党さんの対案でも出ておりました社会保険料の賦課限度額、こちらを、御対案では六十四万から八十二万に上げるという御対案だったと思いますが、これについて、後期高齢者の社会保険料の賦課限度額を上げることで負担増となる高齢世帯はどれくらいいらっしゃるのかという点と、あわせて、賦課限度額を急激に引き上げる、これに対しての問題点ということが一般的に出ておりましたが、これについて、改めてどのように、具体的にどういうところが問題なのか、考えていらっしゃるのかを答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(浜谷浩樹君)
 お答えいたします。
 直近のデータであります令和元年度におきまして、当時の賦課限度額である六十二万円を超える方の人数は約二十三万人でございまして、これは被保険者のうち一・二九%に該当いたします。仮に立憲民主党案のように賦課限度額引き上げますと、おおむねこの対象者数に影響が及ぶものと考えております。
 この賦課限度額につきましては、制度発足来、おおむね二年ごとに引き上げてきております。平成二十年の施行当時の五十万円が、現在では六十四万円になっております。引上げに当たりましては、画一的な計算式を用いるのではなく、国保の賦課限度額の状況等も踏まえまして、都度都度、社会保障審議会医療保険部会におきまして、後期高齢者医療広域連合も含めまして関係者に御議論いただいて、都度都度決定してきております。
 仮に賦課限度額をかなり大幅に一気に引き上げるということとした場合でございますけれども、これは当然関係者と十分に議論して検討すべき重い課題であるというふうに考えておりますし、あと、実態といたしまして、保険料が自治体によって違っております。そういたしますと、賦課限度額に達する年収が全国平均では九百万から一千万円程度でございますけれども、高いところでは一千五十万から千五百五十万程度、一方で低いところでは七百五十万から八百五十万程度ということで、言わば、その自治体によって賦課限度額に達する収入が必ずしも高い収入じゃないと言えないような場合もあるのではないかというふうに考えておりますので、これは広域連合等を含めて十分に検討する必要がある課題であるというふうに考えております。

○矢倉克夫君
 今の自治体間での差があるということは重要な要素かなと。衆議院でも、我が党の伊佐進一議員が参考人で質問されたとき、これ、津の市長さんでいらっしゃいますね、全国の市長会の相談役である前葉参考人が同様の趣旨のことをおっしゃっていたというふうに思います。
 賦課限度額を上げるということ自体のアイデアそのものは当然否定するものではないんですけど、一気に上げていくということのこの問題点とともに、いかに慎重に、しかし関係者の合意を得ていくかという、そういう観点をしっかり踏まえながら、是非引き続き検討をいただきたいというふうに申し上げたいというふうに思います。
 じゃ、それでは次のちょっと質問に移らせていただきたいと思いますが、ちょっと情報保護の関係の話は最後の方で、ちょっとまた後にしたいと思いますので、ちょっとその次の質問に移らせていただきたいと思いますが、保険者の財政状況ということで、例えば一番安定している健康保険組合でも保険料率が上がっていっているという状況があるわけであります。
 今回、本改正によって、例えば退職前に高額の給与が支払われていた方々に対して退職前と同等の御負担をお願いする、これは任意継続保険料の値上げとなるということによって、その部分の一定の効果はあるかもしれませんが、これについて健康保険組合全体でどれぐらいの収入増が見込まれているのか、答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(浜谷浩樹君)
 お答えいたします。
 今回の改正法案では、いわゆる任意継続被保険者、退職者で引き続き健保組合に加入されるという制度でございますけれども、この方の保険料の算定基礎につきまして、健保組合によりましては、財政状況を踏まえまして、退職前に高額の給与が支払われていた方につきましては退職前と同等の応能負担を課すことが適当な場合なども考えられるということで、現在では従前の標準報酬月額とその保険者の平均標準報酬月額のいずれか低い方というふうに画一的に決められておりますけれども、規約によりまして、従前の標準報酬月額を算定基礎にする、保険料の算定基礎にするということを特例的に可能とするということを盛り込んでおります。
 御指摘の財政影響でございますけれども、実際に保険料の算定基礎を従前の標準報酬月額に設定するか否かにつきましては健保組合の判断によりますので、実際の収入増を推計することは困難でありますけれども、仮定を置きまして、仮にでございますけれども、全ての健保組合におきまして任意継続被保険者の保険料の算定基礎を従前の標準報酬月額とするなどの仮定を置きますと、年間約百億円の保険料収入増、令和四年度ベースでございますけれども、が生ずるものと推計しております。

○矢倉克夫君
 百億ということですので、一定の効果は見込める部分かと思います。
 また、保険者という意味では、今度は市町村及び国保組合の関係なんですが、これについては、まさにこのコロナの状況下で収入が減少された方々、この国民健康保険の被保険者に対して市町村及び国保組合が保険料の減免を行った場合についての問いであります。その場合、今、国が財政支援を行っているというふうに承知をしています。
 令和二年度については減免額の十分の十これ財政支援をしていたわけでありますが、令和三年度については最大でも十分の八という財政支援になっているわけなんですね。この令和三年度の国民健康保険料の減免に対しての財政支援についても、これは市町村及び国保組合に対して減免額の十分の十をこれしっかり国が財政支援すべきだというふうに考えますが、その点どのようにお考えか、答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(浜谷浩樹君)
 お答えいたします。
 御指摘のとおり、令和二年度につきましては特例的にコロナに関する保険料減免につきましては全額の財政支援を行いました。
 まず、令和三年の保険料については、前年所得に基づき賦課されますので、二年度に特例を講じた方については令和二年の所得に応じた保険料が賦課されることとなる、そういう意味では令和二年における所得減少を反映した保険料になっております。その上で、令和三年度における国民健康保険料の減免につきましては、現在の感染状況も踏まえまして、保険者が新型コロナウイルス感染症の影響により前年より収入が減少した被保険者等の保険料を減免した場合に特例的に財政支援をすることとしております。通常は保険料の減免総額が三%以上である場合のみにつきまして支援しておりますけれども、今回は特例といたしまして保険料の減免総額がそういった三%以上に達しない場合につきましても財政支援を行っております。
 御指摘は補助率でございますけれども、現行のこの財政支援につきましては、三%以上、減免総額が保険料総額の三%以上である場合には十分の八、一・五%以上三%未満である場合には十分の四、それ以下、未満の場合には十分の二相当額ということで財政支援をいたしております。
 この財政支援の在り方につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況、あるいはその保険者による減免の実施状況等を踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 検討ということで、今、私も、今局長御説明くださった部分の、三月十二日の事務連絡ですかね、今、こちら手元あるわけなんですけど、確かに、引き続きちょっとお伺いしたいと思うんですけど、確かに令和三年度でこれ特例的に財政支援をされているということでありますが、三%以下のところ、これ例えば自治体によっては十分の二しか措置されないわけなんですよね。そうすると、減免措置をしていた場合であっても、八割は自治体負担になったりとかして、最終的には減免措置実施しない自治体もこれ出てきてしまうかもしれないなという懸念はあります。そうすると、一番困ってしまうのは生活者であって、去年より状態が良くなっているかというと、必ずしもそう言えない状況下で保険料の減免がされないということで、本当に大変な方もいらっしゃるかと思うんですね。
 だから、やっぱり我が党の地方議員さんの皆さんからは是非ともやっぱり十分の十をお願いしたいという、こういう声が強くあるわけなんですが、改めて、是非速やかに財政支援を講じていただきたいと思いますが、もう一度答弁をいただければと思います。

○政府参考人(浜谷浩樹君)
 実際にどの程度減免が行われているかどうか等もございますけれども、様々な状況を踏まえまして、御意見も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 様々な状況ということで、是非、当然、財政当局ともしっかり交渉しなければいけないこともあるかというふうに思います。今日、図らずも財務省からも来ていただいているので、我々もしっかりそういう部分では……(発言する者あり)いや、図っているわけじゃないんです、本当に違う件で呼んだんですけど、ただ、今後、財政当局をしっかり、そういう点では交渉の必要あれば我々もしっかりとそういう部分での声を上げるようにしていきたいと思います。是非、ちゃんと検討して、財政支援、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。じゃ、これはまた引き続き是非協議をしていきたいと思いますが。
 じゃ、ちょっと次の質問に、ちょっと問いが多いので、移らせていただきたいと思います。ちょっと、その後、国保に対しての法定外繰入れと収納率の向上と、あと保険料率水準の話、あわせてマイナンバーカードの被保護者への支援、これはちょっとまた時間があればで是非と思っておりますが、今、財務省来ていただいておりますので、財務省にちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
 今回の法案で、全世代型の社会保障、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するという観点から総合的な検討に着手する、これ附則に書いてあるわけであります。総合的なというと、当然そこに財源論という部分も今後は出てくるかと思うんですけど、その財源との関係で事実としてお伺いしたいのが、消費税増収分のうちの、この社会保障に給付等ではなく、国債の減額というところに充てている点があるかというふうに思います。
 これ、仮に消費税による増収がなければ、その分国債発行が増えたというふうな理解もしているわけでありますけど、これは社会保障の目的税たる消費税の使途としては、国債減額である以上、その国債が社会保障の財源というふうに充てられたものである必要はあるかというふうに思っておりますが、お伺いしたいのは、その減額される国債というのが社会保障のどの部分に充てるためのもので、消費税増収と国債減額の具体的な関係、こういう点でどういうふうにお考えなのか、根拠に基づいて御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(宇波弘貴君)
 お答え申し上げます。
 今御指摘になりました消費税収でございますけれども、これは消費税法第一条第二項におきまして、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費、いわゆる社会保障四経費に充てるということとされておりまして、社会保障目的税化されているところでございます。ただ、四経費のこの施策ごとに幾ら充てるかということを定めているわけではなくて、この四経費に充てることとされております。
 その上で、御指摘のとおり、日本の社会保障制度でございますが、急速な高齢化に伴って給付費が増大する一方で、それに見合った税負担が確保されてきていないために、給付と負担のアンバランスが拡大をいたしまして、給付のかなりの部分について赤字国債の発行という形で将来世代の負担にツケ回しされている状況にございます。
 一般会計全体で申し上げれば、公共事業や教育関係費などの社会保障関係費以外の総額はこの三十年余り横ばいで推移をしていることとか、あるいはこの間の税収の動向を踏まえますと、財政赤字、国債の発行は社会保障の給付と負担のアンバランスと表裏一体の関係にございます。
 そうした中で、今般の消費税率引上げによる増収分につきましては、まず第一に、全世代型の社会保障制度を構築するため、基礎年金国庫負担の二分の一への引上げや幼児教育、保育の無償化等の社会保障の充実等に活用することとしておりますが、これのほか、安定財源が今申し上げたように確保できていない既存の社会保障費に充当することで給付と負担のアンバランスを是正をし、社会保障制度の持続性を高めて将来の安心につなげるとともに、今御指摘のあった将来世代への負担を軽減をしてきたところでございます。公表している資料で基づけば、消費税率引上げによる増収分十三・四兆円のうち、将来世代負担の軽減分が五・一兆円というふうになっているところでございます。

○矢倉克夫君
 五・一兆円という、これ国と地方を合わせてでありますし、あと軽減税率の部分もあるからもうちょっとまた違う、額としては違う額になるかというふうに私も理解はしておりますが。
 何でこんなことを聞いたかというと、要は、社会保障の目的税でありますから、国民から消費税いただいている以上は、やっぱり実際に社会保障のために使われているという国民個々のこの実感にやはりつながっていくことが非常に必要、重要なんじゃないかなと私思っておりまして、その意味では、今の御説明、確かに安定財源が確保できていない既存の社会保障費ということでおっしゃっていますけど、それだけで十分に説明できているかなと。むしろ、常に増収分が国債の減額に充たるということであれば、消費税に限らずみんなそういう部分になりますから、消費税が、じゃ、何で消費税だけそういうふうな説明になるのかというところが正直分からないところもありまして。
 これは意見だけでちょっとしたいと思いますけど、これ私は、答弁の最後の方で、この若者世代、今無償化の話とかにも充てているというようなお話があったと思いますけど、この消費税をどういうふうに使うかというのは、今、今いる世代と将来世代にどういうふうに使っていくかというこの調整の話のようなもう気がしていて、今、将来世代に使うということが国債の減額という形でおっしゃっていたわけでありますけど、結局、将来世代へのツケ回しというときに、じゃ、実態をよく見る必要があるかなと。要するに、将来世代へのツケ回しかどうかというのは債務の償還可能性に影響があるかどうかというところであるかなというふうに思います、そこの部分では。
 だから、残高が幾らになったかという部分だけじゃなくて、やっぱり今のこの利率が低いときという、そういういろんな総合的な事情も含めて、実際、国債、消費税が仮に減額に充てられなくて数兆円国債の額が変わったとして、じゃ、それが国債消化についての信認にどう影響するかという、そういう観点もよくよく考えなければいけないなと。
 その上で、むしろ私は現役世代、今いる世代に対しての給付にしっかりとこれもう回していく財源として使っていくということが、ある意味、例えば現役世代も生活の固定費が削減されて元気になっていき、それが税収上がっていって、その結果、将来世代への負担というのも軽減していくという過程にもやっぱりなっていくわけでありますから、そういうことを含めて考えて、あわせて、冒頭申し上げたとおり、それぞれの負担者が自分にとって使われているという実感になるという、こういう観点も含めてここの部分の使い方というのを今後更に検討すべきなんじゃないかなと。これは個人的な意見としてこの場で申し上げさせていただいて、今後また機会があれば是非協議をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
 じゃ、財務省、私からはもうこれでいいので、委員長のお計らいで、財務省の方、御退席いただいても結構であります。

○委員長(小川克巳君)
 宇波次長におかれては御退室いただいて結構です。

○矢倉克夫君
 じゃ、ちょっと時間が、長々しゃべり過ぎてしまったので、ちょっと時間がなくなってしまったので、もう一つ、ちょっとコロナの関係でお伺いが、あっ、済みません、その前にこちらを聞いた方が。
 問い三というふうな形で通告させていただいたものですけど、今回の特定健康診査の対象でない四十歳未満の方も含めた情報提供など、これは今ほども議論があったところの話で、法案がある意味制定をしたわけでありますけど、これについて評価はいたしますが、本会議でも質問させていただいたとおり、本人同意、法的に不要はされているというわけであります。これについて、健診情報という個人情報を第三者である保険者に提供することについてのこの懸念をどういうふうに払拭するのか、これについて答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(浜谷浩樹君)
 お答えいたします。
 健診情報、機微な個人情報でございます。保険者にはこれまでも厳格な情報管理と適正な利用を求めてまいりました。
 健保組合と協会けんぽにつきましては、個人情報保護法における個人情報取扱事業者としてその規制に従っていただきます。当然でございます。
 ただ、市町村国保、広域連合につきましては、各自治体の個人情報保護条例の規定に従って業務を行うこととされております。その上で、個人情報保護委員会と厚労省との連名のガイダンスにおきまして、入退室管理、あるいは記録機能を持つ媒体の持込みの禁止等の物理的安全管理措置、それから、基幹システムに接続されたネットワークとインターネットに接続されたネットワークの物理的又は論理的分離等の技術的安全管理措置等をお示しいたしまして、個人情報保護のための具体的な対応を求めているところでございます。
 また、保険者に対する指導につきましては、個人情報保護法に基づきまして、先日大臣から御答弁申し上げましたとおり、個人情報保護委員会におきましては、保険者を含む個人情報取扱事業者等に対しまして報告、立入検査、指導、是正勧告あるいは是正命令を行うことができます。また、医療保険者の事業所管大臣である厚労大臣はこうした措置をとるよう個人情報保護委員会に求めることができることとされております。
 今回の改正法における四十歳未満の事業主健診結果の事業主等から保険者への提供につきましても、これらの法令等に基づいて保険者が必要な措置を講じ、事業主健診の情報を含む個人情報の適切な管理がなされるよう個人情報保護委員会とも連携して対応を行いつつ、施行に当たりましては改めてこうしたルールの周知を行ってまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 今言ったような施策を使っていただいてしっかり漏えいがないような形で、その上で、午前も議論がありましたけど、匿名化して第三者に漏れないような形での、こういう分析に使う意味合いでの使い方というのは非常に重要かなと思います。
 その上で、本会議でも申し上げましたけど、最終的にパーソナル・ヘルス・レコードという枠組みの中で、やはりまさに当事者というか患者の方というか御本人に還元していく上では、やはり、今もされていらっしゃいますけど、本人同意という形の部分のものが必要かなと。
 そういう部分でも、この同意取得の経緯でこういう情報を提供することがどういう意味があるのかということ、御自身の健康にとっても、そういうような丁寧な対応をしていくという運用をしっかり引き継ぎながら、両方が必要だと思いますので、こういう形での情報の取得と、同意を得た上でしっかり得ていくという、そういう部分の両方に向けてしっかりとやった上で、最終的には個々の健康にしっかりと資するような体制を是非つくっていただきたいというふうに思います。
 それでは、ちょっと幾つか、最後大臣に、ちょっと幾つか飛ばして大変恐縮なんですけど、これは前も質問をさせていただいた絡みになりますけど、育児休業支援金の休業前実質一〇〇%であります。
 これについて前回も私質問したんですが、もう一つ違う意味合いで、これは育児、男性の育児、家事参画という観点から改めてお伺いしたいと思うんですけど、大臣も御存じの東大の山口教授が研究された結果でこういうのがありまして、子供が生まれた最初の一、二か月間、これについて父親が家で一緒に過ごした場合、同じ父親の三年後の家事、育児の時間というのが二割ほど増えているという、こういう研究成果があるわけなんですね。
 やっぱり産後すぐに父親が一緒にいるという、この時間帯の支援というものはやはり非常に重要、全世代対応型の社会保障という文脈の中でいうと子育て支援という文脈で今質問もさせていただいているわけなんですけど、この上で、やっぱりそういうために必要なのは、最初の部分でのやっぱり収入面での不安をなくしていくというのはやっぱり重要かなというふうに思っています。
 政府は、そういう部分では、今、育休法改正によって制度改正進めていただいているんですけど、改めてですが、課題が多いことは分かっているんですけど、やっぱり男性を家庭に帰すために、最初の一か月の育休、休業支援金、これを育休取得前の賃金水準実質一〇〇%を目指すべきというふうに考えております。まず最初の一か月についてそういうことを目指すべきという見解について、大臣の御所見あるいは決意をいただきたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 ちょうど今、衆議院の方でこの法律の審議が始まりまして、昨日もその審議をさせていただいておりました。
 委員おっしゃられる意味合いというもの、それはもちろん育児休業を取られる方にとってみれば収入が減らないようにするというのは非常に意味のあることだというふうに思います。
 ただ一方で、これ、労使で保険料出していただきながら運営しているということでございまして、そういう意味では、労政審においても労使共にこれに関しては慎重に検討をしてもらいたいという御意見をいただいております。保険料引上げにつながるからであります。
 そういうことを考えますと、今現状、昨日の議論の中でも、ユニセフが、これいろんな評価の仕方がありますから一概には言えないんですが、この育児休業給付、日本が一位であると評価をいただいているようでありまして、非常に期間、それからカバー率、こういうものを見ても、それなりに世界の中で決して見劣りするというものではないということであります。
 委員のお気持ちもよく分かるわけでありますが、一方で労使のお考えもあるわけでありまして、我々としては、まずは今、衆議院で御審議いただいております今般の制度改正、法律改正、これをしっかりとまずは成立をさせていただき、施行させていただき、そして、その状況をしっかりと我々としてはまずは見させていただきたいという思いでございます。

○矢倉克夫君
 引き続き訴えていきたいと思います。
 ありがとうございました。

【矢倉かつお】憲法審査会(意見表明)2021/5/19

2021-05-19 矢倉かつおチャンネル

【矢倉かつお】本会議(健康保険法)2021/5/19

2021-05-19 矢倉かつおチャンネル

204回 本会議

2021-05-19 国会質問議事録

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。
 冒頭、新型コロナでお亡くなりになった方の御冥福と、今なお闘病されている方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 目下、最大の課題であるワクチン接種の円滑化を公明党の三千名の地方議員の皆様との連携を強め、進めてまいります。
 それでは、ただいま議題となりました全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案につき、会派を代表し、質問をいたします。
 日本が誇る国民皆保険が本当に持続可能か、少子化を背景に今、問われております。特に危惧することは、若者世代への保険料負担集中が不満となり、支える側と支えられる側に分断構造、対立構造が生まれることであります。皆で支え合う国民の連帯意識こそ制度を支える根本基盤である以上、世代間の分断が生まれてしまっては、制度の存続は見込めません。
 本法案は、現役世代から高齢世代へという世代間の支え合いだけでは制度を維持できないとの認識の下、高齢者世代内にもその支え合いの枠組みを広げ、現役世代への過度な負担を回避いたしました。国民皆保険の持続可能性を維持するため、やむを得ないものと理解をいたします。
 総理に、改めて、とりわけ御負担をお願いする高齢者の方々に対し改正の意義や経緯を丁寧に説明することを求めるとともに、国民一人一人が支え合いの意識を持ち、つながり合う社会保障制度構築に向けた御決意をお伺いいたします。
 今回の窓口負担割合の変更について、その詳細が十分にまだ国民に伝わっておりません。一割負担から二割負担になる以上は支払う額も常に二倍になってしまうといった誤解もあります。厚生労働大臣に、より丁寧な説明を求めます。
 今回の負担割合の変更にもかかわらず高齢者の方々が安心して医療を受けるために、配慮措置が設けられました。公明党の強い要請を受け、当初、一月分の負担増加額上限が四千五百円であったものを三千円といたしたことについては評価をいたします。
 厚生労働大臣にその趣旨をお伺いするとともに、この配慮措置が確実に適用されるためにどのような対応を考えているのか、御所見をお伺いいたします。
 全世代対応型の社会保障のため、子供を産み育てやすい環境も重要です。私が委員長を務める公明党青年委員会は今、ボイスアクション二〇二一と題しアンケート活動を行い、今日までの二か月で五十万を超える声をいただきましたが、そのうち約二〇%が結婚から子育てまでの丸ごとサポートを求める声でありました。
 本法案が、月の途中に十四日以上育休取得した場合、月末日をまたがなくても月全体の社会保険料を免除することとしたことは、短期の育休を取得しやすくする意味で評価をいたします。
 その上で、目指すべきは、あくまで一月を超える長期の育休取得を可能とする環境整備です。鍵は、テレワークの推進や、社内での業務引継ぎを可能とする業務分担や業務の共有化、それらマネジメントを可能とする基盤としての企業のデジタルトランスフォーメーション推進など、働き方改革ならぬ企業の働かせ方改革と言えます。
 長期間の育休を可能にするために必要な課題は何か、総理の御認識とその推進、改善に向けたお考えをお伺いいたします。
 本法案は、一時的な就労期間があってもその分の期間を延長して傷病手当金を受け取れるよう、支給期間を通算して一年六か月とすることといたしました。これは、現行制度が同一の疾病、負傷に関して支給を開始した日から起算して一年六か月超えない期間としていたものを改め、がんなどの病と闘いながら仕事をする方々を少しでもお支えしようとするものであります。公明党が長年強くお訴えをしてまいりました。
 厚生労働大臣に、この傷病手当金に係る改正の趣旨と、その丁寧な運用に向けた御決意をお伺いいたします。
 国民健康保険に加入する世帯のお子様は、現行制度では被保険者として均等割保険料の対象となるため、お子様の数が増えるほど世帯の保険料負担が増えることになっております。本法案において、国民健康保険の保険料につき、未就学児の均等割保険料の五割減額措置が導入されており、子育て世帯の経済的負担軽減に向けた一歩として評価をいたします。
 少子化対策における今回の改正の趣旨について厚生労働大臣にお伺いするとともに、今後の丁寧な運用に向けた御決意をお伺いいたします。
 本法案が事業主健診情報を保険者に提供される範囲を拡大するなど、データヘルスを一定程度推進する点、評価をいたします。法令上、本人同意は不要とされておりますが、健診情報という個人情報を第三者である保険者に提供することについての懸念が生じないよう、丁寧な運用が必要であります。
 このデータヘルス推進での好事例は、我が党の山口代表も視察した福島県会津若松市の取組であります。同市は、提供者が明示的に同意、承諾した場合のみ個人データを取得する、いわゆるオプトイン方式を貫いております。パーソナル・ヘルス・レコード、すなわちデータを市民、患者単位に統合することの推進を図り、包括的なヘルスケアのデータ分析を可能とするためには、データ提供者である市民のライフスタイルなど、個人の特定にもつながり得る情報も必要となる場合も考えられます。その情報収集のためにはオプトインの手法であるべきと考えております。
 オプトインに基づくデータ取得を基軸とした更なるデータヘルス推進について、厚生労働大臣の御見解を求めます。
 会津若松での語らいで印象的だったことは、データヘルスケア推進に当たり重要なものとして、政府に対する信頼と、預けることにより得られる実益の実感、そして、市民一人一人が自らのデータを預けることでより良い社会を構築する主体者たる意識を持つことを強調されていた点でありました。これらは、データヘルスケアにとどまらず、我が国におけるデジタル社会構築のための必要不可欠なものであり、特に、市民をデータの提供者という立場にとどめ置かず、主体的な参画者として考えることは、民主主義社会における自助の在り方にもつながるものであります。
 市民が主役の市民参加型のデジタル社会をつくることに向けた総理の御所見をお伺いいたします。
 持続可能な社会保障制度のため、皆が皆のために負担し合える社会をつくるためには、自らの負担が、自らを含めた全ての人の利益につながっているんだという実感を、個々の負担者が持てることが重要です。
 そこで強調したいことは、中間層への支援強化です。なぜなら、増大する税や社会保障など重い負担が本当に自らも実感できる共通の利益、サービスにつながっているか、多くの中間層が確信を持てずにいるからです。
 公明党は、昨年の党大会で弱者を生まない政治を目指すと表明、中間層支援にも言及をいたしました。青年委員会が昨年夏に提出をした青年政策二〇二〇の重点政策も中間層への力強い支援であります。中間層を単なる負担者ではなく、幅広く行政サービスを受ける側に取り込む必要があります。例えば、教育や医療、介護、住まいなど、人間として生きていくために必要な分野の無償化を進めていくことも有力な選択肢です。
 自助は、共助、公助とのバランスの上に成り立つものであります。全世代型社会保障は、個々の負担者が皆を支えるための負担を納得して共有し合える、そのための安心の枠組みであるべきではないでしょうか。
 全世代型社会保障構築に向けた中間層支援の拡充について、総理の御所見をお伺いいたします。
 大衆福祉の公明党の看板を高く掲げ、全ての人の安心、安全のために力を尽くすことをお誓い申し上げまして、私の代表質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(菅義偉君)
 矢倉克夫議員にお答えをいたします。
 改正法案の意義や経緯、社会保障制度構築に向けた決意についてお尋ねがありました。
 令和四年度以降、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上の高齢者になり始める中で、少しでも多くの方に支える側として活躍をいただき、能力に応じた負担をしていただくことは待ったなしの課題であります。
 今回の法案では、こうした観点から、必要な受診が抑制されないよう経過措置を設けた上で、一定の収入以上の方々についてのみ、その窓口負担を二割とすることとしたものであります。これにより現役世代の保険料負担は七百二十億円減ることとなります。
 世界に冠たる我が国の社会保障制度を次の世代にしっかりと引き継いでいくことは我々の世代の責任であり、こうした強い決意の下に、給付は高齢者中心、負担は現役中心というこれまでの構造を見直しをし、国民一人一人が支え合うことで、全ての人が安心できる制度の構築を進めてまいります。
 長期間の育児休業取得を可能とするための課題についてお尋ねがありました。
 出産、育児の負担がこれまで女性に偏ってきた中で、男性の育児参加という当たり前のことを実現していかなければならないと考えております。
 このため、企業において、研究などを通じて、研修などを通じて育児休業に理解を深めるとともに、テレワークの推進や業務分担の見直し、業務の共有化の推進など、仕事と育児を両立をし、育児休業を取得しやすい職場環境を整備していくことが必要であると考えます。
 私が官房長官時代に、男性国家公務員に一か月以上の育休取得を求めることで、取得の促進を強力に進めてきました。今後は、民間企業においても職場環境の整備を義務付けるため、今国会に育児・介護休業法の改正案を提出するところであります。男性が希望に応じて一か月以上の休業を取得できるようにしてまいります。
 市民参加型のデジタル社会についてお尋ねがありました。
 御指摘の会津若松市の事例については、私も関係者のお話を伺っており、デジタル活用の先進的な事例と認識をいたしております。九月に発足するデジタル庁において、こうした自治体の先進的な事例を踏まえながら、取組を進めてまいります。
 こうした取組を通じて、誰もがデジタル化の恩恵を最大限受けることができ、また、国民が主体的に参加できる世界に遜色ないデジタル社会を実現をしてまいります。
 中間層支援の拡充についてお尋ねがありました。
 少子高齢化が急速に進捗する中で、進展する中で、全ての人が安心できる社会保障を構築していくために、給付は高齢者中心、負担が現役中心というこれまでの社会保障の構造を見直すとともに、成長の果実が広く国民に行き渡ることが必要であります。
 こうした中で、幼児教育、保育の無償化や高等教育の修学支援の拡充などの取組を強力に進めてまいりました。また、今般の法案は、現役世代の負担上昇を抑えつつ、少しでも多くの方に支える側として活躍いただくことを目的とするものであります。さらに、賃上げを通じて皆さんの所得を引き上げていきたいと考えており、今年も賃上げの流れが継続するよう、経済界に要請しております。
 引き続き、中間層の方々が豊かさを実感し、納得して負担を共有いただけるよう、必要な改革を続けてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

○国務大臣(田村憲久君)
 矢倉克夫議員にお答えいたします。
 窓口負担の見直しに関する国民への説明についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、窓口負担割合が二割となる方については、高額療養費制度があることや配慮措置を講ずること等により、年間の負担額は平均で八・三万円から十・九万円へと二・六万円の増加と見込んでおり、負担が二倍になるわけではありません。
 こうしたことも含め、今回の見直しは一定以上の所得の方に限って行うものであり、かつ、配慮措置も設けることについて国民の皆様に丁寧な説明が必要であると考えており、後期高齢者医療広域連合などと連携して対応してまいります。
 配慮措置の趣旨と確実な活用についてお尋ねがありました。
 今般の改正では、公明党からの強い要望も踏まえ、見直しによる影響が大きい外来患者について、施行後三年間、一月分の負担増を最大でも三千円に収まるような配慮措置を講ずることで、急激な負担増を抑え、必要な受診の抑制を招かないようにしております。
 配慮措置を受けるべき方に確実に受けていただくことが極めて重要であり、丁寧な周知、広報に加えて、事前に口座を登録していただくことで確実に支払う仕組みを検討するなど、広域連合等と具体的に協議を進め、しっかりと対応してまいります。
 傷病手当金の見直しについてお尋ねがありました。
 近年の診断技術や治療方法の進歩等により、例えばがん治療において、手術等により一定の期間入院した後、働きながら定期的に通院治療を行うケースが増えていることなどから、被保険者が傷病手当金を柔軟に利用できないという課題が指摘されているところであります。
 こうした状況を踏まえ、今回の改正法案では、治療と仕事の両立の観点から、出勤に伴い不支給となった期間を延長して支給を受けられるよう、傷病手当金を通算して一年六か月に達するまで支給することとしております。
 法案が成立した際には、円滑に施行されるようしっかりと取り組んでまいります。
 国民健康保険の子供の均等割保険料の減額についてお尋ねがありました。
 国民健康保険制度においては、全ての被保険者がひとしく保険給付を受ける権利があるため、子供がいる世帯も、子供を含めた被保険者の人数に応じて一定の御負担をいただくことを基本としております。
 その上で、少子化対策は我が国が最優先で取り組むべき課題であり、今般の改正法案では、子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、未就学児の均等割保険料を半額に減額することとしています。
 今回の改正法案を成立させていただいた際には、この新たな軽減制度が適切に運用されるよう、必要な準備に万全を期してまいります。
 オプトインに基づくデータ取得を基軸としたデータヘルス推進についてお尋ねがありました。
 厚生労働省においては、データヘルス改革を推進し、健康寿命の延伸や国民の利便性向上を図るとともに、患者や国民、医療、介護の現場等がメリットを実感できるデータ利活用などを進めてまいります。
 パーソナル・ヘルス・コードについても、本人が自身の保健医療情報を閲覧し、本人同意の下で、必要に応じて第三者も含めて活用できる仕組みとして、昨年六月に発表した新たな集中改革プランにおいても掲げています。
 引き続き、国民の理解を得ながら、保健医療情報を活用したデータヘルス改革の推進に努めてまいります。(拍手)

204回 憲法審査会

2021-05-19 国会質問議事録

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。
 日本国憲法及び憲法改正国民投票法を巡る諸課題について、会派を代表し、意見を申し上げます。
 まず、憲法改正について、日本国憲法がうたう国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義という三つの原理は、人類普遍の理念であり、これからも堅持されなければなりません。原理は単なる原則と違い、例外を許さないものと理解をいたしております。
 公明党は、この三原理を有する現憲法を、我が国の民主主義を進展させ、戦後日本の平和と安定、経済発展に大きく寄与、日本の礎を築いたすばらしい憲法であると評価をいたします。憲法改正議論に当たり、この日本国憲法を改正することそれ自体を目的とすべきではありません。
 他方、このすばらしい憲法をより良くするための改正に向けた議論はあってしかるべきです。新たに憲法に盛り込むにふさわしい価値を見出せるのであれば、あるいは現行の規定のままでは不都合が生じており憲法改正でしか解決できない課題が明らかになっているのであれば、憲法の基本原理をあくまで維持しながら、新たな条文、新たな理念、価値を加えるべきと考えます。いわゆる加憲です。
 加憲において大事なことは、何が加えるべき新たな憲法価値か、決めるのは国民であり、そのために憲法に関する充実した国民的議論が欠かせないということであります。これまで、憲法に関する国民的議論はどの程度存在をしていたでしょうか。従来の憲法議論というと、政治家や専門家による交わることのない意見の言い合い、時に政争の具と言ってもいいような姿といった印象が拭えないということは否定できないところであります。個性あふれる強い考えがぶつかればぶつかるほど、国民は憲法を遠く感じてしまっていたのかもしれません。
 憲法に関する真摯な国民的議論は、一人一人が憲法を自分のものとして捉え直すきっかけとなります。それが、これまで当たり前と思っていた憲法の様々な価値、特に三原理を真に国民のものとすることにつながる、憲法を守るためにも議論が必要である、私はそのように思います。加憲論にはその国民的議論を導く力がある、そう確信をいたします。
 以上の認識の下、憲法改正国民投票法改正案について申し上げます。
 この法案は、投票環境の向上に関するものであり、国民が憲法議論をするために必要な手続法です。憲法改正に関わる以上一切認めないでは、国民の議論する権利を奪い、国民から憲法を遠ざける結果となります。改正の内容は、平成二十八年の公職選挙法改正で措置済みのものと同様です。憲法改正国民投票の投開票に関する部分については、公職選挙法並びでもよいと考えます。本院においても速やかに結論に至ることを御期待いたし、議論にしっかり参画してまいりたいと思います。
 この場をお借りいたしまして、加憲の議論の対象となり得る項目について、幾つか個人の見解も含めて申し上げたいというふうに思います。
 まず、デジタル社会への対応です。AIや情報通信技術の発展、発達などによるデジタル化の進展は、社会全体に大きな利益をもたらしています。しかし、個人に関するデータの収集やその利活用の方法によってはプライバシー等の人権が侵害され得ることに加え、AIを使った心理的プロファイリング等は個人の主体的な生き方に影響を与え、個人の尊厳を脅かすおそれがあるとも指摘されております。
 デジタル社会の到来に際し、個人情報の保護と適切な利活用の適切なバランスや、プロファイリングによる個人の意思形成過程のゆがみなどについて、憲法上の対応が必要かという観点からの議論が必要であると考えます。
 また、現在進行中の地球温暖化は、平均気温の上昇のみならず、大雨、干ばつなどの気候の変化をもたらしております。その影響は将来、より深刻になると予測されます。良好な環境の下で健康で豊かに暮らすことは、今を生きる我々だけでなく将来を生きる全世代にとっても重要な価値であり、将来世代に良好な環境を残すことは将来世代の基本的人権を保障することにもなります。
 このような観点から、地球環境の保全を明記することも検討に値すると考えます。もっとも、地球環境の保全を明記するといっても、これを国民の権利又は責務どちらで構成するか、その他など、議論することは多くあります。
 このほか、国会議員のオンライン出席の可否に関する出席概念など、検討すべきテーマはこのほかにも多くあります。国民のための憲法論議が政局から離れて深められることを期待し、私の意見表明を終わります。

【矢倉かつお】厚生労働委員会(全編)2021/5/18

2021-05-18 矢倉かつおチャンネル

204回 厚生労働委員会

2021-05-18 国会質問議事録

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
 質疑に入る前に、私からも、午前話がありました三原副大臣の件について一言。
 三原副大臣、その御自身のPTに対する思い強いのはよく分かりますが、分かりますが、やはり、閣法の審議を委員会にお願いする副大臣という立場をお持ちの委員として、国会審議に重大な影響を与えたということはもっと深くやはり認識をしていただかなければ本当に困ると思います。是非反省していただいて、深く反省していただいて、このようなことがないように是非徹底をしていただきたいと思います。
 その上で、この件とはまた離れて、一般論として申し上げると、やはり、定例日が重なる中にあって、大臣はその定例日があるときにはずうっと委員会に出席をされる、そういう中にあって、副大臣、政務官が大臣の代わりにやむを得ず公務に出席せざるを得ないということがあり得るということはやはり否定できないところであり、そこの部分まで否定しているわけではないということは、理事始め皆様の御共通の認識であるかというふうに思います。
 今回の問題で特に私も驚いたのが、そういう場合にあっての情報の共有、これについては、副大臣御本人と与党の筆頭理事のこの口、口頭でのお話でのみ事務的なところも回すようになっていた、現在のルールではですね。ですから、まずはこのルールをしっかり改善していただいて、こういう事故が一切起きないように、大臣に改めて、冒頭でありますけど、先ほどもおっしゃっていただいたとおり、国会対応における情報共有や手続の徹底、大臣の責任において是非進めていただきたいということをまず冒頭、御要望をさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 じゃ、それでは、時間も限られておりますので、質疑に入らせていただきます。
 大臣にまずお伺いをしたいんですが、先日、官房長官が会見をされた折におっしゃっていたことが、ファイザー製のワクチン、このFDAから十二歳から十五歳の方に対する使用というものも緊急許可が出たと。これを受けて、国内においても枠組み、接種の枠組みの対象を十二歳以上に拡大することについて言及をされていらっしゃいました。
 確認ではありますが、仮に十二歳から十五歳まで拡大をされた場合においては、既に十六歳以上と同様に国が接種費用を負担すべきであるというふうに考えておりますし、重い健康被害が出た場合に対する補償、これ救済制度の対象にすべきと考えておりますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

○国務大臣(田村憲久君)
 今、ファイザー社製のワクチンは十六歳以上我が国では承認されているわけでありますが、今委員おっしゃられましたとおり、アメリカはFDAが緊急使用許可を出したということでございます。
 今現状、我が国もPMDAにおいて添付文書、添付文書で書き換えて使用できるかどうかということになろうと思いますので、その相談をなされているというところでありますが、拡大されるということになれば、当然のごとくこれは審議会でしっかりと議論をいただくという形になってまいります。
 その上で、十二歳から十五歳まで拡大するということになれば、言われましたとおり、健康被害救済制度、これは当然同じような対象にならなければなりませんし、それから、ワクチン接種費用、これは今、定期接種ということで、あっ、定期接種じゃないや、何でしたっけ、ちょっと失礼いたしました。思い出せませんので、また後ほどこれは申し上げます。
 予防接種法にのっとって、当然被害者救済制度の対象になりますし、あわせて、費用に関しましても、これは今般と同じように国費で対応するということになります。

○矢倉克夫君
 一部報道でそこが明確でなかったところがあったので、今大臣からはっきりおっしゃっていただいたことは良かったというふうに思います。
 やはり、ワクチン接種しっかり進めていくことが重要でありまして、総理も七月末までに高齢者ワクチン接種完了ということで、東京、大阪でも大規模接種センターがあり、そして、例えば私の地元の埼玉県などでも大規模集団接種会場、これ運営を、これは都道府県としては初めてであり、今朝方の河野大臣の見解によれば、同じような会場を設けられることを考えている自治体が三十ぐらいあるというふうにもお伺いもしております。
 改めて厚労省にお伺いもしたいんですが、この都道府県における大規模接種会場を積極的に進めるべきであり、国としても財政支援をしっかりしていかなければいけないと思います。それに対するお考えとともに、一つ例えば懸念しているのが、今、モデルナ社のワクチンをこの大規模接種会場では使うと。そうなりますと、今までファイザー社は一回目から二回目の接種二十一日だったのが二十八日に変わったりとかする、そういうことによって保管だったり運搬とか、場合によっては費用もまた更に掛かってくる可能性もある、そういうものも含めてしっかりと国が支援をするという理解でよろしいのか、厚生労働省の見解をいただきたいと思います。

○政府参考人(正林督章君)
 お答えします。
 新型コロナワクチンについては、住民や自治体の期待とニーズが高く、東京と大阪の大規模接種センター以外にも、都道府県などが主体となって大規模な接種会場を開設し接種を行いたいという声があり、大規模接種会場における接種について五月七日に厚生労働省から各自治体に対して事務連絡を発出し、積極的な検討をお願いするとともに、都道府県の予定などを調査した結果、御指摘のように三十の県から実施の意向ありとの回答がありました。
 都道府県などが設置する大規模接種会場であって、二、三か月程度継続して接種が可能であり、医療従事者等を確保する方策や提携先等の医療提供体制確保の見込みがあり、また、管内市町村の接種体制に影響を与えないものの、設置に要するものの、設置に要する費用のうち、その使用料及び賃貸料、物品購入費等について、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金により補助することにしております。
 御指摘の点も含めて、これから対応を考えたいと思っています。

○矢倉克夫君
 指摘の点も含めて対応を考えるということでありますから、必ずしっかりサポートするように、是非改めて要求をしたいというふうに思います。
 次の質問に、時間もありませんので移らせていただきたいと思いますが、COCOAについてであります。
 内閣官房、今日来ていただいておりますけど、いろいろこの接触通知が来なかったというような状況が問題となり、その後いろいろ対応をされておりました。その後、報道がなかなかなされていないこともあって、現状どうなっているかということが多くの国民の方、まだお分かりになっていないかというふうに思っております。
 この場で改めて、昨年九月下旬にリリースした新バージョンでの不具合が発生してから、改修の状況としてどのようなことをされてきて、現在、COCOAのアンドロイド版とかiOS版、どちらも接触通知が届かなかったという不具合は起きていない、この状況について御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(内山博之君)
 お答えいたします。
 接触確認アプリCOCOAにおきまして、アンドロイド端末をお使いの方が陽性者との接触通知を受け取ることができなかった不具合につきましては、二月十八日に厚生労働省から修正版の配布が開始されているところでございます。
 一方、この修正版においても、陽性者との接触について正確に通知を受け取ることができるよう、アンドロイド端末をお使いの方につきましては、一日に一回程度、定期的にCOCOAを再起動いただくという御不便をお掛けしていたところでございまして、この御不便につきましても、四月二十一日に改めて修正版の配布を開始し、一部の端末機種を除き、定期的に再起動をいただくことは不要となってございます。この一部の端末機種の問題につきましても、端末メーカーとの間で技術的な精査を進めているところであります。
 この問題の解消を含めて、国民の皆様に広く安心して御利用いただけるよう、引き続き改善に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○矢倉克夫君
 私が認識している限り、二月の不具合が発表された場合のときには二千四百万件ダウンロードがあって、そこからまだ三百万件だけ伸びていると、こういう状況であります。本当に今までもいろいろ労力を掛けてきたものでありますから、もっとしっかり国民の皆様に普及をされるように、現在の状況も含めて丁寧な説明を是非よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
 ワクチン、このシステム絡みの話でもう一個だけ、ちょっと違うシステムになりますけど、お伺いしたいのが、やはりワクチン接種記録システムの話になります。
 先日、自見理事からも話があった、いろんなシステムがいっぱいたくさんありまして、V―SYSだったりVRSだったり、また、私の地元の埼玉県では、例えばさいたま市などはそれに加えて二つシステムが現場の医療機関の方は受けなければいけない。そのうちの一つはワクチンの配送システムについてであり、V―SYSとも若干かぶるような。現実的には基幹型の施設、接種施設に対してのものはV―SYSがやり、それから先のサテライト型とかそういう部分については各地方自治体がやるという仕分ができているんだと思いますが、いずれにしろ現場にしわ寄せが行っているのは確かであります。
 まず、厚労省にお伺いしたいのが、こういう負担が重なっていることに対しての負担軽減というのをしっかりどのようにされるのか。もう一つは、これはVRSと絡むところでありますけど、VRSも今タブレットとかでOCRデータを読み込むというような段取りになっておりますが、なかなか不安定で読み込めなかったりとかしている。本来であればバーコードだったりQRコードでという形になっているわけですけど、接種券の方が、当初の厚生労働省の方針もあって、自治体によってはバーコードもQRコードも入っていないということもあるわけでありますが、今後大量に接種しなければいけないタイミングの中にあって、例えば自治体のこの接種券、今発行されているものを今からでもバーコードとかQRコードに組み替えるようなことが可能なのか。
 仮に難しければ、内閣官房に、このOCRデータの読み取りについてもっとちゃんと安定的に読み取れるようにするにはどのような支援があるのか、重ねてお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(正林督章君)
 お答えします。
 ワクチンの接種に当たって、地方自治体や関係機関の連携と効率的な運用を実現するため、ワクチンの配布量の調整や接種実績を把握する、把握できるシステム、V―SYSを構築いたしました。このシステムは現在稼働しており、日次のワクチンの接種実績の集計などに用いております。
 一方で、システム入力が負担とならないようにすることも重要と考えており、V―SYSにおいては例えば接種実績報告は接種した総回数を入力いただくのみとするなど、入力項目の省力化、自動化を行ったりしています。現場における入力の負担を軽減しつつ、混乱が生じないように取り組んでおります。
 また、自治体による個人の接種状況の速やかな把握を目的とし、内閣官房においてワクチン接種記録システム、VRSを構築しているところです。このVRSは、予防接種の接種券のOCRラインを読み込み、システム入力をされていると承知しております。
 御指摘の接種券については、六十五歳未満の方の接種券であっても、現在のところバーコード等の記載を必須にはしておりません。既に印刷を開始、完了している自治体もあることから、今後、その接種券の記載事項を変更することは現場の自治体の混乱を招くおそれもあるかと考えています。
 なお、VRSについては、OCR読み取りの形で運用が開始されて一か月ほど経過し、内閣官房においては、自治体等の意見を踏まえてOCR読み取り作業の負担軽減策を講じていると承知しています。
 引き続き、各自治体が円滑に接種できるよう、内閣官房とも緊密に連携しながら取り組んでいきたいと考えております。

○政府参考人(内山博之君)
 お答えいたします。
 ワクチン接種記録システム、VRSのOCRライン十八桁の数字の読み取りでございますけれども、システムの開発の委託先と連携いたしまして、高い精度で行うことができるものを提供してございます。
 他方、手ぶれ等によりOCRラインの数字をうまく読み取れないとの自治体の声を受けまして、まず医師会等と連携して、読み取りのコツを含む分かりやすい操作説明の動画を配信する、あるいはバーコードではなくOCRラインを読み込むことを自治体向け説明会などで改めて周知をする、あるいは、手ぶれをなくし誰もが簡単に接種券のOCRラインを読み取ることができますよう、読み取りを補助するための読み取り台を配付するといった対応をしてございまして、円滑に読み取りが行われるようにしているところでございます。
 引き続き、自治体や医師会の声を伺いつつ、きめ細かく相談に乗りながら運用を進めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 とにかく、現場はもう本当に、当然ですが、初めてのことで非常に混乱がある。丁寧に丁寧に、是非やれることは全部やるということで、現場の混乱がないような形でお願いをしたいというふうに思います。
 時間がちょっと来てしまいました。大臣、申し訳ありません。また改めての機会でお伺いをしたいと思いますが、一言だけ、大臣が経済財政諮問会議でおっしゃっているこの労働移動ということ、これを、いろいろスキルがない方に対して新しいスキルを認める、そういう訓練の場としてもそうでありますし、やはり新しい産業というものにどうつなげていくかという視点も非常に重要かというふうに思います。それについてはまた別の機会で改めて大臣の見解をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 私からは以上であります。

【矢倉かつお】厚生労働委員会(医療法等改正案参考人質疑)2021/4/27

2021-04-27 矢倉かつおチャンネル

204回 厚生労働委員会

2021-04-27 国会質問議事録

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。
 五人の参考人の先生方、貴重な御意見、大変にありがとうございます。
 私からは、まず上家参考人にお伺いをしたいと思います。
 資料の方でも、例えば妊娠を報告したときの周りの無理解ということ、本当にこういう状況になった御当人の心はつらいなというふうに改めて思いました。
   〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
 私も、例えば育休取れない理由とか幅広く若い人に聞いたら、やっぱり職場との気兼ねというか、周りの人に負担が掛かるということが大きな理由だったというのは結構アンケートからも分かっているんですが、その上で、特にこの医師が置かれている環境、これ男女かかわらずだと思いますが、の状況を分析して、こういう観点から医師はより周りとの関係で育休だったり取りにくいとか、そういう事実があれば教えていただければなと思います。

○参考人(上家和子君)
 例えば、診療科によっては一人でその科を担当しているという科がたくさんあります。それから、地域によっては、特に地方、田舎に行くと、小さな病院でその先生しかいない、その先生しか内科系がいないとか外科系がいないとかいうふうに、専門領域が一人であるというようなところへ派遣された場合、とても代わりが来るまでは自分がいなければどうにもならないというような状況をたくさん経験すると思います。そういった医師の中でのマイノリティーに陥ると取りにくいのではないかなということが調査等からは見えてまいりました。
 それから、例えば大学病院であってもスペシャリティーが、大学病院になれば細分化された専門性があります。そのために、やはり専門性が、その分野の先生は一人だけというようなことが大きな、都心の大きな病院であってもあるというふうに、かけがえのない人材だからこそ取りにくいという実態があるのではないかと思います。

○矢倉克夫君
 なかなか難しい課題なんですけど、もしそこについて一歩一歩解決する方策があるとしたらどのようなものがあるのか、教えていただければ。

○参考人(上家和子君)
 臨床研修病院の診療科長からのコメントたくさん寄せられたものでいいますと、代替医師の派遣制度を公的に、若しくは大きな、大学を超えた大きな組織としてつくってもらえないかと。例えば、学校の先生、義務教育課程の学校の先生の場合には育休の先生の代わりの先生が自動的に来るようなシステムがあるわけですが、そんなふうに派遣される仕組みが欲しいという声がかなりあったのは印象に残っております。

○矢倉克夫君
 ありがとうございました。
 じゃ、続きまして、猪口参考人と山本参考人に、ちょっと同じ問いになるんですが二点お伺いしたいと思いまして、よりコロナの対応をどうするかという観点も含めての形なんですが、一つ目は、今も少しお話があった派遣というものにも絡むんですけど、やっぱりコロナ対応している方の、今医師の方の状況というのが非常に大変だ、それは一部の方が集中して関わっているという環境もやはりあって、そのために病院の役割分担という話があるわけですけど、そこを妨げている一つがやはり感染症を専門にしている医師の方が少ないということもあり、その前提の下で、例えば埼玉県などは、一部の感染の専門の方がこれまで感染症対応してきていなかった病院にある意味派遣されて、そこで研修みたいなものを行うみたいな制度を公的にも支援しているんですけど。
 まず、そういう感染症専門の方の派遣ということに対して公的に支援することについての御意見をまずいただきたいのと、もう一つは、ちょっと違う観点で、またコロナ対応、この状況を、危機の状況をどう対応していくのかという点で、やっぱり、まあ平時からの対応という言葉は違うかもしれませんけど、次の感染症が来たときの対応のノウハウを蓄積するということも非常に重要かなと思っておりまして、そのとき、現状を見ると、病院間の情報共有というのがなかなかないなと。
 どの病院がどういう患者さんを今受け入れていて、それに対してどういう症例が起きてどういう治療をしたのかとか、そういった情報共有をもっとし合えるような環境をよりつくることが将来の備えという意味合いでも、また現状の対応という意味合いでも必要だと思うんですが、現場の御感覚から、それをより促進するにはどのような施策が必要なのかということをもし御教示いただけることがあれば、二点、恐縮ですけどよろしくお願い申し上げます。

○参考人(猪口雄二君)
 まず、専門家の派遣のことですけれども、実は今、日本医師会と四病院団体協議会、それから全国自治体病院協議会、これで実は、病床がやっぱり逼迫したときにそれを、病床を確保するための委員会をつくっております。そこで様々な症例を集めたり、それから、各やはり現場としては都道府県若しくは地区が中心になりますので、そこの状況をいろいろお聞きしたりというようなことを行っております。
 その中の一つで、やっぱりその派遣機能を是非持っていただきたいなと思っております。これはなかなか全国レベルでやってくださいといってもやっぱり地域地域の実情がいっぱいありますので、やっぱり地域で是非そういうお話合いをしていただきたいということになるわけですけれども、例えば、コロナ対応をしている、入院をしている病院、そこで医師がそこに大勢必要になったときにほかの一般の診療がおろそかになる、そうすると、そこに対して医師を派遣するということが地域レベルでできないかというようなことも生ずると思います。
 あと、専門家の派遣で最近非常に重要だと思っておりますのが介護施設のクラスターなんですね。介護施設でクラスターが起きますと、大人数になると、それまとめてどこか入院というのがなかなかもうできない状況ですので、やっぱり現場で治療なりやらなければいけない。そうすると、介護施設の中のゾーニングをどうすればいいのか、介護の方たちにそのPPEを着たりすることの指導をする、それから、治療というのはどこまでができて、どういう場合に入院しなきゃならないかと、こういうようなことにおいても、やはり感染症のインフェクション・コントロール・チーム、こういうものをやっぱり派遣する必要があるだろうというふうに思っております。これも都道府県によっていろいろとまだ差があるんですけれども、県によってはそういうチームをかなりつくっているというようなことも聞いております。
 また、日本医師会としては、そういう場合の派遣に対する、やはりこれは危険なところに行きますので、また、感染してしまうということもございますので、それに対する保険制度等の充実も図っているところです。そういうことで、派遣についてはよろしいでしょうか。
 あと、その平時と今後の連携。今後といいましても、実はまだ第四波というんですかね、それが大阪はとても大変な状況ですし、東京もこれから二週間、ゴールデンウイークにかけて果たしてどのようなことになるか、極めて危険な状態で、毎日その状況を見守っているところです。
 ですから、今どんどんそのベッドを増やすということもありますけど、私は、いろんな医療機関、例えば急性期の大きな医療機関がコロナを受けていただける、若しくは大学病院がICU、CCUで重症の方を受けていただけて本当に、これは本当に助かっていると思っております。
 ただ、そのほかに、例えば中小病院でもできることはないか。小さいところでも、今、急性期を脱したけれども退院できない方の入院、後方連携といいますけれども、それをどんどん受け入れることによってその急性期を受ける病院のベッドを少しでも空けると、こういうようなことが各地でやられております。これが連携だと思うんですね。
 それから、入院し切れなくなったときに、今度は自宅待機の方が増えます。ですから、自宅待機の方が増えたときも、今までは保健所が中心でしたけど、これを医師会とか地域の医療機関の中で支えていくと、健康フォローアップを行うと。こういうようなことで、何とか医療崩壊を起こさないように様々な面で協力し合わなければいけないと思っております。
 それから、あとは、今ワクチンがなかなか潤沢に進んでいないというようなこともあるんですけれども、これもそれぞれの医療機関が頑張って、例えば、集合接種もありますけれども、個別接種とか、サテライト型の中小医療機関、病院なんかがどんどん受けることによってワクチンの接種率が上がっていくと思うんですね。また、これも大きい意味でのコロナ対応の一つですので、その辺ではもう医療機関は一丸となってこれに対応していこうというふうに考えているところであります。
 以上です。

○参考人(山本修一君)
 まず、感染症専門医の件でございますが、これは圧倒的に絶対数が足らないということがございます。
 私、医師になって四十年近くなりますが、この四十年の経験でこれほど感染症がクローズアップされたことはなかったというふうに思います。やはり我々も、はやり、はやりを追うと言うと言葉は悪いですけど、やはり感染症、クローズアップされないとなかなかそこへのなり手がいないということで、感染症の専門医をこれまで育ててこなかったツケがやはり一気に出ているんじゃないかなと思います。
 千葉大学病院も感染症の専門医三名おりますけれども、日頃は何をしているかというと、院内感染の防止対策、それが主眼であります。あるいは、時々来る結核の患者さんとかあるいは重症の感染症の患者さんのケアが重点でありまして、今回のように、本当にもう二十四時間寝る暇もなく働くということは珍しかったのではないかと思います。やはり次の備えという点からも、この感染症専門医の育成というのは、国として、あるいは社会として次に備えてしっかり考えるべきではないかなというふうに思います。
 それから、病院間の情報共有という点におきましては、これは先生御指摘のとおりでございまして、特に第一波から第二波にかけては、どこの病院がどれくらいベッドを出しているのか、あるいは、どこにどれくらい患者が入っているのかということが隣の病院ですらよく分からないということがございました。これは何が起こるかというと、疑心暗鬼になって、うちだけいっぱい病床を出すと損するんじゃないかとかいうようなことが出てまいりました。
 私、三月まで千葉県庁の対策本部の専門部会の取りまとめをしておりましたが、これはもう県庁に強く申して、もうとにかく私、県内の全部の確保病床と実際に何人入っているかリアルタイムで出してくれということをやりましたらかなり、さすがに一覧で出てくると、あっ、うちこんな少なかったんだとか、隣、何だ、ひどいなこれはとかということが出てまいりますので、かなりその辺では情報共有も出てまいりました。それから、情報共有の効果が出てきたというふうに考えます。自分だけが頑張っているんじゃない、みんなも頑張っているんだなというところが重要だと思います。
 それから、今、猪口参考人もお話しになりましたように、後方病院との連携という点でも、後方病院の一覧が出て、それぞれが各地域でどこがどういう、特に大学病院などに入っている患者さんは、人工呼吸器が付いていたり、あるいはECMOに乗っていたりと、コロナの感染そのものは収まっても、全身の状態が極めて重篤であるというような形で後方病院にお願いしなければいけなくなると、やはり受けていただける病院も限られてまいります。この辺も一覧にして、どれくらいの患者さんが実際に行っているかというようなことを把握する。
 なおかつ、ウエブで、後方病院の先生方と我々重点医療機関の急性、一番難しいところを扱っている人間同士がウエブ上で意見交換をすることで、それぞれが皆安心し、安心というのは言葉変ですが、余り過度な心配をせずに医療に当たるというようなことは進めてまいりました。ただ、これはほかの自治体の話を伺うと必ずしも皆さんそうではないというようにも承っておりますので、ここはしっかりとした体制整備が必要ではないかなというふうに考えます。
 以上でございます。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
 お二人の、今を乗り切るために必要な非常に貴重な御意見でした。ありがとうございました。
 最後になると思いますが、中原参考人にお伺いしたいと思います。
 もう本当に、御家族の苦しみ、そして御自身受けた苦しみを乗り越えてもう力強く活動されているお姿に心から敬意を表して、しっかり我々も頑張りたいなというふうに思います。
 それで、説明のところ、最後の、やはりどうしたら過労死しない仕組みをつくるのかというその思いというのは非常に重要かなと思いまして、レジュメの方でも過労死をなくすためにという、これは後ろから四枚目のところに書いてある中で、先ほどの上家参考人のお話とも絡むのかもしれませんが、やっぱり一人一人の声がなかなか届かない環境をどうやってみんなで一緒になって声を上げていくような環境を、これは医師のような専門家の方にもつくっていくべきかというところはやはり非常に重要かなと思います。
 その上で、労働組合の組織力アップということも書かれているわけでありますが、こういう連携をしていく、今現状なぜそういうのが低いのかということに対しての御意見と、そこを改善していってみんなで声を上げていくという環境をつくるにはどうすればいいのか、御所見ありましたら教えていただければと思います。

○参考人(中原のり子君)
 私自身、自分が被災するまでなかなか労働組合の方たちと何か一緒に協力し合うとかいうことは考えたことなかったんですけれども、やっぱり自分が本当に弱い立場になったときにそういう周りの方たちの支援が有り難いということを、私はそれを知ったので、こういうことを、まあ、労働組合とかそういう支援とかそういったことが大切だというふうに思うんですが、やはり基本的に医者は、うちの夫もそうだったんですけれども、なかなか自分が労働者という意識がなくて、幾らでもがむしゃらに若いときは働けるみたいな、そういった自負もあったでしょう。ただ、やっぱりそれだけだと長続きはしないので、やっぱり医者も人間だということで、やっぱりこの労働法というか、労働法整備、これを是非整えていただきたいと思います。
 今、とってもハラスメントが多いです。医者だけではなくて、全体の労働者の被災した方たちのハラスメントがとても多いです。コロナとかそういった影響もあるでしょうし、あと成果主義とかいろいろ様々な要因はあるかと思いますけれども、やはり自分だけとかいうことで閉じこもらず、何かあったら誰かに相談するとか、そういう相談体制の整備など、それからやはり労働時間の管理、上限時間の管理ですね、そういったことを義務化していただけたらというふうに思います。
 以上です。

○矢倉克夫君
 大変ありがとうございました。
 福井参考人にもお伺いしたかったんですが、時間で、申し訳ありませんでした。
 どうもありがとうございました。

かつおニュース VOL21

2021-04-26 かつおニュース

【矢倉かつお】厚生労働委員会(全編:医療法等改正案審査等)2021/4/22

2021-04-22 矢倉かつおチャンネル

204回 厚生労働委員会

2021-04-22 国会質問議事録

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
 今日は、医療法等改正案に関する質疑でございます。
 まず、法案について。本法案では、二〇二四年の第八次医療計画から、都道府県が作成をする医療計画の記載事項として、新興や再興感染症等の医療というのがこれ記載をされることになっております。ただ、このコロナの状況下、もっと早くにというような声も一部あるというふうにも理解もしているところでありますが、この点、今年度から始まっている第八期の介護保険事業計画では、いわゆる基本指針として災害や感染症対策に係る体制整備というのが、これ既に盛り込まれているわけであります。
 こうした介護保険事業計画とある意味歩調を合わせるという形で、第七次医療計画の後半三年の医療計画に、通知などで来年度から五事業に並立した形で新興感染症等を記載するなど、そういうふうにすべきだという御意見もあるわけでありますが、まず、これについての厚生労働省の意見をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(迫井正深君)
 御指摘のとおり、介護保険事業に係る基本的な指針において、介護事業所については、感染症対策としての研修、訓練の実施、あるいは関係機関等が連携した支援体制の構築等を求めているところでございます。
 一方の医療機関についてでございますけれども、現行制度では、医療法に基づく院内感染対策のための指針策定や研修実施とともに、感染症法に基づく都道府県での感染症患者に対する医療提供体制構築を含めた予防計画策定が求められておりますけれども、今般の医療計画への新興感染症対応の追加では、新型コロナ対応により得られました知見を踏まえまして、感染患者、感染症患者の受入れ体制と一般の医療提供体制の両立を図るため、平時からどのように備え、感染拡大時にどのように対応するかを定めるものでございます。
 御指摘の医療計画の記載事項に新興感染症等対応を追加する時期でございますけれども、国において基本方針等の策定に当たり足下の新型コロナウイルス感染症対応に関する課題整理が必要となるということ、あるいは都道府県においても足下の感染症対応に全力を尽くしていただいている中で、計画策定に当たり必要となる業務の負荷を最小限とする観点等も踏まえまして、次期、第八次の計画策定時とすることといたしておりますけれども、一部の自治体、都道府県では、現行の第七次医療計画の中、中間見直しに合わせまして、今般の対応により得られた知見を踏まえまして、感染拡大時における受入れ体制の確保でございますとか、感染拡大時に備えた人材育成、確保などの内容を盛り込む見直しを行っていると承知をいたしておりまして、計画策定年でございます二〇二三年度に先立ちまして積極的に計画策定の準備に取り組む都道府県に対しましては、国としても必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 介護保険事業計画の部分には、該当する形としては、医療法であったり感染症法というような話を踏まえた、踏まえた上で、今ほど、計画策定年である二〇二〇年度に先立ち積極的に活動している都道府県に対しての支援ということも話もあったところであります。
 それで、大臣にお伺いしたいんですが、今局長からも話があった二〇二三年度に先立って積極的に計画策定準備をしている都道府県に対しまして国としてどのように支援をされるのか。
 あわせて、一昨日の質疑で、私、大臣に質問するに当たりまして、その前に、この病床確保というところでは感染症の専門医の必要性というのも言及させていただいたところであります。この点、県によりましては、県内の専門医とかを指導医として専門医がいない医療機関などにも派遣するなどの取組も行っているところもあるわけでありますが、こういった取組に対しての評価と支援の在り方について、大臣から答弁をいただければと思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 まず、二〇二三年に先立ってということでありますけど、これ、今も局長から話がありましたが、今般、この新型コロナウイルス感染症ということでいろんなことを我々は知見として学んだわけであります。そういうものを技術的にしっかりと情報をお伝えすると。それぞれ、何といいますか、この感染状況違っておりまして、大変な勢いで広がったところ、そうでなかったところ、いろいろありますから、そういうような広がったところのいろんな情報等々、こういうものをしっかりとお伝えをさせていただくということは非常に重要であろうと思います。
 それから、あわせてこれ、これから策定していく中において、当然のごとく、これも今回の中でまさに学んだことなんですけれども、ゾーニングをしやすい、そういう一般病床というものをしっかり確保していくということの重要性、それから人の配置といいますか、そういうものも今回学んだわけでありますので、そういうこともしっかりお伝えしながら、今言われた感染管理の専門家、こういう方々をしっかり養成していくこと重要だというふうに思います。
 一つは、これは積極的疫学調査等々にも関わってくる部分なんですけれども、FETP、これ感染研で実地疫学専門家養成コースというのがございますけれども、こういうところからいろんな人たちが地域に行かれたり、地域から学びに来られたりいたしております。
 あわせて、今回のコロナの状況の中でも、介護施設等々でクラスターが出たときに、各都道府県で感染管理の専門家を確保、養成いただいて、そういうところに派遣をお願いいたしたいというようなことを、これを通知を出させていただいておりました。そういう意味では、そういう感染管理の専門家の方々、こういう方々の養成も、これは学会等々とも連携しながらしっかりと進めていくということ等々を御支援をしてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
 是非、それぞれの都道府県でもまた専門医を県内の病院に派遣するとかという計画もされているところもあります。そういうところの支援も改めて考えていただきたいというふうに思います。
 ちょっと一問飛ばしまして、その後、この法案の関係で、医師の働き方改革を進めるためのタスクシフト・シェア、今回実施をされます。これによれば、医師の業務量の削減などにもつながるわけでありますが、例えば、この職種が業務拡大する中で、これらの業務の拡大の部分において、安全第一の遂行のために、座学だけでなく、シミュレーターなどを使った技術の習得などの研修も必要だと思われますが、それに対しての方向性についてと、あわせまして、今回こういうふうにタスクシフト・シェアが実施されたことになった場合、診療を受ける患者側の意識の問題というのもあります。こういった方々に対しての患者側の理解と啓発が必要と思われますが、これについての厚労省の見解をいただきたいと思います。

○政府参考人(迫井正深君)
 今回の改正で、診療放射線技師、それから臨床検査技師、それから臨床工学技士につきましては、法改正に合わせまして養成カリキュラムの見直しを行うとともに、既に資格を取得した者などにつきまして、今回追加される業務を実施するための要件として、厚生労働大臣が指定する研修の受講を義務付けることとしておりまして、この研修について関係団体の協力を得ながら準備を進めているところでございますけれども、見直し後の養成カリキュラム及び研修のいずれにおいても、座学のみではなくて、シミュレーターなどを用いた実技の研修を含めて行うことを予定をいたしております。
 それから、救命救急士につきましては、救急外来における救命救急処置の実施について、勤務する医療機関が実施する院内研修の受講を義務付けることといたしておりますので、今後、こういった研修の詳細について御指摘も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
 それから、タスクシフトの関連で、医療を受ける患者さんが医療は多職種によるチーム医療で構成されているところを理解をいただくことは非常に重要だというのは御指摘のとおりだろうと思います。
 この点、厚生労働省では、医療のかかり方普及促進事業といたしまして、医療のかかり方に関する国民の具体的な行動変容につなげるために、医療の上手なかかり方に関する情報発信、これを始めております。例えばこうした機会を通じまして、医療機関におけるチーム医療やタスクシフト・シェアの取組を患者側の御理解を得る形で促進してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 よろしくお願いします。
 では、一旦ちょっと法案を離れて、一つ是非検討いただきたいことがありますので質問したいと思います。
 それは、流産、死産した母親の方を是非母子保健の産後健診の対象にという部分であります。
 近年、晩婚化とか晩産化という中で不妊に悩んでいる方もいらっしゃるわけでありますが、特に日本における妊娠満十二週以後の死産の数というのが年間二万人に上っている。こういうような方々の悲嘆のプロセスというのは、不安だったり、うつだったり、PTSDになったり、場合によっては夫婦関係にも影響するなど、本当に多くの問題が指摘されていて、一年以上続くということも試算されているわけであります。これはもう本当に本当につらい、つらいことだと思います。特に奥様の方は本当につらい経験をされるというふうに思っているところであります。
 日本助産学会は、エビデンスに基づく助産ガイドライン、妊娠期・分娩期・産褥期二〇二〇においても、こういった死産を含む周産期喪失へのケアの創出、強化が進められているわけでありますが、私、最近気付いてちょっと驚いたんですけど、この母子保健医療対策総合支援事業における産婦健診、診査事業に、これ対象にこういう死産とかされた方の母親というのがこれ明確には入っていない形になっておりまして、私、要綱見たんですが、産後二週間、産後一か月など出産後間もない時期の産婦とされている。これだけでは読み取れないわけであります。
 厚労省の委託事業が本年三月に公表されたわけでありますが、その中での実態調査で、本当に死産、流産されたお母様方の大変さ、浮き彫りになっている。もうこれを個人事として相談していいのかというところから悩まれて本当に苦しまれている方がいる、こういう方を置き去りにしないようにどうすればいいかというのをやはり考えなければいけないと思います。
 是非こういった方々もこの産後健診の対象として心理社会的なケアのための整備体制、国は図っていただきたいというふうに思いますが、厚生労働省の見解をいただきたいと思います。

○政府参考人(渡辺由美子君)
 御指摘ございましたように、死産や流産を経験された方についての心理的なケアというのは非常に重要だと思っております。
 厚労省としても、これまで都道府県に設置をされました不妊専門相談センターにおいてこういった流産や死産などについての心理的な相談も実施してきたところでございますが、御指摘ございました産後の健診、これにつきましては流産や死産を経験した場合も対象になるということ、これまでQアンドAなどでは示してきましたが、御指摘のとおり実施要綱の中できちっと明確にうたっていなかったということもございますので、これは死産等による産後うつなどのリスクもあるということもございますので、明確に産後健診の対象となるということを示したいと思っておりますし、また、令和三年度からは、不妊症・不育症支援ネットワーク事業というところで、医療機関あるいは様々な当事者団体等も含めた協議会でこういった方々へのグリーフケアを含めた支援の充実を図ることとしておりますので、こういった対応をしっかりと進めていきたいと考えております。

○矢倉克夫君
 補助事業ですので、要綱に入っていないと、自治体としても判断の中でこれを対象から外してしまったというような事例もたくさんあったかというふうに思います。今までの事前の相談を受けて、入れていただくというふうに明言いただきましたので、本当にありがとうございます。是非徹底して、速やかによろしくお願いしたいと思います。
 最後に、大臣にお伺いしたいと思いますが、もう一つ、公明党も提案いたしまして、三月十六日に閣議決定して実現をいたしました低所得の子育て世帯に対する特別給付金、こちら、一人親世帯に対しては早ければ今週中にも自治体によっては給付、支給されるわけでありますが、一人親以外の子育て世帯に対してのこの給付金につきましても、これ是非早期にスケジュールを示していただきたい、もうそれでできるだけ簡素な手続で給付を受ける仕組みというふうにしていただきたいというふうに思っております。
 大臣に、今後の事業の見通しについてお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 一人親以外の子育て世帯に対してといいますか、特別給付金についてでありますけれども、これ、来週、四月の二十七日に都道府県、各自治体に国の検討案、これお示しをしたいなというふうに思っております。
 今委員言われたとおり、手間が掛かるとという部分もございますので、できれば既存情報を活用して何とかならないかということで、できる限りでありますけれども、児童手当でありますとか特別児童扶養手当、こういうものの情報を活用して、申請不要で何とかこういうものを支給できないかと考えております。
 とはいえども、なかなかこれ、検討いろいろしなきゃいけないところもございます。都道府県、あっ、ごめんなさい、関係府庁、府省、それから自治体等々と連携をしながら、令和二年のこれ所得情報でありますが、これが判明した後にできる限り早くこれ対応してまいりたい、支給ができるようにというふうに考えております。

○矢倉克夫君
 四月二十七日に現行案をお示しいただくというふうに明言を初めてしていただいたというふうに思います。ありがとうございます。
 特別定額給付金のときなどもやはり申請した後の給付の遅れというものがあり、やはり、すぐに届くためには申請がない形が可能であればできればいいということで、いろいろ今検討をされて、工夫もされているかというふうに思います。デジタル庁の創設というのもあり、そういった環境整備のこともしっかりと各省と連携しながら、是非必要なところにしっかりと行き渡る、そのような体制組みを大臣のリーダーシップで是非進めていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私からは以上でございます。

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